れいめい塾
Gazing At " Promised Land "
2003年度 8月第4週
8月24日
桐原の試験に向けて徹夜組の連中が塾内のそこかしこに散在している。大森は机につっぷしたまま仮眠を取っている、束の間の休息。突如、森下が参戦を表明したことで古西も俄然活気づく。ブーちゃんは明日は政治経済の試験もあるとかで大変そう、しかし去年弟のタカシがミス1である以上、なけなしの意地を見せてほしい。この春からウチの塾に密航してきた知早も初の洗礼? 眠りそうになるのを堪えながらプリントに目を這わす。結局は午前7時になり自転車で家に帰っていく。
今回初参戦の高1も久しぶりに俺が自宅まで送ることになる。ゆかりと愛(ともに津高)を車に乗せたのが午前3時、高校入試直前の日々を思い出しながら深夜の165号を走らせる。
8月25日
桐原の試験にまつわる笑える話・・・。
愛と由子が桐原の話をしていた。「桐原やらなアカンな、でも嫌やな、しんどいし」「あんだけもせなアカン、ほんま頭に来るわ」 そんな二人のやり取りを聞いていた千紗が言ったという、「桐原さんってそんな嫌な先輩なん」
桐原の試験は前後2回に分けて実施が決定。最初が大森の古典の授業を受けるブーちゃん・響平・怜美・智早で午後6時開始。そして残りの面々が午後8時からスタート。
俺は2回とも出場、連荘でミス0を狙う。28分かかって終了、古西が微笑みながら「俺が採点しますよ」 俺に続いて終了は響平、これは俺が採点することに。響平はミス9、まあまあの出来か。しかし俺の採点が上がらない。「どないした?」と俺。「おかしいなあ」と古西、「不思議なことにミスがないんやけど・・・、そんなん絶対にありえんよな、仁志」 仁志が破顔一笑。「じゃあ、ミス0かい」 古西、黙して語らず。
菊山が7時45分に登場。今回、魔の20分を破るとしたらこ奴しかいない。古西が聞く、「菊! 時間はどれくらいや」「今日の昼にやったときは15分・・・」 古西と俺は顔を見合す、驚愕!
午後8時第二陣スタート! 後ろのほうで紙をめくる音がする。菊山だろう・・・そして続いて二人目、古西か? そして三番手に俺が紙をめくる。14分経過、一瞬空気が澱む気配。すかさず叫ぶ、「菊! 終わったんかい」「・・・はあ」 そして数分後に古西の雄たけびが教室に響く。俺は1枚の差をつけられている。なんとか一回目より4分ほど縮めて終了、24分。
菊山と古西が交換して採点が始まる。俺は4番手の允と交換。菊山が「ミス0です」と言いながら古西に答案を返却する。古西は菊山の答案をなめまわすように見ている。「困ったな・・・ミスがないや」 そして俺は允の答案にバツを6つ付けて終了。「俺はどやった」と允に答案を差し出すと「ミス1です」 横で古西が含み笑い。
愛は「高1がしっかりしなければ中3のカラオケ大会がなくなる」というプレッシャーのみで勝負する。思えば、そんなプレッシャーは去年の高1には一切なかった。それゆえに愛たちのカラオケ大会は高校合格発表当日まで持ち越される。その愛の答案を採点したのは古西、ときおり心配そうに覗き込む愛に「なかなかやるな」とつぶやく。結局はミス2、それも文頭のカッコ補充。大文字で書くところを小文字で書くというボーンヘッド。実質ミス0といってもいい出来。しかしミスはミス。「だって答えには小文字で書いてあったんですよ!」
結局、高2で受けたのは亜矢歌と真歩と小林の3人。津高の野球部は不参加、その連絡もなし。何のためにクラブをやっているのか・・・桐原の試験不参加に関しては説明責任一切なし。あげく中3のカラオケ大会は中止となる。嫌なことから背を向ける、そんなメンバーのチームだから実績はあがらない。津高野球部、このまま2回戦ボーイが続くようだ。
森下と古西が桐原の成績一覧表をワープロで叩いている。サブタイトルは・・・山本愛の乱・・・。
ミス0 塾頭・古西・菊山
ミス2 愛・大森
ミス5 拓也
ミス6 綾奈・允
ミス7 寺沢
ミス9 響平
8月29日
今日から中3は宿題休みに入る。感想文やら人権作文やらポスターやら大変なんだろう、教室の中には那理しかいない。ウチの娘さんたちも大わらわで感想文を書く予定の本を読んでいるとか・・・。
仁志が滋賀へ帰る。バイト料を渡すために久居駅の改札でランデブー。「ブーちゃんには冷戦構造のプリントを暇があったらやるようにと・・・。あとはなんとか」
また一人、夏が逝く。
今日、仁志と同じく下宿に帰る予定だった古西が元気な顔で塾に姿を見せる。「明日帰る明日帰ると言っておきながら明後日となりまして」と破顔一笑。さっそく森下の英語の授業にもぐっている。
8月30日
血便が出て、咳を吐き散らし冷や汗をかきながら1階で寝ていると睡眠を妨げる話し方・・・今井(立教大学3年)が古西と話している。
夜、古市が中1と中3に等差数列を教えている。文字式の規則性の問題・・・これは数列の公式を教えたほうがいいんじゃないかな?と言ったのは橋本。その橋本、たった一度だけ高校生に数学を教えたきり失踪、いや伊豆へ疾走? ここにもまた説明責任の欠落。
大輔(近畿大学1年)が車の免許を取得、さっそく150万からする中古車を買ってもらったとか。
今井が四国の名刹八十八箇所を巡礼する。それも手抜きをせずに歩くとか・・・。今井はこの秋から就職活動、しかし具体的なビジョンはない。何のために就職するのか?何のために働くのか?何のために生きるのか? 巡礼の過程で知り合う人々に頭を垂れて聞いてみればいい。9月から今井の巡礼日記が始まる。
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