毎度書いているけど、砂九さんのプロデュースする落語会はすごい!
構成も客入りも演者やお客さんの満足度も、すべてにおいて…。コトに年1回春に行われるこの『あかね寄席』は一番の盛り上がりをみせる。
まず入場料が2,500円。(←お寿司の弁当と茜屋さんのコーヒー付き) 食事・コーヒーが付いても、アマチュアの落語会としては破格の木戸銭やと思う。それでも2ヶ月前には予約券を完売してしまう。まだ次の日程などはっきりしたコトが決まってないウチから20枚くらい予約が入ってしまう。
それ程人気のある落語会であり、しかも終わった時から来年の予約が入るのやから、お客さんの満足度は120%と言うても過言ではない。
今回は安定したメンバーの砂九・無眠・栄歌の3バカ-トリオに加えて、裏技的なキャラ「かもめさん」のエントリー。ちょっとしたハプニングが期待できるかも。。。
当日、強風のため近鉄が停電で止まり、JRもビニールが高架に巻き付いたとかで30分以上の遅れ。大幅に遅刻して開演1時間前に到着。去年と同じや。もうほとんど席が埋まってしもて、既に会場は熱気でムンムン。ワタシが入っていくと途端に黄色い声が飛んでくる。…ああ、うれしい、この雰囲気が懐かしい。
ネタ並びを聞いてまたビックリ。仲入り後、無眠さんが「らくだ」でトリとのこと。此処のお客さんが「らくだ」の長丁場にどないな反応を見せてくれるか、もう自分のネタのことよりそっちの方がワクワクや。
例によって砂九さんが一番手。出番前の砂九さんはムチャクチャ緊張してるのが手に取るようにわかる。ワタシが無眠さんとギャグを云い合いながら笑っているのにちっとも絡んで来ない。顔がすこし青ざめているようにも見える。
その緊張のまま高座にあがり、出だしもやはり少し硬いか…。それでもしっかり笑いを取るところは流石。ネタに入っても少し段取りがバタついて、それでもポイントではしっかり間をとって笑いを誘っている。途中から自分のリズムを取り戻したのがわかった。ようやく肩の力がスッと抜けたような語り口になり、まことにエエ雰囲気に会場を作り上げてくれた。しかし、『楽』と此処だけは別人になったような砂九さんが見れてこれもまた楽し♪
お次はかもめさん。やはり会場の熱気に押されて出だしは無茶苦茶硬い。いきなりトイレの下ネタで、それも「ジョンジョロリン、ジョンジョロリン」と指で恰好までしているから、お客さんも最初の方は思いっきり退いてるのが伝わってくる。ネタに入る頃から彼女の芸風がお客さんに伝わったのか盛り上がって来て、ネタのサビのあたりではもう笑いも最高潮。「あかね寄席」のお客さんも、かもめさんの良さを生で味わうコトが出来てよかったね。
ワタシは最近「こればっか」と云われそうなくらい、このネタを演り倒している。時間は20分足らずでマクラもあっさり目の作品なので、取って置きのネタ(マクラ)を用意してきた。「あかね寄席」のお客さんなら絶対喜んで下さるやろうと思って作ってきたマクラなのである。それを高座ですっかり飛ばしてしもた。それと言うのも、かもめさんの特異なキャラ・奇抜なマクラを聞いて即興で仕上げた「かもめイジリ」のマクラを振ったため。決してアガっていたワケではない。余計なことをしてしもた。かもめショックはお客さんだけやなかったワケや。
気が付いたのは、「手水廻し」の導入のマクラを始めた時。今さら後戻りは出来へん。残念で仕方なかったけど、即興のマクラが結構ウケたのでまあ良しとするか。本ネタは…、やはり思うた通り、此処のお客さんにはピッタンコかんかんやった。とても気持ちよく演らして頂きました。
仲入りを挟んで大トリの無眠さん。マクラも短い目ながらよく掴み、お客さんが途中離れることなく最後までしっかり笑いを取ったところはホンマに圧巻やった。ここ5年間このヒトを見てきて、エエ意味で芸風が大きく変わったなぁ…と思った。まあこないして毎度毎度一緒に高座を共にして刺激しあってんねやから、お互い影響して、されてもごく当たり前のコトなんやけどネ。
打ち上げはいつものごとく向かいの「湯楽」というスーパー銭湯で、汗を流しビールで乾杯してみんなで歓談した。落語のすぐアトでの銭湯・ビールは最高!
お客さんの熱気に酔い、サウナの後のアルコールに酔い、帰りの電車に酔い(←コイツは余計)、またひとつ至福のひとときを過ごせた。落語をやっていて本当に良かったね。
砂九さん、また来年も誘ってや!
「延陽伯」浪漫亭砂九/「勘定板」若井家かもめ/「手水廻し」南遊亭栄歌/〜仲入り〜/「らくだ」竜宮亭無眠
No.327 2006年03月29日 (水) 09時37分
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