昨年の秋に蔵である角吾座からこちらの和室に変更となり、雰囲気も和んだ今回、高座と客席とをまったく入れ替えてみることとなった。
お客さんが入りやすいようにとのスタッフの配慮からだが、そのお陰で下座スペースが庭に面する縁側(まったくのオープンスペース)となってしまい、吹きっさらしで寒いのなんのって。音も外に逃げるし、ちょっとこれは考えモノやと思う。
そんなことより今回のワタシのネタ、ちょっとあぶない。
前から年1回くらいのペースで演ってはいるが、今回は準備不足でどうも不安定。みんなが演じている間も控え室や下座のところでウロウロ・ブツブツ…。
そんな時、玄やんがワタシのトコにやってきて「代脈」を聞いて批評して欲しいと云うてきた。もちろんワタシもこの男の「代脈」はどんなもんか興味があったからやぶさかではなかったが、それにしてもこんな切羽詰った時に練習の中断は目茶苦茶不安。
彼の「代脈」はまことに結構。お手本に忠実で笑わすポイントもちゃんとお客さんにアピールしてはる。今回の河崎のお客さんにはちと上滑り気味(本人も普段はこんな程度のウケやない…と言い訳してたが。。。)やったが、相当面白いと思う。
しかしワタシの「代脈」とは全然ちがうモノやった。…て云うか、ワタシのンがオリジナルから大きくカタチを変えてしまっているのやと思う。彼のンを聴いていて「ああ、せやった。ここは元々こんなギャグやったな。ここはこんな段取りやったな」と懐かしく聴かして貰うた。彼が高座から降りてきて一番最初にワタシが彼に言うた言葉が「まことにクラシカルで結構でした」と言う内容やったのも、こんな理由から。
少しデフォルメしたワタシの「代脈」、ちょっと原点に立ち返って作り直してもエエかな、とそんな気分になった。
さてワタシの「不動坊」であるが、ハメモノの打ち合わせでなぞった時よりしっかりと演れて結構ツボでも笑って貰った。予想以上にウケた。。。出るまではあんなに不安やったのに、開き直ったのもあるけど、お客さんとの周波数がバッチリ合うたのと、それまでに充分会場を暖めてくれたメンバーのお陰でもある。
これで調子に乗るのではなく、出番前にあんなにうろたえることの無いように充分に準備をしておこうと自分に何遍も言い聞かせながら帰路についた。
「酒の粕」にうぎに家衆朝/「好きなもん、嫌いなもん」切磋亭琢磨/「代脈」隣乃玄張/「マキシム・ド・ゼンザイ」噴駄理亭欠多利/「不動坊」南遊亭栄歌/〜大喜利〜(謎賭け「モチ」「ピーナッツ」「伊勢市選挙」「クリスマス」「初月給」「ボーナス」、数え歌「すき焼き」)
No.314 2005年12月12日 (月) 12時48分
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