No.292〜No.314

打ち出し太鼓

落語会を迎えるたびに必ず血が滾る。
終えたあと、満足感、反省(?)、そして次への熱き思いがある。
そんな栄歌の独り言、裏話などをおもしろくお伝え出来たらエエなあと思います。


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 第12回 河崎蔵くら寄席 11/20(日)        
昨年の秋に蔵である角吾座からこちらの和室に変更となり、雰囲気も和んだ今回、高座と客席とをまったく入れ替えてみることとなった。
お客さんが入りやすいようにとのスタッフの配慮からだが、そのお陰で下座スペースが庭に面する縁側(まったくのオープンスペース)となってしまい、吹きっさらしで寒いのなんのって。音も外に逃げるし、ちょっとこれは考えモノやと思う。  

そんなことより今回のワタシのネタ、ちょっとあぶない。
前から年1回くらいのペースで演ってはいるが、今回は準備不足でどうも不安定。みんなが演じている間も控え室や下座のところでウロウロ・ブツブツ…。
そんな時、玄やんがワタシのトコにやってきて「代脈」を聞いて批評して欲しいと云うてきた。もちろんワタシもこの男の「代脈」はどんなもんか興味があったからやぶさかではなかったが、それにしてもこんな切羽詰った時に練習の中断は目茶苦茶不安。

彼の「代脈」はまことに結構。お手本に忠実で笑わすポイントもちゃんとお客さんにアピールしてはる。今回の河崎のお客さんにはちと上滑り気味(本人も普段はこんな程度のウケやない…と言い訳してたが。。。)やったが、相当面白いと思う。
しかしワタシの「代脈」とは全然ちがうモノやった。…て云うか、ワタシのンがオリジナルから大きくカタチを変えてしまっているのやと思う。彼のンを聴いていて「ああ、せやった。ここは元々こんなギャグやったな。ここはこんな段取りやったな」と懐かしく聴かして貰うた。彼が高座から降りてきて一番最初にワタシが彼に言うた言葉が「まことにクラシカルで結構でした」と言う内容やったのも、こんな理由から。
少しデフォルメしたワタシの「代脈」、ちょっと原点に立ち返って作り直してもエエかな、とそんな気分になった。

さてワタシの「不動坊」であるが、ハメモノの打ち合わせでなぞった時よりしっかりと演れて結構ツボでも笑って貰った。予想以上にウケた。。。出るまではあんなに不安やったのに、開き直ったのもあるけど、お客さんとの周波数がバッチリ合うたのと、それまでに充分会場を暖めてくれたメンバーのお陰でもある。
これで調子に乗るのではなく、出番前にあんなにうろたえることの無いように充分に準備をしておこうと自分に何遍も言い聞かせながら帰路についた。
 
「酒の粕」にうぎに家衆朝/「好きなもん、嫌いなもん」切磋亭琢磨/「代脈」隣乃玄張/「マキシム・ド・ゼンザイ」噴駄理亭欠多利/「不動坊」南遊亭栄歌/〜大喜利〜(謎賭け「モチ」「ピーナッツ」「伊勢市選挙」「クリスマス」「初月給」「ボーナス」、数え歌「すき焼き」)
No.314   2005年12月12日 (月) 12時48分


 第3回 大学祭寄席 11/6(日)        
三重大学で学祭寄席をやらせて貰うようになって4年目を迎える。
これまでと大きく違うのは今回は現役の学生さんだけのチカラで企画・準備し、当日も遣り繰りしていくというモノ。我々はゲストとして出演し、会場を盛り上げ少しレベルアップをさせて貰うだけ。
そう言う意味では、本当に三重大落妍の歴史上、記念すべき会なのである。

今日は生憎の雨模様。荷物の搬入でちょっと「すったもんだ」があったが(←これは『栄歌のひとり言』に書いてあるので参照されたし。)、会場に着くととても活気があってなんとも云えん懐かしさが込み上げてくる。
さて開演前みんなが練習している。去年我々と一緒に演った学生さんも2年生になっていて、幾分貫禄も出て頼もしく見える。
1年生は女性が多いが、中でキラッと光る学生さんも居てはった。「よし、おじさん達が手本を見せてやるから面白かったら覚えて演ってね」と先輩風を吹かし、「おごろもち盗人」かなんか演ろうと思っていたが急遽「手水廻し」に変更した。学生さんでも覚えやすい噺やし、面白いから覚えようとする意欲も出るやろうとの老婆心ではあったが、あんまり現役生には響かへんかった様子。
それとも遠慮してるのかな〜。「先輩、その音源貸してください」と言う言葉を待っていたンやけどなぁ。。。 

打ち上げは大学病院前の「八犬伝」と言う安い炉端屋。OBで集まってみんなの出囃子を考えたりした。後日現役生のブログで「最初オジサン達と食事をするのはいやだなあと思っていたが結構気さくでそれほどでもなかった」というようなことを読んだ記憶がある。
オジサンたちは楽しくてハイテンションになっていたが、学生クンたちは少し距離を感じていたんやなあ。あんまり先輩風の押し売りは止めておこうと反省した。時代はかわったんやなあ。頼られた時だけチカラになってやることにしよう。 
  
「猫」漕下屋暴徒/「鼻ほしい」名古屋小鯱/「胴斬り」三重亭大楽/「手水廻し」南遊亭栄歌/〜仲入り〜/「子ほめ」三落亭痴琴/【漫才「修学旅行」】フジトル/「てれすこ」小林二八/「うどん屋」三落亭ひゃーし/〜大喜利〜
青:OB
No.313   2005年11月15日 (火) 17時55分


 第3回 寝床の会『伊賀の陣』 10/29(土)        
第3回を迎える此処『伊賀の陣』。
お客さんもそろそろ我々のカラーを覚えて下さって、我々もそうであるようにお客さんも毎回とても楽しみにしていて下さる。
席亭きーさんの希望で過去ネタとはなるべくダブらせない方向と言うことで、ネタ選びには苦労もさせられるが今回は寝床の会(津・敬和公民館)のリバイバル希望ということで、編成はしやすかった。

トップはこの人「衆朝さん」。
落語会では、トップバッターは前座・見習いとされるが、ウチ・寝床の会ではそうではない。 
何せ素人の落語集団。外すこともあればお客さんを乗せられないこともある。そんなのが4席も5席も続いた日には2度とお声はかからない。
やはり最初の1投が肝心。初めの雰囲気つくりが上手くいけば、素人と云えどその後演りやすくなるというもの。
最初の空気つくりはこの人の右に出る人はいないと云うてエエと思う。もくろみは命中、マクラの段階で上手に暖めて下さった。派手さはないがこういうファインプレーは敬服に値する。

会長の「昭和任侠伝」。最近こういったムーディな落語を好まれるらしい。
ワタシは年齢層や興味と言う意味でターゲットの狭いしかもマニアックなネタは好きではない。リスクもあるし…。
そんな風に評価をしていたが、今回の高座では結構お客さんの心を掴んではる。会長の魅力のひとつやね。ただネタもマニアックな上マクラまで少々マニアックやったように思う。

欠多利さんの夢八は最近では「マキシム・ド・ゼンザイ」に次ぐヒット商品。結構難しい噺で、ワタシも5年ほど前からこの二つのネタ(「夢八」と「マキシム・ド…」)はモノにしてやろうと狙っていた噺。
寝床の会ではとても評判が良くて、きーさんもリクエストをしたワケやけど、今回はちと練習不足やったかな。噛んだり澱んだりで残念な高座やった。
それでも握り飯を食いながら床を叩くシーンでは会場から拍手も貰った。

玄やんはいきなりでそれかいっ!っちゅうくらいの爆笑。
このオトコの芸は天性のモノやね。
出てくるだけで笑いを取り、一言喋ってはまた笑い。ホンマむかつくくらいや。何遍も演っている上にこのネタの爆発力、初めてのお目見えやったけど伊賀のお客さんの中から一気にファンをかっさらって行ったことやろう。

負けては居れないこのワタシとしても、渾身で繰り出す「船弁慶」の一投。
雷のお松つぁんの喋りのクダリでは、夢八に負けないくらいの拍手。
長い噺やったけど、ホンマによく聴いて下さいました。

4人4様、みんなが自分のカラーを出し切っての高座、今年もまた気持ちよく伊賀の夜を迎えることが出来そう。

「つる」にうぎに家衆朝/「昭和任侠伝」切磋亭琢磨/「夢八」噴駄理亭欠多利/〜仲入り〜/「源太と兄貴」隣乃玄張/「船弁慶」南遊亭栄歌/〜大喜利〜(玄やんを迎える一〜十、謎賭け「風庵」「笛」「阪神4連敗」、色作文)
No.311   2005年11月01日 (火) 17時14分


 能管の息吹         
ワタシは現在稼動している能管を3本所有している。
1本目はまだ学生あがりの頃に当時の雀司さんから売って頂いた物。煤竹ではなく普通の女竹で、下地漆もあまり塗っておらず上塗りは漆ではなくカシュー、巻きも籐や樺ではなくワイヤーのようなもの。到底「能管」というシロモノではないけど、素人にも鳴らしやすくそれらしい音が出るので気に入って使っている。
2本目は去年京都まで行って街中を走り回ってようやく見つけた中古もの。煤竹・籐巻きで、以前はプロの能楽師が使っていた代物らしい。結構息が必要でしんどいので使いこなせず、もっぱら練習用に使用。音は大変気に入っている。
3本目はネットオークションで競り落とした代物。煤竹(?)・籐巻きでどうやら新管らしい。一番太く重厚感があり黒漆も少し朱合いを混ぜてあるのか全体に赤茶色の落ち着いた色調を呈している。見た目は一番のお気に入りだが、鳴りが悪く特に高音が詰まるような感じで響きも悪く、ピッチも上の方にずれている。使い勝手が悪いので、こいつはほとんど家でお留守番。
  
先日、福岡で「栄歌・酔書二人会」があって、そこへ1本目と2本目を連れて行った。
向こうには粗忽家勘遊という男がいてはって、彼は別名「籐舎仁鳳」と名乗る笛の名取り。
下座で彼にワタシの笛を吹いて貰った。もちろん2本目のヤツ。彼は自分でも笛作りを勉強中で、実際すでに数本の能管を世に送り出しているという。以前プロ所有の能管を現在のプロの笛吹き師に試し吹きして貰うたというワケ。
会が終わって勘遊さんはワタシのところへ来て「栄歌さん、この笛、すごくいい!」と褒めて頂いた。コレにはワタシも大喜び。プロのお墨付きや。気を良くしているとひとつの欠点を指摘された。それは歌口のところの蜜蝋、ほとんど剥げ落ちている。これは「鳴り」に大きく響くだろうとのこと。

自分で直してこのお気に入りがワヤになってしもては忍びない。
ワタシの笛の師匠は目下病気療養中。2年前から第一線を退いてはる。静養中の身に無理をお願いしてもアカンし。。。
恐々、師匠のHPの掲示板に相談を持ちかけた。せめて直し方だけでも電話で指示頂けたら…との想いであった。
掲示板に書き込んだ翌日師匠から携帯に電話が入った。たった今掲示板を読んだトコロだが…と仰った。書き込みを見てすぐにご連絡頂いたらしい。恐縮!
「とりあえず見せて下さい」と云って下さった。それでは来週か再来週の…と言いかけると「今晩の都合はどうですか」とのお言葉。師匠の笛にかける想いは尋常やない。身体を悪くされてからお会いしていないので、当然2本目以降の能管は師匠に見せていなかった。そのため是非見てみたいと云って下さったのだ。
今晩は研究会が入っていたけど、当然サボって懐かしい師匠のお宅にお邪魔した。まだ見て頂いていない2本目と3本目の能管を連れて。

師匠は能管の歌口と管尻を覗いただけで「これは低音のバイ音の出が悪い。こっちは音が滑る。高い方のピッチがずれている」と見事に診断された。ワタシはビックリ!まさにその通りやったのである。師匠はさしずめ『笛の名医』と言ったところ。
2本目の方は蜜蝋がほとんど剥がれていて、息が頭(かしら)の方に逃げ、そのため余分な息が要るのやそうな。そしてこのまま吹き続けていれば20年後くらいには水滴が入って頭が内部から腐っていってしまうとのこと。しかし残念ながら蜜蝋を詰めれば今よりも低音のばい音は殺されるやろう。この能管の能力はこれでイッパイいっぱいや、と言う話。
反対に3本目の方は、「こいつは化ける。素晴らしい音が出るようになるから絶対に手放してはいけない」とおっしゃった。ワタシは買い手があったら誰かに譲ろうかなと考えていたところであったが、師匠が20分ほど手直しされた後で手渡された時にはなるほどピッチも修正され音も素晴らしいモノに変身していた。もしかしたら、2本目を上回るほどの音が出ているかも知れへん。
見た目も恰好よくそして音もエエ。途端にこの3本目に愛着が出てきた。
「まだまだこの笛には欠点がイッパイあるけど、それを直すのはかなりの時間と手間がかかる。当座はこれで充分でしょう。コレまでの笛から15万円くらいは値打ちが上がりましたよ。」と師匠はニッコリ。

今まで眠っていた能管が息を吹き返した。改めて本当にすごい師匠やと感動した。
毎回お留守番と決めこんでいた3本目の能管が、今では職場へも落語会へも毎日のようにお供についてくる。お気に入りの一品。
今日も仕事鞄の中にいて、信号待ちにはその素晴らしい音色を聴かせてくれる。
No.310   2005年11月01日 (火) 17時09分


 打ち上げは「にしもと一力」        
会がハネて時計をみたらまだ3時半をちょっと回ったところ。
このまま帰るのはもったいない!せっかく圓九氏と玄やんと3人揃うてんねんから。圓九氏と玄やんはかねてより石橋の駅前の焼肉店に行く話が出来上がっていた。ワタシはやはり帰りの電車が心配。とにかくその店の開く5時まではドコかで一緒にお茶でもして、この余韻を楽しもうということになった。
正福寺から蛍池と反対の方へ足を延ばして石橋の駅前の喫茶店に入った。ソコは古い潰れたようなビルの2階にあって、オイオイと突っ込みたくなるような環境。もとはプールバーやったんやろうか、ビリヤード台が数台と小汚い椅子やテーブルが並んでいる。ちょっと迷って一番窓側に腰を下ろした。コーヒー1杯250円。この安さは今どきの店やないで。味は…ま、値段相応。
それから今日聞いた落語のコト、寝床の会のコト、落語天狗やパンセの会のコト、この間行った福岡(「天神寄席」と「栄歌・酔書二人会」)のコト、色々と話は尽きず、ワタシはそのまま焼肉屋にまで同行せざるを得なくなった。

今5時やから6時半…遅くとも7時まで!
そう心に決めて店に入る。気さくな老夫婦がワタシ達を迎えてくれる。玄やんは「おばちゃん」と呼び、女将さんは「○○クン」と名前で呼ぶ。玄やんは此処らでは相当ブイブイ言わせたと見える。(そんなエエもんとちゃうか。)
大将はペースメーカーを体内に埋め込み目下循環器医にかかっていると言い、女将さんはもと伊勢出身と言う話。そんな関係でこの老夫婦とワタシはとても気が合うて話が弾んだ。
注文した「おでん」は出汁が40年モノ(…でよかったか?酔っ払ってたから記憶に乏しい。)で当店自慢とか。確かに美味しかったがワタシは普段三重では味噌と洋カラシを2つともつけたおでんを食べているので、味は少し淡白かな…と思った。そして焼肉。和牛で肉そのものも美味いが、タレが絶妙!大将曰く秘伝の味とかで、あまりのコク・美味さについついお代わりをしてしもた。
久しぶりに揃うメンバーに楽しい落語の話、酒の進まんワケはない。ワタシも生中の後梅酒を注文し、いつもより酔いの回りが早い。玄やんと圓さんは日本酒(池田の地酒「呉春」…て言うのン?)を次から次へと頼み覚えているだけで6本…いや7本か。。。
トイレに立って気がついた。時計が8時を回っている。ああ、もう3時間も喋っているのか〜。。。て、言うてる場合やあれへんがな。電車に間に合わん!
蛍池で圓さんが、そしてJR大阪駅では玄やんが、電車が出るまでホームで見送ってくれて、後ろ髪をグイグイと引かれる想いで鶴橋に向かった。
そして近鉄への乗り換え3分前と、ギリギリセーフで特急に滑り込んだ。あぶない、あぶない。

しかし楽しい1日やった。落語で満足、落語談議で満喫、美味しい焼肉で満腹。3拍子揃うたハッピーディやった。
No.309   2005年10月27日 (木) 16時46分


 「正福寄席」 10/23(日)        
伊丹家ぽぷらさんという方、何でもたまたま共演した圓九さんの話によるとアマチュアでありながら発声もよく滑舌も素晴らしく、なかなか達者な方らしい。その方が年1回の落語会を池田で開かれると聞いた。
どこにでも居てんねんな、表舞台に出て来ぃひん恐ろしく上手いアマの噺家が。これは見逃してはならぬとばかりに、行って来ました。ええ、行きましたとも。
近鉄−JR−阪急と電車を3つ乗り継いで、2時間半かけて行って参りました。相手がたとえプロでもおそらく(憧れやった枝雀師匠が生き返り落語会でもせんかぎり)こんな遠方まで遥々行かへんやろうと思うくらいの道のり。それでも大阪の地名を探しながらの一人旅は結構楽しかった。

さて迷いながら現地(正福寺)に着いたのは開場10分前。既に2人ほど本堂の前で待ってはるお客さんが見える。本堂の前の階段に腰掛けてその方達と四方山話をしていると少し早い目に開場して下さったのが何とそのぽぷらさん。早々とワタシを見つけると向こうの方からお声をかけて下さった。なかなか生真面目そうな丁寧な語り口。ご挨拶を済ませ一番エエトコに陣取る。程なく玄やん、そして圓九氏がやって来て久しぶりに3人で話が弾んだ。
そうこうしているウチにいよいよ開演。

まず和尚のちょっとはにかんだような挨拶、そしてその後に出てきたのが紋付姿の男、会場からは割れんばかりの拍手。ところがその方はなんと高座返し。すぐに引っ込んでその後に出てきたのが最初の演者の「幹忍」さん、高座返しが紋付で本当の演者が浴衣姿やったのにはちょっと笑った。まるで桟敷のお客さんと対話するような語り口にはほんわかとして好感が持てる。そのあとの「かれる」さん、なかなか味のある語り。ちょっとざわついた会場ではあったが、これでもかというくらいに笑いを取ってサゲ前で引っ込んだ。せっかく客掴みのテクニックを持ってはるのにあと少しのサゲを省略したのは何とももったいない話である。

さてお目当ての「ぽぷら」さん登場!やはり演者の交代の時には随分と客席がざわつく。大きな声で談笑したりガチャガチャと押入れから椅子を取り出したり、落語に不慣れなお客さんにちょっとイラついて思わず振り返り「シ〜〜ッ!」と厳しい顔で制してしまったワタシ。。。
ぽぷらさんの語りはまことに素晴らしい!滑舌もエエが声のトーンも心地よく内耳の聴覚神経を揺さぶる。最初に聞いていなければ、プロかと間違うくらいに上手い。
噺は「鼓ヶ滝」という講談からの地話。自分で講談から落語に興したというからまたまたオドロキ!正味の噺は10分少々くらいのもの。その前に西行の出家のクダリや有馬温泉へ実際にいった体験談を織り交ぜ、実に軽妙で可笑しく作り上げている。くすぐりも絶妙、横道にそれてはまた戻り、その都度「どこまで喋ったんやいな」「なかなか話が前に進まん」と笑いを取りながら緩急自在に噺を作り上げている。作品としても語りとしてもプロの域と見た。
来た甲斐があった!ええ勉強をさせて貰うた。考えれば当たり前の話ではあるのやが、選手権や国文祭、そしてネット上では出てこないところで我々(ワタシや圓九氏)が腰を抜かすほどの達者な噺家がゴロゴロと(失礼!)居てんねやなぁと改めて驚かされた。

仲入りで余韻を楽しみ程なくプロの文太さん。そこはプロの意地とばかりにマクラで客席を鷲掴みにして大ネタ「寝床」へといざなう。浄瑠璃の会の断りの言い訳を端折ったので「あれ?」と思うたら、なるほど旦さんのぼやきを膨らましているワケや。お上はんが子どもの手を引いて西国巡礼に出かけると犬が鎖を引きちぎって逃げてしまい、家のタマ(猫)がさかって近所の猫と駆け落ち、金魚も「赤いベベ」の色が変わるとお上はんに付いて巡礼に行き、町内の烏も絶滅するというトコトン突き詰めたナンセンスギャグ、腹がよじれるほどに笑わせて貰うた。
この長い噺をダレ場なく演ってのけるプロの技をこれでもかと言うほど見せ付けられた。いやいや、満腹満腹。腹いっぱいになった。遠く三重・津市から乗り継いで来た甲斐があった。

さあ、これから3人の時間。この至福の余韻を分かち合おうではあるまいか。第2部の落語談議の始まり始まり〜♪

「堺飛脚」伊丹家幹忍/「道具屋」伊丹家かれる/「鼓ヶ滝」伊丹家ぽぷら/〜仲入り〜/「寝床」桂文太
No.308   2005年10月26日 (水) 16時18分


 大・大・大宴会        
まだ熱気も冷めやらぬウチに会場近くのお店に移動しての打ち上げ。
こんなにも多くの方に支えて頂いていたのか…とビックリするくらい参加して頂いた。噺の会「じゅげむ」小倉出張所の方々を中心とした北九州のみなさん、酔書さんをトップとした「宗像落語会」の方々、内浜落語会の皆さん、会長の勘朝さんご夫妻も参加して下さっている。恐縮。みると去年国文祭で優勝した川崎亭好朝さんの奥様「小いもさん」も見えている。
みんなで乾杯のあと順々に挨拶して回った。今日出席頂いた皆さんとお話がしたかった。感想を聞かせてくれるヒト、再会を喜んでくれるヒト、ただただお酒を勧めてくれるヒト…。勘朝さんは喉を潰してほとんど声が出ぇへん。筆談でお話(…と云うてもほとんど関西系のツッコミやったけど。。。)をして下さった。
ワタシもお酒のキャパをはるかに越えてしまい、お仕舞いの方はほとんど覚えてないが、九州の美女二人(小やす姐さんとはる華さん)に拉致されてクチャクチャになってしもたような。
何時間かそこで騒ぎ、その後カラオケへと繰り出した。(もしかしたら、その前にもう1軒寄ったかも。。。不覚にもあんまり覚えてないネン)
カラオケでは勘タンさんが仕切り(て云うか、ほとんどマイクを離さんかったんとちゃうかな…)、そして勘々さんが大暴れしたような。熊さん(内浜の電脳担当・熊埜御堂さん)の美声に酔いしれ、酔書さんのサービス満点の歌と踊りに笑い、小きぬさんは年代モノの歌を歌い(口ずさんで付いて行っているのはワタシと酔書さんだけ)、勘遊さんはマイクを向けてもまったく歌わずただシャイに笑っているだけ。みんなそれぞれ個性があってとても楽しかった。
結局カラオケボックスを出たのは午前2時半をとっくに回っていた。ワタシのためにこんなに大勢が遅くまで残って歓迎してくれた、それにワタシは落語でお返し出来たのやろうか。
次回、第2回二人会を必ずやりましょう、と約束してお別れをした。
No.306   2005年10月24日 (月) 17時26分


 「ボクらの博多夢高座VOL3 栄歌・酔書二人会」 10/9(日)        
ぽんプラザホールに到着。
昨日一度下見はしているが、改めて見せてもらうと、ホンマにええホールや。「ここで演んねんなぁ」と考えると身が引き締まる思いがする。
内浜・宗像落語会の面々が非常に手際よく高座・下座・客席を組み上げてくれる。次第に会場が出来上がってくると自ずと緊張が高まってくる。
その緊張を楽しみながら、「七段目」と「船弁慶」を通しで合わす。本チャンの場で合わせると二人とも素晴らしい出来栄え。ワタシは今までで一番エエ「船弁慶」が演れた。

そのあと酔書さんと並んで受け付けをしていると続々とお客さんが詰め掛けて下さる。小倉のじゅげむさんやそのHPでよくお見かけする人たちが次々といらっしゃって、お土産やら楽屋見舞いをたくさん頂戴した。恐縮! 懐かしい。嬉しい。楽しい。
この人たちの前で無様な落語は出来へんよな〜。考えてみたら「おごろもち盗人」の方はここ1週間、全然練習してなかった。大丈夫やろか。。。
さて、勘遊・直角さん達の2番太鼓が鳴っていよいよ開演。

勘々さんの開口は「つる」。彼の落語は何度か拝聴しどんな雰囲気は知っていたが、今回の勘々さんはちと違った。
いつもの独特のワールドは影を潜めて、彼にしてはかなり大人しめのネタ運び。しかし随分と喋り込んだのであろう、しっかりとした語り口はいつもと違うて安定感がある。ワタシの出番前には会場も暖まっており、実に結構な開口一番であったと思う。

さあ、緊張の1席目。
「南遊亭栄歌」の自己紹介から入るお馴染みのネタではあるが、最初からよく笑って下さった。雰囲気を作ってくれた勘々さんのお陰?はたまた博多・小倉の暖かく迎えて下さった皆様のお陰?
まだ完全には自分のモノにはなっていない「おごろもち盗人」ではあったが、今までと違ってそう大きく後悔しなくて済むまずまずの出来栄えとなった。さらには、まだまだ模索段階のキャラ設定に、大きく前進するような新しい発見もあった。(←企業ヒ・ミ・ツ♪)
こうやって大きな落語会を経験することによって、ネタは円熟していくねんな〜。それにしても、お客様に助けられての高座であったことには間違いない。

さて、我らが酔書さん登場!
途端に空気が変わる。『酔書色』(?)っちゅうんかいな。酔書さんが出てきただけで伝わる安心感。会場の空気を掌で転がすような、そんなフレキシブルで自由な酔書ワールドに惚れて今回の二人会を申し出たワケやけど、舞台袖で拝見するとその大きさがヒシヒシと伝わってくる。
ワタシはツケの木を握り締め(「七段目」の下座担当でもある)、緊張で手を震わせながら拝見したが、酔書さんも今回はちょっと緊張気味?マクラもいつもよりは少し硬かったし、ネタの途中で1回上下(かみしも)を間違えはった。本人はあとでクヨクヨと後悔をしてはったが、どうしてどうして。そんな小さいことは関係ないくらい、今回はスケールの大きな「七段目」やった。

仲入りを挟んで再度酔書さんに出て貰う。
本当ならこの「勘定板」とその後の紙切りをゆっくり楽しませて貰うトコであったが、何せ「船弁慶」の重圧が重く圧し掛かってきて、拝聴するどころやない。楽屋でひたすらブツブツやっていた。
ワタシが出て行く頃には会場の空気は前半から更に解れてとても演りよい雰囲気に。この食い付きの一席が如何に威力を発したかが伺える。オチも工夫されていたみたいやし、その後も紙切りでは子供さんを上手にコントロールしてはった。内浜から新居浜の落語ツアーと何度も酔書さんの高座を拝見してきたが、ご一緒させて頂けば頂く程にこの人の大きさを思い知らされる。

本日最後のネタ「船弁慶」。
大きなネタを演らして貰うだけでなく、しっかりとマクラも許された。自前のマクラでご機嫌伺い。酔書さんの後だけに雰囲気はグニャグニャ、何処を押しても「笑いボタン」状態には助かった。
ネタは枝雀師がベース、エエも悪いも枝雀色。よく笑って頂けても、それは枝雀ワールド。そんな風に自虐してはいたが、終わってからは結構エエ評価を頂いた。自分自身もこんなに気持ちのよい「船弁慶」は生まれて初めて。
そのほとんどは日本中に誇ってもエエ、『小きぬ社中』の素晴らしい下座の賜物であった。ワタシごときの落語のために前日から泊り込みで打ち合わせ・練習会にお付き合い下さり、そしてあんなにピタッとはまるお囃子をして頂いた。その小きぬ社中の後押しのお陰での「船弁慶」やったのである。
聴きたいと仰る方は栄歌まで。ストリーミングでご覧になることも出来ます。

まあ、とにかくワタシの中では歴史に残る、素晴らしい相方・素晴らしいお囃子に支えられての最高の落語会やったことは確か!
  
「つる」粗忽家勘々/「おごろもち盗人」南遊亭栄歌/「七段目」粗忽家酔書/〜仲入り〜/「勘定板」酔書/「船弁慶」栄歌
No.305   2005年10月24日 (月) 17時24分


 小きぬ邸集中合宿中        
玄やんが居てたから天神寄席の打ち上げには参加したが、翌日の会を理由にあらかじめ「お酒は控えて中座しますから」…と根回ししていた。
ところがやはりなつかしの内浜の面々を前にしてなんでシラフで居られましょうか!
勘遊さんとの笛談議、酔書さんや小きぬさんとの落語談議、そして勘珍・勘タン・勘々各諸兄たちとの語らいの楽しさに、気が付くともう明日の分までも飲んでしまって、ワタシは壊れる寸前。
ちょうど食べ放題・飲み放題の90分が過ぎて、辛うじてセーフ。アブナイとこでした。

ワタシと小きぬ社中は河岸を変えて小きぬ宅で集中合宿と相成った。
ところがなんと「プリティ・かんな」が付いてくるではあるまいか!
小きぬ・酔書・栄歌のスリー・アミーゴスにくわえてビューティ勘遊、オトコ4人の中に丸腰で飛び込もうというのか。なんとも勇気のある行動ではないか。

買出しを済ませて小きぬ邸に着いた頃にはもう12時は回っていたと思う。(はっきり云うてあんまし覚えてない。。。)
小きぬさんの部屋イッパイの落語・歌舞伎ライブラリーを見せて貰うてから、ビデオで明日やる七段目の歌舞伎の部分をみんなで見ながらまた一杯。この人たちといてると時間があっと云う間に過ぎていく。午前3時を回ったところでお先にお風呂を頂戴し、午前4時頃に「もう明日に響くから」と酔書さんが帰り、残りの4人もそれぞれが床に就いた。
さあ、その後が寝られへん。この頃になると酔いが醒めてきて、そうなると枕が替わったコトで目がさえて、明日の緊張やら何やらでちょっとまどろんではすぐにめが覚るの繰り返し。
午前7時過ぎに思い切って「えいっ」と布団を跳ね上げた。
アタマはボーっとしてるが、これ以上は興奮して寝てられへん。起き出して座布団に座ると『船弁慶』を繰りだした。その物音を聞いてかオシッコしたさか、小きぬさんが起きて来た。トイレを済ますとそのまま台所で鼻歌を歌いながら味噌汁を作り出した。ヌカ床には茄子が漬けてあって、小きぬさんってまあホンマにマメなこと。
みんな起きた所で朝食タイム。お味噌汁・干物の焼いたの・茄子の漬物と主婦顔負けの朝ごはん。
約束の9時半を大幅に遅刻して酔書さん登場。特別ゲストかんなを前に酔書さんとワタシが交代で今日の落語を披露。それに合わせて小きぬさんが三味線・勘遊さんが笛を吹く。酔書さんが「七段目」を演る時はワタシが太鼓・ツケをやって、反対に「船弁慶」の時は酔書さんが太鼓。
酔書さんは「なんとかなりますよ」とは言ってくれるが、ワタシはどうしても「七段目」のツケをタイミングよく叩けない。ワタシがコケたら酔書さんの落語がワヤになる。プレッシャーでさらにキッカケをはずしてしまう。何度も「もう1回!」とリクエストしてやって貰う。はてさて、どっちの練習やら。。。
ワタシの「船弁慶」にも付き合って頂く。ワタシの想い、小きぬさんの感性、そして聞き手の印象、これらをなるべくひとつにするべく、何度も何度も練習した。このお陰でセリフ練習にもなったし、ハメモノに対する緊張も和らいで、ええ暖機運転となった。
ホントはまだまだ時間が欲しかったが、会場へ向かう時間となったため、あと1回は会場で合わそうと示しあわせ、荷物を車に詰め込んだ。

しかし、ハメモノ合わせにこんなに時間を割いて頂いたのは落語人生で初めてのコト。小きぬ社中の素晴らしさを改めて体感した。

楽笑亭小きぬ、粗忽家酔書、粗忽家勘遊、南遊亭栄歌、【特別ゲスト】春香亭かんな
No.304   2005年10月24日 (月) 17時20分


 『第27回 天神寄席』 見聞! 10/8(土)        
新幹線で博多に着く頃、勘々クンからメールが届いた。地下鉄に乗って天神まで着て欲しい…と。重たい荷物を引きずって天神に到着すると程なく勘々クンと先に到着した玄やんが迎えに来てくれた。
そのまま歩いて酔書さん達のいる「ぽんプラザホール」に直行。今日は此処で『博多・さん喬を聴く会』が行われていて、酔書・小きぬ・勘遊のお三方は下座をつとめてらっしゃる。明日我々が此処で二人会をやるワケで、その下見を兼ねて福岡到着のご挨拶をと考えたワケである。
しかし返ってご迷惑であったか。。。酔書さんたちは裏方からわざわざホールまで出てきて下さって、そこでしばし歓談。玄やんたちはこの後「天神寄席」出演の準備のため一足先に「福岡国際ホール」に向かった。ワタシひとりだけホールに居てるのは寂しいので、酔書さんに頼んで下座方へ潜り込ませて頂いた。ラッキ〜♪
さん喬師匠はトリネタで「柳田角之進」を演ってはる。すごい迫力。。。せっかく中に入れたのに、会場の下見も忘れ、しばしこの噺に聴き入る。声を押し殺し聞き耳を立てねば聞こえないくらいの大きさなのに、高座に唾が飛び散っている。これがプロの発声なのか。ちょっと感動を覚え、同時に明日ここでコレだけの迫力のある高座が演れるのだろうか…と少し不安を感じた。

会が少し押したので大急ぎで玄やんたちの居る「福岡国際ホール」に駆けつけた。勘珍さん・勘タンさん・直角さん…大勢の懐かしい顔がそこにあり、ホッとした気分になる。
そして勘朝さん登場。満面の笑みでご挨拶頂いたが声が全然出てはらへん。なんでも声帯ポリープとかで、今日は休演。勘珍さんが急遽代演と相成った。勘朝さんの落語を聞かして貰えへんのはなんとも残念なことである。ロクにお話も出来ないまま開演の時間となった。
下座を勉強させて貰うつもりやったけど、今日は客入りがいつもより少ないので、2席目からお客さんに回りじっくりと聴かせて貰うた。

勘楽さんの「悋気…」。丁寧にセリフを追っている姿は見ていて気持ちがエエ。そして玄やん。アガッている。せやから早口になる。特にくすぐりでは喋り急いでしまう。いつものアンタの面白さ、福岡のお客さんや内浜の皆さんには伝わったやろか。勘珍さんは相変わらず上手い。落ち着いて貫禄がある。さすが勘朝さんが手塩にかけて育てられたお弟子さんや。お客さんは勘朝さん不在もコレで満足出来たのではあるまいか。直角さんも貫禄の高座。「禁酒番屋」のドコが面白いかをよく知ってみえる。少な目の会場が大いに笑いで揺れた。

エエ落語会やったな。商店街寄席も素敵やけど、こちらの会も魅力的。またワタシも出して頂きたいな。そんなコトを想い巡らしながら…さあ、いよいよ明日はワタシ達の番や。
気合いを入れながら、その日の打ち上げはシコタマ飲んだ。翌日に備えて控える予定やったが、気が付いたら翌日の分まで飲んでしもた。
フニャ〜〜、明日は大丈夫やろか。。。 
    
「狸賽」粗忽家勘タン/「悋気の独楽」粗忽家勘楽/「源太と兄貴」隣乃玄張/「金明竹」粗忽家勘珍/「禁酒番屋」粗忽家直角
No.303   2005年10月19日 (水) 17時31分


 第1回 百合苑寄席 9/25(日)        
津市の駅前にある産婦人科、そこにデイ・サービスセンターが出来た。そこを使っての落語会のオファーが我が寝床の会に舞い込んできた。
寝床の会は今結構忙しく、定期公演が飽和状態。宣伝の為の広告塔なら気乗りはしないと云う声もあったが、詳しく聞いてみると対象となるお客さんは地域の住民で決してお年寄り対象ではないとのこと。そこの医院の奥様はサウスロードにも行かれたコトがあって、河崎蔵くら寄席の関係者ともお知り合いとか。さらには出来たら定期公演の場として提供したいとの申し出。
我々の原点とも言える「地域に落語で笑いを」が相通じているではないか。と云うことで即お受けすることにした。

当日は会場ほぼ8割を埋め尽くす客入りで、旗揚げ公演としては上出来。高座は衆朝さん特製の携帯高座。尼崎から玄やんも駆けつけてくれて5人フルメンバーでの落語会と相成った。
まずは衆朝さんの掴み。初めてのお客さんを落語ムードに持っていくのは、我がメンバー多しと云えども(5人しかおらへんのに、どこがやねん!?)この人の右に出る人はない。
ええ雰囲気が出来上がったところでワタシの出番。会全体を見るために浅いところで出させて貰うた。得意ネタで大爆笑!…と行きたいトコやったけど、ちょっと押し殺し気味の笑いの空気。う〜ん難しいねぇ。最高潮で玄やんに渡すつもりやったけどごめんね〜。玄やん、後は任せたでぇ。
玄やんの「延陽伯」は誠に結構でした。オチも分かりやすいように変えてあり、お客さんの反応もよかった。今回のメインは玄やんと欠多利さん。まず50点はゲット。
途中で駆けつけた会長は彼の中では今一番旬の「鶴の恩返し」。機関銃のような小咄の連打に加えてお客さんとのやり取り。お客さんを完全聞き手姿勢から参加姿勢に変えるこのテクニックは、我がメンバー多しと云えども(←もうエエっちゅうねん!)会長を置いてないねぇ。
そして欠多利さん。玄やんが入会してから一番好影響を受けた人と違うかな。練習量も増えたのやろう、最近安定感が出てきた。せやから今回は是非ともトリを取って貰いたかった。エエ雰囲気で大喜利につなぎ、大喜利ではウチの中ではやはり確実な出し物を披露した。

終わってから、席亭である奥さんから次の公演についての申し出。津・寝床の会と地理的にも近いから、バッティングしないようにと3月・9月くらいにと決定した。
第1回はエエ手応えやったから続いてくれるとエエねぇ。 

「平林」にうぎに家衆朝/「お忘れ物承り所」南遊亭栄歌/「延陽伯」隣乃玄張/〜仲入り〜/「小咄『鶴の恩返し』」切磋亭琢磨/「青菜」噴駄理亭欠多利/〜大喜利〜(珍・漢和辞典「草かんむり」、謎賭け「台風」「月見」、ご長寿の数え歌)
No.301   2005年09月27日 (火) 08時59分


 第32回 全日本社会人落語選手権東京大会 9/23(祝)        
今回は前年度の優勝カップを返しに行くだけのオープン参加とあって、とっても気楽。緊張も気負いもない。
今年のテーマは下座の勉強。今練習中の笛を出来たら吹かせて貰うて、あかなんだら側で聞かせて貰うことだけはお願いしよう。それに昨年の選手権でお会いした皆さんとも1年ぶりで、さらには四国でお会いした珍歌さんも刺激を受けて参戦宣言があったので打ち上げがとっても楽しみ。
そんな軽〜い気持ちで当日を迎えた。
音合わせがあるとアカンと思うて朝早い目に家を出て、開演の1時間前には会場に到着した。ところがみんな雑談とプログラムの確認をしているだけで音合わせはない。ちょっとがっかり。
それでも百圓さんにお願いして半分は笛を吹かせて貰うことになった。ラッキー!
一人一人のコメントは今回は控えさせて貰うとして、全体には今年のレベルは結構高かったと思う。例年のベテラン勢が勢ぞろいの上に初戦参加の面々もなかなかのツワモノ。よかった〜、オープン参加で。
中でも開口を引き受けて下さった百圓さんの語りはプロ並み。それに続く扇生さんも相変わらず上手い。ただ3席目までお客さんの入りが今ひとつなのはとても残念!3席目のるぱんさんは少ない客席を揺らした。この人は上手いという言葉よりお客さんの喜ばせ方が上手という言葉の方が向いているか。聞いていても絶対的に面白い。初心者も聞き込んだ人ももしかしたらプロが聞いても笑ってしまうかも知れへん。
珍歌さんの寿限無改作版も好評やった。そして今年の優勝者は吉遊さんの「素人義太夫」。勢いもあり愛嬌もある語りが評価されたのかも。みなさんお目当ての2位の松茸をてにしたのはベテラン倍蔵さんの「京都議定書」。この方の喋りもプロ並みで落ち着きがある。
ワタシの「手水廻し」は大阪の選手権と時よりも出来は良かった。笑いもたくさん頂戴して、気持ちよく演れた。
ただ、お囃子の笛の方は、どれひとつ満足に吹けへんかった。トチッたり、リズムを崩したり、プロ(三味線・太鼓)の足をかなり引っ張った。まだまだ勉強不足やなぁ〜。
打ち上げは応援を兼ねてお客として来て下さった楽語の会東海支部のメンバーかね平さんも参加して下さり、彼のお陰で我々のテーブルは大盛り上がりやった。参加してくださったお客さんの中にはワタシを熱烈に支援して下さる方たちも沢山居てはって、来年はなんのプライオリティもないけど是非参加したいなぁと思った。
 
「新聞記事」橘ノ百圓/「がまの油」柳花楼扇生/「真心サービスおじんタクシー」河内家るぱん/「大工調べ」湯好家三助/「皿屋敷」新宮亭当り目/「紙入れ」鹿鳴家ふじ美/〜仲入り〜/「日光寿限無」火災亭珍歌/「高津の富」久寿里菊之助/「素人義太夫」鹿鳴家吉遊/「猫と金魚」酔水亭珍太/「京都議定書」社繁亭倍蔵/「手水廻し」南遊亭栄歌/★特別出演 三遊亭圓龍★
No.300   2005年09月24日 (土) 17時00分


 「第33回 『楽』で落語を聴く会」 9/19(祝)        
夢さんから嬉しいオファー。寝床の会さんの大喜利をやって欲しいとの話。せっかく5人来るのなら前半3席を寝床の会さんにつとめて貰いたい…とも。つまりは「寝床の会で3席⇒仲入りの後夢輔・無眠で『真景累ケ渕』のリレー⇒寝床の会で大喜利」の3部構成。
寝床の会を『楽』でやれる、しかも大喜利まで。愛知のお客様に三重のメンバーを紹介できる。そして夢・無の怪談モノ。3つの大きな目玉を前にして嬉しさに打ち震えた。寝床の会と楽語の会、両方に所属しているワタシが両方の会の橋渡しになれる、その事も凄く光栄なことに思えた。

まず長丁場になることは見えていた。なんとしても2時間20分までで納めたかった。聞けば夢さんたちは2人で50分と言うことやった。「前半は2席の方がエエのと違うやろか」夢さんに提案したが、出来たら3席でとのことであった。玄やん15分、栄歌20分、琢磨25分の1時間で仲入り10分を取ったら大喜利前までで2時間、これはいけるかな…と希望が出てきた。

メンバーに時間厳守を通達した。このことが結局芸を縮み込ませる結果となった。玄やんは初めての『楽』で落語を聴く会、マクラから緊張で上滑り。結局彼の本来の魅力は充分出せず仕舞いやったのと違うか。ワタシはワタシで、マクラで失敗(ネタの選定ミス)、そのまま入った本ネタでも早口の空回り気味。前回のサウスロードでのバカウケはマグレやったかも知れへん。不甲斐ない出来やった。会長も泣かず飛ばず。3人が3人とも持ち味を出すことが出来へん結果となった。
もしかしたら、やはり前半は2席、あるいは栄歌が1番手をつとめるべきやったかも知れへん。

後半の怪談2席は見応え充分やった。無眠さんの部は音響・照明効果も相まって本当に鬼気迫るような見事な『宗悦殺し』となった。夢さんの方は笑いあり迫力あり、滑舌も毎度の事ながら素晴らしく、女性表現も素敵、本当に2度と聴くことが出来へんと言うような素晴らしい2席やった。ただ夢さん1席で1時間近くかかり、予想をはるかに超える長丁場の会となった。

大喜利はもうよしましょうか……。衆朝さんと相談して夢さんに判断をあおいだ。ここまでで2時間40分。どう考えても、お客さんは憔悴しきってはるに違いないで。それにこの2席で終わっても大満足やろ。
夢さんは5時になっても結構ですから、是非たっぷりやって下さい、と云った。時間のマイナスポイントよりお客さんを解して帰して上げたいとの夢さんの思いやろか。
お言葉に甘えて、打ち合わせのプログラム通りカット無しでやらせて貰うた。
それぞれの仁をアピールし、それぞれの役回りに徹し、その範囲内で思いっきり高座の上で暴れた。初めての5人リレーもなんとかこなし、大笑いで打ち出しとなった。最後の『楽』の数え歌は絶品のモノとなった。今回限りのネタとはなんとももったいない作品である。

長かったけど、これでよかったんや。5時回ったけど演者もお客さんも満足、そう言うてエエ会やったと思うで。
 
「十徳」隣乃玄張/「めざせ甲子園」南遊亭栄歌/「打飼盗人」切磋亭琢磨/〜仲入り〜/(三遊亭圓朝作『真景累ケ渕』より)「豊志賀の死」若鯱亭夢輔/(同)「宗悦殺し」竜宮亭無眠/〜大喜利〜(たぬきの桃太郎、謎掛け「愛・地球博」「小泉流・刺客」「さんま」、『楽』の数え歌)
No.299   2005年09月21日 (水) 12時00分


 「第32回 高槻市民寄席」 9/18(日)        
これで3回目の高槻訪問になる。前回お誘い頂いたのははたしか去年の4月やったから1年半振りということか。本当に久しぶり。
行きの道中で2つ程トラブルがあり(「栄歌のひとりごと」参照)、結局「じゅげむ」さんに手土産を買う時間がなかったのがちょっと悔やまれる。

ワタシにとって初めての会場である「高槻市立生涯学習センター」に予定より少し遅れて到着すると、既に会場作りはほぼ終わっており代表の司之助さんが出迎えてくれた。会場や楽屋を案内して貰い、ちょっと一息。もう9月も後半というのにまだまだ暑い。じっとしていても汗がじんわりとにじみ出てくる。

初めてお会いする志ん友さんや志まねさんとご挨拶。志ん友さんはあらかじめHPで拝見していた通り気さくで話し上手といった感じ。志まねさんはどことなく貫禄があり何かしらオーラを感じる。哀楽さんとイメージがちょっとかぶるか…。
お会いするのはこれで2度目になるめぞんさんが開演までずっとワタシのお相手して下さった。なかなか社交的で楽しいキャラやけど、出番までに少しマクラの整理をしたかったというのが正直なところ。

相変わらずの集客力で100人を越えるお客さんの中で開演。(最終的には166人やったそうな。スゲェ〜!)
哀楽さんは一番手で「めざせ甲子園」。笑福亭仁智さん作のネタで「大安売り」の野球版。ネタ自体も面白いのではあるが、哀楽さんがキッチリと演ってはるので会場のウケはバッチリ。明日『楽』でこのネタを演らして貰うので許可を貰って録音させて頂いた。
くじらさんの「宿屋町」。落語博士らしいネタ選び。この頃から楽屋でマクラの整理に入ったのでしっかり聞かせて貰うことは出来なかった。
司之助さんの「宿替え」も終いの方だけしか拝聴しなかったが、楽屋にも大きな笑い声がずっと響いていたからかなりのウケやったに違いない。
いよいよワタシの出番。やはりマクラで中だるみ。もう少し刈り込まなアカンなぁ。ネタに入ってからもそこそこのウケやったが、いまだ手探り状態の「えらいすんまへん」が今回は結構キマっていたかも知れへん。嫁はんのキャラは前より良くなっていたと思う。盗人のキャラ設定にイマイチ不安感を覚えた。まだまだ改良の余地は大いにあり…やなぁ。
めぞんさんの落語は「不思議」そのもの。彼独特のワールドを持っている。既存の落語を自分流に改作するという前向きの姿勢は評価に値すると思う。こうやって自分のポジションを確立していって欲しいと思うた。
志まねさんは高座に上がっても貫禄を感じさせられた。今のメンバーの中では貴重な本格派江戸落語。もっと他のネタも聴いてみたいと感じながら拝聴した。

打ち上げはいつものミュージアムで酒盛り。
途中から応援に駆けつけてくれた玄やんも加わって大盛り上がり。めぞんさんと玄やんで笑いをつくり哀楽さんと栄歌のツッコミでそれを膨張させるといったパターン。このメンバーが居てたら何時間でも持つやろうと思われた。
志ん友さんとも少しお話したが、以前からワタシのことを知っていて下さったとのことで、これまた光栄な話。これからは反対に高槻・神戸での活躍を拝見させて頂こうと思う。
終電が気になったので少し早い目に失礼したが、エレベータの前まで全員がお見送りをして下さって本当に恐縮。
ありがとうございました。またお邪魔させて下さいネ。
  
「めざせ甲子園」喜怒家哀楽/「宿屋町」潮吹亭くじら/「宿替え」寿亭司之助/「おごろもち盗人」南遊亭栄歌/〜仲入り〜/「アイスクリーム怖い」花乃家めぞん/「金明竹」三流亭志まね
No.298   2005年09月21日 (水) 11時49分


 第6回 ソフィアン寄席 9/10(土)        
本当に砂九さんは色んなコトを考えてくれる。
ある時「栄歌さん、9月のソフィアンは『船弁慶』を演って貰えますか」と言われた。う〜ん喫茶店でハメモノ入りの大ネタかぁ。。。ちょっとキビシイけどソフィアンならそれもありかな…そう考えて「ほな、トリで演らして貰えるんですね」と言うと「いえ、トリは無眠さんの『らくだ』です」。それを聞いてワタシはぶっ飛んだ。
聞けばトリネタ3題、楽語の会の看板が3人揃うんやったら(←自分で書くのも「おいど」がこそばいケド)、いっそ大ネタだけで構成してみようか、との企画らしい。
完全に通と自己満足のためだけのムチャやね〜。

無眠さんは例によってたった一晩で『船弁慶』のハメモノ「縁かいな」「負けない節」「八島」をCDに焼いてきてくれた。
それを使うて綿密なリハーサル。タイミングと音量を確認し終えた頃にお客さんが続々と詰め掛けて下さった。今日のこのお客さんは終演後にはどんな顔をして帰らはるのやら。。。

開口(というのやろか…)は砂九さんの『高津の富』。このネタ、ワタシも持っているけど35分の大ネタやで。会場を暖めるという意味もあってしっかりマクラを振る。こらぁ45分を越えるなぁ。。。
本来ならのっけの宿屋に泊まりに来た客がさんざん大きなコトを言い如何に金持ちかを宿屋の亭主にアピールするくだり、どっかんどっかんと笑いが来るところやけど、やはり客の食い付きはちと重たい。やっぱり無理なんとちゃうのん、この企画。。。ところが当たった富くじを確認するあたりになるとお客さんは大喜び。やはりソフィアンのお客さんはしっかり聴いてくれてたんやなあ。ちょっと安心した。それにしても砂九さんの引っ張るチカラもスゴイ。
さて開口一番の後は仲トリの『船弁慶』(ンなアホな…)。
例によって夏のマクラ。夏のマクラは3バージョン作ってあるけど、中でもこの風鈴のネタはお気に入り。今年壊れたクーラーの話(←実話)を盛り込んで仕上げた今日のネタはどうやらお客さんの笑いのツボをついたようや。この勢いで本ネタに入る。
雷のお松っつぁんの早口は若い頃ならいざしらず、今のこの年にはちとキツイ。滑舌のあやしい部分もあったけど、とにかく喜んで貰うた。無眠さんのCDのキッカケもバッチリ。ありがとうね〜。太鼓がないので舟の上や水音、そして最後の「弁慶と智盛の祈り」の所はちびっと物足りなかったけど贅沢はいえへん。喫茶店やもんね〜。喫茶店での『船弁慶』としては最高のモノやったと思うけど、どう?
ここでしっかり仲入りをとる。時計をみたら『高津の富』55分のあと『船弁慶』43分も演ったった。他の会やったらこの仲入りでお客さんが帰るところやね。誰一人出口に向かう方はなく、ひとまずホッ!
さあ、後半はウチのリーダーの登場。
「お客さんは大変でしょうが我々は自分の落語だけ。楽勝やと思ってたら楽屋がないのでみなさんとイッショに前の2席をしっかり聴かされて、その後での落語はひょっとしたら私が一番大変なのとは違うでしょうか」。無眠さんらしいマクラでお客さんの心を掴む。
ネタに入った無眠さんの迫力はスゴイ。最近は落語の中で演者無眠が消えて見える。これはもう名人の域にはいってるのでは…!?
オチまでしっかり聴かせて貰うて、実はお客さんよりワタシの方が大満足。
いつぞや神戸で「無眠・当り目二人会」の時この『らくだ』を演って好評やったと聞いた。その時はイメージ出来へんかったけど、この『らくだ』ならなるほど!と頷ける。
汗だくで無眠さんが降りてきた時には、開演からなんとキッチリ3時間が経過していた。みなさん、お疲れさぁ〜ん!
そしてバレ太鼓で送り出す我々にお客さんの笑顔がとても印象的やった。エエ会やったんやな、我々も、お客さんも。
ソフィアン最高!今日のお客さん最高!そして今日の演者最高!!

「高津の富」浪漫亭砂九/「船弁慶」南遊亭栄歌/〜仲入り〜/「らくだ」竜宮亭無眠
No.297   2005年09月11日 (日) 11時39分


 徳圓寺落語会 9/4(日)        
夢さんの個人的な落語会。共演者にワタシを指名して下さった。光栄や。
かもめさんは現地で合流とのことで、『楽』から会場まで夢さんと二人っきり。
夢さんはどうか知らんけど、夢さんとツーショットはちょっと緊張してしまう。学生時代に先輩でスゴイ人が居ててん。「喜ぃさん」と呼ばれる人でネタを150くらい持っている医学部の先輩。落研時代と社会人になってからと、ホンマに長いお付き合いやったけど、その先輩の前ではイツになってもムチャクチャ緊張した。その人以来かな、落語で長い付き合いやのにイッショに居てると緊張する人は。
他愛もない話から入って、今日の会のコトを聞いてみた。
場所と開演時間は決まっているけど、お客さんの数やら落語の時間はハッキリしていないと言う。向こうへ着いてから確認するとのこと。「持ち時間は僕が調節するから栄歌さんは最低25分でたっぷり演って下さい。」とのこと。これが夢さんのスタイルか。
現地着。お寺はこぢんまりしているが、なかなか風情のある佇まいで、中に入ると向かえて下さった和尚さんや奥様はとてもアットホームな方達。
会場を見せて貰うて多少アレンジをしてからネタの打ち合わせ。やはり和尚さんは1時間で、と言う。夢さん、かもめさんとワタシの3人でワタシが25分も演ってしまったらバランス的にマズイのとちゃうやろか。あわててマクラの部分をちょっと修正した。
雨が降ってきたので少し早い目に開演してくれないだろうか、との和尚の申し出。夢さんは快く返事をすると、10分早く上がっていった。
当然お客さんが次々と入ってきてざわつく。その中で一人ずつ一人ずつ引き込みながら笑いを取っていく。そんなざわつく中で型くずれせずキッチリ15分で降りてきたところはさすが夢さんや!
かもめさんは美貌とエグイ名古屋弁がミスマッチで、とても魅力的な落語。ご当地稲沢出身ということもあって、お客さんはすぐに彼女を受け入れてくれて会場は暖かい空気で包まれた。本当にナンセンスなネタ、ワタシも入り口のところで結構笑わせて貰うた。
さて、緊張の中で登場。高座はお寺独特の講壇。小さくて気が付くと見台がない。それもそのはず、夢さんの受ける落語会やから見台は必要ないワケや。名ビラも無く、少し動揺して用意していた自己紹介のマクラはちょっとバタついた。ネタに入ってからはいつもの自分を取り戻し、予定通り23分くらいで高座を降りた。
自分的には、あのオープンスペースにしてはかなり笑いを取ったつもり。そこそこ満足も得心もしていたのに、会のあとの食事で夢さんが「今日の一番はかもめさんだね」と言った。間接的に言うと栄歌の落語は期待以下と言うこと?
最初に「25分以上たっぷり演って下さい。今日のメインは栄歌さんですから」と車の中で言われたのにその期待を裏切ったのかな…と、ちょっとだけブルーになった。本当の所を問い質したいとこやけど、夢さんの前で出てくる微妙な緊張がそれを邪魔した。
今日の録音ちゃんと撮れてるかな。帰ったら聴いてみて反省しよっと。

「生徒の作文」若鯱亭夢輔/「しゃっくり止まらん」若井家かもめ/「餅屋問答」南遊亭栄歌
No.296   2005年09月07日 (水) 16時17分


 第105回 サウスロード落語ライブ 9/3(土)        
会場へ着くと店内の机が全部テラスに出してある。
サウスロードのマスター曰く「今日は30人を確実に越えるから店内は椅子だけで行こうと思います」。
サウスロードにそないぎょうさん入る光景は想像でけへんかったけど、衆朝さんのもって来てくれた「携帯用特設高座」を設置する。作業はちょっと手間やけど、サウスから敬和まで会場の大きさに合うた高座が自在に作れる。オマケにガタツキもなく頑丈なのが嬉しい。
会長の到着時間が怪しかったので、それぞれに持ち時間をキッチリ設定。9時過ぎに会長の「饅こわ」が出来るようにプログラムを組んだ。

さて開演。会場を覗いて見るとなんとホンマに35人以上入って満員御礼!あとでしっかり数えたら38人やった。新記録!
玄やんは気負ったのか時間オーバー。開口でのマクラもちょっと堅い目。頑張れ、新人!
ワタシはネタおろしの仁智さんの噺。まだ充分熟成していないシロモノやったけど、ホンマによう笑うて貰った。これはテクニックとか話術とかではなく純粋にこのネタの持っている爆発力。自分のチカラの賜物ではないのやけど、それでもウケれば嬉しい。ええ気分で高座を降りた。衆朝さんが「マクラを10分以上演っていたで」と言うてはったけど、ワタシは規定の25分キッチリ持たせただけやからね。
衆朝さんはこれまたネタおろしの「短命」。衆朝さんらしい味が出ていてそれはそれで面白かったのやけど、かなり時間オーバー。しっかり自分のものになっていないと時間の計算もアバウトになるねぇ。でも面白かったよ。
会長の「饅こわ」はこれまで何度も聴いているケド、今日の出来はその中でも結構悪い方やったのと違う?登場人物の演じ分けも不鮮明やし怪談は冗長やし反対に笑わせるクダリは早口になって上滑りしているし、持ち時間は間延びしてオーバーするし。。。
結局大喜利の時間がなくなり、それでもせっかくのお楽しみやからとプログラムを詰めて無理からやってもうた。
玄やんを入れての新しいパターンのリレー噺。最低限のお約束をなぞるのが精一杯で、高座の上でみんなの遊び心がなかったため笑いのトーンもいつもより低かったのと違うやろか。
次回、頑張りまっしょい!

「ろくろ首」隣乃玄張/「めざせ甲子園」南遊亭栄歌/「短命」にうぎに家衆朝/「饅頭怖い」切磋亭琢磨/〜大喜利〜(謎賭け「刺客」、たぬきの「桃太郎」)
No.295   2005年09月07日 (水) 16時13分


 染丸道場「夏のおさらい会」 8/28(日)        
去年の夏にお邪魔したこの「夏のおさらい会」。
三味線のコトは詳しくないケド、寄席囃子に触れられる恰好の機会。三味線も太鼓も笛も、普段の寄席では御簾や衝立の向こうで演奏してはるけど、このおさらい会は全て表舞台に出てやってくれる。間近でみて勉強するのにもってこいなのである。
今年は心斎橋近くの料亭のお座敷を借りての練習発表会とのこと。そしてその後その料亭でお食事会の予定となっている。ワタシはみんなでワイワイやれるやろと即申し込んだのやけど、掲示板やメンバーの連絡網で参加者を募ったにも拘わらず反応はゼロ。
結局ワタシ1人で行くことになり、当日を向かえお食事会はやめとけばよかったか…と後悔は次第に増大するばかり。

さて会場に着くと染丸師匠と卯三郎さんが出迎えて下さった。緊張の瞬間。
一番前列ど真ん中に席を陣取る。(結局大入りとなり、さらにその前に座布団が並べられるコトにはなったが…。)プログラムは長唄・端唄から始まって真ん中に寄席囃子、休憩をはさんでおしまいは染雀さんの踊りと染丸師匠の大正はやり唄、それに三味線の合奏、等々。1曲1曲染雀・卯三郎両師が掛け合いで説明をして下さるから素人でもよくわかるシステム。う〜む、これだけでも勉強になる。
曲が始まると去年と同様、ワタシの目は染雀さんの手元に釘付け。曲によるバチの使い分け・叩き分けを見せて貰うて、大変に勉強になった。それに何人かは去年にみて覚えている顔も居てて、その方たちがうんと上手になっているのにも驚かされた。

お食事会は始まるまで気が重たかった。多分取り巻きの男性はワタシだけやろう。浮いてしもたらどないしょう。「なんや、このおっさん。和服女性目当てに来ている単なるスケベオヤジとちゃう?」と思われたらどないしょう。…このまま逃げ出したかった。
ところがもう1人、落語好きの男性が居てはって、この人は英語落語「お福亭」のメンバーさんとわかった。そうなると俄然勇気が出てきてこの人と染丸師匠の間に座らせて貰うた。染雀さんとも言葉を交わせ、お囃子のお話をたくさん聞けたので超ラッキーやった。前に座られた(三味線の)お弟子さんたちも気さくに話をして頂いたので、本当に楽しく食事が出来た。お稽古での話、ネットでの話、色々聞かせて貰うて時間を忘れた。
年明けに冬のおさらい会がある。去年は当直とぶつかって行かれへんかったけど、今度はどないなことしても参加しようと考えながら近鉄特急で大阪を後にした。   
   
……ホンマ、今度こそ、誰か行かへん?
No.294   2005年08月31日 (水) 10時02分


 お食事処『楽』・虎や志さんを囲んで。。。 8/26(金)        
まあメンバーを見て頂いたら分かると思うケド、ウチの会の中ではホンマに『濃い』5人が集まった。それに夢さんも。
夢さんは営業で忙しい中をジョッキを持って参加。チロッと話をしてまた慌ててカウンターへ戻る。ああせわしな〜。
虎や志さんは今回家族サービスで「愛・地球博」を訪れ、家族はタクシーでホテルにぶち込んで自分だけ『楽』へ来てくれた。それって奥さんには逆効果かも。。。聞けば一昨日はディズニーランドで明日はディズニーシーへ行くとか。そして帰った翌日は当直やそうで。もう魂が全部磨り減るほどに尽くすのね。『楽』はその代償と云うワケね。カワイソウ…。
虎や志さんを囲んで、ウチのメンバーはどうしてもこの間の「四国・新居浜での落語会」に興味が集まる。450人以上の集客力は、さすが東海地区最大を誇るアマチュア落語会の面々でも脱帽モノやから。ワタシはその恩恵にあずかった一人やからもう有頂天。そしてまたあの頃の楽しさが蘇えった。
ひとしきり落語の話で盛り上がった後は家族の話、仕事の話、そして此処には書けんような話…。
最後は二階の高座・舞台袖・会場を見てもらうコトに。夢さんのこだわりが随所に織り込まれた『楽』の会場を羨ましそうに眺める虎や志さん。ワタシは改めてこの恵まれた環境に感謝。
『楽』を後にする時、夢さんと虎や志さんは何やら約束事を…。実現するとエエですね♪
虎や志さんと名駅までご一緒し、お互いまた一緒に落語会を持とうと合言葉を交わし別れた。
 
芸の虎や志/竜宮亭無眠/浪漫亭砂九/川の家河太朗/道落亭かね平/南遊亭栄歌/若鯱亭夢輔
No.293   2005年08月31日 (水) 09時59分


 第15回 ぱんとまいむ寄席 8/6(土)        
6月に2回目の出演をさせて貰うことになっていた。楽しみにしていたのに突然の出張でやむなく断念。なんとこの日は大入りでゴザまで敷いての大盛況やったらしいではないか。福岡からこえびさんも来ていたというのに…、悔しい。
たまたま今月空いていたので砂九さんに言うと、出演の許可。玄やんメインの会とのこと。願ってもないこと。

当日お邪魔すると…、名古屋は暑い。暑すぎる。なんや、この暑さは。。。じっとしてても汗が吹き出てくる。開演前、狭い狭い控え室(←実は倉庫)で着替えをする。なんと家庭用のトイレくらいの広さの控え室の中に蚊が10匹ほど飛んでいるではないかっ!パンツ1丁になりながら咬まれへんように動きもって着替えをした。手足をバタバタ、カラダをクネクネしながら、着物を着付け終わった頃にはさらに小一升ほどの汗が吹き出ていた。

そんな笑い話をメンバーとしながら、開演を迎えた。今日の入りは十数名ほど。さすが『ニッパチ』とはよく言うたもので、8月の暑さはお客さんの足を遠のけ、蚊を呼び込むらしい。それでも1年以上続いているここのお客さんはよく聞きなれたモノで、要所要所でよく笑うて下さる。
ワタシの「代脈」はほとんど練習ナシで望んだシロモノ(直前まで別のネタと悩んでいた←見苦しい言い訳やけど)なので、よくリズムや滑舌が滞った。よく笑うて貰うたケド出来はひどかった。出来はひどかったケドよくウケた。…どっちやろ。まあエエわ、どっちにしろエエお客さんや。
玄やんのネタ、「へっつい幽霊」はめずらしい噺でワタシ的には楽しめた。お客さんは途中辛かったかも知れへん。ツライと言うのはネタ的に(←ダレ場がある)。。。玄やんの仁はおもろいと思う。上手いなあ…と芸歴25年以上のワタシや砂九さんを唸らせたかと思うと途端にボロボロになる。ハラハラもんで観ていて飽きん。お前はツヅレサセコオロギか!?(…そんなエエもんとちゃうわ。)
「源太と兄貴」は相変わらずおもろかった。お客さんも大喜び。こういうネタが合うてるのかも知れんねぇ。
砂九さんの「千両みかん」はネタおろしとのこと。それはよく伝わってきた。言葉がまだ熟成しきってへん…って云うの?探している感じ。それでも情景・登場人物の心情の描写は上手いなあと感心させられた。この前、志の輔師匠の「千両みかん」を聴いたばかりやから、その対比がとても興味深かった。
今回もええ会やったな。打ち上げはかね平さんも入って大いに盛り上がった。

「代脈」南遊亭栄歌/「へっつい幽霊」隣乃玄張/〜仲入り〜/「源太と兄貴」(笑福亭仁智作)隣乃玄張/「千両みかん」浪漫亭砂九
No.292   2005年08月15日 (月) 07時44分