着替えをしていたら無眠さんが入ってきた。「今日は栄歌さんネタのマクラは出来へん」と無眠さん。何で?と訊いたら「今日の出演者の数から云ったら時間オーバーは御法度でしょ。20分の持ち時間ではマクラひとつ振るのが精一杯ですワ」
…慌てた。新幹線の中でいくつかネタを仕込んできたけど、そんなん振ってたら持ち時間10分以上超過は必至や!全部カットして(ホンマに引いていた)風邪のマクラだけに絞った。(それでも長かったと思うケド…ね。)
小きぬさん・酔書さんと勘遊さんの奏でる「はやふね」で高座へ上がる。相変わらずお客さんはホットで気持ちがエエ。「ああ、内浜へ帰ってきたんや」としみじみ思うた。マクラはそこそこ爆笑を取って本筋にはいる。ネタに入ったところでリズムを崩した。いきなり言い淀んだ。あれ、調子悪いぞ…と思っているウチにどんどん話は進んでいって、リズムを取り戻すことなく終わってしもた。
よかったんやろか。お客さんは満足してくれはったやろか。不完全燃焼でちょっと悔やまれる高座やった。
他の演者さんはというと(下座に夢中で通しては聴いてなかったケド)、酔書さんの掴みが素晴らしかった。会場の空気を読むのが実に上手い!こういう生きている落語には憧れてしまう。まあ本人は謙遜してはったケド。勘々さんも弾けてた。かなりの爆笑を取って、この後の出番は実に演りにくかった。「勘々ワールドは反則っ」と叫びたい!勘タンさんは楽しそうに演ってはった。このナンセンス・ネタはストーリーだけでも結構笑わせるコトが出来るけど、いかに膨らませて演出するかが演っていてまた楽しい。ネタに振り回される事無く、楽しんではる様やった。
さて我が無眠さんはと言うと、お得意の「マキシム・ド・ゼンザイ」。しばし手を止めて下座で笑い転げた。このネタを演らしたらこの人の右に出るひとは居てへんのとちゃうか?ワタシや小きぬさんの爆笑とは裏腹に客席はほんのちょっとだけ反応が鈍かった。こういうネタがまだお客さんに馴染んでないのかな…と感じた。もちろん出来映えは最高やった。
初めてのナマ漫才「69’s」(ムックス)や、勘米さんの三十石のはめ物も堪能した。
「熊の皮」粗忽家酔書/「胴斬り」粗忽家勘タン/「悲しみにてやんでぇ」粗忽家勘々/「代脈」南遊亭栄歌/〜仲入り〜/「マキシム・ド・ゼンザイ」竜宮亭無眠/漫才 69’s/「三十石」粗忽家勘米
No.143 2003年11月30日 (日)
09時41分