「とにかく会場を暖めて。お客さんを落語モードにして。」ワタシが砂九さんに出した注文。この人は声がエエ。間がエエ。最近「勉強会」と称し落語のネタ「軒付け」を地でいくような個人落語会を開いているため、落語にフレキシブルさを持たせている。もともとお客さんの反応はよかったから、マクラで手のひらの上で転がすようなお客さんの掴み方をして会場の雰囲気を一つにしてくれた。ただ落語としては不十分やった様に思う。ちょっと勿体なかった。
2席目はこの会では初めての江戸落語。プロ・アマで江戸落語を演って貰うなら最初は「この人」とはじめから決めていた。決して押しつけがましくない語りは心地よく耳に入ってくる。流れるような展開の中で笑いを攫っていく。この日のマクラは阪神優勝に因んだネタ。えびす橋から道頓堀にダイブする阪神ファンを揶揄し、溺れて死んだヒトへの悔やみから「家見舞い」。かなり時間をかけて作ったマクラとお見受けした。本当に努力家やと常々思う。アンケートでもお客さんの評判はよかった。初めての江戸落語でこれだけお客さんの心を掴んだ、この人を選んで間違いなかったと思った。
3席目はワタシ。昇太さんをお迎えするということで、自分の中でかなりの「気負い」があったと思う。今までは「餅屋問答」「ちりとてちん」など比較的軽くて笑いの多いネタ選び。今回はアマの主役を圓九さんから譲って貰って自分がやらして貰おうと選んだネタ。しかし仲トリにしては少々大きすぎた。真ん中を削っても41分。会の構成としては失敗か!? でも、エエ落語が出来たと思う。最近、滑舌に悩んでいたけど立て弁も上手くいったしリズムも全体的によかったと思う。マクラも旬でいてネタまでの流れを持たせ、急場でこしらえたマクラにしては上出来やったと思う。このネタを卸して21年目になるけど、これまでで一番エエ「口入屋」が出来たンとちゃうやろか。
No.126 2003年10月19日 (日) 09時21分
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