野依教授 名大に辛口ゲキ (中日新聞2000年11月30日) 「若い研究者は自主性をなくし、家畜化が進んでいる」。 今年の文化勲章受章者で、ノーベル賞候補とも言われる野依良治・名古屋大大学院理学研究科教授(62)が29日、名古屋市千種区の同大で開かれたシンポジウムで講演し、同大の現状について厳しく警鐘を鳴らした。 講演は「名大は明日の競争時代を生き抜けるか」と、題からして刺激的。現状について「根拠のない楽観主義と傍観主義、敗北主義がまん延している」と指摘した。その上で、青森県で飼育されていたサルが、おりを壊されて一度は逃げたもののエサほしさにまた戻ってきたという事例を引き合いに「大学もこれと同じ。若手研究者は自ら生きる力がないのでは」と、名大にありがちなぬるま湯の環境を強烈に皮肉った。 さらに「入試で入ってくる学生の質が悪いのはなぜか。私は名大で30年間やってきて誇りを持っているが『京都に行く方が面白い』と言われるのは、やるせない」と嘆き、今後について、大学院教育を国債水準に引き上げることの必要性を指摘。業績主義から能力主義への転換や教員の任期制の導入などを提案し「若い人があこがれる雰囲気をつくるべきだ」と述べた。 |