ノッチンよりの返信

大阪；２０００年１１月１０日午後８時２９分

　大学院の話ですが。大学院の前期日程（修士課程）での様子は一口には言えません。工学部（大学院は工学専攻といいますが）では１年の間に終了に必要な単にを取ってしまって、２年では修士論文に集中するのが一般的だと思いますが、これも学科や大学、場合によっては研究室や教授次第です。アメリカではもっとばらつきが大きくなると思います。ただアメリカでマスターを取るために必要な単位は所属の学科で開講されている科目だけでは足りないのが普通のようです。つまり土木工学のマスターのコースに入学しても機械や電気や自然科学の分野などの他の分野の講義を受けないと単位は足りないと思います。アメリカでは大学院だけの講義科目というのは少なくて、大抵は学部の高年次（３・４年）用の科目が大学院の単位としても認められるようなシステムになってます。このあたりのことは森下君なら承知しているでしょうが、日本の大学では所属学科の講義だけでほぼ必要な単位は取得できることを伝えてやってください。僕自身はアメリカのやり方のほうが好きです。

　勉強の量は大学院まで来れば日本もアメリカも本人次第ですから比較はできないと思います。ただ、日本の大学院で２年で修士が終わらず、３年かかってしまったという話はほとんど聞きません。たぶんアメリカの方がシビアでしょう。東大や名古屋大には国債コースの大学院があって（と思いますが、今確認できません）、たぶん９月入学が可能だと思います。講義は全て英語でやってると思います。一般の大学院は入学試験にクセのある問題が多いようです。大学では文部省の教育基準なんてひとかけらもないので、大学の先生が教育内容を全て決めてます。だから大学ごとに教育内容は違うわけで、当然それが大学院の入試試験に反映されます。ですから「いくら東大で優秀な成績でも関大の大学院の入試に受かるという保証はありません。前もって関大の院入試の過去問を手に入れて、入試の勉強が必要でしょう。」という話になります。

　森下君が日本の大学の一般の大学院に入りたいのなら、入試試験が９月、４月入学しかないので、また半年はブランクができること。大学院へ入学することと研究室への配属が同時行われるので、入試の段階で研究室の教授or担当教官の了解をもらっている必要があること。この２つは伝えてやってください。また、大学院だけの大学や研究機関もあって、大学とは比較にならないぐらい選択肢が多くなります。担当教授や研究の分野が決められなければ、アメリカから日本の大学院へ来ることはかなり難しい話になります。分野が決まっていて、教授が分からなければアメリカの大学の同じ分野の Professor に相談すればいいでしょう。同じ分野なら研究者の名前やその人の大学名ぐらいは知っていますし、優秀な研究者なら直接連絡が取れる日本の研究者を知っていると思います。

　ここからは全くの個人的意見ですが、アメリカの大学を卒業して、大学院を考えているのなら日本の大学院はいい選択だと思いません。アメリカでもカナダでもＥＵでもオーストラリアでも、自分が一番やりたい分野の最も進んだ研究をしている先生を捜して、そこへ行くのがベストだと思います。たまたまそれが日本の先生なら日本へ「来れば」いいでしょうが、わざわざ「帰ってくる」必要はないと思います。日本へ帰ってくるのは海外へ何年か仕事をして、その間にコンタクトの取れる日本の会社を探すほうが現実的だと思います。アメリカの大学を卒業した以上は、日本のどんな会社に入っても海外を向いた仕事にしか就けないでしょうから、大学だけじゃなく海外での仕事を経験した方が better ですよ。日本の会社もその方が採用しやすいでしょうから。

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