Happy-Twins Day 10
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 ――だからオレは決して『不幸な生まれ』なんかじゃない、と。お前が心配することはないのだ、と。
 雪菜さんために。
「まああ、飛影さんが私と同じ誕生日だったなんて! なんて素敵なことかしら」
「うぬぬぬ、よりによって雪菜さんと同じ誕生日だったとは……!」
「飛影、お前も今日だったのかよ! 蔵馬も早く言ってくれよ」
 飛影の言葉を聞いたみんなは一気に沸き立った。
「え、ええ…………そうなんですよ、だから飛影もお祝いをと思って、連れてきたんですよ」
 とうの飛影本人は、オレの動揺した顔にいたく満足げだ。今更動揺してしまっても仕方がない。これはもう開き直って楽しんだ者勝ちだ。
「こんなめでたい日はそうないぜ! これから毎年この日は宴会に決まりだな!」
「幽助ったら、魔界と人間界は暦が違うから、来年はまた違う日になりますよ」
「いーじゃねえか、カタイこと言わずにこの日で。今日という日は未来永劫雪菜さんの誕生日で記念日なんだよ!」
 瑞々しい苺がたくさん乗った大きなケーキに、ろうそくが一本立てられた。これから一年に一度のこの日、パーティーを開くたびにろうそくは一本ずつ増えていくのだろう。幽助が胸ポケットからライターを取り出すよりも先に飛影が無言でろうそくに火を灯したり、それを雪菜さんが吹き消すとケーキがアイスケーキになってしまったり、飛影がやたら桑原家の飼い猫たちに懐かれて身動きが取れなくなってしまったりと、その日は笑いの絶えない楽しい一日になった。
 この先、桑原くんの言う通り未来永劫、この日を二人が幸せに過ごせますように。
 雪菜さんの幸せが飛影の幸せに、飛影の幸せがオレの幸せに、ずっと繋がっていられますように。
 飛影、お誕生日おめでとう。



おわり




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