Happy-Twins Day 8
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 何枚もの紙に鉛筆を走らせ、時には指折り数え、電卓を叩く。太陽や月の運行に頼らない、全く独自の暦を計算することは、骨の折れる作業だった。それでも、飛影と雪菜さんの誕生日を知るため、そして彼らの生まれた国の文化を吸収するためと思えば、さして苦労とも思わなかった。何とか魔界暦に直すことが出来れば、さらにそれを人間界の暦に直すのは簡単だ。
「……やっと分かった……」
 それは今年でいうと、ちょうど日曜日にあたる日だった。いざ何月何日と具体的な日にち分かってみても、オレにとってはあの、氷女の言葉で綴られた日にちの方が大切なような気がしてならなかった。
 早速桑原家に電話をかけた。受話器の向こうから、雪菜さんの嬉しそうな声に混じって、背後から桑原くんの絶叫声が響いた。
「あの、やっぱり私の歳、分かっちゃいました?」
「いや、それが……」
 氷河の国の暦は一年が三百六十五日よりもずっと長く、彼らの年齢を考えることはもはや無意味のような気がしてやめたのだった。
 さて、次に電話を掛ける相手は躯だ。



 その日がきたら、飛影はどんな顔を見せてくれるのだろうか。いつの間にか、それが待ち遠しくて仕方がない自分に気付く。なんだかんだと言って、具体的な何月何日という日にちは、オレにとって何よりも大切な日なのだ。




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