ムラさん通信 第18号

2002年6月9日

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  ザ・サークルのギター弾き「ムラさん」から、 日頃お世話になっている「みなさん」へのお便りです。 ホーム・ページでは十分に伝えられないザ・サークルの近況や、 文化情報、私の雑感などを、随時お知らせします。
メイルでも配布していますので、必要な方はお知らせください。次回からお送りします。
ご意見、ご感想などは、 Eメール でどうぞ。

 先週末は夏風邪をひいて寝込んでしまいました。
高熱が出る訳でもなく、大したことないでのですが、 何もしたくなくて、心身ともにだるいという状態が1週間続きました。
寝ているそのときに、ラジオで、 年間3万人が自殺とか 「うつ病」の専門家のお話を聞いていたら、 ひょっとしてオレも…、などと考えてたりしましたが、 1週間ですっかり元気になりました。

まず、やりたくなったのは、 そうです、ムラさん通信、です。

 ◇鈴鹿で矢吹紫帆コンサート◇ 

 矢吹紫帆(やぶき・しほ)さんは、 熊野が気に入って、2000年6月に、 熊野市波田須に 海の見える音楽ホール「天女座」 を作って引っ越したという音楽家です。

一度聞きたいと思っていましたが、 この6月15日に鈴鹿の「けやきホール」でコンサートがあります。

 コンサートについては、 http://www.alpha-net.ne.jp/users2/yosioiwa/ を、矢吹紫帆さんについては、 http://www2s.biglobe.ne.jp/~shihorin/ をごらんください。

 私はこの日、OK牧場でステージがあるので行けません。
残念、残念。皆さんは、鈴鹿へどうぞ。
8月には「OK牧場」へも来てくださいね。

 ◇イムジン河、見てきました◇ 

 「近くて遠い国」といわれる韓国、 サッカー・ワールドカップ日韓大会が始まる前にこの目で見ておきたいと思い、 駆け足のツアーに参加しました。
水田に瓦屋根の風景は日本とほとんど同じ。
おなじルーツをもつ国だと、強く感じました。
ツアーの印象は少しずつお話しするとして、 今回はイムジン河を見てきたことをご報告します。

 首都ソウルは韓国でもけっこう北の方にありますが、 ソウルからさらに北に1時間ほど走ったあたりに、 「統一展望台」という施設があります。
そこからは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をまぢかに見ることができます。
韓国と北朝鮮(韓国では北韓といいます)をへだてている川が、 イムジン河(臨津江:りんしんこう)です。

これが、私のみたイムジン河です。

イムジン河
あいにくの曇り空で、はっきり写っていないのですが、 右(つまり東)の方から流れてきている川、 中州が写っている川が、そうです。
手前から左奥に向かって流れているのが、朝鮮半島でも最大級の川、漢江(はんがん)です。
ここで、イムジン河が漢江に合流し、この先で黄海に注ぐのです。
中央の奥に、目と鼻の先に見えるのが北朝鮮です。
臨津江 りんしんこう リムチンカン
朝鮮中部の馬息嶺山脈の頭流山(とうりゆうさん)麓(ろく)から発し、漢江に合流して黄海の江華湾に注ぐ川。
全長254キロ、流域面積8118平方キロ。
(以下略、日本大百科全書から)
漢江 かんこう ハンガン
朝鮮中部の川。全長514.4キロ。
流域面積は2万6279平方キロで、鴨緑江(おうりよくこう)、洛東(らくとう)江に次ぐ第三の河。(中略)
ソウルの中心部を貫流、引き続き北西に向かい、臨津(りんしん)江と合流し、江華島付近で黄海に注ぐ。
(以下略、日本大百科全書から)

 ◇ギターワークショップ、新曲のスタート◇ 

 「陽気に行こう」という曲を教材に、 ギター・ワークショップの新しいシリーズをはじめました。

それぞれの楽器に、いろいろな教則本がありますが、 私の尊敬している教則本に、 「How To Play the 5-string Banjo」 という、ピート・シーガーのバンジョー教則本があります。 (私の持っているのは、1966年発行、高山宏之訳の日本語版)

 実は、日本にブルーグラス音楽が入ってきた黎明期に、 スリー・フィンガー奏法の教則本ではないことに気づかないまま  たくさんの人がこの教則本で学び、 そして挫折したという、ブルーグラス界では悪名の高い教則本でもあるのですが、 音楽に対する著者の考え方がよく出ていて、 楽器のテクだけではなく、音楽そのものを学べるよい教則本です。

 いくつか印象的なところを紹介しますと、
日本語版への序文では、 歌舞伎や浮世絵、 尺八や琴のように日本固有の美しい楽器を忘れてはいませんか、 日本本来のことを大事にして、 あなたらしいバンジョーの弾き方ができるように練習してください、 という意味のメッセージを送っています。

また、バンジョーの弾き方を学ぶ教則本であるにもかかわらず、 「バンジョーを弾かない方が良い場合」 という項目に、数行を費やしています。
赤ん坊を寝かしつけている時などから始まって、 弾かないことが、うまく弾くよりも、音楽的によい場合がある ことを語っています。

 バンジョーの神さま、フォークの神さまの書いたものと比べるのはおこがましいのですが、 私のワーク・ショップも、私のギターや音楽に対する考えや姿勢をお伝えできればと、 そんな気持ちで、少しずつ書いていきたいと思います。

 ◇梅原猛先生続報◇ 

 前々回、梅原大先生の著書 「梅原猛の授業 仏教」を取り上げたところ、
「我々関西人は梅原猛先生を“もーさん”と親しくお呼びしています。」
というお便りをいただきました。

 偉い人のお供で、先生の研究室を訪ねたことが1度だけありますが、 大先生の前で緊張して、お話を一生懸命聞いていただけでした。

 そんな私が言うのも何ですが、 確かに、堅苦しい学問の塔にこもっているのではなく、 いろいろなことに興味をもたれて思索を深め、 幅広くご活躍いただいていることは、 われわれ凡人にも、親しみやすさのようなものを感じさせます。

 先生の活動は多方面にわたってみえますが、 とりわけ劇作家としてのご活躍は、新聞などにもよく取り上げられています。

 スーパー歌舞伎やスーパー狂言の台本を書いてみえるのですが、 宙乗りで有名な(?)市川猿之助一座のスーパー歌舞伎のための脚本には、 「ヤマトタケル」、「オグリ」、「オオクニヌシ」があります。
日本では上演されませんでしたが、中国で上演された「ギルガメシュ」もあります。
これらは、古事記や古代シュメールの叙事詩に題材をとり、 そこに先生の深い思索の結果が盛り込まれ、 さらに娯楽性が付与されているというものです。

 スーパー狂言では、現代に対する風刺が利いています。
諫早湾の干拓にたいする強い憤りを狂言で表現した 「ムツゴロウ」(2000年上演)でたいへん有名になりましたが、 いまは2作目の「クローン人間ナマシマ」が評判をよんでいます。
2月21日付けの中日新聞「通風筒」によると、 大リーグに主力選手を引き抜かれた東京ジャイガンツに、 ナマシマ前監督の7人のクローン人間が登場し、選手として活躍する、 という筋で、2月20日に京都で試演、4月に東京で公演とのこと。

などと書いていますが、私自身は、テレビで「ヤマトタケル」を観た程度です。
地方都市では、観劇の機会というのは本当に限られているのです。

 中日新聞月曜日夕刊の「思うままに」に1996年ころ書いてみえたところによると、 市川猿之助との交友がおありで、 「書いてください」との「社交辞令をばか正直に受け取って」、 「ヤマトタケル」を書いたそうです。
それが、1986年2月4日の初演になり、成功したことから、 劇作家となったそうです。

 そういえば中日新聞月曜日夕刊の「思うままに」は、 今年で連載が11年目になるのだそうですが、 これを読んでいる印象からも、 大先生にしては、親しみのもてる方のように感じます。

「森の思想が人類を救う」という本 (アマゾンでの紹介) も、たしか講演集で、読みやすいが内容が深くお薦めです。

相当前に読んだので詳しくは覚えていないのですが、 縄文人と弥生人、縄文人の死生観、 森を切りひらいていった小麦文化と森を残した稲作文化、 などが語られていたような記憶があります。

正直に告白しますと、先生のご本は「仏教」とこれの2冊しか読んでいないのですが、…。

お便り、ご意見は、 Eメールでどうぞ

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