ムラさんのギター・ワークショップ第4回

陽気に行こう

Keep On The Suuny Side


 次の教材には、これまた高石ともやとナターシャセブンの 「陽気に行こう」を取り上げてみることにしました。
これも原曲はカーターファミリーの 「Keep On The Suuny Side」で、名曲中の名曲です。

 アメリカでは、1920年代になると、いなかで歌われていた民謡が録音されて、 商品化されるようになりますが、そのころ大変な人気をもち、 後のカントリー音楽に大きな影響を与えたのが、ジミー・ロジャーズとカーター・ファミリーです。
 特にブルーグラス音楽では、カーター・ファミリーのレパートリーは、今でもよく演奏されています。
また、カーター・ファミリーのギター奏法は今でもカントリー・ギターの奏法の基礎で、 そのギター奏者は尊敬を込めて、マザー・メイベル・カーターと呼ばれています。
 カーター・ファミリーはアメリカの南部地方を演奏旅行したりしていたようですが、 満員の聴衆を前に、最初に演奏したのが、「Keep On The Suuny Side」で、 彼らのテーマ・ソングとなっていたそうです。
(以上は、「永遠のカーター・ファミリー全曲集」(RCA:RA-5641〜5650) に添付された解説を参考にさせていただきました。)

 ところで、カーター・ファミリーが活躍していた1930年代は、 大変な不況の時期でした。
1929年の大恐慌を境に、南部も大変な状況になっていて、 つらいこともあるけれど、いつも明るい面をみて生きていこうと呼びかけるこの曲が、 南部の人たちをどんなに勇気づけたか、想像にかたくありません。

 前置きはこのくらいにして、それでは、練習をはじめましょう。

 どんな曲か知らない方は、例によって、 ザ・サークルのリーダ、加藤さんのページ、または、 宵々山コンサート応援サイト「陽気に行こう」の「音楽堂」 でお聞きください。

 Cのキーで弾こう 

 まずこの曲を演奏するキー(調子)を決めなければなりません。
前回までの「私を待つ人がいる」は、実はGのキーで練習しました。
クラシック的にいいますと、ト長調でした。

 今回は、カポという便利な器具を使って、Eに上げることを前提に、 Cのキーで練習しましょう。
クラシック的にいいますと、ハ長調です。

 この曲の前半のコード進行は、
(C)(F)(C)(C)
(C)(C)(G)(G)
(G)(G)(C)(C)
(G)(G)(C)(C)
となっています。
また、後半のコーラス部分は、
(C)(C)(F)(C)
(C)(C)(G)(G)
(C)(C)(F)(C)
(C)(G)(C)(C)
です。

Fの弾き方

 ここで、今まで出てこなかったFの弾き方を覚える必要があります。こう弾きます。
------1-------1---+-----1-------1---++
------1-------1---+-----1-------1---++
------2-------2---+-----2-------2---++
--3---------------+-3---------------++
----------3-------+---------3-------++
------------------+-----------------++
また、返しをいれるなら、こうです。
  d   d   d u d u 
------1-------1-1-+-----1-------1-1-++
------1-----1-1-1-+-----1-----1-1-1-++
------2-------2---+-----2-------2---++
--3---------------+-3---------------++
----------3-------+---------3-------++
------------------+-----------------++
 もうお気づきでしょうが、Fのコードは少し特殊な押さえ方をします。
1弦の1フレットと2弦の1フレットを、同じ人差し指で押さえるのです。
1本の弦を押さえる時、左の指はできるだけ立てて、 指の先端で弦を押さえるようにします。
が、Fでは、指を寝かせて、指の腹で2本の弦を一緒に押さえます。

3弦の2フレットは中指で押さえます。
4弦の3フレットは薬指で押さえます。

3拍目に5弦の3フレットを押さえる時には、 4弦3フレットを押さえていた薬指を移動させて押さえるのは、 Cコードと同じ要領です。

 Fコードは少し難しいと感じる方は、次のような練習をしてみてはいかがでしょうか。
------1-------1---+-----1-------1---+-----1-------1---+-----------------++
------1-------1---+-----1-------1---+-----1-------1---+-----------------++
------2-------2---+-----2-------2---+-----2-------2---+-----------------++
--3---------------+-3---------------+-3---------------+-3-------0---2---++
----------3-------+---------3-------+---------3-------+-----3-----------++
------------------+-----------------+-----------------+-----------------++
 これを何度も繰り返します。
いかがですか、だんだん慣れてくると思います。
練習とは、要するに慣れです。

 なお、慣れるに従って、ギターを見ない癖をつける方がよいと思います。
テレビで、三味線のお師匠さんが初めての人を相手に三味線の手ほどきをするという番組をたまたま見たことがありました。 そのなかでお師匠さんが、「なるべくなら見ない方がよい」ということを言ってみえました。
アナウンサーがすかさず、見てはいけないのですね、と聞きますと、 お師匠さんは、見てはいけないということはないが、なるだけなら見ない方が、と言ってみえました。
私は、ウーンと感心しまして、実に重要なことをサラリと言ってのけている。

 弦楽器というのは、左手でどこを押さえるかということがとても重要で、 つい左手の運指を見ながら弾くくせがついていました。
最初は見なければ弾けないのですが、弾き方が決まるころには見ても見なくても同じなのです。

それから、私は、ポジションを大きく移動させる時とか、 必要な時以外は、ギターの左手を見ないで弾くように心がけています。

 これの効用は、ギターがうまくなるというよりは、 姿勢が良くなるのです。
歌舞伎などを見に行ったときに囃子方を見てみてください。じつに良い姿勢で演奏をしています。
姿勢がよいからうまくなるということはないのですが、 演奏する姿勢がよくないのは、上達のさまたげになります。
さらに大きな効用(?)があります。人前で弾く時にギターを見ずに観客の方を向いて弾いた方がうまく見えますよ。


 横道にそれている間に少し長くなりましたので、今回はここまでとします。

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