ムラさん通信 第21号

2002年8月14日

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  ザ・サークルのギター弾き「ムラさん」から、 日頃お世話になっている「みなさん」へのお便りです。 ホーム・ページでは十分に伝えられないザ・サークルの近況や、 文化情報、私の雑感などを、随時お知らせします。
メイルでも配布していますので、必要な方はお知らせください。次回からお送りします。
ご意見、ご感想などは、 Eメール でどうぞ。

 8月4日付けの中日新聞、「こころの詩」という欄に、 終戦をうたった二つの短歌が紹介されていました。

三人(みたり)の子
国に捧げて哭(な)かざりし
母とふ人の号泣を聞く
        二上 範子

あなたは勝つものと
おもってゐましたかと
老いたる妻のさびしげにいふ
        土岐 善麿

戦争を知らない世代ばかりになってしまう前に、 敗戦を迎えたときの日本人の気持ちを きちんと思い出さなければならないのでは、 と感じました。

 明日が終戦記念日の今日、 久しぶりのムラさん通信、
次の四つの話題をお送りします。
 ○「絵で読む広島の原爆」という絵本
 ○座・むら囃子のトップページ改訂
 ○「ソーラーアーク」を見てきました
 ○「にほん」と「にっぽん」

 ◇「絵で読む広島の原爆」という絵本◇ 

 8月7日付けの中日新聞、 「中日春秋」は、「世界最強の国家や人物に、こうもはっきり物申した例があっただろうか。」 と書き出しています。
物申したのは、広島市の秋葉忠利市長、 6日の「原爆死没者慰霊式・平和記念式」で読み上げた 「平和宣言文」のことです。

「被爆者が訴えて来た『憎しみと暴力、報復の連鎖』を断ち切る和解の道は忘れ去られ、」 「女性・子供・老人等、弱い立場の人たち」が「世界の紛争地でその犠牲にな」っていると、 同時多発テロ以降のアメリカの姿勢に強い危惧を表明し、 日本での最近の改憲論議にも、 「戦争のできる、『普通の国』にし」てはならないと、釘をさしています。
出勤の準備をしながら、広島だからこそのメッセージに、思わず耳を傾けていました。 ( 広島市のHPから「Real Player」で聞けますよ)

その後、9日の 長崎平和宣言でも、 「国際社会の核兵器廃絶への努力に逆行」する 「一連の米国政府の独断的な行動を、私たちは断じて許すことはでき」ない、と言い切っています。 さらには、「本年5月の、日本政府首脳による非核三原則見直し発言は、被爆地長崎の心を踏みにじ」ったと、 最近の米国や、日本政府の動きを批判しています。

 広島の平和宣言は、また、 「誠実に過去の事実を知り理解することが大切です。」 とも述べていますが、
福音館書店から、 「絵で読む広島の原爆」という絵本(アマゾンのHP) が出ています。
戦後50年にあたる1995年の刊行ですから、ロングセラーです。
少し大型の絵本です。 見開き2ページをつかって、 被爆前の広島の様子、投下の前後の様子、復興の様子が、 順に描かれています。
この復元図は、 「客観的な事実を描こう」という基本姿勢で、 「広島原爆戦災誌」をはじめとする多くの史料を参照したうえに、 たくさんの方に取材して確認しながら描かれたそうです。
一枚の絵には広い範囲が描かれていて、 人は群像として描かれています。
むごたらしい場面を子供に見せるのは、とためらっていらっしゃる方にも、 安心して(?)おすすめできます。

くわしい解説もありますが、 復元図と、その下に1行ほどで書かれた文を読んでいくと、 広島で何があったのか、よく分かってきます。

強い調子の告発が書かれている訳でもなく、 むしろ淡々と描かれ、書かれているのです。
それでも、いつのまにか、涙を流しながら読んでいました。

英語版(アマゾンのHP) もあります。 外国の方にも、読んでもらいたいですね。

広島の平和宣言は言っています。
「被爆者にとって、」 「悲惨な記憶が蘇(よみがえ)る」 「以上に辛(つら)いのは、その記憶が世界的に薄れつつある」 ことだそうです。

悲惨な記憶を薄れさせないために、 あなたも、是非ご覧ください。

 ◇座・むら囃子のトップページ改訂◇ 

 私のホームページ「座・むら囃子」は、 未完成の暫定版として公開してきたのですが、 ムラさん通信のバックナンバー のほかにも、 ムラさんのギター・ワークショップとか、 活躍する女性たちとか、 内容も充実してきたと、勝手に考えています。

そこで、正式公開版とすることにして、 思い切ってトップ・ページを、 それらしいものにデザインしてみることにしました。

 本格的なウエッブ・ページともなりますと デザインセンス、技術力ともに、 私の力では心もとないので、 ここは思い切って、プロに頼みました。

出来映えは、なかなかのものだと思います。
是非、ごらんください。(トップ・ページへ)

今回、HPのデザインをお願いしましたのは、 「ラ・プリマベーラ」です。
ザ・サークルの公式HP も、作成、管理をラ・プリマベーラにお願いしています。

ご自分のHPを開かれる方、開いて見える方、 みなさんも一度、 ラ・プリマベーラ に相談されてはいかがでしょうか。
非営利の場合は、格安料金で引き受けてくれます。

 また、同名の インターネットによる文化サロン も運営しています。
イタリア・フィレンツェなどの旅行記、 祇園祭など日本文化の紹介、 F1レースの観戦記など、面白い記事が満載。 こちらもご覧ください。

 ◇「ソーラーアーク」を見てきました◇ 

 サンヨーのつくった巨大な太陽光発電施設 「ソーラーアーク」を見てきました。

 サンヨーは、太陽電池では先進メーカーですが、 出力不足のものを出荷するという不祥事(サンヨーのHP) を引き起こしました。
「ソーラーアーク」は、 そのために回収された太陽電池をつかって作られていて、 「クリーンエネルギーの可能性と夢を追求する太陽光発電のシンボル」 であると同時に、回収問題の反省も込めているわけです。

 「ソーラーアーク」は、 岐阜県の安八町にある岐阜工場の正面に作られています。
われわれは、長良川沿いにさかのぼるコースで訪問しました。
高さ37m、幅が315mというので、 巨大な施設がそそりたっていると予想していたのですが、 遠くから見ているうちは、 それほど目立ちません。

ソーラー・アーク遠景

すぐ手前を新幹線が走っていますので、 名古屋から西に向かう乗客には、目につくだろうと思います。

 いざ、近づいて見ますと、 さすがに見上げるような高さと幅です。
表面には、一面に太陽電池が貼ってあるのですが、 電卓などのイメージで派手な光沢かと想像していましたら、 つや消しの黒で上品な表面です。

ソーラー・アーク近景

ソーラー・アーク近景

 5000枚以上の太陽電池パネルが貼ってあって、 最大出力は、630kW。 一般家庭の200戸分というのですが、 取付角度が理想的でないので、 最大出力を出すことはまれだということです。
真夏の強い太陽にもかかわらず、半分も出ていませんでした。 太陽の角度が低くなる冬場の方がよく発電できるという説明でした。 デザイン優先というのは、「反省」が足りないのでは、 などと感じました。

 裏側は、当然ながら、鉄骨だけ。

ソーラー・アーク裏側

四本の支柱だけで支えられて地上から浮いている構造ですが、 巨大な船をイメージしたデザインになっているのです。 アークというのは、箱船の意味です。

  太陽電池科学館「ソーラーラボ」 が併設されていて、太陽や太陽光発電について学べます。 夏休みの子供の宿題にはピッタリ。

 結局われわれ人類は、 太陽のエネルギーの範囲内で生きていくしかないのですね。
でもそれは、エアコンなしでは、 毎年の暑さ寒さにも耐えられなくなってしまった私たちにとって、 とても難しいことでもあるのです。
そんなことを、 ご家族で考えるよい機会にもなります。

 ◇「にほん」と「にっぽん」◇ 

 文面で分かるように、だいぶ前になりますが、
『今、W杯で盛り上がっていますが、サポーターは応援するときに「ニホン」でなく
「ニッポン」と言って声援していますよね。これは、単に言いやすいからなのでしょうか?
「ニホン」と「ニッポン」と使い分けるルールってあるのでしようか?』

というお便りをいただきました。

確かに「日本」は、 「にほん」と読まれたり、「にっぽん」と読まれたりしますね。
応援などでは、 「にっぽん」の方が語感に勢いがあるので、 「にほん」より多く使われるのではないかと思います。

 茶の間で話題にしましたところ、 関西弁と関東弁ではないかという説がでました。
「お江戸日本橋(おえどにほんばし)」と歌われますが、
大阪の日本橋は、「にっぽんばし」なのだそうです。
確かに、東西のアクセントの違いに関係がありそうにも思えてきました。

 6月11日付けの中日新聞には、こんな記事がでていました。
経団連と日経連が統合して5月末に発足した「日本経済団体連合会」は、
経団連内部の検討でもまとまらず、
奥田碩会長の裁定で、「にっぽん」と読むことにしたとのことです。
同紙によると、 奈良時代から二通りの読み方が併存しているということです。
となると、東西アクセント説は怪しくなってきます。
1934年の臨時国語調査会で「にっぽん」と読むことで統一したが、 政府の採択にはいたらなかったのだそうです。
また、日本銀行は「にっぽんぎんこう」、 新日本製鉄は「しんにほんせいてつ」だそうです。

 ちなみに、「お前もか」と、今牛肉偽装で世間をさわがせているのは、 「ニッポンハム」です。
同社の本社は大阪で、「にっぽん」関西説を補強していますね。

「にほん」と「にっぽん」に詳しい方、お便りください。

お便り、ご意見は、 Eメールでどうぞ

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