２００５年７月 絶食第四週 絶食、何日目だっけ・・・、忘れたわ。 とにかく月曜日となり、今日から中３が全員戻って来ると思いきや、試験が終わってもずっと続けて来ているメンバーだけが登場。 この時期はクラブも朝練が続くなど厳しいはずだから、英語の英単語だけに絞って授業は動いていく。使う教材は育伸社の英単語集。ここに載っている英文が公立高校入試問題から選んだものばかりで必須のものばかり。中３だけでなく中２や中１にもできる範囲でさせることがこの時期の課題だ。 一日英文40文ずつ進む。その40文の基本単語や熟語を俺がプリントに打つ。１枚180項目。当然頻度の高い単語は毎回のプリントで出てくる。このプリントを一日一枚ずつ進めていくと、何度も同じ単語は出てくる。きついけれども確実に英語の実践力は増えていく。 ゆかりと沙耶加が今日もまた試験に臨むが、まだまだの出来。荒井のように声を荒げて怒ったほうがいいのかね。少なくともウチの生え抜き、そんなカッコ悪いことまでせなアカンのかいな。受験生としての本気が今になっても見えない・・・。 いよいよ明日は甚ちゃんの出陣、某大学の二次試験である。 火曜日、絶食は続く。状況は変わらない・・・。 何度目かのダウン症状が出ている。 水曜日は中野重夫、愛歌歌のオヤジ、通称シゲに起こされる。 「死んでるんかと思たで」とジャブ。「どないした」「何言うてるんや、タイヤ交換に来るて言うてて全然来えへんやろ。駐車場のエスティマ、ウチの工場へ引っ張っていくで」「あ、そやったな。絶食してて忘れてたわ。すまん、頼むわ」「ああ、オマエはもう一度寝てろ。さすがに疲れが出てるで」 ３時間ほどしてシゲが戻る。「いやあ、誰に言うてもびっくりするで」「何が」「いや、俺の娘が三重大に合格したってさ」「そりゃ、娘がオヤジに似ずに才能に頼むことなくコツコツと努力するタイプやったからやろ」「ははは、そのオヤジがさ・・・」「なんや」「いやな、その才能だけに頼ってきたオヤジがすごいことになるかもしれへんで」「ライブか」「ああ、山岸潤史って知ってるか」「そりゃ知ってる」「山岸潤史は今はアメリカ在住で当地の人気投票でトップ獲ったりしてて絶好調なんや。その山岸潤史がこの夏に来日してツアーをやる。競演するのは当代有数のギタリストたち10人。ステージ上で一人が２，３曲弾いてギターバトルをすることになる・・・」「まさか・・・それにノミネートされたん」「ああ」「そりゃすげえや！ なんでそれはよ言わへんねん」「ははは・・・、愛矢歌もな、三重大学の軽音クラブに入ったらしいけどな、クラブの上から『愛歌歌ちゃんのお父さん、山岸潤史やチャーとライブやるんやろ』なんて言われてさ」「愛歌歌も嬉しかっただろうな」「・・・そうかな、やっぱり嬉しかったかな」「そうさ、断言するよ」 素直に喜ぶシゲの表情が眩しかった。ふりかえって俺は・・・誇れるような父親じゃねえよな・・・一人ごちた。 シゲは名古屋と日比谷屋外大音楽場に出演する。バックはキリン、でけえスポンサーだ。日比谷の野音にはテレビ局が入る。相手は山岸潤史、チャー、仲井戸ＣＨＡＢＯ麗一、シーナ＆ロケットの鮎川誠、そうそうたる面々・・・すごいよ。 |
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