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断食日記

2005年6月 絶食第三週



絶食12日目、月曜日。
高田高校と嬉野中で期末試験始まる。
地方上級試験を終えた甚ちゃん、二次試験は残っているものの先週までの厳しい顔つきとは一変。「龍神と愛に世界史を教えようかと考えているんですが」「そりゃありがたいけど、二次試験の準備はいいんかいな」「面接と英語と小論文ですから、かなり就職試験に似てきますけどね。ただ今までのように机に向かう生活とは違いますから、一週間に一回か二週間に一回か、まあ僕の都合のつく範囲でということですが・・・」「それ、ホンマありがいわ」「まあ、ゆかりちゃんは今の段階では英語が最優先ですから」

そのゆかり、毎晩のように試験に臨むものの5割〜6割を推移する。これが難度の高い英単語なら許せるが、初歩の初歩、ターゲット800までのレベルだ。どうあってもこのレベル9割は欲しい。
沙耶加ともなると3割を切る。例えば普通の生徒の場合、 adapt や adopt の場合、紛らわしいため一瞬の間をおいて「〜を適応させる」なり「〜を採用する」と答える。しかし沙耶加の場合は瞬時に答えてくる。つまり紛らわしい単語に対する認識ができていない。collect と correct の場合も、瞬時に「〜を集める」と来る。つまりは沙耶加、まだまだ英単語の地獄を見ていないのだ。このままでは三重大が崩れる。そんな沙耶加、「地理の授業をお願いします」と天真爛漫にのたまう。
荒井も一人でボソボソ英単語をやっている気配はあるが、集中力がない。珍しく机で集中しているのかと思いきや、携帯奴隷に堕している。
沙耶加にしろ荒井にしろ、津高に入っただけの人になっちまった。

大人が真っ向から勝負してやっているのに、その熱さを受け止めようとはしない。「じっとしてたらそのちになんとかなるだろう」くらいのノリで眺めているんだろうが、結局はこの二人が今までの人生でかかわってきた人に問題があるんやろね。大人をなめとるわ。少なくとも今までに出会ってきた馬鹿な大人と俺を同一視してもらっては困る。

絶食13日目である。
古西から連絡が入る。「まだ1階の掃除できてへんやろ」「なんで分かる」「先生の性格考えたら分からんでか。じゃあ明日の授業、終わったらすぐに戻るわ」「・・・ありがたい」

6月で1階の教室を引き払うことになった。先々週の金曜日、古西は1階の冗談じゃなく膨大にある雑誌、ほとんどが良き時代の『週刊プロレス』だが、それを一人でヒモかけしてくれた。たまたま小林が勉強していて手伝おうと申し出ると「オマエは浪人やろ、勉強しとれ」 結局たった一人で廃品回収の人が嫌がるような分量を片付けてくれたのだ。成長したな、古西。これで安心して社会へ送り出せるよ。

甚ちゃんは大学職員の一次試験に受かったら来月早々某大学の職員面接を受けることになる。大学で行われた説明会に出席した甚ちゃん、「やはり地方公務員や国家公務員と天秤かけてる受験生が多いからかもしれませんが、大学側も独立法人となったこれからの大学職員のあるべき姿めいた内容の話があると思えば、これがほとんど福利厚生などの話に終始。つまり、仕事内容云々より、いかに仕事をする環境に恵まれているかを延々と話すんですよ。これがね、関西地区で大学職員を目指している知り合いに聞くとですね、京都大学はすごかったらしいですよ。一発目から『楽をしたい人たちには来てもらわなくていい』ですって」「やっぱ京都大学、こええな」

今日もゆかりは変わり映えのしない成績。沙耶加もまた勝負にならない。あゆみも同様・・・中3からDAKARAの差し入れ4本・・・。

古西が授業を欠席したとかで昼過ぎに到着。そこへ征希も加わり掃除開始。懐かしいもの、思い出の品がぞくぞく出てくる。1階で美容室をやってるマッツンの三進連の成績表も出てくる。「これ届けてやろうか」 高2の岡南(津高)の従兄弟の今年31歳になる4期生の横山の成績表も出てくる。涙が出そうになる。

断食14日目、水曜日。今日で嬉野中が終了、とりあえず今週一杯は試験休みとする。中1の亜里は「どうせ家にいても暇ですから塾に来ていいですか」 この娘、国語が大好きでいつのまにか中1の教科書準拠の問題集を1冊終えてしまった。あげく言うことには、「先生、古典の文章が読みたいから古典を教えてくれませんか」
そして今日から南郊中と東中で期末試験が始まる。

今日は便通がない。経験則で言うならば精神的にも体調的にも断食2週間頃が一番きつかった。そろそろ峠に差しかかっているのかもしれない。

断食15日目、なかなか起きられない。スラム街で身体を絞るように右往左往、なんとか目覚めると東の生徒が勉強している。

英単語のプリントは眺めているようだが一向に試験を受けようとしない荒井に声を荒げる。「俺の身体にも限度がある! そこまでアホやとは思わんかったよ」 強引に試験に引きずり込む。試験は小林がどうしても覚えられない英単語ばかりを集めた通称「魔の13回」 全部で180問、龍神と隼人がミス27、千尋が32、千紗が38、由子が42といったところ。荒井、ミス130強・・・冗談じゃなく俺を殺す気か。

甚ちゃん、大学職員一次試験に合格。7月上旬から二次試験開始。
瞭の親父さんが金沢大学の図書館で勤務されているとか、なんとか無理を言って甚ちゃんの二次試験の心構えなりとも話してもらおう。

断食16日目、今までの二週間で最悪の体調。身体が悲鳴をあげている。フットワークが悪いのが自分でも分かる。ベッドに横たわりながら生徒の質問を受ける。

瞭の親父さんに連絡、明日帰ってこられるそうで無理をお願いして明日会うことにする。これで甚ちゃんの5日の面接に間に合ったわけだ。

断食17日目、中学の試験が終了。
誰も来ない教室の中、俺はひたすらベッドに身体を横たえている。午後8時に瞭の親父さんと待ち合わせだ。今日は酒を飲むことになるが、何も食べないというわけにもいかない。

日本の大学法人化は国内で十分な論議をつくすことなく文部科学省主導で強引に押し切られたもの。一足お先に法人化を進めている中国をまねたたのかなとの邪推も成り立つ。
その中国では北京大学さえも積極的に海外からの留学生を受け入れている。生き残るのに必死なのだ。
俺が北京大学のそういった状況を知ったのは最近のこと。国内の大学医学部に落ちた息子さんを北京大学医学部に留学させた方がいたのである。この9月から6年間の留学。そして6年後の秋に卒業し、半年後に日本の医師国家試験を受けるという計画。
医学部は特例としても、語学留学の受け入れは今まで以上に積極的に行っている。中国に憧れていた允(京都産業大学2年)に連絡を取る。

「大学職員の意識の上ではまだまだ法人化は定着していないかな」 瞭の親父さんが甚ちゃんに話し始めた。
絶食18日目、といっても昨夜の瞭の親父さんとの席でだし巻き卵を2きれ食っちまった。しかし瞭の親父さんも強いわ。俺に合わせてくれたのか、ただひたすら生ビールばかり8杯だ。
昨日の話の中で興味深かったのは、COEプログラムが地方大学に与えた影響である。COEプログラムとは文部科学省が音頭を取り全国の大学に研究課題を提出させ、文部科学省が認めた研究対象に対してはお金の援助をするという計画。以前大西君から、立命館大学が躍起になってCOEプログラムを獲得しようとした話を聞いてはいた。「このCOE獲得数がこれからの大学偏差値にもなる」と当時、立命館に所属していた大西君は息巻いていた。いつもの大西君らしからぬ熱さ、立命館大学美学の中心人物と目されていたことからの気負いかとは思っていた。しかし瞭の親父さんの話では、三重大学がCOEプログラムを取れなかったことが致命的な結果につながる可能性もあるとのこと。
致命的な結果・・・三重大学だけでなく、COEを取れなかった国立大学は多い。そんな大学のなかで独立法人化が遅々として進まないような状況が続くとなれば、数年後に見せしめの意味もあり、いくつかの大学を廃校にするのではないか・・・。

沙耶加が試験に臨む。今までとは違ったフットワーク、瞬時に単語の意味を言える単語が増えた。しかし新出単語に関しての対策はない。正答率60%か・・・しかし、今までとは変わった。
岡田も定例の試験に臨む。なかなかの出来ではある。「自信がついたら一般試験を受けにこい」
一般試験は初めて見る英単語のプリントで、順番も当然アトランダム。これをしのいで古い塾に行ける。まだまだ無理かな・・・。

絶食19日目やん、死ぬぞ俺。といっての塾のどいつもこいつも俺の骨を拾う気はないらしい。孤軍奮闘・・・自己満足だけを武器に今日も塾で篭城する。

昨日は薬の服用を間違えたとかで深い眠りに落ちて塾に来れなかった大西君、「体調は万全ですから午後2時には授業を始めたい」との連絡が入る。しかし午後2時前になり連絡、「先生ごめん、乗り過ごしてしもた。今、伊勢におるん」 結局1時間遅れで現代文読解の授業が始まる。

大西君の授業のなかで龍神が「東京大学模試を受けろ」と言われたとか。確かに龍神の力量からすれば東京大学の国語や英語はクリアーできる。数学もまた本質的な知識を要求する東京大学の問題にシフトできるだけの力はあろう。しかし社会の地歴で2教科、記述と論述の嵐となるときつい。龍神の現行での志望大学は大阪大学、社会の記述があるとはいえ1教科。龍神の場合は世界史、マーク模試では偏差値70弱をキープしている。しかしそれに加えて地理や日本史での1教科、それも論述と記述の嵐を追加・・・。ここは悩む展開となる。

深夜となり広島の橋本ドクターから電話。酔っ払っている、さぞや亜矢ちゃんも手を焼いていることだろう。
要するに塾で授業をしてみたいということは分かった。それも7月中ということも分かった。授業内容もまた「記憶」についての内容ということも分かった。
医師国家試験を受け発表を待つ春、橋本君は同様のテーマで授業を行った。横山と越知(ともに同志社卒)横に侍っていたような気がする。

その時に橋本ドクターがした話は「短記憶」と「長記憶」の話だったと記憶している。そんな懐かしい話を俺は一介のマンガから再記憶することになる。
「ドラゴン桜」である。

聞けば「ドラゴン桜」、近々テレビ化されるとか。
都心の底辺高の定型的な今風の高校生が東京大学を目指して勉強する。そんな生徒を指導する主人公、今までの教育現場ではタブーとされてじた指導法を駆使して生徒たちを指導していく。
「僕が考えていた指導法をそのまま漫画にした奴がおるんやなと」と橋本君。「先生も知ってますか」 「ああ、ウチの教室には全巻買って置いてあるよ」

荒井が試験にやって来る。試験用紙は愛が前日来てやったプリントを使用する。荒井のミスは18、最近調子を崩しているとは言っても東大を狙う愛がミス23のプリント。これなら合格にしようか。「合格したからって安心しないように。毎日のフットワークとして英単語をするように」と言うと、荒井。「どうも遅れて申し訳ありませんでした」
これで合格者は二人目・・・。残るはゆかり・沙耶加・あゆみと岡田の4人・・・。

橋本君からの電話は唐突であり要領を得なかった。しかし久しぶりに会える。結婚式で司会者から「新郎が三重県で大学時代を過ごした時に、父親として尊敬していた人物」として紹介された俺としては、広島の息子に会うのに理由はいらない。授業も大歓迎・・・しかし今夜の酔っ払いぶりでは果たしてどうなることやら・・・。

 第四週へ続く

2005年1月 1章
2005年1月 2章
2005年1月 3章

2005年6月1週
2005年6月断食2週
2005年6月断食3週
2005年7月断食4週
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