魚拓ミニミニ図鑑

「魚拓入門」の内、特に下記について、できるだけ詳細に記述しました。ただし、初めから総てを揃える必要はありません。手持ちの用具に不満が出て来てからでよいでしょう。

魚拓入門 (4) 「魚拓用具の必需品」の具体例

いろいろな人がいろいろな用具を使っています。ここにあげたのは
ほんの一例に過ぎません。自分なりの用具の創意工夫に努めてください。

直接法魚拓用具
      
  1. 拓紙(または拓布)   
  2. 墨と硯   
  3. 筆と刷毛   
  4. 絵の具と皿   
  5. 安定板   
  6. 当て紙   
  7. 魚をおく板  
  8. 霧吹き   
  9. ピンセット   
  10. 練りゴム   
  11. その他

1. 拓紙(または拓布)

和紙を使います。魚体になじみやすく、墨や絵の具をよく吸い取り、しかも滲みが少ないものがよいでしょう。一般には画仙紙、美濃紙、麻紙、楮紙、雁皮紙など(和紙or書の専門店で購入)があげられます。 筆者は土佐薄美濃紙、同厚美濃紙を使用していますが、中国画仙紙の銀河戔、金龍戔、その薄口、厚口、二層紙など(書or紙専門店で)を使いわけている人もいます。ちなみに土佐薄美濃紙は市販で一枚\300、色紙サイズ6枚取れます。F10サイズですと2枚取れます。中国画仙紙はそれよりも安価で、しかも表装がしやすいので好んで使われているようです。 拓布にはブロード、羽二重、テトロンなどなど、目のつまったものがよいでしょう。筆者も5〜6年前自分のTシャツに拓したことがありましたが、後々の洗濯を考慮して布地専用の水溶性の絵の具(手芸材料店で)を使用、今ではそのTシャツ自身は古びちゃいましたが、色は多少剥げた程度です。

2. 墨と硯

墨は原料によって油煙墨(植物油を利用した煤をもとに)、松煙墨(松を利用)、洋墨(石油、石炭等を利用)などに分けられ、色によって茶墨、青墨、黒墨などですが、魚拓用には水墨画用(つまり濃淡が容易に出せる)の青墨で良いでしょう。ただこれはどこまでいっても青味がかっていますから、黒墨もあれば。筆者は現在、油煙と膠に本藍を入れた青墨を使っています。市販で¥3000前後。
硯はごく普通のものでけっこうです。できれば二つあれば、濃い墨用と青墨用と。

3.  筆と刷毛

筆は平筆と丸筆、大小数本用意します。腰のあるものが使いやすいでしょう。筆者は、洋筆ですがkusakabeとかNOUVELなどのもので00〜15号サイズのなかから使用(画材店で)。目を描いたり、署名を入れたりするのに、一般的には面相筆を使いますが、前述の00〜1号をそれにあててもいいでしょう。
刷毛は魚が大型の時に使用します。障子ばりに使うような安いものでけっこう間に合います。そんなチャンスが出来た時に用意してください。

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4.  絵の具と皿

絵の具は、水彩に比べて多少粘りがあって魚の上に置きやすい日本画用絵の具を使います。筆者はチューブ入りの練り絵の具を必要に応じて買い求めています(画材店で、例えば老蘭とか丹羽絵具工業のもの等)。胡粉(白)、濃黄(黄)、黄土、緑青(緑)、群青(青)、岱赭(茶)、赤口朱(赤)は必要です。 皿は小皿を10枚程度、菊皿もあったほうがいいでしょう。

5.  魚を安定させる方法

●安定板とか新聞紙を何枚も重ねたものを使います。
魚には丸み厚みがあり、そのままではグラグラして拓すことが出来ません。上から多少の圧力をかけても魚が動かない様にします。同時に背ビレや腹ビレを拓しやすくするための方法が必要です。 木の板は版画に使う朴の木が最高という人もいますが、表面が平らで多少厚みがあり、多少削ることの出来るものならなんでもかまいません。菓子箱の板やゴム板を使う人もいます。魚の背や腹のラインに合わせてアールをつけたもの、尾ビレ、頭部の下になど、大小数枚は用意します。切り口は紙ヤスリで磨いておきます。
●発泡スチロールを使う。
スーパーなどで使い古しの発泡スチロール箱をよく見かけます。必要な大きさに切りとって、その魚の形にカッターナイフで掘ります。ときどき魚をその上に置いては背ビレ、腹ビレ、尾ビレなどが拓し易い深さかどうか調整しながら進めていきます。使用にあたっては一回限りとはかぎりませんので、魚名など見やすい箇所に書いておきましょう。形が類似した魚なら、特に大きさの違う場合を除いて使用できます。こまかい部分の違いは、ちょっと掘るとか、セルロイド(下敷きなど)を切り抜いてその部分に乗せて、掘り穴を調整すれば、魚の安定に心配はありません。なお、小さい魚の場合は発泡スチロールでのほうが扱い易いでしょう。

6.  当て紙

古新聞紙を所定の大きさに切って、背ビレ、腹ビレ、尾ビレ、胸ビレ、頭の下などに、2〜3枚から数枚敷きます。胸ビレには使わない人もいます。魚に色を置く時、どうしてもその部位の外に色がつきます。それをこの当て紙が受けてくれるので、それを取り除けば、拓紙を汚さなくてすむわけです。またこの紙は余分な水分を吸い取ってくれる役目も果たしてくれます。吸取紙を使う人もいます。

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7. 魚を置く板

机や卓を汚さないためにも適当な大きさのベニヤ板を用意します。これは魚を安定したまま移動させる時にも便利です。

8. ピンセット

よく使います。先の曲がったものが使い易いでしょう。

9. 霧吹き

通常のものでけっこうです。拓す前に拓紙を軽く湿らせて、新聞紙等の間にはさんでおくと、紙が落ち着きます。また乾きかけた魚体に一吹きしたり、表装の時に、拓紙に吹きかけて皺をのばすことにも、と言うように 用途の広い用具の一つです。

10. 練りゴム

これは洋画用の消しゴムですが(画材店で"イージークリーナー"の商品名のものも)べとつかないし、冬期もそのまま使えます。構図などでちょっとエンピツを使った時など、薄紙をそれほど痛めずに消す事が出来ますし、これをちぎって細かい部分の安定や、前述の調整板としてのセルロイド板の下に、詰め込んで安定させることにも使用出来ます。



11. その他

ハサミ、文鎮、スポイト、水入れ容器、カッターナイフ、ティッシュペーパ、コヨリ、セロテープ、筆ふきタオル、ゴミ入れ等々。

間接法の用具については、以上の他に下記の物を用意いただきます。

1. タンポ

これは売ってないので手作りです。材料は輪ゴム、綿(青梅綿がベスト、脱脂綿とかはダメ)、布(シルク製で着物の裏地のモミがあれば最高)作り方は前述のモミを正方形に切って、てるてる坊主を作る要領で綿を詰め輪ゴムでとめるだけです。大きさは直径5@〜3Bくらいまでを各種そろえてください。

2. へら

際をとるときに絵の具がはみださないようにするために使います(画材店で、洋画用のでかまいません)

3. 大和糊、スポンジ、ドライヤー(電源のある場所が必要です)

  魚に直接拓紙を貼ります。特に丸っこいのや大きな魚の時は皺になりやすいので気をつけてください。水だけではしっかりと貼れないので、普通の糊を水で薄めて魚に塗りその上から紙を置き霧吹きで紙を濡らせて密着させます(このときスポンジを使います)。間接法ではこの紙の置き方で作品の出来が大きく左右されますので、気をつけてください。きれいに貼れたらドライヤーで乾かします。この時の乾かせ具合もポイントです。完全に乾かすとかたいイメージの魚拓になってしまいます。例えばアジの開きのような干物とか固形物を拓すときには、わざとそうします。一般的な魚の魚拓をとるときには、若干しめった状態を保つようにしてください。

以上です。使いこなし、使いきって、新たな発見、新たな提案を期待しています。

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