大人が仕事を語る

松原氏講演会要旨



講演日:2004年10月30日

中山
 新潟地震の折、公務員の方々の働きが目に付くこともありました。しかしこのような特殊な事情がなければ、われわれの普段の眼にその活動が目に触れることはめったにない。今日はそのわれわれの近いようで知られざる公務員のお仕事をお話していただきたくお招きいたしました。
 今日の講演で、自分の将来のことを少しかんがみながら、何のために勉強をしているのか等々考えていただきたいと思います。

松原
 県庁は自分の専門職に就くことができる。それ以外の市町村等では、自分の専門の仕事につくための受験機会はありません。文系では、一般事務、幼稚園教諭、保育士、消防職など。理系では、業務設計など。自身は津市役所に勤めています。
 皆さんの考えておられる公務員の仕事と、私がこれからお話する仕事とはイメージが少し違うかもしれません。公務員は五時に終わって、仕事も楽で、等々といったイメージをお持ちかもしれません。自分も入ったときは、そう思っていました。確かに入ったばかりのときは、そういった側面もなかったわけではありません。給料も右肩上がりで上がっていました。
 しかし現在は下がっていて、ここのところやっと安定してきました。
 最近の災害では、われわれ職員は動員されます。被災された方々にさまざまな援助をする仕事があります。台風が来ますと、その地区の担当者は徹夜で張り付きます。今回の新潟の地震では、私の部下がそちらに派遣されていました。物資の搬送をして、先日やっと帰ってきました。災害は人事ではなく、三重県からもさまざまな援助をしています。宮川村にもボランティアで援助に行ったものもありました。
 そういった意味で、公務員は人のための仕事ではあります。そういったことばかりいえば、少なからず心動かされる方もいらっしゃるかもしれません。
 しかし、津市役所にも毎日といっていいほど苦情を言いに来る方もいらっしゃいます。そういった場合、その方の対応のために、一日以上を費やすこともあります。16万市民ために、じぶんが何の役にたっているのか、と思うこともあります。行政にもできることとできないことがあります。できないことに対して、どのように言われてもできないことはできないので、そういった出口のない苦情を延々と聞く苦労もあります。こういった状況に対して皆さんにこの状況を理解していただくのは難しいかもしれませんが、そういった苦労もあります。
 それから、民間企業と違ってノルマがあるようでありません。民間の場合は仕事にスピードと成果を非常に要求をされますが、公務員には基本的にありません。
 このなかに、ご家族が公務員の方はいらっしゃいますか?

藤田
父が老人ホームに勤めております。

松原
僕は家で仕事の話はしないんですが、娘に公務員になれって言っても、聞きません。公務員に魅力を感じていないのかもしれません。僕の姿を見た結果なのか、自分で判断しているのかもしれません。
 自分が公務員になったのは、就職するときに、長男で、両親が農業をやっていたので、今はやっていませんが、かつては財産を継ぐものとして、家を離れるわけにはいかないといったことが、昔の常識でした。私の友人もそういった理由で、近所にいます。なので、家に近いこと、安定していること、等が条件でした。民間で言えば、銀行やNKKなどですね。
 私は公務員しか受けていません。もしその年失敗したら、もう一年頑張って受けるつもりでした。幸いに結局一発で受かりました。当時はまだそれほど難しくなかったこともあったのでしょう。しかし最近では状況は少し違ってきていて、大学では三重大が一番多い気がします。一般的に言えば、中の上クラスの大学から来ていらっしゃるような気がします。
 今では、公務員になるにはかなりの知識レベルが必要とされています。
 今振り返って、27年の職員経験を経て、「いやならやめていたかな」と思います。よっぽどの理由がなければ、やめないということもありますが、そういうこともあります。いやなことも当然あります。いいことは頭には浮かんできませんが、いやなことばかりが思い出されるものです。今の私の立場は一応管理職でありますが、昔は公務員は年功序列といわれていました。昔はある程度の年数在職すれば、ある程度の役職につくことができました。数十年前までは、どこの市役所でもそうであったと思います。津市役所では今現在そういった年功序列がはたらくことはありません。実力制や評価がある程度反映されます。当然給料はもらえますが、出世はただいるだけではできません。
 人のために役に立つ仕事ができれば、出世は関係ないわけで、その仕事に満足すれば、それはそれでよいと思います。なかなか語りつくせない部分もあります。
 それから選挙がありますね。いろいろなレベルでの選挙がありますが、すべて市役所の職員が行います。事務そのものはすべて市役所の仕事です。開票作業などは市役所職員などの職員が行っています。行政というのは当然国があって県があって、市がありますので、われわれはどこどこで何かが起こったときに、どうすればよいか。われわれは、地震がおこったときにどうすればよいか。最近の公務員に求められているのは危機管理であります。特に災害などの予測できないことにたいして、いかに迅速に対応できるかが、われわれに必要なことなんだと思います。そういったことがあった場合に、われわれが何ができるのかを考えていかなければならない。
 今日の話が将来の仕事の選択の参考になれば幸いです。実は今日ここに来るまでに、先生から公務員になりたいという生徒がいるという話を伺っていて、ここにきました、取り留めのない話をしましたが、自身の具体的な話はしていません。何か質問があればお願いします。

中山
はじめて公務員になられたときに、公務員はいろいろな部署に回されるようなことをきいてましたが、具体的にどのようなお仕事をどれほどおやりになったかをお聞かせ願いませんか。

松原
福祉の仕事を3年、それから企画部門を3年、それから教育委員会を10年、それから公共工事の工事発注を7年、それから秘書課を3年、それから福祉を今2年しています。
 すでにお話しした、いやな部分というのは秘書課時代にすべて体験しました。正直その当時に医者(精神系)にかかったこともありました。

山本
企画とはどういったお仕事ですか。

松原
将来にわたってどういった街づくりをしていくかということを考えるところです。それはハード・ソフト両方の意味においてですが…。
 このなかで、公務員を目指しておられる方はいらっしゃいますか?

佐藤
祖父か公務員をやっていて、表面的なことしかわからないのですが、その表面的な意味で、興味をもっています。

松原
人に役に立つって意味かな?そういう意味では確かにやりがいはあります。今の仕事は高齢福祉ですが、福祉の中には生活保護も含まれています。

佐藤
具体的な苦情にはどのようなものがありますか?

松原
昔と今では苦情の内容はだいぶ変わっています。昔では、税金が高いので負けてほしいといったようなもの。それにはダメですとしかいいようがないのですが、今では、職員のものの言い方や態度や服装が悪いといったようなこと、こういった苦情には確たる答えがないので大変です。
 ある出来事があって、それは無理ですと私は答えていたんですが、特定の行為に対して暴力的な公務執行妨害を形成するような行為をするようなこともあって、私は耐えていたのですが、別のところで、同じような行為をされました。そこで警察に通報され、逮捕されていました。理解していただけないのは、私のほうが悪いのかなぁと思っていましたが、暴力に訴えられたら、それはどうしようもない部分もあります。彼が警察に拘留されたあと私のところに謝りに来てくれました。私は、決められたことを曲げてまで、あなたに対して尽くすことはできませんと伝えました。それから彼の態度は変わって、私のところに尋ねてきてくれるようになりました。彼も少しはそれを理解してくれたのかなと思います。

中野
福祉でやっている具体的な仕事を生活保護以外で教えてください。

松原
ほかには老人福祉があります。高齢化社会に対してどのようなことをしていけばよいかを考えていくことがあります。具体的には、老人ホームに入りきれない人がいます。ほかにも、障害者や片親の家庭に対する補助、などがあります。

大西
ここにいる生徒たちは県職と市職員との違いがあまり理解できていないと思います。これらの職員の仕事の質や役割の違いがあればお教え願います。

松原
以前天皇陛下がいらしたときに、県文にお連れしたことがありました。その際に市長の傍らに天皇陛下のそばにいました。このように、市長の動きに対して、国から注文がつきます。その次に三重県の意向があります。三重県としては三重のどの部分をみせたら、三重県を理解していただけるかを考えます。その際に、県庁から三重県警を通して、ことこまかに指令がつきます。その流れは、県が流れを決めて、国にあげます。その判断にもとづいて、その行動通りにいくかどうかをチェックしてから、その行動にわれわれは従います。

大西
生徒は国の職員、県の職員、市の職員になることの違いとはなんなのか。市役所職員にしかできないこと、市役所職員にはできないことなどありましたらお教え願いたいと思います。

松原
公務員には特別公務員、上級公務員、県庁の職員、市役所職員などいろいろあります。県庁っていうのは簡単に言えば、市から仕事を吸い上げて、国に要求します。どんな仕事であっても、県を通してしか国に要求を出せません。ですから県職員は直接市民と接することは少ないということになります。

一同
有難うございました。

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