古西伸崇の『ずおっ』

古西伸崇の『ずおっっ！！』

東京日記　一日目　二日目　三日目

　１６日午後６時３０分、前田家のベッドで爆睡状態から復活する。前田先輩はすでに目覚めておりパソコンに向かっている。森下先輩は隣でマンガを読んでいる。今朝の麻雀終了後に松屋の牛丼(復活したらしい)で腹ごしらえをしたはずが、なぜか空腹状態。森下先輩を誘い徒歩１分のところにあるファミリーマートへ。カップラーメンとおにぎりを買う。古西論では「中途半端なラーメン屋のラーメンよりはカップラーメン。」カップラーメンは３００円も出せばかなり濃厚で俺好みなものを食すことができる。この日の選択は『ラ王～極厚チャーシュー～』これが２９８円だけあってなかなかうまく、あっという間に平らげてしまう。

　食欲が満たされると次に押し寄せてくるのが麻雀欲。３人は揃っているのであと１人を探すこととなる。村瀬は徹夜でサークルをしにいったので今の時間には爆睡中と判断。アキちゃん(山本明徳)を招集するのがベストなのだが携帯の番号がわからない。どうやら最近携帯を変えたらしく、なんと妹(ご存知山本愛)さえも知らない始末。おそらく彼女だけに教え、「君にしか教えてないから。」なんぞとほざいているのだろう。さあどうしよう…となり、ふと携帯に目をやると「着信あり２件」の文字が。確認するとそこには見知らぬ番号が。もしや！と思い、掛けてみると受話器の向こうからは聞き慣れたアキちゃんの声。
　「塾の掲示板見て東京来とること知ったんさ～」
　「そんなことより今日暇？麻雀しようぜ！」
　「え、明日昼から水族館行くんやけど…」
　「じゃあ大丈夫やん。１０時に千点棒(高田馬場の雀荘)な？」
　「……うん。わかった。」
ということになりめでたく面子が決定する。

　俺たち年長組は大人なので、当然５分前行動で千点棒に到着。アキちゃんはまだ来ていない様子。近くのコンビニに入り、立ち読みで時間を潰すがなかなかやって来ない。そしてなんと１０時半にやっと到着し、謝りたおしている。その時森下先輩に塾頭から電話があり、俺に代わってくれとのこと。

　話によると帰省している佑輔(早稲田１年)が高１の数学の宿題の問題は理解しないとまずいと言っているとのこと。というのも、俺は高１には答えを写してでもいいから数学の宿題を１８日までに終わらせるように言ってある。その後に基礎数学問題精講をやり込ませたいからだ。龍神(津高１年)が宿題を解いているのを側で見ているとつくづく基礎が出来ていないのがわかる。何も見ずに解ける問題が１０問に１つぐらいである。数学に関しては高１間には大差ないのでは？と俺は考えている。５０の力しかない奴らが５５や６０の問題を何度繰り返しても効果は少ない。村田先輩がかつての広告に書いていたように、基礎の基礎から繰り返し問題をこなしていくことで数学は伸びていくものだと俺は信じている。佑輔や菊山は数学センスがあり、人一倍吸収が早い。しかし、今の高１には理系は多いが、そういったタイプはいない。ということで、学校の宿題レベルの問題はまだ早いという結論に至ったところで話を戻す。

　この日の雀荘「千点棒」は夏にやられた場所なので気合が入る。しょっぱなから３連続和了し、ノリノリで初めの半荘をモノにする。その後も昨日とは違い、１度もビリをとらずに８半荘を消化する。アキちゃんは勝ったり負けたりを繰り返し、たいして変動はない。前田先輩は手堅い麻雀で４０ほど浮いている。どうも昨日からおかしいのが森下先輩。東京が合わないのか、はたまた全自動卓が合わないのか、いつもの意味不明な爆裂ツモが影を潜めている。こちらとしてはありがたいが…。

　今日は、アキちゃんは水族館で、前田先輩は夕方からゼミの飲み会だということなので午前８時過ぎをめどに終了ということで皆合意していた。しかしアキちゃんが７時半頃に携帯を見て慌てまくっている。なんとこの男、朝６時までには麻雀を切り上げると彼女に伝えていたらしい。その後アキちゃんの携帯には次のようなメールが届いていた。

　『絶対６時に終わってよ。１分でも遅れたらＸＸ(彼女の名前)は　怒ります。』

　アキちゃんが顔面蒼白なのは言うまでもない。当然そこは６時前後にすぐ彼女に連絡し、麻雀終了を伝えるべきところだ。しかしこの愚かな男は６時なんぞすっかり頭から消え去っていたばかりか、メール受信にも気づいていなかったのである。可哀想なアキちゃんはそれから電話をし、苦しい言い訳を繰り返すが、一方的に切られてしまう。俺たち３人は多少責任を感じ、少し早めではあるが麻雀終了を提案する。アキちゃんは迷ったあげく、なんと「もう半荘だけやりましょう！」という発言。ええんかな？と思いながらも牌を卓に流し込む。このアキちゃんの勇気ある選択が俺にとっては大誤算。東１局で満貫８０００点、東２局で満貫８０００点、東３局で親満貫１２０００点を全てアキちゃんに振りこみあっさりと吹っ飛んでしまう。あたかも俺の私生活での幸せを恨むかのようなアキちゃんの仕打ちでこの日の麻雀は終了。結果は以下のとおり。

前田＋４１	森下－１５５	古西＋５５	アキ＋５９

　アキちゃんの寂しい背中を見送り、我ら３人は再び前田家へ。昨日と同じポジションでおのおの睡眠体勢に入ったのであった。

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