2005年6月断食第1週　れいめい塾　三重県津市久居

２００５年６月　絶食第一週

16日、６年ぶりに断食を始めることにした。

６年前の断食は夏休みだった。私立中学受験を目指す小６が、日本地理の用語を覚えるのに手間取っているのに業を煮やした俺、「おまえらが覚えるまで俺は飯を食わへん！」と駄々っ子も顔負けの宣言。指導力のなさを己の身体を削ることで補うという無謀な戦略で乗り切ろうと考えた。
しかし、指導力のなさに加えて戦陣を冷徹な目で見ることができない俺。俺の気迫に生徒達は気迫ではなく希薄な根性で対陣。長くても１週間以内で覚えるだろうという当初の俺の甘い期待は見事に裏切られ、終わってみれば23日間という長丁場となった次第。

そんな錆び付いた伝家の宝刀、全く必殺技にもなりゃしない伝家の宝刀を６年ぶりに抜くことになる。
その理由・・・一部の高３があまりにも英単語を覚えようとしないからだ。

断食開始の一報にすかさず反応したのはあゆみ（皇學館６年制６年）だ。なにしろ６年前の断食のきっかけをつくった私立受験のメンバーだ。俺がやる！と決めた以上は本気だということを皮膚感覚で分かっているはず。
中３は安心できる学年に限り、授業中でもお菓子を食べても文句はつけない。今年の中３もまた東中で学年順位９位までに４人の塾生が入り、今んとこ安心させてもらってはいる。しかし事がここに至った以上は否応なく宣言・・・「俺の前でお菓子を食うなよ」

久しぶりのこともあってか断食二日目の17日は、一日中空腹感がまとわりついていた。
古西が孤軍奮闘で１階の教室の掃除をしてくれる。本当にありがたい。
あゆみが英単語を覚えるペースは今までなら１週間で１プリント（180単語収録）、それが昨日の今日で新しいプリントを１日でそこそこに覚えてくる。今までこんなリズムでやっていれば、もっと早く仕上がっていただろうに・・・。しかし身体がだるい。

18日、昨日とは対照的にすこぶる気分がいい。２年前の駿台模試の英文法だけを50問、隼人と小林と３人で解く。俺は11分で解き終えて全問正解、できすぎやな。隼人と小林は俺のテンションの高さにあてられたのか、正答率は低い。
大西君から連絡があり、シュンスケの四十九日が伊勢であるとのことで今週はお休み。
夜になりいつものように森下到着。やっと重い腰を上げた高３が矢継ぎ早に試験に訪れる。試験形式はターゲット1900の１～800エリア、アトランダムに英単語を180個並べたプリントの日本語訳を読み上げるだけ。１個の英単語の意味を２秒以内に言うのがポイント。俺はこれを瞬間芸と揶揄しているが、この瞬間芸は馬鹿にはできぬ。
今年の高３でこの瞬間芸の試験を俺なりのハードルを下げずに合格した奴は龍神と愛（ともに津高）だけ、この二人ともに全国優秀者ランキングに名前を連ねている。
最近のセンター試験は分量がやたら多い。瞬時に英単語の範囲が頭に浮かぶ状態・・・effect なら「影響」「結果」「効果」がすかさず浮かぶ体質にすることが肝心。
新高３はこの瞬間芸の試験をクリアして古い塾に移動するのが恒例なのだが、この時期にまでなっても新しい塾で鬱々と過ごす輩がいる。毎年、いるにはいるが今年はやたら多い。沙耶加・有加里・荒井（以上津高）・あゆみ・由子（津東）・岡田（高田Ⅱ類）が依然として新しい塾に常駐している。一方、古い塾のほうには龍神と愛、そしてかなりハードルを下げるかたちで移動がかなったのが千紗（津東）と千尋（松阪）。結局古い塾で過ごしているのはたった４人なのだ。

森下と話しながら朝を迎える。絶食とは言っても水分補給とアルコール補給は許してもらっている。また、主治医からは飯を食べずに酒を飲むんだったら酒を飲む前にチーズをかじれ。さもないと去年のように十二指腸潰瘍が再発するぞと脅されている。ゆえにチーズだけは勘弁してもらっている。あとは一日一食のコーンスープ。一杯のカップスープを長時間かけて味わう。今の俺は日本中で最もコーンスープをおいしそうに飲める一人だと自負しているのだが。

異常に鼻が効くようになった。同じ教室内ではなく、隣りの部屋で生徒が食べている食事の匂いがかぎ分けられる。「くそ、あの野郎！焼ソバ食っていやがるな」　生徒も俺に気を利かして隣りの部屋で食っているんだろうが、そんな気遣いするくらいなら英単語を覚えやがれ！

あゆみに次いで由子のテンションが上昇してきた。由子の場合はあゆみと違い、ナチュラルに英語ができるタイプだ。津東でトップクラスの英語を保持してはいたが、指定校推薦で動いたために高校の勉強オンリーとなり本質的な英語の実力が瓦解してしまった。志望大学を関西外語に設定、一般受験で行くとの覚悟も決めたこともあり、今回のイベント？は渡りに船のはず。この調子でいけば、このツアーでの古い塾への渡航者第一号になると思われる。

今日は父の日だった。髪を染めて以来、仲がこじれている俺とお袋だったが、越の寒梅持参で久しぶりに実家へと出向く。とは言っても話すのもおっくうなので、娘のれいとめいを拝み倒して連れていった。実家へ行く前にジャスコに寄り親父のために刺身を買う。滅多に奥さんの買い物に付き合った経験がない俺、父の日をターゲットにした刺身の数々・・・うまそうやな。

この日は里絵の国語の授業。
終わったのが深夜０時をゆうに越えている。気分は最低！なようでウチの生徒に何か粗相があったのかと気をやつす。

　第二週へ続く

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