技術的体験談＆雑談 - 株式会社赤塚空調設備

技術的雑談　Technical chat

エアコンの取付けには、銅管・電線・ドレンなどの専用材料や、銅管カッター・フレア加工・真空ポンプなどの特殊工具が必要で、ＤＩＹでの取付けには少々敷居が高いと思います。
ましてや銅管接続の際のトルクのかけ方も慎重に行わないと、それが元で冷媒ガスを抜かしてしまったら、ガス補充に結構な金額が掛かってしまいます。

でも、現在使用しているエアコンの取外し工事なら、器用な方だと何とか出来るんじゃないでしょうか・・・っと言う事で、一般的な標準据付工事で施工されているエアコンの取外し方法をまとめてみました。　　※参考にされる際、工事は自己責任でお願いします。

銅管内の冷媒ガスは「ポンプダウン作業」で室外機に戻しますので、この作業を行えば移動先（取付け先）でのガスチャージ＆補充は必要ありません、但し取外し時、電源が既に切られている所ではガス回収（ポンプダウン作業）は出来ません。

【手順１】室外機の配管カバーを外し電線やバルブ、フレア接続部を露出させます。
エアコンゲージが有る場合はサービスバルブにゲージをつなぎます。

【手順２】バルブのナットを外し、４mm（６mmの場合も有ります）の六角レンチで高圧「ガス」側（細い方）のバルブを全閉します。

【手順３】室内機のリモコンで冷房運転をします、夏以外（約２０℃以下）では冷房運転が出来ませんので本体の「強制冷房ボタン」で運転します。
※「強制冷房ボタン」が無い場合は本体内部のサーモ部（室温を感知する部品）をドライヤーの熱風などで暖め強制的に冷房運転をさせます。
※暖房運転ではガスの流れが逆になるためポンプダウンは出来ません、必ず冷房運転します。

【手順４】室外機のコンプレッサーが回りだすと配管内圧力が徐々に下がっていきますので、ゲージの”零点”を超えた位で低圧「液」側（太い方）のバルブも全閉します。
※基本的にはゲージを用いますが、ゲージが無い場合は冷房運転を長めに（1分～１分半位）運転させます、コンプレッサーの音が大きくなり配管内は真空状態になりますが問題は無いでしょう、またバルブの開閉操作によるガスの流れる音でも判断出来ます。　
※バルブ閉じでの長時間運転はコンプレッサー破損の恐れありますので注意して下さい。

　

【手順５】室内機のリモコンで、冷房運転を止めてコンセントを抜きます。

【手順６】室外機接続部のフレアナットをゆっくりと緩めて、配管内の圧力を外気圧に合わせます、この時にガス圧が高い様でしたら、ポンプダウン作業が上手く出来ていない可能性が高いので、もう１度バルブを開いてガスを開栓し、最初からやり直して下さい。

以上でポンプダウン作業は終了です、配管内のガスが室外機に戻りました、慣れれば５～１０分位の作業です、ポンプダウンが完了すれば、次は室内機・室外機の接続を外す作業になります。

冷媒配管（銅管）は室外機側2ヶ所と室内機側２ヶ所、計4ヶ所のフレアナットを外します。
室外機側の冷媒配管外しは、外機部のフレアナット2ヶ所を緩めるだけで問題無く外れます。

室内側は、右（横・下）配管・左（横・下）配管により、フレアナットの位置が変わってきます。
室内機側から見て配管が右裏出しの場合は、フレア接続部が外部に有りますので、接続部を剥き出しにし、２丁のスパナを使って外します。　※但し壁の厚みが３０ｃｍ以上（メーカーにより誤差が有ります）ある場合は壁内に接続部が隠れている可能性が有ります。

　

向かって左穴配管の場合は「室内配管」・「左出し配管」の状態でフレア接続部が室外側に出ておらず、室内側（室内機内部）で接続されている状態です、まず外部のテープを剥ぎドレンホースが自由に動くようにします、室内機の下側に有るロックを外し下側をゆっくりと浮かします（この時ドレンが自由に動かないと浮かせません）、すると浮かした隙間から配管接続部が見えます、狭くて外しにくいですが断熱を剥いで２丁のスパナを使って外します、この左配管の方が難易度は高いです。

※荒業ですが、外部の配管出口でドレン以外の配管・電線を「鉄のこ」等でまとめて切断してしまうと言った方法も有ります、配管は短くなりますがこちらの方が簡単です。

その他、室内側に約４０ｃｍ以上（メーカーにより誤差有）の配管が出ている場合、室内側にフレア接続部が有りますので、右裏出し同様に接続部を剥き出しにし２丁のスパナを使って外します。

配管、ドレン、電線（お掃除エアコンや換気付エアコンは専用ホース）が外れれば、室内機を取外すだけです、室内機は上で引掛けて下でロックされている物が多く、ロックは引いたり押したりと外し方はメーカーによって様々です。

最後に配管の接続口をテープなどでしっかりと閉じます、エアコン配管時の大敵は”埃”と”水分”ですこれらが配管内に入ってしまうと殆ど異常で止まってしまいますので、再利用の場合は繊細な注意が必要です。

※取外し後のエアコン配管穴は、雨や虫が入らないように処理します。
※取外した配管の端末処理も水分やほこりが入らないようにテーピング処理します、３年以上使用した配管（銅管）は年経過と共に劣化で銅が硬くなり、フレア再加工部分からガス漏れの恐れが有りますのでお薦めできません。　※当社は再利用はしません。