そうしたくなる… ぴかろん
映画を見終わって廊下に出た
まだ九時だった…
「打ち上げには早いかな…どうする?パーティ会場に戻る?」
俺はおじさんに聞いた
おじさんは俺をじっと見ていた
「ねえ…喉渇いちゃったしさ、パーティーんとこにいこ…」
おじさんが俺を抱きすくめ、俺の唇を奪う
何度もされたのにまだ慣れない
おじさんは機敏で、予測のつかない方向へ動いて俺を捕まえる
仄暗い廊下の壁に背中を押し付けられて
俺は身動きできなかった
きっとおじさんの手が
また俺のシャツの裾から俺の肌へと伸びてくるんだ…
ああ…さっき見た映画のシーンが
いくつもいくつも思い出される
いいよ…おじさんがしたいなら…
いつもより情熱的なキスで俺の舌を翻弄するおじさん
でも…
手は伸びてこなかった
いつまで待っても…
「…ラブ…」
唇を離し、額をくっつけておじさんは俺の目を覗き込む
「僕は…お前を」
「聞きたくない!」
俺はおじさんの言葉をさえぎった
「どうして?」
「イヤだ…怖い…」
「怖い?…怖いことなんか言わないよ…」
「聞きたくない…」
「ラブ…でも…」
「聞きたくないったら!離してよ!」
俺はおじさんを押しのけてパーティー会場に飛び込んだ
おじさんは俺のあとを追いかけて腕を捕まえようとしていた
どんっと誰かにぶつかってしまった
「すみません…」
「…」
やばい…ギョンビンだ…
「ラブ君…兄さん…」
「ギョンビン…」
「…はぁ〜…追いかけっこ?…ならちゃんと前見て逃げなよ…
大体なんで逃げるのさ!兄さんが追いかけてくれてるのに!」
棘が…皮膚にひっかかる気がする
「ギョンビン…お前」
「イナさんはもういいの?いい加減どっちかに決めてよね!周りの者が迷惑するんだ!」
「…お前どうしてラブに辛く当たるの?」
「…え…」
「お前らしくない…ラブに対してどうしてそんな」
「おじさん!気のせいだよ!」
「…」
「ごめんね、俺がぶつかったのがいけないんだ…」
俺はギョンビンにこれ以上何か言われるのがイヤだったのと…さっきの映画での切なげで可愛らしくて嬉しそうなギョンビンを思い出したのとで
この会話を切りたくなった
それで俺はまた…逃げ出した
「逃げるなよ!」
「ギョンビン!」
「兄さん!言ってるだろ?…このままじゃ…ラブ君が…気の毒だよ…かわいそうだよ…」
「ギョンビン…」
「僕の自慢の兄さんの恋人として、あいつがふさわしいかどうか…ふふ…わかんないけどさ…」
「…ラブを嫌いじゃなかったのか?僕はてっきり…」
「兄さんを盗ったから…ちょっといじわるしたくなった…」
「…ちょっとなんてもんじゃないぞ…お前、キツいんだからな…」
「…やっぱ…やっぱ嫌いかも…」
「…」
「…兄さんが態度決めなきゃ…あいつ…」
「うん…」
「…?…決めたの?」
「…決めたっていうか…」
「はっきりさせなよ!イライラするよ!」
「…お前は?お前は大丈夫なの?」
「僕達は…結婚したようなもんだから…」
「え…」
少し離れたところで、そっくりの兄弟を見た
怒ったような顔をしていたギョンビンは、おじさんと話すうちに、柔らかな顔になっていった
俺は、ジンジャエールを貰って飲んだ
乾いた喉に柔らかな刺激が広がる
おじさん…なんでさっき…俺の体を触らなかったの?
よかったの?触んなくても…
「もう少しで見えてきそうなんだ…」
「ふぅん…」
「なんだよ…」
「結構真剣?」
「…真剣だよ…」
「へぇ…兄さんにとっちゃ恋なんて遊びなんだと思ってたんだけど…」
「…」
「…どっちに転ぶのか楽しみ…。だけど早く決めてくんなきゃ、僕またラブ君に突っかかっちゃうかもしれないよ」
「やめろよ!」
「だぁって!…苛めたくなるような目、してるんだもん…」
「…ギョンビン!」
楽しそうに笑うおじさんとギョンビンを見ていた
よかったね、おじさん
俺…もうお払い箱?
そんなことば、自分が思いついたくせに、
俺は体が震えて泣きたくなった…
曇らぬ鏡 足バンさん
僕はミーティングまでに部屋に戻りシャワーを浴びた
「じゃ僕はちょっとシャワー浴びてくる」
「むっ」
「なんだよ、むって」
「なんでシャワー浴びんのよ!」
「汗かいたしタキシード脱ぎたいし頭のオイル落としたいから」
「後にすればいいじゃない」
「ドンジュン…おまえなんか誤解してない?」
「なんの誤解さ」
「じゃいっしょに浴びる?」
「ばっかスヒョンっ!」
僕はドンジュンの口にデザートのプチケーキをひとつ入れてやって出口に向かった
戸口で振り返るとドンジュンはそのへんのケーキをまたぱかすか口に詰め込んで
そして大きなため息をついている
まったく…何するんでもすぐ振り切っちゃうやつ
浴室の鏡の中の全裸の自分を見た
曇った鏡の中の僕は思ったより心細そうな顔
考えてみれば今までにこんな状況を経験したことはなかった
いつも自分の思うように過ごしてきた
好き勝手やってきた
いつもその時の相手の満足と快感だけを考えてきた
相手が歓べば自分も嬉しかった
ミンチョル…こんなに心囚われるようなことがなかったから
ドンジュン…こんなに無くしたくないと思ったものなんてなかったから
鏡の曇り止めスイッチを入れる
瞬く間に鏡はそのけむを消し、僕の姿があらわになった
おまえは今日、はじめて自分に宿った想いをその相手に伝える
ごまかしのない自分の言葉で
そして相手の自分への想いをゆっくりひもといて
帰る場所への道しるべを指差してやる
手を引いてゆっくり戻ろうと言ってやる
その道しるべの先にはおまえの帰る場所も待っている
お父さん…どう?…今度の僕の答えはこんな風だよ…
シャツとジャケットに着替えさっぱりするともうミーティングの時間だった
急いでホール横の会議室に向かう
会議室では世話になったスタッフが気軽に挨拶してくる
ミンチョルはもう来ていて席に着いていた
その隣に座る
「なんだ…まだその格好だったのか?」
「ああ着替える時間がなくて」
「食事はした?」
「あ…あぁ…」
「なに?」
「いや…ちゃんと食べた」
わかりやすいやつ。ただの食事じゃなかったのかな
テジュンさんが慌ただしく入ってきてミーティングが始まった
ミーティングといっても簡単な報告と多少のトラブル、アクシデント、
衛星中継の反響、そして経済的な観点からのあまり僕たちには関係ない報告
組織っていうのはこれをやらないとどうしても終らない
テジュンさんはすごい勢いで進行させている
このあとラウンジでまたひと仕事あるからと聞いているが
イナが気になっているに違いない
その点はミンチョルとふたりで密かに同意した
「ラウンジでカクテルが振る舞われるらしいよ」
「…でも…」
「なに?」
「みんないるんだろう?」
「僕たちの逢瀬は別の場所だよ、ちょっと顔出すだけだ」
「ばか逢瀬って言うなっ」
「今、みんながいると嫌だって思った?」
「思ってないっ」
「じゃラウンジのど真ん中にテーブル用意してもらおうかな」
「う…」
「あのー、ミンチョルさんたち聞いていただいてますか?」
テジュンさんの困ったような遠慮したような声で僕たちは口を閉じ
叱られた生徒のように下を向いて笑った
お互い椅子に座り直したとき、ミンチョルの左足と僕の右足が触れあった
その後しばらく続いたつまらないミーティングの間
僕たちはどちらもその足をどけようとはしなかった
うらはら ぴかろん
ギョンビンがラブに辛く当たる理由はなんだろう…
僕に対する嫉妬なの?
ギョンビンにはミンチョルさんがいるっていうのに…
「僕、今晩アイツを見かけたら、絶対意地悪言っちゃうと思うよ」
「だから…やめろっての…」
「やめて欲しけりゃ自分でそういうだろ?大人なんだから!僕、思ってる事言えない奴見るとイライラするの」
「昔っからかわんないね、お前…」
「…兄さん譲りなんだよ、意地悪は…。アイツにだけしかしないからさ、じゃあね」
ギョンビンは手を振ってドンジュン君の方へと向かった
まったく…キツい男…
ところで…ラブはどこ?
…いた…
イナと話している…
イナとラブ…
「決めたの?」
「このままじゃ…ラブが…気の毒だよ…かわいそうだよ」
決めたもなにも…イナにはテジュンさんがいるんだし…
いや、そんな事じゃなくて…
そんな事じゃなくて…
「俺さ、もう、テジュンしか見ない!」
「…じゃ、おじさんはどうなるの?おじさん、イナさんの事、好きだよ」
「それは知ってるけど…でも、よそ見してたら…テジュン…テジュンがよそ見してしまうもん…」
イナさんはそう言いながら俺の顔を上目で見た
なんか聞きたそうだね…
「おまえさ…テジュンと…ほんとに何にもない?」
「何にもって?」
「…その…あの…」
「テジュンさんと話してもダメってこと?」
「らってあいつ、お前にウインクしたり手ぇ振ったり…」
「そんなのもダメなの?」
「…いいけど別に…」
「テジュンさんもイナさんが好きなんだよね〜。あーあ…俺がちょっとイイなって思う人、みぃぃんな…イナさんの事が好きなんだもんな…
イヤになっちゃう…」
「…ラブ…」
「でも俺はおじさんが好きだよ」
「…俺…俺ホントにテジュンだけ見つめるから…だからお前、ギョンジンの事…頑張れ!な?」
頑張れって…これ以上何をどうすればいいのさ…
頑張ったからって俺を好きになってくれるかどうかわかんないじゃん…
「そんな事言ってさ、ここにおじさんが来たらどうする気?
さっきからテジュンさんが打ち合わせに行っちゃってしゃびしいしゃびしいって言い続けてるじゃん?」
「らから…てじゅがいないから…しゃびしいら…」
「寂しさに乗じておじさんの唇奪おうとか思ってない?」
「…」
「…やっぱ思ってるじゃん…」
「ちがう…もん…。俺はべっつに…奪おうとなんて…。あれはアイツが勝手に…」
「…」
そうだね…
イナさんとのキス、おじさんからってパターンもよくあるよね…
無邪気なイナさんは…そういう事実を俺に伝える事が深い傷を負わせるなんて思いもしてない
無邪気なイナさんは…思ったことをすぐに口に出す
邪気のつまった俺は思うことを何も言えない
吐き出してもどうにもならない…
もう…こんな苦しい思い…捨ててしまいたい…
おじさんなんか嫌いになればいいんだ…
それができればいいのに…
俺は自分がバラバラになったとしても
きっとおじさんが好きだという気持ちだけは捨てられないんだろう…
「じゃあ、イナさんがおじさんと何もしなかったら、俺もテジュンさんに何にもしないってのはどう?
そのかわりイナさんとおじさんがキスしたら、俺だってテジュンさんと…しちゃおっと」
「らめっ!」
「だから〜、イナさん、おじさんとキスしなきゃいいんじゃん!」
「…れも…」
「…れもじゃないよ…自信ないの?」
「…ふ…」
「まったく…『ふ』じゃないでしょ?もうっかわい子ぶって!しょうがない人だなっ!」
「…ぶー…」
ホントに俺より年上?
可愛い…
「くふふ…おじさんもテジュンさんもイナさんの事が好きだっての…解るな…かわいい〜っ、俺、チューしちゃおーっと」
俺はふざけて口をとんがらせ、イナさんに迫ってみた
イナさんは平手で俺の口を押し戻しながら「らめ〜っ!」と叫んだ
くふふ…くははは…
いい大人がこんな事…
イナさんらしいよ…あはは…
ふざけている俺に目隠しする人がいる
シャワー オリーさん
ロビーで待ってるから、とスヒョンは言った
その前にラウンジの打ち上げにちょっと顔を出す、とも言った
僕はため息をつくとタキシードを脱ぎ捨て、
シャツのボタンをはずしながら浴室へ入った
浴室の鏡の中に、いつもと違うヘアスタイルの僕がいる
案外似合うじゃない、その髪型
ミンはそう言って僕の髪に軽く唇を寄せた
その同じ唇がさっき僕の指から香ばしい肉をさらっていった
肉を噛みながら、かすかに僕の指に触れたミンの唇
目まいがするほど愛しい
指で鏡の中の自分の唇をなぞってみる
閉じているつもりでも
いつもかすかに開いてしまう僕の唇
無機質な感触
何のぬくもりもない
僕は何をしたい…
僕は何を望んでる…
考えても出ない答に首を振り、
僕はシャワーのノブをひねった
たちまちシャワールームに湯気が立ち上り、
僕はもやの中に入っていった
頭から顔へ、顔から首へ、首から胸へ
暖かいお湯が僕の体を伝わっていく
ミンが抱いてくれた肩、
ミンが掴んでくれた腕
ミンが抱いてくれた背中
そしてさっきスヒョンと触れ合った足…
そのひとつひとつにシャボンを泡立てる
僕が望んでいるのはミン
僕が求めているのはスヒョン
これが僕の答?
ふと、あの父の言葉が聞こえた
お前は簡単に人を好きになれる人間じゃない…
そうだよ、父さん
僕は、めったに人を好きにならない
子供の頃から家族の愛も知らずに育ったから
あんなやり方でしか
大事な人を引きとめておけなかった父さんの子だから
どうしてこんなに、僕は父さんの子なのか
人の愛し方を知らない
シャワールームから出るとバスローブを引っかけ
そのまま冷蔵庫に向かう
ミネラルウォーターのボトルを取り出して一気に飲んだ
冷たい水が唇からあふれ首へと伝わる
今日は帰らないかも…ミンはそう言った
なぜ言ってやらなかった?
僕はすぐ戻るからミンも早く戻って
それから一緒に飲もう、と
なぜあの鶏の由来を教えてやらなかった?
中国では式のときに
これを二人で割るんだ、と
髪を乾かすと鏡の中にはいつもの僕がいた
罪深い愚かな僕が
クローゼットからシャツを取り出す
薄紫のシルクのシャツ…
考え直して白いシャツを着た
せめてシャツくらいは…
何を着たって同じなのに
自分の愚かさに苦笑した僕は、皮ジャンを掴むと部屋を出た
今度このドアを開けるとき、
僕は自分を許せているだろうか…
夜風 れいんさん
パーテイ会場は祭の後の充実感と解放感に溢れていた
そこかしこに肩を叩きあったり笑い合っている人達
空のグラスやお皿をせわしなく運ぶスタッフ
僕はすぐにテジンさんの姿を捜した
ひととおり見渡して、まだ来ていないのかと諦めて飲み物を取りに行こうとした
すると真後ろから声がして、僕の顔の傍にすっとシャンパンが差し出された
「飲む?」
テジンさんだ
僕はくるりと向きをかえた
「まだ来てないのかと思いました」
「僕を捜してた?」
「え……いえ…まあ」
「ふふ…何か食べる?…おいで」
テジンさんはてきぱきとオードブルをお皿に盛って僕に持たせてくれた
僕はそのままテジンさんの端正な横顔を見つめていた
「何?僕の顔に何か書いてある?それともそれ、僕が食べさせてあげる?」
「いえっ!そんなんじゃ…」
僕は慌ててお皿の物を口に押し込んだ
なんだか胸がいっぱいで…喉につかえる…
僕…なんでこんなにドキドキするんだろう…
そんな僕に向けるテジンさんの眼差しは、すごく…優しかった
「少し風に当たろうか…」
僕とテジンさんはグラスを持ったまま、すぐそこのバルコニーに出た
風が頬に心地よい
風にそよぐ髪が額をくすぐる
僕達は手すりに肘を乗せ暮れかけている景色を眺めた
「綺麗だな…」
「はい…」
「何度も見た景色なのに、今日はいつもと違って見えるよ」
僕もそう思います
それはあなたと見ているから…
僕はそれを口には出さなかった
だって、そんな事言ったら、テジンさんはまた僕を優しく見つめて…
僕はまたドキドキしてしまう…
「スハ、この後の打ち上げには行くの?」
「あ…ええ。前にテプンさんに誘われました」
「そう。…じゃあ楽しんで来いよ。僕もどこかで時間潰してるよ」
「でも、本当は僕…テジンさんとずっと一緒にいたいな…」
ついそんな事を言っちゃったから、テジンさんが僕の顔を覗き込んでにこりと微笑んだ
「せっかくだから行ってこいよ。テプン達とももっと仲良くなりたいだろ?」
「…はい。なるべく早く切り上げて…あ、こんな事言っちゃテプンさんに悪いですね」
「ははっ…調子に乗って飲みすぎるなよ。あんまり酒は強くないんだろ」
テジンさんは笑って僕の髪をくしゃっとした
「僕が帰ってくるまで待ってて下さいね。絶対起きてて下さいね」
「うんうん、わかった。…待ってるから」
僕は少しほっとして視線をまた外の景色に戻した
「スハ…。今夜はここでの最後の夜だから…朝までずっと一緒に過ごそうな」
「え…」
僕の胸の鼓動がまた速くなりだした
…朝まで一緒にって…
言葉通りの意味だよね…
ただ一緒にいるって事だよね…
「馬鹿だな…そんな意味じゃないよ。最後の夜だから…ただ二人でずっと話していようって事だよ」
「そ、そうですよね。…あはは…僕ったら…」
「どういう意味だと思った?」
「だから…その…僕、前に混乱してて…変な事言っちゃったから…」
「…僕を抱いてって言った事?」
「テジンさん!」
僕は慌てて両手で彼の口を塞いだ
テジンさんは笑いながら僕のその手を握った
それから少し真顔になって僕の肩に手を回し引き寄せた
「もし僕が…おまえを抱きたいって言ったら…?」
「えっ…」
「ふふ…またそんな顔する。…心配するな。僕達ちゃんとケリがつくまでは…だろ?
いいさ。待つのには慣れてる。…大事にしたいんだ。わかってるだろ?」
僕は胸がいっぱいで何も言えず、ゆっくりと彼の肩に頬を乗せた
彼の手が少し強く僕の肩を抱いた
さっきより冷たく感じる夜風が火照った僕の横顔を撫でた
うらはら 2 ぴかろん
おじさんだね…
「なによ!今イナさんと遊んでるんだか…」
おじさんのキスが俺の肩越しに唇を襲う
目の前にイナさんがいるはずだ…
何もイナさんの前でこんな事…
「…ん…辞めてよ…」
「ラブ…」
「イナさんがいるだろ?今テジュンさんいなくってイナさん寂しいんだから刺激すんなよ!」
「好きだ…」
なに…
突然なにいいだすの?!
「僕はお前が好きだ…」
そう…
何度か聞いたよ…
だから…
だから
「何番目に好きなの?」
「ラブ…」
「目隠し辞めてよ」
おじさんはそっと手を離した
イナさんは違うところに行ってしまってた
本当に、テジュンさんしか見ないつもりでいるのかな…
「おじさんがキスなんかするからイナさん逃げちゃったじゃないか!」
「目隠しした時に向こうへ行っちゃったよ」
「…おじさんを見て?」
「ん…ああ…」
なんだ…
イナさんの前でキスしたわけじゃないんだ…
そんなことできるはずないよね…
「あのね、イナさんと決めたの。イナさんがおじさんとキスしちゃったら、俺もテジュンさんとキスしちゃうって…」
もうしちゃったけど…
「ばか…」
「それでいくと、イナさんとおじさんが寝ちゃったら俺もテジュンさんと…」
「ラブ…聞いて…」
「何を…」
「僕はお前が好きだ」
「…それは…簡単に抱かせてくれそうだから?」
「そうじゃない…前にも言ったよね?抱くのならちゃんと好きになってからだって…」
「…だから…だから…抱きたくなったから好きだって言うんでしょ?」
「どうしてそんな風に言うの!」
「…」
「僕を信用できない?」
だって…だっておじさん…俺の事好きって何度言った?
俺に傍にいてほしいって何度言った?
俺を見て過去を何度思い出した?
思い出すたびにイナさんのところへ行ってしまうくせに…
いつもイナさんのところへ…行ってしまうくせに…
「イナの事は確かに好きだ…あの瞳を見ると、吸い込まれそうになる…
でも…ずっと傍にいて欲しいと思うのは…お前なんだ…」
「…俺なんて…」
「正直、まだ揺れるかもしれない…でもラブ…これだけは覚えておいて…
僕は…お前と一緒にいたい…イナじゃない…お前といたい…」
「…イナさんへの気持ちは?まだ残ってるのに俺を選ぶっての?」
「イナに惹かれる気持ちと、お前を好きだという気持ちは違うんだ…うまく言えないけど…」
「…」
「…お前が…欲しい…」
後ろから抱きすくめたまま、震える声で呟くおじさん…
俺を…欲しがってくれてるの?
本当に?
信じていいの?
聞きたかった…でも声が出ない
胸が一杯になって涙が後から後から零れ落ちる
ほんとに?
ナイフの雨はもう降らないの?
「打ち上げの後、僕の部屋に来て…」
「…え…」
「お前といたいから…」
体中がざわめく
おじさんの香りに包まれ、おじさんの言葉に酔いしれて、今すぐにでもおじさんの部屋に行きたくなる
でも…
おじさん…
本当にそれでいいの?
俺なんかでいいの?
「来てくれるね?」
「…俺を…抱いて…くれるの?」
イナさんへの想いを残したままで?
そんなの…だめだよ…
おじさんは俺の首筋に口付けを落とし、そのまま息を吐くように
「ああ…」
と低く返事した
喜びよりも不安が先に立つ…
抱かれた後…その後、俺…捨てられるんじゃないのかな…
期待はずれだったって、離れていくんじゃないのかな…
けど、もしそうなったとしても…おじさん…
俺…後悔しない…
たとえイナさんの身代わりだったとしても…
俺は…俺は…ずうっと…おじさんの事…欲しかったから
会った瞬間からずうっと…欲しかったから…
こんな気持ち…初めてなんだ…
俺にとって…最初で最後の恋なのかもしれない…
おじさんのほかに好きな人なんて誰も…誰も…
俺の肩を抱きしめているおじさんの腕に、俺は頭を乗せておじさんの香りを吸い込んだ
「なんていう香り?おじさんの香りは…」
俺の耳たぶを捉えたおじさんの唇が、ため息をつくように俺に囁く
「ん…OBSESSIONっていうの…今日のはね…」
俺の体を疼かせ続けたのは…そんな名前の香りだったの?
「好きだ…ラブ…好きだ…」
包み込まれていく…おじさんの香りと囁きに
堕ちて行く…底なしの部屋の中に…
それでもいい…どんな理由でも…おじさんが俺を選んでくれた…
ああ…俺のナイフよ…お願いだから落ちてこないで…そこで留まっていて
たとえ捨てられても…俺…あなたを…恨んだりしないから…
【66♪哀しい色だね byラブ】ロージーさん
いつもの4人..five 妄想省mayoさん
「…お前が揺れてどうする…」
そういったちぇみは僕の肩を叩いたあと..
腕を組み..目を伏せ気味に床に視線を落としている..
僕はちぇみの横顔に心で問うた..
好きなんでしょ?
平気なの?僕が闇夜を抱いても..
闇夜も本当に望んでるのは..僕じゃないかもしれない..
違う?
テスもいるのに..闇夜も欲しいの?
ほんとは闇夜もそうしたいの?
僕は正直揺れていた..
僕の視線に気づいたちぇみが口を開いた
「テソン..」
「ぅ..ぅん..何..」
「迷ってるのか..」
「ちょ..ちょっと..」
「テソン..」
「ぅん?」
「闇夜を..中途半端に守るなら..」
「…」
「今すぐ闇夜を離せっ#..」 ちぇみは短く低く響く低音で言った..
「ちゅ..中途半端じゃないっ!!..僕は..」
僕はつい語気を荒げた..
側に立っていた何人かの人物が僕の声に振り返る..
僕を見たちぇみは眉間にしわを寄せ..切ない哀しい顔をしていた..
「…ちょっと出よう…」
僕の肩に手を置き.. ちぇみが言った..
僕は少し前方でテスと一緒にいる闇夜を見た..
闇夜はその場にじゃがみこんでしまっていた..
足元には割れた皿がちらばり..チョコのプチケーキが転がっていた..
テスはちぇみにゆっくり頷き..闇夜の頭を撫でている..
僕は肩を掴んだちぇみと一緒にパーティー会場を出た..
mayシがチョコのプチケーキを口に運ぼうとした瞬間..
テソンさんの低音の怒声が聞こえた..
mayoシの手から皿とケーキがするっ#.っと床に落ちた..
僕の視界からすぅっ#ッと消え.. mayoシはその場にしゃがみこんでしまった
ちぇみが僕にいつもの頷き顔をした..
僕はちぇみにぅんぅんと頷いた..
ちぇみとテソンさんがパーティー会場を出て行った..
mayoシは虚ろに皿の破片を拾い始めると..「ぁっ..」と呟いた..
破片で指を切っていた...
「ぁ..ぃぃってば..」
僕は咄嗟にmayoシの指を取り..
ホテルのボーイが来るまでmayoシの指を銜えていた..
ボーイが来て床の皿を片付け..カットバンを貰ってmayoシの指に巻く..
「ごめん..テスシ..」
「いいよ..ほら..立って..」
腕を掴んで立たせてから僕とmayoシは会場の隅に移動した..
今にも泣きそうな顔を僕のくりーむぱんで包んであげた..
パーティー会場のホールを出て外へ出る..
中庭の木の下まで来るとちぇみは僕の前に立った..
「テソン..お前の..」
僕はちぇみの言葉を遮るように言った..
「ちぇみ..聞いてもいい?」
「何だ.」
「闇夜のこと..好き?どのくらい?僕より好き?」
「聞きたいのか..」
「聞きたい..」
「気になるのか..」
「気になる.」
「どうしてもか..」
「どうしても」
僕が一気に言うとちぇみは腰に手を当てた..
一旦下を向いてうつむき..大きくため息をついた
ゆっくりと顔を上げながら目を開け..ちぇみは真っ直ぐに僕を見る..
「テソン..はっきり言っていいか?」
ちぇみの深い瞳は僕をも飲み込みそうだった..
忙しいテジュンさん ぴかろん
俺はずっとほったらかされてる
それってなに?
試されてるって事かよ?
俺は最初、パーティー会場で忙しく飛び回るテジュンの後をくっついてまわった
けど
「邪魔!」
と怒鳴られてオードブルが並んでるテーブルに大人しく立っていた
ラブが来たので話をした
俺とラブの約束
俺がギョンジンにちょっかい出さなきゃラブはテジュンに何にもしないって約束
ん
わかった
俺はテジュンしか見ないって決めたから頑張る!
あれ
でも
今までに何にもしてなかった?
ほんとうに?
話しただけ?
手ぇふったり笑顔送ったりウインクしたりしただけ?
その手だの笑顔だのウインクだのの行動はどうして出てきたのさ…
誤魔化されたような気がする…
ラブに詰め寄ろうかと思ってた矢先にギョンジンが来てラブに目隠しした…
俺はそこから離れた
そんな事してるの見たくないもん!
いや…見ているべきだったのかな…
俺が揺れずにあの二人の行動を見ていられたら…それはきっと俺がテジュンしか見てないって事の証明になったかもしれない…
れもさっき決心したばっからもん!
しょんなときに決心が揺れ動くような行為を…しょれもギョンジンが絡むとなったられったいにみだらに決まっているし…
見たくないじゃん!ふんっ!
一人でセロリスティックを食べた
なんにもつけずに食べた
ほろ苦い味が口の中に広がって
シャリシャリという音が耳に響く
塩なんかつけてないのにしょっぱいのはなんでさ…
ぐしゅっ…てじゅのばか…
ひとりにしないでよ…
「はあはあはあ。やっと終わった。さあ行くぞ」
「てじゅ。てじゅうう〜」
はむはむしゃくしゃくはむはむはむしゃく
「お前…こりぇにゃに…きもちわりゅい…」
「しぇろり…」
「うう…ろみこめらい…」
飲み込めない?!なんれしゃ!俺の愛情たっぷりの唾液入りセロリがなんで飲み込めないのしゃ!
俺はミネラルウォーターの瓶をテジュンに渡してやった
テジュンは涙目で水といっしょに俺の愛情エキス入りセロリの噛み砕きを嫌そうに飲み込んだ
「ぐえ〜きもちわりぃ…変なもの口移しするな!」
「…セロリ嫌いだった?」
「セロリは好きだ!でも噛み砕いたものは嫌いだ!」
「おれのあいじょうがはいってりゅのに?」
「普通の人はこんなもん気持ち悪くて食えない!僕だから飲み込めたんだ!礼を言え!」
しゅぐに怒る…ぐしゅっ…
「また泣く!なんだお前、どうしたんだ!」
「てじゅがちゅめたいからぁぁぁ」
「喚くな!」
「ひいいん…」
「…」
「ぐしゅ…」
「ちゅ」
「ひひん…」
「ひひんじゃないよ…今からラウンジでカクテルつくるんだ…一緒に来るか?」
「行くッてちゅだうっ」
「…手伝わなくていい…グラスを割りたくないからな…」
「…ふ…」
「大人しく座っててくれる?」
「…ん…」
「…ちゅ…ちゅちゅちゅむちゅむ…」
はへん…ああ…いじわりゅのあとのはむちゅうはしゃいこうら…
ってこれホールでも言ったような気がするじょ…はふん…
「今度はお前が飲み込めよ、僕の愛情エキスを…」
へ?
「何しょれ…」
「コホンケホン…行くぞ」
「あ、待ってよ、何の事さ…」
スヒョンがテジュンに何か声をかけている
テジュンは一瞬哀しそうな顔をしてスヒョンに何か言った
またスヒョンがにっこり笑ってテジュンに答えた
するとテジュンの顔は晴れやかになって、スヒョンの手を握ってブンブンと上下に振った
それから俺の方を見てくいっと長い指を曲げて手招きした
俺はテジュンのところへ飛んでった
スヒョンが優しい目で俺達を見て去った
「何喋ってたの?」
「ん?なんか用事があるからラウンジに顔出したらミンチョルさんと二人ですぐに出て行くんだって」
「ふうん」
「でも一杯だけ僕のカクテル飲んでってくださいようってお願いしたら快諾してくれた…うふふふ…」
「へぇん…」
「お前にも作ってやる…」
「はふん…」
「愛情エキスたっぷり入れてやる」
「ああ…カクテルのことだったの?」
「…」
「ん?」
「いや…カクテルもそうだけど…」
「なに?」
「…」
「なにさ…」
「いつかは…」
「?」
「飲ませてやるからなっ!ひひっ」
テジュンは酷くエロい顔をして笑った
なんのことかさっぱりわかんにゃい???
その森へ 足バンさん
ロビーでスヒョンを待つ間、僕は妙な気持ちだった
どこかうしろめたく憂鬱で不安…なはずだった
ただの話だ、なんの遠慮もいらないじゃないかと言い聞かせ
すぐにミンの元に電話をする自分を思い描いた
しかし次第に気づいた
ロビーに人の気配がするたびにスヒョンを捜している自分に
思春期の子供のように心待ちにしている自分に
エレベーターホールの角にスヒョンを見つけたとき
僕は高鳴ってしまった気持ちを必死に打ち消した
「ちょっとラウンジ行こう」
「え?いや僕は遠慮する」
「テジュンさんが待ってる、彼の顔はつぶせないだろう」
「スヒョン…」
「ギョンビンたちがいるから嫌なの?」
「ああ…」
僕はしばし考えてそしてミンチョルの手を掴むと
エレベーターに向かって歩き出した
ミンチョルは少し抵抗したが黙って後をついてきた
こういう時の僕には何を言っても無駄だとわかっているんだろう
エレベーターの中でも僕は手を掴んでいた
「もう離せよ」
「だめ」
うす水色のシャツと白いジャケット、ジーンズはスヒョンに良く似合う
そんなスヒョンが片手をポケットに入れ片手で僕の手を引いている
僕は自分が男に連れられて行く少女になったような気がして
ひどく恥ずかしかった
ほの暗いスカイラウンジではもうかなりの人数が集まっていた
店内に入る寸前にスヒョンはやっと僕の手を解放した
かなり離れた窓際の席にミンとドンジュンがいるのを確認して
僕たちはカウンターの一番隅に座った
僕はふたりが気になったが、スヒョンは素知らぬ顔をしている
テジュンさんが嬉しそうに近づきさっそく腕をふるってくれた
「素晴らしい腕前ですね」
「うん…これで食っていけそうだな」
「はい。おふたりに。本当にお世話になりました。心からの感謝をこめて」
その美しい色のグラスを小さく乾杯しカクテルを口にする
僕もミンチョルもほっとして優しい気持ちにつつまれた
嵐のように過ぎた祭の思い出が駆け抜ける
僕たちは微笑んでいるテジュンさんに丁寧に礼を言った
「お願いしたものはありましたか?」
「はい、ご用意させていただきました」
スヒョンが言うとテジュンさんが奥からなにやら出してきた
フルボトルの赤ワインとふたつのグラスと小さな籠に入った包み紙
「1990年ものです。ちなみに1971年もございますよ」
「そんな高いもの飲んだらオーナーにどつかれるよ」
スヒョンはテジュンさんに礼を言うとグラスとボトルをひょいと持ち
僕に籠を持つように言って店を出ていこうとする
僕はミンの方をちらりと見てそして店を出た
「どこに行くんだ」
「静かなところ」
「部屋?」
スヒョンがいきなり立ち止まりおかしそうに僕を見る
「大胆なこと言うね…部屋はまずいんじゃない?」
「別にまずいことないだろう」
「んーそうかも。でも側にベットはない方がいいな。悪いこと思いつくといけない」
また子供のように抗議をしているミンチョルを後ろに
僕はエレベーターのボタンを押す
こんなに気楽そうにしている僕が内心逃げ出したいような気持ちだって
おまえはわかってるの?
おまえのその無邪気な言葉に僕の心はかき乱されるんだ
「いいからついて来なさいって」
仕方なく僕はスヒョンのあとを追った
いつもさらりと何でも完璧にこなすスヒョン
その冗談だか本気だかわからない言葉は彼の魅力のひとつだ
でも今の僕には刺激が強過ぎる
スヒョンは中庭を通り抜けダイヤモンドヴィラの前庭に出た
美しいヴィラの明かりが宝石のように揺らいでいる
スヒョンは木々と共に点在するベンチのひとつに腰を下ろし手招きする
そのベンチからはソウルの夜景が一望できた
カクテル ぴかろん
おじさんの言葉を信じてもいいのかな
打ち上げ会場のラウンジへ向かうときおじさんは俺の手をしっかりと握り締めていた
その手を見ながら俺は初めて嬉しさを感じた
温かい…
テジュンさんの手も温かかったけど…
おじさんの手も温かいよ…
「ラブ…一緒にいてくれよな…」
不安そうに呟く
可愛い…
おじさんがなんだか可愛い…
おじさんの目の光は弱々しくて、何度も「僕…行っていいのかな…」と呟いていた
「俺のパートナーって事でいいんじゃないですか?」
俺はそう言って微笑んだ
おじさんは口元で笑った
スカイラウンジに着くと、大勢の人間が集まっていた
BHCのみんなを捜すと、カウンターとその近くのボックス席に別れて、座っていた
「どっちに行く?」
「…カウンター…」
おじさんは控え目にそう言った
俺たちはカウンターに向かった
カウンターの中にはバーテンダーが何人かいた
『オールイン』の出し物や、アジュンマのフラダンスの着付けをしていたチュニルさん、目立たないけど迫力のあるスングクさん
ショーには出てなかったけどガンホさんの友達だって言い張ってるソッキュさん、それから…mayoさんがスカウトしたらしいミンギさん
そして…テジュンさんがいた
テジュンさんの前には嬉しそうなイナさんがいた
俺はおじさんの腕を引っ張ってイナさんの隣に座らせた
おじさんのイナさんへの想いを俺は知っている
俺を好きだと言ってくれたけど…でもイナさんのことも好きなんだろ?
おじさんは困ったような顔で俺を見た
俺はにっこり笑ってやった
「ラブ…」
「幸せだろ?好きな人たちに囲まれてさ。なんならギョンビンも呼んでこようか?」
ちょっと厭味だった?そんなことないよね…。おじさんがそうしたいなら、俺、ほんとにあいつ呼んで来てやるよ…
「よう、ラブにギョンジン」
「…映画…見たよ」
おじさんはイナさんにそう言った
何か喋らないとまずいとでも思ったの?
不自然だなぁ…
不自然…
俺はまたちょっと自信がなくなる
ううん…自信なんてはじめっからないんだった…
「え…全部見たの?」
カウンターの中のテジュンさんが反応した
「ええ…テジュンさんが今と全然違うって…二人で笑ってました」
「なんだよ、ラブと二人で見てたのかよ!俺も誘って欲しかったのに…」
「イナは…テジュンさんにべったりだったんだろ?」
「いやぁ僕はパーティーの指示とミーティングで忙しかったから、ずぅっとイナの事はほったらかしだったんだよ」
「…じゃあ今からたっぷりと罪滅ぼし…ですか?」
「あははは…やだなぁギョンジン君」
「テジュンさん…バーテンダーできるの?」
「ああ…昔やってたからさ」
「じゃ、なんかお薦めのカクテル…作ってよ」
「言われなくてもみんなに似合うカクテルを最初にお出しいたします」
「ふふ…ほんと?楽しみだなぁ、ね、おじさん」
俺がテジュンさんと喋っている間、イナさんはじっとテジュンさんの顔を見つめていた
とても不安そうな顔だった
…さっき決めたでしょ?イナさんがおじさんに手を出さなかったら、俺だってテジュンさんに何もしないって…
「睨まないでよイナさんったら…」
「にっ…睨んでにゃい…」
「くふふ…」
「ばかっ!」
「イナに似合うカクテルなんてあるの?コドモは酒飲んじゃいけないんでしょ?」
おじさんが笑いながら言った
「バーロー、俺はプロのギャンブラーだぞ!酒だって…強かねぇけど…ワインの利き酒ぐらいできんだぞ!
…かっくいーの作ってくれるよな、テジュン」
「お前は一番あと」
「…」
「すぐ泣く!」
「…ぐしゅっ…」
イナさんホントに泣いてるよ…
テジュンさんが冷たくするからぁ…
「イナさんに優しくしてあげなよぉテジュンさん…」
「いいの!こいつに優しい顔するとすぐつけあがるから…」
そう言うとテジュンさんはシェイカーを器用に振り始めた。かっこいい…。長い指がシェイカーに沿って、とても素敵だ
シェイカーを静かに降ろして中の液体をグラスに注ぐ。そのカクテルはおじさんの前に置かれた
それからまたシェイカーに液体を入れ、振り始める。何度見てもカッコイイな…
イナさんなんか口開けてぽーっとしてるよ、気持ち解るけどさ…
シェイカーを降ろし、クラッシュド・アイスを詰めたグラスに中の液体を注ぐ
レモンとオレンジと、チェリーを飾ってストローを添える
それは俺の前に置かれた
「ハイ、お待たせしました。ギョンジン君には『スティンガー』…ブランデーベースね
ラブ君には『スコーピオン』…こちらはラムベース…」
「なんだか二つとも物騒な名前だね」
「スティンガーっぽいじゃんギョンジン君は。ラブ君、ギョンジン君の『えろみん毒牙』にかかるなよ
ラブ君のは怖そうな名前だけど可愛いでしょ?口当たりがいいから飲みすぎるとかなりまわるの
で、危ないから『さそり』の名前がついたんだって」
「ふぅぅぅん…すごいやテジュンさん」
俺はみんなの飲んでいるカクテルを見た
「それぞれ違うんですね…」
「久しぶりにカクテル作る楽しさ味わえたよ」
「てじゅ、BHCに来たらバーテンダーやるの?」
「…さぁね…」
「やんなよ、かっくいーもん…しょれにいつもいっしょに…」
「僕が決める事じゃないしさ」
「俺、オーナーに頼んでみるからしゃ」
「いいよ、そんな事しなくても…」
「…なんでしゃ…」
「なんででも!」
テジュンさん、イナさんに対してちょっとばかしキツいな…
おじさんは二人の会話をハラハラした様子で見てる
やっぱり気になるんじゃん…
「テジュンさん、ありがとう。お先に失礼します」
「ああ、すみません。無理言っちゃって」
テジュンさんは出て行こうとしたスヒョンさんとミンチョルさんにニコニコと頭を下げた
テジュンさんの渡したワインと小さな籠を、いつもより艶っぽい二人が持っていく
どこへ行くんだろう
ドンジュンやギョンビンは…大丈夫なのかな…
「ねぇテジュンさん、チーフたちにも作ったの?」
「うん…スヒョンさんには『ギムレット』有名だから知ってるかな?柔らかさと甘さと鋭さが一緒になった味とでもいうか…
ミンチョルさんにはね、さっきダンスしてたし…『タンゴ』っていうの…。情熱的で甘美なカクテルです。はい」
「ふぅん…今の二人にぴったりな雰囲気だね…」
二人を見送ったテジュンさんはみんなに作ったカクテルを教えてくれた
いつもの4人..six.. 妄想省mayoさん
本当は..ちぇみの深い瞳の奥を見れば答えはわかっていた..
「どのくらい好きと言われても困るぞ..テソン..」
「ぁの..」
「..お前より好きかと聞かれても答えられん..」
「ちぇみ..」
「計れるもんじゃないしな..計れないくらいと答えておく..」
ちぇみはちょっといたずらに口元で笑った..
「ちぇみ..」
「何だ..言ってみろ..」
「闇夜も..同じ想い..なんでしょ..」
ちぇみはまた深い瞳でじっと僕を見..ちょっと黙った..
沈黙が答えを出していた..
「そうだ..」
ちぇみは僕の質問にそうひと言だけ答えた..
また沈黙の後ちぇみが口を開いた..
「だが..互いに想いは閉じこめた..」
「僕とテスのため?」
ちぇみは声に出さず瞬きをしながらゆっくり頷いた..
僕が小さくため息をついて俯くとちぇみが続けた..
「テソン..」
「ぅん..」
「闇夜はお前といると..おとこ言葉にならないだろう..」
「ぅん...あんまし..」
「エロい会話もしないだろ..」
「ぅん...ほとんど...ちぇみとは?するの?」
「ぷっ..ん...たまにな..」(たまにでもないな..いつもか..^^;;)
「そう..」
「何故かわかるか?」
「…??」
ちょっと俯いていたテソンが顔を上げ首をかしげた..
「お前といる時...あいつは..”乙女”になるからだ」
「ちぇみ..」
「おまえの前でだけおんなになれるんだろう..」
テソンはちょっとポッ#となってまた俯いてにこっ#っとしている..
「テソン..俺は前にお前に言ったな..」
「...闇夜が..ちぇみとテスを幸せにしたことを無駄にするな..」
「そうだ..今ならその裏にあった闇夜の想い..わかってやれるか?..」
「ぅん..」
「...ん..それから..このことで闇夜だけを責めるな..」
「…」
「俺と闇夜は同罪なんだ..」
「ちぇみ...」
「このことで..喧嘩しないでくれ..」
「聞いたの?」
「ん...ビンタされたんだろ..」
「ぅん...ずいぶん口きいてくれなかった..」
「出ていかなかったの幸いだと思え..」
「ぅん..」
「もうそれだけお前に心許してるんだ..」
「わかってる..」
「中途半端にあいつを守ったら..そのペンダント..引きちぎるぞ..」
「ぁ..…ぅん..」
「ん..」
ちぇみは僕の首の後ろに手を回し頭を撫でた..
「ちぇみ..僕..やっぱり..青いね..」
「ふっ..おれはオヤジだからな..だがお前の忍耐には誰も勝てないぞ..」
「ただ..しつこいって..思う?」
「ん..強要すれば..執着になるがな..」
「僕..しつこくて..嫌われるかな...」
「馬鹿...」
ちぇみは僕の首に回した手をそのままぐいっ#っと僕を引き寄せた..
僕はそのままちぇみの肩に顔を埋めた..
「ごめん..ちぇみ..いっぱい..余計なこと言わせた..」
「俺は..いいんだ..テソン..」
「ん?」
「俺にすまないと思うならば..闇夜を幸せにしてやってくれないか..」
「ちぇみ..」
「俺の分も..俺が出来ない分も..頼む..お前だから頼めるんだ..」
「ぅん..」
ちぇみは僕の背中を抱いて少しの間じっとしていた..
僕はちぇみの想いも深いことを知った..闇夜の想いも同じだ..
でも2人はそれを奥深く..ずっと深く閉じこめて..テスと僕を幸せにしてくれている..
ちぇみと闇夜のやるせない想いが胸から伝わってきた..
頬を包んでくれたテスのぽちゃぽちゃの手は冷え切った私の手を暖めている..
「テスシ....ごめんね..」
「さっきも言ったじゃんか..」
「そうじゃなくて..ぁの...」
「あっはっは..”すっけべぇーおやじ”のこと?」
「..ぅん..」
「僕ね..mayoシのこと怒れないの..」
「テスシ..」
「僕がちぇみとうまくいったの..mayoシがいたからだもん..
僕とちぇみの幸せを考えてくれてるもん…それに..」
「..?」
「ちぇみは僕んとこに戻ってくるもん..心配してない..」
「ぅん..」
「…暖かくなったよ..ほら..」
テスは私の頬に私の手のひらをあてた..
冷え切ってた手は暖かくなっていた..
ちぇみは手のひらで僕の背中をぽんぽんと軽く叩き..
肩をぎゅっ..と掴んだ後..体を離した
「テスと闇夜が待ってる..戻るぞ..」
「ぅん..」
僕とちぇみはパーティーのホールへ戻った..
ホールの隅に闇夜がぽつんと立っていた..
僕は闇夜の側によって手を握った..手は暖かかった..
僕が「テス?」と聞くと闇夜は「そう..」と答えた..
ちぇみはきょろきょろとがテスを捜す..
テスが皿にいくつかのケーキを乗せて戻ってきた..
「えへっ#さっき食べ損ねたからさ..食べよっ!(^o^)」
ちぇみがテスの頭をくしゃくしゃする..
僕はチョコプチケーキを闇夜の口元へ持って行った..
闇夜は素直にパクンと口に入れ..嬉しそうに笑った..
【67♪あなたがいたから僕がいる byテソン】ロージーさん
パーティ byアジュンマA 足バンさん
パーティに出ちゃったんだけど
ちょっとこのチャイナドレス派手だったかな
でもさっきのサンバの皆さんに比べたら子供みたいなものだわ
やっぱ羽根つけないと目立たないかな
ああそれにしても楽しいっ!
さっきフラを踊った皆さんとむちゃくちゃ盛り上がって!
お料理もおいしいしお酒のセレクトもなかなかだし
皆さんフラとは違って素晴らしいファッションで
大人の女性の魅力を思いきり表現してるものね
総支配人になにやらカクテルのお話を聞いている方や
猟犬のような精悍な子とグラスをちょっと上げて目配せしている方
刈り上げた男性ともうひとりを近くでじっと観察している方
私はもうひとりの方となぜか
ある人の前髪修正についての打ち合わせなんかしちゃったけど
階段落ちをやった背の高い方とお茶を手にしている男らしい方が
静かにお話しているけれど…どちらも渋いわ。
その向こうの賑やかな一団から抜け出そうとしている子
僕の体内時計がどうのっていってるけど
すっごく帰りたそう
でも総支配人の側をうろうろしている子をじっと観察してる
観察?監視かな?
あの唇を腫らしてる濃い人たちの側でスリッパ持ってるおじさまも
なかなか素敵だけど、人の恋路の邪魔はいけないわ
あそこで猟犬君とそっくりな男性とキスしてる子
見ているとなぜか涙がこぼれそうになるんだけど
無性にバスルームで踊らせたくなるわ
そのダンスシーンだけで1時間のビデオ作ろうかしら
それにしても総支配人お忙しそう
あっちにもこっちにもにこにこして大変ね
ああいう人ってどっかの新婚旅行ツアーなんかに参加して
回りを盛り上げちゃうタイプだわきっと
ああいろいろな人たちがいて本当に楽しい!
幸せをありがとう!
スカイラウンジ れいんさん
まだ、ちょっと早かったかな
僕はラウンジのカウンターの隅に腰かけた
テソンはまだ来ていない
パーテイーの時に後で飲もうと約束していた
あいつは「済ませたい用事があるから、その後で」と言っていた
浮かない顔をしていたのが気になったが…
まあ、そのへんの事もゆっくり話そう
カウンターの中のテジュンさんが気さくに声をかけてくれた
僕達にカクテルを準備してくれてるらしい
僕はテジュンさんにテソンが来るまで待っててくれる様にお願いした
全く…こんな優しい人を骨抜きにして…
僕はカウンターの真ん中で頬杖をついて足をぶらぶらさせ
しきりにテジュンさんに話しかけている小悪魔を見てふっと笑いがこみ上げてきた
手持ちぶさたな僕はラウンシを見渡した
反対側のカウンターの隅にはラブとギョンジン
顔を近づけて何やら話している
以前のギョンジンの表情とは随分違うな…
この男も誰かに骨抜きにされたクチかな
ラウンジのボックス席にはテプン達がワイワイやっている
両隣にはスハとジュンホが座っている
…というより…あれは座らされているんだな
僕はスハにだけわかる様に目で合図を送った
窓側の席にはギョンビンとドンジュンが向かい合い話し込んでいる
あまり楽しげには見えないのは、その場にいないチーフとスヒョンのせいなのか…
テプン達とギョンビン達のちょうど中間くらいの席に数人の女性が座っていた
ショーでフラダンスを踊っていた女性達のようだ
闇夜も同席している
女性達はショーの時とは随分印象が違って見えた
それぞれにエレガントな装いで、時折くすくす笑ったり、ひそひそ話したり…
すっと、一人の女性が立ち上がり
クラブポラリスのミニョンさんとキム次長の席に近づいた
ミニョンさんが笑みを浮かべて何やら話しかけていたが
その女性は首を横に振り、軽く会釈をしてキム次長を席に連れて行った
「ほんの少しお相手をして頂いてもよろしいかしら」
多分…そんな事でも言ったのかな
ミニョンさんはひきつった様な微笑みを浮かべていた
一通り見渡した頃、テソンがやって来た
「待たせたか?」
「いや、今来たところだ」
テソンが腰掛けたところで、タイミングよくテジュンさんが言った
「お待ちしておりました。ぜひお二人に私からお飲み物のプレゼントを…」
「僕達に?」
「ええ、あなた方のご活躍も私はちゃんと存じておりますよ
私からのささやかな感謝の気持ちです」
彼は鮮やかな手さばきでシェーカーを振り、僕らの目の前のグラスにカクテルを注いでくれた
その美しい色をしたグラスを手に取り、僕とテソンは乾杯した
もちろん、テジュンさんにもグラスを持ち上げてみせお礼の合図を送った
口をつけたその甘い液体は喉越しよく、僕らの疲れを癒してくれた
テソンと二人で飲むなんて今までにあっただろうか
テソンには今までもいろいろと世話になった
こいつが少し浮かない顔をしている理由は向こうに座っている闇夜のせいかな…
考えてみると僕もテソンも店にいる時とは随分状況が変わったな…
お互いに宝物を見つけたらしい
今日は僕がテソンの助けになる番だ
話を聞くくらいの事しかできないだろうが…
少しでもこいつの心が軽くなるように…
スカイラウンジにて(じゅんほ) お銀さん
はやくいえにかえりたいとおもいながら、ぼっくすせきでてぷんさんのはなしを、いすのせにあたまをもたせかけてきいていた
みるくをとかしたような きりのなかにいる
ここはどこなんだろう
あっあそこに、おおきないっぽんのこうようじゅがある
おおきなきだなー。いつもゆったりまわりをみおろしているんだね
ん、つたがからんでいる。きっとそばにいたいんだ。わかるよ。ぼくは そっとつたのはを ゆらしてやった
すぐちかくに うつくしいはなをつけるきがあった
そばにいってふかくいきをすいこんだ
からだじゅうにかおりがまとわりつく
こんなかおりのように、あいするひとをつつめたらいいのに…
よこにはちいさなきもあるね
このきはどんなふうにそだっていくんだろう
「あの、ちょっとすみません」
かたをとんとんたたかれてきがついた(ぼくはねむってしまっていたんだ)
ぽらりすのみにょんさんだった
そのはなしは かれのいめーじちぇんじについてだった
すぱいだーまんのようなろせんはどうかというので、ぼくはあどばいすしてあげた
「あの、あみめのいしょう にあうかもしれませんね。でも、まふらーはよしたほうがいいですよ」って
ねっ、ぼくってしんせつでしょう?
宝石の心 オリーさん
彼の姿が消えてからまた兄さん達に
突っかかってしまった
こんな時兄さんを見るとイライラして、
そばにいるラブ君にまで嫌味なことを言ってしまう
兄さんに当たるなんて今までしたことがないのに
それだけ近い存在になったってことかもしれない
あの兄さんと
でも、あの変わり身の早さはちょっとついていけない
僕が好きだって泣いて謝ったと思ったら
イナさんにまとわりついて、あ、逆かな…
そうこうしてるうちに、今度はラブ君
兄さん、いい加減にしなよ
これ以上、自分を傷つけるようなことだけはしないでよ
そろそろスカイラウンジに行く時間かな、と思って
ドンジュンさんの姿を見つけたら、
スヒョンさんと何か話してる
やっぱりぎくしゃくしてるみたいだけど、
本当はじゃれあってる?
二人の姿を眺めながら、
僕は柱にもたれて、思い出していた
短い間に僕達も色々なことがあった
彼が初めて僕にキスした日、
僕はとても恥ずかしくて下ばかり向いてたけど、
本当はすごく嬉しかった
僕の心がパズルだとしたら、
最後の1ピースがカチって音を立てて
はまった感じがした。
ああ、この人だって、僕はすぐわかった
最初に会った頃、彼は記憶がなかったんだ
全然わからなかったけど
記憶が戻った彼が僕を追いかけてきてくれた
僕をつかまえに来てくれた
いつも僕をまっすぐ見て
あの時も、あの時も、あの時も
僕はそれをちゃんと憶えていなくちゃね
あの富貴鶏の話をどうして教えてくれなかったの
知らないとは言わせないよ
でもいい
僕はわかってる
そんな気持ちを彼は持ってくれてる
ただ完全じゃない
何でも完璧が好きな人だから、
だから、黙って僕と木槌を握りしめただけ
彼にできる精一杯のことだったんだ
彼がちょっと道に迷ってるから、
僕はちょっと待ってみる
助けに行きたいけど、今度はそれができない
だから待ってる
迷った後で、いや、迷ったままでもいい
また僕の名前を呼んでくれたら、
それでいい
仕事ばかりで冷たくて近寄りづらくて、
でも本当は、
寂しがりやで甘えん坊で、生きることに不器用
迷ったことなんか知らんふりして
僕を騙してたってよかったんだ
でもそれができない、ばか正直な人
僕はほんとうに彼が好き
この気持ちだけは誰にも触れないから
僕だけのものだから
僕はずっと大事にするよ
これから何が起こっても
何がどうなっても
気がついたら、ドンジュンさんは
何だか食べ物口に一杯突っ込んで
スヒョンさんを追い払ってた
あの人らしいな
これがあの人の愛情表現なんだ
あの人も今一生懸命だね
飲みに行こうよ、
僕はドンジュンさんの方へ歩き出した
パーティ byマダムロージー ロージーさん
わたくし…今…お連れの皆様からちょっと離れてカウンター席におりますの…そう…マダムロージーです…
総支配人お手ずからの「マルガリータ」をいただいていますのよ…わたくしはいつも…これ…
…テキーラがベースですからかなり強いカクテルですけど
ホワイトキュラソーの甘さが絶妙で口あたりがいいんです…わたくしは強いお酒を少しだけ頂く…っていうスタイルが好きですの…
「…こちらでは…テキーラもリキュールも最高のものを使ってらっしゃるのね…総支配人?」
「…はい…ありがとうございます…よくご存知でいらっしゃいますね…」
「…ええ…いつも…いただいてますから…」
「…よろしければ…何か…お試しになられませんか?」
「…そうですわね…そう…たしか…モスコミュール…でしたかしら?…」
「…はい…『MOSKOW MULE』…ですね…かしこました」
…なんて素敵な方かしら…マダムAがぞっこんなのも無理もない…そして…長くて綺麗な指…
…その指が…わたくしの前に…スーッと…グラスを…
「…ウォッカがベースですが…どちらかというと軽いカクテルです…」
「…そう?…ありがとう…」
…その爽やかなカクテルをいただきながら…わたくしは…あのBARの…ミンミンを…想いだしていた…
…あれは…いつのことだったのかしら…ずいぶん前のことのような…つい昨日のことのような…
…きっと…これからも…いろいろなことが…ふたりをを待っているのね…どんなときも…ふたりを…応援していくわ…ずっと…
…いけない…涙が…
…カウンターのなかの…彼は…目を伏せながらそっと…キャビアのカナッペを差し出してくれた…
アジュンマR2 in スカイラウンジ れいんさん
アジュンマR2…
彼女は秘密地下組織に足を踏み入れている一人である
彼女は今スカイラウンジで組織のメンバー達と楽しいひと時を過ごしていた
ある時は学校役員、またある時はごく普通の主婦
そしてある時はボスから指令を受け、組織の一員として暗躍している
彼女はよく機密事項が書き記されたノートを持ち歩いている
歯医者でも美容院でも、待ち時間に何やらメモをしている
その機密ノートは万が一出かけた先に忘れ物をしても、取りに行く事はできない危険な代物である
そして彼女は家でもよく不審な行動をとっている
家族の目を盗んではPC前でキーを打ち込んだり、機密ノートにコソコソ書き記したり、突然一人でほくそ笑んだり
家族の者にあらぬ疑いをかけらる日も近いかもしれない
そして彼女は今、楽しいひと時を過ごしながらも、鋭い眼光を放ち周囲の観察を怠っていなかった
周りの動きに多少の変化があればまた例のノートにメモをしている
彼女は顔の面積の広いバーテンダーに興味を持っていた
その男はにこりともせずシェーカーを振っていた
しかし彼女はその男の観察を終えた後、よく知っている男がカウンターの隅に座っているのに気づいた
静かな中に色気と狂おしさを秘めているその男を…
彼女は彼の過去のDVDを家人の留守を見計らい、日中にもかかわらず日々研究していた
彼女は彼のオ○リさえも知っていた
そんな彼女は今問題を抱えていた
それはその彼と恋人とのシーンをどう表現すればいいか…
今、彼女の頭の中はその事だけが浮かんでは消え…
目下の彼女の課題は、その恋人である爽やかな青年の色気を引き出す事であった
やはり髪型が一番の問題点か…
彼女はその爽やかな青年の所に駆け寄り、すき鋏で前髪をシャギーにカットしたい衝動を辛うじて抑えていた
彼女の悩みは尽きない…
明日もきっとDVDで研究をするのであろう…
Sky-lounge_one... 妄想省mayoさん
闇夜の携帯が鳴った..闇夜は僕に出てくれと合図をした..
朝から食欲のなかった闇夜はチョコケーキを続けて食べて喉につかえていた..
闇夜はテスに背中をトントン叩かれ..
ちぇみは闇夜の顔を見てぷはは#と吹き出していた..
電話はミンギからだった..
闇夜がスカイラウンジに行くことを伝えて電話を切った..
「ふぅ..」
「大丈夫?」
「ぅん..ミンギ..何か言ってた?」
「OK!OK!って言ってたけど?」
「そう...さすが私の助手だわ」
「何?」
「ん?後でわかる..先に行ってるね..」
「ぅん..あ、待って..」
僕は闇夜の唇に残ったチョコを親指で拭った..
闇夜はひゅぅ〜っと先にスカイラウンジへ行った..
「テソンさん...何?OKOKって...聞いてる?」
「さぁ...わかる?ちぇみ...」
「ん..まぁ..大方..また何か仕掛けたんだろう..」
「もぉ〜...何も言わないんだから..」
「まぁ..そう言うな..テソン..」
ちぇみは笑いながら僕の肩を叩いた..
僕たちもスカイラウンジの方へ向かった..
スカイラウンジのカウンターに近づきテジュンさんに挨拶をし..
カウンターに入っているミンギの正面にいるソヌとジホの側に寄った..
「お、来たね...」
「監督..カンパリですか...可愛い#」
「色が綺麗だからって..テジュンさんが..」
「そうでしたか..ぁ、ソヌさん...それ..調子に乗って飲み過ぎないで下さいよ..」
「ぷっ..」
ソヌは唇の端を上げて笑った..
カウンターから出て来たミンギとちょっと話をしてラウンジの方へ向かった..
MUSAとオールインと白夜は△形に固まって境なく人が行き来している..
白夜のユリキム親父の隣にはオモギョとスンドン会長がいた..
ユリキム親父に挨拶をしていつものHUGをされる..
同じ顔のオモギョとスンドン会長はギョッ#っという顔をしていた..
ピョートルに軽く手を挙げ..近くにいたテファのそばに寄った..
「テファさん..」
「ん?何..」
「そのうち..依頼したい絵があるんですけど...いいですか?」
「ぅん..いいよ..じゃ..その時にでも連絡して..」
「はい..」
MUSAのチンとサンドゥは隣同志で..すっかり仲良し..
チンの隣のヨソルは早速くるくるドライヤーを使ったようだ..
ヨソルは私と目が合うと自分の髪を指さした...「…?!!」
私が親指を立てると指で髪のカールをいじって嬉しそうな顔をした..
テプン達のボックスに寄ってちょっとメイと話をしてから..
私はフラダンスのあじゅんま達の席の端っこに座った..
カウンターに座ったテジンと目があった..
右手首のブレスを掲げて見せるとテジンはうんうん..と頷いて笑った..
私がちょっと首をかしげて指を指すと..ここに来る..という合図をした..テソンか..
テソンとちぇみテスがラウンジに来た..
テソンは私に手元で手をあげた後..カウンターのテジンの隣に座った..
ちぇみは目で合図をし..テスはぽちゃぽちゃの手を振った
2人は白夜達のかたまりの中へ座った..
俺はカウンターにいるテソンの表情が気になった..
闇夜もテソンを見ている..
テスは俺に振り返ると
「ちぇみ..」
「ん...何だ..」
「mayoシ..おとなしい..」
「ふっ..あいつはああ見えて..人見知りが激しいからな..」
「あじゅんま達に囲まれて戸惑ってるのかな..」
「ん...そのようだ..」
テジンの隣に座ったテソンは少し浮かない顔をしている..
私は少し前の..
外へ出たちぇみとテソンの会話をマイクを通して聞いていた..
ちぇみの言葉に心が泣いた
そして…テソンに飛び込む勇気を持とうと覚悟を決めた..
でも…
天使の心 オリーさん
ゲェッ!
詰め込んだ食べ物がまだ、つっかえてる…
グッ!ゴホッ…
ほんとに涙が滲んできた
ばか!何が禁止事項だよ
こんな時に飲みすぎるなって?
こんな時に運転するなって?
僕に命令しないでよ、ばかスヒョン!
ギョンビンと大酒飲むって約束したんだ
でもってその後、夜のドライブさ
どう、文句ある?
僕に命令できるのは…僕…だけなんだから
ちぇっ、また涙が出てきた、おっかしいな…
せっかく人が親切に話し合う機会を作ってあげたのに、
ありがとう、の一言もなしだよ
いつだって大人ぶってさ、
いつだって子供あつかいでさ、
でもって、でもって…
ばか…
わかってるよ、僕だって
もうちょっと素直になろうって、
もうちょっと優しくしてやろうって
でもさ、でも…
何もかもわかってるようなあの顔見ると、つい…
一人で頑張っちゃってる姿見ると、つい…
ごめん…
今度、あんな風に笑ってくれたら
僕はほんとにスヒョンの笑顔大好きだよって
素直に言えそうだよ
ううん、絶対に言うから
笑顔だけでなく、スヒョンの全部、
みんなみんな大好きだよって
だからさ、もう一度笑ってよね
お願いだからさ
戻ってきたらさ
ね…
僕さ、最近ちょっと大きくなった気がする
前は自分のことばっかりだったのに、
少しはひとのおせっかいやけるようになった
まだまだ空回りが多いけどね
それってさ、たぶん…
スヒョンのおかげだよ
人を好きになると、人の心がわかるよね…
だから優しくなれたり、強くなれたりする
ああ、何でこういういい事、
スヒョンに言ってあげられないんだろう
今度言ってあげるからさ、
絶対照れずに言ってあげるからさ
だから…
ふーっ、やっと飲み込めた
うつむいて、コホコホやってたら目の前にコップが出てきた
「大丈夫?水飲んでみたら」
あー、もう一人、ばかが来たよ
「遅いよ、もっと早く持って来いよ」
「ごめん…」
でもそのばかの目を見たら、
涙止まるの、待ってた、って言ってるの
もうっ!
だから、それは、その、
ぜーんぶ、ばかスヒョンのせいだってば!
コップひったくると水ゴクゴク飲んで、
そいつと腕組んだんだ
「よしっ、飲みに行こう!」
【68♪ノーサイド byドンジュン】ロージーさん
テジュンさんのカクテル・ノート
僕のカクテル・ノートを公開してあげる…(テジュンより)
【ジン・リキュール・ラム・ベースのカクテル】
(ジン・ベース)
スンドン:アラウンド・ザ・ワールド、スヒョク:キス・イン・ザ・ダーク、スヒョン:ギムレット、ギョンジン:ジン・トニック、
テジン:シンガポールスリング、ミンチョル:タンゴ※、イナ:トム・コリンズ、ヤン・ミミ:パラダイス
(リキュール・ベース)
ドンジュン:エンジェル・キッス、ジホ:カンパリソーダ、サンヒョク:グラスホッパー
(ラム・ベース)
ウシク:X.Y.Z、オ・ギョモ:エル・プレジデンテ、ユリキム:キューバ・リブレ(リバー)、テファ:グリーン・アイズ※
イヌ:スカイダイビング、ラブ:スコーピオン、チョンマン:ダイキリ、チャン理事:ロング・アイランド・アイスド・ティー※
【ウイスキー・ブランデー・ウォッカベースのカクテル】
(ウイスキー・ベース)
ピョートル:アイリッシュ・コーヒー、ミン:アフィニィティー、ガンホ:オールド・パル、サンドゥ:ゴッド・ファーザー
ミン:スコッチキルト※、ソク:ハンター、ミン:ブルックリン、チン:ホールインワン
(ブランデー・ベース)
ジンソク:オリンピック、ドンジュン:サイドカー、ギョンジン:スティンガー、カン・ミヒ:ダーティー・マザー、ドンジュン:デビル※
スングク:ニコラシカ、ラブ:ビトゥイーン・ザ・シーツ、リマリオ:プースカフェ※、シチュン:ホーセズネック
(ウォッカ・ベース)
ヨソル:カミカゼ※、ソク:キス・オブ・ファィヤー、メイ:スクリュードライバー、テス:ソルティドッグ
ソンジュ:ハイライフ、スハ:バラライカ、ピョートル:ブラック・ルシアン、テプン:ブラディメアリー
チェミ:ホワイト・スパイダー※、チニ:モスコミュール、チェリム:ルシアン
【ワイン・テキーラベースのカクテル】
(ワイン・ベース)
スヒョク:アドニス、テソン:キールロワイヤル、チュニル:ブラック・レイン
(テキーラ・ベース)
トファン:テキーラ・サンライズ、マイケル:マタドール、テジュン:マルガリータ、ソンジェ:モッキンバード
【ビール・ローカルスピリッツベース・ノンアルコールのカクテル】
(ビール・ベース)
キム次長:シャンディー・ガフ、ソヌ:ドッグノーズ
(ノンアルコール)
闇夜:フロリダ
(さけ・ベース)※
ジョン将軍:サムライロック、ミニョン:春の雪、ドンゴン:ファンタスティック・レ・マン
※印のカクテル
グリーン・アイズ、サムライ・ロック、スコッチ・キルト、タンゴ、デビル、春の雪
ファンタスティック・レ・マン、プース・カフェ、ホワイト・スバイダー、ロングアイランド・アイスド・ティ
テジュンの呟き ぴかろん
僕のセレクトしたカクテル、みんな喜んでくれたかなぁ…
どうしてそれを選んだか…貴方だけにこっそり教えてあ・げ・る♪
スヒョンさんにはギムレット…柔らかさと甘さと鋭さが一緒になった味。ふふん
そしてミンチョルさんにはタンゴ…情熱的で甘美なカクテル。ふふん
この二人、ナニかする!絶対する!だからちょっと刺激してやろうと思ってさ…
本当は二杯目も考えてた。スヒョンさんにはマティーニ、ミンチョルさんにはドライマンハッタン
でも二人はナニかしにいくらしく、「ワイン」なんかぶら下げて意味深に出て行った。ふふん
ミン君には、まずはブルックリン。マンハッタンに似た味。ブルックリンとマンハッタンって地図上では隣同士
だからギョンジン君の二杯目はマンハッタンなんだよ
いろいろ考えてるんだ、僕は!
それからミン君の二杯目はスコッチキルト。これはまあ…なんとなく語感がミン君っぽくてさ。三杯目はアフィニィティー
本当はミンチョルさんと一緒に飲んで欲しかった
だって「姻戚関係」なんつー意味もあるからさ。ほら、富貴鶏割ってたでしょ?見てたんだよ!
ドンジュン君はエンジェル・キッス。名前で選んだ。天使だし、天使とキスしてるし
二杯目はデビル。ほら、悪魔だし(^^;;)。三杯目はサイドカー。ま、「カー」がつくから…
でも『僕は運転したいの!サイドカーなんかに乗りたくないのっ!』とか喚きそう…
ラブ君の二杯目はね…ふっふっ…ビトゥイーン・ザ・シーツ。意味深な名前だろう!ふっふっ
これは一種の寝酒なんだけどアダルトで濃厚な味ふふふ。そろそろかなぁ…と思ってさふっふっ
ギョンジン君の三杯目はジン・トニック。のみ口がよい。だからガンガン飲ませてふっふっ…ラブ君とふふふふっ
ソクはハンター。夜の都会のハンターって意味。そのまんまだろ?! 二杯目はキス・オブ・ファィヤー。だってアイツ、そうじゃん!ふんっ馬鹿野郎!
スヒョク君はアドニス。ほんのり甘い香りがする。アドニスってギリシア神話の美少年の名前
ソクにとってスヒョク君はまさにアドニスでしょうが!
二杯目はキス・イン・ザ・ダーク。これはソクのキス・オブ・ファイヤー繋がりね
まぁソクの奴は暗闇であれ明るいトコであれ、キスしまくるけど…
あ…僕もそうか…へへっ
チェミさんはホワイト・スパイダー。「蜘蛛」だから…
テス君はソルティドッグ。さわやかだしね、なんとなく可愛いじゃん。飲みやすいし…
テジンさんはシンガポールスリング。清楚な味のジンフィズに、情熱的なチェリーブランデーを加えたら、さわやかな味になった…ってやつ
そんな感じでしょ?テジンさんって…
スハさんはバラライカ。レモンの香りがひときわ強いカクテル。そういう香りがしそうじゃん、スハさんって
それに…なんか…焦って言葉カミそうじゃない?だから「バラララライカ」なぁんちゃって…
イヌ先生はスカイダイビング。ブルーが美しい。これは名前がもう…イヌ先生にしか合わないでしょ?
ウシク君はX.Y.Z。のみ口がよくて誰にでも好かれるカクテル。誰にでも好かれるウシク君にぴったり
テソン君はキールロワイヤル。アペリティフとして愛されてる。料理人の彼にはいいかなと思った
それに、見た目スッキリ上品だし、さわやかそうだし、でも、スパークリングワインだからちょっぴり刺激的かな?
闇夜さんはフロリダ。ノンアルコールのカクテル。でも日本酒ならいけるらしいから、日本酒混ぜてもよかったかもな…
テプン君はブラディメアリー。ほとんどトマトジュースみたいな味。ヘルシーそうに見える
セロリスティックなんか添えておけば彼にぴったりかなと思って…
チェリムさんにはルシアン。口当たりのよいレディキラーカクテル。何杯も飲むとダウンする。と思う…
彼女はかなり強そうだからなぁ…ダウンしないか…
シチュン君はホーセズネック。ははは。名前が「馬」だからははは
メイさんにはスクリュードライバー。これまた口当たりのよい、レディキラーカクテルなんだけどな。多分こちらもダウンしないだろうな…
チョンマン君はダイキリ。さわやかな味だしね
チニ君はモスコミュール。これも結構よく効く酒なんだぞ。でもきっとこの子もダウンしないはず…
ノーマル組の女性軍には強い酒を用意したけど…。頑張ってくれい、男性軍…
ソヌさんはドッグノーズ。ビールの苦味とドライジンの辛味が一つになった刺激的な味の男性的なカクテル
見た目はビールなので油断するととんでもないことになる
「ドッグ」ってのと「油断すると…」ってのでこれに決めた。ぴったりでしょ?
ジホ監督はカンパリソーダ。甘さとほろ苦さが広がる。爽快なカクテルだよ。そんな感じでしょ?彼
イナはね、トム・コリンズ。さわやかなカクテル。飲みやすい。あいつ子供だからさ…
「コリンズ=懲りんず」って駄洒落も入れたわけさ。は…ちょっと空しい…
僕はマルガリータ。クールでスッキリした味が好きなんだよ。スノースタイルのグラスでいただきます!
ヨソル君はカミカゼ。名前でね(^^;;)。チンさんはホールインワン。ゴルフじゃないけど、「矢」でホールインワンできそうだから…
ジョン将軍はサムライロック。ま、名前でね(あんまり真剣じゃない?)
ドンゴン隊長はファンタスティック・レ・マン。レマン湖のイメージさ。日本酒ベースだからジョンさんとお揃い
ジンソク君はオリンピック。あの腹筋だからねぇ…この名前でいってみよう!
ソンジュ君はハイライフ。御曹司だから…。チャン理事はロング・アイランド・アイスド・ティー。「ロング」で長身を思い出させるでしょ?
テファさんはグリーン・アイズ。ま、なんとなく…
サンヒョク君はグラスホッパー。香りが高いカクテルで甘口なんだけどコクがある
ソンジェ君はモッキンバード。心地よく酔えるカクテルなんだけどね…。どうだろう彼…
ちなみに「モッキンバード」って「モノマネ鳥」って意味だ
リマリオさんはプースカフェ。見た目派手派手できれいなカクテル。派手さがリマリオさんにマッチしてる
マイケルさんはマタドール。あの衣装、絶対似合うさ!
トファンさんはテキーラ・サンライズ。燃えるような美しい朝焼けを表現したカクテル。…燃えてるもん…
ヤン・ミミさんはパラダイス。あの人はいつでもどこでもパラダイスにしてしまうからね…
カン・ミヒさんはダーティー・マザー。だってそうだもん(^^;;)名前がそうなんだもん!でもカクテルとしては芳醇な味の素敵なカクテルなんだぜ
キム次長はシャンディー・ガフ。ほのかな甘さとほろ苦さで喉越しを楽しむカクテル。飲みやすいよ。彼に似合ってるでしょ?
ミニョンさんは春の雪。酒ベースだから彼の「家族」にもウケがいいだろうし…。ネーミングもいいっしょ?!彼らしくって!
ピョートルさんはブラック・ルシアン。これ実はアルコール度、高いの。「ルシアン」だからさぁなんとなく彼かなと思った
もう一つのカクテルはアイリッシュ・コーヒー。なんかこういうの好みそうでしょ?これはホットカクテル。だから寒いトコで飲むと体が温まる
ユリキムさんはキューバ・リブレ。『自由キューバ万歳』って意味。自由とか万歳とか好きそうに見えたし…
スンドン会長はアラウンド・ザ・ワールド。世界を股にかけて活躍してる…かなと思ったので…
オ・ギョモ様はエル・プレジデンテ。大統領って意味。ぴったりじゃん!ねっ
サンドゥおやびんはゴッド・ファーザー。『それは俺のカクテルだ!』って言い張るでしょ?どうせ…
スングクさんのニコラシカはなんとなく…。「にこっとしろよ!」みたいな(^^;;)
チュニルさんのブラック・レインは雰囲気で…。怖そうでしょ?!
ガンホさんはオールド・パル。古い仲間って意味がある。スヒョク君にとっての『兄貴』だった人だもの…
ま、そんな理由で作ったわけです…
ああ忙しかったぁ…
JAZZ ぴかろん
テジュンさんのカクテルはどれも美味しそう
俺にはなんだか意味深なカクテル作ってくれた
なんで?
見てたの?
おじさんが俺の耳元で囁いたあの言葉
聞いてたの?
ドキドキする…
その時ラウンジの一角にあるステージにあかりが灯り、ジャズピアノの演奏が始まった
女性のジャズヴォーカリストが何曲か歌うんだって…
「二人で踊れば?」
テジュンさんが優しく微笑む
俺とおじさんは顔を見合わせてクスッと笑った
最初の曲は ♪2.You'd Be So Nice To Come Home To
よく知られてるメロディー
テジュンさんのカクテルに酔ったのかな
おじさんの方に少しだけ頭を傾けてその心地よい声を聴いていた
おじさんの唇が俺の髪に触れるのを感じた
次の曲は ♪9.Lullaby Of Birdland
音楽が鳴ったとたん、ソクさんがスヒョクの手を引っ張ってフロアに連れ出した
ショーで使われた曲だもんね…
二人はぴったりと抱き合って音に揺れている
おじさんが俺の顔を覗き込んでクフッと笑った
その次の曲が始まったとき、おじさんは俺の手をひいて立ち上がった
♪12.I Wish You Love
やがてカウンターの中からテジュンさんが出てきて、頬杖ついて足をブラブラさせていた、もの欲しそうな…イナさんに近づき、スツールから降ろした
イナさんははにかみながらテジュンさんの肩に腕を回してからだを預けた
俺もおじさんの胸に顔を埋めて踊った
♪5.Bewitched,Bothered And Bewildered
立ち上がって踊るカップルが増えていく
ノーマル組も女性達に促されて恥ずかしそうにくっつき合う
ああ
テジンさんと話していたテソンさんが、闇夜さんと踊ってる
テジンさんはスハさんと…
チェミさんはテスさんと…
そして将軍と隊長はがっつりと抱きあいながら、前後ろ、前後ろの短調なステップで満足しているようだ…
俺は…おじさんに身を任せている
「ラブ…顔見せて…」
「…ん?」
「可愛い…」
「…おじさんもね…」
「フフ…」
♪10.Eternally
おじさんの唇が降りてくる
俺はかすれたヴォーカルに操られるように
おじさんの唇にキスをした
軽く、羽根のように、おじさんの唇に触れながら
俺はおじさんの顔を眺めた
おじさんは俺の唇を捕らえようとして
半開きの口で俺を追う
捕まらないように軽くタッチして逃げる…
けれど俺の羽根は簡単に捕まり
やがて深いくちづけの罠におちる
甘くて苦くてまろやかな…
俺たち…もう…一つになってる…
抱かれなくてももうこれだけでいい…
おじさん…
「ラブ…」
「ん?」
「好きだ…」
「俺も…」
「…愛してるってまだ言えない…でも言えるようになりたい…」
「…いいよ…俺が貴方を愛してるから…」
おじさんは俺の顔を見つめて、切ない顔をしてまたキスしてくれた…
俺が愛してるから…大丈夫だよ…おじさん…
Sky-lounge_two... 妄想省mayoさん
あじゅんま達のBOXの隅でテソンの様子を気にしながら座っていた..
あじゅんま達は皆この時とばかりに気合##の衣装で着飾っていて..
とても妖艶で..綺麗だった..
髪も結い上げられ.うなじからは大人の色香が漂う.
.
テジュンさんが彼女達のイメージでカクテルを作る..
あじゅんま達はカクテルを見つめ..お目当てのホスト達を見つめ..
カクテルを口に含み..「はふっ..」っと吐息を漏らす..
きらきらと輝く目は恋する人を一途に想う少女のようにも見える..
中には獲物を狙う猟犬のような瞳のあじゅんまもいたけど..
ヤン・ミミとカン・ミヒはもちろんビシッっと決めている..
ショービズの女王だもんな...
メイとチェリム..チニさんも可愛いドレスに着替え綺麗に着飾っていて
長身の彼女達を引き立たせていた..
私は俯いて小さくため息をついた..
どうも場違いな気がして早くここから出たいな..と内心思いながら..
もっと隅っこの場所がないかフロアを見渡す..
ちぇみは目だけきょろきょろしていた私を見て口元で笑っている..
フロアにjazz♪が流れ始めた
生の女性ヴォーカルの声は心地よくてステージをぼんやり見つめていた…
ソクとスヒョクがフロアに出て踊り始めると..次々とカップル達がフロアに出る..
テジュンさん&イナ..ギョンジン&ラブ..見ているだけで濃厚だ.. .. アイゴぉ〜^^;;
シチュン&メイ..テプン&チェリム達も抱き合いながらフロアに出て踊る..
チニさんに引っ張られてチョンマンもフロアに出た..
チニさんは低めのヒールだったので背丈はチョンマンとほぼ同じだった..
テスがちぇみの手を引っ張りフロアに引っ張り出す..
テスはちょっと困った顔のちぇみの顔にぽちゃぽちゃの手でスリスリした..
ちぇみはテスの髪をぐしゃぐしゃ#してテスを懐に抱いてリズムに乗り始めた
ピッカピッカぁ〜##の衣装のシゲッキーとヨンジュンは指を絡まながら..
カップルたちの周りを蝶のように舞う..
2人がカップルの周りに来ると..ライトが当ったように明るくなる..
すぅ〜っとカウンターのテジンがカウンターのスツールから立ち上がり..
テプン達のBOXにひとり残されたスハの手を取った..
顔を上げたスハはテジンの目を見つめ黙ってついていく..
テジンはスハをそっと抱き寄せ踊りはじめた..ぁぃぅ〜^^;;.
僕は続々とカップル達がフロアに出て踊るのを見ていた..
皆幸せそうに..互いに身体を預け踊っている..
闇夜はフロアのミラーマンに夢中だ..
闇夜は嫌だろうな..踊るの..
俺はぐずぐずしているテソンに向かって
口唇で「馬鹿野郎!早く行け!」と合図した..
テソンは「だって..」のアヒル口だ..
テソンに頭で闇夜をもう一度指した
テソンは頷いて闇夜の席に歩いていった..
「踊ろう..」
座っている私の前にテソンが立った..
私が見上げるとテソンは手を差し出している..
「いいよ.. 」
「恥ずかしい?」
「ぅん..」
「僕だから?」
「テソン…」
困った顔の私にテソンはくすっ#っと笑った..
「もぉ〜何やってるの..」「そぉよっ#」
「代りに私が踊ろうかしらぁ?」「ほらっ..殿方を待たせちゃ駄目よ..」
「遠慮しないで..」「いいわねぇん..」
まだ躊躇しているとあじゅんま達は私の背中押した..
テソンはあじゅんま達に「すいません..」と言うと
私の手をぐっ#っと引っ張った
フロアに出るとテソンは頭から私を抱いた..
「ごめんね..テソン..ごめん..」
私の声はjazzの♪にかき消されているだろう..
それでも何度も呟かずにはいられなかった..
テソンは胸の前にある私の腕を自分の腰に廻し..
私の髪に指を差し入れ..上から下へ何度も漉いた
「僕が..僕が君を幸せにする..してみせる..」
テソンは耳元で囁いた..
エンジェルス・キッス&ブルックリン・アット・ザ・カウンター オリーさん
ラウンジに着くと、もうかなりの人が来ていた
カウンターの向こう側で総支配人が慣れた手つきでシェイカーを振っている
僕らを見るとニッコリ笑って手招きしてくれた
僕はギョンビンとカウンターへ立ち寄った
総支配人はさっそく僕に背の高いグラスを押し出した
「君にはこれが合うと思ってね」
「綺麗だなあ。色が分かれてる」
「プース・カフェと言ってね、比重の重いスピリッツやリキュールを順番にそそぐとこうなる」
「名前は?」
「君にぴったりだよ、エンジェルス・キッス」
ギョンビンが笑いながら僕の脇腹をつついた
「何だよ、ぴったりじゃないか」
「うん、ぴったり。そのものです」
「嫌味な奴」
テジュンさんはシェイカーを振りながら僕らのやりとりを笑顔で見ていた
「ギョンビンさんはこれね、ブルックリン」
「ブルックリンか」
「君にはマンハッタンより落ち着いた雰囲気のブルックリンが似合うと思って」
ギョンビンは僕の方をちらりと見るとにんまり笑った
「さすが、総支配人」
「ミンチョルさんにはマンハッタンなんかどうかな」
「僕はマンハッタンの綺麗な夜景がよく見えるブルックリンてわけですね」
「あ、深い意味はなくて、雰囲気だから…」
「ははっ、わかってますよ」
僕らはカウンターでカクテルを楽しんだ
ギョンビンはグラスを上げて、どこかのご婦人に挨拶なんかしている
「なにキザな真似してるんだよ。あのマダムは誰?」
「うん、ちょっとした知り合い」
「何か意味深だな。パトロンか?」
「え…」
「えって、当たりなわけ?」
ギョンビンは飲んでいたブルックリンをちょっと吹いた
僕はさらに攻めてやった
「さすがだね、店に出る前からパトロンがいるなんてさ」
「誤解ですよ、誤解」
ギョンビンはさらにあわててる
こりゃ、ますます怪しい
「ミンチョルさんは知ってるの?え?いいの?」
ギョンビンは急にマジな顔になって
ポケットから白い小さな封筒を出した
それをカウンターの上において、しばらく見つめてた
「何?今度はラブレター?」
ギョンビンは小さく首を振ると、封筒を中指と人差し指でつまんだ
「この封筒の中身の所へ辿りつけるか、どうなるか…ドンジュンさん、どう思います?」
「だから、何よ、それ」
「もしだめだったら二人で行きましょうか」
「え?」
「そうだ、そうしよう。それがいいや」
ギョンビンは勝手に納得すると、スイっとカクテルを飲み干した
「さてと、次は何飲みます?あれ、まだ天使のくちづけ終わってないじゃん」
「何さ、一人でブツブツ言って。気味悪いぞ」
「すみません。そのうち教えますから」
ギョンビンはすまなそうに笑った
こいつがこういう笑顔をすると、あまり突っ込めないんだ
「言いたくないならいいよ、別に」
僕も生クリームに気をつけながらカクテルを空にした
「さてと、ギョンビン何飲む?ワイン?」
「ワインやブランデーなんか年寄りにまかせとけばいいですよ。バーボンいきましょう」
「ふふっ。言うねえ。よし、そうしよう」
「フォア・ローゼズ、瓶でもらえます。あと、グラスとアイス」
総支配人はにこにこしながら言った
「気合入ってますね。いちいちおかわりは面倒ってことですね」
「僕ら若いから、ちょっとの無作法は大目に見てよ」
僕はそう言って彼にウインクした
これで大抵のことはオーケーだな
ギョンビンはバーボンのボトルを掴むと
さっきのご婦人の方へボトルを掲げて合図した
4本の薔薇の花が書いてあるそのラベルを指差して
こりゃあ、絶対何かある…ま、今は聞かないけどさ
僕は氷とグラスを二つと、あとソーダを持って、
ギョンビンは薔薇の花が書いてあるバーボンを持って、
窓際の席に移動した
なぜって、
出かける前にここへ立ち寄るって言ってたんだ、あの二人…
僕らは窓際の席に落ち着くとバーボンを開けた
そしてどちらからとなく乾杯をした
シンデレラなテジュン ぴかろん
イナと踊った
踊ったと言うより抱き合って動いてたって言うべきか…
イナは恥ずかしそうに顔を伏せて僕の首に腕を巻きつけていた
僕はイナの顔を上に向かせると、イナの睫毛にキスをした
はっという吐息が漏れる
イナの鼻筋に、頬に、そして最後に唇にそっとキスをする
甘い唇が僕の下唇を軽く噛む
全く…こういう時のイナは
どうしようもなく色っぽい…
僕らは最後の歌までずっと、そのままで抱き合って揺れていた
ジャズが終わってまたカウンターのスツールにイナを座らせ、もう一度心を込めてキスをする
唇を離してイナを見つめると、潤んだ瞳で僕を見つめ返すイナがいた
「てじゅ…やしゃしい…」
「僕はいつも優しいぞ」
「はふ…」
イナは僕の頭を引き寄せ、自分からキスをしてきた
僕はイナのキスを受けながら、グラス棚の上の時計を見た
午前0時を10分ほど過ぎたところだ…
「総支配人…テジュンさん…」
オ支配人の声がした
僕はイナから唇を離してイナに言った
「今から送別会なんだ…」
突然テジュンが送別会に行くと言い出した
なんで?聞いてない!
なんで突然?!
「チニ君も今週いっぱいでホテルを辞めてアメリカ留学するらしくってね…
僕達の送別会をホテルの従業員が開いてくれるんだって…」
「…」
「だから…行ってくる…」
「…ん…わかった…」
寂しかった
でも…テジュンはもっと寂しいはずだ…
大好きな仕事と今日でお別れなんだから…
素敵な仲間達と今日でさよならするんだから…
…寂しいなんて贅沢だ…
何のためにテジュンがそうするのか…
俺のために…なんだもん…
だから
笑顔で
いってらっしゃいって言わなきゃ…
戸惑った顔のイナは、次の瞬間、くしゃくしゃの顔でいってらっしゃいを言った
笑ってるつもりなのかな…
可愛い男
「明日からは一緒だ。だから…待っててくれるな?」
「…ん…」
今にも涙が零れ落ちそうだ
必死で我慢してるな…
本当に可愛い男…
「遅くなるかもしれないけど…僕の部屋で待っててくれる?これ…キーだ…」
「ん…わーった…。…てじゅ、最後だからゆっくり楽しんできて…。俺、大丈夫だからさ…」
はっきりとそう言ったイナは、いつもより弱々しい…
僕はもう一度イナにキスをして、オ支配人とチニ君のあとについてラウンジを出た
テジュンがラウンジを出て行った
ほんの数時間だけ待てばいい
解っている
今日が最後なんだから
俺は我慢しなくちゃいけない
解っている
だけど涙が流れ出る
チュニルの兄貴がすっとおかわりを出してくれた
「…ありがと…」
チュニルの兄貴は優しい笑顔を浮かべた
俺はしょっぱいトム・コリンズをゴクリと飲んだ