プレゼント オリーさん
「ちょっとよろしいかしら…」
彼女はそう言って僕を引きとめた
ムームーを着た小柄で楚々とした女性
「あなたに受け取って頂きたい物があるの」
初めて会う人なのに、何だろう
「どこかでお会いしました?」
僕は当り障りのない質問をした
「そうね、直接は会ったことはないけど、でもあなた達のことはよく存じあげてるわ」
彼女は嫣然と微笑んだ
「私ね、あなた達のこと応援してるの」
「あなた達って…」
「あなたとほら、あそこの彼よ」
彼女は視線を控え室の入口に立っている彼に移した
僕達のことを応援してる?
「心配しないで。怪しい者じゃないから」
彼女は白い封筒を取り出すと僕の手にのせた
「これは、何でしょう?」
「私からのプレゼント。彼とふたりで好きに使って」
「好きに使ってって、何ですか?」
「マンションよ。鍵と地図が入ってるわ」
「マンション!?」
「彼と好きに使って」
彼女はもう一度繰り返した
「でも、知らない人にそんな…」
「言ったでしょ、あなた達のことはよく知ってるって」
「でも…」
「パトロンがついたと思えばいいじゃない」
「ホストの僕にパトロンていう意味ですか?」
「そうね、お店にはあまり行けないかもしれない」
「だったら…」
「深刻にならないで。ダヴィンチやミケランジェロだってパトロンがいたわ
古今東西、優れた芸術家にはパトロンはつくものよ」
「僕は芸術家じゃありません」
「あなたの、あなた達の存在そのものが私にとっては芸術なの」
その時の僕はたぶん鳩が豆鉄砲という顔をしていたろう
彼女は楽しそうに僕の顔を見つめていた
いきなりマンションをくれるというこの女性
僕らの存在が芸術…だって?
何だか急に可笑しくなって僕は吹いてしまった
「可笑しい?」
「あ、ごめんなさい。何だかキツネにつままれたみたいで」
「キツネは彼だけで充分でしょ」
彼女は茶目っ気たっぷりに僕にウインクした
僕はまた吹いてしまった
「ね、このお部屋気に入るわ。使ってちょうだい」
彼女は僕の手にのせた封筒を優しく握らせた
「でも彼が何て言うか。頂くにしては物が大きすぎます」
「だからあなたに差し上げるの、彼の方じゃなくて。あの方、ほら、気難しい所があるから
それはあなたがよくご存知よね」
彼女は笑いながらもう一度彼の方に視線を投げた
僕も気難しいあの方を振り返った
気難しいあの方も僕の方を見ていて、ミン、何をしてるんだ、と目で合図していた
それを見た途端、僕の覚悟は決まった
「わかりました。ありがたく頂戴します」
彼女はふーっと大きなため息をついた
「よかった。これで私もハッピーな気分になれるわ。ありがとう」
「お礼を言うのは僕の方です」
「後は、彼をうまく納得させてくださいましね」
「それが一番難しそうだけど、何とかうまくやります」
「私、これからフラダンス踊るの。これでも踊りを習っているのよ」
「じゃ、僕は踊りの応援をします」
「今日は色んな願いが叶って、素敵な日になったわ。これで失礼するわね」
「あの、お名前を聞かせてください」
「そうね…ロージー、マダム・ロージーって呼んでいただける?」
「マダム・ロージー、踊り、楽しみです」
彼女はちょっと頬を赤く染めて、ヒラヒラと手を振って舞台の方へ歩いていった
彼女達の舞台が終わった後、僕達は袖に呼び出され彼女達にプレゼントをすることになった
僕が彼女をハグした時、彼女は僕だけに聞こえる小さな声で囁いた
「あなたのハグとこのTear Dropで、さっきのプレゼントのお返しになったわ。これで貸し借りはなしよ」
僕はこの奇特なマダムをまじまじと見つめた
彼女はちょっと目を潤ませながら、僕の頬をそっと撫でた
そんな相手 足バンさん
ソクさんとスヒョクさんのショーに感動して泣いてると
隣に座っていたスヒョンがスタッフに呼ばれて席を立った
とたんに反対側にいるテプンさんたちが喋り出した
テプンさんもチョンマンもシチュンも
ガールフレンドたちは忙しいらしくて野郎ばかりで固まっていた
「スヒョクさんすっごく色っぽくなかった?」
「最後まじでキスしてたじゃん」
「スヒョクのやついつの間に…あいつもそっち行ったか」
「ちょっと…なんでいきなりうるさくなるのっ」
3人が一斉に僕を見た
「スヒョンさんがいると怒られるんだもん、あぅぅ喋りたかった」
「口がむずむずして痒くなった」
「ドンジュン、おまえまで硬いこと言うなよばか」
テプンさんが思い出したように言った
「そういえば打ち上げおまえも来いよ」
「え?あ…う…」
「いいじゃん、スヒョンさんもなんか用あるって言ってたし、来いよ」
「うん…」
「ほんとはスヒョンさんに色々聞きたいことあるんだけどさ」
「聞きたいこと?」
「誰に聞いたってスヒョンさんに聞けって言うし」
「…」
「いろいろ…ほら…経験豊富だろ?老若男女問わず」
「…」
「ま、俺の趣味は”にゃくにゃくにょにょ”だけどな」
「にゃく?」
「だから”若若女女”だよ!」
「ばかっ」
ふんっ真面目に聞いてて損した!
そりゃそうですよっスヒョンは誰とでもうまくやれるんです!
経験だって、そりゃ半端じゃないでしょうよ!
今までには僕の知らない相手だって星の数ほどいて
きっとここにいるホストの中だってNo.1で
スヒョンが本気出したら…
僕って…そんな男を相手にしてんの?
隣のシチュンがちょっと声を落として言った
「さっき見ちゃったんだけどさ、スヒョンさんとチーフ、がっつり抱き合ってんの」
「そんなの…しょっちゅうじゃない」
「かなり強烈だったぞ」
「スヒョンは癒し専門だから」
「へえ…おまえ平気なんだ」
「きっとそれも仕事のうちだよ」
「ふぅん」
平気なわけないじゃん
前の方のミンチョルさんの席を見た
もしかして今の僕ってすごく怖い顔してる?
スヒョンがスタッフからの何かの書類を渡しているのが見えた
進行のことなのか舞台を見ながらうなずき言葉を交わしている
じゃぁって感じでスヒョンがそこを去ったあと
ミンチョルさんが何気なくその後ろ姿を見た
見たっていうより目で追ったっていう感じ
僕じゃなきゃ気づかないほどの短い時間
あ、違う。ギョンビンも気づいた
ギョンビンはなんだかミンチョルさんに話しかけ
慌てたミンチョルさんが書類に目を落とす
ギョンビンは思いっきりムっとして
逆さまらしい書類の向きを変えて渡し直す
…
ふぅん…
僕はでかいため息をつくと椅子にずるりとだらしなく座った
テプンさんがちょっとマジな顔で覗き込む
「なんだよドンジュン落ち着かないやつだな、悩みでもあんのか?」
はぁ…テプンさんに言われちゃった
「なんでも…べつに…なーんにも…」
「変なやつ」
「打ち上げって酒ですよね?」
「当然でしょ…おまえけっこう飲めるんだったっけね」
「僕を潰すのはかなり大変かも」
「最後だし店のツケで思いっきり飲んじゃえば?潰れたら俺らの彼女が介抱する、なんちゃって〜」
「恐くて酔えないじゃん」
でも…しらふでいるより1000倍マシかな
お留守ですか? ぴかろん
俺はこのホ○トクラブで働くように言われた
だから来てみたんだけどよ、誰もいねぇの…
オーナーって人から電話貰ってよ、女の客を喜ばせて金貰えるってからよ、来たんだけど…
開店休業状態?
俺は鍵を開けて(こんな鍵ぐらい朝飯前だかンな!)店の中に入った
だって寝泊りするとこねぇんだもん!
店の電話を調べてオーナーの事務所に電話した
「ああ、ホンピョ様ですね?オーナーから伺っております。住まいはBHC寮に用意いたしましたので…
只今そちらにFAXを送りますので地図をご覧になって寮に…」
つまんねぇの…
オーナーとやらは、祭がどーのこーので今いないんだと!馬鹿野郎
俺はつまんねぇから店の中を歩き回った
なんだこれ…車の運転席みたいなモンがこんなとこに隠してある…
面白そう
キーもあるし…
暇だから遊ぼう…
ブルル…ブルル…シュトン…
なんだよ!壊れてんじゃねぇか!ばかっ!
俺はその車の運転席をぶっ叩いて、ガムをハンドルにねじつけた
「くそ面白くねぇ!」
それから控え室らしきところに入った
名札がかかってる
ここのホ○トの名札らしい…
チーフ:ミンチョル
ホ○ト:イナ(『オールイン』と掛け持ち)・スヒョン・ウシク・テプン・テジン・スヒョク・ドンジュン・チョンマン・シチュン・ジュンホ・イヌ
見習い:スハ
常任ヘルプ:テス(『オールイン所属』)
厨房:テソン・mayoッシ
スカウト予定者:ソヌ・ジホ・ジョンドゥ・ドンヒ・ホンピョ
あんだよ!俺の名前が一番最後じゃんか!
ん?
『注意せよ』
?
『以下の人物に注意せよ』
なんだ?
ヤン・ミミ:来たら店を貸切にし、お金を湯水のように使わせること!ショーはさせないよう注意せよ
マイケル・チャン:ヤン・ミミ、チェ・ドファンとともに『トリオ・ザ・デラルス』を結成した模様
オールインに所属するホ○トでありながら、イナに対する対抗心強し。ショーは絶対させない事
チェ・ドファン:マイケルに同じ。弱点…頭髪(ヅラらしい…)
イ・ソンジェ:ミンチョルの弟(血縁関係はナシ)。とにかくやたらうるさく文句をつけてくるので、逆らわず、適当に追い返すこと
キム・ヨンス:ミンチョルの奥方だが、勘違いも甚だしいので注意。店に顔を出したら適当にあしらって追い返す事
…ミンチョルってのはチーフ?…その家族って…どういうのよ…
まぁいいか…
それよりこの『スヒョン』っての…
思い出すな…俺のかつての恋人と同じ名前だ…女房同然だった…
幸せにしてやれなかった…
あ、その後俺は、酒の勢いでヤっちまった女との間にガキができてよ…
でも…オヤジさんがうるさいのとあんまりスキじゃないのとで俺…盗んだ金全部置いてやっと離婚して貰ったんだよな〜…
俺の心の中には、やっぱりスヒョンがいるんだ…
スヒョン…いい名前だ…ウン
でもホ○トなんだよな?!
ちっ
男かよ!けっ!
俺は、また、噛んでいたガムをその名札の裏にねじつけてやった
ふむふむこれが成績ね?
トップは…テプンってヤツか…
次が…スヒョン
おお〜
スヒョンって名前のヤツは、水商売向きなんだな?
気になるな…
気になる
どんなヤツなんだろう…
その時FAXが入ってきた
寮の場所、BHCのホ○トたちが今どこにいるか、ホ○ト祭(?!ホ○ト祭?!)の様子が知りたかったらテレビの●×チャンネルにて衛星放送中
そんなことが書いてあった
もちろん暇なんでテレビをつけた
画面の中では華やかなショーが繰り広げられていた
『BHCホ○トたちは、ホ○ト祭終了翌日夜、バスにてホテリアーホテルを出発し、店に戻ってきます』
何?!
じゃああさってぐらいまで店のヤツラいないの?!
俺ひとりでこんなとこで何してたらいいのさ!
ふうっ…
先が思いやられるってもんだぜ…
このあたりホ○トクラブ街らしいけど、人っ子一人いねぇよ…
みんなこぞって祭に行ってるのか?!
あーあ
もっとゆっくりくればよかった…
?!
???!
なんだこれっ!
俺はテレビの画面を凝視した…
なんでおとこどうしできすしてるんだっ!
え?
ええ?
このホ○トクラブって…どーゆーホ○トクラブなんだよっ!
…でもよ…
行くあてもないし…
ちょろっと金稼ぐまで我慢すっか…
俺は食料貯蔵庫にあったインスタントラーメンを勝手に持ち出して作り、食いながらテレビの異常なホ○ト祭中継を見ていた…
人は一人では生きていけない れいんさん
チーフが客席の闇夜さんに花束を渡した
あの花束…
あの日にスヒョンに頼まれて、僕が買った花束だ
あの日僕はスハといた
なぜだか、あの時、会ったばかりのあいつに僕の秘密を話してしまった
一緒に暮らしてた妻にさえ、打ち明ける事ができなかったのに
あの時の事が思い浮かんだ
嘘も穢れもないスハの瞳を見ているうちに、僕は汚い自分を洗い流したくなった
神の前で懺悔でもするかの様に…
あの時、思いがけなくあいつにキスされたな
驚いたけど…少しだけ僕の心が軽くなった
ステージでは演目も終わりに近づき、フラダンスの詩が流れている
人は一人じゃ生きていけない…か
たくさん愛しなさい、そして愛されなさい…
今の僕には堪えるな…
僕はそのままぼんやりと客席でショーを観ていた
いよいよ祭も終わるのか…
ほんの少しの間にいろんな事があったな…
そんな事を考えていたら、ふいに隣の席にスハが座った
ぼんやりと無防備だった僕は内心焦った
心の準備を何もしていなかった
「テジンさん」
「…え?…何?」
「僕をそんな風に避けたりしないで」
「避けたりなんて…していない」
「嘘だ!迷惑だなんて言って僕を突き放そうとしている!」
「…迷惑だから、迷惑だと言ったまでだ」
スハが一瞬黙り込みそして一呼吸おいて言った
「人は一人じゃ生きていけない…たくさん愛してそして愛されなさい…
さっきの詩を聞いていて僕は心を決めました
僕はもう逃げないし、もう怯まない。僕は僕の直感を信じます
テジンさんは僕を苦しめたくなくて、だから僕を拒絶した。…違いますか?」
「おまえは今、感情だけが先走っている。子供じゃないんだ。頭を冷やしてよく考えろ」
「何度も考えた上での事です」
「いや、考えていない。何を失うのか少しも考えていない」
「身勝手なのはわかっています
だけど、何を得たくて、その為に何を失うのか、それを選択するのは僕自身です
あなたは僕に嘘で固めた人生を生きろというのですか。あなたこそその辛さを十分に知ってるはずだ」
「スハ…」
「僕とあなたの間には渡る事のできない大きな河が横たわっているようで…
だけど僕は流されても溺れても、その河を渡りたい
僕が必死に渡ろうとしているのに、あなたは向こう岸で背を向けている
もう逃げないで!僕はあなたの本心が聞きたい!」
「スハ。僕は…君の幸せを願っている。それが僕の本心だ」
「卑怯だ!あなたが考えている僕の幸せは、本当に僕の幸せですか?あなたの傍にいる事が僕の幸せなのに…!」
スハはそう言って立ち上がった
「僕はもう行きます。あなたに拒絶されながらここにいたって仕方がない。祭が終わればあなたは帰る…。遅かれ早かれ同じ事だ!」
「スハ!どこに行くんだ!」
僕の問いには答えずにスハはその場から足早に立ち去った
違うんだ!スハ!
おまえには話していないけど、僕は…僕には…帰る場所なんて…
スハを止めようと伸ばした手がそのまま宙を掴み、そして力なく下ろされた
早く追いかけろ!
いや!だめだ!追いかけて何を言うんだ!
あいつを行かせていいのか?もうあいつは戻ってこないぞ!
その方があいつの為だ!時が経てばあいつも忘れる!
あいつを失ってもいいのか?
愛しているんだろ?
傍にいてほしいんだろ?
離したくないんだろ!
何かの声に突き動かされ僕はスハを追いかけた
座っていたイスが倒れる音、客席の少しのざわめき…
もう僕の耳には入らなかった
僕らの日課 ぴかろん
アジュンマたちのフラダンスを僕らは客席の片隅で見ていた
祭が終わったら僕らには越えなければならない山がある
ウシクは毎日のようにお義父さんに電話している
電話を切るとため息をつく
それも日課だ
夜になると僕らは互いに身体を寄せ合って眠る
…眠れない
時折どちらからともなく接吻する
…眠れない
うとうとしたかと思うともう朝になっている
僕らはいつも寝不足だ…
それも日課だ
B息の薔薇投げのショーが終わった後、ウシクは泣いていた
僕は何も聞かなかった
ウシクが毎日のように泣くのも
それも日課だ
僕はウシクを見つめる
愛している
幸せにしてあげたい
癒してあげたい
そう思う
それも日課だ
ウシクが淹れてくれたコーヒーを飲みながら思う
僕でいいのだろうか
本当は結婚したいんじゃないんだろうか
平凡な幸せに浸りたいんじゃないだろうか
そして僕は少しだけ憂鬱になる
それも日課だ
僕が沈んだ顔をすると、今まで沈んでいたウシクが僕の頬を撫でて笑顔を見せる
僕はウシクの腰に顔を埋めて抱きしめる
くふんと笑い、ウシクは僕の頭をそっと包み込む
どきどきする瞬間
それも日課だ
ここにいる間に僕らの心は大きく変わった
僕はもう、ウシクなしでは生きていけないと思う
でもウシクはどうなんだろう…
僕の想いが強すぎて、彼の心を締めつけていやしないだろうか…
だから僕は僕の想いを彼に伝えない
彼が本当に僕を選んでからでも遅くないから…
何を心配してるのと彼は問う
僕の心を見透かしているのか?
何も心配していないよと僕は答える
そう
心配はしていない、僕自身に関しては
ただ君が
君の心を捻じ曲げてしまわないかと
それだけが気になるんだ
君は僕よりずっと若いから
だから
僕以外の選択肢もたくさんあるんだ
だから
こんな風に僕が君に纏わりついていてもいいのかと
それだけが気になる
先生
ん?
僕を捕まえていてね…
…
逃げたりしないでね…
…
僕の心は…もう決まってる…後は勇気が出せるかどうか…
ウシク
遠くを見ながらウシクは言った
そして僕の膝に乗り、僕に接吻ける
僕に身体を預けて甘い吐息を漏らす
僕は苦しくなってそっとウシクを押し戻す
空を見に行こうか…
…うん…
寂しそうな瞳で僕を見て、ウシクは頷く
僕はウシクの手を引いて外に出る
芝生の上でウシクを背中から包み込んで二人で空を見上げる
先生
ん?
いつかさ…
うん
穏やかな気持ちで…空が見たい…
…
揺れているウシクの心を感じて
僕は何も言えなくなる
ただウシクを抱きしめる
僕の事、好き?
…好きだよ…ウシク…
僕も好きだよ、先生…
…うん
大好きだよ…先生…
空の下で僕らはまた接吻する
結ばれる時が来るのだろうか…
不安な気持ちと、幸せな気持ちが入り混じる瞬間
それも…日課だ…
僕らの関係 オリーさん
「何やってるの、書類逆さまだよ」
「あ、ああ…」
「ぼんやりしてるね、さっきから」
「そうかな」
「そうだよ、ずっと心ここにあらずって感じ」
「そんなことないよ。ショーだってちゃんと見てる」
「ふうん」
「ふうんって、何だか突っかかる言い方だな」
「何か突っかかっられるような心当たりあるの?」
「な、ないよ、別に」
そう、僕は突っかかってる
だって、彼の目が深い色になってるから
こういうときって怪しい
さっきスヒョンさんの後姿を目で追った時、目の色がまた深くなったんだ
まったく!
戻したと思ったら、引き戻され、また戻ったと思ったら…
何だかそんなことの繰り返しみたいだ
ちょっと振り返ったら、ドンジュンさんがシートに深々ともたれこんでいた
あーあ、半ば白旗掲げてるって感じかな
だめだよ、弱気は
でも彼の場合、ある意味スヒョンさんに道筋つけちゃったから、待つしか仕方ないのか…
その分、僕が踏ん張らないと
この迷える狐をしっかり捕獲しておかないと
またフラフラ、どこへ行くかわかったもんじゃない
自覚がないだけに面倒なんだ、この人は
「何?僕の顔に何かついてる?」
「ついてるよ」
「何?どこ?」
「僕を愛してますって紙が、顔中に貼ってある」
「え…」
彼は手を顎にあてた
「ほんとはそんなこと思ってないって?」
「いや、そうじゃなくて…」
「じゃ、いいじゃない」
「ね、僕の顔には何かついてる?」
「馬鹿だな、何もついてないさ」
「そう?イ・ミンチョルを愛してますって貼ってない?」
僕は彼の頬を手の甲でなぞった
「ね、僕が浮気したらどうする?」
「何だって?」
「だから、僕が浮気したら、あなたはどうしますか?」
彼はしばらく僕の顔をじっと見つめていた
僕も彼の顔をじっと見つめた
「ミンはそんなことしないよ」
「そう思う?」
「ああ」
「じゃ、僕が誰か他の人好きになったらどうする?」
「何?」
「僕が他の人を好きになって別れるって言ったらどうする?」
彼は僕の顔を覗き込んだ
目の色がまた深くなっている
「もし…ミンがそうしたいというなら仕方ないだろう」
「別れてくれるの?」
「ただ…」
「ただ?」
「僕とミンは、始って終わって別れる、そういう関係かな」
「え?」
「僕は、ミンがどこかへ行ってしまっても、たぶん変わらないよ」
「どういうこと?」
「ミンのことをずっと憶えていて、ずっと考えていて、ずっと想っていて…変わらないだろうな
僕らはたぶんそんな関係だと思うけど、違う?」
彼の目の色はますます深くなって僕を見つめた
僕は彼に突っかかった事を後悔した
「そうだね。きっと僕もそうする。だから僕らは終わらないし、別れない。そうだね?」
彼はふっと笑って僕の頬に手をあてた
僕は彼の掌に顔を押し付けて目を閉じた
「変なこと聞いてごめん」
彼の手がそのまま僕の首すじにおりてきて、僕の頭を彼の肩へ引き寄せた
僕は彼の肩にもたれてもう一度同じことを言った
「変なこと聞いてごめん。でも今の言葉、忘れないよ…」
彼は僕の髪の毛をそっと掴んだ
じゃあ、もしスヒョンさんのところへ行っても、僕は変わらずに待ってればいいんだね?
終わりじゃないんだよね?
でもやっぱりそれは聞けなかった…
交渉成立 ぴかろん
僕達はセツブンショーの衣装のまま、また舞台の袖でキスをした
妖怪が怖ろしい顔で近寄ってきた
「おめぇら!最後のキスは余計だったが素晴らしいできだった!よくやってくれた!」
僕は妖怪に最敬礼し、少し顔を上げた
そして勇気をだして言ってみた
「あの〜ちょっとご相談が…」
「何だ」
僕はスヒョクから少し離れたところで妖怪に耳打ちした
コソコソと話し出すと妖怪が『キュフン』などと言って身を捩ったので怖かった…
「あのれすね…スヒョクのあの薄紫の衣装…頂けないでしょうか…」
「なにいっ!」
「うっ…ダメ…れすよね?」
「なんでアイツのだけだ!おめぇはいいのか!」
「へっ?」
「両方くれてやるぜ!なぁにあの衣装は新作じゃねぇんだ。もう三回ぐらい使ったからいらねぇっちゃいらねぇんだ!てめぇら頑張ったからくれてやるぜ!」
「…ほ…本当に?!」
「ああ!男に二言はない!」
「あっありがとうございますう」
僕は嬉しくて妖怪の手を握り締め大きく振った
「ところでなんでアレが欲しいんだ?何に使うんだ?」
「えっと…あの…お部屋着に…」
「…部屋着?!」
「…え…え…いけませんか?」
「…」
妖怪はきっちり一分間僕の目を見つめて、それから相好を崩した
「やぁんソクちゃんったら…えっちぃぃ〜」
くねくねと蠢く大きな物体は、やはり妖怪としか言い様がない
妖怪は僕の首っ玉を腕でロックして、僕の後ろ頭めがけて言葉を吐いた
「てめぇ…アイツとの初●にアレを着せて…儀式かよ!」
…
「バレバレだぜ!ふっ。いやらしい奴め!地獄に堕ちるぞ!」
ひいん…
「らめれすか?」
「いや!大いに結構!アレを使ってシャーワセになってちょ〜っらいっうふっ」
ひいいん怖いよう〜
バレるなんて…どぉしてだろう…
僕が妖怪に首を決められているのをスヒョクが心配そうにみている
僕は妖怪にもう一度深々と頭を下げてスヒョクのところへ戻った
「大丈夫?」
もう涙目…きゅうん…かわいいっ
「大丈夫じゃない…精気を吸われたっ…」
「え?セイキ?え?…」
うーんそうか…いろんな漢字が当てはまるよなぁ…
スヒョクは蒼くなったり真っ赤になったりして当てはまる漢字を思い浮かべているみたいだ
かわいいっ
スヒョクは急に真っ赤になって俯いた
あれ?
スヒョク…
ものすごく変な漢字を当てはめた?!
そして小さい声で呟いた
「俺まだすってないのに…」
…
僕は固まった
そして次の瞬間、僕の頭はバクハツした…
どうしよう
その場面を想像してしまった…
スヒョクがそんな事を考えているだなんて…
クラクラクラ
「ほんとにセイキをスワレたんですか?しっかりしてくださいっ!」
「あやっそのっちっちがうんだっ…妖怪の毒気に当てられただけでそのっ…ああ…」
その後僕はスヒョクに問い詰められて、妖怪からこの衣装を貰った事を告白した
スヒョクはジロリと僕を見て何に使うのか聞いた
僕は口をつぐんだ
言ったら怒るだろ?
「怒るようなこと、するんですか?!」
僕はまた口をつぐんだ
でも心の中では首を縦にブンブン振っていた
「一体…何考えてるんですか!」
「スヒョクだって…精気を吸うって意味わかってるの?」
「解ってますよ!エナジー吸い取られたんでしょ?!妖怪に!」
あれっ?
違う解釈じゃなかったの?
じゃあなんであんな真っ赤になってたのさ…
スヒョクは何故だかプンスカ怒って衣装を脱ぎ始めた
僕は条件反射のようにスヒョクを抱きしめようとしたが、薄紫の衣装を顔に投げつけられてできなかった
仕方ないのでその衣装を抱きしめて…その時のことをうふふうふうふ…思ったへへんへへん…
森 足バンさん
スタッフから渡された進行の訂正事項をミンチョルに渡した
ありがとうと言ったミンチョルは一瞬何か言いたそうだったけれど
隣のギョンビンに睨まれる前に引き返した
ギョンビンの僕への刺すような視線はまだ止まらない
君とミンチョルを奪い合うつもりなどないと言ったのに
僕はすぐに席に戻らず会場を出て空気を吸った
中庭に続くガラスドアに寄りかかり風をうけた
もうすぐ祭が終わる
短い間にあまりに色々なことがあって
メンバーの人生も大きく変わって
帰ってからの店の様子もずいぶんと変わるんだろう
その前に僕にはケリをつけなきゃいけないことがあった
ミンチョルへの気持ち…
踏み込みたくても踏み込めないその気持ちは変わらない
つい守ってやりたくなるその気持ちも
そしてミンチョルから大事なものを取り上げたくない、
そんな気持ちも変わらない
だから…ミンが海辺のホテルに逃亡した時も
黙っていられなくてミンチョルに電話をしたんだ…
こんな気持ちをドンジュンおまえは愛情だって言うんだろう?
そんな僕にはもう抱かれたくないって言うんだろう?
僕は木漏れ日の落ちる庭を眩しく見ていた
僕は森の中の一本の広葉樹で…
ミンチョルはすぐ側に立っている美しい花をつける木なんだ…
夏には木陰になり
冬には葉を落としてひかりを通してやる
その美しい花を毎年咲かせてやりたくて…
そしてドンジュンおまえはね、
僕の身体に巻きつく瑞々しい蔦の葉なんだ
柔らかく僕をつつんで水分を含み
ひとりで生きてきた乾燥した幹を強く支えてくれる…
もう切り離して考えることなんかできないんだ…
最近花の木の向こう側に若々しい木が育った
僕が無理して枝を伸ばしてやらなくてもその木が守ってくれる
僕は寂しさを感じながらも安堵を憶えているんだ…
なぜって…
花が今までで一番美しく咲いているから
こんな気持ちのままじゃだめなのか?
これを迷いっていうのか?
迷ってなんかいない
どんなに目をこらしてみてもそんな気持ちから抜け出せない
不意に後ろのドアが開く気配に振り向いた
「ドンジュン…」
「なんだこんなとこにいたんだ…」
「捜しに来たの?」
「違うよトイレだよ」
うそばっかり
そのまま向こうへ行こうとするドンジュンの手を掴み引っ張った
「トイレ行くんだから!離せ!」
僕はガラス扉に機嫌の悪いドンジュンを押しつけて口を塞いだ
決して優しいくちづけじゃなかった
今までの人生で自分からは気持ちを出してこなかった自分
いつも相手に幸せの分岐点で選択させてきた自分
そんなツケが回ってきているのか…
ドンジュンが目を見開き必死に逃れようとしている
僕は抱きしめたまま尚力をこめて深く唇を覆った
それでも僕の肩越しに一点を見つめるドンジュンに気づき
やっとのことでキスから解放し振り向いた
そこには書類片手の無表情なミンチョルが立っていた
ドンジュンが俯いて口を拭っている
「もうすぐラストだ。できれば仕事の方を優先してくれないか」
ミンチョルはいつになく硬い表情でそういうときびすを返した
その瞬間、目に灰色の鈍いひかりが走ったように見えたのは気のせいだったろうか
成長したい… ぴかろん
もうしゅぐまちゅりがおわりましゅ
しょしたらてじゅはおれといっしょにBHCにきましゅ
BHCでなにしゅるのかな?
やっぱしはいにんかな?
でへ
まいにちいっしょら…
すきをみてきしゅできるら…
でへ
俺がでれでれしてたらテジュンはまた俺を睨んだ
つめてぇ…ぜってぇつめてぇ…
さっきキスしてもらったから俺は大丈夫だけど
でも気になる
なんで突然そんな自信満々に俺に冷たくすんのさ!
浮気したいってどーゆー事さ!
誰とすんのさ!
…
ラブ?
…
あ…あんな色気小僧にかかったら…テジュンのヤツ…きっと…
「らめらっ!」
「しいっ!」
「…」
また怒られた…
スヒョンが俺達の前を通り過ぎて狐のところに立った
何の気なしに見ていた
スヒョンの微笑みはいつも謎めいてる
何考えてんのかよくわからない…
そう言えばテジュンとの事で世話になったんだった…
あの頃のスヒョンは…今と雰囲気が違った
何考えてるのか解んないのは一緒だけど
もっと…何にも囚われてなくて、だから…見様によっちゃ冷たく見えたんだ…
それが今じゃ…いつも人を深く見つめてるような気がする
ギョンジンの事だって気にかけてくれてた
ミンチョルの事も…好きだったんだろ?
でも…お前をこんなに深い男にしたのは…あの単純一直線豪快馬鹿男なんだろ?
「誰見てんの!」
あ、てじゅが妬いたでへへへ
「すひょん…」
「…」
「妬いてる?」
「お前スヒョンさんとキスした事あったよな…そういえばスヒョンさんと大浴場に行った事もあったよな!」
「妬いてる?ねぇっ妬いてる?」
「何を嬉しそうに…。スヒョンさんには妬かないよ。彼は天使だもん」
「…そだね…あいつは天使だもんね…」
テジュンと喋ってたらスヒョンがちらっと俺達に視線を投げかけて通り過ぎた
柔らかなカーブを描いた視線
包み込むような…
「あいつ…あんなで疲れないかな…」
「…」
「なによ」
「随分まともな事言うからさ」
「何だよ!」
「いっつも好きだのキスだの言うくせに、スヒョンさんに関しては…まともじゃん」
「…ふんっ!」
「キスすんなよ!スヒョンさんと」
「しねぇよ!直線が怖いから…」
「…は?…」
スヒョンが柔らかな曲線なら、ドンジュンは直線かな?
いや…もしかしたら逆なのかな?
ドンジュンがスヒョンの手のひらで慌てふためいているように思ってたんだけど…
でももしかしたら…
ドンジュンのヤツ…
手のひらじゃなくて、身体を投げ出してスヒョンを遊ばせてる?
落っこちないように、いつでも受け止められるように…スヒョンを…スヒョンだけを見つめてるのかな?
俺はふっと後ろの席を見た
ドンジュンがスヒョンを目で追っていた
不安そうな色をした目で…
あいつも
あんなじゃなかったのにな…
みんな賢くなってんだ…
あいつは待つ事を知ったんだ…きっと…
ギョンビンは狐を守る事を知って、そしてきっと今は…耐えてる…
俺はどうなんだろう…
「どうしたんだよイナ」
「…俺ってさ…」
「なに?」
「…やっぱ…我儘だな…」
「…」
「だろ?」
「それがキム・イナだからしょうがないじゃん!」
「…こんなんでいいの?」
「あれっ?また不安になったんでしゅか?」
「…ねぇ…ほんとにこんなんでいいの?」
「ちゅ」
「…んもっ…人が真剣に悩んでるときに限ってしょんなちゅしてっ」
「…似合わねぇ…」
「?」
「真剣に悩むなんてお前、似合わねぇよ…そーゆーのはあっちの四人組とかギョンジンとかに任せとけよ…」
「…らって俺だけせいちょうしてねぇもん!」
「そだな」
「なんだよっ!俺だってせいちょうしねぇと…」
「その前にサービスよくなれよ」
「やらっ!」
「なれよ!」
「やらっ!てじゅのいうサービスっていやらしいもんばっかしだもん!」
「そぉかぁ?…んふふ…ちゅ」
「!…んもっ…んんん」
テジュンったら気まぐれにキスをする…
ああん…もう…
ひとがみてるら…いいけど…
俺は周りを(一応)気にしながら、テジュンのキスを受けていた
ミンチョルが俺達をチラリと見て前を通った
睨むでもなくぼんやりと…
「てじゅてじゅ…あいちゅもへんら…んむむっ…」
ちゅむはむはむ…ああもぉ…やっぱしてじゅはしゃいこうら…
れもしんゆうのぽやんぶりはきになるら…はふんへへん…
☆★Andre Kim_exposition de mode_4 妄想省家政婦mayoさん
★ stage5.:*・°☆
♪park-hyoshin
(ページsoul tree〜□グレーのNEO CLASSICISM〜..New Documentが開くとmusicが聞こえます)
白いステージ上にスポット…
ワインカラーのドレスを纏ったドンがゆっくりとステージを進む..
胸のレースの刺繍部分からシルクシフォンのドレープが続くドレス..
デザイン的にチマ・チョゴリを意識している..
レース部分がチマ...ドレープ部分がチョゴリのようなスタイルだ..
ワイン色の極々薄いドレープは幾重も重なり歩くたびにふわふわとなびく..
髪をまとめ額にウェーブのついたヘア...ゴールドのヘアアクセサリーがハデ顔のドンに合う..
ステージ頂点で俯き憂い顔のドン...
将軍ジョンパネル前に姿を現す...気配を感じ..振り向くドン..
ジョンは縦に折り込みのある生地の白のスーツ...ボトムはもちろんブーツイン..
後ろ襟にふくらみのあるジャケットは今回のあんどれコレクションの特徴だ..
縦にタキシード..三分咲きの3本のロディナを細い何色かのカラーのリボンで結んだ花束を持ち..
香りを吸い込みながら..上目でドンを見つめたあと..まっすぐドンに進む..
ステージ中央で出会う…@_@ドン&ジョン@_@
ドンが首をかしげ涙を溜めてジュンをまっすぐに見つめる...@_@##
(♪の合間にドンとジュンのナレーション部分***)
***泣かないで..僕を見つめて..
ドンの手を取るジョン..互いに真っ直ぐに見つめ合い..ふたりで俯く..
ジョンが正面を向く..ドンが「僕を見て#..」と促す..
また見つめ合うドン&ジュン
***ごめんなさい..愛してます
ドンがジョンの側を離れる@o@...手はまだ繋がれている..
はぅ..と顔を背け..花束を持って足早に去るドン..
後ろ姿を見送るジョン....振り返ったドン...ふたりの目が合う..
ドンがジョンに駆け寄る...ジョンがドンを抱き寄せる..
ジュンがドンの両頬にそっと手を添える..
………熱い接吻………長い接吻_____やっと唇を離したふたり
***待ってるから.
***ふたりの愛が永遠であるように祈ってる
口に手を添え...俯いて足早に立ち去り..袖に消えるドン..
その姿を見送り俯いてステージ入り口で立ち止まり..正面を向くジョン..
***永遠に僕の側に君がいるんだ..
ジョンの頭上に銀の雪が舞い散る..
ステージのライトがゆっくりと落とされる..
あんどれしょー◇舞台裏four.... 妄想省mayoさん
ステージでドンとジョンのち◎うが始まった..
いつまでも終わらないち◎うにやきもきする舞台裏の面々..
チン…困ったものだ..スリッパを投げるわけにもいかんし..
テス…しょうがないよ..おしゃぶりで我慢してたんだもん..チンさん..
ちぇみ…どうもいかん...色気のない接吻だ..
サンドゥ…納豆&オクラ&モロヘイヤ..ってとこか..
ドン&ジョンが舞台裏に戻ってきた..
はむはむ◎わしわし#むちゅむちゅ◎がつがつ#..んーっちゅんーんっちゅ#
「おれおれ##いぃ〜つまで..むしゃぶりついてやがんだよっ!
ほれっ!ジョンとやら!次の支度にかかりががれっ!!」
妖怪の怒声が飛んだ..
やっと唇を離すドン&ジョン..
チン&テス&ちぇみ&サンドゥ^^;; ^^;; ^^;; ^^;;
~~~~
「mayoシ...」
「何..テスシ...」
「僕..ちゃんと出来るかな..」
「大丈夫..」
妖怪あんどれはステージの振付は大方メンバーにまかせていた..
チンの会場に送った指挨拶..テス&サンドゥの踊り..ヨソルの色香のある背中の撓り..
すべてステージの立ったメンバーのアドリブだ..
次のステージは衣装を見たテスが闇夜が考えた..
ちぇみは「ん...後はまかせろ..」と言って余計なことは言わなかった..
テスと闇夜の会話を聞いていたちぇみはテスの頭をくしゃ#っとした後..
闇夜に黙って頷いていた..
ちぇみとテスはライトの落とされたステージの入り口に立った..
僕は闇夜の肩を抱いてパネルの隅からステージを見守った..
俺の気持ちは… ぴかろん
舞台はファッションショーの真っ最中だ
なのにおじさんはぐすぐす泣いている
泣き虫だなぁって言ってやったらちょっと俺を睨んだ
だって泣き虫じゃんか…
お前だって…
俺、おじさんよりは泣かないよ
そう言うと俯いて口をとんがらせた…
ふ…可愛い…
前の方で人が何人か動いてる
スヒョンさんが扉を開けてホールを出て行った…
その少し後にゆっくりとドンジュンが出て行った…
それからぼんやりとしたチーフが、同じ扉から出て行った…
チーフのいた席の隣にはギョンビンがいる
じっとチーフの後姿を見ている
俺とおじさんの席はギョンビンの席から10列程後ろだ
前の方にイナさんとテジュンさんの姿も見える
その後ろにはジュンホ君もいる
テプンさんやチョンマンさん、シチュンさんも、ドンジュンがいた席のあたりでワイワイ言いながらファッションショーを見ていた
ここまで聞こえてくるから相当うるさいだろうな、周りの人…
「ショーグンとタイチョーのマジキス…ちょっと引くよなぁ」
「あれはないよな、色気ねえもん」
「でもいつの間にそういう関係に?!」
「「さあ」」
そうだよね、あの二人がそうなるなんて…誰も思ってなかったんじゃない?
テジュンさんはイナさんを泣かせながらキスしてる…
ふふ…思い通りに操れてるのかな?
イナさんは我儘だからなぁ…
ふとおじさんを見ると、おじさんもイナさん達を見ていた
まるで『見ておかなきゃいけない』とでもいうような真剣さで…
また追い詰めなきゃいいけど…自分を…
「おじさん」
「…」
「好きなら好きでいいじゃない…無理に諦めようなんてしなくてもさ…」
「…ケリをつけなきゃお前を見れない…」
え?
俺を?
「俺を見るってどういう意味さ…」
「お前と向き合いたいから…」
「ふ…イナさんだと無理だけど、俺ならヤらせてくれそうだから?」
また憎まれ口…
だってさ…
おじさんったら照れくさい事言うんだもの…
「そんなつもり無いって何べん言えばわかるの?!」
あ…ちょっと怒った?
「…ごめん…だっておじさん…えろみんなんでしょ?」
「…言うな!」
だってそうじゃん…泣き虫で揺れてばかりのえっちなえろみんじゃん…
「でもなんか…無理してるように思えちゃうよ…」
「お前にこれ以上ひどい事したくない…」
「…大丈夫だよ…もっと自分を信じれば?」
そうだよおじさん…
俺と向き合ってくれるのはいいけど
俺の事かわいそうだとか思って振り向くなら止めてね…
わかってる?
そういうのが一番傷つくんだぜ…
「兄さん」
突然ギョンビンが来た
鋭い目つき…
俺、なんだかギョンビンが苦手になってきた…
おじさんと知り合ってからずっとギョンビンの言葉が胸に突き刺さるか…
「なんだい?」
「ラブ君を選んだの?」
「…」
「言ったはずだよ、僕の身代わりなら」
「身代わりなんかじゃない」
「じゃあイナさんの身代わり?!」
「…何カリカリしてるの?…またミンチョルさんと何かあったのか?」
おじさんが単刀直入にそう言うと、ギョンビンは物凄い目でおじさんを睨みつけた
そして何も言わずに通路を歩いていった
「…ふ…」
「ギョンビンどうしたのかな…」
おじさんは俺の頭を引き寄せて肩に抱いた
ギョンビンの事も心配なんだよね…
可愛い弟だもん…
「あいつ変わった…あんなに激しい気性じゃなかったのに…」
そう?
おじさん気づかなかっただけじゃないの?
ギョンビンはずっと抑えてただけじゃないの?
「俺、ギョンビンは結構キツい奴だと思うよ」
「キツいけど…でも…」
「兄さんに当り散らすようなマネはしなかった?」
「…ああ…」
「…じゃあよかったね」
「?…なんで?」
「あいつ甘えてるんだよ、おじさんにさ」
「え…」
「おじさんにしかあんなエゴイスティックな顔、見せられないんだよ…きっと」
「…そうかな…」
「行って…抱きしめてやれば?」
「…突き飛ばされそう…」
「ははっでも…今度突っかかってきたら抱きしめてあげたら?きっと力抜いて素直になるよ、あいつ…」
「…なんでそんなにギョンビンの事がわかるの?」
「…なんとなく。あいつ、何かと戦ってるみたいに見えるんだ…苦しそうで」
「お前…優しいね。お前といると僕も優しくなれる気がする…」
「…そう?」
おじさんは俺の身体を優しく撫でてくれた
フワフワしてとても温かな気持ちになった
「…俺はおじさんの事大好きだけどさ…だからっておじさんが俺の事好きになんなきゃいけないわけじゃないからね…おじさんが誰を好きでも、俺の気持ちはおじさんに向いてる
それがヤだったらそう言って…。離れるから…。でも俺の気持ちは…変わんない…ごめんね…」
「ばか…なんで謝るのさ…嬉しいよ…」
おじさんは俺の髪にキスをした
本当に…このまま時が止まってしまえばいいのに…
☆★Andre Kim_exposition de mode_5 妄想省mayoさん
★ stage 6.:*・°☆
♪6.Hikayat Gharami
日本の琵琶に少し似た中近東の弦楽器ウードの♪が流れる..
(中近東のウードは東に渡って琵琶になり、
西(ヨーロッパ)に渡ってリュートに変化したと言われ..音質・形が似ている)
♪1.Ya Rayah
後ろ襟が立ったコートを纏ったちぇみが歩き出す..
アラブの王様か!?モロッコの王様か!?…
ちぇみの衣装は真っ白いサテンにゴールド一色だけの刺繍&モチーフのコート..
コートの中は上下白..トップスは白のマオカラーのシャツ..
ボトム・ブーツ共に白..裾はもちろんブーツイン..
コートと同じ刺繍を施したフリンジの長いサテンのベルトを腰に巻いている..
かなりのボリュームに見えるコートだが...顔の大きいちぇみは負けてない..
ステージの頂点よりちょっと下がった場所でちぇみはコートの前を開ける..
同じ白のボトム&トップス&ベルトのテスは現れた..
テスはステージの頂点に立つ..ちぇみはコートをその場に脱ぐ..
前後に並ぶちぇみテスはbelly dance..
♪7.Aziza
足を揃えたまま上下する腰の動きに合わせ..
両手を伸ばしウェーブの様にくねらせ横〜頭上へ..下げながら前へ出し..また横へ伸ばす..
ちぇみがコートを拾い右からふわり#とテスに向かって掛けたかと思うと
コートをすぅ〜っ#っと引き寄せ肩に引っ掛け...くるりと後ろを向いて歩き出した..
ちぇみの前で踊っていたテスの姿がステージから消えた..
♪13.Palas.
リズムに乗せ..肩にコートをかけたちぇみがゆっくりゆっくりとステージを歩く.
観客はステージに釘付けで姿の見えなくなったテスを捜す..
テスは肩にかけたコートの中でちぇみの肩にぶらさがっている..
テスはちぇみがコートを引くのと同時にちぇみの肩にひしっ#と掴まったのだ..
ちぇみはコートと共にテスの片手をしっかりと掴んでいた..
中央まで進んだちぇみは正面に振りかえると共にコートをふわりと大きく空に広げた..
同時にテスの手を掴みコートと一緒にテスを放った..
テスはちぇみがコートをすぅ〜と引くと同時に姿を現し着地した..
すくっ#と立ったテスは正面を向いて肩をすくめて笑った..
会場のあちこちでため息が洩れる..ふたりはお互い顔を見合わせて笑った..
やったね..^o^
ん..^_^
♪1.Ya Rayah
ちぇみはふわりと広げたコートにスルッと袖を通す..
立てた人差し指をクイクイと曲げテスを懐に呼んだ...
ちぇみは飛び込んできたテスをコートの中に隠し..振り返りステージ入り口までゆっくり進む...
パネル前でちぇみがコートの前を開ける...
テスがぽちゃぽちゃの手で会場に手を振った...
会場のスポットが落とされても会場の拍手は止まなかった...
あんどれしょー◇舞台裏five.... 妄想省mayoさん
ちぇみとテスが舞台裏に戻ってきた..
ちぇみが手を広げテスを抱き寄せようとしたとき..テスは闇夜に駆け寄った.
闇夜とテスはお互いの両肩を両手でぽんぽん叩きながら跳ねている
「「やったやった ^o^ ^o^」」
「テスシ..特訓の甲斐があったね..」
「mayoシ〜僕うれしいぃ〜」
テスは闇夜に抱きついた..闇夜はあひ#..の表情ながらそれを受けていた
ちぇみはあんぐりと口を開けた..@o@//
「て、テスぅぅ〜〜俺はぁ?」
「ぁ..ごめんごめん..ちぇみぃ〜*^_^*」
テスがちぇみの懐に飛び込み抱きつく..ちぇみがテスの髪をくちゃくちゃする..
闇夜は苦笑しながら僕を見た
僕はいつものように手を広げて闇夜を呼ぶ..
ゆっくりを近づいてきた肩を捉えると闇夜は僕の腰に手を回した
側に来た闇夜から...ちぇみのイランイランの香りとテスのミントの香り..
そして闇夜のいつものラベンダーの香り..交互に僕の鼻腔をかすめた
僕が俯いて苦笑すると闇夜が不思議そうに覗いた
「どうしたの?」
「ん..いや..何でもない」
「変なテソン..」
「はは..そう?」
僕は闇夜の頭を撫でた
ちぇみテスはまた次のステージの衣装のスタンバイに向かった..
俺は思いっきしテスに抱きついて…
闇夜のラベンダーの香りをくんくん嗅いでいた..馬鹿な罪人様である..むほほ..
☆★Andre Kim_exposition de mode_6 妄想省mayoさん
★ stage7.:*・°☆
韓国伝統楽器:カヤグム@伽耶琴(日本の琴に比べて地味で渋い音)とチャンゴ(両面太鼓)の
♪4.San Joが鳴り響く..
韓模様の刺繍を施した絹の地模様のある衣装で男組弟ジンソクがステージに立つ..
かなりなボリュームには訳があった..
曲が韓国伝統音楽 パンソリ♪沈清歌に変わる..
♪7.Shimch' Ong' Ga
パンソリのリズムに合わせジンソクが前後左右に体を揺らしながらステージをゆっくりゆっくり進む..
進みながら着ている衣装を一枚づつ脱ぎ...落として行く..
衣装1…濃いグリーン..ゆっくり進んで袖から衣装を落とす..
衣装2…グリーンから太陽を思わせる色鮮やかなオレンジ
パンソリが高音になると天を仰ぐように片手を上げる..そしてまた袖から衣装を落とす..
衣装3…濃いパープル..
衣装4…濃いパープルの衣装を落とし..真っ青な衣装が現れる..
衣装5…目の覚めるようなショッキングピンク..
両腕を広げ斜めに体を傾け...俯いてまた衣装を落とす..
パンソリの歌声とチャンゴ(両面太鼓)の縁を叩くパシン#という音が響く..
衣装6…ピンクの下から薄茶衣装..薄茶のシルクジョーゼットから次の衣装が透けて見える..
両手を天に向けその後ジンソクは薄茶の衣装を落とした..
衣装7…ゴールドの衣装が姿を見せる..
ちょうど頂点にたどり着いたジンソクは最後のゴールドの衣装を袖から落とした..
衣装8シルクジョーゼットの白いドレス..袖部分は一枚仕立てで..身頃は薄い生地が幾重にも重なり
身頃の一番上の生地には韓国の国花..薄紫の木槿(むくげ)
の花が刺繍されていた..
パンソリの歌声が切ない高音で止まるとジンソクは胸の前で両手をい抱く...
チャンゴの縁を叩くパシン#の合図と共に..ジンソクは戻り始める..
脱いだ衣装をゆっくりゆっくりと正面を向いたまま後ずさりしながら拾い集めて進む
パネル前までゆっくりと戻ったジンソクは目を瞑り..俯いて消えた..
チャンゴの♪ドンドドンドン##の音と共にスポットが消える..
すべてのライトが落とされた…
mode style7
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
パンソリ参考資料
★MV
右に出てくるハングル上から
*赤壁歌:チョクピョクカ
*春香歌:チュニャンガ
*沈清歌:シムチョンガ
*興夫歌:フンブガ
*水宮歌:スグンガ
★古代小説を生んだパンソリ
あんどれしょー◇舞台裏six.... 妄想省mayoさん
次のステージの衣装のスタンバイに向かってから
僕たちが互いに腰に手を回して立っていると妖怪あんどれが近づいてきた
「ぉう!幕間ち◎う#..」
「「ぁ..ぁふ..ぁの...何か..^^; ^^;」」
「さっきのショーは誰が考えたっ!」
「ぁの...ぁの...私と..テスシ...で..す..はい..変でしたか..」
「ぅんにゃ..にゃかにゃか..よかったわん..」
「ぁ...ありがとうごじゃいます..ぁ..ぁ..すいません..」
「ふひゃひゃ...おめーらもあの2人みてぇに#...はよ!ヤレ!」
「「へっ??@o@ @o@...」」
妖怪はぷふふ...と笑った..
「先生?」
「にゃにかしりゃん?」
「こしょこしょ..」
「ん〜〜〜しょうがないわにぇぇ〜いいわよん..」
「ふふ..すみません..」
「ったぐ..んな..人のことより....はよ!ヤレ#..」
「「ぁふ..ぁふ..」」
妖怪はぷっはっはと笑いながら去っていった..
テジンとスハ れいんさん
僕は夢中で走った
細い廊下を通り抜けエレベーターホールに来たところで
閉まりかけたエレベーターの中にスハを見つけた
僕は閉じかけたその隙間に体を滑り込ませた
そして息を切らしながらスハと向き合った
誰もいない四角い箱の中には、怒りに震えているスハと心を決め兼ねている僕がいた
「待てよ。どこに行くつもりだ」
「僕がどこに行こうとあなたには関係ない」
スハらしくもない投げやりな言葉…
「いいから落ち着くんだ」
「もうほっといて下さい!あなたは会場に戻って」
「おまえと一緒に戻る。最後までちゃんとやるんだ」
「僕は戻りたくない。ここでもうあなたとはさよならです」
「スハ…!」
僕はスハの腕を掴んだ
スハはそれを振りほどいた
「いいかげんにしろ!スハ、おまえらしくないぞ!」
「僕らしいって何?あなたは僕の何を知ってるんだ!」
スハの瞳は鈍い光を放っている
僕は取り乱しているスハの手首を掴み僕の体ごと壁に押さえつけた
「離せ!優しいふりなんてもうやめろ!」
体を捻って僕から逃れようとするスハ
「あなたは最後まで僕に本心を見せようとはしない!
どんなに僕がなりふり構わず自分を曝け出してもあなたは遠くから眺めてるだけだ!」
真っすぐに怒りを露わにするスハを僕は乱暴に抱きしめて体の自由を奪った
スハはまたも僕から逃れようと僕の腕の中でもがいている
「僕を愛しているのか愛していないのか、僕が知りたかったのはただそれだけなのに…!」
スハの悲痛な叫びが僕の胸を締め付けた
「…愛しているさ!…愛している」
僕は咄嗟に心の中に呑みこんでいた言葉を吐き出した
「…ほんとは傍にいてほしい…離したく…ない…」
腕の中でもがいていたスハの体が一瞬ぴくりとしてそして静かになった
ああ…僕はとうとうこの言葉を…
僕はスハを抱きしめたまま天井を仰ぎ、そして目を閉じた
僕は取り返しのつかない後悔に呑みこまれそうになっていた
少しの沈黙の後、僕の耳元でスハの嗚咽が聞こえはじめた
僕の背中にはスハの両手がしっかりと回された
「テジンさん…!その言葉を…僕は…」
スハは言葉に詰まり、肩を震わせ泣きじゃくった
スハの嗚咽が四角い箱の中でこだまする
僕の頬にも、気づかないうちに涙が伝い落ちてきた
僕は涙を拭いもせず、ただスハを抱きしめていた
「…いいのか?…僕でいいのか?…後悔しないのか?」
「後悔なんてしない。もう何も言わないで。僕を離さないで」
僕らはしっかりと抱き合った
兄さん、僕はもう解き放たれてもいい?
兄さん、こんな僕を許してくれる?
僕は目を閉じたまま心の中でそう呟いた
スハの温もりで僕の心は少しずつ溶けていく
そして僕らはどちらからともなく唇を重ね合った
スハの腕が僕の首に絡みついた
僕は夢中でスハのその柔らかい唇を吸った
スハも僕に応えていた
少し開いた唇の隙間から僕はスハの舌を捉え、丁寧になぞった
互いの吐息を感じながら、その四角い空間で僕らは激しく求め合った
そしてそれは少し涙の味かした
まだまだ留守する? ぴかろん
退屈だ…
テレビ中継はそれなりに面白いけどさ…
時々映るキスシーンはどれも男同士だしさ…
それもほとんどが、あの垂れ目の睫毛の長い優男と俺によく似た顔した、俺よりはオッサンの男のキスシーンばっかし…
あ、さっき、もう一人俺そっくりの男も交えて三人で意味深なキスやってたのも映った…
なんだよこれは…
放送していいのか?
アダル●チャンネルじゃねぇのか?
ちょっとつまんなくなったので、俺は店の金庫を開けて(こんなのお茶の子サイサイだからさ…)中に金がないか調べた
無いよな…あるわけない…
でも興味深いモンがあった
ホ○トのプロフィールだ…
俺もここのホ○トの一員になるんだからさ
皆さんの事、知っておかないとねへへへ
俺はそのプロフィールをじっくりと読んだ
いい暇つぶしになった
気になるところだけメモしておいた
チーフ・ミンチョル…前髪を触ってはいけない、顔が大きいと言ってはいけない、わき腹に注意、理論では負けるから勝負するな
傷つくと仮面を被り黙り込むか猛反撃に出る、夜のソウルの道路は彼のものだから気をつけること
赤い薔薇の花しかしらない、紫色のシルクの洋服は着せるな
すっげー多いな、チーフ…
気難しそう…
スヒョン…天使
天使?!
スケコマシ技は絶品。近頃ドンジュンの色香に血迷い、編み物で精神統一しており、自分の色香を出せなくなっている…要治療
あみもの?わけわかんねぇ…
キム・イナ…天才ギャンブラー。ギャンブルの勘は素晴らしい。友情に厚い。ミンチョルと親友。最近チニ嬢と何かあるらしい…
一途に好きな人を思うタチ。刑務所経験アリ
ふうん…天才ギャンブラーか…。刑務所?!俺と一緒じゃん!気が合いそう…
ジュンホ…元プロボクサーで世界チャンピオン。くも膜下出血のため引退。純粋で誠実でみんなのアイドル
…ボクサー?!…チャンピオンだと?!…俺もそこそこいい線いってたんだ!よし、コイツと勝負だな!フン
ドンジュン…車に乗せると途端に色気を発する。車の事ならなんでも知っている。真っ直ぐで素直な性格。でも悪魔
…悪魔?…天使に悪魔…いろいろいるんだな…
テジン…兄の魂が憑依したと言い張る。死んだ兄のかわりにその妻と生活。近々子供が生まれる
…いいのか?!…その子供はどっちの子供だ?…わっかんねぇ…
テプン…五人兄妹の二番目。長男だが末の妹とだけ血が繋がっている。元プロ野球選手(二軍)。身に覚えの無い(らしい)子供がいる
なんでも一口で食べる。当店ナンバーワンホ○ト
…ああ…どうしてこんな変な奴がナンバーワン?!
まだまだ資料はあるんだけど、俺はちょっと疲れたのでもう一度食料保存庫をあけて、チョコレートを持ってきた
食っていたらすぐ傍に人がいた
げっ…
「おまえ誰だよ!何でここにいんだよ!」
また俺とおんなじ顔した、ちょっとこぎれいなかっこいい男がやって来た…
誰?!
「僕はイ・ドンヒ。今日来たばかりの新人ホ○ト」
そのドンとかいう奴は俺の服にケチをつけ、俺を『君』なんて呼びやがる
「俺はホンピョってんだ」
俺は頭のてっぺんを何度も撫で付けながらそのかっこいい男に名前を言った
もっと色々言ってやったがどうでもいい
「よろしく」
その男は、これ以上ないくらいさわやかな笑顔で俺に手を差し出した…
新人 れいんさん
僕はイ・ドンヒ
ゲームプロデユーサーをやってた
そう…やってた…
ある人から誘いを受けるまでね
ホストクラブ…面白そうじゃない
丁度仕事にも慣れすぎて刺激が欲しかったところさ
女性の扱いなら結構手慣れてるしね
前にもミランって女性とヒッチハイクで知り合ったその日のうちに…ふっ
その後ヤバイ事に巻き込まれて大変だったけどね
まあ、体力にもテクニックにもちょっと自信はあるんだ
僕は地図を片手に通りを歩いていた
確か店はこの辺りだよな
通りがかりのウインドウに僕の姿が映る
僕って結構イケテルだろ?
肌はツルツルだし、脱いでもピチピチ凄いんだぜ
顔ももちろんの事さ
ただ、たまにあの人に似てるって言われる事がある
ほら、「あーばよ」とか「いい夢見ろよー」とか言うコメデイ系の賑やかな俳優…知ってる?
でも、10年後はきっと似てないと思うけどね
さ、スーツも髪型もバッチリ
このワインレッドの幅広ネクタイはいただけないけど…まあいいさ
これならすぐにでもホ○トOKだね
あ、ここだな
僕は細い路地から裏口へと急いだ
あれ?閉まってるの?
何だよ、人を呼びつけといてさ
勝手に中に入ってもいいのかな
閉じ込められたエレベーターもハンドパワーで開けちゃったくらいの僕だから
こんな裏口くらいどうって事ないけどね
ん?何か物音がする
泥棒か?…ったく、またトラブルかよ
ちょっと様子見てみるか
僕は裏口の鍵をちょっと細工して(ま、ピッキングともいうけど)中に入った
薄暗いその場所は厨房の様だ
確かに人の気配がする
食べ物の臭いとか、獣みたいな臭いがする
カップ麺の容器がそこらに散らばっていた
グニュ…
あっ!何か踏んづけた!
僕は慌てて靴底を見てみると、噛んだガムがくっついていた
誰だよ!こんなとこにこんな物を捨てて!
これ、一番嫌なんだよな
僕はイライラしながら近くにあったマットで靴底を擦った
はっ!何かTVの音らしきものが聞こえてくるぞ
随分呑気な泥棒だな
腹ごしらえしてTVかよ
僕は音のする方に近づいた
そこには長椅子に寝そべっている男がいた
TV画面が明るくなった時、その男の顔がはっきり見えた
僕は目を疑った
身なりや雰囲気はかなり違うけど顔が僕にそっくりだったからだ
そいつが僕に気づいて体を起こした
「おまえ誰だよ!」
僕は咄嗟に身構えた
「何でここにいんだよ!」
臭ってきそうなくらい身なりの汚いこの男、どうやら悪い奴ではなさそうだ
「僕はイ・ドンヒ。今日来たばかりの新人ホ○ト」
「へえー、俺もだぜ。わざわざ来たのに誰もいねーんだ」
「君がホ○ト?嘘だろ?」
「何だよ!俺がホ○トじゃ気にいらねえのか」
「だって君のその格好…ケンカにでも巻き込まれて服が破れちゃったの?」
「着るもんなんてなんだっていいだろ?それによ、君って呼ぶのやめろよ。尻がむずむずするぜ
俺はホンピョってんだ。ところで、おまえいいスーツ着てんじゃねえか。俺の上着と取替っこしねえか?」
「悪いけど遠慮するよ。で、何してるの?ホンピョ君」
「へっ退屈だからよ、メシ食ってテレビ見てたんだ。おめえも一緒にどうだ?」
「これ何の番組?」
「ここの店の奴らがよ、どっかで祭やってるらしくてよ。その生中継。それがよお男同士でキモイんだぜ。ちゅうちゅうよお」
僕はこの店のホスト達がどれくらいのレベルなのか知っておこうと、ソファに腰掛け画面を見つめた
それにしても、この男臭いなあ
どのくらい風呂に入ってないんだろ…ったく
野良猫の調教は… ぴかろん
イナにキスしてたら、後ろの方の座席のラブ君とギョンジン君が目に入った
頭を寄せ合っている
うまくいってる?
こっちは…そぉだね…まあいい方じゃないかな…
この野良猫もカシコくなりたいらしいよ…
でもなぁ…こいつ…色っぽいけどなぁ…
僕はイナから唇を離してまじまじと顔を見つめた
「はふん…」
確かに可愛いんだよ
色っぽいし…
けどなぁ〜なんだろう…
「物足りない…」
声に出して言ってやったケヒヒ
顔色が変わったぞ
「…どーゆーこと?!」
あ…怒った…ケヒヒ
「どういうって…言葉通り…」
「何がどう?誰と比べてどこがどう物足りないのさ!」
「誰と比べてってのは心外だな…。お前、成長したいんでしょ?」
「…ん…」
「ほら…いっつもそれだもん」
あ…、すげえ疑問符くっつけた顔だ…その一分開きの唇がたまんないんだけどでも…
「いっつも同じことしてたら飽きるだろ?」
「…おれはてじゅがおんなじようにきしゅしてもあきないもん…」
「それは僕が意識して同じキスをしないように努力してるからだよ!ほら、さっきだってギョンジン君を交えて刺激的なキスの体験させてやったろ?」
「…しょ…しょれは…しょうら…」
ふふ…納得してやんの…ふふ…
「それからぁ…ミンチョルさんの部屋の床だとかさ、外だとかさ、トイレだとか…場所を変えると…な?刺激的だろ?」
「…う…」
「あっ!非常階段でしてない!」
「…」
「…夜中…しよっか…」
「ばかっ!」
「あれ?あそこお前のお気に入りの場所じゃなかったっけ?」
「…」
くふふふ…かわいいっ…耳まで真っ赤になってる…
「とまあこんな具合に僕はお前に『言葉での刺激など』も与えてやっている。だがお前はだな…」
「あんだよ…」
「いっつも同じように『キスを受け』、いっつも同じように『僕を受け入れ』、そして僕に対して仕掛けてくる時も『全く同じようなパターン』でくる」
「…ふ…。らって…」
「『らって』なんだよ!」
「らっててじゅ…しょれでまんじょくしゅるらろ?」
「う…」
図星だ…だが…
「まんじょくしてるのになんれぱわーあっぷしゅるひちゅようがあるら…。しょんなの、これからしゃきがながいのに、いまからばんばんあたらしいてぐちちゅかわなくてもいいら!
ここってときにしょうぶしゅるら!」
「…」
さすがは勝負師…。だが…だが…
「騙されているような気がするが…」
「…う…」
「そんなこと言いながら、一生同じ手を使いそうだが…」
「…」
「ふうっ…。もっとサービスのいい子に乗り換えようかなぁ」
「ましゃからぶ?!」
「…」
疑ってるな…
「それもいいかも…でもギョンジン君もいいテクニックを持ってるらしいし」
「てくにっく?なんの?」
「…」
「ねぇ…なんの?」
「お前は知る必要なし!」
「なんれ?」
「いい!」
こいつがその意味を知ったら…ギョンジン君に走りそうで怖い…
そんなことになったら僕はもう…
あ…
そんなことになったら僕は…
その時こそあの優しくて柔らかくて可愛くてきれいで学習能力の高いサービス精神旺盛そうな…ラブ君と…くふふ…くふふふ…
あ!いかん…イナが突っ伏して泣き出した!またうるさくなる…
「とっ…とにかくだ…もう少し僕に刺激を与える努力をしてほしいなぁと思うわけだ!」
「してるもん!」
「してないじゃん!」
「してるもんっ!うわきっすしてお前に刺激あたえてりゅもん」
この野郎!
僕は思いっきりイナを睨んでやった。フンっ
野良猫は背けた僕の頬に唇を這わせ、耳たぶを噛み始めた
はふん…こいつ…
野良猫の妖しい舌が耳をなぞる
そして野良猫の妖しい声が僕だけに響く
おれがほんきになったらおまえ…しんじゃうじょ…
くうっこの野郎!
僕は我慢できなくなって野良猫の妖しい舌を吸った
…チョロいな…
僕の心に野良猫の言葉が響いた
くそう…
嫉妬 オリーさん
僕は自分が何を言ったのか
わかっていなかった
スヒョンがドンジュンを抱ている後姿を見た途端、
トゲのある言葉が口をついて出てしまった
ドンジュンの凍りついた瞳と、
スヒョンのいぶかしげな瞳が胸に刺さった
いたたまれなくなり急いで踵を返した
ドンジュンが風のように脇を走り抜け、
そのまま会場へと消えた
そして後ろからスヒョンに腕を掴まれた
「待てよ。用があったんじゃないのか
それとも嫌味だけ言いに来たのか」
「何だって?」
振り返るとスヒョンはいつになく険しい顔をしていた
「僕らが何してたって関係ないだろう
人のために走り回ってくたくたなんだ」
僕は額に手をあてるとため息をついた
「すまなかった」
「何か用か」
「ああ、訂正事項の二つ目はそのままにしてほしい
後の段取りがスムーズにいかなくなる」
「わかった、伝える」
「頼む。じゃあ」
だが、なぜか僕はそのまま突っ立っていた
「どうした?」
「悪かった。それと、今日はありがとう」
「謝るくらいなら最初から言うな。大人げないぞ」
「自分でも何を言ったのかわからなかった、すまない」
「何だって?」
「知らないうちに口走ってしまって、野暮なマネしたな」
僕はやっとそう言って今度こそ歩き出した
後ろからスヒョンがまた僕の腕を掴んだ
「知らないうちに口走ったって?」
「もう怒るな、謝ったろう」
「そうじゃない。知らないうちに口走ったってどういう事だ?」
スヒョンはまた険しい顔になっていて
僕はそのまま壁に押しつけられた
「だから…」
「だから?」
「お前がドンジュンといるのを見て、つい…」
「つい?」
問い詰められているうちにある事に気づいて愕然とした
「嫉妬したんだ…」
スヒョンの顔色が変わった
「とにかく悪かった」
僕はスヒョンの手をはずした
「もう行くよ」
が、体が動かない
「僕は…」
「お前…」
僕達はそのまま呆然と見つめ合っていた
ドンジュンに嫉妬した、
それは、僕がスヒョンを…
スヒョン、そんな目で見ないでくれ
耐えられなくなって、
スヒョンから体をはずして歩き出した
後ろでスヒョンが呟いた
馬鹿野郎…
そう、僕は馬鹿野郎だ…
ある日突然ミンのように、
僕の中にすっぽり入り込んだのでなく、
いつも空気みたいに僕を包んでいたから、
大きすぎて、自然すぎて、
僕は気づかなかったんだ…
会場と反対のロビーへ向かった
どこでもいい、とにかく落ち着かなくては…
心に吹いている嵐をおさめなくては…
ミンの声が頭に響いた
僕が他の誰かを好きになったらどうする?
ミン、僕が他の誰かを好きになっても…
僕のことをずっと憶えていて、ずっと考えていて、
ずっと想っていてくれるのか
ミンは、僕のことを言っていたのか?
僕がスヒョンを好きだったら、
自分はどうすればいい?
そういう問いかけだったのか…
ロビーのソファに埋もれ目を閉じた
遠くで会場のざわめきが聞こえる
ミンが瞼の後ろで微笑む
ミンの手を離したくない、
いつまでもいつまでも掴んでいたい…
でももう一方の手で、スヒョンも掴んでいたい…
そんなことが許されるはずもないのに
何てエゴイスティックなんだ
そして…愚かだ
「こんなところにいたの?」
突然、天から声が降ってきて僕の肩を掴んだ
「ファッションショーの続きがはじまるよ」
ミンだった
はっとして振り返った
僕の目を見るなりミンは僕の肩においた手を離した
まわりの空気が鉄の塊になって落ちていった
ミンの震える声がのろのろと僕の耳に届いた
「やっぱり、そうなの…」
「すまない…」
ミンの顔からすべての表情が消えていった
言えない理由 オリーさん
ミンは能面のような顔でそろそろと後ずさりをはじめた
数歩下がった所で、僕は声をかけようとした
でも、その前にさっと踵を返し、
すばやく走り去ってしまった
僕には呼び止める力も資格もない
ミンの消えたロビーの先をしばらく見つめていた
離したくないのに、掴めない
掴みたいのに、届かない
僕はまたソファに埋もれた
祭が終わった時にはたぶん僕には何も残っていない
目まいがした
でもすべて自業自得
愚かな僕にはぴったりだ…
体が鉛のように重く感じた
ミンの笑顔とスヒョンのとまどった顔が
交互に浮かんでは消えた
どのくらい時が経ったのだろう
気がつくと会場のざわめきが静かになっていて、
かすかに弦楽器の音が聞こえる
ファッションショーがはじまっているのだろう
これが終われば出し物は終わる、ラストまで後少しだ
戻らなければ
僕はふぬけた体を起こし、立ち上がった
頭と体が分かれているような奇妙な感覚に襲われた
ロビーの角を曲がると、柱の後ろに人影があった
ミンがひっそりと立っていた
「ミン…」
ミンは僕の姿を見るとすっと近づいてきた
そして…
腕を絡ませた
「ショーがはじまってるよ。行こう」
「ミン?」
「僕らはそういう関係だったよね」
「ミン…やっぱり、そうだったのか」
「いい答をくれたね、さっき。そのとおりにする
僕はずっと憶えていて、ずっと考えていて、ずっと想ってる」
ミンは前を向いたまま僕に言った
「ミン、僕にはそんな風にしてもらう資格はないんだ」
「資格なんていらないよ。僕がそうしたいんだ」
「でも…」
「それとも、僕はもう完全にお払い箱なの?」
「そんな言い方はやめてくれ…」
「じゃあ、いいでしょ。そばにいる」
「ミン…」
「僕らは終わらない、そう言ったのは嘘?」
「嘘じゃない。でもあれは僕が…」
「だから!」
ミンは大きな声を出した
「僕もそうするんだよ!わからない?」
ロビーにいたまばらな人影が僕らを振り返った
「僕は本当に馬鹿だ…こんなこと…」
「また自分を責めてる。悪い癖だよ。いっそ開き直りなよ」
「え?」
「僕はスヒョンもミンもどっちも好きな大馬鹿者ですって」
「ミン…」
「それでも僕を離したくないなら掴まえててよ
それだけでいい、簡単だよ」
「そんなに簡単な事じゃない」
「僕がそばにいて全部見てるよ
悩むのも、苦しむのも、全部見ててあげる
だから言ってよ、そばにいてくれって」
「言えないんだ…」
「どうして?」
「どうしても言えない…」
「じゃあ、僕はもういらないんだね」
「違う…でも…」
ミンは僕の首に腕を回して抱き寄せた
「言ってよ。僕らは終わったりしない。そうでしょ」
ミンの抱擁とミンの言葉は僕の心に染み込んできた
「僕は…ミンを離したくない。ずっとそばにいてほしい
でもその僕は…スヒョンも欲しがってた…
ひどいだろう、ひどい話だ…だから…
僕は…そんな自分が許せない…僕が僕を許せないんだ…」
僕はミンの肩に顔をうずめてこらえていた嗚咽を漏らした
ミンは僕の頭を抱いて言った
「そうだと思った。いいよ、僕が代わりに許すから大丈夫だよ
そのかわり、僕がやきもち妬いた時は、その時は大目にみてよね。交換条件だよ」
「ミン、僕は…」
「いいから、もう黙って」
ミンは一度体を離すと、もう一度
両手を広げて僕強く抱きしめた
途切れぬ想い 足バンさん
あまりに思いがけない言葉だった
嫉妬?
僕は呆然とミンチョルを見つめた
ミンチョルのその深い憂いの瞳を見つめた
なんで…
なんでそんな…
ミンチョルが視線を落として僕の身体をすり抜けた
僕は目を閉じてやっとのことで言葉を発した
「馬鹿野郎…」
ミンチョルの足音を背中で聞いていた
その懐かしい足音が耳に響く
混乱しざわついた心臓を押さえる
自分の睫毛が小さく震えるのを感じる
首から蝶タイを外しシャツのぼたんを緩め
そして深呼吸をして目を開ける
振り向いたその先にミンチョルの姿はもうなかった
目の前のドアが開き風が舞った
ギョンビン…
ギョンビンは立っていた僕を見て一瞬驚いたようだった
まわりを伺い、
そしてまた僕を見る
その時の僕はいったいどんな顔をしていただろう
とにかく先に目をそらさなかった
ミンチョルとの間にもう波風は立ってほしくなかった
しかしやっと出した声はかすれていたかもしれない
「ミンチョルならロビーの方に行ったよ」
「ありがとうございます」
ギョンビンは丁寧に頭を下げて足早に歩いて行った
その後ろ姿を見届け
そして会場へのドアを押す
舞台の華やかなファッションショーを目にしたとたん
僕は突然ひどい後悔の念につつまれた
ー知らないうちに口走ったってどういうことだ?
ーだから?
ーつい?
あんな風に詰めよったばかりに
あいつにあんなことを言わせたんだ…
静かに見守って行きたいなんて言っていながら
自分の身勝手で
あれほどの男にあんなことを言わせたんだ…
暗がりの壁にもたれて舞台をぼんやり見る
見慣れた男たちが極彩色の鳥のように舞っている
目を閉じれば
その美しい残像にミンチョルの瞳が重なる
交わした激しいくちづけを思い出す
ダンスで抱きしめたその背中を思い出す
耳の下にうけたキスを思い出す
それは…
すべて心の底に折りたたまれ
丁寧にしまわれる準備をしていたものだった
人の気配に目を開けると
そこにドンジュンが立っていた
ドンジュンは僕が足元に落としてしまっていたらしい蝶タイを拾い上げ
僕のシャツのぼたんを丁寧にはめた
「まだ最後のショーがあるでしょ。はいタイして」
「…」
「さっき言ったの嘘…よく似合ってるよタキシード」
「ドンジュン…」
「それからダンスすごくよかったよ、本当は感動したんだ」
「ドンジュン」
「それから…」
「ドンジュン!」
ドンジュンは僕の目を真っすぐ見た
薄暗がりでもその唇が小さく震えているのがわかる
「きっとなにもかもうまくいくよ…」
「…」
「自分に嘘つかなかったらいつかうまくいく」
「ドンジュン…」
「僕待ってるから…」
「…」
「もし帰ってきてくれたら…もう1回恋をしよう」
ドンジュンは子供のように唇を噛んで優しく微笑むと
タイを僕の手に乗せて客席に戻って行った
僕は動くこともできずにその後ろ姿を見ていた
【64♪ナビゲイター byドンジュン】ロージーさん
【65♪美しき愛の掟 byミン(JSAリードギター)】ロージーさん
きりきりします ぴかろん
なんだか…ぼくはとってもつらいです…
かばんににもつがつまってるのはみなさんごぞんじですね?ごぞんじなんですよね?!
なぜこんなにじかんがすぎるのがおそいのでしょうか?!
いちじかんたつのに、ぜったいみっかぐらいつかっていますね!そうでしょう?!
きりきりきり…
もうすぐまつりがおわるはずなのに、ここへきてあのさんくみのうちのふたくみがややこしいてんかいになっています
どーゆーことですか?!
そのふたくみがややこしいてんかいになっているあいだにあとのひとくみはまた『かたつむりかよっ!りぴーとぼたんおしたのかよっ!』
ていうぐらいなんかいもなんかいもおなじことをやっています!
おなじことってなにって?!
いわせたいの?!
ちうちうはむはむですよばかっ!
それをしながらおたがいのよくぼうをみたそうとひっしのようですよっ!
そのよくぼうはですね、そとにむいているみたいでですねっ!
ぼくにはりかいできないしゆるしがたいことなんですけども
でもてじゅんさんのよくぼうにかんしては、ぼくはゆるしてあげます
いままでのくろうにむくいてあげたいです
そんなふうにおもっているのにけっきょくはのらねこのえじきです!
えじきといってさしつかえないでしょう?え?!
なんだかんだおもいっきりすけべなよくぼうをのべたあとにのらねこのちせつなわざにはまって、がまんがきかなくなっておしたおしています!
あなたはまだそうしはいにんのたちばなんですよ!
ぼくはまえのせきのふたりのばかっぷるぶりにいらだち、もっていたぺっとぼとるのみずでもかけてやろうかとおもいました
でもやめました
「あ…あめだよてじゅちゅむちゅむはむ」
「ほんとだ、ろまんちっくだなはむはむはむ」
などというてんかいがめにみえています
みずがもったいないです
かぎりあるしげんはたいせつにしたいです
これはちーふにもいっておきたいことです
しょっくなことがあったからといって、みずをだしっぱなしでじぶんにみとれないでくださいねっふんっ!ごくごくごく
ああ…おもいっきりいらついたらのどがかわきました…
そういえばぼくがおかあさんのためにおかねをくめんしようと、またや●ざのせわになったあと、そにょんさんとなかなおりして
ひさしぶりにおうちにかえってべっとでうふふ…のときにこどもたちがじゃまして…そにょんさんがおこって(あのときちょっとこわかったけども…)
それからこどもたちもうねたかな?ってたしかめて…そ…そりからおふとんにもぐりこんでごにょごにょとてぷんさんのしりたがっていることをしてから…
よなかにのどがかわいたのでだいどころへいったらなかにわにおとうさんがいてびーるのんでていっぱいぼくにくださって
「ちかごろおまえがきにいっている」といってくださったてあのときのことをおもいだしました
はあっ
いっきにかたったらまたのどがかわいてきた
ごくごくごくご…
「あってじゅ…らめ…こんにゃとこれ…」
ぶーっ!
ぼくはくちにふくんでいたみずをふきだしてしまいました…
らって…あ…いえ…だって…のらねことてじゅんさんは、ここがほーるのかいじょうだってことをわすれて
てぷんさんがしりたがっていることのおとこばーじょんをはじめようとしていたからです!
ぼくのふきだしたみずでふたりはわれにかえり、なにごともなかったようにいふくをととのえはじめ
けほんけほんとせきばらいをしてぼくのほうをみて
「わるかったな…」
といいました
あくにんめ!
ぼくはもういちどみずをごくごくのんで、ふたりをにらみつけました
てじゅんさん…
へんたい…
ミンのメモ オリーさん
覚えたことをメモしておくのは大事です
小さなメモをたくさん蓄えてひとつの大きなデータベースを作るのです
おばさんが買い物の品を忘れないように、などと
広告の裏に走り書きでメモする、そんな感じとは
ちょっと一線を画したい気分です
結局、おばさんはその広告を持ってでかけるのを忘れて、
買い物の品を買い忘れたりしているわけですけど
誰とは言いませんが…
僕のメモは当然狐に関するメモです。今日のメモは
タイトル:フリーズ
意味:冷凍→急に凍りつくこと→見れば大抵わかる→目に注意、時に挙動不審、その他
自覚のない狐が一旦自覚すると、かたくなになる、傷つく、引きこもる(NEETとは区別するように)、殻を作る、勝手に凍る
処置:急速解凍
有無を言わせず、解凍してやること。とにかく溶かす。どんな手を使ってでも溶かす。溶かすためなら何でもする覚悟が必要。
一度凍ると元に戻るのに時間がかかり、かえって不経済、これを念頭に頑張る!早期発見、早期急速解凍が望ましい
注意事項:ガラスの目玉になる前に対応すること
お面をつける前に対応すること
このふたつを装備してフリーズすると後が大変
フリーズしてから装備することも有り。いずれにせよ、後が面倒
(注)カクカク歩きにも注意
類義語:ブリザード状態→後で要レポ
ここまで書いたら、隣の狐が何してるの?と覗き込んできました
当然見せられません。ちょっとね、とごまかします
でも今、解凍してあげたばかりなので、とても素直で穏やかです
たぶん突っ込まれないですむと思います
あれ、となりのとなりのとなりの席に目が釘付けになってます
どうしたの?僕は聞きました
穏やかだった狐の目が釣り上がってます
イナの奴…まったく…テジュンさんまで…
ここをどこだと思ってるんだ
キスだけでも目障りなのに、何てことを…
狐は今にも立ち上がりそうな勢いです
わっ!狐の口が動きましたっ!
「イナっ!ぶ……ぐぐぐ…」
僕はあわてて口を押さえました
「今日はイナさんのこと、ぶぁかって言える立場じゃないでしょ
さっきまで、自分が馬鹿だって落ちこんでたでしょ」
狐は悔しそうに、唇をかんでいましたが、大人しくなりました
そうこうしているうちに、ぶぁかっぷるは
ジュンホさんが何とかしてくれたようです
解凍してあげた直後は、少し意地悪しても大丈夫です
いえ、ちょっと刺激を与えた方がいいんです
溶かした後、ずっと甘えさせておくと、本当に呆けてしまいますから
あ、メモが少ししか書けませんでした
書けなかった分はあとから追記します
僕、たいていのことは憶えておけますから
買い物のメモを忘れるどこかのおばさんとは違います
え?うるさい?よけいなお世話?
そうですね、ごめんなさい…言い過ぎました…
おばさんには気をつけます→メモに追記
銭湯へ行こう! ぴかろん
ったくよぉ…なんだよこの男…
姿勢正してテレビ中継に見入ってるぜ
俺が
「気持ち悪くなんねぇか?男同士だぜ?小汚ねぇキスだせ?よく見てられるなぁ」
って言うとさ、俺を上から下まで見つめて
「ふっ」
って言ったんだ
…すっげぇヤな感じ!
俺は頭のてっぺんを何度も擦って
「あ゛ーつまんねぇ!」
と声をあげた
すると奴は
「銭湯でもいきますか?お近づきの印に背中でも流しますけど…」
って言ったんだ
風呂か…
何日ぶりかな…
「おお…いいねぇ…で?おごってくれる?俺、金ねぇんだよな」
そう言うと奴は顔を顰めて頷いた
俺たちは銭湯に行った
銭湯のおっちゃんは俺達の顔をみるなり
「BHCの人だね?」
と言った
なんで解るのか聞いてみたら顔が一緒だからすぐに解るんだってさ…
ふぅん…
じゃ、金庫破りしても…誰か他の奴のせいにできるなぁって、本気半分冗談半分でドンヒに言ったら、すげぇ顔して睨みやがってよ、
「微妙に顔つきが違うでしょ!」
って、噛み付くような勢いで言いやがった
気にいらねぇ奴だ…
湯船に浸かろうとしたらドンヒが待ったをかけた
「あなた何日ぶりなんですか?!先に身体を洗いなさいよ!他の人の迷惑ですよ」
だ〜とよっ
へいへいへい、てめぇが俺の背中流してくれるんだよな!
俺は奴に背中を向けて洗わせた
大事なトコは俺がちゃんと洗う
あたりめぇだ!ンなとこまで洗わせたら…あのテレビ中継の…あんな…あんな…。げーっ!かーっぺっ
「何してんですかあっ!唾なんか吐かないでくださいよっ!きったない!全く!」
…っるせー奴だなぁ…
俺は無言で桶に水汲んで唾を流した
んなにぐちゃぐちゃ言うなよ若いくせに男のくせに!
おめぇは俺の母親かよっ!
母親…
顔も見たことねぇや…ぐすっ…
俺はちっと弱気になってまた頭のてっぺんを何度も撫で下ろした
「それって癖?」
「何が!」
「頭撫でるの…」
「…ああ…」
「ふぅん…。誰も撫でてくれないから自分で撫でてるの?」
「何ぃ?!」
くそったれ!俺だってスヒョンと一緒に暮らしてた頃は毎日フロに入って頭撫でてもらって
そのお返しに俺があいつを…。ぐすっ…
いてぇぇぇっ!
「てめぇ!馬鹿力で擦ンなよっ!皮がめくれるっ」
「すっごい垢!うわっ気持ち悪い…。貴方ホントに人間ですか!なんだこの垢!うわぁぁぁぞぉぉぉぉっ…」
「いてっ痛いっいてぇって!ひいっひいいん…」
俺は奴に思いっきり身体中を擦られた…
痛かったけど…さっぱりした…
「あとはその髭…小汚いから剃りなよ」
「一々うるせぇんだよ!俺はこれていいんだ!」
「ホ○トとして最低限の身だしなみを整えなきゃ、同じ新人として恥ずかしいよ僕は!」
「俺はぁ〜このスタイルがぁ〜気に入られたの!このまんまで来いって言われたの!」
「誰に!」
「オーナー」
「…うそ…」
「小汚くて可愛らしくてほっとけねぇってよ」
「…」
奴は顔面蒼白になって震えていた
そしてブツブツなんか言ってた
「そ…そんな…。僕のアイデンティティが崩壊しそうだ…。僕の辞書にも僕のハードウェアにもこんなホ○トは存在しない!どういう事だ?!
小汚くていい?!こ…このまんまでいい?!獣の臭いがするのに?!唾吐くのに?垢がこんなに出るのに?!」
「ふぇ〜さっぱりした。おい、おめぇ、湯船に浸からねぇか?」
俺が声をかけると、奴はフラフラと立ち上がってドボンと湯に入った
気持ちいい〜
久しぶりに気持ちいいな〜
自然と笑顔になる
そんな俺を見て奴はまた何か言いたそうにした
「あんだよ」
「…なるほど…インプットしたよ…」
「は?」
「野良犬は洗う楽しみがあり、調教する楽しみがある。また、可愛らしい事もあり、逞しかったりも…する…」
「何言ってんの?お前…」
「君と僕とどっちが身体、きれいかな」
奴は突然顔を引きつらせながら胸を張った
「きれい?!」
「君の垢、落としてやったから…僕とあまり変わんないでしょ?でもどっちが…きれいかな?」
俺は奴の胸板と腕をまじまじと見つめた
そして触ってみた
「なっ…何すんだっ!」
「触らなきゃわかんねぇじゃん、ツルツルしてるか柔らかいかどーか…ふむふむ…ツルツルしてるな
俺は…おっ、おめぇが垢すりしてくれたから、俺のがツルツルだ!硬さは…ん〜微妙だなぁ…」
「…」
「なんだ?信じねぇのか?触り比べてみろよ!」
奴は恐る恐る俺の身体に触った
ひゃはっ…くすぐってぇっ…
げーっキモチワリィ
よく考えたらこれ、キモチワリィじゃねぇかっ!
「本とだ…ツルツルだ…気持ちいい…」
「…変な事ぬかすなよキモイ」
「君が触れって言ったんじゃないか!」
「てめぇがキレイだなんだって言ったんだろ?!」
「ふんっ僕だって垢すればもっとツルツルだぞ!」
「じゃあ俺が擦ってやろうか!骨が見えるくらいまで!」
「結構!自分でやる!君はもっと自分の垢でも擦れば?きっともっと出てくるよ!」
「るせぇ!ばか!」
「少なくとも君よりは頭がいいと思うがね!」
「ばーかばーか」
「…」
ひーひーひー。ムッとした顔してやんの…
「君っ!シャンプーしてみろよ!絶対一発では泡立たないだろっ?」
むかつく野郎だぜ!
俺は湯船から上がり、頭を濡らしてシャンプーをつけた
案の定泡立たなかった
それがどーした!
汚くても生きてりゃいいんだよっ!ば〜か!
感想 足バンさん
チュニルだ
小ホールにて映画を堪能した
ビューティフル・ナイト…
うむ。サスペンスとしての要素をふんだんに取り入れた秀作だ
若い男を守ろうとする年上の男
まだ想いが成熟してはいないがこれから育まれる深い愛を予感させる
若い男のその一途なうぶな気持ちが新鮮だ
しかしこういうタイプの若者は成長すると強いぞ
ここでは年上の男に従っているが
相手を組み敷くのもそう遠いことではあるまい
そして夜這いを慣行したふたり…
うむ、詰めが甘いな
しかしなにやらこのふたりには通ずるものを感じる
自分の真実に気づくのに時間がかかるタイプだ
この4人…
このままの関係では済まんぞ
Destination…
先ほどの者たちがついにひとつになった祝いの詩だな
うむ。若い男の恥じらいと悦びがよく表現されている
しかし先ほども言ったが…この若者のこの目はただ者ではない
運気も強い
いきなり援助者などが現れるタイプだ
近くこの年上の男はかなりやられるな
心が揺れやすいのも年上の方だ
そう言う意味では若者の苦労は絶えんだろう
蜘蛛の恋…
うむ。こちらはまた落ち着いた恋の道だな
お互いの心の隙間にゆるりと入り込んだ、そんな愛情だ
この眼光鋭い年上の男が真実の優しさを見せられる相手に
やっと出会ったということだろう
しかしだ
この男、すけべえな香りが漂う
そして気が多いやもしれん
深みにはまらぬ程度の秘密を持つタイプだ
そしてこのトテトテ走るかわいらしい男はそんな相手をじっと見ている
意外と包んでいるのはこの男の方かもしれんな
天使の指・悪魔の指…
うむ。先ほどのふたり…なるべくしてこうなったな
この年上の男は頭もよく器用そうだな
一見”イツでもドコでもダレトでも”系だが
心の奥底に深い憂いを持っている
それをこの若いひまわりのような男が無意識に癒しているのだろう
この若者はけっこう尽くすタイプだな
あなた〜が望めば〜ナンでもでき〜るぅ
いかん、つい歌ってしまった
うむ。そんなフレーズが脳裏をよぎる男だ
シチュンとテプン…
うむ。これは今回諦めていた”ノーマル”だ
コメディかと思ったが、いやなかなかのメロでもある
好きな女子への複雑な想いと友情か
懐かしい感情だ
このわたしにもそんな時代があった…いや、まだ現役だが
どうもこの落ち着きのせいか実年齢よりも上に見られてかなわない
それにしてもこの前屈みになって走る男
抑制のきかぬタイプか
男たるもの心頭滅却を憶えねば
さもないと、ある日いきなり憶えのない子に”お父さん”などと
呼ばれるようなことになるぞ
24時間…
うむ。”夢落ち”ならぬ”マッサージ落ち”か
いやしかしこのカメのような愛の交わり…
ふたりの目、手つき、ふと見せる憂いの表情…
この先続編があるな
そしてこの若い男の猫のようにくるくる変わる目つきは必ずや相手の男を翻弄する
しかしだ
この年上の男はひとすじ縄ではいかないぞ
翻弄されればされるほど静かに悦びを憶えるタイプだ
猫はマタタビの魅力に吸い寄せられ
マタタビは猫によってその魅力を発揮する
うむ。このふたりの側にいる人間の右往左往で
もう一遍作品ができるとみた
うむ。十分楽しんだ
これで無料とはお得な気分だ
ポップコーンのサービスがないのが惜しい
さて、一杯茶をいただいて
サンバに向けてのストレッチにでも行こうか
☆★Andre Kim_exposition de mode_7 妄想省mayoさん
★ stage8.:*・°☆
会場のライトが徐々に明るくなっていく♪が流れ始めた..
♪4.Akhalqalaqi Dance♪
胸の前で袖口を合わせ..コートをまとった6人が個々に登場し..ステージを進む
刺繍のある広い袖口の少し張りのあるオーガンジーのドレスの上に
目いっぱいの刺繍とモチーフの施された袖のない裾までのコート
コートは腰の部分でゴールドで幅広のフリンジ付きベルトで軽く締められている..
6人の衣装の色と刺繍はそれぞれ違っていた
ペパーミントグリーンのドレス..木槿の刺繍がなされた薄紫色のコート…チン
オレンジのドレス..ギリシャ神話神々の刺繍がなされた水色のコート…ジョン
水色のドレス..白い水鳥の刺繍がなされた濃紺のコート…ちぇみ
薄紫のドレス..白い百合の刺繍がなされた濃い紫のコート…マイケル
赤のドレス..ゴールドの鳳凰の刺繍がなされた赤茶色のコート…ヨソル
明るいきみどりのドレス..竹と枝葉の刺繍がなされた濃いオリーブ色のコート…トファン
ひとりづつ登場し途中でふたりになりステージ頂点で別れ..また二人になる..
6人が登場しステージ3ヶ所で2人つづになり..ポーズを取る
両手を広げると中に来ているドレスの袖が見える..
袖にもたっぷりと刺繍が施されている..
♪2.Oasis
2人つづがゆっくりとステージ中央に集まって行く..
6人が向かい合って輪になり両手を広げてゆっくりと回転..
身体の向きを観客に向け..反対方向へゆっくりと回転..
回転しながら6人の男達は思い思いのポーズで優雅に舞う..
シルクロードを一緒に旅した商人達の成功の踊りのようにも見える..
両袖に腕を入れ静かに身体を揺らす…チン
上に掲げた手を胸の前で手首を返しながら前後させる…ジョン
鳳凰が飛び立つ先を指すように両腕を天に掲げる…ヨソル
水鳥が羽根を広げるように伸ばした両手を揺らす…ちぇみ
枝から葉が落ちるように上から下へ伸ばした手首を返す…トファン
左右に揺らす腰の動きにあわせ左右に顔を向ける…マイケル
6人がゆっくりと2回転した後♪Oasisの音楽がぴたっ##っと止まった..
6人は手を伸ばした状態で静止ポーズを決める..
♪1.♪Mohini(Enchantment)Oasis
静止ポーズから6人は自然に2列になり..ステージ頂点へ歩き出す..
胸の前に持ってきた両手を袖に入れてゆっくりと進む..
ステージ中央からステージ先まで進みターンをしたあと一列に並んで進む..
ステージ入り口のパネル前まで戻り..6人は一列に並んだ..
それぞれ左右の手は上下し、ひじを曲げ指先は優雅にポーズを決める..
顔の向きも各々様々に決め..腰も撓り..肘の曲げ具合..指先の位置も違う..
並んでポーズを決めた後..一人づつステージ入り口へ消えていく..
ステージのライトは徐々に徐々に落とされていった..
mode style8
あんどれしょー◇舞台裏seven.. 妄想省家政婦mayoさん
ステージ袖に戻ってきた6人はいっせいに
「「「「「「…ふぅぅ〜〜〜」」」」」」..っとため息をついた..
6人が着ていた衣装が見た目よりも重たいからだ
素材自体はシルクとオーガンジーでかなり軽いが..
刺繍とモチーフがたっぷり施されているためにずっしりとしている
endingにまたこの衣装で登場する彼らはまだ衣装が脱げないでいた..
ジョンに駆け寄りすぐさまち◎うが始まるドン&ジョン..
ヨソルは腰に両手を当て..俯いたまま沈黙..
マイケルとトファンは
「いやいや..難儀ですな..」
「でもこな衣装はめったに着られませんからね..」
「もっともだ..」
「「はっはっはっ」」
テスは次の衣装でちぇみの側によりちぇみの頬を撫でる..
その手を取りぽちゃぽちゃの手にかぶりついそうなちぇみ..
「ぁん..駄目っ!」
「ん〜テスぅ〜食わせろ..」
「あとで..」
「ん..」
サンドゥはちぇみとテスの様子を見て..自分の手を眺め首をかしげている
「チンさんよぉ..手なんか食ったって美味くも何ともねぇよな..」
「はは..サンドゥ殿..甘いかもしれませんぞ?」
「そぉうかぁ?」
チンは3人の様子を見てくすくすと笑っていた..
ラストのショーでステージに立つかたまりからピョートルが僕等を見つけた
僕と闇夜に手を振って親指を立て笑っている..
「ふぁいてぃん!!」
僕と闇夜は声には出さずにピョートルに送った..
ラストのショーが始まる..
退屈しのぎ れいんさん
僕とホンピョは一風呂浴びてさっぱりした後、また店に戻って来た
それにしても、ホンピョの汚れっぷりは凄かったな
あんな短い髪なのに、3回目のシャンプーでやっと泡がたったくらいだ
体を擦っても擦ってもちっとも泡がたたなくて参ったな
犬を洗うより手がかかったよ
まあ、やっと隣に座っても臭わなくなったらいいけどね
僕は厨房の冷蔵庫からちょっと拝借した材料とフランスパンで簡単なオープンサンドを作った
セロリとステイック人参とピクルスも添えて
ギネスビール片手にまたテレビの続き
あっ!こいつ、僕が作った物をガツガツと…
遠慮ってものはないのか…ったく
まあ、食べてる間は静かだからいいけどね
それにしても、こいつの、頭ゴシゴシ撫でつける癖はどうにかならないのかな
ここのオーナーが気に入ってるらしいけど、オーナーって人の顔が見たいよ
僕はあれこれ考えながら、気を取り直してテレビに見入った
生中継の映像はなかなか興味深かった
丁度ファッションショーをやっていた
随分本格的じゃないか
僕はエキゾチックな音楽と幻想的なコレクションに釘付けだった
このコレクションの数々は僕のインスピレーションを刺激した
自己主張の強いファッションは僕も嫌いじゃない
このデザイナーの先生とは趣味が合うかもしれない
それにしてもモデルは男ばかりだな
ま、ホ○ト祭だからそうなんだろうけどね
…と、隣から豪快なイビキが聞こえた
なんだよ、こいつ
今度は寝ちゃったよ
風呂入ってメシ食ってテレビ観て寝て…
子供かよ
本能のままだな……ったく
あれ?手に持ってるの何?
僕は寝ているホンピョの手元にあった書類をそっと取り上げた
BHCホ○トのプロフィール…?ふうん…
キム・イナ…天才ギャンブラー…え?服役経験?なんだか凄い経歴だな
ジュンホ…元プロボクサー世界チャンピョン?え?大病患ってるのにホ○トやってんの?
ドンジュン…真っすぐで素直な性格ね…え?悪魔?ふうん、なんか僕とキャラ被りそうな感じ
テジン…兄の魂が憑依したと言い張る?心の病か?ここにはまともな奴はいないのか?
テプン…え?この人がNO1ホ○ト?子持ちなのに?どーなってるんだここの客は…
チーフ・イ・ミンチョル…プロフィール長いな
夜のソウルの道路は彼のもの、赤い薔薇の花しか知らない、紫色のシルクの服は着せるな…
こんな我儘放題の気難しい人がチーフ?お先真っ暗だな…
スヒョン…天使?ドンジュンの色香に迷い編み物で精神統一、スケコマシの技は天下一品…
ふうん…この人が一番まともそうだな
スケコマシってのも気に入った
僕もそっちの方には結構ね…ふふ
ドンジュンって奴と何かあるのかな
店に戻って来たらこの人に指導お願いしようかな
こっちは何の資料?
オールイン…ライバル店か…
キム・イナって人はこっちにも顔出してるのか
ふうん…メンバー的にはそうたいした事ないかな…
あ!このマイケルって人…
服のセンスなかなかじゃん
僕と好みが似てるかも…
僕の斜めストライプのベストもこの人の凄い柄のシャツに比べたらまるで地味だな
ちょっとこの人インプットしておこう
僕はプロフィールに添付してある顔写真とテレビを見比べながら祭会場での様子を食い入るように見つめていた
僕のホ○トの仕事はもう始まっていた
不安な野良猫 ぴかろん
まだ睨んでる…ジュンホが…
おれがわるいんじゃないもん!
てじゅの抑制が効かなくなったのはおれのせいじゃないもん!
ふと横を見たらきつねが物凄い上目睨みで俺を見ていた
そして口の形を『ぶ・あ・か』ってやった
その後でギョンビンに何かしら言われて小さくなっていたけど…
「イナ…ごめんな」
「…もうってじゅは…」
でもびっくりした
ちうちうはむはむしてたらいきなり『えろみん技』に入ってきたのら…
シャツの裾から手を入れて、んで…ベルトを外してファスナーを…
ああ怖かった…
らって…ギョンジンより手早かったんだ…
俺は急にまた不安になった…
「てじゅ…なんでしょんなイリュージョニスト?」
「…は?…」
「しゃっきここにあったおててが、あっというまにここにきてて…おれ…びっくりした」
「…いやぁ…昔バーテンダーやってたもんで…はははは…は…」
む
おかしい
てじゅのひきつり笑いだ…
大体ばーてんだーとおててイリュージョンとどう関係があるら!
「ほら!シェイカーでシャカシャカやるでしょ?そういう…その…手の動きとかぁ…スナップのきかせ方とかぁ…関係あるわけよ…」
「…」
「なにさ…」
「いままでこんなことなかった…」
「あは…いや…急に思い出したんだな、手が勝手に…。ほらほら、舞台が幻想的だからさ…あは…あはははは…」
俺の脳裏にあの『思い出のアルバム』が浮ぶ
ぺらぺらと風に吹かれてページが捲れる
はたと開かれたページにてじゅの甘く切ない顔と…美女の恍惚顔がある…
む…
そういえば俺はまだてじゅの過去をしらにゃい…
む…
むむぅ…
俺はてじゅを見つめた
てじゅはにへらっと笑った…
しょしてまたちゅうをしてきた
ぷいっと顔を背けると俺の目にまた狐の上目睨みが飛び込んできた
なんだよっ!気になるのかよっ!
俺は狐にアッカンベーをしてやった
狐は唇を口の中に押し込んで「む」と言っている
言っているに違いない!絶対そうだ!
しんゆうだからわかりゅのだ!
狐がこっちばかり気にしてるのを隣のギョンビンは気に入らないらしい
ぐきっとあのでっかい頭を捻じ曲げられ、狐はようやく俺から目を逸らした
「いなぁ〜どぉしたのさぁ〜」
俺はてじゅに向き直り真剣に言った
「てじゅの過去がしりたい…」
「…」
てじゅの笑顔が凍りついた
「なん…で?」
え?
なんでそんな『狐の急速冷凍状態』になるのさ!
(さっきミンのメモの下書きの紙が飛んできたんだよ!)
俺はまた不安になった
らって『フリーズしたら即解凍しないと後々面倒』らって書いてあったもん!
俺は、『どんなことをしてでも』溶かさないとイケナイと思い、てじゅに甘えた
「しょれかこんばんひじょぉかいだんでぇ…」
「お…ああ!それ!しよう!」
…?
チョロすぎないか?
む…
なんかヘンだ
てじゅんがへんだ…
俺はにやついているてじゅんの顔を下から覗き込みながらどんどん不安になっている
『どんな手段を使っても…』
アレしかないのかもしれない!
俺は焦ってテジュンのベルトを外しにかかった
「いなっ!こんなとこでっ!」
「らってこれしてほしいんらろ?!」
俺の頭に空のペットボトルと狐の携帯電話がぶち当たった…
らっててじゅがへんなんらもん…しんぱいらもんおれ…ぐしゅっ…