こーでぃねーと 妄想省家政婦mayoさん

僕はショーの衣装のまま闇夜をしばらくそっと抱いていた..
闇夜に少し温もりが戻って来て僕は体を離し闇夜の手を取った..

「また..手が冷たいな」
「ぅん..暖めてもらおうかな」
「ぷっ..あいつ..一番温かいもんな..」
「ぅん..」

僕が控え室で着替える間闇夜は控え室の外で待っている..
控え室には誰もいなかったので中に入れば?と言ったが
闇夜は首を横に振ってドアの外にいる..と言った..

闇夜はメンバーのきわどいえっちな映像は平気で観る
あくとれすなんか何回も観てる
すけべぇーおやじが好きなすけべぇーだけど
闇夜は僕が着替えるところは見ない..
僕がたまにシャワーの後にバスタオル一枚で出てくると
下を向いて「早く着替えろっ!」と逃げる..
生の胸板は照れるらしい..ちょっと可愛いところがある..

僕は白いチノパンを脱いでさっきまで履いていたジーンズと
シャツは新しいものに着替えた..
白地に青・水色・濃紺の細いストライプがランダムに続くシャツ..
ジーンズは理事がご愛用のブランドTRUE RELIGIONだ..

近頃闇夜は僕ら3人を着せ替え人形のようにコーディネートする
結構僕らもああでもないこうでもないと言いながら楽しんでいる.

今日のテスは僕が着たシャツの色違いだ
白地に淡いピンク・茶・濃いベージュのストライプ
ボトムは濃いベージュのチノパンだ
テスの目はちょいとタレている..
甘めの色が似合うよ#と闇夜はテスにしきりに勧めた..
個性的な柄・強めの色を好んで着ていたテスは当初甘めの色を拒絶した..
が..いろいろ試してみるとなかなか似合っている..
ちぇみも「ん..へんちくりんな柄よりいい..」と闇夜の意見を認めた..
それからテスも闇夜の選んだシャツを着ている..

闇夜はちぇみのコーディネートが楽なようで難しいという..
闇夜と同じように黒ばかりを好んで着るちぇみのボトムは黒だけだ
ちぇみにはいつも黒シャツを選んでいるがそれなりに一枚一枚違う
極細の銀の線が入っていたり地模様がペーズリーだったりと
よく見ると一枚一枚違う..
今日のシャツは黒色でボタンが燻した銀の凝ったデザインになっている..
ちぇみにはジーンズ禁止令が闇夜から出されている..
理由は顔がでかいから...バランスが悪い..とのこと..
「言われなくてもわかってるっ!」とちぇみはむくれたが目は笑っていた..

僕は着替え終わって控え室を出た..
闇夜は僕が1つだけボタンを外したシャツに手をかけ
2個目のボタンを外した...3個目のボタンに手をかけたとき..
僕はアヒルの口をした...似合わないから..
闇夜は僕のアヒルの口をむんにゅ#と掴んで3個目のボタンを外すのを止めた..

闇夜は自分の首からいつもしているネックレスを外した
それは白金のドーナッツ型のネックレスで闇夜のお気に入りだ..
日によってチェーンを通したり、黒のシルクのループに通したりしている
今日はチェーンを通していた
闇夜は背伸びをして僕の首にそれをかけ..シャツの中に収めた..
僕は目をまあるくして闇夜を見た...闇夜は何も言わずにこっ#と笑った..
僕は闇夜の肩を抱いて闇夜の手を温めてくれるあいつのところへ行った..


BHC) 匍匐前進 オリーさん

俺は急いで控え室に入った
着古したメッシュのカモフラージュジャケットとパンツのはずが、
なぜこんなにカラフル?
深紅とゴールドの混じった迷彩色って?
デジャイナー先生が後ろでほくそえんでる気がした

着替え終わると肩を掴まれた
振り返ると懐かしい顔
「兄貴」
「よう」
兄貴が口をひん曲げて笑った
「俺の部隊連れてきたぞ」
「え?」
「聞いてないのか。お前んとこの目の釣りあがったキツネ男に頼まれた」
「チーフに?」
「お前一人じゃ見栄えがしないからな」
兄貴の後ろには10人ほど屈強な感じの男達が立っていた
彼らは普通の迷彩色のジャケットだ
俺めちゃくちゃ目立っちゃう…深紅とゴールド

「お前の訓練はアメリカ式だろう。だから俺はやらん」
兄貴はジッポ?で煙草に火をつけた
「アメリカは気にいらんが、これはいい」
「兄貴、それ…」
「匍匐前進の後、射撃をやるって?」
「うん」
「銃を見せろ」
僕は兄貴に銃を渡した
「良く手入れしてあるじゃないか」
俺は照れくさくて下を向いた
兄貴は撃つまねをしたりしてしばらく銃を触った
「頑張れよ。奴らにはお前に合わせるよう言ってある」
「ありがとう、兄貴」

スタンバイのため会場の外に出た
ちょっとした精鋭部隊と一緒に
「みなさん、よろしく」
俺が言うと精鋭部隊はさっと敬礼をした
「じゃあ行きます!全員、前へ進め!」
俺は会場の中央の扉を開いた
まず客席中央の通路を行進する
照明はほどよいかげんで暗くなっているが、
俺たちには斜め上から青白いスポットが当たっている
通路の真中あたりまで前進すると真っ暗なステージから敵の物音
俺は指で左右を交互に指し合図した
二手に分かれ会場の左右の通路に儲けられた花道に散る
この花道がゆるい傾斜でステージにつながっている
ステージの上は敵陣

匍匐前進と言えば銃を持って地べたをずりずりだ
だが実はそれにも色々ある
攻め入る時に、はるか手前からずりずりしたら間抜けだろ
匍匐には五段階あるんだ
第一匍匐
小銃を右手に持って右腰付近で保持し、左膝を床に付けて右足を後方に伸ばす
左腕で上体を支えながら前進する
敵陣から物音
第二匍匐の合図を出す
第一匍匐の状態から左臀部を地面に付け、
上体を支える左腕も肘が地面に付くくらいに下げて前進する
花道の半分くらいを進んだ
いつの間にかぼんやりした橙色のライトが俺たちを包んでいた
薄暗い会場から浮き上がって見えるだろう

突然真っ暗な敵陣からぱらぱらと白っぽい人影、
いきなり銃撃線が始まった
小銃はレーザーガン
舞台の上から細い赤い光が俺たちを襲う
俺たちも低い体勢から応戦する
レーザーの乱舞。一人・二人やられた
第三匍匐に変更
かなり体勢を低くした四つんばいで小銃は前進するに従って逐次前方に置く
状況により応射。また二人やられた
残り7名

敵陣から絶え間ない赤い線の攻撃
続いて第四匍匐
伏せた状態から両肘を前に出し、右手で小銃の銃把、左手で被筒を握り、
肘を交互に支点に前に出し、出した肘と反対側の足を前方に曲げ、
その足及び膝で体を推進する
命がけで地面にへばりつけ、教官の声が聞こえてきそうだ
訓練中教官から、頭が高い、踵が立っていると蹴られるのもこの匍匐からだ
進んで応射、進ん応射の連続
一人また一人と仲間がやられていく
でも前進しなくてはならない
残り4名

最後の第五匍匐
伏せた状態から両腕を前に出すと同時に右(左)足を前方に出して曲げ、
両肘を支点として、右(左)足を伸ばして前進する
レーザーの乱舞は続いている
兄貴の部隊は優れものだが、それも残り2名
俺とあと一人
最後の激しい攻撃を受け、残り一人もやられた
とうとう俺だけ
スポットライトが俺だけに当たる

俺は必死に応射を続け、花道の上まで辿りついた

暗転
銃撃の音響がフェイドアウトしていく…
静寂

ステージが薄ぼんやりと明るくなった
敵陣の長方形の建物が左右に分かれて立っている
俺は小銃を拳銃にかえ、右側の建物の壁に背中をつけて立った
俺にスポットライト
壁の角まで慎重に進んだ
レーザーの攻撃が始まり、標的が建物から現れた
標的は人形、演習で使うやつだ
俺は銃を構えたまま右足を軸に左足を蹴って体を反転させ、
同時に両腕を前に突き出し敵に向かって撃つ
すばやく体を逆反転させ壁に隠れる
人形は頭を飛ばされて倒れた…

え?

拳銃は空砲のはず…今の衝撃…何?

拳銃を持つ手が震えた
実弾?
なぜ頭が飛ばされる?
なぜ?
俺の銃をいじっていた兄貴の顔が浮かぶ
まさか!
次の瞬間また標的が飛び出してきた
俺も飛び出し相手の胸を狙って撃つと回転して左の建物に隠れた
胸がバクバクしている
やはり実弾だ…
何てことだ…
忌まわしい記憶が頭の中で渦巻いた

が、標的は次々出てくる
右の建物から兵士が、左の奥からもう一人
俺は覚悟を決め、拳銃を握りなおした
仕方がない、相手は人形、撃つだけだ
次から次へと出てくる標的を
建物を右から左へと転げまわりながら撃った

弾は残り1発
一人に2発必要だが弾は15発なのだ
最後は一発で決めてやる
建物から物音がした
俺は体を低くしてすばやく壁から飛び出すと標的に照準を定めた

標的は…兄貴?…なぜそこに立ってる?
しかも手に何を持ってる?

実戦で重要なのはスピードではない
いかに冷静になれるかだ…

けれど飛び出して射撃の流れに乗った俺の動きは止まらない…
引き金にかかった指が止まらない…
兄貴と俺の視線がほんの一瞬交錯した
兄貴!

パンっ!

乾いた銃声が一発響いた
銃を撃つものならわかる
自分の撃った弾が当たったかか、はずれたか
あ、兄貴…俺…撃っちまった…
俺はそのままあおむけに倒れこんだ

暗転

真っ暗な中、俺は怖くて動けない
何てことだ、なぜ実弾が…なぜ兄貴が的に…
頭がぐちゃぐちゃで、頬に涙が幾筋も伝わっては落ちた

突然眩いばかりのスポットライト
俺は恐ろしくて目を閉じた
兄貴を撃ってしまった…終わりだ…
震えが全身を覆った…

俺の手を誰かが引っ張た
俺に触らないでくれ…俺は…
恐る恐る目を開いた

兄貴のデカイ顔が俺の目に飛び込んできた
「兄貴!無事なのか?」
兄貴は俺を引っ張り起こすと、もう片方の手の中のものを指でつまんでヒラヒラさせた
チョコパイ!そのまん中に大きな穴が
「腕を上げたな。おかげでチョコパイはドーナツだ」

とたんに会場から大きな拍手と歓声が響いた
俺は足ががくがくして兄貴にすがりついた
「兄貴、脅かすなよ、俺、俺…」
俺はしゃくりあげた
「お前はちゃんと撃てた。俺じゃなくチョコパイを」
俺はますますしゃくりあげた
「わざと実弾入れたのか…兄貴…」
「お前はちゃんとやった。これで終わりだ」
「スピードより冷静って言葉…俺覚えてたよ」
兄貴は俺の頭をくしゃくしゃ撫でてくれた

俺と兄貴は大きな拍手に送られてステージを後にした
袖にくると、兄貴と俺にソクさんが抱きついた
そして兄貴に「ありがとう、ありがとう!」と言うと
思いっきり、電撃キスを見舞った
兄貴はよろめいて後ずさりした
それをいいことに、ソクさんは俺を兄貴から引き離し思いっきり抱きしめた
「スヒョク!やったじゃないか、凄いぞ!」
俺はまたしゃくりあげた
「うん、うん」
俺はそれしか言えなかった
ソクさんは俺を力一杯抱き寄せて強烈な電撃チュウをしてくれた
でも俺の名前を呼ぶソクさんの声がフェイドアウトしていき、
消耗していた俺は一気に昇天してしまった

兄貴は総支配人にこってりしぼられたらしい
ステージの後ろの壁にぼこぼこ穴があいたから
チーフが間に入ってBHCが弁償する事で話がついたらしい
スヒョクの治療代だと思えば安ぃもんだ、オーナーもいやとは言えない
キツネ男はしたたかだった


ねえ。byドンジュン  足バンさん

ねえ
初めて会った日、憶えてる?
全てスマートにこなすあなたに
いつもどきどきさせられた
からかわれてるって知ってたけど
でもね
いつも気にしてくれて
本当はとても嬉しかったんだ

ねえ
雪山、憶えてる?
いつも自信たっぷりのあなたが
僕を頼ってくれたでしょ
僕はなんだか楽しくなって
今度は僕がからかったんだ
でもね
僕のことを認めてくれた気がして
本当はとても嬉しかったんだ

ねえ
海辺のホテル行ったでしょ?
あなたに初めて抱かれたとき
あなたを受けいれたとき
もう離れたくないと思ったんだ
でもね
あまりに突然の幸せが
本当は少し不安だったんだ

ねえ
迷っているあなたに抱かれるのは
もうやめにする

本当の自分を見つけたら
そっと僕に教えてね
ちゃんと目を見て話してね
ちゃんと目を見て聞くからね

どんな答えもちゃんと聞く
どんな答えもあなただから
どんな答えが返ってきても
あなたを真っすぐ見ていくよ
僕は絶対逃げたりしない

ねえ
僕があなたを好きなのは
あなたが僕を好きだからじゃない
僕があなたを好きなのは
あなたがあなただから
ただそれだけなんだ

愛してるよ


【49♪あの日に帰りたい byドンジュン】ロージーさん

【50♪My darling.want you(君に会いたい) by Donjun(JSAメインボーカル) 】ロージーさん

【51♪エメラルドの伝説 by ミン(JSAリードギター)】ロージーさん


ぽちゃぽちゃの手  妄想省家政婦mayoさん

テスは舞台袖下近くの一段低くなった場所の音響装置の前に座っていた
舞台と進行表を交互に見ながらBHCの進行をチェックをしていた
両足を組んで座り両手をチノパンのポケットに入れ時たまじっと前を見据える
いつもちぇみに甘ったれているテスの顔ではなかった

僕らが声を掛けようか迷っているとテスがふっとこちらを向いた
テスはいつもの顔でにこっ ^_^ っと笑う
その顔に安心した僕らはテスのそばに寄り..僕_闇夜_テスと座った
テスは闇夜の顔色を見るとすぐ闇夜の手を取った..

「冷え冷えじゃん...mayoシ..暖めてあげるね」
「ぅん..ごめん..」

テスは闇夜の手をにぎにぎ#すりすり#何回かした後に
ぽちゃぽちゃの手で闇夜の両手を包んだ..

「テソンさん...今日はずっとこうなの?mayoシ..」
「ぅん..僕もその度に暖めるけど..お前の手は即効性がある...」
「あはっ#そうそう..僕しかできないかな」
「ごめんね..テスシ..」

私はテスにそう言って俯いた..
罪人様の分際でテスに暖めてもらっている..
テスは私の顔を覗き込んで

「気にしないで...僕は大丈夫..」

と言った後テソンに聞こえないように私の耳元で

「###は駄目ね..mayoシ..」

こそこそっと言ってから私の頭をナデナデしてまた手を包んだ..
私はテソンに聞こえないようにテスの耳元で

「じゃぁ...xxxは?テスシ...」

とこそこそ言った...テスはんーっんーっと考えて

「お友達xxxならいい...」

っとこそこそ言ってぷぷぷっ#と笑った...

…お友達xxx???…
闇夜はテスとこそこそしてから首をかしげている..
僕は首をかしげてテスと闇夜を見た
テスは闇夜の手を僕の両頬に持ってきた..
闇夜の手はテスのぽちゃぽちゃでほんわかと温かくなっていた..

「えへっ#どう?」
「ぉ..ぉ..さすがだ...テス.」

僕は頬から闇夜の手を下ろし自分の手に包んだ..
~~~
俺は闇夜のマイクから3人の声を聞いていた
かすかに聞こえたテスと闇夜の声を聞き..俺は首をかしげて考えていた
お友達xxxって何だ...ほっぺ止まりか?..う〜む..
テスに聞くわけにもいかんし..
###しなけりゃ友達だよな...ぅ〜む..
俺も知らないうちにアヒルの口になっていた..


いぶし銀 れいんさん

「おや、チュニルさんじゃないすか?こっち、こっち!」
「あ、これはキムさん。どうされました」
「いえね、ちょっと息抜きにね。どうです?一杯ご一緒に」
「そうですか。では、遠慮なく」

「えっと、何飲まれます?」
「では、フラボノ茶を一杯頂きましょう」
「おや、アルコールはダメなんすか?」
「いえ、酒類もたしなむ程度には。だがやはり体には茶が一番かと」
「なるほどね。いやいやいや、一度ゆっくりお話したいと思ってたんすよ。なんせ、なかなか話の合う人がいないもんでね」
「占いの方を任されていらっしゃると伺いましたが、そちらの方はよかったのですかな」
「あ、今ね、あたしの代わりにチンさんが留守番してくれてるんすよ」
「ああ、MUSAのチンさんですな。いや、あの方ともぜひ一度膝突き合わせて話してみたいものです」
「まあ、次の機会にって事でね。…ところでチュニルさんはお一人身?」
「はい。なかなかご婦人とのご縁に恵まれず、こちらのオ・支配人のご好意で良き伴侶を募集して頂いてる次第です」
「それでどなたか応募が?」
「いや、冷やかしが一件あったくらいですな」
「そりゃまあ、今、祭関係者はほとんど男ばっかりっすからね。で、やはりご婦人がお好みで?」
「それはまあ、ご婦人の方が好ましく思いますが、志が同一であればそれに限らず」
「いや、チュニルさんくらいの男っぷりのある方ならきっと密かに慕ってる人がいると思うんすけどね」
「私の話はそのくらいにして、話上手なキムさんこそ誘いが多いのでは?」
「あたしですか?あたしはねー、どうしてもいいお友達で終わっちゃうパターンっすよ
いえね、これでもお誘いは多い方なんすよ。『相談に乗ってー』とか『面白いお話聞かせてー』とかね
でもね、結局、物買わされて、奢らされて、送らされてバイバイってなもんですよ
中には送るどころか食事中にカレから携帯鳴って『じゃ、おじ様、楽しかったわ、ご馳走様』ってこうですよ
あたしもガツガツする年でもないから、車代でも渡して『楽しんでおいで』なんてね」
「これはまた器が大きいですな」

「ま、そんな話はどうでもいいとして…で、近頃どうなんです?お仕事の方は」
「まあ、どうにか忙しくやってますが」
「あたしもねー、ここだけの話、独立考えてるんすよ。なんせ、上のもんと方針が合わなくてね
あたしが目先の利益より力をつけろっていくら言っても聞かなくてね」
「上司と意見が食い違うというのは一つの試練ですな」

「考えたんすけどね、ちらっと小耳に挟んだ話、BHCの若いもんがユニット結成したってね」
「若者が何かに打ち込むのは喜ばしい事ですな」
「いえね、若いもんには若いもんの魅力があるんでしょうけどね
あたしらもいぶし銀の魅力でね、ユニット結成なんてのはどうです?」
「ほお、それはまた奇抜な…。他に誰か思い当たる人でも?」
「ええ、この前ね、BSHCの人達をちらりと見たんですがね、なかなかいぶし銀な人がいたんすよ
まだ声かけてはないんすけどね。でね、私もちょいとユニット名考えてみたんすよ」
「それはまた気が早いですな。で、どのようなユニット名で?」
「Y・M・Oってのはどうです?いい感じっしょ?」
「Y・M・O…どこかで聞いたような…。どのような意味で?」
「『ヤングにはまだまだ負けんぞ、おじさんは』の略で、Y・M・Oなんすよ。なかなか洒落てるでしょ?」
「なるほど。さすがキムさん、そつがないですな」
「ま、そのうちチンさんやカンさんってのにも声かけてみようと思ってはいるんすけどね
ま、チュニルさんも考えといて下さいよ。頼んますよ!」

キム次長のユニット結成の夢は膨らむのであった…


白夜倶楽部の“彼”  妄想省家政婦mayoさん

僕は腿の上に闇夜の手を置いて握っていた..
僕が闇夜を挟んでテスと話しているとき
闇夜の携帯がブルブルと振動した..
ピョートルからのメールだった..

「例の件?」
「ぅん..白夜に来いって..テソンも行く?」
「ん..いや..ここで待ってる..」

テソンは私を立たせるとデコxxxをして背中をトントンした..
EVに乗り28Fの白夜の隣の部屋へ入った
アンドレ先生が衣装の控えとして使っていた部屋だ
今はショーの準備の為衣装はホールの控えに移動してある..

ドアを開け中へ入るとキャンバスに向かい絵筆を走らせるテファがいた
軽いラフにクレバスと水彩で彩色している
テファは私に気がつくとにこっ#と笑った
ピョートルよりかなり顔はでかい..近くで見ると圧巻である..

『ちぇみといい勝負だな…顔のデカさ…^^; 』

私はテファに..にっ#っと笑った
絵のモデルはわかっていた
ピョートルとお付きの“彼”だ

モデル2人の方へ視線を向けた..
その瞬間私は目の前がチカチカバンバンした
ピョートルの前で椅子に座っている“彼”に視線がくぎ付けになった
スリムなボディラインに合うようにマーメイドラインのドレスを纏い
カールの効いたカツラをつけている
衣装が派手なのではない
お付きの“彼”が..
☆美しく..麗しい☆のである

私が@o@の顔でいると
お付きの“彼”は椅子に座ったまま私に小さく手を振った
ピョートルが私のそばに来た..

「ちょ、ちょ、ちょとぉー..」
「何..まよぴー..」
「き、き、綺麗過ぎ..」
「しょうがない..地がいいから..」

私はピョートルを肘で突付いた..

「アンドレ先生に借りたの?」
「ぅん..それに..」
「ショーに出る?もしかして..」
「ぅん..ちょっと事情を話した..」
「ぷっ..わたしにまかしぇなしゃい…って?」
「そう..われのいうとおりにせいっ…っとも言われた…」
「うっはっは…そう..楽しみにしてる..」
「ぅん..あ、結構大変だったか?調べるの..」
「いや..テソンがぼそっ#っと言ったのがヒントになったんだ..」
「はは..そう..まよぴー..」
「お?..」
「あいつ..ほんとに惚れてるぞ..」
「わかってる..」

ピョートルは私に頷くと“彼”のそばに戻った..
私は帰ろうとドアの方へ向かった時テファに呼ばれた
テファは床に置いてあったスケッチブックの中から一冊を選び私に差し出した

…???
何枚かをぱらぱらとめくってみた
BHC全員の普段の姿のスケッチが描かれていた
ホテルに来てから書きためたものらしい
中にはち◎うぎりぎりのスケッチもあった

「凄いですね..」
「僕..暇だったからさ..でも楽しかった..BHCは実に多彩..モデルに困らなかったな..」
「ぷっ..そうですね..」
「それ…持っていっていいよ..」
「いいんですか?」
「ぅん..それぞれの人にあげてもいいし..オーナーに渡してもいいし..」
「わかりました..」
「あ、最後とその前のページは君が持ってた方がいいな..」

私は最後のページをめくった..
私とテソンの胸から上のスケッチ..
その前のページは薄茶のパステルで描かれた4人のスケッチだった..
ちぇみの懐にテスがいて..並んで私とテソンが立ち
私の肩をテソンが抱いていた..

テファは私の手から一旦スケッチブックを取り
2枚のページを他から外しまた挟めた..
もう一度私の手にスケッチブックを渡し、親指を立て笑った..

私はドアの前でピョートル達とテファに軽く手を挙げ部屋を出た
28Fから秘密部屋に戻り2枚のスケッチだけを置いて1Fへ降りた

さて…このスケッチブックをどうしようか…
今のチーフに渡してもいいかな…
おとなしくオーナーにそのまま渡そうか…

考えがまとまらすに私はまたふらふら歩いていた..


漂う者   ぴかろん

どきどきどき…俺の出番が近づいてくるドキドキドキ…

俺はジャージ姿でスヒョクの感動的な匍匐前進ショーを見ていた
迫力あるなぁくそっ…
これ終わったらどうせまたソクの野郎、スヒョクに電撃かますんだろうな…いいな…

こんな時にそばにいてほしいてじゅはいしょがしいのら…ぐしゅん…
おれ、こんなにどきどきしてるのにばか…ぐしゅん

「イナさん、着替えなくていいの?」
「え?」
「…泣いてたんですか?どうしたの?」

スケスケ衣装のラブが俺の顔を覗き込んで聞いた

「なんでもない、ちっとしゃびしく…あいや、寂しくなっただけ…」
「…テジュンさんがいないから?」
「…ん…」

つい『…ん…』攻撃をしてしまった…ラブには何の効き目もないのにさ…もったいない!

「…かわいいな、イナさんって…うふふ」
「え?」

突然ラブにハグされた

「やっやめろよっ!ばかっ!」
「ウフフ、ねぇ、そんなジャージで出るつもり?」
「…ああ…いろいろと忙しくて衣装揃える暇なかったもんで…。ダメか?」
「…うーん、Gパンじゃ動きにくいの?」
「…いや、動けるけど」
「じゃ、Gパンに履き替えて。早く」

パルリパルリとうるさいラブの声にせかされて、俺は袖にかかっている衣装の中からGパンを抜き取った

「これ?」
「このシルエット、イナさんには似合わない。ストレートのがいいよ…これかな?履いてみて」

言われるがままに俺はそのGパンを履いた

「イナさん、ぱ○つ黒なんだ…俺も黒って好きだけど…」
「見るなよ馬鹿!」

Gパンにジャージの上っておかしくないか?

「あ…やっぱりいい。似合う」
「…そぉか?俺、よくわかんねぇんだけど」
「動ける?」

俺はスイッと斜め後ろに高く片足を上げた
続いて飛び蹴り…
足首も大丈夫そうだ
回し蹴りもおっけーだ

「動けそう」
「…」
「なに?」
「…かっこいい…」
「…そうか?…照れるな、お前にそんな事言われると…」

俺たちは顔を見合わせてクスッと笑った

「じゃあ後は上だな…。ん〜…あ、そうだ」

そう言うとラブはどこかへ消えた
俺は鏡に全身を写してみた

「どこがどう似合うのかなぁ…」

鏡を見ながら型の練習をした
ほんとはジャージの方が動きやすいけど、実戦のときは衣装は選べないもんな…

「はあはあ、お待たせ。上脱いで」
「へ?」
「これに着替えてはあはあ」

ラブはGジャンを渡した
なんか飾りがガチャガチャついたハードそうなGジャンだ…

「これ…どうしたの?」
「俺の私物」
「…着にくくないの?これ」
「べつに」

俺はジャージを脱いで、Tシャツの上にラブのGジャンを羽織ってみた

「重た!」
「やりにくい?」

…シュシュシュッ…軽く動いてみる
けっこう動けるし、動くたびにジャケットが揺れてアクセントになるか…

「いや、いいかも…」
「…んーなんかも一つなぁ〜」
「…これでいいよ」
「あ、そうか、ちょっとGジャン脱いでよ」
「なにさ!」

ラブはGジャンを剥ぎ取ると俺のTシャツに手をかけた

「これも脱ぐ」
「え?なんで!」
「セクシーじゃん…」
「…」
「テジュンさん、きっと惚れ直すよぉ〜」
「…そ…そうかな?」
「今夜あたり、たっぷりサービスして貰えるかもよぉ〜」
「…サービス…」

サービスって…

「あれか?あれのことか?!」
「…あれ?」
「ごにょごにょごにょ…」
「…」
「…」
「それは…わかんないけど…」
「それって気持ちいいの?」
「…」
「…」
「まあ…」
「…ふうん…」

俺はラブの言うとおり、裸の上にGジャンを羽織った

「変じゃねぇか?なんか落ち着かない」
「ウフフ、ごわごわしてて刺激的でしょ?」
「え?あ、ああ…なんか…ち○びが擦れる…」
「くはっ!いいじゃん、ますますセクシー」
「…これでいいか?」
「うん…あ、ちょっと待って…」

ラブは俺の唇に何かを塗った

「へへ。ちょっとグロス塗っちゃった…。ひょ〜、すんげぇセクシーだよぉイナさん」
「…そう?」

そう言われても鏡に映った自分の姿は、別にセクシーだとは思わねぇけどなぁ…
鏡を眺めてるとラブが後ろから抱きついてきた

「何!」
「エヘヘ…」
「何懐いてんの!」
「かわいいもん、イナさん…ちゅっ」

ラブが頬にキスしやがった!

「おまえっ!おれはっお前っ」
「クフフ…」
「…へんなことしゅるなっ!」
「きゃはは、か〜わい〜い。照れてる〜」
「ばかっ!」
「唇にちゅってしてあげようか?」
「…へ?…」

そ…そんな…、身内同士でそんな…
俺はBHCのヤツラとキスする趣味はないぞ!
この色気小僧、何言い出すんだよ!

「何企んでるんだよ」
「ひどいな。純粋にキスしてあげたくなっただけなのに」
「キス『してあげたくなった』だとぉ?この野郎!馬鹿にすんなよ!俺は自分がキスしたい男としかキスしな…」

油断してた
ラブが吸い付いてきた

なんで?!

俺は固まってしまった
別に濃いキスをされたわけじゃない
ただ唇にチョンと…いや、チョンっとよりは濃いけど…軽いキスをされただけなのに…

「緊張ほぐれた?」
「…余計緊張した…」
「あれっ?そう?」
「…なんで俺に?」
「え?イナさんの事好きだからだよ」
「えっ!すっすっ好き?!」
「…誤解しないでよ。恋愛感情で好きって言ってるんじゃないの。んー…そうだな…なんか…可愛くて…」
「…しっしつれいな!」
「だって…かわいいんだもん、ちっちゃい子みたいで…」
「お前俺より若いくせにっ!」
「ちゅっ」
「あ゛っ!」
「あはは。もうすぐだね。頑張ってね」

ラブは俺をからかってるだけだな、くそっ!

でも…柔らかい唇だった…くそっ!
あんな柔らかな唇なら、ギョンジンもそりゃ…夢中になるかも…

俺は暫く鏡の前で唇を押さえていた


漂う者 2 ぴかろん

ようやく鼻血が止まった
ラブのスケスケ衣装を見るとまたイケナイ虫が騒ぎそうだったので、こっちの方にやって来たラブに急いでシャツを着せた

「なにさおじさん」
「これ着てくれないと僕、出血多量で死んじゃうから…」
「くふふっ。おじさんもか〜わい〜い」

ん?おじさん『も?』
「『も』ってどういうこと?」
「ん…あっちの鏡の前で固まってる人もね、かわいいから…フフ。おじさんの好みの人だよ
かなり緊張してるから、おじさん、一発キスしてやったら?」
「は?誰のこと?」
「…イナさん…」

僕は何故ラブがイナにキスしろと言い出したのか不思議だった

「お前…どういうつもりでそういう事言ってるの?」
「俺、イナさんのこと好きだよ。おじさんがイナさんを好きだっての解る…
俺の目の前じゃなかったら…イナさんとキスしてもやきもちやかないよ、俺…」

なんだって?…まさかラブ、『ミニ・テジュン』になっちゃった?
そして僕は『第二のイナ?!』

僕は目を丸くしてラブを見た

「なあんて言ってみても…やっぱり妬けちゃうだろうな…」

ラブは僕の首に腕を回して胸に顔を埋めた

「…おじさん…」
「…なんだ…」
「…だいすき…」
「…ラブ…」
「一番でなくてもいいよ…俺の事好きでいてほしい…」
「…ああ…」

僕はラブを抱きしめて、いつものようにキスをした
ラブにキスをするとき、『今度こそ軽いので済ませよう』と思う
でも、この弾力のある唇に触れると、僕の理性のたがが外れる
そして徐々に深い口付けへと進んでしまう

ラブはそれを知っている
ラブは僕を制した

「今はダメ…」
「…ラブ…」
「また鼻血でるよ」
「…」
「イナさんね、かっこよくなったから見てきてあげて」

なんでそんな事を言うのか…
僕がイナと二人になったら何をするかぐらい想像できるだろう?
僕が非難するような目でラブを見ると、ラブはニコッと笑って言った

「イナさんがさ…寂しそうなんだもん…行ってあげてよ…」
「どうして僕が…」
「だってテジュンさんいないし…」
「…ラブ…」
「おじさん、イナさんが好きなんだろ?」
「…」
「でも…いつかは俺のこと一番好きにさせてみせるからね…」

ラブはくるりと背を向けて、ジャグリングの練習をするといって僕から離れた
ラブの背中が寂しそうに見えたけれど、僕はもう一人の寂しそうな奴を捜した

鏡の前で突っ立っている
あれはラブのGジャンじゃないか…
不安げに鏡を見つめている
こんなはかないイナを見たのは初めてだった…


俺はぼんやりしていた
突然後ろから抱きすくめられた
ギョンジンだとすぐに解った

「なんて格好してるんだよ…」
「え?…ラブに着せられたんだけど…」
「なんで裸にGジャンなの?」
「ラブがそうしろって言った」
「それにこのGパン…」
「なにさ、普通のGパンだろ?」
「…いや…、お前がこういうの履くと…セクシーだ…」
「…どこがさ…」
「ここらへん…」

ギョンジンはそう言って俺の太ももを撫でた
どきんとした…
思わず唾を呑み込んでしまった

「…危険だな…」
「きけん?」
「こんな格好でぼんやりしてたら…襲われる…」
「は?」
「僕がほっとかない…」
「お前ってほんとスケベじじいだなぁ!いやンなっちゃう」

俺はギョンジンの方を振り向いた
途端に唇が捉えられた…

さっきラブが触れた俺の唇を、ギョンジンが吸う
せっかくラブが塗ってくれたナンとかいうやつがギョンジンに食われた

「…こんなの見せられたら僕、身がもたないよ…」
「…なぁ…」
「ん?」
「…さっきラブにキスされた…」
「え?」
「軽くだけど…びっくりした…」
「…」

ギョンジンは少し困ったような顔をして、そしてまた俺にキスした

「ラブとお前がそんな関係になったら…僕もテジュンさんもどうしていいかわかんなくなる…やめてよね…」

ギョンジンは変なことを俺の耳に囁いた
低く響く声が体に染み渡る

「へんなこというな…そんなことになるわけないもん…」
「ならいいけど…」

ギョンジンの肩にもたれかかって俺は呟いた

「あいつ…お前の事がホントに好きみたいだな…」
「…」

ギョンジンは俺をそっと抱きしめてもう一度軽くキスをした
困ったような顔のまんまふっと笑うと、頑張ってと言って袖の方に帰っていった

俺、フラフラしてちゃいけないのかな… テジュンがずっとそばにいてくれたら…きっとフラフラなんかしないのにな…

俺はため息をついて下を向き、ギョンジンが撫でた自分の太腿を触り、そして自分の指にキスをした
それがテジュンの唇だと思いながら…


BHC) パントマイム+α  足バンさん

僕とシチュンは身体をほぐしていた
揃いの黒いズボン、黒いノースリーブTシャツ。黒サングラス

ちょっと緊張してきちゃったな
なんたって今日の出し物はタイミング命だからな
僕が台本書いたんだけど…うーん正直自信ねぇ

おっと、メイちゃんとチニさんが駆けつけてくれた
彼女らも今日は忙しいからな。でも間に合ってくれた!

シチュンとメイちゃんはいきなり抱き合って濃厚なキスしてる!
それを変に豪華な衣装着たソクさんがニヤニヤ見てるぜ

僕はといえばチニさんがぎゅぅっと抱きしめて
「大丈夫自信もって!あとでご褒美あげるから!」って言ってくれた
ご褒美?うへへ〜

さて。ジュンホ君のコーナーが終わった
ジュンホ君は少し怪我をしたようで
最後のシャドーは見たことないかっこいい人が代役に出た
その人は袖に戻って来るとミンチョルさんと握手してさらりと出て行った
うっひ〜かっこいい〜!きっとBHCの新人だ!

いよいよ僕らの出番!
ずーっと遊んでたようで練習してたってとこ見せてやるぜ!

「行くぞ!シチュン!」
「おうっ!」

舞台の中央の後ろ寄りに巨大な黒いスクリーンが鎮座してる
そう、巾5メートル高さ3メートルってとこかな
そのスクリーンの裏には少し仕掛けがあるんだけどね

僕たちは手にエレキギターを持って全く同じ動作で歩いて出て行く
そのギターにコードなんて付いてない
僕たちは大きな拍手の中、舞台の左右に位置し止まった

ふたり同時にポケットから楽譜を出してくしゃくしゃの紙をのばしたり
しゃがんでいきなり靴の中の砂を出したり匂いかいだり、
チューニングしたりの忙しいパフォーマンス
お客もそこそこ食いついてきた

まず僕が思い入れたっぷりにギターを弾き出す
曲は”Let It Be”
もちろん音響さんとのコンビネーションがものを言う
今回は歌は入ってないんだけどね
次の機会には絶対に歌いてぇ!
♪When I find myself in times of trouble Mother Mary comes to me〜

なんて感じで気持よく弾いてると
そこにシチュンが違う曲を弾き始める
曲は”Grandfather's Clock”
まぁ俗にいう”大きな古時計”ってやつだ
この曲もロック調で弾くとぐっと感じが変わる

僕は演奏を邪魔されて怒って止める
今度はシチュンが気持ちよさそうに弾きまくる

頭にきた僕はシチュンを邪魔するようにまた”Let It Be”
その音に頭きたシチュンもまた”Grandfather's Clock”

この2曲は妙に合っちゃうところがあってそこが狙い目
僕が途中で”古時計”になっちゃったり
シチュンが”Let〜”になっちゃったりで
いい加減ふたりとも頭にくるというわけ

僕は怒り爆発してギターを置き、シチュンに詰め寄る
シチュンはギターを置いて舞台右からスクリーンの後ろに逃げ込む
僕もスクリーンに追いかけて飛び込む

一瞬僕たちが姿を消した後、
いきなりスクリーンの左上空中からシチュンの上半身がひょっこり出る
スクリーンの後ろには小さな階段が張り巡らされているわけだ

そして僕はスクリーン右下でお尻からずいずいと現れ
シチュンの黒ズボンの足(アシスタントの足ね)を引っ張る

シチュンとタイミングを合わせて引っ張ったり引っ張られたりねじれたり
観客はスクリーンの後ろのシチュンの”なが〜い足”を想像して笑ってる
ここはタイミング勝負
ちょっとでも相手とずれるとシラケるだろ?
あといかに必死こいてる表情を出すかってこと

僕が引っ張り込まれ今度は僕の上半身を右下から出す
瞬間移動したシチュンが左下に出て手(アシスタントのね)を引っ張る
僕は七転八倒すべって転んで引っ張り込まれるのを耐える
もう身体中汗だらけ

何度かそんなことを繰り返して
僕らは一気に後ろの階段を駆け上がり、ふたり並んでスクリーンの中央上から顔を出す
と同時にスクリーンの下左右から2本ずつ足が出る
その足は裏に待機してる4人のアシスタントの足

もうへとへとって感じでスクリーンに腕を掛ける
ちょっと身体を傾けて”なが〜い手”で足掻いたりしながら、
お互いを見て肩をすくめて握手

足と同時に裏に引っ込んで一瞬の後、
僕とシチュンがスクリーンを破って再び舞台に躍り出る
ここでやっぱ拍手きちゃったね。へへ
暗転

再び明かりがつき、置いてあったエレキを手に取ると
今度はちゃんとアンプにコードが繋がってるってわけ
黒サングラスを下にずらしてお互いを見てニヤリ

会場の明かりが消え、僕たちだけにスポットライトがおちる

僕の合図でふたり同時にギターを奏でる
今度は本当に弾いてんだ
”Let It Be”と”Grandfather's Clock”

あんまうまくはないけどさ、これでも隠れてすんごく練習したんだぜ
チーフの弟に頼んで曲の長さを合わせて編曲してもらった

妙にマッチする2曲は幾重にも響き合い会場にこだまする
でかい音に最高に盛り上がって
僕もシチュンもすげぇ気持ちよく弾けた
最後の1音を弾いたとき背中がぞくぞくっとしたな

暗転して、もう一度ぱぁっと明るくなった
僕とシチュン、それからアシスタントやってくれた
テソンさん、テジンさん、テプンさん、ウシクさんが一列に並ぶ
すげぇ拍手だ! ひゃー!やったぜシチュン!
最高じゃん!
興奮して袖に戻るとチーフやスヒョンさんたちが拍手で迎えてくれた
僕はシチュンと抱き合って背中をぱんぱんやりあい、
テソンさんたちにお礼を言った

会場で見ていたメイちゃんとチニさんが走ってきた
シチュンたちはまた例によってあれだけど、
チニさんが涙ぐんで僕にちゅってしてくれた
僕はチニさんを思いっきり抱きしめた

ああ舞台って最高!


しゃびしがりや  ぴかろん

指は指でしかない
しかも俺の指
手は俺の手
テジュンのじゃない

俺は自分の指にキスしているのが馬鹿馬鹿しく思えて
そしてそばにテジュンがいない事が急に悲しく思えて、その場にしゃがみこんだ
寂しくて涙がこぼれた
俺って馬鹿だ…
どうしようもない馬鹿だ…テジュン…


おじさんが帰ってきた
イナさん、少しは元気が出たかな…

「どうだった?」

そう声をかけるとおじさんは俺の髪をくしゃっと撫でて小さなため息をついた

「なんでイナにキスしたの?」
「…え…。なんか可愛くて」
「可愛い?」
「ん…それに…ほっとけなくてさ…でも、俺のキスじゃぁね…」
「…その前にソクさんともキスしてたんだろ?」
「…多分…」
「ふ…」

おじさんはそう言うと袖から客席へと通じる廊下の方に向かった

「どこ行くのさ!」
「…特効薬…」
「特効薬?」
「…わかってるだろ?…僕じゃダメなんだよ…」

俺はそう言ったおじさんが寂しそうな目をしていたのを見逃さなかった

おじさん…
俺はおじさんのキスで元気づけられるけど
おじさんは?
おじさんは…やっぱり…イナさんからのキスで元気になれるんだよね…

『僕じゃダメなんだよ…』

わかってるよ、俺じゃダメだって事ぐらい…

俺はおじさんの後について廊下に出た


僕は特効薬のところに行って事情を話した
特効薬は言った

「キスしまくってるんでしょ?あのバカは」
「はい…」
「効かないの?」
「一瞬ですね…」
「…はぁ〜…」
「貴方でないとダメですね、アレは…」
「…キミでもダメなの?」
「…厭味だな…解ってるくせに…」
「んふふ…」

特効薬は微笑んで袖の方に行きかけた

「そだった…オ支配人」
「用が済んだらすぐにもどってくださいよ!」
「…すみません…」

オ支配人は口元に笑みを浮かべてテジュンさんを見送った

「まったく…総支配人失格ですね。やはり辞表は受理されるんでしょうなぁ…」

独り言のように呟くオ支配人は、少し寂しそうに見えた

僕はテジュンさんの数メートル後をついて袖へと戻りかけた
廊下の壁にもたれているラブがいる
僕の方を真っ直ぐ見ている

ラブ…
ごめんな…
もう少し待ってくれるか?
僕の気持ちがあっちこっち向かなくなるまでさ…
お前僕の気持ち、わかってくれてるかな…
お前の存在がどんどん大きくなってるって事、わかってくれてるかな…
でもまだイナがこびりついてるんだ…
だから…

「おじさんはさ…」

ラブが話しかけてきた

「…」
「なんだよ、途中で止めるなよ」
「キスして…」
「…欲しけりゃ自分からすればいい」
「…」

ラブは悲しそうな顔をした

「じゃあいい…」
「ラブ」
「いいよ、イヤならいい」

袖へ戻ろうとするラブを引き寄せる僕

「すぐ諦める…」
「…だって…」
「ほんとに奪い取る気、あるのか?」
「あるよ…」
「じゃあ奪い取れよ…」

僕の言葉が終わらないうちにラブは僕の舌を絡め取った

この子ホントに…才能ある…
僕はラブのキスに酔いそうだった


あのバカはどこだよ
もっと奥かな?
…ん?
あんなとこに丸くなってるあれは…

野良猫だ…

ふふ…
何やってんの…
ば〜か…

僕は野良猫を背中から抱きしめた
ピクリと動く

「おばか…何泣いてるんでしゅか?」
「らってらっててじゅがしょばにいないんらもんっ」
「ばーか」
「ばかじゃにゃいもんっ」

ほんと馬鹿…
だったら来いよ!いつでも抱きしめてやるのに…

「なんで来ないのさ、僕のとこに」
「らって…しごとのじゃまになるもん…」
「結局邪魔してるくせに…」
「…がまんしようとおもったもん…」
「できないくせに」
「…ふぇっ…ふぇ〜…」
「ば〜か…」
「ばかばかいうな…ばか!」
「どれ、お顔見せてごらん」
「…てじゅ…」
「なっさけねぇ顔!僕以外の男とキスしまくるからだぞ!ばかっ!」
「ふぇぇぇ〜」

きーひひ
かわいいったらありゃしない…

「おい、泣いてる暇ないぞ、もうシチュン君チョンマン君のパフォーマンス終わっちゃう」
「…え?」
「おいで…」

僕は泣いているイナを立たせてキスをした
思いっきり抱きしめて…

時間がないからそんな濃厚な事はやってられない
でもイナはうっとりしていた

ふふん
思い知ったか
僕がいなきゃお前はダメなんだからな…

そして僕もお前がいなきゃ…ダメなんだからな…

「よっく覚えときなさい!」
「…なにを…」
「宝物がナンなのかって事!」
「…ん…」

僕は野良猫にもう一度優しくキスをした


【52♪憎みきれないロクデナシ byイナ&テジュン(デュエット)】ロージーさん


き・つ・ね  オリーさん

シチュンサンさんとチョンマンさんのステージが終わった
感動した
僕もビートルズは大好きだ
二人をねぎらっていた彼がつと僕を見て,手をふわーんと回して合図した
僕は控え室を出て行く彼の後を追った

通路のどんづまりに彼は立っていた
僕が彼の前まで行くと、
「また、オーナーが何か企んでるらしくてね…」
と言って彼は何枚かの紙をポケットから取り出した
「いきなり僕のところにこんなものが。J…何とかの応募用紙だそうだ」
あっ、と思った
もう読んだ…
「ミンのもあったよ」
僕はちょっと笑ってみた

「知らなかった、ミンがこんな事考えてるなんて」
「何?」
「狐をころがす、とか調教するとか」
「それは…」

やっぱり調子にのりすぎた
せめて躾にしておけばよかった

「で、どこにいるの?」
「え?」
「君の狐だよ。ここに連れてきてるの、それともおいてきた?」
「…」
「大体狐って飼えるものなの?」

僕は彼をしみじみ見つめた
彼の目は無邪気だった
「まあ…」
「でも野生だろ。どこかで捕まえたの?」
「僕の狐は、その…育ちはいいです」
「ふうん…血統書つきの狐?」
僕は思わず吹き出した
「まあ、そんなとこです」
「僕にもなつくかな?」
「たぶん…」
ほんとになんて人なんだ

「イナがね、僕のこと、時々キツネって言うんだ」
「知ってます」
「だからミンは僕が好きなの?」
「そういうわけじゃないと思うけど…」
僕はにやにやしてしまう
可愛い、可愛い、可愛い!
タキシード着て、髪をオールバックにして気どってるけど、
でも可愛い!

「いつか、会わせてくれ。ミンの狐に」
彼は僕の腕をそっとたたくと歩きだした
僕は思いっきりにやついてしまう
彼が振り返り僕の顔を覗き込む
「ん?何かおかしい?」
「いえ、でも…」
突然彼が僕を壁に押しつけてキスをした
狐のキスはとても優しくてとても激しくてとても甘くてとてもきわどい
このアンバランスがたまらない…
僕の狐…とても可愛い…僕の…
唇を離すと僕は囁いた…
「ねえ、その髪型キマッってる」
「ちょっと照れくさいよ」
「髪の毛全部上げないで、一筋前にたらしてみたら、こんな風に」
僕は彼の髪の毛をちょっといじった
彼は首をかしげて左の眉をピクっと上げた
「そう?」
「うん、その方が素敵」
今度は僕が彼を壁に押しつけてキスをした
キスの上手な僕の狐に…僕のキスはどう?
僕は唇をちょっとだけ離して彼に囁いた
「僕の狐はね、僕のキスが大好きなんだ」

彼は言った。
「噛まれないの?」


こそこそばなし1  妄想省家政婦mayoさん

闇夜が白夜へ行ったあと僕はテスの隣に座った
テスはまたポケットに手を入れ足を組んだ
「テス」
「ん?なに?..」
「さっき..闇夜にこそこそ何言った」
「気になる?」
「ぉぉ..」
「..###は駄目..って言ったの..」
「それって...誰と..」
「僕に言わせる?..テソンさんと一緒だよ...考えてること..」
「テス..」
「心配してないけど..釘さしたの..ごめん..」
「ぉぃ〜お前..」
「僕も馬鹿じゃないよ..想いあってるのわかってる..でも責められない..」
「テス..」
「僕ね..ちぇみもmayoシも好きなの..テソンさんもでしょ?」
「ぁぁ..」
「似てるから惹かれ合ってるのわかるの..それにね..」
「何..」
「今一番揺れてるのはmayoシなんだ..」
「テス..」

「テソンさん...今抱かないと..またずぅぅっと抱けないよ..」
「ぉぃ..」
「今まで待ったより待つかもしれないよ...僕そんな気がする..」
「テス...僕も迷ってるさ...今は駄目かなって..思い始めてる..」
「違うよぉ..」
「無理にはできない..」
「テソンさんの馬鹿..」
「ぉいっ!..」
「その..胸のペンダントさ..裏見てみなよ..」
「えっ..」

テスは目ざとく見つけた僕の胸のペンダントを顎で指した..
僕はさっき闇夜にかけてもらったドーナッツ型のヘッドの裏を見た..
極々小さく文字が彫ってある

Te quiero

サラハンダ..と同じ意の西班牙語..ラテン好きの闇夜らしい文字だった..

「テソンさんは..読めるよね..」
「ぅん..これ..何故知ってる..」
「前にさ..僕とちぇみが..たまたま見たんだ..」
「気がつかなかった..」
「ころんとテーブルにあったのはその時一回だけ..」
「そう..」
「僕..読めなくってさ..あはっ..教えてもらった..」
「ぷっ..オヤジは何でも知ってるな..」
「そういうこと..テソンさん..」
「ん?」
「mayoシがずっと離さなかったそれ..今..テソンさんの首にある..」
「ぅん..」
「全部受け止めるつもりなんでしょ?」
「ぁぁ..」
「だったら..迷いも揺れもひっくるめて包んであげなよ..」
「でも...オヤジの気持ちはどうなる..」
「あの2人はね..男×男で...男×おとこおんなで..時たま..男×おんな..」
「複雑..」
「いろんな風にじゃれられるの..それが楽しいの..たまにすけべぇーになるだろうけどさ..」
「それ...困るぅ..」
「しょうがないじゃん..xxx上手いもん...でしょ?」
「ぅぅ~ん…テス..他にも..こそこそ言っただろ」
「友達xxxならいい..って言った..」
「あの2人の友達xxxてどこまでだよ..」
「今頃...お互い...悩んでんじゃない?」
「だって...オヤジは..」
「mayoシのマイクで聞いてるさっ」
「テス..まいった..」
「言ったじゃん...僕も甘々の馬鹿じゃないよっ..」
「ぅ〜む..」
僕はテスと一緒にちょっと笑いながらも..頭ん中は”その日”のことでバンバンしていた..

私は急いでまた部屋に戻りスケッチブックを置いてきた..
スケッチブックは一度テソンと見てからどうするか決めようと思ったからだ..


ジュンホの研究発表 れいんさん

いよいよまつりもくらいまっくすです
いえにかえれるひも、ちかづいてきています
ぼくはこれまで、いっしょうけんめいおべんきょうをしました
そのまとめのいみで、きょうみぶかいたいしょうとして
いなさんにちゃくもくし、ちょうさおよびけんきゅうはっぴょうを
したいとおもいます

<分類> 哺乳類・ヒト科(学名:ホモ・サピエンス)
<氏名> キム・イナ
<性別> 男 ♂
<年齢> 27歳くらい
<職業> サービス業(ホ○ト)
<外見的特長>
BHCの中では細身の方である
大きい人に囲まれているせいか、小さく見られる
寝癖ヘアやカッパヘアもなぜか可愛く見える
<過去の経歴>
子供の頃は賭場を回り、イカサマの手伝いを経験
少年時代はかっぱらいやケンカを繰り返していたワル
7年間の服役経験あり(模範囚)
たまに、看守が見ていない時に相部屋の者をボコボコに殴ったりしていた
後にカジノの保安係からピットボスに昇格する(その時も誰も見ていない時に厭味な上司をボコボコに殴っていた)
その後、無実の罪を着せられ、アメリカに密航し職を転々とするが博打の才能を生かしギャンブラーとして成功し
その後実業家に転身、が、結局女一人の為に全て投げ出す

いじょうは、いなさんのかこについてのちょうさ・けんきゅうです
いかは、げんざいのいなさんのどうこうについての、ちょうさ・けんきゅうです

<恋人について>
現在、ホテル総支配人、ハン・テジュン氏と
かなり濃厚で、アブノーマルな交際をしている
部屋やトイレ、その他の様々な場所で周りの迷惑も顧みず、コトに及んでいる
祭終了までには、未知の場所でも果敢にトライするであろうと思われる
<性格>
多情・単純・勝手気まま・寂しがりや
甘えんぼ・仲間思い
母性本能や父性本能をくすぐる能力がある事をいい事に悪さをはたらく
<特技>
皆が警戒している、又は、怖れている人物の頑なな心を癒し、皆に打解けさせる事ができる
悪さをしても悪びれずあっけらかんとしており、また、それを責められても、涙目で乗り切り
時には「ん…」と甘えてみせたり、ちう攻めにして誤魔化したりする
心の中では「ちょろいな」と思ってるに違いない
しかし、このテが通用する相手は2・3名に限られており、他の者にはほとんど通用しない
<今後の課題>
本人は入れ替わり体験を希望しているが、未だ叶えられていない模様
他の若者が経験済みの例の事に対しては興味は抱いているものの消極的である
これについては、下記のことわざを参考に取り組めばよいのではないかと思う
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」
もう一つの課題として、あちこちにコナをかけず、一人に集中する事を挙げたいと思う
フラフラ悪さをしない為には、傍にいる者がきちんと監督管理するのが望ましいが
なぜか皆が「罪を憎んで人を憎まず」のことわざの如く本人に対して、おおらか若しくは甘やかす傾向がある為
おそらく更生不可能であると思われる


ジュンホの研究発表の評価に対するコメント  お銀さん

イベント中にもかかわらず、よく細かく観察し正しい評価ができていると思います
その努力は当会の表彰規定にかんがみ該当されるものと思われますので、委員会に推薦したいと思います
表彰を受ける際は また追って連絡いたします
以上

                    *なお賞金(ファイトマネー)は出ませんのであしからず


こそこそばなし2  妄想省家政婦mayoさん

テソンさんは僕の隣で片手をポケットに入れて足を投げ出すように椅子に座り
もう一方の片手は胸のペンダントのヘッドをさっきから弄んでいる
テソンさんの隣にmayoシが戻って来た
僕は機材の置いてある机に片肘をついて頭を乗せて2人の様子を見ていた

テソンさんは息を切らして戻ってきたmayoシにくすっ#っと笑った後
ペンダントに触れていた手でmayoシの髪をかきあげその手をポケットに入れた

mayoシはテソンさんの耳元で..こそこそ..こそこそこそこそ.. っと何か言った
『うそっ.. ...』っと口だけ動いたテソンさんが今度はmayoシの耳元にこそこそ..
『ん..オットケェ〜』っと声に出さないアヒル口のmayoシがテソンさんにこそこそ..
『ぅ〜ん.. .. 』って考えていたテソンさんがmayoシにこそこそ..
テソンさんはこそこその後に..『ん?』と顔を覗いた
『ぅ〜ん..ぅん..』と軽く頷いたmayoシは..
『ぁ.. ..』の後にテソンさんにこそこそ..

「あはは..そう..」笑ったテソンさんは顎でmayoシを指した..『君は?』と..
mayoシはふっ#っと笑ってテソンさんに目を瞑って見せる.. 『こう..』と..
テソンさんはそれを見ると下を向いてうふふ..ぷぷぷのぷっ#ぷっ#と笑った.
. 顔を上げたテソンさんはmayoシの耳元にこそこそ.. じゃないな..
みみxxxだよ.. ..だって..ピアスを噛む音がしたもんっ#

僕は片肘ついたまま呆れ口調で言った
「あのさぁ..見せつけないでくれるぅ?」
「「ぁ..ぁ..ごめん..テス…^^; ^^; 」」
テソンさんとmayoシはそう言って肩をすくめて小さくなった..

僕は半分ふざけて言ったけど..心は何だかほんわかしていた..
僕は始めの頃..テソンさんは気難しくて怖かった..
まだその頃はぶるぶると変身していたし..
僕はその頃のBHCやオールインの連中にいつも苛められてたし..
おやつはいつも取り上げられるし..いっつも小突かれていた..ふぃん..
僕はテソンさんにいつ持ち上げられるかびくびくしてた..

でもそのテソンさんが少しづつ変わってきた..厨房にmayoシが来てからだ..
その頃からテソンさんは隣にいつもいるmayoシだけを見てきた..
謎だらけで..掴みどころがなくて..厄介で..面倒だらけのmayoシ..
それでもテソンさんは諦めなかった..
テソンさんのしつこさと忍耐力..誰にも真似できない..
mayoシも根負けしたね..

僕..最近思うわけ.. ..mayoシって..根本的..“おやじ#”だよ
だから“おやじ”のちぇみと話があうわけ..
ちょっとすけべぇーになってもさ..
すぐ気持ちの切り替えできる器用な“おやじ等”なの..
ちぇみは僕を離さない..僕も離さない..
テソンさんはmasyoシを離さない..
mayoシは..どうだろう..
テソンさんの想い..ちゃんと受け止めて欲しいな

僕はテソンさんに聞いた..
「ね、何の話してたの?教えて」
「ぅん..テファが僕等4人をスケッチした..」
「どんな絵?」
「祭りが終わったら見せるよ..」
テソンさんはそう言って僕の肩を叩いた..
僕は闇夜からテファの描いたスケッチブックの大まかな内容を聞いた..
4人の構図のあと闇夜は僕等の構図をこそこそ言った..
それは..でこxxx寸前の僕等のスケッチらしい..

闇夜はスケッチの絵を記念にそれぞれに渡そうかと考えた..
だが..迷った2枚があると言った.. それは..同じ構図を違う角度から描いた..チーフとスヒョン..
あれは..本人等にも渡せないよね..
それに..2人の恋人にも見せられないかな..
もう..嵐を呼びたくない..闇夜はそう言った..
少し様子を見よう..と僕は闇夜に言った..
~~~~~
俺は3人の会話の声を闇夜のマイクから聞いていた
テソンと闇夜のこそこそも断片的に聞こえてきた
性能のいいマイクだぜ..まったく
4人のスケッチとあの2人のスケッチ..俺はちょっいと気になった
俺が俯いてくすっ#っとひとりで笑っていると..
2人の男が俺のそばに寄ってきた..
こいつ等が俺に何か用があるんだ?
むさくるしい奴とヘラヘラした奴は俺の前に来た..


BHC) 気合の嵐〜テコンドーbyキム・イナ ぴかろん

ラブの見繕ってくれた衣装を着て俺は舞台袖に立った
ギョンジンとテプンに急遽アシストを頼んだ
後半にサンドバッグを持ってもらう

でも…できるのかな…
不安がよぎる

「イナ…」

俺の肩を叩くテジュン
さっきからずっと傍にいてくれてる
有難い

「お前ならできる。ちゅっ」

軽いキスを落としてくれた
心が落ち着く

一つ深く深呼吸をして
俺は舞台中央に進んだ


音楽が流れる

♪Disk2-17.Tout, Tout Pour Ma Cherie(「シェリーにくちづけ」ミッシェル・ポルナレフ)

「『キム・イナにくちづけ』って題に変えろよ」

テジュンが笑ってそう言った

軽快な音楽
俺の好きなキス
俺の好きなテジュン

目を閉じて精神統一
心を空にする

足を肩幅に開いて両手を胸の前まで少し持ち上げ、握り拳を作る
音楽に合わせて、前方に、手首を捻るように突き出す
右、左
そして左下段を払い、もう一度右、左と突き

右下段払いで左右突き
左右中段払いで突き二回
左右上段払いで突き二回

足を一歩前に出して左手刀で敵を受け、右拳で突く
同じく右手刀で敵を受け、左拳で突く
続いて右足で前蹴りし、一歩進んで左足で前蹴り
ターンして同じように後ろに蹴り進む

手刀で打ち下ろして蹴り、拳で打ち下ろして蹴り
これを左右決めて舞台中央に戻る
その場で突きを繰り返し、時折前蹴りと前回し蹴りを入れる

曲が止まる

サンドバッグを持ったギョンジンとテプンが舞台左から出てくる
しっかりと構えている

俺はサンドバッグに向かい、後ろ回し蹴りの体勢を取る
俺の体が半回転し、左足がサンドバッグを捉えると同時に音楽が始まる

♪Help! I need somebody,

左足を戻し、今度は右足で後ろ回し蹴り

 Help! not just anybody,

右足を戻し、サンドバッグの方を向いて右足で膝蹴り

 Help! You know I need someone,

左膝蹴り

Help!

オッケー

後は音楽に合わせてサンドバッグ相手に蹴り技を見せる

サンドバッグから少し離れ、軽い助走をつけて飛び上がる
左足が真横に宙に浮き、それを軸にバネを使って右足で高く蹴り上げる

着地して軽く突きを二回

もとの位置に戻って前回し蹴り
サンドバッグに向かって、軽く助走をつけ、飛び上がる

体を回転させながら、右足でサンドバッグを蹴り、そのまま回転しながら左足でも蹴る

着地して正面を向いて突き二回
軽く膝蹴り

もう一度サンドバッグの方を向いて体を回転させながら左足で後ろ回し蹴り
サンドバッグに食い込んだその左足を軸にして、右足で飛び上がり、右足を逆方向から回して、サンドバッグを蹴る

着地して呼吸を整え、突き二回

もう一度サンドバッグに向かい、体を一回転させ、もう一回転しながら飛びあがり、サンドバッグの上方に回し蹴りを決める

着地
そして突き二回 間をおいてもう一度突き二回

正面を向いて思いっきり右足を振り上げてかかと落とし
続いて左足で前回し蹴り
そのまま横向きになり、右足で後ろ蹴り
足を戻して左足で後ろ蹴り

正面を向いて呼吸を整え、突き、払い、膝蹴り、前蹴り、回し蹴りを組み合わせた動きをする
続けて蹴り二回の後、体を回転させながらの飛び蹴り二回
着地して前方上段に蹴りを決める

伸ばした足をゆっくりと降ろし、肩幅に開く
拳をゆるりと腰の横につけ、礼をすると同時に「HELP!」も終わりを迎え、舞台が暗転する

終わった
テプンとギョンジンがサンドバッグを袖に運ぶ
俺も戻らなくちゃ

歩こうとして足を出した
よろけた
ギョンジンが駆け寄って助けてくれた

「無茶しやがって…」

ギョンジンが呟く
無茶だったかなぁ…

「でもできたもん…大丈夫だよ…」
「お前…」

袖にテジュンの顔が見えた
ずっといてくれたんだ…

俺は足を引きずってテジュンの方へ手を伸ばした
ギョンジンがそっと手を離す
テジュンが俺を抱きしめる

ああ…
あったかい

「愛してるよ」

『よくやった』でも『頑張ったな』でもない…俺の一番好きな言葉をテジュンは真っ先に言ってくれた

心が震えてる
俺も言わなきゃ
でも体が震えて声が出てこない

テジュンの腕が俺をきつく抱きしめる
俺は必死でテジュンの耳元に口を近づける
胸が一杯で何か言うと大声で泣き出してしまいそうで
でも
言いたいよテジュン…

「てじゅ…あいちてりゅ…」

テジュンは一瞬ピクリと動いた
俺の感動の一言は赤ちゃん言葉になってしまった
ばか!俺のばか!
もう涙が止まらない
ちゃんと色っぽく、大人っぽくキメたかったのに…ばか!

テジュンはプルプルと体と顔を震わせながら
(笑ってるんだ!ぐすっ)
俺の顔を覗き込んだ

「たまんないっ!可愛すぎるっ!」

にやけきった顔で俺の唇を捉えに来る
俺は悔しくて顔を背ける
でも…テジュンの唇は、簡単に俺の唇を探し当てた
唇を合わせる寸前にテジュンは呟く

「お前は僕の宝物だ…」
「てじゅ…」

俺にもそういうかっくいー言葉を言わせてくれよ…ああ…

ちゅむちゅむちゅううむはむはむはむ


ちっ『総支配人!イナさんの舞台終わったんでしょ?早くお戻りくださいっ
チュウだのハムだのは、後からゆっくり食べればいいでしょっ!全く!』

ちっ「…ん…ンあい…んむちゅ…んまんきましゅちゅううちゅっちゅ…」

ちっ『生々しい音立ててないで!もう少しで終わりですから!ねっ!ホントに』

ちっ「…ン…んん…んかりんした…かえりんす…んちゅうううっちゅむっ…じゃ…後でな…ちゅっ…
ちゅむっ…あっこら…もう…はむはむちゅむちゅむ〜」

ちっ『…この音、マイクで館内に放送していいですね…』

ちっ「…んあっはいっうっ…いいえっ!帰りますっ今すぐ…じゃあイナ…もう少し頑張ってね…『…ん…』
…でへへへぇ…『ゴン☆』いてっぶつかっちった…」

ちっ『……』

いっぱいちゅーしておでこをなにかにぶちゅけて、てじゅはしごとにもどってった

はぁん…てじゅぅ…
しゅき…

「おい、大丈夫か?足」

ぽーっとしていた俺のところに、ギョンジンや双子や…誰だこれ!…オッサンの双子…
ん?…キツネと天使じゃん…ひえええっ…がわらわらと寄ってきた

「…ん…大丈夫」

らっててじゅにちゅむはむしてもりゃったかりゃ…でへへ〜ん…


◇おかしな奴ら  妄想省家政婦mayoさん

壁に寄りかかっている俺のそばに来たのは..
カンの部下..ペクとムンソクだ
奴らは俺の正面に立った..

「前に立つなっ#..舞台が見えんっ!!..」俺は低く鋭く言った

俺の声にぴくっ#と反応した2人は右と左に分かれ
俺の視界を広げた
「すまないねぇ..うひょひょ..」っと..ペク..
「むぉほほ..怖いよ..」っと..ムンソク..
左のペクがちょいと首をかしげ..顎を前に出して俺に聞いた
「おたく..お名前は?」
「人に聞くときはまず自分から名乗るのが礼儀だっ」
「こりゃ..失礼..俺様はペク・デシク..で..こいつはムン・ソク」

『ふん..何が俺様だ..カエルみたいな顔しやがって..』

「で..おたくは?」
「クォン・テックヒョンだ..」
「クウン..テヒョン..」
「違うだろ...ペク.. コォン・テッヒョンだ..」
「ぉぃ..ソク..それも違うぞ..クゥゥ〜ン・テヒョンだ..」
俺はわざと発音しにくいように名前を語った..
案の定2人はブツブツ悩んでいる..馬鹿め#..
実際俺の黒蜘蛛の名はいろいろ発音される
テックヒョン..テッヒョン..テクヒョン…
ま..どれでもいい..好きに呼びやがれ..
俺は“ちぇみ”が一番気に入っているから..

俺はブツブツ言ってる馬鹿2人を無視して舞台を見ていた..
「で..テヒョンさんよ..」.ペクが俺に口を開いた
「何だ..」
俺は一度目を伏せペクへぐいっと視線を向けた 
 . 「あの..BHCのおまよネエちゃん..」
「誰?」
「だから..おまよ..ネエちゃん..」
「お前たち..もう少し..品にいい言い方出来ないのか?」
「ぉ..ぉ..むほっほ..悪い悪い..ペク..何とお呼びしましょう..」
「おまよアガッシ..にしましょうかね..」

『ったぐ.こやつ等2人相手するのもアホらしい..』

「おたくとアガッシの関係..何?」
「答える必要はないと思うが..」
「そう..知りたいんだけどなぁ〜」
「知る必要はない」
「むぉほっほ..そうですか...ペク..やっぱそうかね..」
「うひっひ..どうかねぇ..」
「何故気にする?」
「いや..まぁ..俺たちも気になるけどねぇ〜…」

『ぷっ..あのじじいか...』

「つべこべ言わずに答えたほうがいいかもよ?テヒョンさん..」
「聞きたきゃ自分で聞きに来いと言っとけっ!」
ペクとムンソクは目を丸くして戻っていった
程なくじじいがひとりで俺のそばに来た
俺は可笑しくなって声無く笑っていた
カンは"勘"にさわったようだが..
「君は..彼女の彼?」
っとカンは聞いてきた..ストレートな聞き方だ
「答えたくないな..カンさん..それと..」
「と..?」
「そういうことに興味は持たない方がいい..」
「とは?」
「あんたはオンナを自分のものにしたがるだろう?..」
「ぉ..」
「なら彼女は止めた方がいい..それだけ言っておく」
カンの眼光は鋭かった..
が..俺も睨み勝ちした..このじじい..結構弱いぜ…
カンが戻ってから俺は闇夜にひと言だけ通信した

テソンがパントマイムのショーに出ている間
マイクの声を聞いていた..
最後にちぇみの低く鋭い恐怖の声が聞こえた..
「BSHCには絶対行くなよっ!」
『はいはい..わかりました..』私は心で呟いた..


チュニルのつぶやき お銀さん

舞台の袖でカテキン入りのお茶をゆっくり味わっていた
そこへガヤガヤと女性達がやってきた
(おばさん連中を女性達と言うところが男たるものの心得だ)
なんでも主催者に了解を得たので、飛び入りでフラダンスを一曲踊るとのこと
そこで「ぜひプロの手で(この私に)着付けをお願いしたい」と言う
内心じくじたる思いもあったが、男たるもの頼まれたら断わるわけにはいかない。クールに引き受けた
皆舞台に出るのが嬉しいのか とてもご機嫌な様子
ムームーを着せている間中、口々に勝手なことを言っている
「私ダンス習っているんです、今度ぜひ一緒に踊ってください」
「どこか具合の悪い所はありませんか?申し遅れました私ドクターなんです」
「猫と犬とどちらがおすきですか?」
「あのうザリガニ飼ったことありますか?」
「もしかしてマツケンサンバんの先生とご親戚では?」等々…
着せ終えると女性達はレイをこらしょと首にかけて出て行った
曲目は『ちいさなアズマヤの中で』(『小さな竹の橋のしたで』の替え歌らしい)

ふと気づくといつの間にかヤンミミが後ろに立っていた
「考えたわね。レイで首のシワごまかせるもの。これ戴き!」とつぶやいて行ってしまった


心の叫び れいんさん

僕は医務室でジュンホ君の手当てをしていた

「ジュンホ君、さっきはよくがんばったね。凄い試合だったよ」
「はい。ぼくのかぞくにもみてほしかったです。でも、もうすぐまつりがおわれば、いえにかえれます」
「そうだね。もうすぐ祭が終われば…家にかえれるね……さあ、横になって少し休むといい」

僕はジュンホ君に少し眠るように言って、そっとその場を離れた

ジュンホ君の言葉が胸につきささる
もうすぐ祭が終わる…
終われば家に帰る…
テジンさんも家に帰る…
離れ離れになる…

ショーの間のほんの少し傍にいなかっただけで
僕はこんなに寂しくて
心にぽっかり穴が開いたようだ
祭りが終わってしまったら、もう傍にはいられないのだろうか
僕は目を閉じてテジンさんとつないだ指の感触を思い出していた

テジンさんを奥さんの元に帰してあげなきゃいけないよね
もうすぐ新しい命が誕生するものね
その子から父親を奪ってはいけないよね
テジンさんもきっとその日を心待ちにしている…

その後僕はどうしたらいい?
妻に話すとテジンさんには言ったけど…
話したからって何かが変わるの?
僕は自由になって、そして皆も幸せになれるの?
今まで、僕を支えてくれた貞淑な妻
妻は何一つ悪くない
妻の笑顔が脳裏をよぎる
子供達の笑い声が頭の中でこだまする
それを壊してしまうなんて僕にできるの?

できないのなら何もなかったように妻や子供と暮らして行く?
テジンさんを想いながら妻と暮らして
テジンさんに抱かれる事を思い描いて妻を抱く…

スハ…そんな残酷な事がおまえにできるのか?

僕の心はもうこんなにテジンさんを愛している
忘れたくても忘れられない

  いっそ僕の心が切り刻まれてなくなってしまえばいいのに
僕の思いを封印すれば、誰も傷つかずにすむのに
苦しすぎて胸がはりさけそうだ
出口の見つからない迷路に僕は迷い込んでいる

テジンさん…!
テジンさん…! 僕は今あなたに会いたい
あなたの声を聞きたい
僕は不安でたまらないのです
僕を強く抱きしめて下さい
僕を離さないと言って下さい
でないと僕は…壊れてしまいそうです
愛を知らなかった頃の僕にはもう戻れないのです

僕は夢中でテジンさんを捜した
まだ舞台近くにいるはずだ

舞台袖でテジンさんを見つけた
誰かと何やら話している
僕は涙で視界がぼやけた
テジンさんは僕を見つけて微笑んだ

僕はそのまま駆け寄ってテジンさんに飛び込んだ
テジンさんは少しよろけて、でもそのまましっかりと僕を抱きしめてくれた

「スハ…どうした?」
「テジンさん…!」
「泣いているのか?」
「テジンさん…!テジンさん…!」

僕は何も言えなくてただ名前を呼んでいた
テジンさんは僕の涙を唇でそっと吸い取ってくれた

人が見てるのにいいのですか?

テジンさんは僕の顔を覗き込んで、それから頬や瞼にキスの雨を降らせてくれた
嬉しくて…切なかった

愛してます
僕はあなたを愛してます
僕は心の中で何度もそう叫んでいた


【53♪セカンド・ラブ byテジン&スハ(デュエット)】ロージーさん


BHC) ボタンショー”Ecstasy”  足バンさん

真っ暗な舞台の中央左寄りにピンスポットが落ちる
スポットの円の中には真っ赤な木製の椅子が客に背を向けてぽつんと置かれている

突然会場に心臓の音が響き渡る

ドクン…ドクン…ドクン…ドクン…

赤い椅子の右側にもうひとつのピンスポットが落ちる

そこには白いシャツと黒いスラックスのギョンビンが立っていた
足を少し開いて手はポケットに入れられ真っすぐ前を凝視している

真上からのスポットはギョンビンに強烈な陰影をつくる

ドクン…ドクン

鼓動音がぱたりと止む
と同時に曲がはじまる
♪バッハ 平均律クラヴィーア曲集第1巻より 前奏曲 ハ長調 BWV846

曲につられるようにギョンビンの脇の下から2本の手が伸びて
ゆるりと腹から胸を這う

ギョンビンはその片方の手を掴み優しくくちづける

手を引くとドンジュンがするりと回転してギョンビンの前に出る
逃れようとするかのようなドンジュンの手を掴み引き寄せ
今度はギョンビンが後ろからドンジュンを強く抱く
ドンジュンは真っすぐ客席を見たまま指の関節を噛む

観客の目は、すでに双子から漂う妖しい空気にくぎづけとなっている
獲物を射抜くような瞳に魅了され
紅く濡れた唇に吸い寄せられる

ギョンビンがドンジュンの首筋に唇を落とすと
ドンジュンの目は閉じられ口は半ば開かれる

ギョンビンの手が首もとへと伸び
鮮やかな手つきで6つのぼたんが外される

ギョンビンはひとりゆっくりと回転して赤い椅子に客席を背にして座る
白いシャツに真っ赤な椅子の格子が映える

惹かれるようにドンジュンは近づき
座っているギョンビンの膝をまたぎ、客席に向かって立つ
そしてギョンビンの頭に手を添え視線を落とす

ギョンビンは相手の背中に手を回し、開かれた胸に唇を落としていく
ゆっくりと。味わうように

スポットライトの下の官能の絵画
ギョンビンの頭を抱くドンジュンの恍惚の表情に客席は静まり返る

曲の変調に合わせてドンジュンが片足を大きく回して外し
ギョンビンの手をとって立ち上がらせる

手をつないだままふたりは小さなステップを踏み
もうひとつのスポットの下に戻る

ギョンビンの背後からドンジュンが強く抱きしめる
肩幅ほどに開かれたふたりの足はひとつのシルエットに見えるだろう
ドンジュンの手が相手の両腰を押さえつけ、
ギョンビンの手がその上に添えられる
ふたりは腰をぴったりと重ねたまま、半ば円を描きゆっくりと揺らす

ギョンビンが自分の右肩に顔を埋めるようにして目を閉じる
もう一方の肩から客席に妖しい眼差しを向けているドンジュンの左手が
ギョンビンのぼたんを外していく
右手はギョンビンの腹の辺りを押さえつけ腰を揺らし続ける

開かれたシャツの中に手が差し入れられ
ギョンビンの眉が切なげに寄せられる

ギョンビンの顔がドンジュンに向けられると
ドンジュンはその左目にくちづけを落とす
少しずつ位置をずらし、お互い半開きの唇の端が触れる
頬は吸い付いたように合わせられ、睫毛が触れあう

予定ではそこで次のステップに移るはずだった
しかしふたりは同時に客席の左隅のあるものを目にして気を変えた

その視線の先には、
ドアの前に佇みこちらを凝視するタキシードの男たちがいた
舞台の明かりにほのかに照らされ寄り添ってこちらを見ている

袖じゃなくて客席から?
ふたりで仲良く…僕らの鑑賞?

ふたりは妖しい笑みを浮かべ、
ゆっくりと肩越しにくちづけを交わした
視線をそのタキシードの男たちに向けたまま
挑むように。刺すように。甘えるように

凄まじい”何か”が渦巻く光と影のエロティックな情景に会場は息を呑む

唇が離され
ギョンビンはドンジュンに絡めていた手を離すとポケットに入れ
顔を客席に向ける
ドンジュンはするりとその真後ろに重なる

ギョンビンの胸と腰に這わされていた手は
粘るように肌をなでながら後ろに消えていく
完全に手が見えなくなると始まりと同じシーンがそこに現れる
あらわになった肌だけが唯一の違い

曲が終わると同時に彼らを照らし出していたピンスポットが消え
再び会場に鼓動音が響き渡る

ドクン…ドクン…ドクン…

舞台の上には真っ赤な椅子がひとつ照らし出されている

ドクン…ドクン…

鼓動音のフェードアウトとともに残ったピンスポットが消え、
会場は再び全くの闇に包まれる

しばしの静寂の後、ため息とともに拍手の渦が会場を埋めた


【54♪キケンなふたり by ミン&ドン(デュエット)】ロージーさん


Another Ecstac オリーさん

ドクン…ドクン …
心臓の鼓動音が徐々にフェイドアウトして
ライトが落とされた
ほんの短い間、静寂が会場をおおい、
次に、ため息とともに拍手の嵐が起こった
僕らはその騒ぎの中、外へ出た
そして黙りこくったまま並んで歩き出した
ふたりのステージはあまりに刺激的すぎて、言葉が見つからない
僕も、ミンチョルも

客席から二人のショーを見よう、と言ったのはミンチョルだった
「袖からだと、内輪の気分が抜けない」
「ここからの方がよく見えるぞ」
「客観的にどの程度の完成度か興味がある」
「おいおい、いきなり職業病か」
ミンチョルは笑って僕の肩をたたいた
「行こう」

会場の中に入った途端、ドクン・ドクンと心臓の音が聞こえた
そしていきなりスポットライトの中のミン
ミンはいつになく大人びている
次にチェンバロの美しい音色とともに
ドンジュンの手がミンの胸へと這ってゆく
その手に口づけするミン
聞こえたのは僕の心臓の音…ドクン…

ドンジュンがギョンビンの後ろから現れ前に出た
離れようとするドンジュンを
ギョンビンが引き寄せ後ろから抱く
指の関節をかじるドンジュン
そんなドンジュンの首筋をギョンビンが唇でなぞり、
ボタンをはずす
はずされたのは僕の心…ドクン…

椅子に腰かけたミンは、ドンジュンに頭を抱かれ、
ドンジュンの胸に口づけをする
バッハの単調な旋律が、
かえって二人の妖しい姿を引き立たせる
ミンが今どんな顔をしているか、僕にはわかる
嫉妬したのは僕…ドクン…

ギョンビンの頭を抱きながら、
その口づけを胸に受けるドンジュン
曲の変調とともにドンジュンの顔に恍惚の表情が浮かぶ
おまえ、いつからそんな顔ができるようになった…
ざわついたのは僕の心…ドクン…

ドンジュンに押さえつけられてボタンをはずされるミン
開かれたシャツの中にドンジュンが手を入れると
ミンの眉が切なげにゆがむ
その指に嫉妬する僕…ドクン…

後ろからギョンビンに手を回し、腰を揺らしつづけるドンジュン
その手はギョンビンの胸を妖しく這う
ギョンビンの顔がドンジュンに向けられ、
ドンジュンはその左目に口づけする
その左目に嫉妬する僕…ドクン…

ふたりは、唇の端が触れるほど頬を寄せ合う
触れ合う睫の音が聞こえてきそうだ
でも聞こえるのはバッハの旋律だけ
いきなりのキス
台本にはない、肩越しのキス
ふたりの妖しい目が僕らを捉える
誘うように、見せつけるように…

ミンを抱いたドンジュンに嫉妬する僕…ドクン…
ドンジュンを抱いたギョンビンに嫉妬する僕…ドクン…

「思ったより、いい出来だったな」
僕が話しかけると、ミンチョルは立ち止まった
「ほんとうにそう思うか?」
ミンチョルは上目づかいで僕を見た
「ちょっと官能的すぎたかも」
「いや、確かにいい出来だったよ」
ミンチョルはふーっとため息をついて前髪を揺らした

次の瞬間、僕はミンチョルの腕を掴み、強引に抱き寄せた
ミンチョルの体が一瞬こわばった
が、それ以上の抵抗はなかった
僕らは通路の壁にもたれてしばらくの間抱き合っていた

スヒョンに腕を掴まれた
気がつくと、僕もスヒョンを抱いていた
なぜだろう
ただ、そうしたかった…

僕は何も考えずに、ただミンチョルの体温を感じた
ミンチョルが何を考えているのか知りたくなかったし、
知る必要もなかった

スヒョンはいつものように僕を暖かく包みこんだ
僕もなぜかスヒョンを包み込みたい気持ちになった
こんな気持ちは初めてだった

お互いのぬくもりを充分感じたところで、
どちらからともなく、顔を寄せ合い、唇と唇を近づけた
僕がミンチョルの唇を捕らえようとした時、
ミンチョルも僕の唇を捕らえようとしていた
気がつくと、僕らはお互いをむさぼるような
激しいキスを交わしていた
僕らのため息が時折、通路の天井まで小さく響いた

スヒョンと激しく唇を重ねながら
僕の頭の中で、バッハの美しい旋律が蘇った
流れるような美しいメロディが僕を押し流した

ミンチョルの唇を舌でなぞりながら、
僕の頭の中でチェンバロの音色が蘇った
その清楚で神聖な響きが僕をあおった

激しい抱擁の後、突然嵐がおさまるかのように、僕らは唐突に唇を離した
そしてまたしばらくの間、お互いを見つめあった
なぜこんな風に…なぜこんな事を…なぜ…

答の出ないまま、僕らは歩き出した
おさまりのつかない厄介な動悸を胸に感じながら、
舞台を降りたあの二人がいる控え室に向かって…


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