会話 オリーさん
朝いつもより早く目が覚めた
彼はよく眠っている
僕はそっとベッドを抜け出した
寝室を抜け出しクロゼットの中から携帯を取り出した
以前仕事用に使っていた携帯
兄さんと繋がるホットライン
まだ生きているだろうか、このライン
「ミンだ」
繋がった
「兄さん、僕だよ」
「ギョンビン、どうした?」
「ちょっと聞きたいことがあって」
「何?」
「何しに来たの?」
「言ったろ、お前に用事があるって」
「それは何?」
「お前と僕におあつらえ向きの仕事があるんだ。また一緒にやらないか」
「兄さん、僕はもう戻らないよ」
「仕事やめるのか」
「うん」
「お前にホストは似合わないぞ」
「そうかな。僕は大抵の事はできるよ」
「だからってホストか」
「ここを離れたくないんだ」
「あの彼氏のせいか」
「そうだよ。色々あったけど、僕らとてもうまくいってる」
「好きなのか?」
「兄さん、頼むから今度は邪魔しないでよ」
「好きなのかって聞いてるんだ」
「好きだよ、とても。そばにいたいんだ」
「あいつは僕とキスしたぞ」
「あれはいいんだ。もう話はついてる。だから兄さんも忘れて」
「なるほど」
「だから戻らないよ」
「何度も言うなよ。わかったから」
「ほんと?」
「ああ。元気でやれよ」
「うん」
「この電話は残しておくから、時々は声を聞かせてくれ」
「わかった」
「せっかくだから祭とやらを見学していくよ」
「僕のは見ないでいいから」
「ぜひ見よう」
「やめてよ。恥ずかしい」
「恥ずかしいことはするな」
「いや、見たら兄さんが恥ずかしいと思って」
「馬鹿だな。お前はいつも僕の自慢の弟だ」
「兄さん…」
「何?」
「ありがとう。じゃ切るよ」
「ああ」
兄さんとこんなに話をしたのは何年ぶりだろう
ずっと長い間あったしこりが取れたみたいだ
いつも兄さんから感じていた窮屈な束縛感がなかった
兄さん、ちょっと変わったのかな
それとも僕が変わったのだろうか
どちらでもいい
とにかく肩の荷がおりた感じ
兄さんにちゃんと彼のことを言えたから
僕は嬉しくなって彼の寝ている寝室へ戻った
しばらく彼の寝顔を見ていた
ちょっと疲れているみたい
でも目を開けた
おはよう、と言うとちょっとびっくりしてた
昨日やっぱり飲みすぎでしょ
唇に軽くキスをした
新しい一日の始まり
どんな祭になるでしょうね、と彼に言った
僕はとても幸せだった
弟と話らしい話をするのは久しぶりだ
なのに僕の神経に触ることを何度も言ったね
もう戻らない…
それはまあいい
僕らはとてもうまくいってる…
僕らって何だ?
あいつを好きだ、しかもとても、ときた
これは許せない
立派な裏切りだ
でもね、僕はお前の大好きなその彼氏と話をつけてあるんだ
彼氏が物分りのいいやつで助かったよ
さすがお前の彼氏だね
もうすぐお前は捨てられる
それなのに、この僕にありがとう、か
昔からお前は甘かった
素直ですぐ人を信じる
だめだよ、そんなことじゃ
とにかくもうすぐだ
あと一日くらいゆっくり待つよ
かわいい僕の弟
今度戻ってきたらもうどこへもやらないからね
てすのくりーむぱん 妄想省家政婦mayoさん
隣で寝ているちぇみが僕の手のひらを空で弄びながら何やら考えている…
「テス…」
「なに?」
「親指手のひらに隠してみろ..」
「…こぅ?..」
「ん…残りの4本の指...キュッと第2関節まで曲げてみろ…」
「…んっと…こぅ?」
「ん…ちょっとそのまま横に広げてみろ…」
「…んっと…ぁん…難しい…折った指が開いちゃうよ…」
「ん…両手やってみろ..」
「…んっと…ほらっ。これでいい?..ちぇみぃ〜」
ちぇみは僕の手を並べたり重ねたりして急に笑い出した
「ちぇみ!僕の手はどうせ、お子ちゃまの手だよ。そんなに(;_;)笑わなくてもいいじゃん(;_;)…」
「あわわ…ごめんごめん…テス…」
「ぐすっ…ちぇみなんか嫌いだっ…」
「ぁう…テス.. ほらっ、見てみろ。似てるだろ?」
「何…ぐすっ…何に似てるの..」
「…くりーむぱん…」
「ちぇみ!…」
「まぁ、怒るな…ほらっ、美味そうだろうが?…」
「…」
「ぼったりしてて…中にいっ〜ぱい"くりーむ"が入ってるみたいじゃないか…どうだ?..ん?」
「…ぅ..ぅん…」
「真ん中から割るとな?..むんにゅぅ〜..っとクリームが出てくるんだ…」
「い、痛いってばっ!ちぇみ!」
「お、お、すまんすまん^^; 」
「何かお前の手見てたら作りたくなってきたな…」
「えへっ…ほんと?」
「ん…」
「へへ..てすのくりーむぱん…か..」
「あの<アタシ>が追っかけてる<振付のあたし>いるだろ…」
「マジ先生?」
「ん…昼間<振付のあたし>がお前の手を触ってた。同じこと思ってたかもしれんな…」
「そうかな…あ、でも、にこにこしてた…僕の手を触って..」
「ぁっつ…その手…俺が先に食ってやる…」
「ぁん…痛い…ちぇみ…」
「ん……」
「もっと優しく食べて…」
「ん……」
「僕の全部も…食べて…」
「ん……」
xx..ぁ..xx…..XX…ぁん……xxxx……
朝起きたら僕の手にはちぇみの歯形がいっぱいついていた…
ジュンホの教習 れいんさん
そういえば、ぼくは、くるまのうんてんができない
いつも、そにょんさんのとなりにすわってるだけ
むかし、じゅんにもいわれたっけ
かんじや、りかのべんきょうもがんばったし、じむにもいってみたし、つうしんこうざはむりだったけど
こんどはくるまのうんてんに、ちょうせんしてみよう
なんだか、ちかごろ、まいにちじゅうじつしてるな
…だれにうんてんおしえてもらおうかな
どんじゅんさんは、えんじんのしくみからはなすからやめとこ
とにかく、くるまかりなきゃ…
ぼくは、ほてるのろびーにでた
「あ、ジュンホ君じゃない?」
「あ、そんじぇさん(たしか、ちーふのおとうとさんだ)」
「ちょっと、兄さんに離婚届にハン押してもらおうと思って来てみたんだ。…どうかしたの?」
「ぼく、くるまのうんてんを、だれかにおしえてもらおうとおもって。くるまもかりようとおもって」
「そう、車なら、ぼくのMYベンツを貸してあげるよ。以前だって、撮影用に僕のベンツを提供したんだ」
「あ…あの…」
「それにね、車の運転なら僕にもできるよ。トランクにバラの花束乗せて、女性をレストランにエスコート…。え?二番煎じだって?
…だいたい僕は主役と信じて、ベンツを貸したのに…。信じられる?僕のベンツに乗ったのは、兄さんだったんだよ!
僕は寒いのに、オートバイさ。しかもダサイ格好させられて…。そんなのないよ!おまけに兄さん、好き放題車線変更してくれちゃって…
遠慮ってものがないよ!全く兄さんには…」
ぼくは、はなしがながくなりそうなそんじぇさんに、ぺこりとあたまをさげて、そのばをはなれた
ちょっとあるいたら、すひょんさんがいた
「え?何?車の運転習いたいだって?いいよ。僕は何でも器用にこなす
前にも、女性に目隠しさせて、片手でハンドル握って、その子に甘いキスをしてとろけさせた事があったんだ…
あ、これ、ドンジュンには内緒だよ。…あいつすぐむくれるから。いや、またそこが可愛いんだけどさ…」
すひょんさんののろけばなしに、つきあうじかんはなかったので、ぼくはおれいをいって、またあるきだした
つぎにあったのは、てじんさん
「いいよ。ジュンホ。僕は元カーレーサーだ。車の運転なんて朝飯前だ。…あ、でも事故を起こして、意識不明になった事があるけど…
いや、心配するな!大丈夫だって!一年もすりゃ目を覚ますから…」
ぼくは、あたまにくもがいるうえに、じこなんてたいへんだから、またていねいにおじぎをして、そこをはなれた
うろうろしていたら、だれかにこえをかけられた
「ジュンホ殿ではござらぬか?」(MUSAの将軍さんだ…)
「なんですと?車の運転ですとな?いや、拙者、環境問題にはちとうるそうてな。車はいかにも好きになれぬ…
いや、ジュンホ殿、なんと申されても、馬ですぞ!馬はいい!背すじもピンと伸びてな…」
……もんだいがいだ……
むこうから、そんじゅさんとちょんうおんさんがきた
ソンジュ「車の運転なら僕に任せて。列車と並んで走ったり、涙目運転なんかもよくしたものさ。ンフ」
チョンウオン「僕の涙目運転にはかなわないだろう。表情ひとつ変えず涙を流す事ができるんだ」
ソンジュ・チョンウオン「…でも、涙目運転といえば、やっぱりあの人には敵わないよね」
ぼくは、ふたりにおしえてもらったとおり、そのひとのへやのまえまでいった
とんとん…
「入って」
なかからこえがきこえた
「ジュンホ?どうした?さあ、かけて」
「え?車の運転?僕に聞くなんて、君は勇気がある人だね。いいよ
涙目で目が霞みながら、夜のハイウェイを3車線ぶっちぎり変更するなど
僕にはたいした事ではないよ。なぜか、そんな時、周りに車はいなくなるんだ」
「僕は車の駐車にも、少しこだわりがある。いいかい?よく聞いて。家の前のゆるやかな坂道に路上駐車するんだ
…そこが重要だ。こっち向きに車を止めて降りても、家を出る時には、車の向きが変わっていたりする
窓が開いていて、閉めてもいないのに、勝手に閉まっていたりする。…車と心を一つにする事が大事なんだ…
そして、もう一つ。車を止める時、家の門のセコムマークは必ず見えるように止めるんだよ」
みんちょるさんのうんちくはながい
ぼくにはくるまもむりかもしれない…
漢字 みんみん編 ロージーさん
いろいろなことをためしてみたけど、やっぱりぼくにはむりみたいなのでまたじみちにかんじのべんきょうをしようとおもう
だれにおねがいしようかな…
ろうかでぎょんびんさんにあった
めづらしくひとりだったのでたのんでみた
「おねがいします」
「はいわかりました」
そういってすこしかんがえてからきれいなじで『運命』とかいてくれた
「…」
「うんめいと読みます」といってにっこりわらった
「…」
「意味はスハ先生に訊いていただけますか…?」といってまたにっこりわらった
「はい…」
そしてすこしはづかしそうに「もうひとついいですか?」といった
「はいおねがいします」
そして『永遠』とかいた
「えいえんと読みます」
「はい…ありがとうございます…」
「それではこれで失礼します」
そういってさわやかにさっていった
そのあとみんちょるさんにあった
いそがしいからことわられるかとおもったけどたのんでみた
「構わないよ」そういってくれた
ぼくはあたらしいぺえじをひらいてのおとをさしだした
「おねがいします」
みんちょるさんはすぐに『運命』とかいた
ぼくはなにもいわなかった。よけいなことをいわないのがぼくのちょーしょだから
「ありがとうございます」
「それじゃあコレで失礼するよ」
そういっていきかけたあとすぐにふりむいてもどってきた
「もうひとつだけいいかな?」
「はいおねがいします」
…やっぱり『永遠』とかいた…
…こんどもぼくはだまっていた…
へやにかえるとちゅうギョンビンさんとそっくりなひととすれちがった
…ぼくはおもわずふりかえってみた…
…せなかに…『宿命』…とかいてあるのがみえたようなきがした…
…なんてよむんだろう…どういういみなんだろう…
…はやく…へやにかえろう…
嘘 ぴかろん
僕は、悪霊払い気取りで芸術家崩れの男の顔に、熱い柚子茶をかけた
とても後味が悪い
ファン・テジンは顔を覆って蹲り、小さく呻き声をあげている
ふと、弟の声が甦る
「わざとだろ」
敵意の篭った瞳で僕を見る弟…
あれは…弟が高校生の頃だった…
弟の男友達がやってきた
僕は熱いお茶を運んでやった
男友達に先にカップを出した
男友達は、手元をふらつかせて弟の腕にその熱いお茶をこぼしてしまった
「あつっ!」
顰めた弟の顔とお茶のかかった弟の腕に気を取られ
僕は盆の上に乗っていたもう一つのカップの事をすっかり忘れていた
そしてその熱いお茶を男友達の頭にぶちまけてしまった
すぐに謝った
幸い火傷もなかったようだ
その友達が帰ってから
弟は僕の腕を引き
僕を睨んで言ったのだ
「わざとだろ」
僕は脳天を真っ二つに割られたような気がした
僕を信じていない弟…
僕は慌ててそうじゃないと説明しようとした
しかし弟はプイと横を向いて自分の部屋に入ってしまった…
僕は…弟の腕が心配だっただけなのに…
「わざとじゃない…」
「よく言うよ」
「…」
「僕に向けてかけたんだろ?」
ファン・テジンは覆っていた手を払って僕に向かってそう言った
「…火傷しなかったのか?」
「…確かめたの?」
「…え?」
何を…
「熱いかどうか、貴方確かめた?」
「…」
「かなり動揺してんだね、僕が『熱い』って言ったから、それを鵜呑みにしたね?
本とは冷たい柚子茶だったんだよ」
なん…だって?
「酷いな、熱い液体を人の顔に向けてかけるなんて…」
「…」
「一瞬後悔したろ?」
「…何…」
「違うかな?そう見えたけど」
また…こいつらは…僕を揺さぶろうとしている…
「…代わりの飲み物を持ってくるよ」
ファン・テジンは、今度は熱いコーヒーを持ってきた
「これは本当に熱い。コーヒー飲みたかったんだろ?違う?」
…僕は…イライラしていた
思い通りに動けない事に…
キム・イナよりももっと扱いがわからない…
なんなんだ、この男は…
「貴方、弟さんが好きなの?」
「…」
「…僕の想いと似てる気がする…」
「お前の想い?」
「そう…」
「お前は兄貴と同じ人を愛したんだろう?兄貴の死後、その妻もその生活も全て手にしたんだろう?
羨ましいよ、望みが全て叶ったんじゃないか…そんなお前と僕の、どこが似ているというんだ!」
「貴方もそんな風に僕を理解してるんだね…」
「え…」
「僕は…兄さんが好きだったんだ…」
なんだって?
「だから、貴方の想いと似てるだろ?好きであっても…どうにもならない…」
…いや…できるさ…少なくとも僕は…明日になれば…
「貴方はいいな」
「…」
「弟さんが生きてるもの…僕の兄は死んでしまった…もう本当にどうする事もできない…」
「…何故兄貴の妻と一緒にいるんだ」
「…兄の愛した人だからね、守りたい…それぐらいしかできないんだ、兄のために…」
「ふぅん…美しい兄弟愛だね」
「屈折してるけどね」
屈折か…屈折だけでよかったな!
へどが出そうな『美しい愛の物語』だ
僕の想いはそんなものじゃない!
お前は僕に何をしようとしてるんだ!
「さっき僕、『熱い柚子茶』って言ったでしょ?貴方はそれを信じた…同じように…貴方は何か思い込んでることってないかな…」
「…は?」
「例えば…『弟は僕のものだから、僕の思う通りに動かしたい』とか」
「何を言ってるんだ…」
「そう思い込んで、そうしなきゃと考えてるんじゃないの?」
「…ならお前だって『兄貴の愛した嫁さんだから大事にする事が兄貴への愛だ』って思い込んでるんだろ?!」
「それは前向きだからいいんだよ。貴方の場合は後ろ向きじゃないか」
「前向き?」
「そうさ…妻もそれで幸せなんだからね」
「…アンタの気持ちはどうなるんだ…アンタ、今でも兄貴が好きなんだろ?!」
「だから…僕は貴方が羨ましい…貴方の弟さんは生きているもの…
僕は兄の『幸せな姿』をもう見ることができない
でも貴方は違う
これからいくらでも、弟さんの幸せな姿を見られるじゃない…」
幸せな姿?
ああ、僕と一緒にいる弟の、僕だけに見せる笑顔の事だね?
「愛する人の幸せがあってこそ僕達は本当に幸せになれるんじゃないのかな…」
僕は、ファン・テジンの『理想論』など聞きたくはない!
僕は、ここで夜が明けるのを待っているだけだ!
わけの解らない屁理屈を言うな!
むかつく…どいつもこいつもむかつく奴等ばかりじゃないか!
イライラしながら僕は煙草をくわえた
「僕も一本くれない?」
ファン・テジンがそう言うので、僕はタバコを差し出した
一本抜いて口にくわえるファン・テジン
僕はライターで火をつけようとした
くそっ…点かない
なぜ点かないんだ!
さっきといい、今といい!
カチッカチッとライターの音が響く
ファン・テジンは僕の手に触れると物凄い力でライターを奪った
いとも簡単に火をつけ、僕の顔の前に近づける…
火の方に顔をやると、同時にファン・テジンも火を点けに来た…
「ふぅん…素敵なデザインだな…」
そう言って僕のライターを撫で回す…
「弟さんからのプレゼント?…ここにギョンビンって名前があるね…フロム ギョンビン…」
僕はライターを奪い取った…手が小刻みに震えている…
ライターをポケットに仕舞い込んだ…
これ以上この男と話していても仕方がない…
僕はコーヒーの礼を言って、席を立った
「さっきより軽くなったね…」
「え?」
「邪鬼が、さっき君が僕に浴びせた冷たいお茶のおかげで消えてなくなったみたい…全部じゃないけど…」
どこまでも前向きで明るくて…おめでたい男だ…
「いろいろな話が聞けてよかった…ありがとうテジンさん…」
僕は少し俯いて、反省しているかのようにみせつけた
「いえ…もう少しゆっくり話したいな…」
こっちはごめんだ
「すみません…部屋に帰ります…」
後味がとても悪い…
僕はファン・テジンの部屋を出た
出た途端、携帯の着信音が流れた
かわいい弟からだった…
扉 ぴかろん
あいつ、どこにいるのかな…
部屋に戻っただろうか…何号室だっけ…
それともまだ中庭にいたりして…
キョロキョロと彼を捜す僕
なんだか自分がおかしかった
少しウキウキしている
僕がこんな気持ちになるなんてな…
キム・イナが無意識でこじ開けた僕の心
そこに滑り込んできたスヒョク
僕は彼に同情している
傷だらけの心を持て余し、見ないようにガーゼで覆っている彼に
僕は…ガーゼを引き剥がしてしまった
彼の傷はまだじゅくじゅくと膿んでいて
剥がしたガーゼにその膿がべっとりと着いていた
膿みは出さなくちゃ…
右足を庇わなくなった彼は、それでも少しは傷が癒えたのかな?
僕は彼に惹かれている
僕が負っている傷を、彼ならば解ってくれる
その想いは秒刻みで強くなる
果たして彼はどうだろう…
僕は彼の負った傷を、癒すことができるのだろうか…
きっと昔なら近づかなかった
自分と同じような匂いのする男などに…
なのに今はどうだろう…
キム・イナ…
お前との偶然の出会いが
僕をこんなに変えてしまった
僕は彼らと声を立てて笑い
表舞台に立とうとしている
スヒョク
お前も僕と一緒に歩き出そうよ
僕達は笑うことができるんだ
過去の苦しみを抱えている時だって
苦しくて悲しくて自分を消してしまいたい時だって
それでも僕達は笑うことができるんだ
過去に犯した罪を、どんな風に償えるか
これから僕達はどんな風に生きていけるか
僕は君と話していきたい
そう思っている
中庭に面したガラスの向こうに
哀しみを背負った若者がいる
月の光を浴びて美しく輝いている
僕は彼に引き寄せられる
彼は右膝を何度も撫でた
撫でていた手を自分の唇に近づけ、そっと口付ける
ぱっとその手を唇から外し
怯えたように見つめている
それから彼は目を閉じて
ふんわりと唇を開き
震えながら自分の指に口付けをした
いけない事をした子供のようにその指を見つめ
その指でまた唇に触れている
駆け寄って抱きしめたい
その衝動を抑え、僕は彼の後ろからそっと近づく
彼の目を片手で覆う
身を竦め、警戒する彼
だがすぐに僕と解ったのだろう
警戒を解き、解いてすぐに張り詰めた
目隠ししたまま、彼の唇にそっとキスした
震えている
もう一度キスをする
短く荒い呼吸をする
その口角に唇で触れる
彼は、震えながら、少しだけ口を開けた
さっき自分の指に口付けていた時と同じように
僕を…待っている?
目の奥が熱くなった
僕を…受け入れてくれるの?
薄く開かれた震える唇に
僕はそっと唇を重ね、目隠ししていた手で彼の頭を支え、深く口付けをした
ソクさんの手が俺の目を覆う
ソクさんの唇が俺のそれに触れる、もう一度触れる
見られてた?
俺が何をしていたか、知ってる?
貴方の唇を、思い出していたんだ…
優しく触れるキスを…
もし俺が扉を開いたら
貴方は俺の中に入ってくるのかな…
そんな事を思っていた
だから…貴方の手を感じたとき
恥ずかしくて逃げ出したかった
でも…貴方に溺れたいとも思った…
俺は…少しだけ扉を開けた
彼はそっと、それから深く、俺に口付けた
涙が溢れた
本当に彼なのか確かめたくて俺は目を開けた
貴方の頬を伝うのは…俺の涙?それとも貴方のもの?
その雫を俺は拭った
彼は目を開けて俺を見、唇を離した
俺はそれを追いかけようとした
彼がクスッと笑う
恥ずかしい
「スヒョク」
「…はい…」
「頼みがある」
頼み?…頼みごとのためのキス?
俺は不安になった
「君にしかできない」
「え…」
「僕の相手役になってくんないかな…」
頭を掻きながら、ソクさんは恥ずかしそうに言う
「なんのことですか?」
「…これ…見てよ…」
見せられたのは進行表だった
「…セツブンショー…ソクさんが?!」
「ん…」
「…ど…どうしちゃったんですか?!」
「変?」
「…い…いえ…イメージに合わなくて…」
「そういうの、嫌いか?」
「え?」
「そういう事する僕は…嫌い?」
俺はソクさんを見た
「僕の事…嫌いか?」
「…ソクさん…」
「僕は…お前が好きだよ、スヒョク」
唐突に言われた言葉に、俺の心臓は破裂しそうになった…
「ほら、ここに書いてあるさ…鬼の役…お前にやってもらいたいんだけど…」
鬼?…俺が?
「面が割れたあと、舞台で抱き合うんだ…」
照れ笑いをするソクさんを、呆然と見る俺
「ナンだよ…僕だってホントは嫌だよ」
俺と抱き合うのが?
「こんなファッションショーはさ…けど…祭だろ?盛り上げなきゃな」
…
「…あれ…やっぱ嫌い?イヤ?」
「…」
「僕が抱き合いたいのは…お前しかいないからさ…だから…頼んでるんだ…ダメか?」
「お…俺ですか?」
「そうだよ」
「イナさんじゃなくて?」
「…イナとは…友達になった。なってきたよ、今」
そう言って柔らかく笑うソクさん
「…友達って…」
「なに?気になることがあったら何でも聞いて。何でも答えるよ」
「…キスなしっすか?」
俺が…一番気になることを口に出すと、ソクさんは…嬉しそうに笑った
「なしにして欲しいか?」
え?
「お前がダメって言うなら…しないよ、多分…絶対にとは言えないけどなぁ…ふふふ」
「…なんですか…それ…」
「僕がさ」
「…」
「返事して」
「…はい…」
「僕がキスしたいのはさ」
「…はい…」
「お前だけだ」
そういうとソクさんは俺を芝生に押し倒し、さっきよりも乱暴に俺の唇を奪った
俺は少しだけ抵抗したけれど、だんだん頭が痺れてきて、何も考えられなくなった
どれぐらい経ったのだろう…
ソクさんはようやく唇を離し俺の目を覗き込んで言った
「やってくれる?」
「…はふ?」
「鬼」
「…」
「返事!」
「…でっできないっすよ…」
「ちがーう」
「…違うって…」
「返事は一つだけだ」
「…」
「鬼、やってくれるね?」
「…」
「返事!」
「…」
「へんじ!」
「…」
「この野郎!へーんじっ!」
「やだ!」
「こいつ!」
ソクさんはもう一度俺の唇を塞いだ
またビリビリと電流が走る
俺はその痺れに夢中になって、ソクさんの首に腕を回していた
「僕を信じてついてこいよ…僕もお前を信じるから…」
「ソクさん…」
「ソクって呼べ。いいな」
「…はい…」
「じゃ、鬼、やってくれるな?」
「…」
「へーんじっ!」
「…いいよ…」
俺がそう言うと、にっこり笑って、また口付けした
…ソクさんは…キスが好きらしい…
漢字 にゅう編 ロージーさん
ぼくはのおとをもってふろんとにいるてじゅんさんのてがあくのをまっていた
まえにもいちどかいてもらったけど…ひとのきもちはまいにちかわるものだから…
「おいそがしいのにもおしわけありませんがまたおねがいできますか?」
「いくつでもかまいません…が…」
「はいかしこまりました」
えがおでそういうとながいきれいなゆびでぺんをとって…『収支』…とかいた
「よみといみはあとでしらべますから…」
「…あ…はいわかりました」
それからぼくのかおをちらっとみてから…『休憩』…とかいてすこしあかくなった
すこしかんがえてからさいごに…『将来』…とかいてめをおよがせた…
「これでよろしいでしょうか…?」
「はいありがとうございました」
てじゅんさんはすぐにしごとにもどっていった
いなさんはどこだろう…?
漢字 にゃあ編 ロージーさん
いなさんはろびーのいすでたいくつそーにしていた。そばにまつばづえがあった
「よお!ジュンホ!…どうした?」
ぼくはけがのおみまいをいってからまたおねがいした
「いくつでもかまいません…」
「いいよ!…どれ!…」
もちろんぺえじはあたらしくしておいた
いなさんはまよわず…『過去』…とかいた
それからぼくのかおをにやりとみて…『休憩』とかいてにたにたしていた
さいごにかんがえてから…『将来』とかいた…すこしさびしそうにみえた
「…ところで…そのう…テジュンにはもう書いてもらったのか?…」
「いいえ」…なぜかうそをついてしまった
いなさんはぼくのかおをちょっとみてから「…そうか…そうだよな…」といってわらった
…そういえばいなさんは…まえは…ひとのしんりをよむぷろだったらしい
「ありがとうございました…しつれいします」
「おう!」
すこししんけいをつかってつかれたからいちどへやにもどろう…
ぺえじのよはくはいみおかいてあとはかきとりにつかおう…
ぼくはむだづかいはしないよ…そにょんさん…
人生相談 れいんさん
悩みのない人間なんていないざんす…
「誰にでも悩みはある」…ざんす
人は、理想を追う生き物ざんす
ああなりたいと、目標を持つ事は大事ざんす
また、今ある状況の中で、喜びを見つけていく事も大事ざんす
二つの気持ちをバランスよく持てた時、人は輝けると…あたしゃそう思うざんす
さあ、今日も人生相談やりましょうかね
今日は料金3割引にしてるから、お客もちらほら来るざんしょ
「あの…相談いいですか?」
こりゃ変装してるざんす。誰かわからないざんす…
「はいはい、どうぞ。前金で頂きますよ」
「あの…僕、今が勝負の時だと思うんですできあがったイメージを壊そうと、官能的な時代劇に出てみたり、
肉体改造して写真集を出したりしたのですが、どうも今ひとつ手ごたえがない…
このままだと、僕は決まった役柄しかできなくなってしまう。僕の進むべき道を教えて下さい」
「ふんふん。そりゃ、あなた、一度、徹底的にイメージを壊してみたら?例えば覆面つけた腹の出たレスラー役やってみるとか…」
「ええっ!そんな事したら、僕の家族が…いえ、ファンの事ですが…納得しません!」
「それでいいざんす。徹底的に汚れ役をやってみるざんす。いい意味でファンを裏切り続ける…
次はどんな役をやってくれるかと、わくわくさせるのも、ひとつの手ざんしょ
それでふるいにかけられ、真のあなたのファンが残る…それしかないざんしょ」
「な、なるほど…わ、わかりました!徹底的なダメ男やってみます!ありがとうございました!」
ふ…また、一人の男を幸せにしたざんす
…でも、あの人どこかで会ったような…ま、いいざんす
「敬礼っ!座ってもよろしーでしょーか!」
またハデな顔の客…
「あの、自分はこんなに顔が美しいのに、色気が足りないって言われるのであります!
自分はがんばりました!汚れ役も体を張った役もいろいろやりました!。作品をじっくり選んで、興行成績もよかったのであります!
なのに…後はどうやったら、色気ってものが出せるのでありますか!」
「…そりゃ、答えは簡単ざんす…遊びまくればいいざんす」
「え…?遊びまくる?」
「そうざんす。ヤってヤってヤりまくる…すなわち、いろんな人といろんな経験を通して、自分を磨いていくって事ざんす
いろんな経験を通して、人の気持ちがわかり、自分の事もわかるようになって行く
ああ、思い出した。…あなたあのCMではいい雰囲気出してたざんしょ。それでいいざんす」
「わ、わかりました!なんか自分、自信が湧いてきました!失礼いたします!」
…また、あたしの信者が増えたざんす…
「あの、いいですか?」
また、客ざんす…
「僕、多方面で活躍しているのですが、何か、どれも中途半端な気がして…
ドラマでも、インパクトを残したいのに、プリンス的な役ばかり…映画にも出てみたいのに。歌でも、高音がちょっとふらつく」
「そうですか。色々な方面に手を出さず、一つの事に集中してみてはどうざんす?まあ、いいでしょ。ドラマは思い切って難しい役をやるざんす
二重人格者とか、同性愛者とか。難役を自分の物にしてこそ、役者の幅が広がるってもんです
歌なんか、レコーデイングの時に色んな音を混ぜてごまかしちまえばいいざんす
生出演の時はスマップなみのダンスを取り入れて、息があがった事にするざんす。いい考えざんしょ?」
「あ、ありがとうございました」
…また、テキトーな事を言ったざんす…
「あらあん、失礼してよろしいかしらあん?」
ん…香水のきつい女の人ざんす…
「あたしねえん、人には言えないんだけどおん、すごく思いつめてるのおん
実はねえん…これ、見て、首に二本くっきりシワがあるのおん…これ、どうしたらいいのおん?」
「う…。そりゃ、あなた。そんなものは、年を取れば誰だって…仕方ないざんしょ」
「そうはいかないわん!あたしは女優よっ!パーフェクトな姿で表に出ないといけないのよっ!」
「そ、そうざんすか…。そりゃまあ…。では、タートルネックやマフラーなんてのは?」
「冗談じゃないわっ!露出度が決め手なのにっ!」
「う…。では、チョーカーなぞで隠しては?」
「チョーカーねえん…。でも、シワ一本は隠れてももう一本があ…ん」
「後は、照明とか、角度とか…後姿から振り返るショットとか…」
「でも、いつもそれってわけにはねえ…ん」
「いや!あなたには、それを補って余りある迫真の演技力と絶対的な存在感があるざんす!
テーブル持ち上げてひっくり返したり、化粧ヨレヨレで泣きの演技したり…役者魂があるざんす!」
「あらあん、そうお?なんだか、気分がよくなったわあん。ありがとおん」
…ふう〜。今日はやけに疲れたざんす…
もう、ここいらで店じまいするざんす…
スチュン☆メイ3 妄想省家政婦mayoさん
メイに緊急の呼び出しがあって昼飯がオジャンになっちまった
ふたりでの食事に慣れちまった俺はひとりで食う気にもなれないまま
昼もかなり過ぎた頃テソンの部屋に行った
「mayoシは?」
「うん…ちょっと出てる…」
「…なぁ…テソン…」
「何…」
「俺さぁ…きっかけが掴めねぇんだ…あいつだと…」
「ははっ…そうか…」
「今までの俺なら一回調子づいたらよぉ…」
「ぅん…」
「すぐ…やっちまってるのに…」
「ぁふ^^;…メイには出来ないのか?」
「あぁ。ちゅーも出来ねぇ…」
「ぷはは…」
「笑うなよ…らしくねぇのはわかってるんだ…」
「何か気になることあるのか?」
「ふっとした時な、あいつの目の奥が遠くを見てる時がある…
ほんの一瞬だぞ。あいつ自身も気づいてねぇと思う…」
「シチュン、お前…ずごいぞ…」
「何がだよ。ちゅーも出来ねーのに…すごくなんかねぇよ」
「今まで関わった女のこと…そこまで見たことないだろ…」
「そういえば…ないな…」
「それだけメイに惚れてるってことさ」
「ぅん…だから聞くにきけねぇ…」
「無理に聞いたってしょうがないさ…」
「じゃぁどうするよ…」
「あっはっは…お前がこの僕に聞くの?」
「テソン〜>o<」
「とにかく今のお前の想いきちんと話せよ。メイに..」
「嫌われないか?..なぁ..」
「ぷひひ…大丈夫じゃない?」
「そうか?」
「あ、今mayoシがメイに差し入れ届けに行ってる。行ってやれよ」
「お、お、わ、わかった。行ってくる」
テソンはシチュンが部屋を出てすぐ電話をかけた
中庭の隅にある大きな木の木陰でメイは胡座をかいて座っていた
目の前の草をむしっては投げむしっては投げていた
闇夜はメイにそっと近づき隣に座った
「メイ」
「お、まよぉ〜」
「昼、緊急な呼び出しって?」
「ぅん…何だかさぁ例のステージの天井裏?あそこの隅の棚が崩れちゃって…」
「ぉぉん…^^;;...」
「もぉぉ〜あそこ誰も寄り付かないはずなのに人の気配の痕跡がある…」
「そ、そう…」
「何だかさぁ〜どいつもこいつも何やってんだか…」
「そ、そうね…^^;」
「キムパブ作ってきたよ」
「サンキュー…食べそびれてさぁ…腹ペこぉ〜」
「メイ、まだ連れ込んでないの?」
「ぅん…きっかけなくってさぁ…いきなり連れ込むのもなんじゃん…」
「そう?襲っちゃえば」
「ぇぇ〜ぃ…人にばっかすっかけるの?自分はどうなのよぉ…お?」
「ぁひぁひ…わたしは…まだ..」
「あたし..まだあいつのホントの気持ち…掴めなくてさ…」
「メイ…大丈夫だよ、今のシチュンさん。メイに首ったけだから」
「そっ?」
「ぅん…だって…メイはボインだもん」
「まよ…触る?」
「ぅん…わぉ…ぷりんぷりんしてるわ…^o^ シチュンさん喜びそう〜」
「まよのは…うわ…あたしほどじゃないけど…やわらかぁ〜い^o^ テソン壊れるね。こりゃ」
おんな2人じゃれあっている時闇夜の携帯が鳴った
「ネ…ぅん…ぅん…わかった…」パタン☆
「テソン?」
「ぅん」
「まよたちは仲いいね…テソンが変わったのって、まよのおかげだね…」
「そうかな…」
「だってまよを見る目が違う。慈愛に満ちてるね、ありゃ」
「そう?」
「ぅん..昔あたしを投げた時の見た目と全然違う」
「メイ!禁句!」
「あ、ごめんごめん…あはっ^^; 」
闇夜はこっちに走ってくるシチュンを見つけてメイを突っついた
復習 ぴかろん
「もう朝でござる」
「デジャイナー先生に酷く叱られましたな…」
「祭が始まるまでにどれぐらいの猶予があろうか…」
「…ニ、三時間かと…」
「…ドンゴン殿」
「はい、将軍殿」
「この三時間に賭けてみぬか!」
「ええっ!まさかあの狐と猟犬の睦み事を真似ようなどとは…」
「たわけ!わらわとて自分の力量がそこまで備わっておらんと言うことぐらい、よう解っておるわ!そうではない!
そこまでいかずとも…ほれ…あの…」
「…なんでございますか?」
「スヒョン殿の映像の…目隠しチュウを…」
「おおっ!あれは何やらスリルがございましたな」
「じゃろ?ちょっと興味あるじゃろ?」
「…はい…色気を高めるに手っ取り早いと存じますな…」
「あれを実践しようではないか!」
「はっ。承知!」
ゴソゴソと用意する二人
二人とも目隠しをしている
10分経った
「ドンゴン殿…何をしておる、はよう仕掛けてこぬか」
「おお…私も将軍殿を待っておりました…しからば…ええっと将軍殿は一体どこにおわします?」
「わしはここじゃ!」
「ここと言われましても…」
「ここと言えばここなのじゃ!わしとてどこか解らぬ」
「くうっ…スリルがございますな」
「全く、ハラハラドキドキの展開じゃのう!」
「将軍殿」
「ドンゴン殿」
「すみませぬが手を叩いていてくださいませぬか。私、その音をたよりにそちらに参りますゆえ…」
「むう…考えおったの…確かにこのままでは先に進まぬわ…それパンパンパン。それパンパンパン」
「おお、はっきりと方向が読み取れますぞ!将軍殿…将軍殿…」
ぱんぱんぱん
ぱんぱんぱん
やっと出会う二人
「おおっ将軍殿!」
「ドンゴン殿、待ちわびたぞ!」
「ドキドキしました」
「ハラハラしたわ!」
「いざ」
「いざ」
「「はぐううう」」
どたーん☆
倒れこむ二人
かすりもしないハグ
「なぜじゃ!声はするというに」
「私、角度を間違えましたかな?」
「うむ、ちょっと触れ合って確かめぬと…」
「左様でございますな」
触れ合う二人
「「いざ」」
はぐううう
「「成功じゃ!」」
「「さて目隠しチウをば!はむっ!」」
「待たれよドンゴン殿、そこはわらわの耳たぶでござはぁん…る…」
「なに?耳たぶですと!」
「そのように耳の近くで大声を出されますと…はぁん…鼓膜がやぶふぅ〜んれてしまうわ!」
「これは失礼をば…くうっ…将軍殿こそ私の耳たぶにハムなどくひぃん」
「ゆうておるではないかぁはん、耳の近くで大声へぇんを出すでなはぁいひん」
「しょおほぉんぐんどのこそぉほぉん、くすぐったいでへぇんございますぅふん…」
「待たれへよ、ろんごんろのほぉん」
「なはぁんれすか将軍ろの…」
「これへぇは計らずしてへぇん、あのきつふぅんねと猟犬の睦み事ほぉぉんの真似事おほぉんに…」
「ふぁぁあん、とつにゅふぅんしておると…」
「ならばいっそこのまんま…」
「このまんまはぁん…」
「「耳はむをっ!はむはむはむはむはぁ〜ん…」」
レッスン オリーさん
まだミンチョルのホッペが腫れていない頃の祭の前々前々……夜のこと…
ミンが夜どこかへ出て行ったきり戻ってこない…
と思ったら帰ってきた
「大変です!」
「どうした?」
「練習しましょう」
「何の?」
「サンバです」
「サンバ?」
「祭のフィナーレは日本からマツケンサンバの先生を呼んで全員踊るそうです」
「ふうん」
「テジュンさんがミンチョルさんに教えておいた方がいいって」
「どして?」
「だって、ミンチョルさん、踊りが下手…いえ不得意だって」
「テジュンさんが言ったの?」
「いえ、それはテプンさんが…コギツネ踊りがやっとやっとだって…」
「ちっ…」
「ねっ、練習しましょう」
「いいよ。僕やらないから」
「全員参加ですよ」
「僕、ミンの後ろに隠れてる」
「だめです。チーフでしょ」
「だって、雇われだもん」
「フィナーレですよ。一応締めるとこ締めないと」
「適当にあわせて踊ったふりするからいいよ」
「だめです。あれは結構むずかしい」
「ミン知ってるの?」
「年末の日本の歌番組で見ました」
「ふうん」
「ね、僕教えますから」
「ミン、踊れるの?」
「紅白見ましたから」
「一度見て踊れるの?」
「僕頭いいですから。ついでに運動神経も」
「知ってるよ。自慢しなくても」
「自慢じゃありません。事実を客観的に言ってるだけです。さっ、立って」
「うううん、気がすすまない。それより、ね、もう寝ようよ」
「だめ!キックトントンスパニッシュ!できるまでやる!」
「キックトントン?」
「ステップです」
「体硬いんだよ。それより僕チークダンスとかの方がいいな」
「は?」
「ヨンスとカラオケボックスで踊ったんだ。こんな風に腰に手を巻きつけて耳元で歌ってあげ…」
「昔のことはいいから」
「あ、はい」
「じゃ最初はちょっと待って、ちょっと待ってのステップから」
「それならできそう。待って、待ってね」
「だめ!腰が引けてる!」
「最近腰痛がして…ミンのせいなんだけど」
「それはずるして攻めてばっかりいるからでしょ」
「ずるって何だよ」
「かわりばんこって言ってるのに、ずるしてるから」
「だって、だって…」
「それはいいから、さっ、もう一度!待って待ってで、止まってターン!」
「ちょっとこれむずかしいよ」
「だからやるんでしょうが。はいターンして逆ターン」
「目が回る…」
「視点を定めて!いいですか、この流れを繰り返しますから」
「繰り返し?」
「そうです」
「疲れる」
「ゴチャゴチャ言わない!」
「ひいん…」
…ドタン……バタン……ドテン……ドシン……
「まあ、少しましになったけど、まだまだですね」
「ゼロゼロゼロ…」
「決まるのはスパニッシュの最後のミエ切るとこだけか、きびしいな」
「ゼロゼロ…胸に…ゼロゼロ…板入ってる…もん」
「そうですね、ミエ切るのは人並み以上だけど、後がどうも…」
「ゼロゼロ…もう…ゼロゼロ…寝ても…いいですか?」
「とりあえず今夜はここまで。明日また続きやりますから」
「毎晩?」
「そうです」
「ゼロゼロゼロ…」
「腰のことは心配しないで。当分僕が攻めますから」
「え…」
「え、じゃない。はい、でしょ!」
「あ、はい…ゼロゼロゼロ…」
スチュン☆メイ4 妄想省家政婦mayoさん
「あ!シチュンだ」
「シチュンさんと一緒に食べてっ」
「ぁ..ぅん!テソンによろしく言っといて」
「ぅん、わかった」
「じゃね」
シチュンは闇夜とすれ違いにメイの向かいに腰を下ろした
「何だよ、時間空いたらすぐ電話しろって言ってるだろっ…」
「ごめんごめん」
「ったく…」###ぎゅるぎゅるぎゅる…
「シチュンも昼食べてなかったん?」
「そうだよっ!もうひとりの飯は嫌だ」
「あたしもっ。一緒に食べよっ」
「ぉう!」
メイがシチュンの口にキムパブを運ぶ
ひとつ、ふたつ、みっつ…..
「んぐっ…い、いっぺん…に…入れる…なっ..て!」
「だってあんたの口って奥深そうだし…もういっ個入るかな…そらっ!」
「待て、んぐっ…まった!…やめ..て..もぐ.もぐ..お茶…くれ…」
「はいっ、お茶」
「んぐっ…ごく..もぐ…ふぅ…」
シチュンがメイの口にキムパブを運ぶ
メイの口の前で..入れる…寸止め、入れる…寸止めの動作で
メイの口がぱくぱく動くのを楽しんでる
『あぁ〜色っぺぇ〜!その口…』
メイはシチュンの手首を掴み動きを止める
「あぃ..いたた…」
「あたしも食べたいのっ!」
「はい…^^; 」
俺達は向かい合ってもうひとつのポットのゆず茶を飲んでいた
俺は俯いていた顔を上げてメイを見た
「なぁ…メイ…」
「なに…」
「俺さ…こんなだけどさ…」
「こんなって?」
「お調子もんだし…今は違うけど…」
「女癖悪い?」
「メイ…」
「あ、ごめんごめん…」
「俺…お前のこと…すんごく好きなんだ…」
「シチュン…」
メイは目をまあるくして俺をじっと見ている…
「俺…お前だけを大事にしたいと思ってる
お前を泣かせることしないから…
迷惑か?駄目か?嫌か?こんな俺…」
「シチュぅぅぅ〜ン!!」
メイはいきなり俺の首に巻きついてきた
「お、おい…め、メイ@@」
「やっと言ってくれたぁ…」
「メイ…お前…いいのか?俺でも…」
「あたし..あんたがいいの。シチュンじゃないと嫌っ」
「メイ…」
俺はメイの顎をちょっと上げメイのぽったりした唇に自分の唇を重ねた
俺が唇をちょっと離しメイの唇をなぞりなじめるとメイはそれに応え
唇をちょっと開け俺の舌を向かい入れた
俺達は夢中で舌を絡め合いふたり最初の長いキスを終えた…
「こんなあたしでいいの?」
「どんな..?」
「おてんばで色気なくて…」
「ぅん…お前がいい..キスも上手い..」
「もぉ〜シチュンの馬鹿…」
「可愛いよ…メイは…」
「シチュン…」
俺はメイの髪をくちゃくちゃにしながらまたメイの唇を捕らえていた…
俺はメイにもっと夢中になるに違いない…そんな気がした…
教会 足バンさん
僕は夜が明けるか明けないかのうちに外に出た
ホテルの敷地内に小さな教会があるとホテルの総支配人に聞いたからだ
その教会には小さなオルガンがあるといっていた
ジュンホ君は今頃朝のランニングに出てるのかな
もうお祭りは始まるようだし、
遅れてやってきた僕にはほとんど時間がなさそうだった
そういえばスヒョンさんが最後の踊りは全員参加だからよろしくと言っていたけれど…
なんだか状況がよくつかめていないし…
フォークダンスならいいんだけどな…
木立を抜けるとその教会はぽつんと建っていた
遠目に白く見えたその建物は近づいてみると薄い茶色だった
木々の間を通り抜けたまだ弱い朝日が、壁にちらちらと模様を描いている
聞いていた通りその重い木のドアは鍵がかかっていなかった
まだほの暗い小さな教会内は木の匂いがした
奥の小さな十字架はステンドグラスに埋め込まれていて
逆光の中に黒いシルエットを浮かばせている
僕はそのずっと隅にあるオルガンに歩み寄った
そんなに古いものではないけれど…懐かしい音はあの時の音に似ていた
幸せな今の僕…妻と子供との満ち足りた日々
でも僕の心はいつもある日々に飛んで行ってしまう
実ることのなかったあの恋の日々に…
妻にもらったコニー・フランシスのレコードも数年前に割れてしまった
そのかけらを見て僕は初恋のあの人をまた思い出した
今度はCDを買うわと言った妻に、もういいよと言ったんだ
もう聴かないから…そう言ったけれど…
そうじゃない…あの日から抜け出せない自分への戒めだったんだ…
「うるさいな…」
ぎょっとして振り向くと長椅子の最後列に人影がゆっくりと起き上がった
知らない顔だった。BHC系の顔だけど
「すみません!あの…人がいるなんて思わなかったので」
僕はかわいいミンとの電話を切ったあと外に出た
さすがに疲れている
キム・イナ、ファン・テジン、あいつらにかき回されて気分は最悪だった
ホテルの中などにいたくはない
あいつらと同じ空気の中で眠るなんて吐き気がした
ふらふら歩き続けると小さな教会があった
ドアは施錠されていなかった
まだ暗いその内部は僕の頭の中のようにしんとしていた
手前の長椅子に座ってステンドグラスのその暗く沈んだ十字架を眺めた
なにか言いたいことでもあるのか?
返ってくる来るはずのない質問をしてみた
横になって眠りかけた時だ。ドアが開いたのは
その男はゆっくりと歩いて十字架を見上げた
そしてオルガンの蓋を開けるとたいしてうまくもない腕で弾きはじめた
顔を伺うと、僕の頭の中の資料とカン・スハの名が一致した
まったく…あいつらはどこまで僕の邪魔をしたら気が済むんだ
「うるさいな」
男は驚いて手を止め顔をあげた
「すみません!あの…人がいるなんて思わなかったので」
「もう少しうまいといいけどね」
「すみません…あの…BHCの方ですか?」
僕を知らない?ってことはミンのことを知らないのか?
「すみません…遅れて来たので…あ、もしかして空軍にいたギョンビンさん?」
「ええ」
「ああ、はじめまして!僕スハです。教師やってました」
スハは僕のところまで飛んできて手を差し出した
しかたなく握手をした
スハは僕の横に腰をおろすと口に手をやり照れている
「オルガンがあるって聞いて来たんです。恥ずかしいな聴かれちゃって」
「なんていう曲?」
「昔僕が作ったんです。あぁ恥ずかしいな」
おめでたそうなやつだ
「ギョンビンさんこんなところにいていいんですか?今日は忙しいでしょう?」
「そうでもないけど」
「そうなんですか?あなた新人だからかな。あの最後のダンスってやるんでしょう?」
「よく知らないけど」
「全員強制参加って聞きましたよ」
思ったより喋るやつだ
しかし弟のことで警戒され続けていた僕にとって、なにも知らないスハとの会話はそれほど苦痛ではなかった
人の良さそうなその目はどこか昔の弟を思い出させる
「音楽、好きなの?」
「はい。ポップスとか最近はジャズとか。ギョンビンさんは?」
「特にないけど」
「ひとつくらいないですか?」
「ワーグナーかな」
ミンの空軍士官学校時代
ワイルドキャット墜落事故の審理を僕は傍聴した
自分の身も顧みず上層部に不利な証言をしたミン
審理の後、僕はミンを呼び止めた
お互い気まずい雰囲気になってから久しぶりの再会だった
『来てくれたの…』
『おまえらしい立派な証言だったよ』
『本当?』
『ああ、お父さんも空できっと喜んでる』
『兄さん…兄さんにそんな風に言ってもらえるなんて…これで退役になっても悔いはないよ』
その目は小さい時の僕に対する尊敬の念を含んだ目だった
それがミンが見せた最後の優しい表情となった
その夜ひとり聴いていたラジオで流れていたのがワーグナーだった
「曲を聴くと思い出す情景ってありますよね」
「スハさんも?」
僕はミンらしく素直に聞いてみた
スハは小さく微笑んではいるがうなだれてこくりとうなづいた
「でも…僕はいい思い出じゃないから…」
「そうなの?」
「そう。叶わなかった人との想いにずっと苦しんでます」
こいつまでファン・テジンと同じこと言い出すんだろう
まったく。こいつら理想論者集団か。ばかばかしい
先回りして言ってやった
「でも愛する人が幸せなら自分も幸せでしょう?」
意外にもスハは突然冷たい目で僕を見た
「そんなの違う。そんなのきれいごとです。夢ですよ」
なに言い出すんだこいつは
スハはゆっくりと前を向くと十字架を哀しげに睨んでいる
去年、僕は研修先でヤン先生に偶然再会した
彼女は夫との関係がうまくいかずソウルに戻って来ていた
あの小学校の日々から十余年
彼女の美しさは変わらなかったが深い影があった
再会を喜んで食事をした
僕たちは懐かしい昔や近況の報告に時を忘れた
夜一緒に酒を飲んだ
彼女は泣いていた
僕は彼女をホテルに送り届け…そして彼女を奪おうとした
ひどい抵抗にあい、僕はやっとのことで正気を取り戻した
彼女はごめんなさいと何度も言った。僕も泣いて謝った
夜が明けるまでベッドで僕は彼女を抱きしめていた
翌朝彼女は心を決め、夫の元へ帰って行った
実ることはなかったが大切な美しい思い出を…なくしてしまった日だった
そして家族とのつつましい幸せが…僕の中で途切れた日だった
「あの日」はもう違う意味を持ってしまった
焦り ぴかろん
泣かせてしまった…
僕のベッドで僕に背を向けてスヒョクが泣いている…
焦りすぎた…
僕は『後悔』という苦々しい感情を抱いて、ベッドの端に座り、タバコに火をつけた…
「うっううっ…」
「…すまない…つい…」
「うっ…くっ…」
口元に手をやり、ひっくひっくとしゃくりあげるスヒョクを、僕はどうやって慰めていいのかわからない…
焦ってはいけなかったのに…つい…
中庭でスヒョクの答えを聞いてから、僕はスヒョクを部屋まで送るつもりだった…
エレベーターの扉が三階で開いた時、僕はそこで別れるつもりだった…
だがスヒョクは動かない
僕が彼を不思議そうに見つめると
彼は扉の開閉ボタンの『閉』の方を押した
自然、動く箱は、僕の部屋がある階へと向かった
七階に来た時、彼はまた『閉』のボタンを押した
「どうしたの?何か話がある?」
「…もう少し…一緒にいたいです…」
どくんと心臓の音がした
ごくりと生唾を飲み込んでしまった
彼に僕の体の音が聞こえはしなかったろうか…
目を伏せて扉の前に立つスヒョクは、はかなくて美しい
僕は吸い寄せられるように、彼にまたキスを落とした
軽く閉じた唇
軽い拒絶なのか恥じらいなのか…
僕の思考は行ったり来たりしながら
彼の唇に集中する
抉じ開けるべきかそれとも…
「…んは…苦しい…」
「あ…ごめん…つい…」
「…いえ…」
こんな狭いところにいると気が狂いそうだ
この場で彼をどうにかしてしまいそうで…
焦ってはいけない
自分にそう言い聞かせて僕は箱を開けるボタンを押した
「行くよ…」
そう言って箱から出た僕の腕を、彼は留めた
「…なに?」
「…もう…少し…」
俯いて呟く彼を箱から出し、僕は自分の部屋へ彼を連れて行った
部屋に入ってドアを閉めると、彼は途端に緊張した
それを見て僕もまた緊張した…
連れ込んでよかったのかな…
「な…なにか飲むか?」
僕は彼の返事を聞く前に動いた
酒…下心があるように思われる…
柚子茶…美味しく淹れられたためしがない!溶かすだけなのに…
梅茶…うーん…どーだろー…
紅茶…似合わない…
やっぱりコーヒーかな…
僕が無言でコーヒーの用意をしていると、横に飛んできて俺がやりますから…なんて言う
何か声をかけたかったのだけど、彼の様子が初々しくて見とれてしまい、僕は何も言えなかった
「俺結構うまいんですよ、コーヒー淹れるの…」
そう言って作業を続ける
横にいると抱きしめてしまいそうで、少し離れて彼を見た
寂しげな背中
僕はそれを包み込めるだろうか…
彼の中に渦巻く悲しみを
僕は一緒に弔えるのか…
コーヒーを淹れた彼は、微笑んで僕のところにやって来た
「どうぞ…」
寂しそうな笑顔が突き刺さって、また何も言えなかった
コーヒーを飲んだ
深い味がする…
「どうですか?」
心配そうに覗き込むスヒョク
あまりにも澄んだ瞳に、また僕は何も言えなかった
無言でスヒョクの淹れたコーヒーを味わう僕
スヒョクは立ったままコーヒーに口をつけた
「あ…ごめん…座れよ…んと…どこでもいいからその辺…」
「…」
コーヒーをデスクに置いて、スヒョクは急にドアに向かった
「スヒョ…どうしたんだ?」
僕は慌ててカップを置き、スヒョクを捕まえた
「どうしたの…何か話があるんだろ?」
「…いいです…」
「どうしたんだ…」
「…迷惑でしょ?…帰ります…」
「め・迷惑じゃない!」
「だってずっと何も言ってくれない…」
「あ…」
僕はスヒョクを抱きしめた
スヒョクの身体が柔らかくなる
そっか…こうして欲しかったのか…ごめん、気がつかなくて…
「僕は…ついこないだまでこういう事ってしてなかったから…感覚が鈍ってる…ごめんスヒョク…」
「…ごめんなさい…俺みたいなヤツが…」
抱きしめてほしいなんて…
声にならない小さな声でそう続けたのを、僕の耳はしっかり捉えた
スヒョク、お前の呟く言葉をみんな聞いてあげる
一言も漏らさずに聞いてあげるから…
僕はそう言ってさらに強く彼を抱きしめた
「こわいです…俺」
「スヒョク…」
「あの日の事、思い出すのが怖いです…」
「うん…」
「でも…貴方には話したい…俺があの時どんな気持ちだったか…」
「…うん…」
「…だけどまだ…話す勇気出ないです…」
「…ゆっくりでいいさ…」
「…けど…」
「ん?」
「…祭が終わります…」
「ああ」
「…そしたらソクさん…ソクに…会えなくなる…」
「…」
そうだった!祭が終わったら彼は帰ってしまうのだった!
「そ…そうだった…」
「…え?気づいてなかったんですか?」
「…うん…あまり固執する事なく、ずっと過ごしてきたから…」
「…固執…」
「…ここに来たら…できちゃった…」
「…イナさんっすか?」
「この野郎…解ってるくせに…」
「…解んないっす」
「じゃあ解らせてやる!」
僕はそうして彼をベッドに引きずり込みキスを落とした
「口、そんなに堅く閉じないで…」
「…はい…」
薄く開く口に僕は吸い寄せられ、すぐさま彼に夢中になった…
そんな、今日と明日だけ?!
彼と一緒に過ごせるのって…今日と明日だけなのか?!
「応えて」
「え?」
「僕のキスに応えて」
「…ど…どうやって…」
「僕のするようにしてごらん…」
「…はい…」
おどおどと僕の口付けに応え始める彼…愛しい
僕は調子にのってもっともっと激しく口付けする
彼から吐息が漏れ始めると僕はますます激しく彼を貪る…離したくない…
僕の手は、彼のシャツのボタンを外し始めた
彼は口付けに夢中になっていてそれに気づかない
ボタンを全部外してしまった…どうしよう…
こうなるとやはり彼の肌に触れたくなる
今日と明日しかないのだ…
そっと胸に触る
ビクンと波打つ身体…
見開かれた目…
僕を押し戻そうとする腕…
僕は力を込めてますます激しいキスをする
手で彼の身体をまさぐる
僕の背中をバンバン叩いて抵抗する彼
止まらない僕…
唇を彼の首筋に落とし、それから鎖骨や胸に進んだ
「…やめ…て…くださ…おねっお願いっ…うっ…うう…」
耳に届いた彼の小さな叫び
僕はようやく我に戻った
しまった…焦りすぎた…
僕はしどろもどろになって言い訳を繰り返した
彼は泣きながら僕に背を向けた…
ふうっ…苦いタバコ…
「スヒョク…すまない…焦ってしまった…君と会えなくなってしまうと思うと…」
「…ううっ…」
「…もっとゆっくり…こんな事じゃなくて…君とはちゃんと話がしたいと…そう思ってるのに…ごめん…」
「…欲しいんですか?…俺が…」
「…」
「答えてください…」
「欲しくないって言うと嘘になる…でも…ごめん…今すぐにどうこうなろうなんて…思ってなかったのに…つい…」
「…いつもそうなんですか…」
「…え…」
「…イナさんにもそうだったんですか!」
「…スヒョク…イナのことはもう…」
「俺は貴方にキスされる度にイナさんを思い出す!イナさんなら貴方を満足させられるだろうなとか…
さっきも『応えて』って言われたけど、イナさんなら何も言わなくても貴方のお気に召すようなキスをするんだろうなとか…」
「スヒョク…」
「…ごめんなさい…俺が…ついて来たのに…」
「まだ解ってないの?僕の気持ち、解んないの?…イナじゃない!イナは確かに僕にきっかけを与えてくれた…でもイナじゃない!
僕が固執してるのはお前だ!解るだろ?」
「…俺は…そんな風に言ってもらえるような人間じゃない…」
「それは僕が決めることだ!お前をどういう風に言うか…それは僕が感じて決める事だ!僕はお前が好きなんだ!解ったか!」
「…ソク…」
「…ただ…お前の気持ちを聞いてないのに…それに…キスにも慣れてないお前に…ちょっと…先走った…すまない…」
「…」
「スヒョク…僕は…お前が好きだ…」
「ソクさん…俺…」
「…今でなくてもいい…僕を好きになってくれたら嬉しい…」
「…俺だって…貴方が…」
好きですと、彼は口ごもった
僕の耳はその小さな声も漏らす事無く受け止める
僕は彼を起き上がらせてシャツのボタンを留めた
彼の涙を拭ってやって、彼の頬を撫でた
彼を見つめた
彼は僕に顔を近づけ、唇の一歩手前で止め、一瞬躊躇ってから僕の唇を吸った
彼の舌が僕の舌をつつく
僕は仰天した
なんだこの一連の動作は…
ついこないだ初めてのキスを経験したばかりのこの子が…
僕をどぎまぎさせるようなキスを仕掛けてきた…震えながら…
スヒョクという男に、体の芯まで痺れながら僕は
『テジュン…僕も行く』
と決心していた
ディスカッション れいんさん
ソンジュ「今日、秘密裏に君達に集まってもらったのは他でもない
先頃、世間を騒がせていたあの男は、もう帰国したが、また来月やって来る
あの男ばかりが騒がれるのは許せん!そこで、僕らの今後についてディスカッションを行いたい
題して、[朝まで生討論・緊急スペシャルあいつだけがなぜモテル・徹底検証]だ…ンフ」
チョンウォン「いや、願ってもない事だ。僕もかねがね腹に据えかねていた」
ソンジェ「そうだよね。僕らの方が全てに於いて優っているはずだ」
ソンジュ「君もそう思うかい?僕らは背が高いから、シークレットブーツなんて必要ない。生え際の心配もない
それに僕らの方が若い。ンフ」
ソンジェ「確かにそうだ。それに顔だって小さい」
チョンウォン「そうそう。それにソンジェ君、君は名家の出身だろ?
育ちもいいし、料理も上手い。カーレースもやるし、歌もやる」
ソンジェ「いやいや、チョンウォン君だって、その品のいい口元。育ちの良さが滲み出てる。それにその甘いマスク。鬼に金棒だ」
チョンウォン「いや、それ程でもないよ。ソンジュ君だって、素晴らしい運動神経だ
あのムダのない美しい走り方といい、サッカーのリフテイングだって見事だ」
ソンジュ「ンフ。ありがとう…。だが、ここで三人で誉めあっていても仕方がない僕ら三人は固い友情で結ばれている
そこで、見つけるのは困難だとは思うが、お互いの短所と言えるものを、自由に意見交換してみないか?」
チョンウォン「わかった。じゃあまず僕について何か思うところがあれば言ってくれたまえ」
ソンジェ「その…言いにくいんだけど、例のあのドラマね…。あれ…君ほとんど表情なかったよ
議員の娘にちうされた時だけ、かすかに表情が変わったけど…」
ソンジュ「確かにね。それに、あの子役の顔とのギャップはなんだい?ヤン・スングクさんの子役時代と間違えちゃうぢゃないか
おまけに君、舌足らずで聞いてられなかったよ。た・ち・つ・て・と、ってちゃんと言えるかい?」
チョンウォン「うう…。黙って聞いていればベラベラと…。あの声は吹き替えのせいだろ?
ソンジュ君、君だってあのアニメ声はないよ。それに子役時代だって、まるでケーキ屋ケンちゃんだぜ」
ソンジェ「そうそう。それにソンジュ君、君あのドラマでよく泣いていたけど、笑っているように見えたよ
眉の形のせいかな。前髪は下ろした方がいいよ」
ソンジェ「そこまで言うなら僕だって言わせてもらうよ。ソンジェ君、君のあのドラマでの刈り上げ
誰か止めてくれる友達はいなかったのかい?あの髪型に慣れるまで、しばらく時間がかかったよ」
チョンウォン「全く同感だ!それに、君の目尻と口角、なんでそんなに万有引力に素直なんだ
もうちょっと上に引っ張れないのかい?」
ソンジェ「ひどいぢゃないか!君達!」
三人の固い友情で結ばれた熱いディスカッションは朝まで続いた…
スチュン☆メイ5 妄想省家政婦mayoさん
俺は腰を落とし中庭の木に寄りかかりメイは俺の懐で首に巻きついていた
ほんの何分か前のふたり最初のキスから幾度も幾度もキスをしている
「くちびる…腫れちまうぞ?メイ…」
「いいもんっ。どうせ今と変わらないもんっ」
口をとがらして、いたずらっぽい目でメイは俺の顔を覗き込む
「でも可愛いんでしょ?」
「ふっ…そうだよっ!」
「シチュンも可愛いっ!大好きっ!」
「ぉぉん…な、メイ…」
「なに?…」
「俺さ、シチャンなんだよ…」
「へっ?何それ…シチュンはシチュンじゃんか…」
「俺の本名は…シ・チャ・ン..」
「お?店ではシチュンでしょ?お、源氏名かっ」
「おい!」
「わっけわかんないよぉ…」
「スカウトで来た時はシチャンだったんだ…」
「うん…それで?」
「で…その…あれだ…」
「うひゃっひゃ…わかったっ!!.」
「何だよぉ」
「シ・ちゃ・ンがさぁ…店の客とちゅうばっかしてる…」
「メイ….」
「だから.. シ・ちゃ・ンが シ・ちゅ・ンになったんだっ..」
「メ、メイぃぃぃ^^;;…」
「何さっ…ホントのことじゃんか。違う?」
「ぉぉん…そうかもしんない…」
「で?どっちで呼んで欲しいの?本名シチャン?"源氏名"シチュン?」
「お、お前はどっちがいい…好きな方でいいぜ…俺は俺だから…」
「ん〜〜」
メイは眉間にシワを寄せ口をとがらしてちょっと考えていた…
「メイ?」
「シチュン…」
「ぅん?……」
「……えっちのときだけ[シチャン]って言う…」
「ぁふぁふぁふ…@o@//…」
「何…嫌?」
「いや…何かすっげぇー嬉しいかも…」
無邪気に笑ってそう言ったメイがたまらなく可愛いかった
弾けたbodyのメイが俺にすがりついて俺の名前を呼ぶ…シチャン…
俺の頭ん中に花火がバンバン上がっていた
「メ、メ、メイ?」
「なに?」
「ぁの…ぁの…いつ...?…呼んでいただけますか?」
「今でもいいよっ…」
「へっ??@o@// 」
「ぁの…ぁの…俺たち今ちゅうしたばっかで…ぁのさ…夜にしましょうか?」
「何よっ!..一度調子づいたら止まらないって…それがシチュンだって…」
「お、おぃ〜誰が言ったぁ〜!!」
「決まってんじゃん…」
「てそまよかぁ〜!!」
「そっ。あたしの強ぉぉ〜い味方」
「ァィゥ〜〜>o< 」
「浮気したら絶対許さないっ!」
「お、お、それは絶っ対ぇーしねぇ」
「本当ねっ」
「おお」
俺達が立ち上がりメイを肩に抱きながら歩き始めたとき、邪魔が入った
『メイ!メイ!何処にいる。至急集まってくれ…』ジッ#
「ちっ…またかよ…」
「行くのか?」
「ぅん…シチュン?」
「ん?なに…」
「あとでね…###…」
「ぉぉぉぅ…」
メイはひゅうーと走り仕事へ戻っていった
俺の頭ん中はまだ花火があがっている
俺はガラにもなくドキドキしていた
合コンにいたるまで オリーさん
「ソンジェさん…」
「え?ヨンスさん!どうしたの?」
「また来ちゃったわ」
「祭はもう明日だから、家で待ってればいいのに」
「なんだか落ち着かなくて。もう一度室長に会おうかなって」
「だめだよ。兄さん、今忙しいみたいで、僕もつかまらないんだ」
「そうなの?」
「あの若造…じゃなくて、あの人と一緒?」
「うん、いつもベタベタしてるよ」
「そう…」
「だから僕達も早くベタベタしようよ」
「あ、触らないで…」
「ごめん、つい調子にのって」
「いいの」
「早く兄さんを捕まえてサインさせようと思ってるんだけど」
「サイン?」
「そう、離婚届だよ」
「離婚届?」
「ヨンスさん、こういう事には疎いだろ。だから僕がやってあげるよ。心配しないで」
「誰の離婚届けよ?」
「いやだなあ、兄さんとヨンスさんだよ」
「あんた!何言ってんのよ!」
「あっ、ヨンスさん、先にサインしたかった?」
「そうじゃないわよ!」
「ごめん、気がつかなくて。そうだよね。サイン先にしてそれをバン!って兄さんにつきつけないと気がすまないよね」
「そんな事言ってないでしょ!」
「わかった。じゃほら、ここにサインして。あ、右の欄ね」
「何よ!こんなもの!」
ベリベリベリ…
「あっ、ヨンスさん、何するの。破いちゃだめだよ」
「今そんな気分じゃないのよ!」
「でも心配いらないよ。僕、予備をもらってあるから」
「予備?」
「そう。兄さんて意地悪だろ。わざと書き間違えたとか言って、サインしぶると困ると思って、ほら、何枚も予備を持ってるんだ」
「ソンジェさん、もうその紙切れはしまっておいて。気分が悪いの」
「そういえば、顔色がよくない。じゃ、サインは後にしよう。何か食べる?」
「いいの。それよりほんとに室長に会えないかしら」
「さっきどこかに行ったよ」
「それを先に言いなさいよ!どこ行ったの」
「さあ、あいつと車でどこかに出かけたみたいだよ」
「あの若造…じゃなくてあの人と?」
「そうだよ。もう夜なのにね。ドライブかなあ」
「夜のドライブですって…」
「ロマンチックだよね」
「あのSLKで行ったの?」
「そうみたい」
「ちっ!」
「え?」
「あ、何でもないの」
「それより、ヨンスさん、今日ここに泊まるの?もう遅いけど」
「ホテルに無理言って部屋を取ったの」
「そうなの?じゃあ明日祭りを見られるね」
「あまり興味ないけど」
「じゃ、僕の歌聞いてもらえる。新曲もあるんだよ。さくらっていうんだ」
「さくら?」
「そう。桜並木にはいい思い出はないけど、これがヒットすればチャラにできる。そうだ!僕らの再出発の歌になるね」
「僕ら?」
「そうだよ。そうか!よし!頑張るぞ!」
「その前に、声量ふやして、音域広げた方がいいわよ」
「細かいことは気にしないで。ねえ、これから合コンがあるんだ。メンバーが面白そうだから一緒にどう?」
「そうね。室長がいないんじゃ仕方がないわ」
「合コンだけど、最初から僕らカップル参加だね」
「別々に部屋に入りましょ」
「そう…そうだね、他の人たちに悪いものね。ヨンスさんはやっぱり優しい人だ」
「ふっ…」
以下合コンにつづく…
るんるんるん♪ ぴかろん
俺はチェリムと一緒に散歩していた
チェリムの奴、やたらと肌を露出したファッションだ…
誘ってるのか!
どーしても胸元に目が行く
…貧相だからやめろってのに…
俺の視線を感じてチェリムは胸元を隠す
「どこ見てんのよぉ!」
お前はお笑い芸人か!
俺は小さくため息をついてチェリムの肩をポンポンと叩いた
…生肌だ…
ドキンとした…
「何よ!」
「ん…ああ…その…もうちょっと…肌を隠したほうがよくないか?」
「なんで?動きやすいもん。いつもタンクトップだしさ、私」
「…にしても、今日のはなんか…胸が開きすぎてて…」
気の毒になる
「目のやり場に困る?」
…ニコッと笑う顔が眩しい…
眩しいが胸元は…
「なによぉ〜」
と俺の首にぶら下がる
あー
下向いたら丸見えだよな…
きっとブラの中身も丸見えになっちまうよな…
「照れてる?ね、照れてる?」
プロポーズして以来チェリムは俺にベタベタしっぱなしだ
嬉しいんだけどな…
あんまりベタベタされると…襲っちゃうぞ…
とか言いつつ…俺は中々手が出せない…
チェリムはそれが物足りないのかもしれない
だから徐々に露出度を高めてて…今日はまたショートパンツで綺麗な脚を見せ付けるし…
「どーしたの?」
「…ん?何が?」
「…ちっともキスしてくんない…私からばっかり…つまんない…」
「…あー…んー…その…」
「…ねぇ…もしかしてほんとに…」
ごしょごしょと俺の耳元に囁く
くすぐったい…
ほんとに握り潰しちゃった?
「…ばか…」
少し微笑んでそう答えるとチェリムは俺の顔を穴が開くほど見つめてこう言った
「ああん、その『…ばか…』って言い方、すンごく、セクシー…」
そしてまたべっとりと俺に抱きつく…
わかったから…そう胸を押し付けるな…
痛いから…
痛いのが少し悲しい…
「…テプン…」
「…ん?」
「なんで○○てくんないの?」
「!」
「…あたしってそんな魅力ない?」
「いっいやっ!そっそんな事をお前女が口にするもんじゃねぇだろっ!
それにお前の親父さんにまだ挨拶にも行ってねぇしっ!だっだっ第一子供ができたらどーするっ!」
「…なまでしなきゃいーじゃん…」
「(@_@;)!おまっ…」
チェリムは俺の口に吸い付いた
小さい口だから俺の口の三分の一…いや、四分の一ぐらいしか吸い付けない
こんな真昼間からこんなとこで欲情すんな!馬鹿女!
「俺俺俺はそのっテジで失敗してるからっあっ失敗なんて言うとテジが可哀相だ…違う…
その…あの…だからそそその…ちゃんと環境が整ってからでないと…その…」
「失敗しないようにすればいーじゃん…」
「だからっお前っどーしてそー言う事をへーきでっ!」
「…平気じゃないもん!…テプンが…何にもしてくんないから…」
「キキキキスはしてるだろっ!」
「…だぁってぇ〜…」
「チニチニチニさんたちだってキスしかしてないだろ?!」
「…」
「え…」
「…チョンマン君ってセクシーなんだってぇ〜」
「(@_@;)」
うそぉん…チョンマンまさかチニさんと…うっそぉん…
そんな事を言っていると向こうの方にシチュンの顔が見えた
「あっ…シチュンだ…シチュ〜ン」
俺はわざとシチュンに声をかけた
チェリムがむくれている
だってこんなとこでそんな色々できないだろーが!馬鹿女!
シチュンはニコニコしていた顔を顰めた
ふとシチュンの横を見ると女の子がいた
「チェリム!シチュンの奴、女の子連れてる!」
「え?」
「…しかも…結構可愛いぞ…」
「どれっ」
俺たちはシチュンとその彼女らしき女の子をマジマジと眺めた
「かわいいわね」
「ああ…」
「アンタも可愛いと思うわけ?!」
「…」
「何よっ!」
「客観的に見て可愛いなとは思う…」
「何よっ!」
「それよりも…」
あの胸…
シチュン
いいなぁ…
気持ちよさそうな胸だなぁ…
どすっ☆
「ぐ…あにすんだよ…いきなり…」
「他の女の胸見て立ててないでよ!馬鹿!」
「立ててって…立ってねぇよ馬鹿!」
「どーせ私は色気ないですよ!ふんっ」
「チェリム〜…」
俺は前のめりの姿勢で(こないだとは事情が違うぞ!)チェリムの腕を取り引き寄せた
「お前は…ほんっと…俺の気持ち解ってねぇな…」
「アンタこそ私の気持ち、解ってないじゃんか!」
「大事にしたいんだ…」
「…アタシだって…大事にしたいよ…」
「だったら…」
「でも…」
ああ…お前…祭の後の事考えてるのか?
だから今のうちに決めときたいのか?
「馬鹿だな…ほんっと馬鹿だな…」
「何がよ…」
「心配すんな。祭の帰りにお前んちに行く」
「え?」
「挨拶したら…かっさらう…」
「…え?」
「反対されても…連れて帰るからさ…」
「…」
「な?」
「…うん…」
チェリムの唇にキスしようとした時だった
「わあああ〜他人のキスシーンって興奮する〜」
「そうか?俺はこの人たちにとっても悲しい目に合わされ続けてきたからちっとも興奮しねぇよ」
「悲しい目?…ふーん…アンタ、この人が好きだったの?」
「…」
「え?私と全然タイプが違うじゃん!アンタ、なんでもアリ?!」
「…そんな違わねぇよ…性格は似てる…でも…お前のがいい…」
「えへ…シチュ〜ン」
シチュンとその子は俺たちの目の前で熱烈な濃厚チューを始めた
俺とチェリムは呆気にとられてそれを眺めていた
俺の視線は自然とその子の…胸の谷間に下りた
ばちいいいん☆
チェリムはプンプン怒って俺から離れていく
俺は頬を押さえながらチェリムを追いかける
やっぱあれぐらい胸があると…いいなぁ…
でも…俺は…やっぱ…
「お前が好きだ!」
チェリムを捕まえて俺はシチュン達に負けないぐらい(のつもり)のキスをした
#僕の忍耐2 妄想省家政婦mayoさん
祭りは明日、祭りは明日の呪文で皆がバタバタと…
あっちでちゅうちゅう
こっちではふはふ
むこうでどきどき
.......し始めた…
シチュンもチェリムの失恋から立ち直りメイとちゅうまで行った
今晩にも###だろう…なにせあの2人だ…激しそうだ^^;;
テプンは###はまだのようだ・テジのことがあるからな…
あいつは早まったことはしないか…でもチェリムの出方ではわからない
祭りの終わったその足で挨拶に行くという…祭りが始まらなければ
###は遅くなる…うーむ…
<ノーマル99ブラザーズ>に+1が加わった
チョンマンだ
チニさんとはちゅうはしたはず…###はまだだろうぉ〜?
会長が怖いと思うもん…
チョンマンは背伸びをして“やる”のだろうか…うーむ…
ファミリールームの3人組もノーマルだったてことか…
ファミリールームにノーマルカップル3組(僕達は除く)が
集まったらどうなるんだろ…
うるさいだろうなぁ…
だって相手の彼女たち…怖いもん…
よかった…僕…闇夜で..でれっ^^;
またちょっと前進した
1歩_最近闇夜は怒らなくなった…
2歩_夜這いをしない日ができた。僕のベットに入ってくる日がたまにある…
3歩_僕の胸で眠る日がたまにある…
4歩_背中にくっついた時僕が足をからめる時がたまにある…
5歩_ち◎うの回数が増えた…でも舌はお預け…未だ闇夜の舌は未確認
僕には<その日>を迎えるまでひとつの試練が待っている…
ソヌの映画を見なくてはならない…くそっ
悔しいけれど闇夜のお気に入りだ。奴は..
変装して闇夜の後ろの席で観てやろう…と思う…
僕には<その日>がある。焦らない焦らない
忍..忍...忍..<忍耐>#..あるのみ..
子ギツネサンバ ぴかろん
これはミンチョルの顔が腫れておこもり中、捻挫のイナがやって来た、わりと最近の話…
「らからしゃー…ソクがしゃー…」
「あ…ちょっとごめん…」
「なんらよ…」
「お前こっちくんにゃよ!」
「なんらよ…」
「れったいにこのロアをあけるにゃ!いいにゃ」
「なんらよ…」
「ミンにおこりゃれりゅから練習しゅる…」
「練習って何!」
「…お前はそこれ大人しくしてろ!」
「おいっおーい!」
「あ、これつけとけ!」
イナの耳にキツネ型ヘッドフォンが被せられる
流れる大音量の音楽
イナはしばらくそれを聞くふりをして、ミンチョルを安心させる魂胆
パタン…カチッ
音量小さく…♪〜マツケンサンバのイントロ〜
「んと…えっと…あれ?どうだっけ最初…あれっ?あっ『ちょっとちょっと』だっえいっえいっ
…あっもう…『キックトントン』…はうっ1拍遅れる!…上上下下スパニッシュ!…じゃないっ!上だっ!…」
キツネフォンを外し、ズリズリとドアに向かうイナ
ドタンバタンガツっいてえっばかっ!ゴンうっううっ…あっキックトントンキックトント…ううっどうしても遅れるっ
ターンはくるくるくるくるくるドンっきゅーっ…あうっ僕の得意な…すぱにっしゅ!あっまたちがった!帯だった!
くうっどうしてこう…くうっガタンドタンバタンきいっきいいっ!
『キツネ目になってる…クププ…か〜わい〜い』
ゼロゼロゼロ、ゼロゼロゼロ…
そんなこともあったのら…
ジュンホのプレゼント れいんさん
いつも、みんなぼくに、やさしくしてくれる
まつりのまえに、おせわになったひとたちに、なにかおれいがしたい
そうだ、このまえ、ほてるのそうしはいにんにきいた、なんでもうってるでぱーとに、いってみよう
みんなに、なにかぷれぜんとするんだ
いろいろあるな。なにがいいかな
うしくさん………靴下10足(速乾性)
いぬせんせい……童謡いぬのおまわりさんCD
どんじゅんさん…天使のコスプレセット一式
すひょんさん……バラの香りの入浴剤
てぷんさん………Fカップパット入りヌーブラ
しちゅんさん……避に○具
ちょんまんさん…メグライアン写真集
らぶさん…………スキ刈るセット
いなさん…………A○ビデオ(入れ替わり編)
総支配人…………ノラ猫の飼い方・しつけ方の本
てそんさん………デートマニュアル本(デート〜初Hまでの最短コース解説付き)
すひょくさん……初夜のたしなみマニュアル本
てじんさん………大霊界の文庫本(黄泉がえり編)
すはせんせい……体の健康の本(良い便・悪い便の見分け方)
そんじぇさん……カラオケセット(採点機能付き)
しょうぐん・たいちょうさん……竹○恵子著「風と木の詩」中古漫画本 全巻
あんどれせんせい…イタリア旅行ガイドブック
やんみみさん……美肌クリーム(CQ10配合)
ぎょんびんさん…靴磨きセット(シークレットブーツ用)
みんちょるさん…サロンパス(ビッグサイズ)
こんなかんじでいいかな
わすれてるひといないかな
みんなよろこんでくれるかな
教会 2 足バンさん
スハは手のひらを見つめてぼそぼそと話す
「僕は…叶わぬ想いに振り回されて、小さな幸せに背を向けてる」
「そうなんですか」
我ながら気のない返事だ
「すみません…こんな場所だとなんだか懺悔したくなっちゃうのかな」
「そうですね」
スハは下を向いて黙りこんでしまった
面倒になってきた
こんな教師くずれの平凡な男の心につきあっている時間はない
僕にとってこんな男の人生などなんの興味もない
「平凡な男のくだらない感傷だと思ってるでしょう?」
「え?」
「あなたの顔に書いてある」
「そんな…ことはないですよ」
「嘘つかなくていいですよ。慣れてるから」
まいったな…まったくここの連中は…
僕はうんざりして煙草をくわえ火をつけようとした
「だめですよっ!禁煙ですよここはっ!」
「大丈夫だよ」
「だめですってば!」
スハは無理に火をつけた煙草をひったくると自分の靴の底で消した
僕は頭に来てまた1本取り出し火をつけた
スハはまたひったくり同じように消した
僕はまた繰り返した
スハもまた繰り返した
「言うこと聞きなさいっ!」
次の1本を取り出そうとしていた手が止まった
思わず叫んでしまった「スハ先生」は自分で驚いている
目を大きく開け口に手を当てて、かたまっていた
僕は苦笑した
スハも笑い出すかと思ったが、その表情はひきつったままでいる
そこで気軽に笑えればもっと楽な人生を送れるものを
僕は猛烈にこの善良ヅラをいたぶってやりたくなった
煙草とライターを内ポケットにしまうとスハの方に向き直り真っすぐ見た
スハはかたまったままだ
そのまま木のベンチを少し滑りスハに近づく
スハは滑って後ずさる
僕は進む
スハは後ずさる
スハがベンチの端から落ちそうになって僕はその肩を支えるように抱きとめた
「もっと聞きたいな、先生の話」
スハはこのまま石になるのではないかと思うほど硬くなっている
腕は僕の胸に突っ張って、顔はこわばり、目はプラスティックのように動かない
スハの肩を抱き寄せ顔を近づける
突然の出来事を理解できずにいるその引きつった顔といったら
他のやつらに苛つかされた分のはけ口にしてやるつもりだった
「BHCの中にもこんなカタブツがいるんだ…」
「…」
「今の顔奥さんが見たらなんて言うかな」
「…」
「コチコチになって身動きできなくて…あなたの人生みたいだね」
その瞬間
スハの目に突然強い敵意が走った
その手から力を抜き、僕に押されていた身体がこちらに真っすぐ向いた。挑むように
僕はそのままの状態でスハと対峙することになった
その目には静かな青白い怒りが映っていた
「勝手なこと言わないでくれ。自分の人生がどうしようもないのは自分が一番知ってる」
「…」
「あなたの人生は思い通りで一点の曇りもないものなのか?」
僕は苛つくことも忘れてそのままスハの顔を見ていた
「振り返ってばかりいる自分を叱りながら生きてるんだ」
「…」
「愛する人の幸せが自分の幸せだって、思いたくて思えない幼い自分が情けないんだ」
「…」
「自分がしてしまったことと、できなかったことと、これからできることの
折り合いをつけることで精一杯だ」
スハの目には涙が溜まっていた
声を荒げることはなかったが、その低いつぶやきには怒りがみなぎっている
僕はスハの肩から手を離した
「頼むから他人の人生を言葉にして遊ぶのはやめてくれ
そんなことじゃ人はコントロールできない」
スハは袖で無造作に涙を拭くと立ち上がった
右手には3本の曲がった煙草が握られている
スハは深呼吸すると僕を見下ろして言った
「あなたギョンビンさんじゃないですね」
「…」
「チーフが言ってた人と全然違う。チーフは新しく入った子は空みたいな子だって言ってましたから」
突然嫌な名前が出たが反応はしなかった
スハはしばらく十字架を見つめると、肩越しにまた僕を見た
「ワーグナーってアーリア人以外を認めない絶対主義者だったってご存知ですか?」
スハは僕の返事を待たず、
入ってきた時と同じように静かに歩いて行った
「お休みの邪魔をしてすみませんでした」
重たい扉の音を聞きながら、嫌な気分が急激に襲ってきた
イナ達とはまた違ったひどい後味の悪さだ
煙草を取り出し火をつけようとしたが、またつかなかった
火のついていない煙草をくわえたまま、ぼんやりと十字架を見た
少し明るくなりはじめた室内で先ほどより形がはっきりと浮き出ている
ひどく疲れを感じた
少し眠ろう…
替え歌大会 ぴかろん
祭の始まる少し前、こんな事やる暇がどこにあったのか…
「替え歌?」
「そう」
「作るの?」
「そう」
テジュンの提案で、親睦会として『替え歌大会』が極秘裏に催された
参加した人しない人、参加させて貰えなかった人、悲喜交々ってわけである
「んーと、上手くできた人には…そうだなぁ、当ホテルのグッズを差し上げましょうか…どう?」
「…別にいらないだろ、そんなの…。それよりさぁ、好きな人選んでキスするのどう?」スパコォン☆
イナの頭にテジュンの怒りの鉄拳が入った
そんなこんなで皆が考えた替え歌を披露したのである…
「はい」
「じ…ジュンホ君…大丈夫?すごいね、もうできたの?」
「はい」
「じゃあ、歌って…」
「はい」
<じゅんほの替え歌>
♪いま わたしの ねがいごとが かなうならば まつりはじめて
この ほてるで まいごのように うろうろする ぼくをたすけて
このほてるから つばさをひろげ とんでかえりたい
いとしいひとの まつあのうちへ つばさはためかせ かえりたい
(『つばさをください』)
「じーんと来たよ…素晴らしい…」
こうして始まった替え歌大会…次々と披露された歌を紹介しよう…
<ミンの替え歌>
♪キツネに会ったその日から キツネの虜になりました
キツネのしっぽに絡みつく 小犬のように
だからいつもそばに置いてね お世話するから
弱い時はボクが攻めるよ 貴方好みの 貴方好みの 男になりたい
(『恋の奴隷』)
<テスの替え歌>
♪貴方が噛んだ お手手が痛い 昨日の夜の お手手が痛い
そっと唇 押し当てて 中のくりいむ 味わってるの
お手手をどうぞ モデルにしてね 貴方の作った パンが食べたい
(『小指の想いで』)
<ソクの替え歌>
♪もっと素直に僕の愛を信じてほしい 君と歩きたいよできるものならば
知り合ったばかりでも 僕は君に惹かれた 君だけに本当の 心見せたいよ
傷の深さが 愛育てるのさ 目を瞑れば君がいる
お互いの苦しみを 癒すと決めた以上 もう泣くのも平気 よろしくイ・スヒョク
(『よろしく哀愁』)
<ピーターの替え歌>
♪いいえアタクシ コブラ座の女 お気の済むまで 見つめるがいいわ
あーたは逃げ出すつもりでも 地獄の果てまでついて行く
思い込んだら 命 命 命懸けよ
そうよアタクシ コブラ座の女 コブラの星は スタアの星よ
いいえアタクシ コブラ座の女 お気の毒様 笑わせるわね
デラルス魂知らないで 対抗したってムダなのよ
ばかな男ね あーた あーた あーたたちは
そうよアタクシ コブラ座の女 コブラの毒は すぐに回るの
(『さそり座の女』)
<スヒョンの替え歌>
♪ドンジュン吐いたことがない 灯の消えた街角で
速い車に乗っかってても 急にスピンかけたりしても吐かなかった
僕が助手席で もどすのを 不思議な顔して見てたけど
「そこで吐いたりするのは 違う」と怒鳴ってた
ドンジュン 吐いた事がない 冷たい夜の真ん中で
イッキ飲みして 調子に乗って 投げキッス受け止めたり投げ返したり
愛想振りまいて 奢られて お酒の量が増えたけど
「そこで吐いたりするのは違う」と叫んでた
「飾りじゃないんだ車は(HA HA)好きだと言ってるじゃないか(HO HO)中古もいいんだ車は(HA HA)」
それだけだったらいいけど、ちょっと飛ばしすぎるんだドンジュンは HO HO HO〜
(『飾りじゃないのよ涙は』)
<テジュンの替え歌>
♪浮気の花が咲き ソクを呼び 嵐が来た
繰り返すふらつきも 惚れてるから許しちゃう
メール間違え あなたと出会い メールが元で チニさんさよなら
キム・イナはソクを見て キスとともに 飴を渡す
キム・イナは僕のもの 忘れないでね 僕の愛を
(『島唄』)
<イナの替え歌>
♪ざわわ ざわわ ざわわ
ソクの電撃 受けてから
ざわわ ざわわ ざわわ
俺はフラフラするだけ
今日もキョロキョロすれば
ソクの姿がみえる
冬の日差しの中で
ざわわ ざわわ ざわわ
ソクの電撃受けてから
ざわわ ざわわ ざわわ
俺はフラフラするばかり
(『さとうきび畑』)
<テジュンの替え歌>
♪イナはお昼過ぎに ふらついているだろう
サイレントルーム オーマイルーム
きっとソクのところ 一人きりのランチタイム
サイレントルーム オーマイルーム
まだ消え残る ソクへの想い 叶えられそうもない
僕はずっと待つよ イナを信じているさ
サイレントルーム オーマイルーム
きっと君は僕に 言い訳をするだろう
どうしょうもナイ しかたがナイ
(『クリスマス・イブ』)
<イナの替え歌>
♪唇合わせて見つめるだけで 脳天痺れる力が抜ける
×××をするより甘く 囁き聞くより強く
頭のてっぺん揺さぶるお前
物言わずにキスしただけで すぐお前と解ってしまう
やりたくなったらキッス 触れたくなったらキッス
次から次へとキスするお前
信じられないキスばかりするの
もしかしたらもしかしたら いんらんかしら
それでもいいさ 近頃少し
テジュンのキッスに 飽きたところさ AH〜
(『UFO』)
<テジュンの替え歌>
♪「ごめん だってさ 寂しかったんだもん」と
縋るお前のいじらしさ
その場しのぎの言い訳言って またまたふらつくか
みだら いんらん うわきなお前
ひとり泣いてるこの僕は
信じてるから いつかは治る ふらつき 治るよと
たとえどんなに浮気をしても
たとえどんなに痺れてこようとも
お前が僕には最後の恋人
僕にはお前が最後の恋人
(『みちのく一人旅』)
【1♪ミンミン編】ロージーさん