悪いこと ぴかろん
思ったとおり、オ支配人が怖ろしい形相で僕を睨みつけていた
「すみません。ちょっと腹の調子がおかしくて…」
「ほぉ〜腹の…」
「ええ…出たり入ったりしてまして…スッキリしたかと思うとまたもよおしてきて駆け込んで…」
「なるほど…それは辛い…」
「ええもう、辛くて…さっさとスッキリ出したかったんですけどこれが中々…」
「出ない?」
「…出せなかった…んです…それで繰り返し繰り返し出たり入ったり…ふぅっ…本当に腰がどうにかなりそうでした」
「…出させてくれなかったのですな?ふぅん」
「え?あ、ああ、腹が中々出させてくれず…スカッとできず…」
「なるほど…ではトランシーバーから聞こえていたあの喘ぎ声に似た声は、腹具合のせいですな?」
「は…え?」
「時々二人分の声が聞こえてきましたが気のせいでしょうかなぁ」
「え…は?ああ、狭い個室に篭りますと声が…その…響きますから」
「響くにしては、喘ぐ声と誰かさんの名前を呼ぶ声が同時に発せられていたように思いますが、これも気のせいだと…」
「気のせいです!」
なんだって?通信スイッチオンになってたのか?!
「総支配人」
「はっはいっ」
「筒抜けでした」
「…」
「はぁっ…お願いしますよ…きちんと仕事をしてください。どうかその『スカッと一発』は休憩時間内に…」
「きっ…緊急でしたので…」
「…本当に…辞めるおつもりなのですか?」
「…」
「辞めないでくれませんか?貴方以外に総支配人を勤められる方はいませんよ…」
「…オ支配人がいらっしゃるから大丈夫です…それに僕は…もう使い物になりません…お分かりでしょう?」
僕はオ支配人に笑顔でそう告げた
オ支配人は、少し寂しそうな顔をして俯いた
「すぐに…行かれるのですか?」
「一緒に行くつもりです…」
「…どこまでも一途な人だ…貴方は…」
「後の事、お願いしますよ」
「…言いたくないな、分かりましたなんて…」
僕達は俯いてフッと笑い、進行表の確認を始めた
ロビーに出すブースの確認をしていると、エレベーターの扉が開いた
涼やかな微笑みを浮かべた男が僕をじっと見ている
ああ…あれがミン君のお兄さんか…
危険な香りのする男だ…
俺は、ミンの兄貴が出て行ってから暫く、震えが止まらなかった
怖ろしかった
あそこで辞めてくれなければ今頃俺は…
一人で部屋にいるのが怖くなり、服をむちゃくちゃに着て、松葉杖をついて、俺はテジュンを捜した
きっとひどい顔をしていたのだろう
出会う人が皆俺を振り返る
ホールに行った
テジュンがいない
いつもならここで皆に指示をだしているのに…
そこらにいた従業員を捕まえてテジュンの居場所を聞く
従業員は、少し俺を眺めてからテジュンはロビーにいると教えてくれた
俺はロビーに向かった
暗い廊下が怖かった
人影が映るともっと怖かった
心細くて
テジュンに早く会いたかった
ようやくロビーに出た
テジュンがいた
必死で駆け寄る俺
テジュンは誰かと話している
誰かの腕がテジュンの背中の方に回っている
…危ない…テジュン!
声が出なかった
背中から首に回されたその腕が、テジュンの頭を掴みそして…
テジュンにキスをしている…
夢であってほしいと俺は願う
これは夢だ
さっきから俺は
悪い夢を見ている
俺の足はその場にとどまり
目はテジュンの頭を凝視している
その頭越しに見えた冷たい瞳を俺は知っている
さっきまで俺を弄んだ瞳だ
そして今はテジュンを餌食にしようとしている
俺は
怖くて
近づけない
テジュンを
助けたいのに
動くことができない
冷たい瞳は
俺を見つめて
残酷に微笑んだ
「何をするんだ!」
「うふん…応えてくれなきゃ貴方がどう凄いのか分からないな…僕よりどう凄いのか…」
「何を言っている!」
「恋人以外の男とキスをしたら彼は貴方を許さないんでしょう?どうだろう…許してくれるかなぁ」
「こんなのキスじゃない!」
「キスだよ」
「離れてください」
「…いいよ…ちょうど待ち人も来た様だし…」
「待ち人?」
僕は失礼なミン君のお兄さんが目で示した方を見た
「イナ…」
イナが…ズタズタに切り裂かれて…そこに立っていた…
月光 その2 足バンさん
俺は濡れた服を着替えてまた外に出た
部屋でじっとしている気になどなれなかった
ドンジュンに借りたジャケットをみるとまた恥ずかしさでいっぱいになった
自己嫌悪で目眩がしそうだった
月明かりの芝生を踏みしめながら、僕は冷静になってみようと試みた
大きく深呼吸をし目を閉じる
僕はいったいどうしたんだ?
ソクさんに会ったんだ
ソクさんはどんな人だったんだ?
俺の過去を話せることができそうな初めての人だった
なぜテジュンさんにあんなひどいことを言ったんだ?
イナの恋人だから
なんの関係があるんだ?
イナがソクさんに言いよってたから
なぜいけないんだ?
不快だった
なぜ?
なぜって…
そこで俺の思考は中断する
俺は自分の気持というものに近づくことができない…あれ以来…
自分をごまかして笑ってることでしか立っていられない
こんな俺に誰を妬む資格があるっていうんだ…
裏庭に通じる木立に向かおうとした時
噴水の近くに人影を見た
ミンチョルさんとスヒョンさんがなにごとか話している
ちょうどいい。僕はショーの辞退を打診するために近づこうとした
いきなり背後から口をふさがれ、腰を抱え込まれ後ろに引きずられた
一瞬緊張したが、その手はソクさんのものだとすぐにわかった
ミンチョルさんたちから見えない場所にくるとソクさんは俺を離した
心臓ははじけそうになっていたが俺は冷静を装った
子供っぽいと思われたくなかったから
「なにするんですか、いきなり」
「すまないがスヒョク、今あの2人の邪魔はするな」
事態は飲み込めなかったが、とにかくその場は了承するしかなかった
ソクさんはその辺の芝生に腰を下ろし煙草に火をつけた
ソクさんの横顔が一瞬ほのかなオレンジ色に照らし出される
彼の歩んだ歴史が刻まれたシルエット…
吐き出した煙が月のひかりと絡み合う
「座れよ」
「え?」
「立ってられると落ち着かない」
俺は仕方なく少し離れて腰を下ろした
草はまだ湿っていた
「具合はもういいのか?」
「はい…すみませんでした…」
ソクさんは携帯の小さな灰皿ケースを取り出し灰を入れた
「その辺に捨てるとカン・ドンジュンがうるさいからな」
「あいつはすぐ口に出すから」
「素直でかわいいやつだ…羨ましいか?」
「え?」
「そういうやつが羨ましいか?」
「…」
「僕は羨ましいな…そういう生き方がしてみたい…」
「…」
「なれるかな」
「え?」
「これからでもなれるかな」
ソクさんは俺を見つめて視線を外そうとしない
耐えきれなくなってとうとう俺から目をそらしてしまった
心臓が破れそうだ
「テジュンのところに行ったんだって?」
「あ…ぅ…」
「話なら今度は僕のところに直接来いよ、いいな?」
「…はぃ…」
俺は顔から火が出そうになった。涙が出そうだった
ソクさんは月に煙草を吹きかけている
俺はいたたまれなくなり立ち上がろうとした
いきなりソクさんが身体を伸ばし、その左手が俺の胸ぐらを掴んだ
俺はよろけて前につんのめり、膝と手をついて四つん這いになってしまった
素早くソクさんの顔が近づきくちづけされた
柔らかい唇が硬く閉じた俺の唇をゆっくり覆う
ソクさんは唇を離し優しい目で微笑んだ
「もう右足かばってないんだな」
そう言うと俺の頬をそっと撫でて立ち上がった
歩いて行くその後ろ姿を目で追いながら、俺はその場にへたり込んだ
ソクさんの触れた唇と頬だけがほてっていた
ジュンホ ジムに行く れいんさん
まいにち、かんじのれんしゅうで、たいくつだ
たまには、じむであせをかこう
このまえ、ほてるのそうしはいにんに、ちかくにちいさなじむがあるってきいたから、いってみよう
ぼくはふるいちいさなさなたてもののなかにはいってみた
ろっかーで、きがえをすませて、りんぐちかくのさんどばっぐで、かるくじゃぶのれんしゅう
そしたら、ふくめんをつけた、ちょっとふとったひとが、ちょこぱいをたべながら、じっとぼくをみてる
ぼくさーじゃなくて、れすらーみたい。だから、げんりょうしなくてもいいんだ
そのひとは、ぼくにちかづいてきて、
「おまえ、生きていたのか。あの時は悪かったな。俺がついあの女に口滑らせたばっかりに…」ってなきついてきた
かおにたくさんつばがとんだ。ぼくは、「ひとちがいです」といってにげた
こんどは、かがみのまえでしゃどーぼくしんぐのれんしゅうをしていたら
「よう、お前、きにいらねえ顔だな。名はなんてんだ?」
「ぼくはじゅんほです」
「ふうーん…。他人の空似か。そういや、奴は、もちっとでこが広かったな。俺は今そいつと観客動員数を争ってんだ
ノアールだがなんだかかっこつけやがってよ。俺は人間ドラマで勝負かけてんだ!」
そのひとのぼくさーぱんつに、みんしくってぬいとりがしてあった
ぼくは、すこしいやになっってきて、すみっこのべんちにこしかけた。そしたら、にやにやしたおじさんがはなしかけてきた
「よう、あんちゃん。さっきはいいパンチ出してたなあ。え?何?昔チャンピョンだった?俺もチャンピョンだった事があんだよ
今は、バラエテイに出たり、クイズで珍解答したりしてるよ。俺のネタで佐賀県出身の芸人が稼ぎまくってよ
俺もついでに本やCD出しちゃったぜ。俺はガッツ石松ってんだ。OK牧場?」
そのひとは、ずっとしゃべりつづけた
ぼくは、もうかえりたくなって、ろっかーにもどった
きがえていたら、めにがんたいをはめた、あたまのはげたおじさんが、
「よう、わしにあんたの専属トレーナーやらせてくれよオ。俺がこの手で育てたあいつあ、リングの上で灰になっちまったんだよお〜」
ぼくは、こわくなって、いそいでそこをでた
まだ、おじさんのこえがきこえる
「待つんだあああ〜・待つんだジョー!」
こんなところもういやだ。はやくいえにかえりたい…
戯れ 妄想省家政婦mayoさん
「ちぇみ、何処行くの...僕、悪いことしてないっ」
「お前には...たまに刺激が必要だ...」
「えっ?...ちぇみ...痛いの?」
「痛くはない...」
「たのしい?」
「ん...たぶん...」
「きもちいい?」
「ん..(ヤらしい笑)..」
ちぇみは僕を天井裏の一番奥の壁の隅っこに追いやり壁の角に押しつけた...
怯えている僕の頬を手の甲でなぞりふっと笑った後いつもの熱いkissをくれた..
最初の花火でくらくらと目眩を覚えた僕はちぇみの肩や頭を掴んでいた..
ちぇみは僕の唇を塞ぎながら片手でシャツのボタンを一気に外し
ベルトを外しファスナーをおろしたもう片方の手はズボンの隙間から
僕の臀部をわしづかみにした..ちょっと浮いた僕の足はちぇみの膝が押さえている..
ちぇみの動きは止まることなく首筋〜胸〜腹傷までkissの愛撫を落とし続け
太ももから臀部まで撫で回す.....僕の全身は痺れにも似た感覚に陥っていた...
僕が吐息を漏らし小さな叫びに変わる前に..僕の口を塞ぎにくる...
ちぇみの素早い動きは僕の体中の血を一気に逆流させる...
僕に襲ってきた波が足下の砂と一緒に水平線に戻ろうとするとき...
僕は波に持っていかれない様にちぇみの首に夢中でしがみついていた...
するとちぇみはまた素早い動作で行為の前と同じようにシャツまでボタンを嵌めた
僕はその場にすとん#と座り込んでしまった...
ちぇみも僕の前に座り込み肩で息をしている僕を懐に抱き優しいkissをくれた...
ちぇみ……これ…あ○と○す…でしょ…
………ん……
もぅぉ〜……
……いやか?
たまにいい…
………ん……
僕はちぇみの懐に入り首に巻き付きながらいたづらをはじめる
ちぇみの胸元の蜘蛛にち○うをしたあと首筋に舌を這わせてくすぐったり
髪の毛をくちゃくちゃにいじって弄び耳に息を吹きかける
大きな背中を震わせてくずぐったがるちぇみの顔は情けなくって可愛い
「やめろぉ〜テスぅ...だめ、だめ...だって...」
「えへっ...やめない...」
「ぁふ....>o<」
「あ、誰か来た...」
「なに!?」
僕らがじゃれている隅っこよりちょっと離れたところで声がした
「テス!背中に回れっ」
「うん!」
俺は懐で首に巻き付いているテスをくるりと背に廻しテスをおんぶした
ゆっくり立ち上がり声のする方へ歩き出した
声の主は将軍と隊長だった。俺は背中のテスに合図をした
「将軍さん、隊長さん、こんにちわ」
「「お、お、これは..」」
「あ、コイツがちょっと足くじいたんでね...」
「お、そうであったか。大事にされよ」
「ありがとう将軍さん、あ、あっちの先は誰も来ないよ!行ってみて」
「お、お、かたじけない...では..ドンゴン殿...」
「はっ...将軍殿...」
将軍さんと隊長さんは隅っこの方へ歩いていった..
僕とちぇみはちょっと覗いた...
「将軍殿...」
「ドンゴン殿...」
「「今一度、唇をば…」」
むむむむ、むちゅむちゅ…
「はふ...われらは上達したのであろうか...」
「んぷ...敵なしでございます....」
「「うわっはっは…」」
「ちぇみぃ〜@@」
「...あまり見たくない光景だな...空恐ろしい..」
「ぅん...睨み合ってるもん...」
勝負の時 ぴかろん
イナはそよ風が吹いても散り散りに飛んで行きそうなぐらいはかなく見えた
僕は容易に近づく事ができずにいた
それでもイナを壊したくなくて、僕は一歩を踏み出した
「イナ…」
「…」
無言で宙を見つめている
小刻みに震える体
その肩に触れようとした時、オ支配人の声が響いた
「総支配人、こちらのブースですが…」
「…行って…」
今にも崩れてしまいそうなイナが無理に作った笑顔でそう言った
「イナ…」
「ちょっとびっくりしただけだ。俺じゃなくてテジュンがこんな事されるなんて…びっくりしただけだから…
大丈夫だ。行って…ちゃんと…仕事してよ…」
イナの動揺が伝わってくる
いつもより饒舌な時は揺れ動いている
「総支配人!」
「早く…」
「…部屋で待っててくれ」
「ここにいる!」
「…しかし…」
「ここで…待ってるから…」
イナの体から血しぶきが上がっているのが見える
こんな状態のイナを、僕は放っておいて仕事をするのか?
動けずにいる僕に、イナはふっといつもの笑顔を作って言った
「もう大丈夫。こっからお前を見てるから」
僕は後ろ髪を引かれる思いでイナに背を向けた
テジュンを仕事に送り出した
俺の事情は今話せない…
テジュン
大丈夫?
ミンのアニキのキスは
お前を揺るがしたりしてないね?
ぼんやりする視界に
そのミンのアニキが飛び込んでくる
俺は身を竦める
全身が震えだす
怖ろしい
ミンのアニキは俺の肩を掴んで軽くゆすり
俺の耳元で囁いた
「あれのどこが凄いの…僕よりどこがいいの…」
通り過ぎようとしたミンのアニキの袖を
俺は思わず引っ張った
フフン
何?
反抗的な態度
でも震えてる
可愛いね
どう?
目の前で恋人が
僕とキスする場面は
心揺さぶられる光景だよね、きっと…
ああ、さっきの僕達をあの大したことのない君の恋人に
見せてやればよかったね
十分刺激的だよね
何?
何か用?
僕は袖を引っ張る彼の腕を軽く払いのけた
あーあ
よろけてるよ
「俺が嫌いなら、俺だけを攻撃しろよ…テジュンまで巻き込むな!」
「…」
「テジュンには関係ないだろ!」
「…震えちゃって…無理しちゃって…か〜わい〜い」
弟にそっくりだ
「君は甘いよ」
「…」
「君を攻撃するのに一番効果的な方法、それをやってあげただけだよ」
「…なんで俺を…」
「僕に屈しないから」
「…」
「僕が怖いんだろ?」
「…さっきなんで辞めた…」
「つまんないから」
「…俺を傷つけたいなら…俺を犯せばよかったんだ…」
「そう考えたんだけどね。それじゃ面白くないし…」
「…アンタ…」
「座って話す?ん?君にその勇気、ある?」
「…」
俺の周りにこんな人間はいなかった
何がしたいのかわからない
何故人をこんなに傷つける
この男はどういう人間なんだ
何故この男がミンのアニキなんだ
ミンとは全然違う…
「座れば?」
俺はミンのアニキが軽く叩いたソファの座面を呆然と眺めていた
怖い
怖いけれど
今、勝負しなきゃ
俺は…テジュンと生きていけないんだ…
震える思考を抱えながら
俺はミンのアニキの横に腰を下ろした
幻影 ぴかろん
おや、逃げ出すと思ったのに座ったね
膝がガクガクしてるじゃないか
か〜わい〜い
どこまでも生意気な男だな
君を打ちのめす事ぐらい簡単なんだよ
わかってないな
「そんなに震えてまで僕と話するんだ?」
「テジュンの事を馬鹿にするな」
「…してないよ」
「大したことないだとかあんなのだとか言ったじゃないか!」
「本当の事だ。しょうがないだろ?」
「テジュンの事なんにも知らないくせに!」
「知ってるよ…君は知ってるの?彼がどんな過去を持ってるか…」
「え…」
「知りもしないでよく恋人だなんて言えるな」
そういえば俺は、あの『想い出のアルバム』を見ただけで、詳しい過去など何も知らない…
「あの人がどういう女と付き合ってきたか、どんな過ちを犯してきたか…知ってる?…僕が教えてあげようか?」
「…いい。テジュンに聞く」
「フフ…甘いな。都合の悪い事を言うわけがないだろ?」
「テジュンは教えてくれる。俺が知りたいと言ったらテジュンは…」
「うるさいなぁテジュンテジュンって。もういいよ、あの男の事は」
「…」
その目だよ
その目の光
弱いくせに僕を睨みつけるその意思の光
たまんないな
弟にそっくり…
「アンタは一体何をしに来たのさ」
「君に言う必要はない」
「何のために俺達をかき回す」
「弟のお友達だからね…挨拶しとかないと…」
「こんな挨拶があるかよ」
「僕流の挨拶でね…弟のお友達はこの挨拶が大層気に入ってくれたけど、お気に召さない?」
「…弟が気になるのか?」
「…気になる?…弟だからね」
「なんで気になるんだ」
「…ふ…君は…天涯孤独の身だから解んないだろうな、兄弟ってのはお互いに気になるもんなんだよ」
「異常だよ、アンタの場合」
「…おんなじ事言った奴がいるよ、一人」
弟と一緒だ
だから僕はコイツに興味があるんだな…
「ねぇ、まだ弟よりも僕の方が好き?」
「…」
「ンフフ…嫌いになった?」
「…アンタがわかんねぇよ…」
「…」
「アンタ、全然見えねぇ。読めねぇよ…」
「当たり前だろ、君なんかに読まれるようじゃスパイなんてやっていけない」
「…アンタの過去が知りたい…」
「は?」
「アンタとミンは兄弟なんだろ?同じような環境で育っててなんでアンタはそんな…人を見下すような冷たい目をしてんだ?」
「…」
「ミンは、寂しそうだけどそんな目はしてない…」
「…何…僕と弟がどんなだったか…知りたいの?」
「知りたい」
「…」
僕はぼろぎれのようなキム・イナを見つめた
まだ震えているくせに
僕の事を知りたいだと?
気分が悪い
常に冷静でいる僕を
この男は揺るがす
とても気分が悪い
何故僕はこの男と話をしてしまったんだろう
いつもなら…
適当にあしらって
遠くから眺めているのに…
話を切り上げて、僕は立ち上がり、そのまま庭に出た
思い出 ぴかろん
弟が生まれた頃、僕は弟が可愛くて仕方がなかった
僕と同じ名前にしてと、僕は両親に泣いて頼んだ
その事は覚えている
僕は弟の身の回りの世話をしたがって母を困らせたらしい
可愛かった
少し大きくなってくると弟は僕の後をくっついてきた
弟の着るものもおもちゃも、僕が全部選んでやった
僕が選んだものを弟はいつも大喜びで使っていた
もう少し大きくなると弟にも好きな女の子ができた
いの一番に僕に報告するとこなんて、本当に可愛らしくてたまらなかった
「どんな女の子?」
「んとね、ちょっとおてんば」
「ふうん。お顔は?」
「かわいい」
「じゃあ今度僕に会わせてくれる?」
「ん」
そうしてつれてきた女の子は、僕好みの女の子だった
僕が育てた弟だから、好みも似て当たり前だろ?
それにしてもよくこんな極上品を見つけたな…
もちろんその頃はそんな事思わなかったけどね
二人が遊んでいるのを見ていると無性に腹が立った
女の子は弟に抱きついたり、わがままを言ったりしていた
その子が帰ったあと、僕は弟に言った
「あの子はお前の事、大事にしてくれないね」
「え?」
「お兄ちゃん、あの子はお前にはよくないと思う」
「…」
弟はショボンとして、お兄ちゃんがそういうのならと、その子と遊ばなくなった
その後もその子が弟を誘いにくるので、ある日僕は弟のかわりにその子と遊んでやった
楽しかった
その子も僕に夢中になった
弟はこの事を知らない
いいかげん付き合ってやってから僕はその子に『勉強を頑張らなきゃいけないから』と言ってやった
それから来なくなった
弟は僕のそばにいた
段々自分の好きなものが解ってきた弟は、僕の選んだものに満足しなくなった
両親に、あれがいい、これがいいと注文を付け出した
そんなもの、お前には似合わないよと僕は口出し、そして取り上げた
お前には絶対こっちが似合うと僕の選んだものを与えた
実際僕が与えたものを身につけた弟は、男女を問わず羨望の的になった
僕達二人が揃って歩いていると、皆、振り返った
僕は弟が自慢だった
だから女を連れてくるとじっくり値踏みをした
いい女ばかりを連れてくる
けれどどれもダメだ
弟の価値を下げる女ばかりだ
僕は弟を傷つけないように、女達をこっそり奪って弟から離した
ある日、弟はその事に気づいた
そうして僕から離れていった
僕は
耐えられなかった
弟がそばにいない事に
あんなに慈しんで育ててきたのに
僕から離れていった
…キム・イナ…初対面の時、君が呟いた一言…
「好きな子ほど苛めたくなるって、アレか?」
そうだよ…僕は弟が好きだ
可愛さ余って今は憎さが百倍だ
君と同じで僕に反抗的な目を向ける
そして僕に屈しなくなった…
あんなに可愛かったのに…
お兄ちゃん大好きと言って、僕の胸に飛び込んできていたのに…
お前の帰ってくるところは、僕の胸であるべきなのに…
ずっと僕と一緒にいるべきなのに…
ああ…閉じ込めていた事を思い出してしまった…
君のせいだよ
君がいけないんだ
後味が悪そうでも、さっきさっさと君を打ちのめしておくべきだった
こんな事を思い出させて
僕と弟は…決して一つになれない
だから…僕は…弟を傷つけて…僕の方を向かせるしかないんじゃないか…
月光 その3 足バンさん
僕はミンチョルさんとスヒョンを残し、
ギョンビンを引っ張って少し薄暗いホテルのロビーに続く通路に入った
「さてと…」
「なんです?どこをチェックするんですか?」
「チェックすることなんてない。ちょっと話したかったの」
「まったくあなたって人は!」
ギョンビンは呆れた顔をして、でも微笑んで僕を見つめた
しかし僕がいきなり本題を切り出すとその微笑みは消えた
「ねぇ、君の兄貴ってなんでここ来たか聞いた?」
「いえ…」
「なんで聞かないのよ、さんざん迷惑かけられて」
「聞かなくても…わかってる…」
「え?」
「小さい頃から兄は僕を決して手放してはくれなかったんです」
「大事にしてくれてたんでしょ?」
「うん…そう…でも…」
ギョンビンは壁に寄りかかり俯いたまま小さな声で言った
「僕の幸せは…兄の幸せでは…ないんです…」
「そんな…」
「僕が離れようとすればするほど兄は締めつけようとする」
「嫌ならはっきり言えばいいじゃん」
「あなたは兄を知らないから…」
「はっきり決別できないの?」
ギョンビンは哀しそうな微笑みを向けた
「あなたにも弟さんがいるでしょ?本当に繋がりを断つことなんてできますか?」
僕はいきなり弟のことを言われて慌てた
脳裏にドンソクとの葛藤がページをめくるように流れた
どんなに競っていても抱かずにはいられない弟への愛情を考えた
「だからって君の自由が奪われるのはおかしい」
「ありがとう…大丈夫です…今の僕にはミンチョルさんがいる」
突然僕はどきんとした
あの兄貴が考えていることがわかってきたような気がした
僕はわざと聞いてみた
「ね、ミンチョルさんと僕が崖から落っこちそうになってたらどっち助ける?」
「ミンチョルさん」
「ふん!わかってたけど即答されるとムカツクっ!」
ギョンビンはくすくす笑った
「じゃ、ミンチョルさんと兄貴だったら?」
ギョンビンの顔がこわばった
ひどい質問だってことはわかってる
「ごめん…でもそういうことなんだと思うよ、自分の幸せを考えるってのは」
「うん…わかってる…」
噴水の方からミンチョルさんが歩いて来るのが見えた
僕たちの様子を少し気にしながらガラス扉を開ける
僕はギョンビンの頬をぺんぺんと叩いた
「じゃ明日よろしくね!うんっとセクシーにいこうね!」
ミンチョルさんとすれ違う時、冷えきった空気が一緒に通り抜けた
まるでミンチョルさんが連れてきたようだった
月のひかりがミンチョルさんの背後から肩を包んでいる
「終わった?」
「うん、もうばっちり!」
「じゃ、行くよ」
ミンチョルさんはギョンビンの腰に手を回し、2人は静かに歩いて行った
いつものように笑っているギョンビン
いつも以上に落ち着いているように見えるミンチョルさん
もうスヒョンに聞くまでもなかった
あの兄貴はミンチョルさんを脅してる
そしてミンチョルさんはギョンビンから離れようとしてる
噴水のところまで戻るとスヒョンは寂しそうな目で僕を見た
なにも言わずにスヒョンの指に指を絡めるとスヒョンはその手に力を入れた
僕はギョンビンの笑顔を思い出し、
あの笑顔をミンチョルさんから取り上げるなんてできない…そう考えていた
#胸さわぎ1 妄想省家政婦mayoさん
「駄目っ!」
「テソンシ...」
僕はいつものようにテーブルに腰を落とし闇夜の腰の後ろで組んだ手に力が入った
僕がちょっと見上げた闇夜は困った顔をしていた
「絶対駄目っ」
「そんなこと言われても...テープ取りに行かなくちゃ..」
「テープなんかいつでもいいだろっ」
「スカウトの話は祭りまでに詰めなきゃならない...」
「何故...?」
「祭りの最中は撮影もあるでしょ?彼も忙しい...」
「大体何でひとりで行くんだよ..」
「いつも仕事の時はひとりでやってる....」
「僕も行く。僕も手伝う...ひとりよりふたりのほうがいい」
「いいよ...リハもあるし...大詰めでしょ?」
「行かせたくないよ」
「彼はそんな嫌な人じゃないよ?親切だし...皆に慕われてるし、仕事も出来る」
「仲のいい新進の四人の監督(リュ・スンワン、キム・ジウン、ポン・ジュノ、ホ・ジノ)から名前を付けた
彼がデキル監督っていうのはこの前聞いた」
「じゃ、何故そんなに怒るの...」
「怒ってないよ。心配してるんだ」
「何を....」
「だって...彼は<おんなたらし>って聞いた...だろ?」
「それはそうだけど...私には無縁なのわかるでしょ?」
「それはわからない..彼はある意味僕と同じ多重人格だ...いつ変貌するかわからない..」
「ぁぅ...ちょっと違うと思うケド....」
「彼も店に入るの?」
「ぅん...」
「彼のこともオーナー達が手ぐすね引いて待ってるわけか...」
「そいういうこと...」
「ソヌといいジホといい...ざわざわするなぁ...」
「あの..それはテソンシが勝手にざわざわしてるわけで...」
「そう?僕だけ勝手にって言える?」
「どういう意味よ...」
「ソヌに関しては...僕だけざわざわしたって言えるの?ん?」
「.....しょうがないじゃない...」
「ソヌは皆と違うってことか?」
「彼は別格...」
『くそっ…』
僕は片手で闇夜をグイッと引き寄せ片手を髪に差し入れ唇を塞いだ
目をぱちぱちしている闇夜の睫が静かに閉じるまで唇を離さなかった
僕はゆっくりと唇を離して闇夜を見て言った
「言ってくれるよな...」
「うそじゃないもん...」
「どこがいいんだよ、あの生え際の...」
「大人の色香...」
「そっ」
「でも......」
「でも何だよ...言えよ...」
「ぁの....」
「聞こえないっ!」
「ぁひ..大切なのは..ぁの...」
「誰っ!」
じっと僕を見ていた闇夜は返事の代わりに僕にち◎うをくれた
そのち◎うから『わかんないの?』と伝わった
亀裂 ぴかろん
月明かりに照らされた庭は、蒼白い世界
僕の好きな光景
冷たくて何物をも寄せ付けない美しさがある
目を閉じて深く息を吸う
『異常だよ…アンタの場合』
『お兄ちゃんは異常だよ!なんで僕のモノを取るの?!』
腹が立つ
思い出さなくていい事を思い出してしまう
僕は木にもたれて煙草を取り出した
うまく火がつかない
僕はライターを地面に叩きつけた
ここ暫く、物に当たる事なんてなかったのに…
ミンのアニキが突然強張った顔をして席を立った
俺の言ったことが気に触ったのだろう…
俺の口はカラカラに渇いていた
テジュンに手を出さないと約束していない…
俺は立ち上がりミンのアニキの後を追った
何をされるかわからない
今の俺は簡単に組み敷かれるだろう
でも俺はなんとなく解っていた
俺ではない
アイツの欲しい物は俺ではないと
欲しけりゃさっき、奪ってたはずだ…
木の下で煙草をくわえ、俯くミンのアニキの横顔は、苦悩という言葉を思い起こさせた
俺は、この男の抱えてきた苦しみに思いを馳せた
ミンのアニキはライターを投げつけた
そんな感情的な行動をしていても、コイツは息を荒げない
俺の震えはいつの間にか治まっていた
この男の抱えている感情
絶対に壊れないであろうシェルターに押し込められた核爆弾
漏れ出したら
この男もミンも
破滅してしまうのかもしれない…
コイツはミンが…好きなんだ…
俺はミンのアニキの投げつけたライターを拾い、火をつけて煙草の前に差し出した
「…」
「吸うんだろ?」
「…用は済んだだろ?」
「済んでないよ」
「…」
「テジュンに手を出さないでくれ。約束してくれ」
「は…なんだ。そんな事わざわざ言いに来たの?」
「約束してくれ」
「頼まれたって手なんか出さないよ、あんなの!」
「…」
「そんな事のために危険を冒してやってきたの?何されるかわかんないのに?ハッほんとに君は」
そっくりだ!
「弟にそっくりなのか?」
「…」
「弟が好きなんだろ?」
「…違うよ」
「誰にも言わない。だから吐いちまいなよ…好きなんだろ?」
「…どっか行ってくれないかな…君を見てると気分が悪いよ」
「弟が悲しむの、ほんとは見たくないくせに」
「何言ってるんだよ!」
「手元に置いとけば守ってやれるって思ってるのか?」
「黙れよ!」
「憎まれてもそばに置いときたいのか?」
ミンのアニキは俺を押し倒し、俺の体に馬乗りになって拳を上げた
「…アンタにも感情があるんだな…」
「黙れ…」
「ミンはアンタの気持ち、知ってるのかな…」
「黙れ!」
「俺は、アンタの事、嫌いじゃない」
「…」
「ミンをミンチョルから取り上げないでくれないか…」
キム・イナの顔が霞んで見える
僕は振り上げた拳をただ震わせるだけで、キム・イナに手出しできなかった
オールイン ぴかろん
イナの姿が見えない
ミン君のお兄さんとソファに座っていたのは確認した
その後ミン君のお兄さんは席を立って外へ行った
だから僕は、少し安心して仕事に没頭した
その間にイナはどこかに消えた…
僕がそちらの方に走って行くと、あとからオ支配人が駆け寄ってきた
「お気持ちは解りますが、今は仕事を…」
「しかし…しかしイナが…」
「イナ君は…私の従兄弟のチョングの親友でもあります。彼は…情が深い…」
「…だから何なんですか!」
「…ソファに座ってらした方を追いかけていかれました。何か気になる事がおありなんでしょう…」
「…オ支配人…放っておけないんです。おっしゃる通りアイツは情が深い男だ。余計な事に首を突っ込んで自分を苦しめる男だ!」
「知っています」
「…アイツが追いかけた男は危険なヤツです」
「解っています、貴方にしていた事も見ていました」
「だったらイナがどれだけ動揺しているかお解りになるでしょう?!僕が行ってやらないと」
「でもイナさんは貴方に仕事をしろと、して欲しいと願っているのでしょう?!これが最後の仕事だと、貴方がそう決めているのなら、
完璧にこなしてほしいとそう願っているのでしょう?イナさんが尋常でないのはすぐに解りました
それでもイナさんは気丈に貴方を仕事へと向かわせた。その気持ちを汲んであげるべきです。それに…
追いかけていくイナさんは…冷静でした…」
「…知ってて何故僕に教えてくれなかったんですか…」
「…それはあの方とイナさんの問題でしょう…貴方は行かないほうがいい…」
「…何かあったら…イナに何かあったら…」
オ支配人の言うことは解る
彼も苦しそうな顔をしている…
このままイナを放っておく事はできない
僕はオ支配人を振り切って庭へ向かおうとした
「総支配人、適役が来ましたよ!あの方にお願いするべきです!」
オ支配人が僕を引きとめ、その人物を指した
「…ソク…」
僕はソクの許に行き、手短に事情を説明した
「解った」
ソクは引き締まった表情でそう答えると、庭に向かって走り出した
「総支配人…申し訳ありません…しかし…」
「…いえ…ありがとうございます…」
オ支配人の言葉を遮って、僕は仕事に戻った
ソクを信じるしかない…イナの無事を信じるしかない…
フラフラするからこういう事になる
何故また危険な男について行くのか…
あの男、テジュンにキスした?
何のために?
イナを気に入っていたんじゃないのか?
どこにいる…どこに…
いた…
組み敷かれているじゃないか!
馬鹿!
僕は足音を忍ばせて、あの男に気づかれないように二人に近づいた
「アンタでも涙が出るんだな」
「…」
「…苦しかったろ?」
「黙れ!黙ってくれ!」
「…俺じゃ、身代わりになれないか?」
「…何…言ってるんだ…」
「代わりに俺を抱けよ…ミンの代わりに」
「…」
「…それでミンを放してやってよ…」
「何のために…そんな事を君が…」
「…辛すぎるから…アンタ…辛すぎるから…」
「…うるさい…」
「俺でいいなら俺を抱けよ」
「…誰も弟の身代わりになんてなれない!僕が欲しいのは弟だ!お前なんかじゃない!お前なんかじゃ!」
「…やっと言った…」
「…これを…言わせたかったのか?」
「…思ってる事、吐き出してしまえば、少しは楽になるだろ?」
僕はキム・イナを見つめた
どこまで甘いんだ、この男は…
吐き出したからと言って、何がどう楽になるんだ!
どうにもならないじゃないか!どうにも!
霞む目で僕はキム・イナの首を絞めた
「何が楽になるだ!お前に何が解るんだ!僕がどんな気持ちでずっと生きてきたか…
こんな一言吐いたからって…お前を抱いたからって…何も…何も変わらない!何も!」
泣き叫んでいた
生まれてこのかた、こんなみっともない真似はしたことがなかった…
首を絞める指に力が入る
僕の手の下でキム・イナが微笑みを浮かべる
震える手で僕の涙を拭う
僕は力が抜けてしまい、キム・イナの胸に突っ伏してそのまま泣き叫んだ
弟と僕の名前を
何度も何度も叫んだ
弟が死にかけた時
僕は弟に死んでほしかった
弟が死んだら
僕も死ぬつもりだった
生きていてもどうにもならない
この想いが狂っているのは
ずっと前から知っている
キム・イナが僕の髪を撫でる
そんな事、してほしくない!
そんな事、お前なんかに…
「言えよ…ギョンビンに…」
「拒絶されるだけだ!」
「でも伝わるだろ?」
「伝えてどうなる!」
「どうにもならないさ…」
「…他人事だからそんな事が言えるんだ!どうにもならないなら言わないほうがましだ!」
「でもアンタの気持ちは…きっと解ってもらえる…受け入れられなくても…」
「…お前の指図など受けない…」
僕はキム・イナから離れた
泣いたことなどなかったのに…
ずっと感情を抑えてきたのに…
キム・イナと出会った事を僕は呪った
ホテルに向かって歩き出すと、中庭で出くわした男が立っていた
「言ったとおりだろう?」
「何が!」
「傷つくのはお前の方だって…アイツは知らない間に頑なな心の中に入り込んでくる。そういう男だよ…
まぁ、お前にはいい薬かもしれないけどな…」
「薬?…あいにくだな…僕の病は…治らないんだ」
「…そうかな…」
そうさ…治りはしない…誰にも癒せない…弟以外には…
抱擁 オリーさん
ずっとミンの寝顔を見ていた
思いのほか長いまつげ、くっきりと筋の通った鼻のライン
ちょっと右に上がっている唇
刈り込んだ髪の毛とその前髪が隠している知的な額
いくら見ても見飽きることはなかった
顔の線を指でなぞり、髪を撫でた
時々寝返りを打ちながら僕の方へ手を伸ばす
その手をそっと握りしめながら、
また違う角度から見つめ直した
部屋に戻ってシャワーを浴びた
砂浜でついた砂が体にまとわりついていた
シャボンをつけて代わりばんこに洗った
ミンは洗いながら僕をくすぐり僕もミンをくすぐった
乱暴にミンの頭にシャンプーを振り掛けゴシゴシ洗った
ミンは目にしみると文句を言い同じ事を僕にもやり返した
シャワーの下なので僕の目が濡れていてもわからないだろう
先にミンをシャワールームから追い出すと
シャワーに顔を向け濡れているものを落とした
シャワーの後、バスローブをひっかけて髪を乾かした
ミンは後ろから僕の髪の毛をくちゃくちゃにする
やめろよ、と笑いながら鏡の中のミンを睨む
ミンはやめない
僕はドライヤーをミンに向けて応戦する
「ミンの髪も乾かしてあげるよ」
「自分でやる」
「僕のはひどいことしたくせに。遠慮するなよ」
ドライヤーでミンの髪の毛をくちゃくちゃしてやった
こんな風にじゃれあうのはとても楽しい
楽しくてまた目が潤んだ
エヴィアンのボトルを片手に
ミンがソファに片膝をたてて座っている
僕は後ろからそのボトルを取り上げる
冷たいミネラルウォーターが僕の喉に新鮮な潤いを与える
ボトルをまたミンの手に戻して言った
「疲れたから先に寝るよ」
ミンが振り返ったのが気配でわかった
僕はそのまま寝室へ入り後ろ手でドアを閉めた
横向きになってシーツをかぶっていた
ミンが静かに部屋に入ってくるとするっとベッドに滑り込む
僕の脇の下に腕を入れて肩に顎をのせた
「先に寝るなんてずるい」
「疲れてるんだ」
「意地悪」
ミンは僕の胸に回した腕に力をいれると僕の耳を噛んだ
「やめてくれ」
口ではそう言っても腕をふりほどくことができない
ミンは僕の肩から首筋へ唇を這わせる
僕は目を閉じてじっとこらえた
「意地悪」
ミンはもう一度同じ事をつぶやく
「僕だって疲れてる。でも…」
ミンは僕の首筋にキスをしながら駄々をこねる
まだ祭が終わったわけじゃない
僕は自分に言い訳すると振り返りミンを組み敷いた
ミンが下から僕をまっすぐに見つめる
僕はミンの唇をふさぎそれを合図に僕らは愛し合った
ミンが目を閉じたままのぼりつめる様子を見て
僕はさらにのぼりつめた
ミンがまたその僕の首筋をつかんでひきよせ
舌をからめてたくみにその時を引き伸ばす
そんな遠回りをしながら、ふたりで頂点に向かう
もうこれ以上できないというくらい
僕らは激しく深くつながって果てた
しばらくの間重なり合ったままじっとしていた
肩でしていた息がようやくおさまった時ミンが言った
「どうして…」
何が?
「いつもと違った」
どうしてだろうね
「よくなかった?」
僕がそう聞くとミンはゆっくり腕を広げて僕を抱きこんだ
「ううん、その逆…」
「弟の能力を発揮できる場所に戻してほしい」
眠っているミンの唇を指でなぞりながら
あの兄さんの言葉が頭の中に響き渡る
ミンは僕とこんな所にいちゃいけないんだよ
元々僕らは違う世界にいたんだ
だから元に戻す、それだけ
賢くて教えた事はすぐ覚えたミン
時々すごく悲しい目をしていたミン
ずっとそばにいて欲しかったけど、
もうできない
僕は明日から空っぽになるだろう
でもミンはちゃんと戻してあげないと
ミンが眠りながら微笑んだような気がした
いつの間にか僕は眠っていた
気がつくとミンの顔がすぐ目の前にあった
ミンは明るい笑顔でぼくにおはようと言った
もう朝なのか
僕がおはようと言うと、ミンは僕の唇に軽くキスをして起き上がった
どんな祭になるでしょうね
ミンの言葉に僕の胸はつぶれた
#胸さわぎ2 妄想省家政婦mayoさん
闇夜から伝わってきた
『わかんないの?』
僕は..ち◎うを受けながら
『女が男をくらますんじゃない...
男は自分みずから盲目になるんだ!』…と返してやった
それを受けた闇夜は僕から唇を離しまあるい目でまたじっと僕を見てる...
僕は闇夜のデコを人差し指でグッ押しながら笑って言った
「わかった?あほっ」
「....ぅん...」
「何故僕がジホを警戒するのか..わかる?」
「少し......」
「僕は..昔..僕★が出てくる時...自分でコントロール出来ないときが多かった
トイレで僕★が出てこない様に葛藤したりもした。知ってるよね...」
「ぅん...そこを<トイレ隠れ煙草テス>に聞かれてた」
「はは...そうそう..昔はテスをいじめてたからな」
「テソンシの多重と違うよ?全然...」
「全く違うとも言い切れないな.....ジホは...」
「ジホの資料見たの?」
「ぅん、見た。ジホは意識して罵倒してる。そこが怖い」
「それも辛辣に...」
「ぅん..指をピアノ線で縛られてる妻に今”やってきた”って言うか?」
「一応謝ってたけど...その後もいただけないね...」
「そう...お前は何の悩みもない。ちょっとぐらい痛くてもいいんじゃない?..だよ?」
「普段善良だからよけいにジホは残酷に感じるんだ...」
「そこだけで判断しちゃいけないよ?」
「わかってる。でもジホは自分の内面がどういうものなのかをもう知ってる
他人にも内面をえぐらせるのを強要するかもしれない..自分もされてるから」
「メンバーが互いの悩みを吐き出させてるのとは違うね」
「そう...だから心配なんだ」
「でも...それなら余計にBHCに来るべき人かもしれないよ」
「ふっ...それも一理あるけどさ。僕は..僕☆も★も持ってるから...敏感に反応してしまう
僕が警戒しすぎかな..いぢわるだな。僕は」
「テソンシ......お仕事は<おとこ闇夜>だから大丈夫..」
「でもやっぱり...心配だな..余計なこと言わないだろ、普段から」
「ぅん..」
「恰好の餌食なのさ、そういうの。探りたくなる...」
闇夜が僕の両肩に手を置いて僕の耳元で囁いた
「…色気ないから大丈夫..」
「そうでもないよ...僕には...」
僕は闇夜の耳元でそう言ったあと耳朶を唇で弄んだ...
「リハに行ってくる...」
「ぅん...」
「用が済んだらすぐ戻るんだよ...」
「ぅん...」
★ため息のひと言
☆女の運命はその愛される量の如何に存する......by てそん&やみよ
テソンはリハにの為に部屋を出た
ドアの入り口で闇夜にデコxxxをしたのはいうまでもない…
その頃リュ・ジホは助手のウォニを撮影に出し、一人部屋にいた...
もうひとつの抱擁 足バンさん
僕たちは中庭からホテルに戻った
ドンジュンはずっと黙ったままだった
僕の部屋の前に来た時ドンジュンは僕の手を離した
「おやすみスヒョン」
ジュンホ君の部屋に向かおうとするその手を掴んだ
そしてドアを開け中に引き入れた
ドンジュンは所在なさげに辺りを見回した
ふらりと部屋を抜け、窓をあけるとバルコニーに出た
春の夜の冷たい空気が入り込む
ドンジュンは手すりに腕をつき、顔をうずめた
やがて小さなすすり泣きがきこえる
僕はそっと後ろから腰を抱いた
「スヒョンの言ってたことわかった…」
「ん?」
「ひとの気持なんて手に負えない…」
「ん…」
「どうしてうまくいかないんだろう」
「ドンジュン…」
「みんな…幸せになりたいだけなのに…」
「…」
くしゃくしゃのドンジュンが急に振り向いた
「行ってくる…」
「ん?」
「ギョンビンのとこでも兄貴のとこでも行って話してくる」
「だめだ。今はだめだ」
「なんでよ!ミンチョルさんたちがどうなってもいいの?」
「話してどうかなるようなことじゃない!」
「だって黙ってられないじゃない」
「ドンジュン!」
「なんでよ!ギョンビンがいなくなればいいと思ってんのっ?」
ドンジュンを初めて引っぱたいた
「もう2度と言うな」
ドンジュンはぽろぽろと涙をこぼした
わかってる…
僕はドンジュンの手を引き部屋に戻るとソファに座らせた
大丈夫だ…そんなことはさせないから…
僕はしゃくりあげるドンジュンを抱きしめ髪に顔をうずめた
このドンジュンを手放すことを想像したら…
こうして抱きしめることができなくなるとしたら…
そしてその想いを抱いて生きて行くことを考えたら…
僕はその夜のミンチョルの気持を思い心が潰れそうだった
切り刻まれるような想いを飲み込んでギョンビンを抱くミンチョル…
ギョンビンのすべてを憶えておこうとするその悲鳴のような愛撫を想像すると
頭の奥がつんと熱くなった
そんなことまでわかってしまう自分が恨めしかった
「ミンチョルさんのこと考えてるんだね」
「ああ」
「もっと…考えてあげて…」
僕は僕を見つめる目からぽろぽろとこぼれ続ける涙を吸ってやった
そしてドンジュンが消えてしまわないように強く抱きしめる
長い間僕たちはひとことも口をきかずに座っていた
その夜、僕もドンジュンも抱き合う気持になれなかった
どんな祭になるんだろう…
ドンジュンのつぶやきに心が痛んだ
合コン れいんさん
「皆さあん、今宵はこんなへんぴなカラオケ屋にお集まり下さって、ありがとおん…。「天階」も「美日々」も終わっちゃってえ…ン
近頃あたしの出番がないのよおン。祭はなかかな始まらないしイ、BHCの連中はヨロシクやってるしイ…私達抹殺されちゃ敵わないからあん
今日は合コンで盛り上がるわよお…ン。知り合いも知らない人もオ、お近づきになる為にイ、まずはしりとりゲームからやるわよおん
白組のメンバーはあん、ソンジェ君、サンヒョク君、ミニョン君、ソンジュ君ねえん。赤組のメンバーはあん、ヨンスさんと私ヤンミミ…
…あらあん、少ないわあ…ちょっとアンドレ先生、赤組に入って下さるう?ルールは思いついた人から早い者勝ちよおん…じゃあン、スタート!」
ソンジュ「御曹司」(御曹司といえば僕だろう…ンフ)
ヨンス 「し…室長」(あの人私を放ったらかして何してるのかしら)
ソンジェ「う…歌」(ドラマでは負けたけど、歌では負けないよ。兄さん)
ソンジュ「た…体育会系」(ンフ…。僕のこの運動神経)
サンヒョク「…いじける」(…)
ミニョン 「ルックス」(ふふ…僕にはこの武器がある)
ソンジュ「スター」(やっぱり輝くスターは僕だろう…ンフ)
ヤンミミ「厚化粧」(あらん、思わす反応しちゃった)
アンドレ「う…売り飛ばす」(将軍と隊長しゃん、このみゃみゃだとこれしかないかしりゃ…)
ヨンス 「スイートルーム」(室長があの時ハートのバラの中でプロポースしてくれた…)
ソンジュ「むきむき」(僕のこの肉体美・・ンフ)
ミニョン 「貴公子」(人は僕の事を微笑みの貴公子と呼ぶ…)
ソンジェ「し…主役交代」(兄さん、忘れてないからね)
アンドレ「イタリア」(あにょ、スヒョンって子と旅行もいいわねえ)
ヨンス 「あ・赤いバラ」(プロポーズの時の思い出の赤いバラ…)
アンドレ「拉致」(あにょ、スヒョンって子を拉致して…ウフ)
ヤンミミ「ち…チラリズム」(あたしのこのナイスバデイ、みんなイチコロよおん)
サンヒョク「む…無口」(…)
ヤンミミ「ち…乳首」(でも、ちょっと最近乳首の色があ…ン)
ソンジュ「び…ビッグ」(ビッグといえば僕だろう…ンフ)
ミニョン 「グッズ販売」(ふふ…これでひと儲け…)
サンヒョク「い…いたたまれない…」(…)
こうして、濃いメンバーの濃い宴は続いた…
シチュン☆メイ 妄想省家政婦mayoさん
俺はここんとこ飯の時間が待ち遠しくてしょうがない。ぐひひ
何でか?決まってんだろ、メイと一緒だからさっ(^_^)v
あいつは警備で飯の時間が不規則だけど、都合の付く限り..というより
俺がメイに合わせて時間を取ってる
まぁ..昔から俺はそういうのマメだから苦にはならないさ
メイはよく食う。ヤセの大食いだな
テーブルにいつも何皿も並べてバクバク食うんだ
ぽったりした小さい口がモグモグとしてると妙に色気があるんな、こりゃ
気が付くとメイの口ばっか見てる...俺...
んなわけで飯は一緒に食うんだが...俺の方はあんまり食えない...
「ちょっとぉー食べないの?」
「ぉ、ぉ、食う食う..」
「何見てんのさっ」
「お?...ぉぉ〜ん..お前のさ..」
「なによ...」
「お前の口って...かわい......んぐっ#」
メイは俺の口に手づかみにしたサラダのレタスを突っ込んできた...
今朝はレタスでよかった...
この間はバナナをいきなり突っ込まれた
@o@//.俺は一瞬息ができなくて手をパタパタ動かした
『お、ぉ..$+*!!』
「あ、ごめん...おっきかった^^; 」
メイはそう言うと俺の口からバナナを取り出して半分にして手づかみで俺の口に入れた
で、残りの半分をメイはもぐもぐ食った
「あんなぁ...」
「何よっ...バナナは栄養あんだから...あんた少食みたいだからさっ」
「ぉぉん...っていうか....逆だろう?普通...その...俺の..ばなな..」
バシッ★★
「もっとやらしいじゃないっ!」
「メイぃ〜^^;」
最初軽そうにみえたこの男、結構可愛いところがある
BHCに詳しいソク隊長をやっと見つけてこいつのこと聞いてみたけど
「キスが上手くなさそうな色気のない奴は相手にしない」
「<ノーマル99ブラザーズ>には興味がない」
と言われた。<ノーマル99ブラザーズ> …なんじゃそれ?
しょうがないからテソンを見つけてちょっと聞いてみた
「ちょっと、テソン、あいつ...どんな奴?」
「はは...シチュンか..お調子者で危なっかしいけど、いいやつだよ」
「そう..」
「詳しいこと聞きたかったら↑↑に聞けばいい...」
そう言ったテソンはステージの天井裏にいた彼女を指した
あたしはテソンの彼女と話をした
一見おとなしそうな黒づくめのこの彼女、情報力は抜群だった
彼女は最後にあたしに言った
「飾らない今のままのメイさんでいいと思うよ..」
いいこと言うじゃん...
「あたし、あんた気に入った。ありがとう。またねっ!」
あたしがそう言うと彼女は優しく笑っていた
テソンがこの彼女を好きになった理由がわかった気がした
軟弱なシチュンをちょっと鍛え直そうと時間があるときは
一緒にホテルのジムへ行って汗を流す。シチュンは外見に似合わず身体が堅い
「あとでまたジム行くからね!」
「おい〜またかよぉ〜」
俺の筋肉痛はいつまでたっても治らない…ひぃぃ〜ん^^;;
でもメイの引き締まったS字体型が拝める…へへ^^;
グーッ★
くそっ…俺は祭りが終わるまでにち◎うする!と決めた
月光 その4 足バンさん
ギョンビンの兄さんはひどく疲れた顔をして行ってしまった
振り向くとイナが首を押さえて横たわっている
僕は歩み寄り見下ろした
「なにやってるんだ、おまえってやつは」
「放っておいてくれ」
「テジュンに頼まれたんだよ、危険な目に遭わせないようにって」
「なんでテジュンが来ないんだよ」
「わがままはそのくらいにして、ほら起きられるか?」
背中を支えて起こしてやった
月明かりの中でも首筋についた紅い憎しみの痕跡が見てとれる
僕は俯いているイナの隣に腰を下ろした
煙草を取り出し火をつけるとイナはそれをぼんやりと見た
「あんたもヘビーなんだな」
「これくらいしか頼るものがないんでね」
「ふん…」
「話は聞いたが…おまえ自分を捨ててまで…どうするつもりだったんだ?」
「頭にきたんだよ」
「あの兄貴となにかあったんだろう」
「…」
「未遂にでもあったのかな」
「…」
「ふふ…」
「なにがおかしいんだよ」
「あの男もばかだなと思って…おまえみたいなのに手を出してさ」
どういう意味かキム・イナが聞きたがっているのはわかったが何も言わなかった
おまえは人の心をかき乱し揺さぶるんだ。無意識に
その直球のような瞳が吸い寄せるんだ
でもおまえは簡単に身を翻し帰って行く
手を広げて待っているあの腕の中に。安心して眠るために
「あいつ…ミンの兄貴…かわいそうな奴かもしれない…」
「そのようだな」
「だから…」
「でもあの男はおまえの前で泣けたようだから…まだ救われるかもしれないな」
「…」
「あんたは?って顔に書いてあるな」
「あんたは?」
「さあな」
「ソク…」
「さ、行くぞ、おまえだって明日の仕事をまるきり放棄する気じゃないんだろう」
煙草を消し立ち上がろうとする僕の腕をイナは掴んだ
月明かりでできた木の影が心細そうなその顔の上に揺れている
もうひとつの問題に触れたいのだとわかった
「あいつ…あいつさ…テジュンにキスしたんだ」
「ああ」
「俺…テジュンのそんなとこ見たの初めてだったんだ」
「それで?」
「あいつ…テジュンの過去はどんなだったか知ってるかって言ったんだ」
「だから?」
イナの目が苦しげに潤んでいる
「急に怖くなったんだ…なんにも知らない自分が…」
「イナ…」
「どうしよう…テジュンがいなくなったら、俺どうしよう…」
その目から涙がひとすじつたっている
呆れたやつだ…自分のことを棚にあげて…
こういうところにテジュンは惹かれるんだろうな
僕はしゃがんでイナの頬を包んでやった
「大事なのは今だろう?これからだろう?」
その言葉は自分にも言い聞かせていた
「テジュンはおまえの浮気性もそのアブナい性格も何もかも引き受けようとしてるんだぞ」
「…」
「なにやったっていいから…まず信じてみろ」
「それでも怖くなったら?」
「僕のところに来い」
「えっ?」
「ポーカーの相手してやる」
イナは一瞬目を開いてそして小さく吹き出した
僕はイナの頬を両手でパチンと叩いて手を貸した
「立てるか?テジュンが心配してるぞ」
「ああ」
放り投げてあった松葉杖を拾って、ホールに向かった
振り向いてみたがギョンビンの兄貴の影はどこにもなかった
あの男も血へどを吐いて生きているんだと思った
そして…
この庭のどこかでぽつんと月を見上げているだろうスヒョクのことを想った
闇の中 1 ぴかろん
涙が止まらなかった
堰を切った流れを止める術など僕は持っていなかった
弟への想いが流れ出したら
僕は止まらない
誰も僕を止められない
そんな事を知りもしないであの男は僕の心臓を鷲掴みにした
弟に伝えろなどと無責任な事を言った
許せない
めちゃくちゃにしてやりたい
だが
そんな事に労力を費やすのはごめんだ
あの男にはもう関わりたくない
止まらない涙と、怒りの感情を抑えることができず
僕はロビーを抜けてエレベーターに飛び乗った
そして弟とあの凄い目をした男が一緒にいる部屋の前に立ち止まった
廊下の突き当たり
セミ・スゥイートなんて
贅沢な部屋に泊まらせてもらってるんだね、お前
人の行き来のないこの場所
身を隠すのには慣れている
僕は仄暗い廊下に立って
そのドアを見つめた
息を吸い込んでノックしようとした時
中から弟の声が聞こえたような気がした
弟の喘ぐ声
僕の脳裏に浮かぶあられもない弟の姿
美しい狐に与えられる悦びに、しなやかな体をのけぞらせる弟
きっとこの上なく妖艶なのだろう
その滑らかな肌に口付けが落とされると、小さくあげた声を震わせながら貪欲に狐を求める
やがて一つになり、弟は、よがりながら果てる
息を切らす弟に優しく口付ける狐
ああ…
僕のギョンビンを傷物にしたね
僕が決して触れられない宝物を
あの狐は幾度も幾度も汚したんだね…
そんな穢れた悦びを
お前は知ってしまったんだね…
僕は許さないよ
お前を許さない
勝手にそんな風に汚れてしまって…
お前は僕の
宝物なのに…
相手が女だったらよかったのに…
そしたらお兄ちゃんだって
こんなに怒りはしなかったよ
何故男なんだ…
男なら、何故僕ではないんだ
何故お前は…僕を知ろうとしないんだ…
僕は、壊れた涙腺を修復することもできず、そのドアに額をつけて佇んでいた
明日が終わったら
お前は僕の許へ帰ってくる
お前さえそばにいてくれれば
僕は幸せなんだ
逃げようとするなら
僕はお前を…
ドアの向こうの音を
僕は聞きたくなくて
僕は聞こうとして
耳をすませた
監督ジホの部屋 妄想省家政婦mayoさん
ジホは闇夜が部屋に来た時にちょうどMVの編集が終わったところだった
「テプン君のはこの間までの分に<告白>の分を追加しておいた」
「すいません..手が回らなくて..」
「はは…いいよ」
「祭りの方のステージ..BHC保存版は僕とウォニで撮るから」
「あ、監督..撮影できるんですか?」
「はは…できるよ…」
「あ、指示ばかりしてると思ってました…」
「ぷっ…ひどいな…」
「すいません...^^;;」
「祭りは凄いことになりそうだ..進行表はあるかな?」
「あ、これです」
「これは..一日で終わるんだろうか...」
「どうでしょうか....監督のプロモはいつですか?」
「僕のプロモはまだ未定」
「となると...」
「ぅん..店に行くのは少し先になるかな」
「わかりました」
「僕のキャラは人気がないからね...」
「いい出来なんですけどね...」
「ふっ...君は変わってる...だから僕にスカウトにくるのかな...」
「というか..必然的に...決まってます」
「断れないってことね...」
「はい」
「わかった」
「そうそう....My firstのMVの編集やっておいたから」
「あ、すいません...」
「んっと...ディスクは..これ..」
ジホが差し出したディスクを闇夜が掴んでもジホはディスクの端を離さなかった
触れるか触れないか微妙な位置にジホと闇夜の指がある...
「前から思ってたけど..君の手は蝋燭のように白い...」
「監督....火を付けない方がいいですよ...」
「そう言われると付けたくなるね...」
「顔のやけどじゃ済まなくなりますよ....」
闇夜はジホを刺激しないように無表情で答えていた
ジホは一旦怒ると早口になり声のトーンも変わる...
「ふっ...君は顔色ひとつ変えないで淡々と言うね..」
「いけませんか?」
「いや...こういった話になると...君は氷になるようだ..」
ジホはテープと何枚かのCDを闇夜の両手に置いた
「撮影が終わったら電話を入れるから」
「あ、はい」
闇夜はジホの部屋を出..ため息をついた
闇の中 2 ぴかろん
もう今日になったのか…
早く今日が過ぎればいい…
今日と言う日が終わるまで
僕は待ってあげるよ、優しいだろ?
忌々しいあの瞳と穢れた最後の一時を
千切れるほど十分に体中で堪能しておいで
僕はもう許さない
お前を奪い返したら
僕は二度とお前を離さない
僕が耐えてきた今までの想いを
あの男が言うようにお前に伝えよう
たとえお前が受け入れてくれなくても
僕は僕のこの想いをお前に向けて流し込む
今までの分を、ずっと堪えてきた気持ち全部を
少しずつ、丁寧に、毎日毎日お前に流し込んでやる
その穢れを
洗い流すために
僕はお前を片時も離さずに
僕をお前の肌に切り刻んでやる
だってお前はもう知ってしまった
僕が願い、叶う事のなかった悦びを
僕の知らない間にお前は知ってしまった
僕が与えたかったのに
僕が慈しみたかったのに
僕がお前を狂わせたかったのに
ずっと、ずっとずっとずっとお前を
望み続けていたというのに何故お前は…
ああ、過ぎてしまったことは仕方ないね
これからの事を考えよう
明日、お前と一緒に帰ろうね
またあのスリリングな仕事に戻ろうね
僕とお前は秀でたコンビだ
これからはもっともっと素晴らしい相棒になるよ
だって僕はお前を離さない
あの時みたいな危険な目には遭わせない
僕がお前を守ってやるから
お前は僕の腕の中で
僕だけにその笑顔を見せればいいんだ
そのために今日が終わるまで
待っていてやるよ
お前に与える最後の自由だ
きっと穢されていてもお前は美しいままだろう
きっと…僕の方が穢れているのだろう
涙が止まらない
周りが何も見えない
ドアの向こうのお前だけを
僕の瞳は見つめているのだから
「ギョンビン、ミンチョルさんとケンカでもしたの?締め出された?」
ふいに声をかけられた
ぼんやりした頭で、声の方を向いた
また同じ顔だ
うんざりする
どうしてこの連中は
こうもおせっかいなんだろう
こいつは僕を知らないらしい
僕も初めて見る男だな…隣の部屋の男…
確か…ファン・テジン…
ああ…昏睡状態の兄の魂が乗り移ったという男
兄の死後にその妻とその生活をそっくりそのまま頂いているという男
ふぅん…君はお兄さんと同じ人を愛したんだ…
それでまんまと手に入れた…ラッキーな人生…羨ましいよ
「泣いちゃって…可哀相に。僕の部屋でお茶でも飲んでく?」
僕はその誘いに乗るふりをしてファン・テジンの部屋に入った
ギョンビンだと思ってた
そっくりだったから
けれどこれは別人だ
身体から真っ黒な霧を発している
危険だ
そして哀しい
僕の流した涙と
この男の流している涙に
似たようなものを僕は感じ取った
よせばいいのにな
僕はスヒョンさんみたいな天使じゃないから
人の傷に塗る薬なんて
持っていないのに
けれど放っておけなくて
僕は彼を部屋に呼んだ
彼の足元に渦巻く数多の魑魅魍魎
身体中から醸し出す底知れぬ歪んだ念
こんなにも何かに囚われている人間を
僕は僕以外には見たことがない
いや、僕だってこれほどの凄まじさはなかっただろう
この男は…鬼になりかけている
僕に何ができるのだろう
この男がギョンビンの兄だと言うことはすぐにわかったけれど
何故彼らの部屋の前でこんなどす黒い空気を抱いて
涙を流していたのかわからない
「君の足元…歩きづらそうだね」
何を言い出すか…
唐突な人間の寄り集まりだな、ここは
「どういう意味?」
「纏わりついてるよ、小さい邪鬼がいっぱい…そんな感じがする」
「…そんなものが君には見えるのかい?」
「見えないけど…感じる」
「…へぇ〜シックスセンス?悪いけど僕はそんなもの信じないよ」
「六感がなくても、感じ取れるよ、君の異様さは」
異様?
ふぅん
僕は異様?
どんな風に?
「ギョンビンのお兄さんでしょ?あなたの中から物凄い勢いで何かが噴出してる。あなた、苦しいでしょ?」
何を言い出すんだ、あの男といいこの男といい…
「自分で自分の身体を締め付けてるみたい…足元にいっぱい邪魔する小鬼がいて歩きにくそう…自分の吐いた毒の息で息苦しそう…」
「あんた、悪霊払いでもやってんの?」
「…物を作ってると…そういう事を感じる力が高まるのかな…
ううん、今の君の場合は…きっと誰にでも解るよ…黒い霧が取り巻いてるって…」
誰にでも?
なんて事だ
誰にも感情を
読まれた事など
なかったというのに
こんな芸術家くずれのさえない男に
こんな事を言われるだなんて…
気分が…気分が悪い
どうして僕を放っておいてくれないんだ
僕は弟を返してほしいだけなのに
どうしてそれを邪魔するような事を
僕に仕掛けてくるんだ、こいつらは…
ファン・テジンは僕の手に
柚子茶の入ったマグカップを握らせた
「熱いから、ゆっくり飲みなよ」
そう言って静かに微笑んだ
何かを突き抜けた男の高貴な微笑み
その微笑に向かって僕は
熱い液体を降り注いでやった
シチュン☆メイ2 妄想省家政婦mayoさん
「やっぱりここにいた」
「お?メイさん…」
「メイでいいよ。これからあたしもまよって呼ぶ。アラッチッ!?(わかった!?)」
「ぉぉん…仕事は?」
「ん?ちょっと休憩…」
あたしはテソンの彼女、まよを捜しに天井裏へ来た
何度か言葉を交わすうちにあたしの心をわかってくれそうな気がした
2人でステージを背にして縁に寄りかかって話をした
「どうしたの…シチュンさんとケンカした?」
「ぅぅん…あたしさぁ…」
「ぅん…」
「ここんとこ何年かはまともに付き合ってないんだ…おとこと…」
「知ってる…年下だったんでしょ?」
「ぁぅ…まいったな…そこまで調べたんだ…あたしのこと…」
「4〜5年間前に別れてちょっと前まで心閉ざしてたんでしょ?」
「ぅん…すんごく好きでさぁ…」
「ん…」
「毎日会ってた。好きでたまんなかった。好きなのに別れなくちゃいけなかった」
「嫌いで別れた方が楽だもんね…」
「ぅん」
「今でも思い出す?彼のこと…」
「たまに…でも心の整理はもう..ついてるよ…」
「メイはシチュンさんが好き?」
「ぅん…あいつといるとさぁ…自然になれるんだよ…」
「ふたりの雰囲気すごくいいよ?」
「そっ?…でもさ、あいつ…女癖悪いって…」
「あはは…」
「まよぉ〜そんなにひどいの?あいつ…」
「メイ…?」
「なに…」
「もう…ち◎うした?」
「オ、オモ…まだだよっ」
「そっか.シチュンさん、メイのこと本気だよ」
「何よぉ..好きならち◎うしてくれてもいいじゃんか…」
「ぷはは…メイは通いなの?ここ…」
「ぅん…仮眠のときはホテルの従業員の方..」
「そっか..ここ使っていいよ」
まよはあたしに自分の部屋の鍵を渡した
「シャワーに使ってるだけなの。ほとんどの時間は….」
「テソンの部屋にいるんだ…」
「ぅん…」
「いいの?」
「連れ込むもよし、自分で使うもよし…祭りが終わるまでが勝負よ。メイ」
「ぅん…わ、わかった…あ、まよはもうやっちゃたの?」
まよは答えずに笑ってるだけだった
あたし達は振り返りそれぞれステージにいるテソンとシチュンを眺めた
僕はいつもの天井裏に闇夜を見つけた
背を向けてメイと話をしているのがわかった
時々笑っている姿を見て僕は話の内容がわかった
僕は隣にきたシチュンをからかった
「シチュン…お前…もうち◎うしたのか?」
「まだだよっ!」
「ぁひゅ〜めずらしい…初日で< in >がお前じゃなかった?」
「っるさいっ!テソン!」
「祭り…終わっちまうよ?」
「わかってるっ!」
俺は焦っていた…が、すぐコトに及んでメイに嫌われるのも嫌だった…
どうしよう…俺らしくない…@@
天井裏にmayoシといたメイが手を振った…
俺は力なく手を振った…ぁふ...
ジュンホの通信講座 れいんさん
もうすぐまつりがはじまる
まつりのあとのことをかんがえて、ぼくもなにかてにしょくをつけたほうがいいのかな
ぼくしんぐのほかにも、ぼくになにかできることをみつけて、かぞくのみんなをよろこばせよう
ぼくは、ほてるの1かいのふろんとちかくにおいてあった、つうしんこうざのぱんふれっとを、なんさつかへやにもちかえってよんでみた
<宮廷料理講座>
講師;チャングム
内容;宮廷料理の素材選びから料理・盛り付けまで
特典;先代最高尚宮とのフォークダンス
<日本語講座>
講師;ミン・スヨン
内容;カジノに於いての接客用語
特典;個人レッスン及び教卓ごしのちう(背のび付き)
<人生相談・占い講座>
講師:キム次長
内容:人生相談・占いのいろは教えます(占いブースでの実習あり)
特典 話題豊富なキム次長と飲み友達になれます。アフター5も楽しめます
<いかさま賭博講座>
講師:チョング
内容:いかさま賭博のやり方・しかけの仕方教えます
注意:尚、賭博後の勝敗については責任は負いかねますのでご了承下さい
<紳士養成講座>
講師:マイケル・チャン
内容:テーブルマナー・ゴルフ・ききワイン・高級ファッションの着こなし
特典:アシスタント、オチダリエの「私はどう?」のセリフ付き誘惑がご堪能できます
<歌手養成講座>
講師:オ・ジョンフン
内容:歌手をめざしてボイストレーニング、ダンスレッスンあり見込みのある方にはジョンフン先生のオリジナル曲プレゼント
特典:イライラした時に好きなだけ先生のお部屋を荒らす事ができます。これであなたもストレス解消!
ぼくはよんでみたけど、どれもこれもむずかしそうで、ぼくにはむりかもしれない…
友情 ぴかろん
ソクと一緒に戻ったホテルの入り口に、テジュンの心配顔が見えた
俺は立ち止まってしまった
テジュンが駆け寄って俺をきつく抱きしめる
震えている
ごめん…心配かけちゃって…
心の中で呟くしかできなかった…
口を開くと余計なことまで喋っちゃって
テジュンをもっと心配させてしまいそうで
話したいけど
今はダメだ
祭が終わってから
ゆっくりと話そう
祭が終わってから
ゆっくりとテジュンの過去の話も聞こう
黙っている俺の頬を包み、瞳を覗き込むテジュン
睫毛が濡れてるよ…涙もろいな、テジュン
お前の後ろにベルボーイが立ってるっていうのに
お前はなりふり構わず俺にキスをする
俺は、その温かい唇に全身を預ける
ああ…よかった…
あの場にテジュンが来なくって
ソクをよこしてくれてよかった…
「なんでテジュンが来てくんなかったんだよ!」
わざと言ってみた
「オ支配人が…」
あたふたと言い訳するテジュンが可愛かった
「ふん」
「代わりにソクに行ってもらったろ?」
「またソクとキスしたらどうするつもりだったのさ!」
「…え…したの?」
スパコォォン☆☆
俺達二人の後頭部に、ソクの平手が入った
「僕はキス・マシーンか!」
「あは…イヤイヤ…信用はしているさ」
「…でも俺が仕掛けたらぜってー受けたよな?」
「…」
「え?!受ける気だったの?!」
「…」
「答えろよ!」
「…臨機応変…」
俺達は三秒黙ってその後同時に吹き出した
ソクとこんな風に笑いあえるなんて
ちょっと不思議な気がする
笑っていた俺に、ソクが耳打ちする
「な?僕も笑えるようになったろ?…だから…心配するな…」
テジュンが睨み、俺は少し俯く
そんな簡単な問題じゃなさそうだし…
俺はまた、余計なことに首を突っ込んだのかもしれない…
「ソク!僕のイナに何を囁いた!そもそもイナに囁けるのは僕だけなんだからなっ!」
「はいはい、すみませんね。じゃ、僕はドロンします」
「…ふんっ古いぞっ!」
「いや、逆に新しいさ…じゃ」
「待て!…これを…」
テジュンが何かをソクに差し出した
そして俺の肩を抱いて、中に入るよう促した
「何?あれ」
「進行表」
「なんでソクに渡すの?」
「ん…出番が多いからさ、アイツ」
「ちょっと待て!」
「イナ、逃げろ!」
いたずらっぽく笑って、テジュンは俺を庇いながら早足で進んだ
ソクは追いかけるのを辞めて、その進行表を呆然と眺めていた
「なんで僕がこんなに忙しい目に?!…ん?『追伸・最後のセツブンショーに登場する「鬼」役にふさわしい人を探してください』???
『鬼の面をつけた鬼に向かって豆をぶつけ、最後に鬼の面が割れて二人は歩み寄り、会場上方を見つめてしっかと抱きあう…
その後暗転し、ファッションショーへと繋がる重要な場面です。その事を踏まえて、鬼役を探すよ〜に!アンドレ』
…なんてことだよ…全く…」
しかし僕の中では『鬼役』は決まっていた
僕はスヒョクを探しに行く事にした
天井裏 オリーさん
はむはむ…むにゅむにゅ…ぺちゃぺちゃ…ぴちぴち…らんらんらん
『どこか違う…』
『何か違う…』
『こんなものなのであろうか…チンに聞いてみたいが聞けぬ…』
『スヒョン殿はもっと…感じが…あうん…』
「ドンゴン殿」
「何か?」
「もう、ちうの練習は完璧じゃ」
「たしかに。で?」
「で、次はいかように?」
「次とは?」
「ちうの次でござる」
「あ、いや、その…もしやるなら、あの、その、絶対スヒョン殿の方が…」
「は?今何と申された?」
「いや、何でもない」
「やるなら、スヒョンとか申したな?え!」
「いやその願望じゃ。気を悪くしたのなら謝る」
「拙者とてどうせなら、隊長の弟の方が良い!」
「自分よりあの軽い弟の方が良いと?!」
「いや願望じゃ、気を悪くいたすな」
「ふん、色香が足りぬなどとデザイナー先生が言うからつきあってやったが、自分だっておぬしよりスヒョン殿のちうの方が感じたわ!」
「何!無礼な!大きな顔をしおって。そうよ、おぬしとわらわでは顔のサイズがつりあわんわ!小顔同士、ウォンビン殿の方が相性がよいわ」
「顔のサイズなど関係ないわ!BHCの面子を見ろ!要はテクニックよ!」
「テクニックも無い者が偉そうに…ふん!」
「そっちこそ、はむはむしかやってないじゃないか!」
「そっちこそ、むにゅむにゅ一辺倒ではござらぬか」
「ふん!」
「つん!」
………
「しかしじゃ…」
「ここまで来たら…」
「引き下がれんわ」
「そうよ」
「でござる」
「ではお互い譲歩してだな、次の段階へ…」
「うむ、いたしかたあるまい」
「で、どのように?」
「先の映像を思い出すのじゃ」
「あのBHCの…」
「あれじゃ」
「スヒョン殿とドンジュン殿のあれだ」
「とりあえず、ここをはずしてだな…」
「うわっ、いきなり何をする!」
「騒ぐでない。拙者とて好きでしておるわけではない」
「わかってはいるが…」
「ええい、うるさい奴!」
「あいや、ちょっと待て。なぜ貴公が攻める?」
「わらわは将軍じゃ。攻めるのは得意中の得意」
「それをいうなら自分も隊長。攻めるのは得意」
「両方で攻めてはならん。まずわらわが」
「いや、それなら自分が」
「強情な奴であるな。わらわは将軍!偉いのだ」
「こっちは勲章もらってるんだ」
「ええい、腐っても将軍は将軍じゃ」
「このわからずやめが!だから国が滅びる」
「あっ!人の気にしてることを…ひどいっ!びえーーん」
「あっ、すまぬ。つい本音が」
「本音だと!おのれ、成敗してくれる!そこへなおれ!」
「あ…およ…ひえ…きゃーーー!!」
「おい!そこへなおれと言うに…」
「いや、ちょっとあそこ…ほら…あれ…見て…きゃっ…」
「どれ…お…あら…え…きゃいん…わおっ!」
「何と…いやいや…あ、だめ…ひええええ…」
「およよ…あ、そこは…そんな…あ…待って…」
「あ…まだ…そ、そんな…やめて…あ、でも…」
「くう…ちょっと…でも…あ…いいから…えっ…それ…そこ…」
なぜか天井裏から狐と猟犬の部屋が丸見えであった…
「将軍…」
「隊長…」
「われらはまだまだでござる…」
「そのようじゃ」
「あそこまではまだまだ」
「とてもいけんわ」
「道は遠い」
「果てしなくのう」
「しかし…」
「しかしじゃ…」
「千里の道も」
「一里からじゃ」
「では気を取り直して」
「うむ、はむはむからやり直しじゃ」
「いかにも!」
「「ではっ!」」
翌日唇が腫れすぎてデザイナー先生にとてつもなく怒られた二人であった
#マジ・キム 妄想省家政婦mayoさん
「あなたもしついわよね」
「いいじゃない。アタシ、アンタのこと気に入っちゃたんだもの…」
「だいたいあたしはね、手の美しい男がすきなの」
「アタシは手が汚いって言うの?」
「ん〜指細いんだけどねぇ…やっぱり駄目」
「じゃぁアンタの好みの手は誰よ。BHC?」
「そうねぇ.…BHCならスヒョン君かしら…」
「おや、ミンチョル君じゃないの?」
「ん〜…ミンチョル君はスヒョン君よりちょっと太いのよ、指が…」
「ぷっ…おなか回りもよ?」
「おもっ…そういえばそうね…だから動きも鈍いわけか…」
「他には?動きのいいテプン君、シチュン君、ドンジュン君…」
「テプン君は手がごついわ」
「元野球選手だからしょうがないわね…」
「シチュン君は指の動きがやらしい…クネッとしすぎ…」
「ん〜媚びる女の癖が染み付いてるのかしら…」
「ドンジュン君は若くて手がピチピチだけど…落ち着きがないわね…」
「あちこちおせっかいしているみたいだからかしら…」
「意外と指が綺麗なのはMUSAのあの無口な槍持ってるひと?」
「おや…ヨソル君」
「そう…指の作りはきれいだったわ。ただ色黒ね…駄目…」
「長旅のホコリは簡単には取れないってことね…」
「うちの理事は?」
「ん〜筋が浮き上がってる筋肉はだめよ。滑らかさがないわ…」
「じゃぁサンヒョク君…」
「彼と、ん…テス君?彼らは小柄だから手も小さいの。テス君は特に…」
「特にって?」
「指が短いのね。ほら、こうして第2関節できゅっと折ってみて」
「こうかしら…」
「そうそう…ちょっと広げると…クリームパンみたいでしょ?」
「おや、ほんと…」
「テス君はまさにクリームパンだったわ…可愛かったけど…」
「あ、駄目。テス君のカレシ、離れないもの…コワイわよん」
「そうなの?」
「アタシなんかいっつも怒られちゃう…」
「そう…食べたかったのに…クリームパン…」
「あ、ソンジェ君は結構手がきれいじゃない…」
「そうそう、“絹の靴下”やってたわね…でも…」
「おや、駄目?」
「顔が好みじゃないわ…ハニ顔は苦手。まだソンジュ君のほうがいいわ。色白だし..」
「彼も結構手が綺麗じゃない?」
「そうね…舌たらずなおしゃべりも可愛いわ」
「でもあの大きなのとペアよ?あの子…」
「そうなのよ…首が疲れるわ。駄目」
「あのデラルスのミミさんは?」
「あ〜彼女ねぇ…首もむっちりだったけど、結構指もむっちりだったかしら…」
「おやそうだったかしら…」
「女が手が美しいとは限らないのよっ」
「もぉ〜アンタ、わがまま」
「誰かいるのお好みのお手手…」
「そうねぇ…今回の中ではヨンジュン君かしら…」
「おや、白夜の?」
「そう。彼、手が美しいわぁ。それに指も長い。適度に色白だし…」
「ん〜〜たしかにそうね…」
「彼の手で両ほほを挟まれてみたいわ…」
「彼、踊りも結構上手よね…」
「そうなのよ。あたしのかわりにマツケンボーイズになれるわ、彼…」
「帰りに連れて帰る?」
「そうねぇ…そうしたいわ…って、あなたも一緒に来るつもり?」
「おや、決まってるじゃないの…」
「ちょっとー困るわ。上様に聞かなくちゃ…」
「いいじゃない。公演で岡っ引の役くらいできるわよ」
「ぷっ…そう?じゃ上様にお願いするわ」
「そうして」
「はぁ〜皆ちゃんと踊れるかしらん……」
三者会談 れいんさん
キム次長:お二人さん、いかがざんす?祭の進み具合は?
アンドレ:そうでしゅわね〜私の最先端のファッションにピッタンコにマッチングする人がにゃかにゃかいないんでしゅのよ
マジ先生の方はどうでしゅの?
マジ先生:一応、祭のラストに全員でマツケンサンバするんだけど、補習やんなきゃいけない人もいるのよねえ
キム:あたしゃ、ダンスはからきしダメですがね。いえ、リズム感ないってんじゃないんざんすよ。ただ、性に合わないもんでね
…でスジのいい人は誰ざんす?いえね、参考までにね
マジ:ん…そうねえ。はじけっぷりがいいのはBHCのテプン君かしら。あの子はいいわあ。あのサンバは心を無にしてやんなきゃダメなの
恥ずかしいなんて思っちゃダメ!あの子今までも、ちょびヒゲつけてマジックショーやったり、ダンボール被って雨の中走ったり…
ほんとは苦労人なのよね。恥ずかしい事に場慣れしてるの。アンドレ先生はどう
アン:そうねえ。私のファッションをピッタンコに着こなしゅのは…チョンウオン君かしりゃ
あの子とは前も一緒に仕事した事がありゅの。でも個人的に好みにタイプは…うふ。スヒョン君と白夜倶楽部のヨンジュン君かしりゃん
スヒョン君にはあの通り、天賦のホストの才能がありゅわん
ヨンジュン君は、初めて見た時はホンコン顔でびっくりしたけど、噛めば噛むほど味がありゅのよにぇ
マジ:あらっ!嫌だっ!二人とも私が狙ってたのに!
アン:何言ってんにょ!私が先よ!スヒョン君とは祭が終わったら、イタリア旅行に行く事ににゃってんにょ!
マジ:どうせあんたが一人で決めてるだけでしょ!
アン:なにイ〜!しばくでこらあ〜!あ…失礼…コホン。拉致してでも行くのよっ!
その後ゆっくりあたしの魅力を分からしぇるまでよっ!
キム:まあまあ、お二人さん、落ち着いて。…んで、見込みうすの人は誰ざんす?
マジ:そうねえ。テス君…顔はかわいいんだけど、足元がふらつくのよねえ。手足が短いのかしら…
あと、ミンチョル君かしら。個人的には好きなのよ。できれば、レッスン以外でしっぽりと…。いえ…あの子は体が硬くてリズム感ないの
それに、頑固に踵7センチの靴履いて踊るのよ。踊りにくいったら…
アン:うちの方はにぇ、もう一番困ってるのが、将軍と隊長しゃんよお!
かわいいスヒョン君に調教してもりゃったのに、なんにも成果が出てにゃいの。練習はしてりゅみたいよお。鼻やら顎が赤いもにょ
…もっと、こう…ヤらしい感じで…触れそうで触れにゃい感じで…もっと…
マジ:ちょっと!やめてよっ!あんたのまんまる顔近づいてきたら怖いじゃないっ!
アン:なにい!誰にもの言っとんじゃあ!…あ・失礼
キム:まあまあ、抑えて、お二人さん。ケンカにならないように、ジャンケンで決めたらどうざんす?
ジャンケン ポン!!
アン:やったわ!勝ったわ!スヒョン君は頂きにぇん!
マジ:きいい〜!悔しいっ!いいわっ!ヨンジュン君だってメイク晴れるし、女の扱いには慣れてるもの!いえ、男だっておんなじよ!
ヨンジュン君には手を出さないでねっ!
キム:…ところで、お二人さん。話題にも出ませんでしたが、うちの理事は…
アン・マジ:…え?…誰?そんな人いたっけ?
三者会談の夜は続く…
漢字 その2 足バンさん
いそがしいひとといそがしくないひとのさがはげしいです
ひかくてきいそがしくないひとに、またかんじをおしえてもらいました
すはせんせいは、ぼくのとくべつかていきょうしなんだ
「検便」ってかいてくれた
いきなりでびっくりしたけど、せんせいが「あれはどうなったか」いちばんきになってることらしい
らぶさんをやっとみつけた
「踏み絵」ってかくかなっておもったら「散髪」ってかいてくれた
「はだかでひとのさんぱつすると、あせでじぶんにくっつくからやめたほうがいい」ってちゅうこくしてくれた
まよさんはきょうもくろいかっこだった
「予定外」ってかいて「さいきんまくらをたかくしてねむれないの」っていってた
なんのことかわからないけど、ぼくもまくらはひくくてかためがすきです
まっかなみみさんにつかまった
「角度」ってかいてくれた。なんのかくどですかってきいたら「しょうめい」っていって、
「あたりかたでじゅっさいはちがってみえるの、おぼえておきなさい」っておこられた
おんなぷろもーたーもそんなこといってたことをおもいだしました
とふぁんかいちょうさんはにこにこして
「自然」ってかいてくれた
かがみであたまをみながら「きわがしょうぶだ」といってた
まいけるちゃんさんもかがみをみながら
「同」ってかいてくれた
「きほんてきなおおきさはおなじようなものなのに」といってぼくのかおをじぃっとみた
いいがかりをつけられそうなので、おじぎをしてにげた
むさのよそるさんにもたのんでみた
「洗髪」ってかいてくれたんだけど、
「さばくでこのへあすたいるはあんまりだ」とかいせつしてくれたのはちんさんだった
ちんさんはついでに
「重鎮」とかいて「わしをこうよんでさしつかえない」といった
すんぐくさんにも、おもいきってきいてみた
「仮分数」ってかいてくれた。ぼくはおもわず、すんぐくさんのくちびるのかたちをみた
うすくわらわれてしまった
きむじちょうは、たのんでないのにそばにきて
「独立独歩」ってかいて「あぁいそがしい」といい、いってしまった
さんひょくさんがじぃっとみてたので、たのまなくちゃいけなくなった
「移住」ってかいてくれた
どこにいきたいんですか?ってきいたら「しごとのあるところ」っていってた
さんどぅおやぶんも、かきたそうだったのでかいてもらった
「頻繁」ってかいてくれた
「ぼくっていろんなさくひんにでてるってしってる?」ってきかれた
はいよくみかけますっていうと、まんぞくそうにうなずいて、ひとにまぎれてすぐにみえなくなった
ゆじんさんのぱぱは、かなしいかおをして
「発言権」ってかいてくれた
よこからさんひょくさんのぱぱがきて「そうじゃないだろう」といって
「肖像権」ってかきなおした
ゆじんさんのぱぱは「しゃしんだけだとやすいんだ」となみだぐんでた
すきゃんだるのちょ・うぉんさんにもきいてみた
「沈」ってかいてくれた
「ここではすっかりしずんでしまっている」といってたけど、ぼくは「ういている」のまちがいかなっておもった
かべのむこうからこちらをうかがってるのはよんすさんだった
めがあったのでかいてもらうことにした
「強靭」ってかいたのでいがいだった
「たふでなくちゃ、あいはかたれないの」といってどこかにいってしまった
すごくなっとくしてしまった
こんなすごいひとをおくさんにするなんて…ちーふもたいへんだったなっておもった
あ…「だった」ってかこけいにしちゃったのは、ないしょだよ
かんじのおべんきょうすると、いろんなひとのいろんなこともわかります
じゅんほのかんさつにっき ぴかろん
かんじばかりれんしゅうしていても、おもしろくないので、ぼくは「りか」のべんきょうをした
ありのかんさつ
なぜ「あり」をってきかれたら、こうこたえます
ぼくはとってもひまなので、じむにいきました
でもこわくなってかえってきました
そのとちゅうで、ぼくはべんちにこしかけました
じめんをありがはっていました
いっぱいいたのですが、なかに、いっぴき、なにかをもっているありがいました
きっとこどもたちへのぷれぜんとだろうな…
このありは、きょうが「はつげっきゅう」だったんだな、ともうそうしました
もうそうすると、じんせいがゆたかになると、おーなーからききました
まさお…まよさんもいってました
ほかにも「さっかせんせいがた」というひとたちもそういっているとききました
だからぼくはもうそうしました
ぷれぜんとをもったありは「す」にかえるとちゅうのようでした
あすふぁるとのはしっこに、ひびわれたぶぶんがあります
そこに、あながあいてます
ありがつくった「す」だとおもいます
そこにはいっていって、そのありは、すぐにでてきました
いえをまちがえたのかな?
そのありは、きたみちをもどって、またぐるっとまわって、おなじあなにはいりました
またすぐにでてきました
だからちがういえだろ?といってやりました
でもそのありは、そのあとも、ごかいぐらいそのあなにはいってはでてきました
そういえば、てじゅんさんは、
「はらぐあいがおかしくて、でたりはいったりくりかえしくりかえし」といいわけをして、はじをかいたそうです
「はらぐあいがおかしい」ことをひとにいうのは、「はじ」ですか?
きっと「はらぐあい」ではないのでしょう…
「でたりはいったり」というところに、みんなはなにかをかんじたようです
ぼくは、ふと、いなさんをみました
いなさんはうつむいて、またにやにやしていました
それはさておき、ありです
そのありはようやくちがうあなをみつけました
そしてはいっていきました
でてきませんでした
いえがみつかったのね?よかったよかった
こどもたちにぷれぜんとをわたせたのね?よかったよかった
そうおもって、ぼくはてをたたきました
てをたたきながら、ぼくはこどもたちのかおをおもいだし、さみしくなってなみだをこぼしました
そうしたら、さんぽちゅうのすはせんせいが、はんかちをかしてくださいました
すはせんせいは、にっこりわらいました
ぼくは、なみだをみられてはずかしかったです
これは「はじ」ですか?
#僕の忍耐 妄想省家政婦mayoさん
闇夜は5Fの自分の部屋を行き来していたけれど
シチュン☆メイ_*成就*のために自分の部屋を明け渡した
おかげで僕は一気に10歩...前進した^o^
1歩_僕の部屋に朝からずぅぅ〜といる
2歩_僕の部屋でシャワーを浴びる→僕寝てるけど..
3歩_僕の部屋でバスローブを着る→僕寝てるけど...
4歩_僕の部屋で部屋着に着替える→僕寝てるけど...
*部屋着→メイにもらったヤンクミジャージ^^;
足が異常に余ってる←殿中でござる..の様...でも可愛い..ぐふっ
5歩_僕の隣のベットで寝る→ソファ就寝禁止令発令
*近頃の気候でアレルギー悪化〜体調不良〜夜は熱が出る
6歩_僕...隣のベットに夜這い→ち◎う。他何もしない..<忍耐>
7歩_朝...一緒に起きる→みみxxx〜おはようの囁き。他何もしない..<忍耐>
8歩_僕...先にベットから起きる→僕朝シャンの間に闇夜起きる〜僕のバスローブに後ろからハグ#
9歩_闇夜...朝シャン→僕着替える〜ドライヤーかけ手伝う
10歩_朝のお茶→僕..梅茶、闇夜..コーヒー
こんなに一気に前進して一気に地獄へ落ちないか僕は不安だ....
背中を向けている闇夜の後ろにぺったりくっつく....
僕らの鼓動は言葉と一緒だ
闇夜の心臓の鼓動が背中を通じて僕の心臓へ届く....
僕の心臓の鼓動が背中を通じて闇夜の心臓へ届く...
やがて2人の鼓動が同じリズムを刻む...
そうすると僕達は眠りに入る...
僕は<その日>を待っている
闇夜も<その日>なら...僕を受け入れる。自信はある...
だから今は無理をしないと決めた...
僕の頭にはちぇみの言った言葉がこびりついている
★あいつは一度離したら二度と戻ってこないぞ。忘れるな...★
僕から離れないと思える<その日>はもうすぐ訪れる
僕の<忍耐>が終わる時が来る....