指導懇願   ぴかろん

タタタタタタトントン☆
「はい」
「スヒョンさん」
「おや、テジュンさん、どしたの?」
「すみません、ご指導お願いします、こちらへ」
「ちょちょちょっと待ってよ…ドンジュン、ちょっと出てくる」

「はぁ〜い…」

「…眠たげな声ですね…お邪魔でしたか?」
「いえ、もう」
「…やはり3分ですか?」
「は?…いや、夜の間中」
「よるのあいだぢゅう?!」
「はい」
「…ぜひともその辺のご指導を…」
「は?…あの、そんなに知りたいなら僕よりドンジュンのほうが…」
「えっ?!BHCでは貴方が一番だと聞きましたが…」
「いやぁドンジュンにはかないませんよ」
「そ…そうなんですか?!…ではドンジュン君は絶対にイナに近づけないでくださいね…」
「は?…はあ…」
「…ドンジュン君か…」
「あの、聞きますか?彼の講義を」
「…は…はい!是非とも」

「ドンジュン、テジュンさんがお前の講義聞きたいって」
「ふぁぁ…そうなの?眠いけど…いいよ」
「いいそうです。どうぞ」
「…あの…ぅっ」『腰にバスタオル…(@_@;)他人様のこーゆー場面に出くわすと…ドキドキするっ』
「なぁに?ああ、裸だから?シャワー浴びたとこだからさ…スヒョンが一晩中放してくれなかったからぁ…」
「何言ってんだ!お前が僕を寝かさなかったんじゃないか!」
『どきどきどき…』
「だってスヒョンったら全然解ってないんだもん!」
「解るもんか!」
「僕の好きなことなら何だってやりたいって言ったじゃんか!」
「…言ったけど…注文が細かいし…」
「細かいとこまで知りたいって言ったじゃんか!プン」
「…あのっ細かい注文とは?」
「ああ…あのね、どうして車は走るのかっていう初歩の講義をしてたんだけど、スヒョンったら何度言っても理解できないんだよねぇ
…ギョンビンならすぐ解るのに…」
「僕は理数系はあんまり好きじゃないんだよ、詩とかさぁ…」
「フン!その手でソニョンさんを落としたって話だろ?」
「…だから…過去の事は…」
「あのうっ…講義とは…車の事?」
「うん」
「一晩中ってのは?」
「だから車はどういう仕組みで走るのかっていう講義」
「…スヒョンさん、すみません、ドンジュンさんが一番というのは『車について』でしたか?」
「当然」
「…」
「…どしたの?」
「あの、では、接吻などの講義はどなたがお得意で…」
「節分?」
「いえ、その…キス…」
「キスって魚の?」
「…いえ…その」
「ははは、わかったわかった、チューの事ね。そりゃあ…僕だろうなぁ、ねぇドンジュン?」
「…ミンチョルさんの方が…」
「…」

暗くなるスヒョン

「っていうか、ミンチョルさんは自然にそういうテクニックが出てくるっていうかぁ」

ますます暗くなるスヒョン

「ヒヒヒ」
「あの…本当にミンチョルさんの方が?」
「んー、でもあの人、講義は下手だと思うよ」
「では、キスの講義を受けるとしたらやはり」
「スヒョン。ねぇスヒョン、教えてあげなよ、スヒョンのテク」
「…」
「いじけてんの?やだなぁ。そりゃあミンチョルさんのキスは…なんていうかその…禁断の香りがするけどさぁ、スヒョンのキスは銀河を泳ぐっていうか
砂漠を疾走するっていうか…ねぇスヒョン〜いじけるなよぉ」
「…どうせ僕は…」
「編み物する?」
「…」
「ねぇスヒョン、僕が好きなのって誰だか知ってるよね?」
「…」
「もうっいじけてないで!スヒョンだよっちゅ☆」

にやけるスヒョン
その顔を見て自分もああだろうかと思うテジュン

「さあテジュンさん、何でも聞いてください!」
『わかりやすぅ…僕もイナにチュとかされると…こうだろうか…』
「キスですか?」
「あ…ハイ…あの…例えばキスが楽しめる食べ物ってなにがありますかねぇ?」
「は?キスが楽しめる?食べ…」
「食べながらキスが楽しめる物です」
「…」
「スヒョン、何考え込んでるのさ、決まってるじゃん。飴」
「…ああ、そういうことか…」
「テジュンさんの言ってる意味解ってなかったでしょ!ジジイなんだから!」
「…」
「テジュンさん、飴が一番楽しめるね。おいしいし甘いし受け渡しも出来るし、それも溶けるまで何度でも…」
「…誰といつ、どこでそういうことをしたんだお前…」
「してないよ!バカスヒョン!ちょっと考えたらわかるじゃんバカ!」

落ち込むスヒョン

「飴…それはもう」
「試したの?やるぅ」
「いえ…先手を打たれまして…(;_;)」
「…んじゃ、んじゃ、ちょっと溶けちゃうけどチョコもいいよ。ドロドロ具合がたまんないかも。アツアツの恋人同士にはお勧めのアイテム(^o^)」
「ミンチョルか!ミンチョルと試したのか?!」
「バカ。ミンチョルさんには食べさせてあげただけじゃん!見てたくせにバカ」
 
落ち込むスヒョン

「チョコですか…他には…」
「後…ちょっと、オジサン、落ち込んでないでなんか考えてよ」
「おじさん…」

ますます暗くなるスヒョン

「暗くなってると嫌いになるけどいーい?」
「あはっそ…そうだなー、んっとぉ、長く口にあってぇ、受け渡しができてぇ…こぎれいにキスが決められるものか」
「そうそう、プラス味もよくなきゃね」
「じゃ、酢昆布!」
「…」「…」
「長く食べられる、味もいい。そして健康にもいい!」
「ジジイ」

落ち込むスヒョン

「無視しようね、テジュンさん…あと、そうだ。プルルンっとしたものもいいかな?例えばカップゼリーなんかどう?
プルプルしてて…ドキドキしちゃう!(^o^)」
「そんな技術を誰がお前に教えたっ!」
「想像してるだけじゃん!誰にも教えてもらってないよバカ」
「本当か?!」
「…知らない!」
「おいっドンジュンっ」
「バカはほっとこうねテジュンさん。まあそんなとこだね」
「メモメモっと…。あと…『脳天が痺れるようなキス』とはどのようにすればできるのでしょうか…」
「…脳天が痺れる…うーん、僕、そんなのされた事ないし、僕にはできないなぁ」
「された事ないってお前!僕が全身全霊をかけてお前に心をこめてするキス」
「された事ないから解んない。ごめん」
「おまえっ…」
「だって脳天痺れないもんスヒョンのキス」

落ち込むスヒョン

「…どうすれば…」
「でもスヒョンのキスは中々素敵だからやり方教えて貰えば?」
「…でもあんなに落ち込んでおられては…」
「しょうがないなぁもう。ほら、スヒョン、こっちこっち」

チラリとドンジュンを見るいじけたスヒョン

「ほーらほら、イイコだからこっちおいでぇ。でないとこっちのおじさんに懐いちゃうぞぉ〜」
『オジサンって僕のことか?』
「ガウウウ!」
「こらこら!噛み付かないの!バイキンついちゃうよぉスヒョン」
『ひどい!』
「グルルルル」
「よしよし、このおじさんがね、スヒョンのぉキスのテクニック、知りたいんだって…。見せてあげよっか…」
『み…見せる?!うぉぉぉっ(@_@;)』「べべべ勉強になります!」
「ねっスヒョン」
「クゥン」

… … …

「はぁっ…こんな感じかな?どう?」
「…うーん、その、外から見てても中がどうなっているのかよく解りません…」
「やだなぁもう〜、じゃもう一回しよっかスヒョン」
「ワンワン♪」

… …

『ふむ。ふむふむ。優しく触れてチョイと離れ、そしてカパッといってチウチウチウか
…んで…どうやら中はぐるぐるか…メモメモ…そして…えっと…あの…』「あのぉぉぉ」

「…んふ…ン…ス…んぁ…」

「(^^;;)お…お邪魔いたしまし…」

スヒョン、名誉挽回


中毒   ぴかろん

タタタタパタン☆
「ニャー!ニャー?…ニャー…いない…」
教えを請うて実践しようと、短い休憩時間に急いで部屋に帰ったというのに、イナはいない…(あ、シャレだ…)

どこいったんだよ!全くもう
電話してやろっと

……

出ないじゃんか…何してんだ!アイツ…どきどき
まさかまた…

バタン…タタ…タタタタ

チッ「総支配人、どちらですか?」
チッ「あ…部屋を出たところです」
チッ「至急ホールに来てください、舞台中央の補強が必要になりまして…」
チッ「了解、すぐ行く…きっと白夜倶楽部のパフォーマンスのせいだ…ああ…ニャーったらどこよぉ」

『ニャー、どこにいるの?にゅ〜はとっても心配だよぉ(;_;)
お願いだから危険に身を晒さないでね… にゅ〜より love』


はぁ〜テジュンさんって可愛いなぁ
フフ
うまくキスが決まるといいね
でもあーんなアツアツのカップルなのに、もっとアツアツになる気かなぁ…
全くスヒョンといいテジュンさんといい、オッサンが恋すると見境なく突進してくるよなぁ〜フンフン♪

僕は何の気なしに廊下を歩いてたんだ
何の気なしに壁を見ながら歩いてた
壁にかかった絵、よくわかんない抽象画が何個かあった

へーんなのっ。車の絵を飾ればいいのにっ
そんなこと思いながら歩いてた
そして…

切り取られた壁の中に、二人の人物がいて、キスをしてた…
キスを受けているらしい人は、手を宙に泳がせて、まるで雷に打たれたようにその手をわなわな震わせたり、上下にゆっくりと揺り動かしたりしていて…
まるで、徐々に…殺されているような…そんな気さえした

僕は背筋が寒くなり、その場から動けなくなってしまった
キスを落としているほうの人は、僕が彼らを凝視している事に気がつき、目だけを僕の方に向けた…そう、スヒョンがよくやるみたいに…
でもスヒョンが見せ付けるようなキスじゃなくて、もっと無機質な、何の愛情も感じられないような、そんなキスに見えたんだ…

キスを落としていた人は、体を入れ替えて、キスされている人を僕に見えるようにした…わざとね…

…何やってんだよ…
…何…

僕は叫びたかった
スヒョンに言いつけに行きたかった
でもそこから動く事が出来ず、そして目を離す事も出来なかった

イナさん…何してんだよ、テジュンさんアンタのために、恥をしのんで僕らのとこへ来たんだぞ!知ってるの?!
それなのにあんた何やってんだよ!イナさん!

僕は勇気を振り絞ってその切り取られた壁…非常階段のドア…の方へ一歩踏み出した
途端にゆっくりと扉がしまり、絡み合った二人は壁の向こうに消えてしまった…


俺は…惹きつけられる…この人に…この人のキスに…

彼が唇に触れると、俺の脳はショートする
ビリビリと痺れてしまい、何も考えられなくなる
彼を突き飛ばそうとする本能と、このまま口付けていて欲しいという欲望がせめぎ合い、俺の手は宙を舞う
体中にビリビリと、痺れたような感覚が走り回る…
俺はただ、彼の口付けを深く貪りたくなって、離れたいのに彼の唇を求め続ける
彼はそれに応えてくれる…
もっと違う刺激を与えてくれる…
キスだけで俺は…

彼の唇から漏れる音と俺の漏らす吐息だけが響く
俺はテジュンに申し訳なく思いながら、この人の口付けを激しく求めている

…ん…んふ…んぁ…ぁぁあ…ん…う…

電話が鳴った
俺の手は宙を舞うだけで、電話の方まで届かない
彼が俺の電話を取り、そして階下に捨てた…

バタン…

彼は扉を閉めた…
そして俺から少しだけ唇を離した
それに耐えられず俺は自分から彼の唇に吸い付いた
彼は俺を押しとどめて言った

「お友達が来たようだ…続きは…また今度…」

そう言ってもう一度俺にキスをして走り去った
荒い息を吐きながら、俺は壁伝いにずるずると座り込んだ

バタン☆

「…イナ…さん…今の…誰さ…テジュンさんじゃないよね…誰だよ…誰なんだよ!何やってんだよ!」

…ドンジュン?

「…こんな事するなんて…テジュンさんが可哀相だよ!イナさん、テジュンさんの事好きじゃなかったの?!」

…好きだ…大好きだ…テジュンなしじゃいられない…

「じゃあ今の人何さ!テジュンさんに似てるけど全然違うじゃん!何やってんのさ!」

…ごめん…ごめんなさい…ごめん…


イナさんはそう呟きながら、涙を流していた
階段の中ほどに転がっていた携帯電話が、間抜けな着信音を奏でている
イナさんは手を伸ばしたけど、その場から動けないようだった

「あれが…『脳天痺れさせるキス』の人なの?」

…ああ…

「…ふぅん…」

ひどい話だ…ひどい…
んもぉっ!僕ギョンビンの事も気になるのに!
なんでこんな色ボケ男の事もなんとかしようとしてるんだろっ!

…だってさ、僕らのところに訪ねてきたテジュンさんは…イナさんへの愛情が満ち溢れてたんだもん…ほっとけないよ…ね?スヒョン…


努力の人   足バンさん

わたしのホスト研修も大詰めとなった
チンはこのところ忙しくてスパコンもなく快適よの
あ、いかん
僕のホストの研修もけっこう大詰めだし
チンってばここんとこ忙しくてスパコンないし超快適ぃ〜!

この総支配人にコーデネイトしてもらったモードもグーだ
スタンドカラーの白シャツに春色のジャケット
細身のパンツ(下着のことではないぞ)はオフなホワイトだ
髪は軽く流してうしろで無造作に結んである

BHCで憶えた基礎知識。微笑み×ちょっと冷たい視線
個性の確立と誘惑テク(なんと淫らな響きよの)
あとなんであったかな
まぁいい。あとは実践あるのみだ

お、あれに見えるはオールインのチョンウォン氏
ああいう真面目タイプには清純派が効果的だったかな。うむ

「あ、チョンウォン君」
「はい?なにか?」
「お忙しいですか?」
「はい。舞台の詰めで」
「外はすっごくいいお天気です。お散歩しませんか?」
「……」
「あの僕高価なものなんて欲しくないんです」
「……」
「そうだな…大事なのは思い出かな」
「じゃ、急ぎますので。失礼」

げーーっ!なによ!完璧な無表情で行っちゃったじゃんかぁーーっ!
おっ!あそこにいるのは同じくオールインのイナ氏。なんでジャージで壁に貼りついておるのだ?
ああいうタイプには…友情編が効果的だったな

「イナ君!」
「どうも。今ちょっと忙しいんですが」
「おまえなによそよそしいこと言ってんだよぉ」
「は?」
「殴ってこいよ!みんな受け止めてやるよ!」
「へ?」
「殴り合ったあとは一緒に笑うんだろぉ?」
「ちょ、あ、ほらチンさんが呼んでますよっ!」
「えっ!?」

って…振り向いた瞬間にいなくなってるし…すばしっこいお人だ
どうも調子が出んな。人選に誤りでもあるのか?いや、ホストたるもの万人に受け入れられなくてはな

お、あれはソンジェ氏ではないか。おお、彼は人情タイプだな

「お久しぶりですソンジェさん」
「あ?どうも」
「僕あなたの歌を聴いているといつも優しい気持ちになります」
「それはどうも」
「胸のこの辺りが熱くなって苦しい時があります」
「ちょっと失礼…」
「え?なんで脈?」
「冷や汗とか出ることないですか?」
「あ?はい」
「肩や背中に痛みは?」
「いやべつに…」
「心筋梗塞は若い人にも起こります。早く検査した方がいい」
「あう…はい…近いうちに」
「僕の先輩の病院を紹介しますからいつでも言って」
「あ、チンが呼んでるので…またの機会に。失礼」

ううむ。慌てたぞ。なかなかうまく行かんな
やっぱりもっと軟派な者の方が入り込み易いのかの
というところへ…ドンジュン氏ではないかっ!いつぞやは失敗したからな

「はぁいドンジュン君」
「あ?将軍さん。なによ今日はばっちりキマッテるじゃない」
「だろう?今日こそドライブ行かない?」
「なんだか忙しくってさ。祭終わってからにしようよ」
「そんな後じゃ僕の興味は他に移ってるかもしれないよ」
「意地悪なこと言わないでよ」

お!いい展開じゃ!ついにメグライアン嬢のポスター作戦実践の時が!

「いいからこっち来いよ」
「あん…なにすんのさ将軍さん」
「潤んだ君の瞳に乾杯」で唇を…

スッパコォォォーーーン!

「痛てぇ!チ、チンかっ!」
「ドンジュンに手を出すなっ!」
「スヒョンったらぁ、もぉダイジョブだってばぁ」
「だって…」
「僕が世界一好きなのは?」
「ぼく」
「ばか」 ん…んん…

…勝手にやっておれ…たわけ


秘密部屋8  妄想省家政婦mayoさん

「またかよぉ〜」
「そんなに怒る事じゃないだろ?」
「何回も変わったら困るじゃないっ!」
「君が勝手に決めるからだろっ!」

   ソファで映画を観ていたちぇみテスはテソンの声にびっくりして振り返った
  「「…テス@o@..@o@ちぇみ…」」

「勝手にって…いいよって言ったじゃないっ」
「僕は君の負担になるから変えようって言ってるんだ!」
「優柔不断っ!」
「何ぃっ!!!」

 「どうしたんだろ…」
 「めずらしいな…あいつらが…」

「私がいいっって言ってるじゃないっ!」
「君のために言ってるんじゃないかっ!」

 「ちぇみ…止めた方がいいかな..」
 「いや…面白そうだからちょっと見てよう、テス」
 「うん..」@_@…@_@

「わかりましたっ!…あなたの言うとおりにしますっ!」
「何だよ、それ!」
「何さっ」
「もっと優しい言い方出来ないわけ!?」
「出来ないのに言うわけ?」

 「ちぇみ…大丈夫かな…」
 「…どうしたんだ…いったい…」

「もういいっ」 
「よくないっ!」
「…こういうテソンは嫌いだっ!」
「あぁ!僕もこういうmayoは嫌いだ!勝手にしろっ!」
「……」
「ぁ…mayo…ッシ?…」

バタン★★……闇夜は部屋を出て行った

  「「テス @_@…@_@ちぇみ…」」



すれ違い 2   オリーさん

ミンの背中が一日中目に焼き付いて離れなかった
やっぱり会いに行こう
僕はそう決心してエレベーターホールに向かった
イナに会った。ちょっと様子が変
どうかしたのか、と聞いた
いや、何でもない
そうか、じゃ。と行きかけて思いついた
変な奴がウロウロしてるから気をつけろよ
変な奴って?イナがビクッとした
テジュンさんにそっくりなんだ
イナの顔色が変わった
人の過去に詳しくてキスしたがる
イナが僕に詰め寄った
お前もしたのか
いや、僕はちょっと触られただけだ
触られた?く、唇か?
ああ
で?どうなった?お前何ともなかったのか?
え?
感じなかったか?
一瞬ショックだったけど、すぐミンが助けてくれた
イナははーっとため息をついた
お前、あいつと何かあるのか?
いや
イナはそのままふらふらと行ってしまった。大丈夫か?
いけない、ミンの部屋に行かなくては

彼の声が耳から離れない
肩を抱いてくれた時何で避けたりしたんだろう
やっぱり会いに行こうか
でも、まだ
すべて打ち明けてみようか
いや、だめだ
でも
そうだ、会うだけなら
彼の部屋に行ってみよう

部屋をノックしたけど返事がない
こんな時間までどこに行ったんだろう
しばらくドアの外に立っていた
ポケットに手を突っ込むと携帯があった
そうか、電話すればいいんだ
そういえばミンとはあまり携帯で話した事がない
必要なかったから
携帯を取り出してしばらく考えた
何て言えばいいんだ
今部屋の前にいる、会いたい
簡単な事だ
でも僕はそのまま携帯をしまって歩き出した
出直そう

彼の部屋をノックしたけど返事がない
こんな時間まで仕事だろうか
今日はもうすべて上がりだと聞いたけど
そういえば、今朝の怪しい奴
あいつはプロだ、同じ匂いがした
ただ僕とはフィールドが違う
とても胡散臭い
なのに彼はあんな風に寝そべって無用心この上ない
あの人は案外自分のことがわかってないから始末が悪い
誰だって襲うだろう、彼が芝生で寝そべっていたら
そうだ、携帯に電話してみようか
でも携帯で離すのは得意じゃない
出直そう

ミンに会えなかった僕は部屋に戻ろうとエレベーターに乗り込んだ
扉が閉まりかけた時、黒い影がさっと飛び込んできた
ソク隊長だった


仲間思い   ぴかろん

「スヒョンっあのねぇ…ごにょごにょ…」

ドンジュンに飛びつかれた
イナの事か…
ほっときなよ
自分から奴を求めてるんだから…

「テジュンさん可哀相じゃんか。あんなに一生懸命キスの仕方聞いてさ、忙しいのに…」

だって…どうしようもないだろ?

「どうしようもあるよ!何とかしなきゃ!」



「何さ!」

…お前…変わったな

僕はムキになってるドンジュンが愛しくて、引き寄せておでこにキスしてあげた

「もう!とにかくイナさんをあんっ…」

お決まりのキス
だって可愛いんだもん
キラキラしてて

はっ!こんなキラキラしてフラフラしてたらそれこそ『脳天痺れ野郎』に狙われる!

お前、顔見られたの?そいつに!

「うん」

…絶対僕の傍から離れるなよ!

「大丈夫。ま、一回ぐらい痺れるキスしたい気も…」



「あれ?怒らないの?」

…いや、僕もちょっと味わってみたいかなって

ぼかっ☆

てぇっ!なんで殴るのさドンジュン!

「プンっ!…とにかくイナさんを元に戻してあげなきゃって聞いてるの?スヒョン」

おせっかい…

「…テジュンさんやチニさんのの気持ちを踏みにじるような事、許せない!僕、そういうのイヤだ!」

…ドンジュン

お前はずーっと真っ直ぐだったんだね…
あ、そうだ、お前にと思って編んだ白い真っ直ぐなメリヤス編みのマフラーを

スパコォォォン☆

ってっ!なんでさっ!

「今それどころじゃないっつーの!ジジイ!」

ひどい…

プリプリ怒る可愛いドンジュンに引っ張られて、僕はイナを探しに行った


俺はそこら中をふらふら歩き回った
テジュンを探していた
そしてソクを…

「イナ!」「イナさん!」

天使と悪魔が俺に何か説教しにきたようだ
曰く
テジュンが飴だのチョコだのゼリーだのを仕込んで、その上スヒョンのテクを学んで俺を待っている

…何の事?

「お前が痺れるキスに痺れてるからだよ!」

…ああ…

「反応が悪いね、ちょっと失礼」

そう言って悪魔が俺を抱きしめた
スヒョンの目が釣りあがるのが見えた


あーあ、やっぱテジュンさんが好きなんじゃん…
罪悪感。刺激への欲望。…ん?
…寂しい?

「あーんなに想われてるのになんで寂しいのさ!」
「え?寂しい?誰が?」
「イナさん、寂しいって思ってるでしょ?気づいてないの?」
「…寂しい?」
「ちょっとドンジュン、僕に代わってよ」
「だめ!」
「なんでさ」
「前にイナさんとキスしてたもん!イヤだ」
「…でへ…妬いてる?」
「…。イナさん、ちょっと考えてみてよ、何で寂しいって思うのか…」
「…」
「ドンジュン、ねえ、妬いてる?ねぇって」ぼか☆

ドンジュンはスヒョンの腹にパンチを食らわした
それから俺の目を見つめた
俺は痺れが取れない頭で考えた


好きな人は…   ぴかろん

寂しい?

テジュンは休憩時間になると飛んで帰ってくる
そしてありったけの愛情を込めたキスをしてくれる

ソクが出てきてからは『心配』が加わった
俺は愛されている
窮屈なくらい愛されている
束縛がイヤなんじゃない…
なのになんでだろう…

テジュンは今とっても忙しい
明日から祭だ
そのテジュンに俺は心配かけてる
そんな事してちゃダメなのに…
だってさ…
だってさ…
ここ二、三日、俺たち、一緒に寝てない…
テジュンはそこらへんで仮眠してるみたいだし
一人で部屋にいると

ああそうだ
寂しくてたまらないんだ
テジュンの匂いのする枕を抱いてても
テジュンの唇を思い出しても
寂しくなって涙が出てくる

祭が始まるという事は
もうすぐ終わるって事だ

終わったら…

その事ばかり考えてしまう
こんなじゃダメだとあの日会合に行って、そしてソクに出会った
解ってるよ、ソクのキスが興味本位だって事ぐらい…
彼は、俺にキスする度に、何かしら違う事を試して俺の反応のデータを取ってるんだ
何に使うのか知らないけど
彼のキスに愛なんか感じない
刺激だけしか…
でも俺はそのキスでテジュンを想う
テジュンが俺を愛してくれる時を思い出す…
キスだけで俺はイキそうになる…

テジュン…ごめん…テジュンなしでいられないのは俺の方なんだ…
ごめんテジュン…


格闘   オリーさん
 
ソクとかいう奴はどこか胡散臭い
今朝のことも忌々しい
テジュンさんに似ているのでよけい始末が悪い
とにかく相手にしないことだ
だが奴は僕の顔を見るとふふっと笑った
恋人に会えなかったんでしょ
まただ、いやな奴
無視しているとそばに寄ってきてキスされそうになった
片手で振り払って無視していた
冷たいなあ、イナ君は優しいのに
というつぶやきが聞こえた
僕は振り返って言ってやった
イナが優しいのはあなたがテジュンさんに似ているからでしょう
奴の目がちょっと怒りに燃えたように光った
そして次の瞬間僕は腹部に強い衝撃を受けた
息が止まりそうになってうずくまった
何するんだ
そう言おうとしたが声にならなかった
ソクは僕を引きずり起こすと壁に押し付けた
鈍痛で体がうまく言う事をきかない
奴は力が強かったんだ、ミンに気をつけろと言われたじゃないか
今からいいことをしてやる
ソクはそういうとキスをしてきた
僕はソクを突き放すと扉の方へ手を伸ばした
その手をソクが捕まえもみ合いになった
ミンに護身術を習っておけばよかった
イナに蹴りを教えてもらえばよかった
ふとそんなバカな事が頭に浮かんだ
気がつくとソクが僕の上に馬乗りになっていた

そしたらまただ
どうしてこいつはそんなにキスをしたがるのか
顔をそむけると奴は僕を平手で打った
痛いじゃないか、人の顔を
それにしてもエレベーターはいつ着くんだ
扉の方を見ると停止延長ボタンが赤く光っていた
手回しのいい奴だ
最初に食らった腹への一撃がじわじわ効いている
イナが言ってたな、けんかは仕掛けた方が絶対有利だと
その後何度かキスされそうになり、
その度拒んでいるので平手で打たれた
どうしてくれる、これは絶対腫れる
ミンに見せられないじゃないか
それに髪の毛もくちゃくちゃだ
どうしてくれる、ヘアスタイルが決まらなかったら
でもそんなことを気にしている場合じゃないかもしれない
だんだん頭がぼうっとしてきた
たぶん平手で何度も打たれたからだ
奴が僕の顔を覗き込んで言った
私はテジュンになんか似てない
そのとおり
あの人はいい人だもの、と言ってやりたかったが口が動かない
どうしてくれる、口の中を切ったじゃないか
生ぬるい血の感触が口一杯に広がった
まったく、どうしてくれる
だからそばにいてくれって言ったじゃないか
ミンの顔を思い浮かべてそれから僕は気を失った

しまった、やりすぎた
気絶したらキスができない
ということはリサーチができない。ちぃ!
テジュンの事を言われてついかっとなってしまった
さてどうしよう
とりあえず、エレベーターから降ろして
よし、こいつの部屋に運ぼう
停止ボタンを解除した
扉が開いたのでそろそろと足を運んだ
が、なんであいつがここに!

エレベーターがなかなか来ない
あきらめて階段を駆けおりようかと思ったら動いた
少し待つとすぐ扉が開いた
信じられないものを見た
あいつが彼を抱きかかえて出てきた
どうしてそうなるんだろう?
いや、彼の様子が変だ
僕はあいつに体当たりして彼の顔を覗き込んだ
口から血が出ている
この野郎!何をしたんだ!
あいつは彼を僕の方に投げるようによこしてから僕らを突き飛ばして逃げた
逃がすものか
僕は彼をそのまま横にするとあいつの肩を掴んで引き戻した
あいつはふりむきざまにもう身構えていた
やはりプロだ
隙がない
でも僕は言いようのない怒りに突き動かされて
あいつに向かって行った

うるさいなあ、バキッ、ドスッって。どこだろう?
何だかぼうっとしてよく見えないけどまた喧嘩だ
喧嘩の多い日だな
あれ、ミンじゃないか
ていうことは相手はあいつか、ああやっぱりそうだ
でもどうして?
ミン…呼んでみたけど声が出てるのかな
あ、聞こえたみたい、こっちに来る
あれ、何で泣いてるの?
あ、だめだ、あいつが後ろから蹴ってくるぞ
うわっ、僕はいいから、早くあいつ何とかして
すごいなあ、プロ同士って
イナとジュンホがいればもっと迫力あったのに
何だ、ミンも回し蹴りできるじゃないか
今のは効いたぞ

だから気をつけてって言ったのに
何であいつとエレベーターなんかに乗るんですかっ!
違う
僕が悪い
わかってるんだ、僕が悪い
だからせめてこいつをたたきのめす
テジュンさんに似てるからって容赦しない
思い知らせてやる
二度と変なマネはさせない

あの野郎本気できやがって
お互い加減がわかるんだから手加減しろよ
ちょっとやりすぎただけじゃないか
うわっ、顎を蹴られた
くそっ!
もしかして今後の調査に差し障りが出るかもしれない
顎の骨大丈夫だろうな
イナ君にち○うできなくなったらあいつのせいだ
とりあえず撤退

あ、あいつ逃げてく
ミン追わなくていいからちょっと助けてよ
さっきから僕の靴エレベーターの扉に挟まれてるんだけど
靴がへこむじゃないか、イタリア製なのに
取ってくれてありがとう
うん、大丈夫だけど、顔赤い?
え?それどころじゃない?
くっそー!あの野郎!
とにかく部屋に連れてって
でもミン強いな
見直したよ
え、口きくなって
わかった
でも口きいてないと痛くて
口の中切れちゃったみたい
そうそう、おなかもパンチされたんだ
ひどいだろ
でも僕キスさせなかったから
え?当然だって
少しくらいほめてくれったていいだろ
おかげでこの顔だ、どうしてくれる?
腫れるだろうなあ
僕の美意識が許さない

涙が溢れて止まらない
みんな僕のせいだ
彼は痛いと言いながらどんどんしゃべってる
僕の涙の意味がわかるってるから
もう黙ってて
いつもはそんなにおしゃべりじゃないでしょ
でも彼は黙らない
次から次へと話をする
僕の顔がおたふくになってもちゃんとキスしてくれなきゃだめだよ
また涙が溢れる……


秘密部屋9  妄想省家政婦mayoさん

テソンは闇夜が秘密部屋を出た後、大きくため息をついた
両手をポケットに突っ込みデスクにちょっと腰を落とす姿勢のまま
俯いては外を眺め、また俯いては天井を見つめる
大声を出した自分を責めた。
ソファの縁から見ていたちぇもテスはテソンの傍に寄った

「テソン?」
「…あ..聞いてたんですか…」
「ふっ..聞こうと思わなくても聞こえる」
「そうですね..すいません」
「ねぇテソンさんどぅしたの?」
「ん?ぅん..」
テソンは自分のことを心配そうに覗いたテスの頭を くしゃっ# として情けなく笑った

  部屋を出てすぐ闇夜は #ズンズンズン…#と廊下を歩いていたが、
  ため息をつくと俯いてトポトポと歩いていた

  闇夜は“ずぼら”に見えて、実はテソンよりもはるかに神経質だ
  先回りをして何事も収めそれを悟られないようにしてしまう
  そんな自分のことをテソンはよく知っている
  ありがたいのを素直に言えない自分に無性に腹が立っていた
  闇夜は顔を上げてドアをノックした

「めずらしいじゃないか…お前達..」
「初めてですね…こんなのは..」
「そうか..何が原因なんだ?」
「僕の…僕の..言い方がいけなかった..」
「いや..闇夜の方も強烈じゃないか?」
「えぇ..まぁ…でも頑固に黙っていられるよりいい…」
「テソン..」
「思い切って言ってくれた方がいい。かなりの進歩ですよ」
「ふっ..それも一理あるか」
「はい…」

コンコン☆
「お、どうしたの?」
「あの…今時間いい?」
「ん?いいよ..どうぞ」

「テジンッシ..また…」
「ぷっ!気にしなくていいよ..で?テソンの案にするの?」
「…うん」
「はは..それがいいよ。木は暖かみはあるけど..無垢の木材はすぐ汚れる。嫌でしょ?」
「ぅん…」
「外で使うとなると材料には手をかけなきゃならない」
「防腐剤でにつけた木を使うんだよね」
「でも永久的ではないんだ。木も呼吸してるからね」
「また上塗りしなくちゃいけないのね?」
「そう。それに、薬剤のことを言ったら、あいつはすぐ聞いてきた」
「何を?」

「ん?アレルギーにはどうだって」
「…ぁ」
「はは..やっぱりな」
「今はかなり安全なのもあるって言ったけど..木材の案はもうあいつの頭から消えたみたいだ」
「そう..じゃ..リビングの大きなテーブルは」
「テラスのを辞めた代りにあいつが頼んできた」
「そう..何回もごめんなさい」
「いいよ。テーブルの塗料は安全だし極微量にする。あいつにもそう言っておいた」
「ぅん..」
「あ、モチーフは"ひまわり"?」
「テジンッシ~~」
「はは..これ、もうすぐ書き終わるから後で部屋に持っていくよ」
「ぅん..お願いします」 パタン☆

テジンは闇夜が部屋を出て30分ほど後に秘密部屋にラフスケッチを持って行った
部屋に闇夜が来たことをテソンに告げると部屋をあとにした
2時間たっても闇夜は秘密部屋に帰って来ない
ちぇみテスはわざと大きい声で話をした
「ちぇみぃ〜」
「何だ〜テスぅ」
「mayoさん何処いったんだろぉ〜」
「頭冷やしてんだろっ」
「外にいたら風邪引いちゃうぅ」
「いいんだ。あいつは熱ぐらい出たほうがいい」
「mayoさんが熱出たら誰が着替えさせるのぉ?」
「ぐはは..また俺たちでやるしかなだろうな、テス」
「えへっへっ!そうだね」

テソンが血相変え..怖ろしい形相で振り向いた
「ちぇみ!てす!」
  「「テス@_@メ..@_@メちぇみ..テソンさん怖い」」

テソンは突然立ち上がり上着を手にした
ちぇみはそれを見ると車のキーを投げ、 テスは筒状にきちんと丸めてある闇夜の毛布を投げた
テソンはそれらを宙で受け取ると秘密部屋を飛び出した

闇夜は工事の終わりかけているベーカリー2階中庭で☆を見ていた
その様子を少し見ていた寝ていたテソンはそっと近づき後ろから毛布を掛け、闇夜の優しく包んだ

 「風邪ひく…」
 「…ごめんテソン…ッシ」
 「もういいよmayo..ッシ」
 「「ぷっ…」」
 「冷えてるじゃないか..ったく…」

テソンは大きく毛布を広げると闇夜と一緒に頭からすっぽり毛布にくるまった
 「ぉ..ぉ…ヤメ…」
 「いいから……」
 「ぁ…………☆」

「ちぇみは何処にいるかわかったの?」
「ん..たぶんあそこだ..」(あいつらxxxくらいしたかなぁ..)


氷解   ぴかろん

「スヒョン…」
「テジュンさん呼んで来い。僕はイナをテジュンさんの部屋に連れて行く」
「…うん…」
「ドンジュン?」
「なぁに?」
「なんでお前がシュンとするのさ…」
「…イナさん達、祭終わったら…」
「…ドンジュン…お前が心配したって」
「『どーにもならない』でしょ?…冷たいんだからな、スヒョンは」
「…ドンジュン…」
「行ってくる」

「テジュンさぁん」
「やぁドンジュン君」
「ねぇ、1時間ぐらい休憩とれない?」
「1時間?!…無理だなぁ…どうして?」
「あのね…ごにょごにょ」
「…え…」

僕がテジュンさんにイナさんの事を伝えると、テジュンさんは真っ青になった
そしてオ支配人に何事か喋って部屋の方に駆け出した

あー、ほんっとに好きなんだなぁ…
テジュンさん、なんだかやつれて見えたよ…
無精髭まで生えてた…

「スヒョン?」
『ドンジュンか、テジュンさんいた?』
「そっちに走ってったからスヒョンすぐに部屋から出て」
『オッケー…じゃあこの後はぁ、二人で』
「僕今からギョンビンのとこに行ってくる。じゃね」ブチ☆

「…ドンジュンのばか…僕もイナみたいになっちゃうからなっ!…あ、足音がする!ヤバい、逃げよう!」
バタン、タタタ

タタタタタタタバタン☆

「ニャ…」
「テジュ…」

僕は驚いた
イナは迷子のような顔をして、そこにいた
またあいつに惑わされたのか…バカだな…

僕はイナを強く抱きしめた

「ばか。なんで言わないの…寂しいなら寂しいって…」
「…テジュン忙しいもん…」
「…忙しくてもなんとか時間、作るさ!ばか!」
「…」
「イナ…」

… …

テジュンは俺のシャツを脱がせて、いきなり首筋にキスをした

「嫌だ、なんで唇にキスしてくれないの?!」
「…」
「アイツと比べると思ってるの?」
「…イナ…」
「…いいよ、時間がないならさっさと済ませればいいんだ!」
「ばか!」

テジュンは俺を怒鳴りつけると、俺の体をベッドに押し付けて顔を睨みつけた

「僕はキスが下手かもしれない!でもお前を思う気持ちは誰にも負けない!さっさと済ませるだなんて…」
「忙しいんだろ?仕事しろよ!ばか」
「お前…なんで祭が終わった時のことばかり考える?別れようって言うのか?」
「…」
「僕は離れない!お前が僕を嫌いにならない限り離れない!」
「…テジュ…ン…!…」

テジュンは俺の唇に激しく吸い付いた
俺の…脳天に…衝撃が…

なんで?!
テジュンだろ?

俺は怖くなってキスに痺れる前にテジュンの肩を思いっきり押した

「イナ!嫌なのか?僕じゃだめなのか?」
「…テ…ジュン…だよね?…アイツじゃない…よね?」
「…何言ってるんだよ…僕だよ!ほら!ハムちゃんだってある!髪だってアイツより長いだろ?!」
「…」
「ばかやろう!もういいよ!」
「…テジュン…もう一回キスして…」
「もういい!勝手にしろよ!アイツがいいならアイツのとこへ」
「俺にキスしてくれよ!」
「…それが最後の望みかよ!」
「ちが…ん…」

テジュンは乱暴に俺の唇を貪った
あ…なんで?
本当にテジュンなのか?
なんで俺は…

俺はその口付けに意識が飛ぶほど痺れていた…

これは…テジュンだ
確かに…テジュンだ
なのに俺はアイツのキスと同じぐらい…ううん、それ以上の痺れを感じている…
体が震える
バラバラになりそうなぐらい感じる…

テジュンはいきなり唇を離した

「もういいか!これでいいんだな!」
「テ…」

喋れない…腕も上がらない…行かないで…行かないでよ…

「アイツのところで可愛がってもらえ…」
「テジュ…」

俺は必死で体を動かして、出て行こうとするテジュンに手を伸ばした
俺はベッドから転げ落ちてしまった

「イナ!大丈夫か?!イナ」
「行かないで…テジュン…キスしてよ、優しくしてよ…」
「イナ…」
「優しいキスして…」
「…わかったよ…」

ゆっくりと俺の唇を自分の唇でなぞり、テジュンは俺に深い口付けをした

…ん…テ…ジュ…すご…

じんわりと体中に甘い痺れが広がる

どうしたの?テジュン…
こんなに凄いキス、どこで教えて貰ったのさ…

俺は震える腕をテジュンの首に回してその唇を求め続けた

「…ん…イ…ナ…どうした?」
「…ん…すごい…なんでこんなすごいの?」

俺たちはそのまま、もつれ合って…


はー、ニャーは美味しい
ニャーは可愛い
たまんない(^o^)
僕はすっかり安心して、僕の胸に顔を埋めているニャーの頭をナデナデした

「すっごいキスだった!誰に教わったの?」

なんて聞かれても僕、別に、いつもと一緒のキスしただけだぞ?
スヒョンさん達に教えを請うたけど、よくわかんなかったからいつものキスだよ?なんで?

「脳天どころか体中痺れちゃって、キスでイキそうになった…」

え?でへへへ…ほんとぉ?

「…ん…」

きゃーイナ〜かわいいいっちゅっちゅっ

「…あっ…あっ…」

え?こんな軽いキスでもそんなに感じちゃうの?
どれ、ちゅちゅちゅちゅちゅっ

「あああああっ」

…お前、ふざけてない?

「ちがう…モン…本とに…」

???
なんでぇ?

「なんでだろう…」

どっかいつもと違うかなぁ…

「…あ!」

なに?

「…お髭だ…」

お…髭?…無精髭?

「…ん…」

へ?

「それがじゃりじゃりして…」

へ?へ?
た…確かにソクは、髭がうっすら生えてたけど…え?それが
脳天痺れるキスの正体?!
…うっそだろぉ?

「だぁって…ジャリってすると…ビビッて…」

じゃあ何か?!髭剃ったらもう…そんなに感じないっての?

「わかんない…」



「あっでも…抱いて…くれ…たら…大丈夫…かなっと」

そう恥ずかしそうに言うとイナはシーツを被ってベッドに潜りこんだ

ふーん…わかったよ…
たまに無精髭生やしてキスしてやる
だからイナ、もうアイツんとこ行くんじゃないぞ
アイツ見かけたら防御しろよ?ん?

イナはシーツから潤んだ目だけ出して僕に言った

「…その『ん?』っての、俺の前だけにしてよね」


秘密部屋10  妄想省家政婦mayoさん

テソンと闇夜はBHC覗きっこ部屋にあるベンチをベーカリーの2階に運び入れ、
中庭から入れる渡り廊下に置いた。毛布にくるまった2人はベンチに並んで座っている

 「ふぅ..結構重かったね」
 「運ぶってきかないんだもの」
 「mayo…ッシ」
 「何」
 「もう〜『なぁに?』とか言えないかなぁ」
 「そういうのを期待されても困る」
 「そっ..祭りが終わったらみんなで引っ越しだ」
 「ぅん……祭り始まるのかな」
 「ぷっ…ほんとだ..あ、部屋余ってるの?」
 「3つ使うから..あとは2つ余ってる」
 「3つ?」
 「ちぇみテスで1..とテソンッシと私それぞれで2..」
 「僕と一緒じゃないの?」
 「部屋は別だ!」
 「はは..冗談だよ..(一応)」
 「覗くなよ」
 「約束はできませんね〜覗く前に<夜這い>かなぁ」
 「おぃ!」

「mayoさん見つかったかなぁ」
「電話してみろ。たぶん出ないぞ」
「えへっ..そう?電話しちゃおっと」

  ♪tears〜♪☆.。.:*・°☆♪ 「「…切っちゃえ…」」♪♪…ブチッ☆

「あっ…切れちゃった…」
「ぷっ…一件落着だな…」

    テソンはもう一度闇夜と一緒に頭からすっぽり毛布にくるまった
  「ぉ..ぉぃ……ヤメロ……ッテ..!ヤメ…ナンダヨ..コイツ…」
  「今日だけ……」
  「マタ…キョウダケカヨォ………ぁ………☆」
 
  「もぅ!こういうテソンッシは嫌いだっ」
  「そう?僕はこういうmayoッシは好きだけど?」
  「お…お…ぉ…」


わがまま  オリーさん

「いやら、僕はれったいにだれにもあはない」
「でも…」
「見舞いもことはる」
「でも…」
「イナもスヒョンもらめ、ロンリュンもってのほか。れったいらめ!」
「みんな心配してますよ」
「わかってる、れもらめ。まつりもれないから」
「え?じゃPDどうするんですか」
「スヒョンかイナにれもやってもらう。適当に」
「そんな…」
「とにかくこの腫れが引かない限り、僕はられともあはないから」
「総支配人が怪我の様子を確認したいって言ってますけど」
「らめ。確認しなくていいから」
「医者を呼びましょうかって」
「必要ない。らめ」
「そうですか」
「あ、テリュンさんはマスターキーれ強引に入ってくるかもひれないからロアチェーンかけといて」
「はあ」

冗談じゃない。こんな顔を人に見せられるか。こんなに腫れるとわかってたら一回くらいキスさせてやればよかった。あの野郎!許せん!これでミンが戻ってこなかったら八つ裂きにしてるところだ。ミンも体には結構あざが残ってるくせに見えるとこにはない。これがプロとアマの違いか。ちぇっ!

「ミン、おなかすいた」
「何食べます?」
「おかゆ。かめないから」
「わかりました」
「ルームサーヒス入れる時気をつけてよ。ロンリュンあたり変装して入ってくるかもひれないから」
「あ、そうら。例の二人にも連絡しといて。れったいにこの部屋モニターするなって。撮ったら殺すって言っといて」
「はい」
「ミン、のろがかわいた」
「何飲みます?」
「みる。ひみるから」
「わかりました」
「口うつしれ飲ませてくれたらうれひいな」
「いいかげんにして下さい」
「ひいいん」
「ほら、拗ねないで。飲ませますから」
「ふふっ」
「やっぱりやめようかな」
「ひいいん」


秘密部屋11  妄想省家政婦mayoさん

深夜ホテルに帰ってきたテソンと闇夜
毛布くるみがいたく気に入ったテソンはやたらと毛布を広げたがって闇夜は困った
深夜の廊下はほとんど人がいない。闇夜は毛布くるみを許すことにした
テソンは嬉しそうに肩から毛布でくるみ2人は並んで歩いた

 『ちぇみ!来た!』
 『お!隠れろ、テス!』
秘密部屋のソファの背から覗くコモテス@_@@_@
 
ガチャ★
「あれ?電気が消えてる。ちぇみテス戻ったのかな」
「テソンッシ…今頃2人は[絶頂ぉ〜###]の時間..いるわけないしょ」
「今日は何回だろ..ちぇみテス」
「何言ってるの..」
「ぷっ!xxxの回数だよ..何勘違いしてんの」
「あ..そっか」

 『ちぇみ〜(^^;)』
 『あ・あいつら…xxxの回数数えてられるか..なぁテス』
 『ぅん』

「あ、まだ電気付けなくていい…窓際に行こう」
「ぅん」

 『ぷっ!おくるみかよ』
 『でも、何だかとっても暖かそう..ね..ちぇみ』
 『ん…』
テソンはまた毛布をひろげた
「…ぁ…(またかいっ!)」

 『テス!xxxはどこにしてる!見えるか?』
 『見えないよぉ〜ちぇみ〜あ、顔見えた!』
 『今だ!電気付けろ!テス!』
 『うん!』

パチッ☆☆
「ちぇみ!テス!」
「まだいたんですか!」
「ぷっ..やっぱりそこまでか…テソン、道は険しいな..テス、帰るぞ」
「うん!テソンさん、もっと頑張って!」
「ぁぅぁぅ…」

バタン☆
「ぁぅ…油断大敵…何たる不覚」
「すぐ電気付ければよかった..ごめんmayoッシ」
「いいよ」
「どうせならちゃんとすればよかった..今度ね!」
「ぁ..ぁ…」

気をとりなおして留守中の録画を確認する2人
「…@@mayoッシ」
「…@@テソンッシ」

「んぐははは…ぉぉぉ..」
「ぷっひっひ..おもももも..」
「ぁ〜も〜駄目」
「こ・これ..どうする??」
「ど、どうするって..どうするよ」
「て・テソンッシ…な・泣いてる」
「ま・mayoッシも…な・泣いてる」
お互いの涙を親指で拭う2人…
「これ持ってたらミンにコロサレルな…」
「でも永久保存したい…」
「消す?」
「ん〜」
「やっぱ、消そうか…」
「ん〜」
「ミンは怖いよ?」
「ん〜」
押し問答が深夜まで続いていた…


裏庭   足バンさん

ミンチョルさんの怪我の話を聞いた時スヒョンの表情が変わった
すごく怖い顔をして窓から外を睨んでる
ミンチョルさんもギョンビンも絶対に名前を言わないそうだけど、あのソクってやつに決まってる
僕もめちゃくちゃ腹が立ったけど…
スヒョンのその顔を見て僕はいきなり不安になった

こんな時なのに僕は自分のことばかり考えてる
ミンチョルさんの影がまたスヒョンを覆っているんじゃないかって
スヒョンがあのホテル以来キスしかしてくれないのも気になってる
しばらく忘れていたシンとした気持ちが流れる

「ちょっと出てくる」
「やだっ!どこ行くのさ!」

スヒョンの腕を掴んでみたけれど、猛烈な怒りしか感じなかった

「ソクのとこに行くの?」
「大丈夫。なにもしないから」
「スヒョン」

スヒョンは僕を抱きしめて静かに離した
僕は出て行ったスヒョンをそっと追った

ソクは思ったより早く見つかった
裏庭の小さな噴水の横で煙草をくゆらせていた
僕は少し離れた建物の陰から様子をみることにした
テジュンさんにそっくりのその横顔には木の影が落ちている
スヒョンが近づくと後を向いたまま言った

「なにか用か」
「ずいぶんなことをしてくれるじゃないか」
「チェ・スヒョンか」
「僕の番はまだか」
「いずれ」
「今やれよ」

なに言ってんだよ!ばかスヒョン!

ソクはゆっくりと振り返って立ち上がり煙草を捨てた
スヒョンは相手を睨んだまま動かない

そのままソクが近づき両手で頭を挟んで冷たい目で見ている
それでもスヒョンは腕を垂らしたまま微動だにしない
ソクはいきなりキスをした

僕は飛び出して止めようとして…動くことができなかった
ソクの冷めた目に足がすくんだから

その光景に僕は激しい動悸をおぼえた
自分の心臓の音が2人に聞こえるんじゃないかと思った
時間が止まったように見える

突然スヒョンが苦しそうになってソクを乱暴に押しのけた
ソクは両手を挙げたままなんの抵抗もなく離れた
スヒョンは口をぬぐい相手を見つめる

「あなたは…」
「君は他の人とはなにか違うんだな」
「……」
「また今度ゆっくりとね」

ソクはさっと身を翻して木々の向こうへ消えた
スヒョンは噴水の縁に疲れたように座り込んだ
僕はためらってからゆっくりと近づいてみた

「スヒョン…どうしたの」
「ばか…なんで来たんだよ」
「だってソクが…」
「手に負えない…あいつの背負ってるものは…」
「スヒョン…」

僕はスヒョンの頭部を抱きしめた
ソクの深い哀しみが流れ込んでくるけれど、それ以上は複雑でわからない
スヒョンはまた、ひとの泥のような哀しみを吸ってしまった

「ドンジュン…」
「半分こしようって言ったでしょ」
「うん」
「大丈夫。僕がいるから」
「うん」
「脳天痺れた?」
「ばか」
「こんなこと続けてたら僕たち壊れちゃうよ」
「大丈夫だよ」

僕はスヒョンの顎を支えてゆっくりとくちづけをした
噴水はなにごともなかったように小さなしぶきをあげている


わがまま2 オリーさん

おかゆが熱いと文句を言いながら全部食べ、
のどが渇いたと言って口移しで水を飲んだ後、
彼は疲れたと言って眠ってしまった
ほんとにひどく腫れてしまった顔を僕に向けながら
昨日部屋に戻って僕はすぐにタオルを水でしぼり彼の頬を包もうとした
その手をさえぎって彼は言った
もういいだろう。戻っておいで
僕は答えられずに視線を落とした
さっき君の部屋に行った
ずっと待ってた
もっとずっと待ってればよかった
でもそうしなかった
もう後悔はしたくない
彼はよどみなく言った
僕はまた涙が溢れてきた
好きにさせようと思ったけどやめだ
無理をするのはよくない
いつもそばにおいておかないとだめだ
仕事も手につかない
だからもう絶対に逃がさないからね
彼が僕にすべてをぶつけているのがわかった
僕は心の底にこらえていたものが最初はゆっくりと
そして突然勢いよく流れ出るのを感じた
声を出して泣いた
彼は僕の頭をそっと抱くとこう言った
僕は簡単には死なないから
びくっとして顔を上げると
彼はいたずらっ子のように笑ってだから心配しないでと
僕はその後ずっと声を出して泣きつづけた
体中にたまっていた澱を全部出し切るまで

そんなわけで彼の顔を冷やすのがかなり遅れた

何だけっこうやられてるじゃないか
僕がシャツを脱ぐと彼は言った
確かにちょっとあざがある
奴はかなりできます
でも大したことありませんよ
後ろから食らった蹴りはちょっと効きましたけど
ああ、僕が呼んだ時にのこのこ来るからだよ、あの一発だろ
そうです
来なくてもよかったのに、すぐ戻れって言っただろ
だったら最初から呼ばないで下さい
しかたないじゃないか、つい呼んじゃったんだから
彼はそう言うとクスクス笑った
そしてこう言った
いいかい、僕はわがままだからね
だから君でないとだめなんだ、わかる?
それからずっと彼はわがままを言ってる
誰にも会わない
ドアチェーンをかけておけ
医者はいらない
僕のへこんだ靴をなんとかして
おかゆが熱い、もっとふうふうして
そしてきわめつけは、この顔を今すぐ元通りにできない?
その度に僕は言うんだ
無理ですよ、わがまま言わないでください、って
これからずっと言いつづけるんだ…

僕は彼の横にそっと滑り込むと彼のぬくもりを感じながら目を閉じた


謎のミン 妄想省家政婦mayoさん

深夜までのおくるみのおかげで僕はその後ぐっすり眠れた
朝起きて僕はいつものように♪♪を付けた
今朝の闇夜はデスクに突っ伏して寝ている
肩にかかっていたチェックの毛布を掛けなおした時
闇夜は目を開けた

ごめん…起こした?
ん・いや..(*^_^*)

目覚めの笑顔は僕にはすごく貴重。他の誰も見れない
正直僕はコレだけで鼻血が出そうになる
でも調子にのって顔近づけると デコにペチンッ★だ
そしてまたいつもの#おとこおんな顔…道は険しい…

デスクに一枚の資料があった
◆ミン・ギョンビン追加項目
*1_女の目に弱い
*2_妻チョンヒョンとの新婚旅行メキシコで<仕込んだ>息子チフン。妻自宅駐車場で爆死
*3_ミン語録...<仕込み>について言った言葉
 「あの時は日に三度も四度もしたのにどうしてわかるんだ」…あらら..
*4_ファッション
  コート:Burberry、靴:.BALLY、ネクタイ:Christian Dior、煙草・ライター:Marlboro・DUNHILL

「mayoッシ..これ…あのミン・ギョンビン?」
「ぅん」
「お、おい…ミンに息子がいるの?」
「みたい…」
「おっと…それに何、結構すごいこと言ってるし…」
「大学教授のとき大学生を部屋に連れ込んだりもしてたよ」
「ほんと?」
「うん…まぁ###なしの仲間みたいな感じだけど..でも全裸で絡まってるし」
「…オ・オモ」
「Xマスに妻に香水一瓶と一緒に黒のレースのぱ○つ送ったりとかさぁ」
「オ・オットケ@@…も・もちろんその晩は…」
「うん…すごかったみたいさっ!」
「ひょえぇぇぇ〜」
「ミンのさ..『…日に三度も四度もしたのにどうしてわかるんだ』の妻の返事って何..」
「『自分の身体の仲に燦爛たる星の光が降り注いだ』だって..」
「くぁぁぁ〜〜で?」
「んっと..『ユカタンの海辺をぶらついて砂浜で<こと>に及んだ時に<できた>らしいよ」
「はふん..」
「あまりにも違うでしょ?最初のミンと」
「うん..兄弟かな…」
「で、この謎のミン…ミンミンのミンと同じ任務遂行してるのよ..謎でしょ?」
「うん…謎..」

*5_アナスターシャ・バレンティナ・コリョロフ
  ニコライの部下ーロシア秘密諜報部員・元プリマドンナ
  青い目・髪色黄金色→ウクライナの実った麦畑を思わせる

 アナスターシャの尻を撫でるギョンビン..ギョンビンの心の麦畑は風の中で揺れる..アナスターシャの虜になるギョンビン…
 アナスターシャがギョンビンの…に…を…わせ..ギョンビンの最も…な…を…して…
 ギョンビンは低い…声を…た…息づかいの荒くなるギョンビン..そのまま目を閉じるギョンビン..
 ミン語録…「人間は…直感で分かることも多いよ」

「ねぇ..謎ミン..やっぱりミンミンのミンとは別物だよ…」
「ぅん…アナスターシャも完璧ロシア女だし…」
「「ん〜〜謎は深まる…」」


空  ぴかろん

先生を散歩に誘った
ホテルの外の公園に…
芝生がまぶしかったから

僕達はあれから、穏やかに時を過ごしている
先生が僕を助けてくれた
お義父さんが呼んでくれた僕の名前…
嬉しかった

先生、ありがとう

僕はかなり泣いてからようやくそう言えた
先生も泣いてた
ずっと一緒に泣いてくれてた

先生、ありがとう

僕はもう一度そう言ってみた
先生は何も言わずに…ううん、言えずに…僕の頭を抱きしめた

今先生は僕の横にいる
ぴったり寄り添って歩いている
僕は先生の手に触れた
先生は僕の手をそっと、でもしっかりと握り締め
僕の方を見て微笑んだ

暫く歩くと先生は急に僕の手を離して走り出した
そして声をあげて芝生に飛び込んだ
子供みたい

僕も先生に続いて先生の隣に飛び込んで寝そべった
先生は空を見上げる
僕は先生の顔を見つめる

「ウシク、気持ちいいね」
「うん」
「…僕の顔見てないで空を見てごらん」
「うん」
「…ウシク、そ・ら」
「うん」
「…こら」

僕は先生の顔から目が離せない
見つめているだけで涙が溢れてくる

「ウシク…おいで」

先生は僕の頭を自分の肩に引き寄せて撫でてくれた

「なんの涙?」

先生は『泣くな』とは言わない
どうして泣いてるのか、そっと聞く
僕は先生に素直にその理由を伝える

「好きだから」

うふふと笑って僕を見る先生
ほんとにこないだまで閉じこもってた人かな?
なんてあったかくて広いんだろう、この青空みたいに…
僕の涙はまた溢れる
先生は僕の髪に口付けする
何も言わない

「先生、僕の事好き?」

んふふと笑ってまた髪に口付ける

「何とか言ってよ先生…」
「だって言葉に表せないくらい…」

そこまで言うと僕を強く抱きしめた
先生の声が聞こえるような気がした

暫くして先生は体を起こした
僕も体を起こして隣に座った
すると先生は自分の前を指差した

「え?」
「ここに来てごらん」

僕は先生の足の間に座らされた
変な感じ…
先生は後ろから僕を丸ごと包んだ
大空に包まれてるみたいだ…

僕は目を瞑って空気を胸一杯に吸い込んだ
先生の香りがした
先生は僕の髪に顔を埋めて口付けしている

「くすぐったいよ…」
「ウシク…愛してる…」


思いもよらない言葉に僕は体の芯が軋んだような記がした
『好き』じゃなくて『愛してる?』

「愛してるって…どういう…こと?」
「君の全てが好きだ、愛してる。そばにいて欲しい…」
「先生…僕、先生をあんなに傷つけたのに」

僕の声は震えていた
愛される資格なんてあるのかな…

「…僕達は…全てをさらけ出した…僕は僕の汚い部分も君に見せた…君もそうだろ?」

確かに僕は、自分でも気づかなかった怖ろしい自分を先生の前に露わにした
僕は先生を苦しめて…喜びさえ感じていたんだから…
そんな僕を…先生は…

「君でなけりゃダメなんだ…僕は今の君も、あの時の嗜虐的な君も…どちらも好きだ…何もかも好きだ…」
「先生…」

また涙が溢れた
僕の全てを受け入れてくれるの?

僕が泣き出したのを感じたのか先生は抱きしめる腕に力を入れた
そして僕を胸に引き寄せて顔を覗き込んだ

「ずっと一緒にいて欲しい…無理かな…」
「いるよ…先生と一緒に…いる…」

涙でぐちゃぐちゃの僕の顔を、先生は両手で撫でてくれた
それでも僕の涙はとまらない
先生はまた両手で僕の頬を撫でてそして

「むにゅうううん」
「ひゃ…ひゃひしゅふんへしゅはっへんへひっ」

ぶにょぉんとつまんで横に引っ張ったのだ!
そしてクスクス笑い出した

「ひゃにゃへほっ!」
「ククク…あははあっはははっヒーヒーあー可愛いっ」

大笑いして手を離すとまた僕を抱きしめた
こんなに明るく笑う先生なんて初めて見た

「…もしかしてこの笑顔も僕のおかげ?」
「クフ…さあね」

先生はちょっと意地悪になった

「ねぇ…僕の全てを…受け止めてくれるの?」
「いや」
「…」
「もう受け入れてる」
「…」
「空っぽになったからね、心が空き空きで寂しくて…」
「せんせ…僕は先生の事受け止められないかもしれないのに…」
「構わないよ、僕が包んであげる」

僕は先生のシャツのボタンを外した
先生はまん丸の目をして僕の手を止めようとした
僕は先生を見つめてそれを制した
先生の胸に手を突っ込むと、先生は少し不安そうな顔をして回りを窺った

僕は先生の胸から、僕のイニシャルのペンダントを取り出した
先生がほっとした顔をした
それから僕がつけている先生の羽根チョークのIのペンダントを引っ張り出した

「これね、こうなるんだって」

二つのペンダントが一つになるということを今まで言いそびれていた
組み合わせて先生の目の前に差し出した
先生はそれを手のひらに乗せていとおしげに見ていた

「…イニシャルが逆だよね…先生が僕を包み込んでくれるんだもん…」

僕は先生の方に向き直って先生の胸に顔を埋めた
先生は片手で僕の肩を抱き、もう片方の手に乗ったペンダントにそっと口付けした
僕は先生が欲しくなった…

「先生…」

僕の欲求が解ったのか先生はなだめるように僕に言った

「ケリをつけてから…。待てない?」

僕はふっとため息をついてコクリと頷いた

「ウシクってせっかちだなぁ…」
「先生がのんびりしすぎなんだよ!」

拗ねた僕の唇に、先生の唇が重なった…


その男ソク。  足バンさん

ふんだ!ふんだ!ふふんっだっ!
なんだよ、みんなで僕のこと悪ものあつかいしてさっ!

もとはと言えばキム・イナが悪いんじゃないかっ!
大人しく祭の警備やってそのまま引っ込もうと思ってたのにさ!
あんなテジュンと間違えっからっ!
あんなやつ好きな女ひとりも捕まえらんなかった男だよ?
なのにどうよ、あんなかわいいネコちゃんと堂々と付き合っちゃったりして!

イ・ミンチョルだってなんだよ!キスのひとつやふたついーじゃん!
あんなイヌにくんくん助けられちゃってさ!
僕だってけっこうやられちゃったんだかんね!
だぁーーれも、なぁーーんにも心配してくんないしさ

おまけにあのチェ・スヒョンには怖い顔で迫られちゃうしよ!
もう押し倒されたらどーしよっかと思ったじゃん!

特捜部やめたあとずぅーーーっとやりたかったのよっ!
遺伝子の研究っっ!
クローンの研究っっ!
わかる?わかる?わかってよねっ!
もうめっちゃくちゃその件では酷い目にあったんだから!
超サイテーーッて目にあったんだからねっ!
奥さんにまで逃げられちゃってさ!目も当てらんないよ!

BHCの連中見つけてこりゃすげぇいいサンプルだと思ったのにさ!
どうやって統計とろうかと思ってたら
キム・イナが飴玉口ん中入れて来たってわけじゃない!

もうストイックな生活長かったから驚いたのなんのってっ!
でも面白いから遊んじゃったらやつがあんまりうっとりするもんでさ
かき回してるうちに新しい自分を見つけちゃったわけだよ
なんか僕のキス凄いって噂みたいだし。そう?照れるなぁ

絶対お楽しみ調査遂行してやるんだから!

でも…大切な人がいるやつらって…ちょっと羨ましい…ちょっとへこむ…
いいよな…ゴリアトのやつは…ふんっ


電撃ちう  ぴかろん

「いいか、ぜーったいアイツに近づくなよ、ん?」
『ひゃあんかっこいい〜』「…ん…」
『うひょぉん、たまんねぇ』「それから、正面からきたら飛び蹴りだ、ん?」
『はぁん…』「…ん…」
『くうっ』「後ろからは回し蹴りな、ん?」
『たまんない』「…ん…」
『かわいすぎるっ』「でもお前、隙だらけだし…、ん?」
『あうっ』「…ん…きおつける」
『がるるっひらがな喋り攻撃だっ』「…キスしていいか、ん?」
『ひはふへほひ』「…ん…」
『きいいっ焦らしてやる!』「どんなのがいいの?ん?」
『ひゃん、はやくぅ』「…すっごいの…」
「あれ?『…ん…』は?」
「…ん…」
『ひひひかわい〜っ』「すっごいのって、どういうの?ん?」
『んもぉっ』「いぢわるだ…」
「あれ?『…ん…』は?」
「じらすとソクんとこ行っちゃうぞ!」
「あっダメだダメだ、ん?」
『あうっ…』「はやくしてよぉ」
「『…ん…』は?」
「…ん…っていうとこじゃないじゃん」
「じゃしない。仕事してくる!」
「ああん、にゅ〜のばかっ」
「ははははふはははは、拗ねた顔も可愛い〜、こっち向いてニャー、ん?」
「…ん…」

はむはむはむビリビリビリくたっ

「あれ、ニャー、ほんとに気失っちゃったよ、へえっそんなに僕ってすごいの?えっへっへっへっ」

チッ『総支配人!いつまで休憩してるんですかっ!』
チッ『すまん、つい…』

「ニャー、また後で…にゃ、ん?」
「やだ!もう一回」
『ぐへへへぇこれだもぉん』

はむはむはむびりびりび

ぶちん☆

はあああ。こんな風に僕たち、なれるのかなぁ

テソンは闇夜をチラっと見た
闇夜が怖ろしい目で睨んでいるの「でへっ」と笑ってみた
闇夜はますます怖ろしい目つきになった
テソンはがっくりうなだれてモニターをつけた

背中で闇夜が「うふっ」と微笑んだことをテソンは知らなかった


その男ソク★ちょっとの癒し  妄想省家政婦mayoさん

ちぇみテスはホテルの敷地内を軽くジョキングしていた

ちぇみの切れのいい瞬発力は若い者に引けを取らない
上体をふらつかせずに腕のふりと同時に踏み出される足の運びはスムーズで力強い

対するテスの走り方は上体はふらつき左右に揺れるため
腕の位置も定まらない。足がリズミカルに運ばない
特に下り坂の走りは駄目だ。足が絡まったようにもつれる
ちぇみより若いというのにちょっと走っただけで
顎を出してへなへなとへたり込むんでしまう…

「もぉ〜だめぇ〜ちぇみぃぃ〜」
「テス…お前はホン..トにスポーツ駄目だな」
「ぅん。駄目。あぁ…疲れた」
「急に止まっちゃ駄目だ。大きく深呼吸して」
「はぁ〜〜ふぅぅぅ……何でちぇみは昼も夜も元気なのかなぁ」
「鍛え方が違う。特に夜はな..んだはは」
「ちぇみ..^^;;..」
「お、すまんすまん。大丈夫か?ん?…じゃゆっくり歩こう」
「ぅん.はぁ..ふぅ..」

2人水分を補給しながら歩いていると近くのベンチに座るソクを発見した
「あ、ソクさんだ」
テスは駆け寄っていった
「お、おい!テス!..ったく…こういう時はすばしっこい奴だ」

「ソクさん!」
「お?テス君か..奴は?」
「ん?一緒だよ。ほら…」
ソクは近くの木に寄りかかり自分の方を見て見ぬ振りのゴリアトを確認した
「ソクさんが見えたからっ。どうしたの?」
「お?..うぅぅ〜ん」
「あ..みんなに嫌われちゃってるから?元気ないの?」
「ぁ・ぉ..て・テスく…ん…奴に聞いたのか..」
「あんましひとつのことに熱中しすぎない方がいいよ?少し楽に生きるのもいいよ」
「テス君…」
「へへ..じゃねっ!またね!ちぇみが待ってるから」
「ぉ..おぉぉん…」

テスはちぇみの懐めがけて走って行く
ちぇみはテスを ひしっ☆ と受け止めると、テスの髪をくしゃっとした後かきあげた
「心配させるなっ..テス」
「えへっ。ごめんね、ちぇみぃ」
「ん〜テスぅぅ〜 」

『はぁ…僕には何が足りないのだろう…遺伝子を取り替えようか…』


ソクとイナ   ぴかろん

俺はまた一人で出歩いている
でも今はもう大丈夫だ!
にゅ〜のキスはソクのキスより上だ!
ふふん、それににゅ〜は…ふふん…

多分俺はニヤニヤしながら歩いていたんだろう
ちょっと隙があったんだ…
そういう時はやっぱりソクが現れる

腕をぐいっと引っ張られたとき俺は…
ちょっとだけ期待した…

…ソクのキスを忘れかけていたので…いや、もうにゅ〜のキスがあんまりすごくってへへへっ…でへへへっ

「何をヘラヘラ笑っている」

ソクが俺に言った
キスもしないで
ちぇっ…

「何って…思い出し笑い…」
「…君は僕を悪者だと思ってる?」
「へ?」
「君が僕に優しいのは僕がテジュンに似ているからって本当?」
「え?俺がアンタに優しい?…俺、別に優しくしてないよ…ただキスが凄かったってだけでさ…」
「…あれは優しさじゃないと!」
「…あれって?」
「飴をくれたり、僕のキスに喜んだり」
「喜んでねぇよ!アンタのおかげで大変な事になるとこだったんだからな!」
「…喜んでは…いない…」
「へん、アンタのキスよりテジュンのキスのが凄いんだぜ!へん」
「なんだって?!」
「な、何怒ってんのさ…」
「…あいつがキスがうまい?!あーんなミルキーボーイがっ!へっ!」
「なんせ愛情がタップリだもーん…えへへ」
「わかった!キスはもういい。じゃあ▽ッ●×だ!それで勝負だ!君はアイツともうすでにそういう関係だったな?!」
「…はぁ?」
「では僕とも▽ッ●×を試してみて、それでどちらが上か決めればよい!」
「ばっかじゃねぇの?」
「…」
「悪いけど俺、アンタとそんなことする気なんてないから!じゃ!」
「待て、キム・イナ…君は『入れ替わり』を執拗に望んでいるが、ハン・テジュンは執拗に断り続けている。そうだろう!」
「…」
「私なら、入れ替わりに応じるがどうだ!」
「は?」
「入れ替わると言っているのだ!」
「…いらない。俺もう入れ替わらなくていいもん」
「何?!つくづく気が変わりやすい男だな!」
「とにかくさ、アンタ、明日から祭なんだから、なんか出し物でも用意したら?」
「出し物はセップンショーだ」
「…あそ」
「まて、君が相手役なんだが」
「ばかじゃない?」
「受けてくれ」
「嫌ですお断りしますじゃあ」
「あっキム・イナ!…冷たい…みんな僕には冷たいんだから…グスッ」

うーん、入れ替わりオッケーかぁ…
テジュンに内緒にしとけばわかんないよな…
テジュンがどーしても嫌だって言ったら…フフ


えろみん語録  妄想省家政婦mayoさん

「mayoッシ」
「ん?」
「このえろぎょんびんさ…結構いいこと言ってない?」
「ふふ..そう思う?」
「ぅん..『人間は直感で分かることも多いよ』ってなるほどなんだけどさ…どうよ」
「ぷっ..じゃもっといいの教えてあげる」
「何..」
「ん?『愛を確認する最善の方法はただひとつだけ…』」
「わかった!..xxxx?####?」
「テソンのパ〜ボ!パボ!(馬〜鹿!馬鹿!)」
「ぁぅ…^^;..じゃ、何」
「『互いに正直になることである。それだけははっきりしている』ってさ」
「ぅ〜ん..うちのメンバーみんなに言えるじゃん、これ..」
「あ..アナスタ語録もあるよ」
「何」
「んっと..『自ら進んで落ち込む人は、他人を幸せにはできないから』ってさ」
「それ、昔の僕!..まさに僕..だよね」
「^^;;…あとね..
『すべての記憶は自然に曖昧になっていく…そこには理由がある…それを拒否するのは傲慢じゃないか…』ってさっ」
「何かしらの傷で自分を縛っちゃうもんな…忘れない様に忘れない様にって..」
「忘れることが罪みたいに思っちゃ駄目なんだけど..っさ」

「「ん〜…やはりミン?…謎...」」


ショップ  オリーさん
 
ホテルのショップで誰かに腕を掴まれた
振り返るとギョンビンだった
Tシャツにジーンズって随分くだけた格好してるじゃん
今あまり部屋から出ないので、と照れくさそうに笑った
そうだったね。どうミンチョルさんの具合は?
ちょっとわがままで…
え?
いえ、まだ腫れてるから食べるものにちょっと困ってて、今買出しです
ふうん、口移しで食べさせろとか言われてんじゃないの
カマかけたら耳まで真っ赤になっちゃって
うぶな奴
ふうん、やっぱりやってるんだ、そういうこと
でも何だか明るくなったみたいだ
この間の凍りついたような表情がなくなってる
よかったね、戻れて
心配してくれてありがとう、ってまた照れくさそうに笑った
素直な奴
ミンチョルさんはギョンビンのこんなとこがいいのかな
ふと思った
でそのミンチョルさんをスヒョンが好きで、
そのスヒョンを僕が好き
一応矢印はスヒョンが僕ということで落ち着いたけど、でも
あのソクっていう人のところに行ってからスヒョンは考え込んでばかり
スヒョンも脳天痺れたのかな、まさかね
何か心配事でもあるの?というギョンビンの声がした
いや、全然。何もないよ

それよりミンチョルさん祭出ないの
うーん、腫れが引かないと誰にも会わないって強情で
見たいなあ、どんな顔してるのか、ふふっ
特に君には用心してるみたい
ふふっ、忍び込んじゃおうかな、変装して
うん、たぶんそういう事しそうだって言ってた
ちぇっ、読まれてるのか。でもそんなに腫れてるの?
まあ、ちょっと
ギョンビンの顔がちょっと暗くなった
そういえばビョンビンも肘のところにもアザがある
きっとあいつにやられたんだね
何だかまたちょっとむかついてきた、あのソクっていう奴
でもギョンビンには何も言わない
おたふくのミンチョルさんね、絶対見たいよね
僕は絶対見せたくないかも
何だよ、それ。自分だけずるいじゃん。やっぱやな奴
ギョンビンはまた笑った
今度は太陽の下のひまわりのような屈託のない明るい笑顔
こんな笑い方もできるんだ
可愛い奴
じゃ、もう行かないと
お大事にって伝えてね。絶対お見舞い行くからって
ギョンビンは、はい、って律儀に答えて行っちゃった
その後姿を見てたら、僕はちょっと暗くなった
スヒョンのこと思い出して
まだ考え込んでるのかな…
どうするつもりだろ、あのソクっていう人のこと…


反省   ぴかろん

「総支配人、これを…」

手渡された『祭進行表』

・デラルス空中ショー
・せっぷんしょー そく あいて きむいな
・匍匐でゴー
・的あて大会

「…この『せっぷんしょー』って?!」
「それが、何者かが事務室に侵入して書き込んだらしいのです、いたずらでしょうが…」
「…あのヤロー…」


「ヨボセヨ。ハン・テジュンです」
「やあ、黒蜘蛛です」
「は…」
「いやぁ電話は慣れなくてぇ、いやね、ちょいと貴方に情報を…実はソクがこれこれこうで『入れ替わってもよい』などと…」
「なんですって?!…情報ありがとうございます」


「テス、これでいいか?」
「んー、電話するときって別人になるのね、ちぇみ」
「…ダメか?」
「んー…好き」
「(でれぇ)じゃあもうひと仕事してくるねっ」
「がんばれぇちぇみぃ」


「ソク」
「はっ!ゴリアト…」
「お前のことは理解しているつもりだ」
「…」
「しかし、やりすぎだと言っただろう」
「…」
「さっきキム・イナに話していた事だが、例の調査のためか?ならばやめておけ!
 いいか、キム・イナとそうなったとしたら、研究のためにお前はBHCの連中と次々と…」
「はっ…」
「そういうことになるだろう?やめておけ、傷つくだけだ」
「…ゴリアト…」


イナの横にぴったりくっついているテジュン

「…ハン・テジュン…」
「貴様!ソク!これはお前の仕業かっ!」

イナを後ろに隠すテジュン

「…それは間違いだ『っぷ』は『つぶ』の間違いだ…」
「『せつぶんしょー』?!」
「鬼は〜うち、福は〜外だ」
「ソクさん、逆だよ」
「ニャー!口聞いちゃダメっ!ん?」
「(ぽわん)…ん…」
「(でへっ)…とにかく!ショーとして成り立たないだろう!」
「…では僕に何もするなと?」

涙目になるソク

「にゅ〜、ちょっと可哀相だよ」
「ニャー!…そう言えば貴様、イナに『入れ替わり』オッケーだとか言ったらしいな!」

ソクを覗き見るイナ
イナをちらっと見て視線を泳がせるソク

「…よく考えたらそれはできない…」
『えっ?!なんだよ、ちょっとその気になってたのにっ!』

むくれるイナ

「…どういう事だ?!」
「僕はある研究をしている…キム・イナ君をはじめ、BHCの連中はサンプルとして最適だ…
 しかし入れ替わりでイナ君と関わると…BHC全員とそうならなければ…」
「なんだよそれ!俺を実験材料にしてたってわけ?!」
「…すまない…でも最初は君が…」
「あったまくるぅ!」
「ニャーは黙ってて!ん?」
「(あへっ)…ん…」
「(このぅっあとでハムだ!)…理由はどうあれ、『入れ替わり』発言は撤回するという事だな?」
「ああ…すまなかった…ただ『せつぶんしょー』はやらせてくれないか…」
「…ウケるとは思えないぞ」
「ソクさん、セリフ間違えるなよ『福は内、鬼は外』だぞ、逆言ったら『鬼が来る』ぞ」
「はっ!」

ソク、呆然として、そして走り去る

「なんだアレ」
「…悩み事が多いんだろ、それより、邪魔者は消えたしぃ…ん?」
「…ん…」

はむは

「うっオ支配人!」

どんっばきっぐらっ

「…どうしたんですか?慌てて…イナさん、口から血が…」
「あっニャー…イナ、ごめん!じゃない、すみません、大丈夫ですかっ?」
「…いきなり突き飛ばすなよな…プン」
「ごめん…」
「あとで電撃ちょーだいよっプン」
「わかった…」


護身術  妄想省家政婦mayoさん

「やだやだぁ。ちぇみぃ〜」
「駄目だ」
「僕、もう喧嘩なんかしないもん!」
「喧嘩じゃない。護身だ」
「だって…僕の側にはちぇみがいるじゃない。いつでも守ってくれるじゃない」
「それでも基本は覚えなきゃ駄目だ」
「やだっ!疲れるもん!」
「お前が心配だから言ってるんじゃないか…何があるかわからないだろ?」
「…」
「テス..俺はお前を必ず守る。お前もオレを守ってくれるんだろ?ん?」
「…わかった」
「よし!…じゃぁ構え方顔前向いて横に構える。前足はこう… >…」
「うん。<>…」
「ちがぁ〜う!前足だけ..こう… >…」
「あ、うん…っと.. >..こう?」
「ん…ん?曲げてるか?短くてちょっとわかんないな..」
「ちぇみ..」
「まぁいい…スリスリ寄って相手の出方を見て..隙が出たらっ!..手を伸ばして相手の腕を掴む」
「ぅん。スリスリ..で..手を伸ばして…掴む..む…」
「ん?…もうちょっと寄らないと駄目か..腕が短いのか…手も小さいから太い腕は掴めないな..」
「ちぇみ..」
「ん〜…そしたらお前はちょっと低いからぁ…」
「ちぇみ」
「お!隙を狙ってもぐりこんで顎狙え。頭突きだ。お前、頭は固そうだからな。うん…それがいい」
「ちぇみ..」
「お!そうだ。こんな風に…後ろから羽交い絞めの時はっ…膝を外側に蹴る!..いいな」
「ぅん..」
「ん..左右「ハ」って外側に思い切って蹴飛ばせ。短くてもできるな」
「ちぇみ..」
「ん?何だ..ほら、やってみろ」

「……もぉ〜やだっ!ちぇみ!」
「何だ…ん?どうしてだ。テス」
「ちぇみ…僕のことほんとは嫌いなんでしょっ!?」
「何言ってるんだ。テス..お?」
「だって…だって…背低いとか手小さいとか足短いとか…」
「あひ^^;;…」
「腕短いとか頭だけは固そうだとか…僕のこと嫌いなんだ..(;_;)」
「ばかだな..俺はお前の全〜〜部が好きだ!何言ってるんだ…怒るぞ。ん?」

「足短くて、パタぺた..ととっと走りでも、好き?」
「あぁ..好きだ」

「手が小さくて指短くても?僕、ちぇみみたいに大きな手じゃないもん..それでもいいの?」
「あぁ..ちっちゃくってかわいい」

「首短くて…太くてたまにペンダント食い込んでも、好き?」
「テス…それは俺も同じだ」
「あ、そっか..」
「^^;;..俺はお前のぜぇ〜〜んぶが好きだ」
「ほんとに?」
「あぁ..」
「絶対?」
「あぁ..ほら、来い…」
「ぅん……っと」

ガツッ★ テスの頭突きがちぇみの顎に決まった

「うぐ…ぉ…ぃ..」
「油断したね!ちぇみ!..へへ」
「て・す・く・・ん…痛い..です..石頭め!」
「ぁん…ごめんね〜ちぇみぃ〜」
「ぉん(;_;)」

かくして部屋に戻ったちぇみはテソンに顎を冷やしてもらい
テスは闇夜に護身術を伝授されていた…

「だめ!脇が甘いっ!テスッシ!」
「ぁ〜ん(>_<)..mayoッシ〜」
「おらおら…それじゃすぐ倒されるって!腰っ!落としてぇ〜えぃ!やっ!」
「ひぃぃ〜〜ん…ちぇみぃ〜助けてぇぇ〜」

「なぁテソン…お前いいのか?ほんとにあいつで」
「はは..いいんです..」
「お前の方が襲われそうな感じだぞ?あれじゃ。」
「それならそれで…歓迎します」
「ぷっ..お前もまったく..」
「全部…気に入ってますから」
「テソン..お前も重症だな…」
「はい…」


竜巻   ぴかろん

僕は自分の部屋に帰らないでずっと先生の部屋にいる
先生はもう『帰れ』なんて言わない

先生といるとほっとする
それと同時にザワザワする
先生は僕の様子をじっと見ていて、僕がソワソワしだすと抱きしめてくれる
でも、そうされるともっとザワザワする
息苦しくなる
欲しくて…

僕ってこんな我慢の利かないヤツだったろうか…
先生の胸を押して体を離すと先生はふっと笑って
「しょうがない子だな」
と言った
「でもダメ」
とも言った、ちょっと怖い顔で…
僕はため息をつく
「焦らさなくてもいいじゃん…」
「焦らしてるんじゃないよ、すっきりしてから。ね?」
「…違う意味ですっきりしたいな」
「ダメ」
「ケチ」
「…」

膨れっ面の僕を先生は呆れた顔で見つめている
そして近づいてくる
「ウシク…」
「隙ありっ!」
先生に飛び掛ってベッドに押し倒した

「こらっ」
「…我慢するよ…だからすこぉしだけ…」
「少しじゃすまないだろ?ダメ」
「…ケチ!」

わがままを言う僕に、先生は困った顔をして笑った

「せっかち」
「のろま!」
「わがまま」
「先生だって!」
「僕の気持ち…知ってるの?」
「知らない!」
「僕だって我慢してる」
「…」
「焦らなくていいだろ?」
「…」
「ウシク…」

僕は先生の唇に乱暴に口付けした
先生は受けてくれた
いつもここまでだ
これ以上は許してくれない…
僕は先生にキスしながら先生のシャツのボタンに手をかけた
先生が止める
いつもの事だ
唇を離して先生に告げる

「もう待てないもん!」
「なんで…」
「好きだからっ」
「好きなら待てるだろ?」
「なんでさ…なんでダメなのさ、なんでケリつけてからなのさ!」
「…君の気持ちが余計にざわつくだろう?」
「…」

いつも同じ会話の繰り返し
そして僕は引き返す
でも今日は違ってた

僕はあの時みたいに先生のシャツを引き裂いた

「ウシク、やめろ!」

先生の顔が歪んだ

「ウシク!どうしたんだ、なんでこんな」

悲しそうな顔になる
ちょっとだけこの顔が見たかった…

「ウシク…」

多分僕の微笑み方は冷たかったんだろう
先生は震えた目をしてたけど、その目は潤んでた
僕は静かに先生の胸に顔を埋めて、そこら中にキスをした

やめろ、よせ、ウシク
先生の声が震えながら喘ぐ
僕の舌が先生の腹を這う
先生は声をあげない…
腹が立つ

「ウシク…やめ…」
「いやだ」
「…」
「また『こんなのはイヤだ』って言うの?」
「…」
「感じてるくせに!」

僕は顔を歪める先生をじっくり見た
先生は薄目を開ける
そして余計に顔を歪める
欲しがってるくせに…

僕は先生から離れる
言いようのない切なさでいっぱいになる
…ダメなんだ、まだ…

先生は肩で息をしている
僕の舌の余韻の中にいるみたいだ
僕は先生から顔を背けて床に座り込んだ

息を整えて深呼吸して、それから先生は、また僕を背中から包み込む
髪に口付けする
僕の目から涙が溢れる

「ウシク…ゆっくりでいいから…」

ケリをつけてから…
そう思っているのは、本当は僕の方
先生にはわかってるみたい

僕は下を向いて泣いた
先生の腕が僕を強く抱きしめる
僕、こんななのに…先生…

「愛してるから…待ってるから…」

先生…


天使の罪  足バンさん

外は今にも降り出しそうな雨色の空気にけむっている
明かりをつけずにいるホテルの部屋に灰色の湿った風が流れ込む

ソクの心を読んでからいろいろ考えてしまう
ソクは自分にはどうすることもできない「血」をただ受け入れている
呪うこともできずに
同情するにはあまりにも大きな傷跡

人間の脳がつくり出す果てしない罪と罰
どんなに読んでもどんなに癒してもまた溢れ出る、ひとの苦悩
限界を感じる
こんな自分じゃなかったのに…
守りたいと思いはじめてからだ…ドンジュンを…

デスクの上の携帯が鳴った
思いがけない相手だった

「心配かけたな」
「ミンチョル…まだ出てこられないのか?」
「完璧に戻るまで部屋は出ない」
「ギョンビンに口移ししてくれとか言ってるんじゃないのか?」
「当然だ」
「ふふ正直なやつ。まぁ2人が落ち着いてよかったよ」
「ドンジュンになにか心配事でもあるんじゃないかとミンが言っていた。大丈夫なのか」
「なにもないよ、おまえたちより熱いかな」
「ならいい、じゃ」
「あぁ」

「うそつき」

振り返るといつのまにかドンジュンがベッドの横に立っていた

「誰が熱いって?」
「ホールに集まってるんじゃなかったのか?」
「ミンチョルさんのこと心配?」
「おまえと同じくらいにはな」
「ソクのこと心配?」
「心配して済むなら楽だけどな」
「僕のこと心配?」
「なんで?」
「あんまりかまってくんないと僕どっか飛んで行っちゃうよ」

僕はスヒョンがいつものように近づいて抱きしめてくれると思った。でも違った

「かまってるだろう?夜通し車の話聞いてやるのは僕くらいでしょ?」
「ウシクさんが帰って来ないなら、この部屋に引っ越してきていい?」
「ジュンホ君と一緒がよかったんじゃないの?」
「だって!」
「今の僕はひとりがいいんだ」
「もう僕に飽きたんでしょ」

スヒョンはやっと近づいてきた。でも僕の頭を撫でるだけだった

「飽きるわけないでしょ?こんなに大事に思ってるんだから」
「じゃぁなんで抱いてくんないのよっ!」
「……」
「ホテルに戻ってからずっとだ!」
「ドンジュン違うって」

スヒョンはやっと抱きしめてくれた。優しく。いつもの優しさ
でもスヒョンの気持ちはよく掴めない。霧のようにもやもやしている
スヒョンの目が覗きこむ

「僕はね、おまえを本当に大切に思ってるんだ。だからだよ」
「そんなのわかんない!それだけじゃないんでしょ」
「それから僕は今自分の進んでいく道を考えてる」
「転職すんの?」
「ふざけないで聞け。これまでの自分とこれからの自分を整理したいんだ」
「僕も整理されちゃったりして」
「ドンジュンっ!ふざけるな!」
「なにさひとの世話ばかりやいて!」
「ドンジュン!」
「大事とか言ってるその僕が大事にされてると思えないのにっ!」

そのドンジュンの言葉に僕ははっとした
こんなに愛しく思っているドンジュンを不安にさせている
うまく説明もできず、自分の気持ちすら掴みあぐねている

スヒョンはなにも言わなくなった
僕の心に不安が洪水のように押し寄せはじめた
僕は息を吸い込んで思い切って聞いた

「僕を守るのが重荷なの?」

僕はなにも答えられなかった。そんなこと考えてもいなかったから
そして口から出たのはありがちな、まぬけな言葉だった

「少し疲れてるだけだよ」

ドンジュンは一瞬唇を噛んで、そして僕の腕からするりと抜けた
予想に反してドアは静かに閉められた

雨が降りだした


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