テソンの憂鬱 妄想省家政婦mayoさん
あ〜ぁ〜〜
何だよ何だよ…みんな…
あっちもこっちもハグハグ・むにゅむにゅ・あははおほほ・はむはむ・ちゅうちゅう・うぐうぐ・もぐもぐ…
テプンはあの胸ぺったんこといい感じになってるし
僕なんか【テプンを暗くしたオモオモおっさん】って言われてるだよ?当たってるけどね…
あのうるさいチョンマンだってチニさんと…チニさんも切り替え早いんだな…
映画の話で盛り上がってチニさんに一生懸命物真似して見せてるんだ
趣味が合うっていいね…料理が趣味なんてそうそういないんだな…
イナもイナだよ…バンビちゃんリス君かと思ったら今はにゅ〜・ニャーだって……
ミイラ取りがミイラになっちゃった
テジュンさんのちぅ…結構凄いんだよ?知ってた?すっけべーなんだな…やっぱ…
それに、みんな気が付かないけど…あの堅物のイヌ先生とあの真面目なウシク…
薔薇投げの練習してるうちに…何かあるよ。あの2人も。間違いない。目つきが違うもん
mayoッシに言ったら「うっそぉぉ〜〜ん、ありえない!お話になんなぁ〜い」って一喝されちゃった
不穏な動きあるんだけどな……
僕は女性に優しくしても不気味だって言われるし…
料理を教えてもウザイって言われるし…
僕のささやかな夢
*好きな人と食卓を囲み、音楽を楽しみ、会話をする*
いつになったら叶うんだろう…
やっぱり僕の恋人は<まな板と包丁>だけか…(:_:)…
スヒョンの秘密 オリーさん
ぼんやりとドンジュンの横顔を見ていた
運転はさすがだな
安心して乗っていられる
『人の心ばっかり読んでると足元すくわれるぞ』
どこからかあいつの声がする
子犬の目に映ってきたのは僕じゃなくてあいつ
そりゃキス1回くらいじゃいくら僕でも落とせない
でも何であんなに子犬に執着したのか
もちろんあれはダイヤの原石、みがけば光るから
だからちょっとね…でもそれだけか…
「ねえ、スヒョンさん、さっきから考え込んじゃってどうしたの」
「いや、別に」
「ねえ、どこかでご飯食べようよ」
「なあ、ドンジュンお前ミンチョルが欲しかったのか?」
「もちろんさ。だって凄そうじゃん。キスだけであれだもん」
「それだけ?」
「それだけって、他になにかあるの?」
「いや、別に」
「で何食べる?」
あいつはいつだって冷静だ
どんなに追いつめられても汗ひとつかかずにすましてる
気がついたらあいつの隣にあの子犬がいた
そして幸せそうなあいつ…
あいつのあんな顔は見たことがなかった
「ねえ、聞いてるの。僕おなかすいたよ」
「そうだな。どこか適当なところがあれば入ろう」
「スヒョンさんのおごり?」
「いいよ。今日はサービスだ」
「やったー!」
あいつは見事に自分をコントロールできる
感情をかくすのがうまい
僕の出番はない
だからあいつの子犬にちょっかいだしてあいつの困る顔を見たかった
「ねえ、あそこはどう?創作イタリア料理だってさ」
「ああ、いいよ」
「高いもの頼んじゃうよ。いい?」
「好きにしろ」
思ったとおり子犬のためになりふりかまわず目を吊り上げた
でもとんだ茶番だ
気づかなかった。いや気づかないふりをしていたのか…
だって僕は天使だもの
「スヒョンさん、こっちだよ。早く早く!」
「ああ、今行く」
ほんとは最初から気になってた、あいつの冷たい視線が…
でもまさかそれがね…
この気持ちはどうすればいいのかな、ねえ、おとうさん
自分のことはわからない…か…
まぬけな天使だな…
銀細工師 ぴかろん
これはイナの…
なんだこれ?
…『はむたろう』???
ハムスターだよな?
『はむたろう』と名前を入れるのか?
それと…こっちがもっとわからない
『うるとらまんたろう』???
そいつがミネラルウォーターの大きな瓶を持っている
なんだこれ?
まあいい
その上裏に『LOVE』と入れろと…
注文が多いな…
チーフのはシンプルだ…
キツネと子犬…
解りやすい
チーフの心は解り難いのに、オーダーは解り易い
他にテプンからも頼まれた
人にあげるそうだ
グラマーな女性の胸…
これをある女性にあげるという…
あと…チョンマンも…サル…解りやす…
けどもう一つ、可愛らしいキリンってのも頼まれた
誰かにあげるのかな?
皆が頼んでると聞いてイヌ先生まで来た
チョーク…
一緒に来たウシクは…『いかと靴と靴下、イヌ先生、どれがいい?』とイヌ先生にモチーフの相談をしていた
イヌ先生は『形的には…イカが好きだ』と答えていた
だからウシクはイカ…
くそ、足の本数が多いんだぞ!靴下にしとけよ!めんどくさい!
スヒョクは勿論『銃』だ
なんというの?長いヤツ…
テソンは包丁とまな板のペア
どうせmayoさんにどちらかをあげるんだろう…
ラブ君は『ナイフ』…やっぱり…
ジュンホ君はグローブかと思ってたのに、ハートがいいと言った
奥さんとペアにしたいらしい
いい子だな(^o^)
シチュンは『募集中』と書かれた『ライター』だってさ…
あーもーいっぺんに注文されちゃってもう…
あれ?スヒョンさんとドンジュンは注文してないな…
いいや、どうせ『天使と悪魔』のペアで構わないんだろうし…
うーん、やっぱりイナの注文の品が一番…わからない…
秘密部屋 ぴかろん
タタタタタタタタバタン☆
「ニャー」
「にゅ〜」
はぐっ
はむはむはむはむはむ
「待った?」
「ん」
「お風呂行く?」
「だいよくじょう?」
「よ…欲情だなんて…ニャーったら…」
「おふろでしょ?」
「…ニャー…ひらがな喋りになってるよ」
「ん」
「何何、それ、何プレイ?!」
「ばかっ!」
「ニャー、怒るなよ、な、な、風呂いこ風呂」
「大浴場行くの?」
『あ、漢字喋りになった』「うん」
「やだ」
「なんで」
「だって…○×▲○できないじゃん…」
「ニャーったらっえっちっ!」
「だって…」
はぐっ
はむはむはむ
ぶちん☆
「テソンシ〜(^^;;)」
「もうここはいいだろ?!」
「いや、でも。楽しいじゃん」
「かたつむりの次はハムスターかよ!」
「…うーテソンシ〜(^^;;)」
「それより、こっち!」
「…仕掛けたの?!」
「もちろんさ!」
「(@_@;)」
「(@_@;)」
「ウシク、そろそろ部屋に帰ったら?」
「…帰らせたい?」
「…いや…」
「もっとやりたい」
「…いけないよ…もう傷だらけだ…」
「いやだ」
「ウシク!君を傷つけたくないんだ!」
「イヌ先生!」
「…」
「テソンシ、冷静だね」
「なんかオチがありそうで…」
「ウシク!薔薇の棘を取ってから投げろ」
「いやだ!めんどくさい」
「靴下はまめに洗うくせに何をそんなにめんどくさがる!」
「このまま投げる!」
「やめろって!手が血だらけだ!」
「じゃ舐めて」
「ほらやっぱり薔薇で傷だら…!!…ちょっと待て!今ウシクなんて言った?!」
「舐めてって」
「きえええっウシクがそんな事を…きええええっイヌ先生…ウシクの手をっ手をっ」
『イヌ(犬)だからなぁ、舐めるよなぁ…』(^^;;)
蜘蛛の恋 part 9 妄想省家政婦mayoさん
「テス、車の後ろに何か積んであるか?」
「うん。**とポット。それとメモが入ってる」
「メモ?」
「「…@@..@@…」」
##同志(^_^)
砂浜でずぅ〜〜〜とハグッてたかな?うらやましいな
身体が冷えてるはずだから。**のほうが健康的
&&&&って似合わない。ははは
朝晩はポットのお茶飲むこと
本番で声が出なくなると大変だからね ☆★テソン
##テックヒョンッシ(^_^)
部屋は+++。死角になってるから大丈夫だよ
そうそう!!ちょっと凄いの観ちゃったんだぁ〜
ちぅが上手くない …ごめん。撤回するね
{actress} 激・激...濃厚....官能的...よかったわ
ぷっ!テス君壊さないでね。…ほどほどに(^^;) ☆★闇夜
「ぁあ・あいつら…」
「蜘蛛さん……激・激なの?」
「あ…あ…おぅ…ぃや…その…」
「の…の…濃厚なの?」
「それ…ぁの…ぅん…ま…まぁ…」
「ぼ…僕…壊れちゃうの?」
「お…おぅ…ぉぅ…っと…っととと…(>_<)」
「官能的に…僕を…」
「アンドゥエ!」
「駄目なの?僕はいいよ?」
「て <<< て <<< て<<<< テス!!!」
かくして…
「&&&&は俺たちに似合わないな。そりゃそうだ」
「うん…」
「**ぼとぼと…ぼとぼとっと…テス、おいで。さぁ」
「うん…」ポチャン#
後ろから腕を伸ばしテスを懐に抱く蜘蛛
「暖かいな…一緒だからか?ぬぁ〜んちゃって…」
「うん…」
「何ださっきから…うんうんうんって。どうしたんだ…ん?」
「うん…激・激…濃厚…官能…頭から離れないよ…」
「あぅ…余計なこと考えるな…昔のことだ。お前には何もしない」
「それもちょっとつまんない…」
「俺はこれでも充分恥ずかしいんだ!!お前だから一緒に入ってるんだ!!」
「うん…わかってる。えへっ…暖かいね。照れくさいでしょ…」ポチャン#
「そうだ!!…ったく…」
「ねぇ…蜘蛛さん…」
「ん?何だ…」
「日の出見ようね。明日晴れだよ」
「ん…☆がいっぱいだな…テス…☆☆」
「うん…蜘蛛さん…☆☆」ポチャン#
「どうした…ミン」
「ミンチョルさん…ゆずの香りしませんか?」
「???」
「どこからだろう…」
「いいから…」
「はい…」
xxxxx、xxxxx、xxxxx
ミルキーボーイのアルバム ぴかろん
テジュンはまた仕事に行った
暇を見つけては部屋に飛んで帰ってきて…えへへ
俺は昼間の練習は終わったし、夕方ミンチョルが帰ってきたら最終の稽古があるだろう
テソンにペンダントトップを作って貰った
今度テジュンが部屋に来たらわたそっと
暇だなぁ…ん?アルバム…思い出のアルバムだ…
見たいな。見てもいいかな。いや、勝手に見ちゃいけないな。電話しよおっと(^o^)
『ハン・テジュンです』
「にゃ〜だよっ」
『にゃ〜…何?どした?』
「にゅ〜のアルバム見てもいい?思い出のアルバムっての」
『思い出の?そんなのあったっけ?別にいいよ、何でも見て』
「わーい。じゃね…」
『あ、待って!』
「なあに?」
ガガジジグワシャラ
「なっなんだよ!テジュン!どうしたんだよ!」
『え?ちうしたんだけど…』
「…凄い音がしたけど…」
『あ…ごめん、癖で…電話にはむちゅーしちゃった…へへ』
「…ばーか」
『ちゅっ』
「んちゅっ」
『「でへへへへ」』
ぶちん☆
「ばかっ!」
「テソンシ(^^;;)腹が立つなら見なきゃいいじゃん」
「でも気になるんだもん!」
「(^^;;)」
俺はテジュンのアルバムを見た
くーっくっくっ
テジュンの小さい頃って…うぷ…ぱんぱん…
へぇ、これがご両親かぁ…
若い頃は今よりふっくらしてたんだぁ…ふぅん…
友達も一杯だなぁ…
わっ…かっこいい…いやん、渋いじゃんテジュン(*^^*)
あれっ。メガネだ…似合うなぁ…メガネかけるとちょっと4様みたいだ…(^^;;)
んっこの髪型…ミ…ミンチョル…
いやん、結構似合うじゃんサラサラヘア〜
ルルルンルルルン♪
好きな人の写真って楽しいなっルルルンル…
ん?…んん?…これは…む…。こっ。これも…くうっ何さっ!なんだよっ!むきいいいっ
タタタタタタタタタバタン☆
「はあはあはああれっ…ニャー。お出迎えは?」
「…」
「…どしたの?ニャー」
「…ふん…」
「なんだぁ?拗ねてんのかぁ?」
テジュンは俺を背中から抱きしめた
「どちたの?ニャー」
「…」
「ちゃびちかったの?」
「ちゃび…いや、寂しくなんかねぇよ!」
「ん?」
「30分もたってねぇじゃん!電話してから!」
「…ニャー?」
「ふんっ」
「どうしたんだよ」
「何だよ!虫も殺さないような顔してあんなにいっぱい…」
「?」
「…はぐにちうに…」
「は?」
「…」
俺は思い出のアルバムを指差した
テジュンは不思議そうな顔をしてアルバムを開いた
くすくすくす
笑ってる…何がおかしい!
なんでそんなラブシーンが写真に撮ってあるのさ!フンフンフン!
「懐かしいな、演劇部のときのだ」
「…えんげき…ぶ?」
「あれ?言わなかった?元演劇部だって」
「…」
「チニ君には言ったんだっけな。ふはは、めがね!ふははは」
「…」
「このラブシーンさぁ…。ん?どしたのさ、ニャー」
テジュンはにこっと笑って俺を覗き込む
ふんだ…
「ニャー、五分しかないんだ…ずっと拗ねてるつもり?」
「…演技で本とにちうするんだ!」
「するよぉ、役得でねぇへへへっ…あれ?妬いてるの?」
「…」
俺を正面から抱きしめるとテジュンは俺の額にキスした
「なんで過去に妬くのさ、仕方ないじゃん」
「…」
「ん?ニャ?」
俺の目を覗き込むテジュンのまあるい目
…好き…
ニコッと笑うその顔が…好き…
でもやだ!プン
「ニャー、あと三分しかいられない」
やっぱりウルトラマンだ…
「…なんか言った?」
「…別に…」
「拗ねるなよ…ほら」
俺の唇を捕らえようとする彼
顔を背ける俺
ちょっとしたゲーム…
わかっている
すぐにその唇に捉えられる事ぐらい…
「ニャー、時間だ…行かなくちゃ…」
「え?」
行っちゃうの?キスもせずに?
急に不安になって見上げた俺の顔にすかさず口付けるテジュン
騙したな…
「好きだよイナ。今まで出会った人の中で一番…」
キスしながら言うな…変な気持ちになっちゃう…もっと真剣にキスしてよ…
…
ジッ『総支配人、ホールの打ち合わせ、始めます』
「…。…」
『総支配人?聞こえますか?』
「…んぁぁ、今行く…」
『総支配人、何か問題でも?』
「…ん、ン行く、今…」ジッ
…。…
「じゃ…」
…はぁ〜…きっちり三分キスしてった…テジュン…
『まったくあんなもの見つけ出すとは…うまく誤魔化せたかなぁ…
部屋に帰ってすぐにハムらないとニャーの口、全部ハムできないじゃないか!もう!…』
…なんか俺、誤魔化されたみたいな気がする…まあ…いいけど(*^^*)
つぶやき大会 にゅーにゃー編 オリーさん
んふ、んふ…笑いが止まらない…いけない、オ支配人がこっちを見てる
でも、んふ、んふ、いいな。一途に思われるって
にゃーがあんなに純情だなんて思わなかった
だってあいつったらちょっとやさぐれてて回し蹴りなんかしちゃうだろ
ガンガン硬派だと思って最初ちょっと怖かったんだ
でも実は子猫ちゃんよりキュート
僕すっかり攻めに回っちゃって。だってほんとはそっちの方が得意だもん
もうすっかり甘えられちゃって…んふふふ
いけない、また見てる、オ支配人
でもって僕も実は真面目な仕事人間だけじゃないんだ
そりゃ今まで色々あったからね、んふ
ギャラリー見てもらえればわかると思うけどさ
でもにゃーは案外ヤキモチやきかもしれないから気をつけないと
ファンサイトはオープンしたし、にゃーもゲットしたし、なーんか絶好調だな
やっぱ仕事一所懸命してるといい事あるもんだな。んふふふ
るん、るん…嬉しくて嬉しくて…どうしよう
俺って案外受身が似合うな
俺が攻められると思わなかったけど、実は頼られるより頼りたい…ンフ
なんだか新しい俺を発見した気分
これでタラコ唇とは完全に決別だ。ンフ
にゅーって案外色んなことしてるんだな
アルバム見て驚いたよ。演劇部か…
ちょっと妬けるけどやっぱほんとに演技するにはちうもはぐも必要なのかも
それに昔の事だって言うし、大目に見るにゃ
いけね、つぶやきもネコ言葉が入るようになっちまった
早く贈り物あげたいな
ミンチョルも頼んでたってことはあいつもうまくいったのか
俺たち不幸が似合うかと思ってたけど、そうでもないじゃん、な、相棒
それにしても、早くにゅーが帰ってこないかな
もうはむはむの連習ひとりでしちゃうぞ…でへでへ
蜘蛛の恋 part 10 妄想省家政婦mayoさん
蜘蛛さんは優しかった
僕がのぼせそうになると、半身が風に当てるように僕の身体を隅っこに移動してくれる
僕がひじをついて波の音を聞いてる時、横向きでひじをついて左耳で波の音を聞いてる
目を閉じて僕の頭を撫でながら…
たまに目を開けて僕と目が合うと(*^_^*) すっごく可愛い顔で笑うんだよ…
こんな顔、僕しか知らないよね……
カリスマじゃない俺がいる
波の音と心地よい風の音…ほんのり鼻腔をくすぐるゆずの香り…
こんな穏やかな気持ちで波の音を聞いたのは初めてだ……
俺の身体は傷だらけだ。全身に残る銃創…刺傷…刀傷…数えたらキリがない
知ってか知らずかお前はよりによって…一緒に入りたいとは…面食らった。動揺した
恥ずかしい、照れくさいもお前の笑顔でぶっ飛んでしまうな…
それにお前にしか見せられないんだ…こんな情けない顔は…
「蜘蛛さん、これ2つに割って」
「ん…っと、こうか?…」
「うん…」
「絞って何する…」
「うん?……こうするの…」
蜘蛛の顔にゆずの絞り汁を びちゃびちゃびちゃ つけるテス…
「な・何…」
「お肌にいいから…てへっ(^o^)」
負けじとぎゅうぎゅう絞ってテスの顔に べっちゃべっちゃ 塗ったくる蜘蛛…
「それ、殴ってるってばっ…あぁ〜〜ん!目に入ったぁ!!」
「あ、あ、すまん…ごめんなさい。テスく〜〜ん(^_^)v」
「…」
「だ・だ・大丈夫か?」
「うん (^_^)」
ふっ と笑った後…テスの背中から包み込む蜘蛛…
テスは蜘蛛の適度に締まった身体を確認しても、蜘蛛はまだテスに背中を見せてはいない…
『この傷は…お前には見せられないからな…』
「ふやけちまうな…出るぞ…」
「まだこのままでいたいな…」
「俺もそうしたいが…限界だ」
「うん、わかった」
蜘蛛はテスの向きを変え、先に出るよう促し先に出たテスは蜘蛛にバスタオルを差し出した
「テス、バスローブを持ってきてくれ」
「??…うん……はい」
すばやくバスローブをはおり、ベランダのデッキチェアに腰をおろす蜘蛛
蜘蛛が煙草の煙をひと呼吸吹いた時、テスがポットのお茶を持って来た
「ん?梅茶じゃないのか…めずらしいな…」
「ゆず茶みたいだよ。ちょっと花梨も入ってるみたい」
「ふっ…そっか」
沈黙…お茶を飲みながら蜘蛛の横顔をじぃ〜〜と見ているテス…
沈黙…蜘蛛は前を見たままテスに話しかける
「何だ…何かついてるか?」
「ん?ぅぅん…何でもない…」
「何でもないわけないだろ…言ってみろ」
「ぅぅん…いい…」
ゆっくり振り向いた蜘蛛はちょっと不安そうなテスの顔を確認した後
黙ってテスの手を引いてベットルームヘ移動した
つぶやき大会5 オリーさん
チンの奴、人をスパコンスパコンとやりおって許せん
わらわを何とこころえておるのか、家臣のくせに
おかげで髪が薄くなったわ
美貌が台無しじゃ
それにこのマニュアルとやらいうもの、一体何じゃ
正しい敬語の使い方、正しい煙草の火のつけ方、正しいお酒の注ぎ方…
ふん、馬鹿にしおって
次は何?何!男色裏相関図最新情報!!
チンの奴、やっぱり調査しておったか…
でなんと…あまりの乱れようで追跡不可能…な、なんと!
スヒョンさんの様子がおかしい
僕が目の前にいるのにうわの空って感じ
料理もあんまり食べないし
さわっても読めないや。ちぇっ!
子犬をつかまえそこなったのがそんなにショックだったのかな
まさかね。じゃ他に何だろう?
僕はまだあきらめてないさ
ぜったいそのうち落としてやるから
どっちを?って
そりゃ難しい方がやりがいがあるもん、ミンチョルさんだよ
そのあとあ・い・つ…でも逆の方がいいかな…
んーー、このへんはスヒョンさんと相談かな。ふふっ
僕は身体能力が高い。頭もいい、理数系に強い
でも語学も堪能で宗教の話なんか大学で講義できるくらいだ
たぶん学習能力は人より高いのだと思う
だからだろうか…
彼にほめられた
うまくなったって…
調子にのって僕からせめたりしちゃったりした
そしたらまたほめられた
どっちもいいって
どうしよう
でも彼にほめられるからやめられない
もっと学習しなくちゃ…
イヌ先生になめられた
ドキドキした
誠実な人柄の先生が指をぺろぺろしてくれたのでよけいドキドキした
ドンジュンとは全然別のドキドキだった
先生は額に手をあてて後悔していた
悪かった
不まじめな生徒になったような気分だった
だから残りの薔薇のトゲは全部僕が取った
先生は笑って許してくれた
ああ、よかった
つぶやき大会 hotelier 編 足バンさん
どうも総支配人の様子がおかしい
ついこの間まで肥ダメにはまったような顔してたのに
ここのところ、いきなりキビキビと仕事をしだして
ひとしきり指揮するとにやにやしている
で、5分でも時間ができるとあわててどっかに行っちまう
で、あっという間に戻って来る。なにやら口をぬぐいながら
もしかしてなんか食いに行ってるのか?
過食症?
このところの忙しさでストレス溜まってるからな
まぁ、元気そうに働いてるからいいけど
なんとか祭くらいは乗り切ってもらわないとな
今倒れられても俺、まだ総支配人に昇格する心の準備できてないし
まったく今回の祭の関係者にはまいっちゃうわ!
こっちはテンポよく決まった時間に掃除したいのに
あっちもこっちもやたら「DONT DISTURB」下がってるし
やっと入ったかとおもうと部屋ん中好き勝手して
ビデオデッキがずらずら並んでる部屋。コードが引っかかって掃除できないじゃない
大工道具やなんかの道具が散乱してる部屋
薔薇の花が飛び散ってる部屋
竹でできた槍だか剣がある部屋。あっぶないじゃない
なんだかへんてこな衣装やかつらが転がってる部屋
ベッドメイキングに入る度にピクッてウインクしてくる変なお客もいるし
あのスウィートの赤い女は要注意ね。うっるさいから
ま、いいか。あの中庭の変なテント掃除させられないだけ
そういえばある部屋でクローゼットの隙間にマイクロカメラ見つけちゃったのよね
総支配人に言ったのに「大丈夫」って一点張りだし
なんかこのホテルやばいことやってんじゃないでしょうね
あ、いけない、いけない、「マウスキーピング」だったわ
テソンの憂鬱2 妄想省家政婦mayoさん
さっきまでmayoッシを訪ねて客が来てた
最初に来た人は細い縞のシャツとジーンズのラフな服装に帽子を目深にかぶった人
メンバーによく似てるんだ顔が。またスカウトしたのかな…
なんだか2人でさ、もにょもにょ韓国語で会話してるんだ
「ヨンファ…カンドッギ…モンスター…」くらいしか聞き取れなかったけど…
来る時はCDを何枚か抱えてきたけど、帰りはフィルム缶を持って帰った。その人…
mayoッシ…何渡したんだろ…謎…
次の人は黒いスーツでビシッっと決めてスマートな身のこなしの人だ
この人もメンバーに顔が似てるけど…髪の色は真っ黒で…ちょっと生え際が…あと何年かするとヤバそうな感じ?
その人と挨拶が済むと、mayoッシ、おもむろにその人の両手の指、確認してるんだ
指でもつめたのかな…この人。エェ~ィ…その筋の人なのかなぁ…ヤだなぁ…
隙のない身のこなしは上司に忠実で、完璧に仕事をこなすように見えるけど…
ふっとした会話の中に、近寄りがたい冷徹さと人生に転落した[男の哀しさ]…っていうの?
そんな感じで声のトーンも変わるんだ…だって、笑わないんだよ?この人
「4月からですから…ええ…その後…よろしく…もにょもにょ…」って言ってた
何かチケット?持ってきてたみたいでさ、mayoッシ「コマッスムニダ…コマッスムニダ…」って何回もお礼言ってた…
またどこかの店の無料券かな。僕も一緒に行こうっと
いつの間にスカウトしてきたのかなぁmayoッシ
忙しい合間によくスカウトしてくるな…睡眠ほとんどとってないし
でも下手に居眠りすると暴言吐くしね…人格変わるの。あ、僕もだけど。自分を見てるみたいで怖かった
あの2人も はぐはぐ・もぐもぐ・むちゅむちゅぅぅぅ…になるのかなぁ…
なんかBHCって…変態倶楽部になっちゃったかなぁ…って…僕と闇夜の[覗き]のせい?
ミミの世界戦略 ぴかろんさん
一人引き抜くわ!
そう決めてアタクシは白夜倶楽部を後にしたの
だって、あの渋い黒ずくめの男はどっか行っちゃったし、あの軽い子はアタクシの存在に気づいたのか決してシャンデリアの方を見上げようとしなくなったし
つまらないじゃない!
それよりもあの方!
素晴らしいわ!
アタクシ、祭が終わったらあの方を『デラルス』にお誘いするつもり!
あのダンスのセンス、お洋服の趣味、顔の濃さ、すべて『デラルス』の合格ライン…いいえ、既に首席待遇だわ!
なんて言ったかしら…りりり…ああそうそうリマリオ!
お名前もまた濃いわぁん…
きっとマイキーが落ち込むわね
濃い顔だけで持ってるんですものマイキー…
もう少し芸を磨かないとダメ!
そうそう、ピーお姉さまったら祭を見ないで帰ったのよ
「ニホンでディナーショーがあるの。穴を開けるわけにはいかないわ」
ですって
さすがお姉さまだわ
「ミミ、言っとくけど、ソンジェ君じゃなくて本物のリュ様とのお食事会、ちゃんと企画してよ!ソンジェ君は…イマイチなのよ…髪型と歌が…」
そういい残して帰っていったわ
そうなのかしら?歌、うまいんじゃないのかしら?お姉さまはお厳しいお方ですものねぇ…
さてと、マイキーと会長はワイヤーアクションダンス、マスターしたかしら
もうすぐ祭
私達が世界的に有名になる日は近いわ
そして…
『トリオ・ザ・デラルス』から『クワトロ・ザ・デラルス』(だったかしら?まあいいわ、クワトロってかっこいいじゃない?)
になる日も近いのよほぉっほっほっほっほぉ〜
正義の味方 ぴかろん
「総支配人、今から夕方まで三時間ほどお休みください。なんだかお疲れのようですし」
「えっ…三時間も?いいのかなオ支配人」『♪』
「ええ、祭が終わるまでは総支配人大変ですから、休めるときに休んでいただか…あれ…もういない…やっぱおかしいなぁ」
ダダダダダダダダダ
♪うーるーとーらのちちがいる「にゅ〜?」
「ニャ…はあはあフロ…入れて…今から入る…はあはあ…ニャ先に入っててはあはあはあ…僕後からはあはあはあ」ブチッ
「にゅ〜?…フロ?先に入れ?はあはあ??」
ダダダダタダバタン☆
「フロフロフロフロはあはああれっニャーまだ入ってない」
「…」
「時間ない時間ない早く早く入ろう入ろう」
「かっこ悪い、脱ぎながら走ってきたの?」
「はあはあひー」はぐうっ
「…」
「ん?ニャー?」
「…お風呂?」
「そーそー」
「待っててよ、入れるから」
「あ、もういいや」
そう言うとはあはあ言いながらテジュンは俺のシャツのボタンを外し始めた
「オ…オイっテジュン」
「ん?」
「何してんの」
「お前も一緒に入るはあはあ、シャワーでいいや」
「…なんで?」
「3時間休憩時間あるできるやる」
「…テ…」
「はいおいで」
グイグイ
「ちょっと!もうすぐミンチョルが帰ってくるはずだ。俺、練習があるからお前一人で入れよ」
「…」
あ、寂しげな瞳…きゅん…
「じゃ入らなくてもいいやるできる」
「ばか!その事しか頭にないの?」
「…」
「体疲れてるんだから少しでも休まなきゃ、倒れちゃったらみんな困るだろ?ベッドに寝なさい」
「…」
へへ。ショボンとしておとなしくベッドに入った…
「そだ、テジュン、これ…」
「…」
拗ねてる…シーツから目だけ出してる!カワイイ
「いいものあげるよ、はい」
「…」
「うるとらまんたろうって言うんだ。ニホンのヒーローらしい。テジュンは俺のヒーローだから…テジンに作って貰ったの」
「…」『ヒーロー…』
「俺のはぁ…これ」
「…」『ぐっ…ハムスターだ…はむたろう?がわ゛い゛い゛っ!』
「ちょっと子供っぽいかなぁ…」
「…」
「首につけてあげるよ」
「…」
「…怒ってるの?何にも言わないでどうしたの?あっそれは俺の…俺のハムちゃんなのにぃ」
「…」
「俺がこっち?…そっか替えっこするんだ…」
『ううっ僕に気を遣うイナってかわいいっ』
「どう?かっこいい?」
「…」
「…」
「…」
「…」
『あ…涙目になった…くくくっかわいいっ』
「…なんで怒るのさ…テジュン、ほとんど寝てないじゃないか!ぐすっ…あっ」
… … …
「…疲れてる時ほどイナが食べたい…」はむ
… …
「…ぁだってミンチョルが帰ってきたらおれ…ぁ…」
「…ぅ帰ってきたら止めるからさ…んんんっ」
「…そか…三分で終わるもんねあんっ…」
「!」
「…ぁ」
「寝る!」
「…ぁあん、酷いよ…途中でぇ…」
… …
ぶちん☆
「…」
「テソンシ、だから見なきゃいいじゃん」
「…三分」
ぱちん
「また見るの?」
「…三分間はかる」
「へ?」
「勝負の時間を計る!」
「テ…ソンシ…(^^;;)」
蜘蛛の恋 part 11 妄想省家政婦mayoさん
蜘蛛はすぐさまテスを懐に抱き寄せしばらく動かなかった。いや動けなかった
蜘蛛の鼓動はいつものように静かな鼓動に始まり、大きく脈打っていた
<トックン<トックン<<トクン・トクン<<<ドックドック<ドクン<ドクン<<<ドックドックドックドクドクドクドク……
テスの頭からつま先まで全身に蜘蛛の胸の鼓動が鳴り響いていく
いつものようにやわらかく包み込むように抱かれているはずなのに
どんどん大きくなる鼓動にテスは息苦しくなってこういうのがやっとだった
く・蜘蛛さん……
俺がその気になったらお前は壊れてしまう。必ず。って…変な自信だな…
壊すのは簡単だ。だが元に戻すのは容易じゃないんだ
わかるな?…テス…ん?…
テスはうんうんと頷くだけだった
お前守りたいという気持ちと、ひとつになったらという気持ちが闘ってる
こんな気持ちは初めてだ。今何も出来なくてドキドキしてるんだ
俺らしくないな..ほんとに
それは蜘蛛さんが優しいから。蜘蛛さんの深い目を見ればわかるよ
僕とひとつになって蜘蛛さんが哀しい目になるのは嫌だ
でも蜘蛛さんが好き。僕を受け止めてくれる蜘蛛さんが好き…
テスは目に一杯涙をためていた
テスの頬に触れようとする震える蜘蛛の手をテスは掴み、自分の頬へ持っていった
駄目だ…唇に触れたら止まらないぞ…俺は…いいのか?…
テスの目に溜まっていた涙が蜘蛛の指の間をつたい落ちる
溢れ出る涙のぬくもりを感じ堪えきれなくなった蜘蛛はテスの唇を捕らえていた……
テスは捕らえられた瞬間からもう既に息が出来ないほど頭の芯から痺れている
あ…これが…そうなの…テスの頭の中に閃光が走った時テスは蜘蛛の腕の中で気を失っていた
あ・やってしまった……俺は…
薔薇の幻 ぴかろん
イヌ先生は、笑顔で僕の頭を撫でた
どきん
なんだこのどきん…っての…
「夕方から通し稽古だ。少し横になりなさい」
「イヌ先生は?」
「ん…考える事があるので…」
…カタい…
イヌ先生はいつもセンセイ口調だ…
ちょっと崩してやりたい…
あれ。どうしたんだろ、こんな事思うなんて僕ちょっと変だな
みんなの毒気に当てられてるな、きっと…
僕はもうすぐ結婚するのに…
そしたらお義父さんと一緒に住める
嬉しいな、お義父さんと一緒…
お義父さんと二人だけでも構わないな…ん?あれ?
いや、彼女あってのお義父さんだ…彼女が居なくてはお義父さんもこないんだ…ああそうだ
「ウシク、どうしたんだい?」
「ちょっと考え事」
「ふふ」
「何?僕が考え事しちゃおかしいですか?」
「ん…いや、僕の真似してるのかと思って」
「違いますよ、お義父さんについて考えてたんです」
「…」
「僕が一緒に暮らしたいのはお義父さんであって…彼女とじゃないのかもしれないって…」
「ウシク」
「それって…変ですよね」
「僕も妻と暮らしていた時、違和感を感じた。●×▽をしても…頭に浮かぶのは違う人の事だった。それと似ているようだね」
ぼぼぼくはそんな●×▽の事は思ってないよ!
「…君は…」
「はい」
「なんだか」
「はい」
「僕の知っている人に似ているんだ」
「…どっちの人?」
「え?」
「先生の過去は知ってます。最初の人?それともその人の生まれ変わりの子?」
「…ウシク…」
「残念だね。僕はどっちでもない。僕は僕です」
「…」
「先生は…囚われすぎてませんか?」
「え…」
「初恋の人に…」
「…」
「そんなだったらBHCやめてポラリスでも行けばいいんだ。あそこは初恋天国ですよ!」
「…ウシク、何故怒るんだ…僕が初恋に囚われようが囚われまいが、君には関係ないだろう?」
「関係ないけど…関係ある…」
「…何…言ってるの?」
「わかんない!しらない!先生が指を舐めたからだ!」
「…それは血が出ていたから…」
「知らない!先生が指を舐めた時、僕…」
「やめなさい」
「どきどきし」
「やめなさい!そんな事考えてたら…ダメになっていく…」
「じゃあ、じゃあチーフた…」
「チーフ?」
「…まだ言えない」
「チーフが何か?」
「…なんでもない…」
「ウシク、もう部屋に戻ったほうがいいよ」
「嫌だ。スヒョンさんと一緒の部屋だよ!このまま戻ったら僕どうなるか解らない」
「ウシク、君…変だぞ。熱でもあるのか?」
先生の手が僕の額に触れた
僕は先生の腕を掴んで…先生がしたように…先生の指を舐めてみた…
先生の目を見つめながら…
「…やめなさいウシク…き…君がこんな事…するなんて…」
先生もドキドキしてるの?
先生は苦しそうな顔をして、突然僕を抱きしめた…
ほらやっぱり先生もドキドキしてるじゃないか…
いや、これは僕の心臓の音だろうか…
交渉 足バンさん
コンコン!
「なんだよ、ドンジュンいつ帰ったの?」
「ねぇ、テソンさん」
「な、なんだよ」
「今ひとり?」
「あ、う…mayoさんは今ちょっと出てるけど…」
「ふぅん…いい?ちょっと」
「ああ、まぁ…どうぞ…」
「ふぅん…こんな広い部屋使ってたんだ…僕ら普通のツインなのに」
「うん…オーナーの計らいで」
「ふぅん…すごい…みんなモニター?…これが噂の…」
「なんだよ、なにしに来たんだよ、舞台の練習あるだろ」
「だってまだミンチョルさんたち帰って来ないんだもん」
「あ…うん…そうね」
「ね」
「なんだよ、ちょ、ちょっと近づくな、座って話せよ」
「わかった」
「梅茶飲む?」
「いらない」
「あ…コ、コーヒーがいいのかな」
「いらない」
「じゃ何がいい?」
「テソンさんがほしい」
「は…へっ!?」
「冗談だよ」
「あぅ…おまえ、いいかげんにしろよ…なんの用だよ」
「テソンさんっていろんな人よく観察してるでしょ?」
「うん…観察…そうね」
「ギョンビンにあって僕にないものってなんだと思う?」
「え?…そ、そぉね…コ、コマさないってとこかな」
「真面目に答えてよ!」
「真面目なんだけど…だから…一途ってことなんだけど」
「一途?なんか興味ない言葉だな」
「ね、テープいっぱい撮ってるんでしょ?ちょっとギョンビンとこ見せてくんない?」
「だめだめ!これはみんなオーナーのものだから!」
「いいじゃん…ね、お願い…ちょっとだけ」
「こ、こら!立ち上がるな!来るな!近寄るな!」
「なんでぇ〜?もしかして僕って嫌われてるの?」
「じゃなくて…こら、触るな!」
「聞いたよ…テソンさんって変わっちゃうんだって?」
「うぅ…耳…に息かけんな…」
「どんな風になるのかなぁ…怖いけど見てみたい…」
どんっ!
「追いつめちゃった」
「あぅ…ドンジュンやめろって…」
「ん…みんなと違う匂い…初めてだな…」
「さ、さかな臭いんだろっ」
「テソンさんてあったかい…」
「あひ…ド…ドンジュン!」
「僕ってさ…みんなには勝手な奴に見えるでしょ?」
「な…なに?」
「そうなんだけどね…勝手なんだけどね…時々寂しいんだ…」
「ドンジュン…」
「僕のこといつも見てて…どこが悪いのかわかんない?」
「はぅ…」
「教えてくれない?」
ガチャンッ
「ま、mayoッシー!」
「@@……」
「あ、こんにちはー」
「@@::……」
「じゃ、ね、テソンさん…また相談にのってね」
「あぅ…」
「じゃね、mayoさん、今度ご飯食べようね〜♪」 ばたんっ!
「@@……」
「あ、あのね、いきなり来たのよあいつ」
「で?」
「で、テープ見せろっていうからダメって言ってたのよ」
「壁際で抱き合いながら?」
「あれはあいつがもう有無言わさずさ…」
「でも顔赤いよ!」
「だってぇ…どうしたらいいかわかんなかったんだもん」
「ドンジュンの手は知ってるでしょっ!」
「でも…なんか…ちょっとかわいそうな感じも…」
「テソンシ!あやしい!」
「あう…(T.T)」
蜘蛛の恋 part12 妄想省家政婦mayoさん
蜘蛛は腕の中で気を失ってしまったテスをそっとベットに移し
ぐったりとしているテスの頬を優しくゆっくりと撫でている
俺は暖かいお前の涙が俺の指の間に止めどなく流れてきた瞬間頭が真っ白になった…
テス…俺はかなり濃厚ぉ〜にやっちまったみたいだな…
つい昔を思い出しちまった…自信があったんでな…つい…すまん…(^^;)
うぅ〜〜ん…
テス…テス?
く・蜘蛛…さ…ん…
ご・ごめんな…びっくりさせたな(^^;)
手を伸ばし蜘蛛の頬を両手で挟みテスは首を横に振った。何度も何度も…
蜘蛛さん…
ん?…何だ…
僕を…幸せにしてくれた…最高のxxxxだった…^_^
テス…
もう一回…
駄目ぇぇ!…おいで…
蜘蛛は懐にテスを引き寄せた。いつものように
テスは蜘蛛のバスローブのひもをほどき胸に顔を埋め蜘蛛の身体残る傷跡をひとつひとつなぞり始めた…
蜘蛛は低く鋭い声でテスに言った
駄目だ!
テスは黙って首を振った。蜘蛛は静かに目を閉じた
蜘蛛の頭の中に傷を受けた情景が浮かびテスの手が傷跡に優しくふれる度に フッ と消えていく…
テスの手が背中に回された時、蜘蛛はテスの腕を強く掴んだ。掴んだ蜘蛛の手は少し震えている
そこはやめろ…テス…
僕…気づいてた…僕に見えないようにしてるの…僕だけは全部知りたいんだ…
観念した蜘蛛は掴んだテスの腕をほどきバスローブを肩から外した…
かすかな月光に浮かび上がる右肩から左腰下までの刀傷。腰上の背骨をはずれたあたりの裂傷
生涯友情を誓った友を救うために受けた傷だった
テスは右肩からゆっくりと手のひらでなぞっていく…一瞬手が止まる。傷が思いのほか大きいからだ
テスを抱いている蜘蛛の手に力が入る。ゆっくりとテスの手のひらが背中をなぞり終えた後、
蜘蛛は大きくため息をついた…
蜘蛛の顔が穏やかになったのに安心したテスは蜘蛛の首に腕をまわして甘えた
お互いに顔を見合わせフッ…と笑う…
激・激…か?濃厚か?
ん〜〜両方!!(*^_^*)
xxxx…だけだぞ
わかってる。でも壊したいならいいけどっ…
駄目だ
うん。わかった。でも…ね?…
ん…
xxxxxxxXxxx…ぁ…xxxxxxxX…ぁ…ぁ…ぁ…xxxxxxxxxぁん…xxxxxxxxxX
予兆?? 妄想省家政婦mayoさん
「いぢわるな指、ホ○ト楽園禁じられた遊び…?」
「あ、それ完成品。オーナーに届けなくちゃ」
「後でいいじゃん…」
「またドンジュンさん来て、持っていかれたら大変」
「あ、あれは…いきなり…ドンジュンが…」
「ふぅ〜〜ん…」
「な…何よ・って…顔近づけないでよ…」ドキドキ
「テソンさんは免疫ないからねぇ〜〜」
「あ…顔に…触らないで…」ばくばくばく…
パチン#ペチン#パチン#
「痛っ…」
「チョコレートついてる!」
「あ、あ、そう…ありがとう…」バクドキバクドキバクバクバク…
バタン★
「テソン!…あ、邪魔した?」
「ち・違うよ…何…」
「お前の…まな板と包丁出来たから」
「ぷっ!テソンさんらしい」
「mayoッシとペアなんじゃない?だろ?テソン」
「私、いらない」
「mayoッシ〜ToT;; 」
「テジンさん、私もお願いしていい」
「うん。いいよ。モチーフは何?」
「蜘蛛。ペアで」
「自分の?」
「プレゼント。足が多くて面倒でしょ?割高でいいから」
「オッケー!腕上がってきたからさ。まかせて。じゃね」バタン★
「…ど・どっちが…いい?」
「いらない」
「mayoッシ…」
「……包丁」
(^_^)……(^^;)ったく…
準備 足バンさん
夕方、僕とミンチョルさんはホテルに戻った
エントランスを通る時、ミンチョルさんは僕の手を握った
なんとなく恥ずかしかった
だって、あんな悲痛な気分でこのホテルをあとにしたのは
つい2日前なんだから
ミンチョルさんは僕の腕をぐいっと引っ張って
顔を上げてロビーを颯爽と横切って行く
ロビーでテプンさんとすれ違った
ミンチョルさんは「今戻った」とひとこと言った
テプンさんは了解、と言ってちょっと肩をすくめた
「オールイン」のチョンウォンさん、だったかな、ともすれ違った
少し笑みを浮かべてミンチョルさんに近づいてくる
すれ違い様に「逃げ出したかと思った」と言った
なんだかよくわからないけど、変な敵意を感じる
ミンチョルさんは完全に無視した
ロビーの向こう側にMUSAの将軍が立っていた
僕たちのことをなにやら熱心に見ている
手帳になにやら書き付けている
と思ったら後から年配の男性が頭をすぱんっとはたいた
なにか問題でもあったらしい
エレベーターからイナさんがおりて来た
ミンチョルさんとイナさんは、ほんの少し見つめ合った
イナさんは僕をちらりと見てからミンチョルさんに微笑んだ
なにも言わずにミンチョルさんは、探るような目をした
イナさんは眉をちょっと上げて照れたようにニコリとした
ミンチョルさんはその表情になにかを読み取ったようだ
「6時再開だ」「先に行ってる」
そのまま分かれた
ミンチョルさんとイナさんには、なにか強い絆を感じる
もっと他にも僕らを見ている人たちがいたような気がする
以前の僕ならすべての情報を瞬時に焼き付けていたのに…
やっぱりミンチョルさんといると少し散漫になるのか
そんなことを考えて歩いていると
ミンチョルさんは僕の顔をじっと見ていた
部屋に入るとミンチョルさんはしばらく窓際に立っていた
そしてふいに口をひらいた
「君を連れ戻してよかったのかな」
えっ?…意外な言葉だった
「君の才能をダメにしそうで」
なぜダメになるんですか?
「君は安心しきっている環境では本来の力が出ない」
ミンチョルさん…
「君はいつまでも子犬じゃない。素晴らしい猟犬になるはずの男だ」
ミンチョルさん
「すまない…今さらこんなことを…」
いやです
初めてミンチョルさんに逆らった
「ミン?」
僕はミンチョルさんのせいなんかでダメになったりしない。絶対
「………」
僕が自分をコントロールできないならそれは僕自身の問題です
「………」
猟犬になるというなら、あなたが育ててください
「ミン…」
連れ戻したのはあなたです
「ミン…」
幸せにしてくれと言ったのはあなたです
もう離れません
ミンチョルさんは自信なさそうに僕を上目づかいで見るとうつむいた
僕はミンチョルさんの頬を包み込み、額にキスをした
いままでいつも彼がやってくれていたように
それでも彼はうつむき続けた
僕はそのままいきなり力を入れて窓枠に彼を押しつけた
そして噛みつくようなくちづけをした
ミンチョルさんは少し抵抗したけれど、やがて力が抜けていった
少しずつ僕の口の動きにあわせようとしている
いつもと違った。あの最後になるはずだった時とも違った
彼が僕に身を任せていた
僕にはわかっていた
猟犬になる準備がもうできていることを
屋上にて オリーさん
ミンチョルに肩を掴まれた、リハーサルの前に話があるって
どんな内容かわかるから聞きたくないけど、2人になれるからついていった
屋上についた途端、もうああいうことはこれきりにしてくれ、とキツネ目で言われた
やっぱりな、と思ったけどしゃくだからとぼけてやった
ああいうことって何だい
僕たちにちょっかいを出すのはやめてくれ
あーあ、僕たちか…まいっちゃうな
約束はできないな
またとぼけてやった
不要ないざこざは避けたいんだ
冷たい視線で言ってくれちゃって、ゾクゾクしちゃうよ、その目つき
ちょっと意地悪してやろうっと
そんなこと言われる筋合いはないさ。お前こそ人のこととやかく言える立場じゃないだろ
首をちょっとかしげてあいつは聞いてきた。どういうことだって
決まってるじゃないか、彼氏はフリーだけど、お前は色々しがらみがあるだろ
ちょっとあいつの目が泳いだ。その目つきも好きだな
立ち入るのはやめてくれ
強情なやつ。もう一押ししてやろうっと
お前こそ記憶が戻ったなら、奥さんの所に戻るのが筋じゃない?
あらら、今度はいきなり目がガラス玉になっちゃった、ちょっとやりすぎたかな
まいったな、思った以上に効いちゃったみたい
おいおい、何か切り返してこいよ
僕は後悔したけど遅かった
あいつはそのまま僕に背をむけると屋上のベンチの方へ歩いていった
そんなに落ち込むなよ
まあ当分は大人しくしていてやるよ、って声をかけたけど聞こえたかな…
ベンチに座り込んで返事もしてくれないや
出口の扉にもたれて僕は後悔の嵐さ
言わなくてもいい事まで言っちゃって。どじったよ
でも待てよ、もうちょっとしたらあいつのそばに行ってやろう
ごめん、言い過ぎたよ、って肩でも抱き寄せたら…
もしかして…ふふっ
なーんて思ってたら階段の方からカツカツカツって音が…
まいったな、彼氏の登場だよ
階段3段とばしで駆けちゃって、体育会系ののりだね
息も切らずに登ってきて僕を見てすっと立ち止まった
いやな感じ
でもって軽く目礼してあいつのところにすっ飛んでった
礼儀正しいけどやっぱりやな感じ
あらら、僕がやってあげようと思ってた事みんなやってるよ
肩抱いて、耳元で何か言って、おいおい、ミンチョルやられ放題じゃないか
もう見てらんないや
それにしてもあの彼氏、いつの間にあんな技身につけちゃった?
まるでミンチョルの方が子犬ちゃんだ
あほらし
もう行こうっと。あーあ、つまんない…
下まで降りてきたら誰かに手を掴まれた
振り返ると男組の隊長だ
涙目でドンジュン君に会いたいって言われたけど…
むしゃくしゃしてたから言ってやった
これからリハーサルだから会えないよってね
そしたら今にも泣き出しそうになっちゃって
勘弁してよ、ほんとは僕が泣きたい気分なのに
むしゃくしゃしついでに、隊長さんに濃厚なやつ一発かましてやった
また後悔した
ドンジュンに言っとかないとな
遊ぶのもいいけど、少しは相手を選べって
全然美味しくなかった…
ほんと、馬鹿な僕…
蜘蛛の恋 part13 妄想省家政婦mayoさん
「蜘蛛さ…」
「テス…蜘蛛、蜘蛛って…いつまで呼ぶつもりだ?」
「だって…じゃぁ何て…」
「お前が呼びたいように…」
「ん〜…テックヒョン?…タランチェラ?」
「どっちも邪悪な感じだ」
「僕も舌噛んじゃいそうだ…じゃぁ…ヒョン?」
「兄弟で ####しないだろ」
「へへ…そうだよね…ん〜アジョッシ!?」
「お、おい!…俺が可哀想だょ…オジサンハナイダロウガ…テス…」
「あはっ(^^;)冗談だよ。もぉ〜蜘蛛さんが決めてよ…」
「これはどうだ、ん〜<<ちぇみぃ〜>>..(^^;) 」
「ぷぷっっ!ぷひひ…」
「変か?…蜘蛛よりいいだろうが…」
「えへっ…蜘蛛さんが可愛いときだけそう呼ぶよ…」
「ん…」
xxxxxxxxxxXxxxxxxx……xxxxXx
「蜘蛛、蜘蛛言われるとお前を絡め取ってイケナイことをする呪文のようだな(^^;)」
「じゃぁ…僕…朝まで言っちゃおう…」
♪蜘蛛蜘蛛蜘蛛蜘蛛………
「あ、僕の♪蜘蛛蜘蛛だけ絡め取る?」
「当然だ。そういうことを言う奴には… ##だっ!」
「えっ?@@」
xxxxxXxxxxx…ぁ
「ま、ま、待って……」
「何だ」
「 ##って……あ・あの・官?……」
「いいから」
xxxxxXxxxxxxx…ぁ…xxxxxxxxXxxxxxぁんxxx…
「駄目だ。テス……俺はお前が可愛くてしょうがない…許せ…」
「う……ん…」
xxxXXXxxぁぅ…xxxxXxxxx..あ..xxxX……########…xxxx……
先輩がやっと帰ってきた。なんか懐を気にしてる。そうか、いつもの猫がいないんだ
落としてきたのかな
あんなに大事にしてるから捨てるわけないよな
ってことは…猫ちゃんも仕事ってことね。うんうん…
先輩、いつもより美白だし、何回もお風呂に入ったね。間違いない
ゆずの香りがほんのりしてたな。ぷっ!古典的(^^;)
妙にすっきりした顔が気になるんだなぁ〜
時々「クスッ(^^;)」って笑うわけ。口元緩みっぱなしなわけ
たまに両手で顔なでるふりしてさ、思いっきり鼻の下べぇ〜って伸ばしてるんだな。きっと
みんなに「???」って見られるといつものカリスマに戻るんだ
えっ?まさか…先輩〜うっそん、うっそんうっそぉぉぅぉ〜ん!!
ほんとに…食べちゃったんですか??..@@うっそぉぉぅぉ〜ん!!@@
風呂も一緒に入ったぁ??当然だよね…
先輩は背中にかなりの傷があるらしい。絶対誰にも見せないんだ
僕も知らないし、仲間も知らないって言ってた
うっわぁ@@〜それを見た。すっごいなぁ…猫ちゃん、僕は君を尊敬する
別に先輩が何してもいいんだけどさ、興味があるんだ先輩の####…
「…あの…先輩?」
「何だ」
「猫ちゃんとは…どこまで…」
「お前に言う必要はない。クスッ」
「あの……xxxxは…」
「ヨンジュン!」
「あ、あは…もう聞きません…」
瞳たち 足バンさん
リハーサルが始まる。現場は久しぶりって感じだな
なんだか傍らがすーすーする
隣に蜘蛛さんがいないから
でも大丈夫
蜘蛛さんのぬくもりはいっぱい残ってる
いまの僕はまっすぐ前を向いていられる
会場にミンチョルさんが入って来た
すぐうしろに彼も離れずについている
でもなんだかいままでと雰囲気がちがう
ギョンビンの目がちがう
いや、元にもどったという方が正しいのかも
ミンチョルさんを守るように歩いている
そして2人を、なにか見えない空気がつつんでいる
僕には自分を試す機会が与えられていた
ミンチョルさんに渡さなきゃいけない書類を持っていた
僕はまっすぐミンチョルさんのもとに向かった
いつだったかも同じ状況があった
でも今の僕はあの時と全然違う
もう視線をはずしたりしない
「最終確認用の書類です」
「ありがとう」
ミンチョルさんは一瞬探るような目をした
でもそれはすぐになつかしい優しい色に変わった
「ありがとう」
ミンチョルさんはもう一度そう言った
僕はすれ違う時にギョンビンを少し見た
ギョンビンも僕を見た
なにも言葉を交わさなかったけれど、なぜか僕は安堵感を憶えた
ギョンビンにもそれが伝わったのかもしれない
彼の瞳がとても柔らかくわらったから
テスが僕に書類を渡してくれた時わかった
テスがなぜ揺らぎなく歩いてきたのか
テスの真っすぐ見上げる美しい目のひかりがなんなのか
ついさっき上ですれ違ったテッヒョンと同じ香りがした
背中でギョンビンとテスの無言の会話を聴いた
こころにうずうずと卷いていたもののひとつがほぐれた
二度目のありがとうを、僕は誰に言いたかったのだろう
さあ、仕事だ
フルコース ぴかろん
俺は嫌だって言ったんだ
3時間しか休憩時間がないのなら、少しでも体を休めてほしいのに…
「食べたい」
しか言わない…
「なんでそんなにその事ばっかりなのさ!」
俺は思いっきり拗ねた
「おいで…」
テジュンが手を差し伸べる
俺は知らん顔していた
知っているから…
すぐに俺を背中から抱きしめてくれるって…
「イナ…嫌か?」
「…」
嫌じゃない…でも怖いんだ…どんどんテジュンに溺れていく自分が…
「僕達…祭が終わったら…」
…離れ離れになる…
「だから…少しでもお前と」
テジュン…
俺はテジュンの顔を覗き込んだ
瞳が揺れて、視線が落ちている
テジュン…
祭が終わったら…俺達どうなるんだろう…
俺の目から流れた涙をテジュンは唇で掬い取った
「考えないでおこう、今は…」
「…テジュン…」
「だから…さ…ニャーのぉ…フルコースが食べたいっ!」
いたずらっぽく笑ってテジュンは俺を組み伏せた
「もうっ!」
でも俺は抵抗しなかった
… …
うっとりとため息をつくテジュン
そんなに美味しい?
美味しいよ…
もっと欲しいな…
ん…ん…いくらでも…
テジュンの指がオードブルからサラダに移り、テジュンの唇がそれを味わう
俺はその味が気になって仕方がない
美味しい?
とても美味しいですよ、シェフ
誰がシェフだよ…あ…
テジュンが美味しいと、実は俺も美味しい
そろそろスープが欲しいな
スープって…あ…あ…
俺の肌を強く吸うテジュン
やめてよ、そんな事したら…ああ…
美味しい、このスープ、骨付き肉が入ってて…んまい…
ああ…やだ…もう…
おっと…食べ残したサラダがこんなとこにあった…
テジュンはニヤリと笑って俺の体を啄ばむ
俺がピクリと反応すると満足そうだ…
あ、パンが出てきたなぁ
レーズン入りのフランスパンだ…
レーズン入りって?
ぱく
ああっ
ばかっ!も…いやだ…ああ…
ねぇ美味しいって聞かないの?シェフでしょ?
ちが…シェ…
俺はもう言葉なんか喋れない…
お前がシェフなんじゃんか!
俺をいいように料理してるんじゃんか…
ほほぉ魚料理ですな?
魚?
こんなとこに子持ちししゃもが…ばくっ
うっ
テジュンは俺のふくらはぎに噛み付いた
ししゃもか…
俺は少し吹き出した
けどすぐに
…声が…
美味しいな、美味しいよ、イナ…
…ん…おれもおいし…
俺はただの食材だよテジュン
テジュンが料理するからきっと…美味しいんだ…
そうだろ?テジュン…
天使の指 足バンさん
会場ではリハーサルの準備が進んでいる
ミンチョルはやけに張り切って指示を出していた
ギョンビンは影のように張りついている
僕たちにこれ以上手を出すなって言ってくれたっけ
ふんっ、手なんか出すもんか
それにしてもギョンビンのやつなんなんだ
昨日までありありだった隙がないじゃないか
脱走事件でなんかふっきれちゃったかな
それでミンチョルのやつ逆にやられちゃってんのか?
ばかばかしい
ばかばかし過ぎて今日は気分が落ち着かない
どれくらいぼんやりしていただろう
舞台ではなにやら技術スタッフが打ち合わせをしている
BHCの連中も集まっている
舞台のざわめきを後に裏手を通って抜け出すつもりだった
でもそこにミンチョルがいた
重たい深紅の幕の影に
道具箱に座って壁にもたれかけ眠っている
なんて無防備なんだ
どうせ寝不足なんだろう!
…そう思いかけて急に胸が締めつけられた
幸いギョンビンの姿はない
僕はそっと近づき膝をついた
なんて顔で寝てるんだ
いつもの刺すような緊張感はどこにもない
なんて姿をさらしてくれるんだ
ギョンビンのせいか?
ギョンビンのせいでこんな表情になっちゃうのか?
その不思議にひかりを反射する髪
眉間につくられたほんのかすかな不安の色
流れた前髪に交差する濡れたまつげ
誰もを寄せつけないかのような真っすぐな鼻すじ
そして…僕を拒絶する唇
僕はそっと彼の髪に触れた
中指がふれた瞬間、電気が走った
ミンチョルの思考が流れてくる
不安と安堵としあわせとほんの少しの迷い
そしておさまりきらないほどのギョンビンへの想い
ミンチョルは目を閉じたまま少し微笑んだように見えた
ばかな僕は彼が寝ているふりをしているのかと一瞬思った
そして目を開け、言ってくれるような気がした
なにをしている懲りないやつだーと
でも違った。彼はギョンビンを感じていた
幻のようなギョンビンの姿を夢の中で追っていた
心臓が大きな手で鷲づかみされるようだった
脱力感に襲われた
こんなはずじゃなかった
なぜか泣きたい気持ちになっていた
目の前のミンチョルをめちゃくちゃにしたかった
でもできない
そのつややかな髪触れるのが精一杯だった
僕が僕でなくなった一瞬
ミンチョル
ミンチョル
ミンチョル…
ふと背後に気配を感じた
どうせミンチョルの影が嗅ぎつけたのだと思った
彼に触らないでくださいと感じ悪く言われるのだと思った
でも違った
幕の向こうに立っていたのは鷹だった
あーん!ずるい!また抜けがけするつもりだっ!
そう言って僕にしがみついてくると思った
でも今度も違った
ドンジュンは表情なく立っていた
少しゆがめた眉は笑い出すのかとも思った
しかし彼は幕を乱暴に翻すと無言で行ってしまった
触られてもいないのに心を読まれたような気がした
そしてなんの考えももたぬまま彼を追いかけた
フルコース2 ぴかろん
魚は美味しかったの?
声に出して問えない…
何も言えないよ…ばか…
もうメインディッシュじゃないの?
なんで違うとこに…ああ
彼のナイフとフォークが俺の…知らない部分を探り出す
そんなとこ、美味しいの?どんな味がするんだよ…テジュン
テジュン…テジュン
バカみたいにお前の名前しか言えない
何か言ってよテジュン
お前の食べている音しか聞こえないテジュン
イナ、お前が僕の名を呼んでいる
ああ、美味しいよ、どこもかしこも
お前は素晴らしい食材だ
何も手を加えなくても美味しすぎるよ…イナ…イナ…
僕は不安なんだイナ…
祭が終わって、お前がお前の居場所に戻った時、僕達はどうなるんだろう…
祭と同じように僕達も夢のように散ってしまうのか?
いやだ…イナ…僕を忘れないで…
不安で堪らないんだ…
だから僕はこうしてお前に僕を刻み付けているのか?
美味しいよイナ
どこもかしこも最高の味だよイナ…
僕が泣いているのを知ってる?
悲しいんだよ
嬉しいのに…悲しいんだ…
テジュン…何か言ってよテジュン
ああ、うまくってたまんねぇんだもん、このえのきだけ…
えのき?!
ん、お前の足の指さぁ…かわいくて…
…テジュン…
お前の声がもう焦らさないでくれと言っているようだ…
ばか
焦らしてるんじゃない
全部覚えておきたいんだ
僕達…どうなるかわからないじゃないか…
僕はイナの体を裏返した
ここはまだ食べてませんなぁ
ふざけるな…いやだ…ああ…
イナの背中に指を這わす…
イナの背中が震える
僕はおどけた言葉を発しながら流れる涙を抑えられない
気づかれませんように…
ああっこんなところにもパンがありますぞぉ
思いっきりオッサン口調で僕はイナに口付けた
ビクッと緊張する筋肉
お前は美しい
僕なんかには勿体ないよ…イナ
パン?…いきなり齧り付くなよ…
気が遠くなる
もういいだろ?もう…沢山食べただろ?
メイン…ディッシュ…たべ…
言葉がでない…テジュンテジュンテジュン
どうにかしてよテジュン…
気が狂いそうなくらい焦らされてる
お願いだ…テジュン…
その時…一粒の雨の雫を…俺は背中に感じた…
泣いてる?テジュン…
狂おしいほどの火照りが一気に冷えていく
涙のわけを薄々勘付いていたから…
泣かないでテジュン泣かないで…
身を返してそう言おうと思った時
俺の体に電撃が走った
俺はまた何も考えられなくなった…
テジュン、お前が好きだって事以外は…
「mayoッシ..おした?すとっぽっち」
「ストップウォッチね…(-_-)」
「はかるんだ」
「…平仮名喋りだよ、テソンシ…」
「ないてる」
「…(^^;;)」
「そんなきもちいいんかな…」
「あー…(^^;;)えーっと蜘蛛の資料はぁ〜」
「…5,4,3,2,1(@_@;)」
「どした?」
「きっちり三分だっ!(@_@;)」
「…ほほ…よかったねぇ(^^;;)」
俺の背中に顔を埋めているテジュン…
なんだっけ…俺…何に気づいたんだっけ…
頭の中がぐちゃぐちゃだ…
思い出そうとしていたらまたテジュンの唇が俺の背中や尻や太ももを駆けずり回る…
やめ…て…
ごちそうさま…でしょ?
んにゃ、まだデザートが残ってるんだ…
コロす気か?
俺はそう毒づきながら、甘いデザートを味わっていた
蜘蛛の恋14 妄想省家政婦mayoさん
お前は俺にまいってる 。.:*・°☆★
僕を受け止めてくれる蜘蛛さんが好き
僕だけは全部知りたいんだ……
蜘蛛さんが可愛いときだけそう呼ぶよ…
俺のkissに夢中でしがみついて離れないお前は至極愛おしい…
kissだけでずぅ〜とトロかせるのは大変なんだ…ひと苦労だ…
そんな俺が# モードになると身体が勝手に動く…
そこにお前の♪蜘蛛蜘蛛呪文…悪さをしろと言わんばかりだ…
お前を小さな筏に乗せて海に放り投げてる気分になる…
怖がることなくお前は俺の目を北極星代わりに航海に出る…
波が穏やかな時は俺は自分の頬にあるお前の手のひらにkissをする…
大嵐が来ようが高波が襲おうがお前は航海を続ける…
波にさらわれたお前はもがけばもがくほど沈んでいく…
これ以上の航海は無理だ。お前が壊れしまうから…
沈みゆくお前を引き上げ額にkissをする…
駄目だ……お前を壊すわけにはいかない……
°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
お前は優しく誰も知らない俺の傷も癒やしてくれる…
そんな時の俺はお前にちょっとだけ甘えさせてもらってる…
人に甘えることのない俺は少々照れくさい…
お前にしかみせられないんだこんな情けない顔は…
そんな時お前は俺の耳元で囁く…
あぁ………俺のほうが先に壊れちまいそうだ………
★☆.。.:* 俺はお前にまいってる
蜘蛛の恋 15 妄想省家政婦mayoさん
「先輩、ピョートルがテス君、食事に呼べばって」
「テスを?」
「みんな好きなんですよ。あいつを」
「ふっ…そうか…」
「あ、でも皆の前ではちぅぅぅはしないでくださいよ」
「ちぅは我慢する。しょうがない。自信があるんだが…
カンガルー・ハグ も駄目か?何かこう…懐が寒くて落ち着かない
んっと…手はつないでていいか?」
「先輩〜〜 ^^;; 」
「冗談だっ☆★」
「………ヨンジュン」
「…先輩?…」
「………いや……何でもない」
ちょっと言葉に詰まった先輩のその声は…哀しくて…重たくて、切なく聞こえた
先輩は腕を組んで…床に視線を落としたまま…ちょっと寂しそうにふっと笑っている
『ヨンジュン…知ってるか?…あいつには…祭りが終われば帰る家があるんだ…』
顔を上げた蜘蛛は襟元のマイクに話かけた
「テス!飯はこっちで食べよう!みんな待ってる」
「うわっ、いいの?じゃ、あとで行くよ」
「いや、待ってろ。迎えに行く」
「ほんと?(^o^) ちぇみぃ〜 サランヘ〜*・°☆.」
「お…お…おぅ…@@;; 」
あとどのくらい一緒にいられるんだ…
夢のつづき オリーさん
ミンは何処行ったんだろう、練習が始まるぞ
部屋に戻ったんだろうか
もう、しょうがない奴だなあ、いつもそばにいるって言ってたのに
あれ、あんなところに立ってる
なんだ、なんで気づかなかったんだろう
ミン、僕だ、ここだよ
ああ、気がついたね
「何してたんだ、あんな所で」
「僕こそずっとあそこで待ってたのに。勝手にどこか行ったのはあなたの方でしょ」
「あれ、そうだっけ」
「そうですよ。忙しいからってちょっと目を離すとすぐいなくなるんだから」
「すまない」
「じゃ、ちょっとお詫びをしてくださいね」
「だめだよ、こんな所で。人が見てる」
「誰が見てたっていいじゃないですか、僕は平気」
ミンとても上手になったね、君に唇を触れられると僕は何も考えられないよ…
「あ…れ…」
「やっぱり、ほんとに寝てたんですか、こんな所で」
「ああ、ちょっと腰をおろしたらそのまま…」
「疲れてる?大丈夫ですか」
「それより今僕にキスしたろ」
「だって、あんな顔で寝てるから」
「夢で君にキスされてた…」
「じゃそこは夢じゃないですよ。結構応えてくれてたし」
「ば・か…」
「気をつけてください。あんな顔して寝てたら誰かに襲われますよ」
「君以外に?」
「ふふっ。それより次の練習までどうします。ちょっと時間ありますけど」
「そうだな」
「疲れてるなら部屋に戻りますか」
「疲れてないけど部屋に戻ろう」
「それって…」
「いいから…行こう」
「兄さん!」
「ソンジェ…(ちっ)…何か用か」
「ああ、今時間ある?」
「次の練習までの間ちょっとなら。(ちっ)」
「ヨンスさんが来てるんだ」
「え?」
「兄さんと話がしたいって。その隣の人のことで」
「ソンジェ、お前…」
「じゃ部屋に連れてくから、いいね」
「わかった…」
「ミンチョルさん…大丈夫ですか」
「ああ、とにかく部屋に戻ろう」
「はい」
「近いうちにはちゃんとしないと思ってたけど、ちょっと急だな」
「僕は平気です。一緒にいていいですか」
「いや、僕一人で」
「たぶん奥さん納得しないでしょ。ここまで来たってことは現場押さえだから」
「現場押さえ?」
「そうです。僕にも興味があるはずです」
「でも君にいやな思いはさせたくない」
「僕も奥さんに興味があります。だからいいでしょ」
「ミン…」
「これは交渉ですから、ビジネスライクにいって下さい」
「交渉?」
「別れるための交渉です。大事なことは2点」
「何?」
「相手の要求は聞くだけにしてください。即答は避ける」
「で?」
「こちらの主張は明確に相手に伝える、この2点です」
「な、なるほど」
「いいですか、僕とあなたの現在と未来がかかってます」
「わかった」
「あと、過去の情に流されない事。相手はきっと昔の約束とかついてきますから」
「う、うん…」
「なんて顔してるんですか。僕がそばにいるから大丈夫です」
「はい」『何だか最近のミンて頼りがいがあるなあ…』
「ヨンスさん、待ってよ!僕も行くから」
『ええい!あなたが来ると話がややこしくなるのよ』
「兄さんと話がついたら、僕たちの事も決めたいし」
『僕たちって誰たちよ!』
「僕がそばにいて守ってあげるから、大丈夫。これで僕たちやっと一歩踏み出せるね」
『踏み出すって何がよ!そんなことより、どうして室長が若い子と一緒に泊まってるのよっ!!』
薔薇の迷宮 ぴかろん
舞台の練習をしている僕等…
数時間前、僕はイヌ先生と一緒にいた
イヌ先生の心がわからない
どうでもいいじゃないか。関係ないじゃないか
そうだけど…
「薔薇投げのタイミングがイマイチ合わない!完璧にやってくれ。…ウシク、もっと堂々と…君達ずっと練習してたんじゃないのか?!」
チーフが珍しく声を荒げた
そうだね、完璧だったんだ…数時間前までは…
「こんな事しないでくれ…」
「先生が先に僕の指を」
「だから言っただろう?血が流れてたからとっさに」
「舐めなくたっていいじゃないか!」
「君が舐めろと…いや、もうよそう…君、部屋に帰りたまえ」
イヌ先生は僕の肩をトンと押すと僕に背を向けて額に手を当ててまた考え込んだ…
どうして殻に閉じこもるのだろう…僕等、仲間なのに…
どうしても先生に踏み込めない
「先生…散歩しない?…練習までまだ時間あるしそれに…お昼ご飯もまだじゃん。僕おなか空いたから付き合ってよ」
「…一人で行きなさい、僕は食べたくない」
「…先生…」
どうしても心を開いてはくれない
僕は食い下がった
「じゃあ、散歩だけでも…行こうよ、部屋に閉じこもってたら腐っちゃうよ先生」
明るく誘った
けど返事は同じだった
諦めるもんか
僕は何度も誘った
しつこいぐらい
自分でもしつこいなと思った
ふとチーフの弟さんの顔がよぎった…
「僕は行きたくないと言っている。わからないのか?一人にしてくれ!君ひとりでメシでも散歩でもなんでもすればいい!僕に構わないでくれ!」
先生は怒鳴りつけた
先生の感情…
ぶつけてくるのはイライラとした感情だけ…
優しい言葉はいつも仮面をつけている
確かにそれで生きていけるよ
けど、辛くないの?
僕には先生がとても辛そうに見えるんだ…
「先生…」
「いい加減にしてくれ!」
背を向けたまま机を強く叩く先生の手
踏み込むなと、チョークで線を引かれたよう
ほっとけばいいのに…僕はこの人をここに残しておきたくなかった
「せんせ…」
「聞こえないのか!いい加減にしてくれ!一人になりたいんだ!」
僕を振り向きもせずに告げる冷たい言葉
何故だろう、涙がでてきた
…そんな風に生きててどうするつもりだよ…
「せん」
「出て行ってくれ!」
「先生は…生きてないじゃないか!」
搾り出すように僕は告げて、外に出て、ドアを荒っぽく閉めた
知らないよ…。そんな風に生きてて何がいいのさ…
僕は廊下を歩いて階段を降りかけ、その場に座り込んだ
バタン
閉められたドア
一人になった僕
何故僕に執着する?
君に心を見透かされているようで怖いんだ…
もう感情をかき乱されるような事はしたくないんだ…
淡々と、残りの人生をただ生きていきたいだけなんだ僕は…
彼が舐めた指を見つめる
ざわざわと波が立つ僕の心
いやなんだ
たとえさざ波だって、起こしたくないんだ
『生きてないじゃないか!』
彼の言葉が胸に突き刺さる…
僕は…僕は彼の後を追った…
廊下に出る
彼はいない
エレベーターだろうか?
散歩すると言っていた
外か?
僕はエレベーターの隣の階段を必死で下り、扉が開いて吐き出される人々の中にいるであろう彼の姿を探した
いない…
どこへ?
何故彼を探しているのだろう…
彼を傷つけてしまったから?
エントランスまで走り、人影を探した
遠くには行ってないはずだ
何故いない?
裏口だろうか?
僕はホールにいる人々の顔を確かめながら裏口の方へ向かいかけた
「イヌ先生」
ウシク?!
「どうしたんですか?慌てて」
テジンだった…
「丁度よかった。これ。先生のチョーク、ちょっとアレンジしちゃった。ハハ。それとこれ、ウシクの分。渡しといてください、じゃあ」
手渡された二つの小さな紙袋
ウシク…
僕は再び顔を上げて人々の中に彼の顔を探した
…先生…どうしてあんなとこに?
僕は、二階の廊下から繋がっている階段下のホールで右往左往しているイヌ先生を見つけた
僕を?
探してるの?
先生…
どうしてこんなに胸が締め付けられるんだろう
何故先生が気になるんだろう…
僕はもうすぐ結婚するはずなのに…
もうすぐ幸せな家庭が持てるはずなのに…
先生の顔がぼやける
喉の奥が熱い…
僕はゆっくりと階段を降りた
いない。いない。ウシク。ウシク…
僕は僕の苛苛を君にぶつけてしまった…
解ってる
君が僕を解放しようとしていることぐらい
でも
怖いんだ
解き放たれたら僕はどこへ行ってしまうのか…
だから生きていないふりをして今日まで過ごしてきた…
見抜かれたことなどなかったのにな
何故君は気づいたんだ…
どこにいるんだウシク…ウシ…ク…
いた
そこだけ輝いて見えた
何故君は泣いているんだ
僕が傷つけたからか?
いや、何故あれぐらいで君が傷つくんだ…
何故僕を気にかけてくれるんだ…
「先生…」
「…」
僕は近づいてきた彼から目を逸らして俯いた
先生は迷子になった子供のように誰かを探していた
必死で探していた
先生の泣き声が聞こえたような気がしたんだ
先生に声をかけると、驚いたように僕を見て、そして視線を逸らした
俯けていた顔を上げた先生は、いつもの先生に戻っていた
「ウシク…散歩に行こう…」
せんせ…い
「行こう…さっきは怒鳴ったりして悪かった…」
先生は僕の腕を掴むと、僕を見ないで歩き始めた
交渉 オリーさん
「すまない、何度も来てもらって」
「いいのよ」
「実は君に大事な話があ…」
「そちらはどなた?」
「あ、彼はミン君…」
「ミン・ギョンビンです。初めまして」
「ヨンスです。室長いえ主人がお世話になってます」
「僕の方がお世話になっていますので、お気遣いなく」
「兄さんわがままだからぜったい面倒かけてるよ」
「ソンジェさん、黙って!」
「このお仕事が終わったら戻ってくるんでしょ」
「いや、その事で話が…」
「戻ってくるって家に?」
「ソンジェさん、室長が他にどこに戻るのよ」
「兄さんの荷物箱詰めしちゃったよ。いつでも運びだせるように」
「そんなものほどけばいいでしょ!黙って!」
「ソンジェ、それなら手間が省ける。ヨンス実は僕…」
「昔の事思い出せないからフラフラしてるのよね。2人で病院に行ってみましょうか」
「思い出したよ、全部」
「記憶が戻ったの?」
「兄さん!ひどいじゃないか、隠してるなんて」
「隠してたわけじゃない。つい最近なんだ」
「兄さん思い出したからって、家に戻ったりしないよね」
「ああ、だからヨンス、話を聞いて…」
「だったらこれが終わったら戻ってね」
「そのことで話が…」
「考えたら思い出せてよかった。兄さんが忘れたままで僕達のこと許してくれたってすっきりしないから」
「ソンジェさんは黙って!」
「ヨンス、頼むから話を最後まで…」
「じゃ昔私とした約束も覚えてるわよね」
「もしかしてあの薔薇の上のやつ?」
「そうよ。命が終わるまでっていうやつよ」
「すまない。僕はもう何も約束できない」
「それも聞いたわ」
「もう一度聞いてくれ」
「でも戻ってきたじゃない。坂道駆け上って」
「今回は戻れない」
「ヨンスさん、戻れないって兄さん言ってるじゃない。もうこの辺で僕らの話しようよ」
「ソンジェさん、どっちの味方なの?私、室長?」
「僕はいつもヨンスさんの味方だよ」
「だったら黙って」
「ヨンス、僕はミンと暮らしていきたいんだ。だからもう戻れない」『はあ、やっと言えた…』
「あなた記憶がなくなったり戻ったりしてるから、自分がわかってないのよ」
「ヨンス本当にすまない。今僕はミンを愛してるんだ」
「兄さんが『本当にすまない』って言う時はかなり謝ってる証拠だよ。僕も父さんの事件のとき一度言われた」
「ソンジェさん!」
「今日はこのへんにしませんか」
「ギョンビンさん、まだ何も決まってないわ」
「彼は戻らない。それだけ了解してくれませんか」
「妻が夫に家に戻ってきてって言ってるの。邪魔しないでちょうだい」
「ヨンスさん、妻という立場に拘らなくていいじゃないか。早く自由になろうよ」
「ソンジェさん黙って!あなたがちょっかい出したんでしょ!」
「ミンは悪くない。僕のせいだ」
「僕とミンチョルさんの間でどっちが悪いなんてありません。二人一緒だから」
「まあ、図々しい!よく私の前でそんなこと!」
「兄さんも相手の人もああ言ってるんだから2人の好意に甘えて僕らのこと進めようよ」
「ソンジェさん!」
「とにかく、僕たちはこれからも一緒に暮らします。それだけは覚えておいてください」
「妻がいるのにそんなこと許せないわ」
「僕は立場は気にしません。彼がそばにいてくれさえくれらば。今日は僕の気持ちをお伝えできてよかった。仕事も残ってるのでお引取りいただけますか」
「随分一方的ね」
「そちらの意見がまとまってないようなので、これ以上話しても時間の無駄です」
「そちらって?」
「あなたと弟さん」
「私達セットじゃないのよ」
「ヨンスさん、もう兄さんに遠慮しなくていいんだよ」
「ほらね」
「わかったわ。でも終わりじゃないわよ」
「ヨンス、本当にすまない」
「ヨンスさん、2回も謝られたよ」
「黙って!今日はこれで帰るわ。室長、また話しましょ」
「今までどおり生活費はちゃんと送るから」
「あれ、兄さん聞いてないの」
「何を?」
「ヨンスさん、僕の会社の筆頭株主なんだよ」
「え?」
「だから配当だけで十分暮らしていける」
「いつから?」
「兄さんたち結婚してすぐだよ」
「じゃ僕が今まで渡していた生活費は?」
「しっかり者だからヨンスさん名義で貯金してる。ね、ヨンスさん」
「黙って!帰りましょ、ソンジェさん」
「それは知らなかった。だとしたらソンジェ、ひとついいか」
「何?」
「そういうやり方は危険だ。ヨンスが株を手放したらお前の会社は乗っ取られる」
「ヨンスさんそんな事しないよ。ね?」
「黙ってて!じゃなくてしないわよ!」
「ほら、ね!」
「するしないの問題じゃない。そういう形態が危険だと言ってるんだ。世の中で何が起きてるか調べて少し勉強しろ」
「わかったよ」
『ソンジェさんたら!株のことまでばらしちゃって、最低!それに何、あの子!妙に落ち着いちゃってやな感じ
室長も室長よ。閉じこもってると思ってたら、幸せそうじゃない!孤独や不幸のかけらもない。魅力半減だわ
でも簡単に引き下がるわけにはいかない』
『ヨンスさん、何をためらっているんだろう。もう問題はないはずなのに。気持ちの整理に時間がいるんだね
いいよ、今まで待ったんだもの、もう少しくらい待って』
「奥さんにちゃんと言ってくれましたね、僕のこと…」
「ヨンスには本当に悪いことをした。僕はだめな奴だ…」
「そんなに自分ばかり責めないで。僕たちのこと考えましょう」
「少し寝てもいい?」
「時間になったら起こしてあげます」
「ミンの胸はあったかい…」
「最近ちょっと甘えてません?」
「うん…」
『もっとはかなげで弱々しい人かと思ったけど…違ってた。僕わかりましたよ。彼女じゃだめだ。だから今日は彼女に会えてよかったんです
僕もう遠慮なんかしませんよ。何があってもぜったいにあなたのこと離さないから』
『そういえば、僕は今まで人に甘えたことがないかもしれない。初めての経験だ…きゃっ!
それにしてもソンジェの奴、甘いな…ホリエモンがきたらどうするつもりだ…』
おもおもっ1 ぴかろん
「♪ヤァクソーッケェネーヌンムリ〜ホトゥェジアントローク…ん?なんでお前そこにいるんだペッタンコ」
「うるさいわね、今暇だからちょっとふらっと来ただけよ!」
「ふーん」
「何してんの?」
「発声練習」
「歌歌うの?」
「聞いてたろ?今!」
「うん…」
「なんだよ、元気ねぇなぁ」
「今の歌、思い出しちゃうのよね…」
「けっ!俺だって思い出しちゃうよ」
「「…」」「「はぁぁ」」
「真似すんなよ!」
「あんたこそ」
「あっち行け」
「ふん!」
「あ、待て!」
「何よ、行けって言ったり待てって言ったり!」
「あの…これ…やる」
「へ?」
「やる…俺の仲間に作って貰った」
「…?」
「お前にやろうと思って…」
「…あ…あたしに?…え…何かしら…」
「…」
「…」
「…どう?」
「何よこれ!」
「いいだろ」
「むかつくー!何よこれは!厭味?」
「…そうなるといいなぁと思ってさぁ」
「きいいいっ!こんなのいらない!」
「ちょっと待てよ、これさあ」
テプン、走ってチェリムの傍にくる
チェリムの手からペンダントをもぎ取り、ペンダントトップのボイ〜ンに手をかける
「やらしいっ!すけべっ」
「てててっ叩くなよ!まあ見ろよこれ」
「…」
ボイ〜ンを取り外すと…
「ばか!いるか!こんなもん!」ばきいいっ
「ぐえっ…お前…ボディ攻撃は…ないだろ…」
「何よこれ!ボイン外したらペッタンコじゃない!失礼な!ん?…」
「げほげほ…」
「…胸が無くても…いい…女?…」
「ぐえっほっ…取り消す…やらない…お前…こええ」
「…ごめん…」
「げほげほ…」
テプンの背中をさするチェリム
「お前なんか、守る必要なさそうだな…」
「そうね、あんたには守って貰わなくてもいいわ」
「…ふーん…」
「でも…」
「ん?」
「ケンカ友達としてはアンタ、必要だわ」
「ん?…そ?へへ…へへ…」
「ふーん、友達がこれ、作ったのね…じゃ私もなんか作って貰ってこよっと」
「あ、おい、もっと話しようよ…ちぇ、色気の無い女!」
天使の指 2 足バンさん
ドンジュンは早足で逃げるように歩いて行く
僕は同じ間隔を保って追った
追いつくことなど雑作なかった
しかし追いついたところでなんと声を掛けるんだ
ただ、今見失ってはいけないような
そんな漠然とした気持ちだった
ミンチョルはもう目を覚ましただろうか
それともまだあいつの夢に包まれているのだろうか
まったく…なんてことだ…
この僕がこんな風に縛られるなんて
あの冷たい目にこんなにも囚われるなんて
舞台裏を抜け、ホールを通り、ロビーを横切った
中庭の男組の連中の間をすり抜け遊歩道に向かう
ドンジュンを呆然と見ていた隊長が、僕に気づくと一瞬身を硬くした
思いきりウィンクしてやった
あとは知らん
よく管理された木立を通り抜けたとき
ドンジュンを見失った
そこは誰もいないテニスコートだった
きれいに巻き上げられているネットの近くまで下りて
まわりを見渡した
風が木々を優しくゆすっている
ふぅ…
僕はいったいなにをしているんだ
「痛つぅ!」
いきなり頭にテニスボールが飛んできた
振り向くと木の陰にドンジュンのばかがいた
ボールを次々投げつけてくる
「やめろっ!ばかっ!」
黄色いボールは容赦なく僕にあたり続ける
「あったまくんなっ!」
ボールの間を強行突破してばかのところまで走った
ドンジュンがボールのカゴをぶちまけた
「やめろって!なんのつもりだっ!」
両腕を掴むとドンジュンは僕を睨みつけた
唇をかみしめ、目には涙が溜まっていた
なにを怒ってるんだ
言おうとして僕は思いとどまった
聞かなきゃわからないほど鈍感じゃない
ドンジュンはさっき僕の心を見透かした
深紅の幕の中で、身じろぎもせずに見ていたのだろう
僕が震える指でミンチョルに触れていたのを
指先で触れることしかできなかった僕を
「なにさ、意気地なし」
「ドンジュン」
「スヒョンさんってこんな人だったの」
「ドンジュン」
「どんな時だってふふんってしてたじゃない
僕にコマされてた時だって落ち込んだりしなかったじゃない!」
「ドンジュン!」
「なにさ!そんなのスヒョンさんと違うよ!」
ドンジュンが暴れるので仕方なく抱きしめ自由を奪った
ドンジュンは声をたてずに泣いている
いつもの手
いや
違う
いつものこいつなら声を殺したりはしない
ドンジュンの気持ちが…
心は読めないはずなのに
ドンジュンの切ない気持ちが伝わってくる
人の心ばっかり読んでると足元すくわれるぞ
ミンチョルの言葉がまた頭をよぎる
僕は力を緩めてドンジュンを離しその場に腰を下ろした
行き場を失ったドンジュンの身体が揺れる
黄色いボールたちに囲まれてぼんやりとコートを見た
一面のグリーンの中でボールが陽を反射していた
いきなり影が立ちはだかった
顔を上げるとドンジュンの無表情な視線が僕を見下ろしている
「マジで好きになっちゃったの?」
「ばかな」
「正直にいいなよ」
「黙れ」
「じゃ僕を抱ける?」
おもおもっ 2 ぴかろん
「んと…ピンキーちゃん、これあげる」
「なあに?ウッキー君…ん?おサルのペンダント?」
「うん…いらない?」
「これって…ウッキー君がモデルだよね…」
「…いる?いらない?」
「…」
「…いら…ないよね…」
しょぼぼぼぼぼーん
「あたしもぉ、これ、あげようと思ってたのにな…」
「え?」
「はい」
「…おサルのペンダントトップだ…」
「重なっちゃった…」
「待って!僕さ、これ…つけてるんだ…」
「きりん?かわいいキリンね」
「…ピンキーちゃんをイメージして僕がイラスト描いたの」
「…うそ…すごい…かわいい…」
「こっちのがいい?」
「…ね、このキリン、もう一個作って貰ってよ」
「え?」
「そしたら私もおサルとキリン、ふたあつペンダントトップつけるから」
「あ!あったまいいピンキーちゃん…って…貰ってくれるの?」
「ええありがとう。嬉しい」
「…僕も嬉しいな…」
「ウッキー君」
「ピンキーちゃん…」
いいムードだわ…私とうとう男の人からキスされるのね…ドキドキ
「あのさ、あの場面でさ」
「え」
「あのほら、イナさんがネクタイだけしてる場面」
「…」
「あそこに入れる文字『体がどちらかに歪んでないか確かめる簡単な方法』ってのでいいかな」
「…なんでこんな時にイナさんの話するのよ…」
「…」
「プン!」
「だって…」
「だって何よ!」
「僕…いっつも女の子から襲われてばかりだったから…どう迫っていいか解んなくて」
「…え?」
「あ、いや。その…」
「なあんだぁそうなの?」
「あの…ごめん…」
「うふふ」
「その、ポスターにはかなり濃く…」
「ちゅ」
「う」
「あーあ、やっぱりしちゃうんだなぁ私」
「う」
「たまにはウッキー君からもしてね♪」
「あ…うん…」
『ちええええっいいなぁチョンマンのヤツ!俺ってばBHCに来てからずうううっと…日照りなんだけど…
あんなサルにあんな美しい人がくっついてどおおおして俺はダメなわけ?!…でもイナさんやチーフみたくほ○に染まるのはぜってーイヤだ!
…どっかにいい女いないかなぁ!』
「ねえねえ、アンタ?銀細工作る器用な男って」
「う…違うよ…なんだよお前」
「ねえねえ、テプンってさ、何がいいかな」
「…何の話よ」
「テプンに何あげたらいい?」
「…」『こいつまでテプンさんと、いやテプンさんまでがこいつと?!』
「ねえってば、相談してんじゃん!答えてよ」
「そういう時はだな」
「うんうん」
「お前の頭のてっぺんにリボンつけて」
「リボン?」
「『あたしをプレゼントしまぁす』ってぐえっ」
「私はペンダントのデザインの相談してるのよ!ばか!だからアンタはもてないのよ!」
「げえええ。腹蹴るなよぉ…げほげほ…俺って虐げられてるよな…ぐすん」