闘争 足バンさん
ソンジュ:ねぇ!チャン理事!中庭で「男組」が生CMだってよ!
チャン:ああ、ウォンビンさんが先ほど肌にオイルをすり込んでいました
ソン :オイルっ!? なんでっ?脱ぐの?
チャン:さぁ、いつですかのCMでしたら立派なお身体で出ていらっしゃいましたが
ソン :僕も出る!
チャン:え?
ソン :腹なら負けない!
チャン:し、しかし!
ソン :じゃ、行って来るよー! ばたん!
ミニョン:なんだって?
キム次長:だから、中庭で「男組」が生CMするって!
ミニ:違う!そのあと!
キム:だからその、腹王編の…
ミニ:ちょっと見て来る!
キム:ちょっと理事!あっちは若造なんすから放っておきゃいいじゃないっすか!
ミニ:自分の肉体派としての位置づけの確認をしたい。じゃ!
キム:あ〜あ、もぅ〜!りじぃ〜!
テジュン:おぉイナ!やっと見つけた!おまえBHCばかりじゃなくて「オールイン」にも顔出せよ
イナ:めちゃくちゃ忙しいんだよ。なんだ。なにこそこそやってるんだ?
チョング:あのさ、チョンウォンのやつがやる気なんだよ
イナ:「オールイン」は会場で正装して接客パフォーマンスだったろ?
テジ:BHCの舞台練習見て燃えちゃったらしくてよ。トファン会長達はどうせ別だから俺たちだけで踊れって
イナ:踊る?どんな
チョ:ヨーロッパ貴族のコスチュームで円舞だって
イナ:貴族っ!? うあっはっは!貴族〜!?いいじゃん!ひっひっひ!
チョ:MUSA達に対抗したいみたい。やりたくないけどやらなきゃクビだって言うんだよ
イナ:スングクさんやチュニルさん、サンドゥ親分はなんて言ってるんだ?
テジ:それがさ、意外とスングクさんとかやる気なんだ
イナ:スンドン会長、間に合うか?
テジ:ん。会長はルイ16世の格好して立ってるだけだから大丈夫だって
イナ:ぷっ!(チニさんが許すかなぁ)で?チョンウォンは?
チョ:最後にセリ上がりで出てきて終わりだって
イナ:あっはっは!なんだそりゃ。あいつらしいな
ま、いいや、お前達がいいならやれよ。俺は忙しいからさ
チョ:テスのやつが捕まんないんだけど
イナ:ああテスは数に入れるな。今忙しいから
チョ:またどっか行くのか?
イナ:ああ、今度こそ確かめるんだ!
ハン総支配人:あの…テス様?
テス:え?変装してるのにバレちゃいました?
ハン:申し訳ないんですが、ロビーで人生相談は他のお客様の…
テス:そういえばイナさんとはどうなりました?
ハン:あっ!?はいっ!?
テス:誤解はとけました?
ハン:あ…なぜそのことを…
テス:お顔を見ればわかります(なんちゃってぇ〜)
ハン:でも、あの…
テス:大丈夫。あなたはこの巨大ホテルを動かす「ブレイン」だ!自信を持って!
ハン:は、はい!
テス:あ、お金はいりません。サービスです
ハン:あなたは凄い。イベント会場にブースを作りましょう!
テス:え、ほんとー?
ハン:是非!
テス:はい!(うれしい!ミンチョルさん褒めてくれるかな!)
円舞 妄想省家政婦mayoさん
「なぁ、チョンウォン、これ…無理があるんじゃないか?」
「チョング、僕はBHCには負けたくない」
「まぁ…お前の気持ちもわかるが…」
「接客パフォーマンスだけでは他のクラブに対抗出来ない」
「だってよぉ…まるで<小白雪姫と7人の男>…それに王子はお前か?」
「決まってるじゃないか。僕は御曹司。他に誰がいる」
「う・うむ…サンドゥを小白雪姫にしたのはいい案だと思うが…」
「ひときわショートなサンドゥは小白雪姫にぴったりだ」
「でも…貴族のコスチュームの必要があるのか?俺たち…」
「ちょうど7人だし…別に問題はない」
「ん…まぁ…スングク、チュニル、テジュン、ヨンテ、サング、シボン…に俺か…」
「衣装の方も手配は済んでる」
「あ、チュニルが、どうしても剣道の胴着がいいってきかないんだが…」
「駄目だ。いくら剣道2段でも円舞には合わない!君が説得しろ」
「あ…あぁ…わかった。それと…スンドン会長がルイ16世って…」
「小白雪姫の父親って事で最後に登場するんだ。王子が姫を助けてみんなで幸せの円舞@ロンドさ。う〜〜ん…いい流れだ」
「でもよぉ…白雪姫なんだろ?毒リンゴ食わせるばあさんは誰がやるんだ?」
「それなんだが…ピッタリはまる人物がいない。黒ずくめの人物はいないものか…」
「…チョンウォン…ちょっと聞いてくる」
「イナ!」
「オ?チョング…あ、オールインはヨーロッパ貴族のコスチュームで円舞だって?」
「それが…小白雪姫と7人の男〜円舞…」
「え?ぷっ…白雪姫って誰よ…」
「お?おぉ…サンドゥ…」
「ぷっひゃひゃ…こりゃいいや…で?俺に何…王子でもやれって?」
「王子はチョンウォンに決まってるだろう…」
「ふん…まあな」
「で、毒リンゴのばあさんなんだが…適任がいない…会場に黒づくめがウロウロしてる小耳にはさんだが、何か知らないか?」
「ん?あぁ…知らないこともないが…」(闇夜のことか?)
「ちょっと頼んでくれ…」
「お、おぉ…話はしてみるが…捕まるかどうか…」
「マズイ…やっぱり来たかCM作戦…」
「…行かなくちゃ…」
「いい?見ちゃ駄目。聞いちゃ駄目。わかった?」
「…ちょっとだけ…」
「ふらふら行って駄目。ソンジュもあのミニョンも腹王披露する気だ」
「…他の人は平気…」
「おびき寄せる作戦だよ?わかってるの?」
「…でも…それでも…」
「見たいの?」
「…うん」
「今度はエサないでしょ!?勲章返しちゃって…」
「…うん」
「チョルッテ!アンデヨ!(絶対駄目!)」
「…;T_T;…テソンシ〜」
順調? ぴかろん
「ちょっと」
「はい」『プッMUSA崩れの緑蜘蛛だ!なんだこの兜』
「僕は仲間外れなんです」
「はい」『口調まで変わってる』
「寂しいんです。MUSAに行っても白い目で見られ、男組に行っても敵だと罵られ
唯一見つけた温かいベッドも今日は来るなと言われ、僕はどうしたらいいのか」
「あなたは、その格好からすると武士ですね?」
「は、はあ」
「野宿するのです!」
「…」
「武士たるもの孤独を味方につけねばいけません。頑張ってください。1万ウォンです」
「…短いアドバイスですね」
「貴方は渋い!」
「うっ」
「頑張ってください」
「は、はい」
「!」
「何?ドンソク」
「!!!」
「男同士で脱がせ合うとは何事だって?仕方ないよ、ショーだもの」
「…」
「お前んとこじゃこんな事やらないって?だろうな。できっこない」
「!!」
「ストイックな僕がこんな事するなんて信じられない?…フッ…生きるためには色々と…脱皮しなくちゃな」
「!」
「いやらしい?フッ」
「…」
「あの逃げまどっていた人はかつての僕のよう?ああギョンビンか…そう?そう思う?」
「!…!」
「気があるかって?あるさ。え?嫁にはしない。男だもん」
「…」
「なんだよ、お前だって男の世界で生きてるじゃん」
「失礼、MUSAのヨソルことドンソク君ですね?」
「あン、チーフ」
「ドンジュン、お前一度階段落ちさせてもらえ!」
「やだ」
「お前のその気の多さを叩き直してもらえ」
「チーフだってあっちこっちに色気振りまいてるじゃん!」
「!」
「世も末だって怒ってるよ」
「どうぞコイツの根性を叩き直してやってください」
「やだ!あ、そうだ、チーフ、落ちるなら一緒に落ちよう、抱き合って…」
スパコォーン
「てえっ!なんだこのスリッパ。どこから飛んできたんだ?」
「天誅だ」
「!」
「弟さんも『そうだ』と言っている」
眩しい光が私に… オリーさん
「サンヒョク君、大変だ!」
「どうしたの?ソンジェ君」
「他はすごく気合が入ってる。僕たちも考え直さないと」
「僕たちは歌で勝負だ。衣裳なんか関係ない」
「ビジュアルは大事だ。君はのん気だからいつも兄さんにやられちゃうんだ。何か考えないと…」
「そうかなあ」
「そうだ、ミミさんに相談してみよう」
「ミミさん?」
「すごいファッションセンスなんだ。祭にはうってつけだ」
「女性なのに来てるの?」
「彼女は別格。何か手を使って紛れ込んだらしい。探しに行こう!」
「あら〜、ソンジェ君!」
「ミミさん、探しましたよ」
「よくあたしが来てるってわかったわね。そちらは?」
「サンヒョク君です。今回の僕の相棒」
「ああら、そうなの。よろしくね」『地味だわ』
「は、はじめまして。よ、よろしく」『すごい化粧!目が痛い』
「ミミさんに相談があるんです」
「なあに?あなたの頼みなら何でも聞いてあげるわよ」
「僕たちも衣裳に凝りたいんです」
「それはダメ!あなたはヨンジュン先生の大事な忘れ形見。そこらのケバイ歌手と一緒になっちゃだめ!」
「でも祭でしょ?少しは目立たないと」
「だめよ!こういう時こそ本業で勝負よ」
「ミミさ〜ん、お知りあいなの?」
「ピーター、私の秘蔵っ子を紹介するわ」
「秘蔵っ子って!ソンジェ君じゃないの!」
「知ってたの?」『何で?』
「あんた!ソンジェ君がいるなんて言わなかったじゃないの!」『キャー!生だわ!』
「知り合いだと思わなかったのよ」
「ソンジェ君も出るのね、素敵!あたし応援しちゃう!」
「ミミさん、この眩しい方は?」
「ちょっとした知り合いよ」『やな予感…』
「ソンジェ君どうしたの?」
「目立つ衣裳をミミさんに教えてもらおうと」
「だったらあたしの方がプロよ。何だって貸してあげるわ、あなたのためなら!」
「だめよ!ピーター、その子は飾り立てなくてもいいのよ」
「おバカ!みんな飾り立ててるのに、彼だけ地味なんて可愛そうでしょ!」
「僕たち、歌を歌うんです」
「僕たち?」
「サンヒョク君です」
「ふううん…その子ね。とにかく目立つ格好教えてあげる、さっ来て!」
「ど、どこに?」
「あたしのスペシャルスイートよ。あなたタートルばっかり着てるけどイメチェンしましょ。胸のカパーッと開いた派手なドレスがあるわ」
「胸の開いた?」
「大丈夫、下品にはしないから。とにかく来て!お泊りしてもいいわ。あっ、そうしましょ!行きましょ!」
「あの、僕は…」
「サンヒョク君も一緒じゃないと!」
「しょうがないわね。じゃその地味な子も来て」
「待ってよ、ピーター!ソンジェ君!」
「やあ、ミミさん」
「ミンチョル君!ちょうどいい所へ。ソンジェ君が悪魔に取り付かれたの!」
「はあ?」
「あっ、兄さん!」
「ソンジェ、お前の手を握っているのは誰だ」
「彼は何?」
「僕の兄さんです」
「ミンチョルです」
「あらあ、目つきがいいわね。うふっ、ソンジェ君とは違ったタイプ」
「ソンジェ、お前こそ趣味が変わったな」
「ち、違うんだ、誤解だよ!」
「お兄さんはまた今度またゆっくりね。さっ、ソンジェ君行きましょ!」
「ソンジェ、ヨンスには黙っているから安心しろ」
「に、兄さん!ちょっと、止めてよ!」
ズリズリズリと引かれて行くソンジェ+1
「ミミさん、何ですか、あれは?」
「リサーチ不足だったわ。あの人がソンジェ君タイプだったなんて。ちっ!」
大胆な行動 ぴかろん
「ドンジュン、弟とはやっかいなものだな」
「ミンチョルさん、そうでしょ?だから僕と一緒に階段落ちしましょうよ」
バコ☆
「ラブ、イナ、テプン、それからギョンビン♪」
『なんでギョンビンだけ音符つき?』
「今から言う早口言葉を練習しろ」
「早口言葉?」
「そうだ。歌の合間にセリフを言う。カツゼツをよくするための早口言葉だ!いくぞ」
「セリフって…なんだよ」
「イナ!お前のセリフはない!だがこれは罰だ」
「罰ってなんの?」
「お前の…その…色恋にぼけた頭が巻き起こした数々の勘違いに対する罰」
「は?勘違いって…テジュンさんには謝ったのに」
「馬鹿っ!それだけじゃない!ありもしない裏組織がどーのこーのって。ほんっとにお前は馬鹿!」
「ミン…・ひどい…俺はお前が記憶を失った時も一生懸命庇ったのに…ううっ裏の事、何も知らないくせに!いばるなっええ〜ん」バタバタバタ
「あっイナ!…どこ行くんだよ全く…」
「ねぇねぇイナさんのかわりに僕が言うよ」
「ドンジュン…まあいいか…じゃあいくぞ」
「「「はい」」」
「チェミこましたかったのはチェミこましたかったからでチェミこまされたのはチェミこまそうとしたチェミこまし部隊だ。言え!」
「…なんでチェミこまし?」
「今『白夜』を見ていたからつい」
「うえ〜んうえっうえっ」
「イナ…りす君!どうしたの?」
「テジュンさ…いえバンビちゃん…ぐすっ」
「何かあったの?」
「うっううっミンチョルがっミンチョルがっキツネ目を釣り目にして…」
「馬鹿って?どうして?どうしてりす君が馬鹿なんだ?」
「ううっううっ色恋にぼけた頭で勘違いを巻き起こしたってううっ」
「色恋…『ぽっ』僕の責任だ…」
「え?」
「りす君は悪くない。僕がいけないんだ」
「そんなバンビちゃん…」『チニさんのこと監督不行き届きだと思ってるんだ…』
「ごめんね、りす君、キツネを怒らせちゃったんだね」
「ううっううっ」
「泣かないで。さ、僕の部屋で待ってて。あ…そうだ…ワ…ワインでも飲んで、なんならシャワーも浴びて…」
「へ?バンビちゃん、どこへ行くの?」
「キツネさんに説明してくる!君のせいじゃないって」
「そんな、いいですよ!」
「だめだ!君をこんなに泣かせるなんて、キツネさんも酷いよ」
「バンビちゃん!」
「なに?」
「それよりも…全てを話してくれるって。それさえ話してくれれば俺は…」
「…だから…ワイン飲んでシャワー浴びて…待ってて(*^^*)じゃ」
バタン
「あの…なんでシャワー?」
『ドキドキ…こんな気持ち初めてだ。こんな大胆な行動に出るのも初めてだ。りす君。君は僕をこんなにも大胆にさせた
どうしても祭の前に「決め」ておきたい!その前に、ミンチョル君に抗議しなくては!』
「ミンチョルさん」
「ああ…イナの事ですね?申し訳ない」
「言い過ぎです!彼がかわいそうだ」
『この人も相当勘違いが激しい』
「彼の名誉のために言っておく。彼は悪くない。悪いのは全部この僕です!」
「…ああ、そうかもしれませんね」
「?あっさり言いますね」
「ええ、あ、そうだ、テジュンさん、あなた、イナと一緒にMUSAのヨソル君の所で階段落ちやってみませんか?」『きっと目が覚めるだろう』
「階段落ち?そんな危険な事は…」
「大丈夫。きっと…イナが守ってくれます」
「え…そ…そうかな…」
「イナはどこに?」
「僕の部屋です」
「じゃあ二人で話し合って一度トライしてみては?二人で抱き合ってゴロゴロ落ちるんですよぉ」
「抱き合って…おちる…」『ゴクリ』
「今からでもどうですか?」
「…相談してみます…」
「ミンチョルさぁん、総支配人の目、危ないですよ。いいんですか?イナさんとって」
「罰だ!」
自信 妄想省家政婦mayoさん
「う〜む…ノリが悪いな…うるおいパックシートを持ってこい!」
「イェ…ヒョンニム…」
「なんだ、このカツラは…カールが足りない!」
「イェ、ヒョンニム…」
「小白雪姫だぞ。かわいらしくもっとカールをつけろ!赤いリボンを忘れるな!」
「イェ…ヒョンニム…」
「つけまつげはブラウンだ。黒ではますます目が小さく見える!」
「イェ…ヒョンニム…」
「ピンクの口紅はないのか!」
「イェ…ヒョンニム…」
「おい!カラーコンタクトはどうした!ブルーだぞ!」
「イェ…ヒョンニム…」
「んな…ペタンコ胸では…Cカップのパットをよこせ!」
「イェ…ヒョンニム…」
「ちっ。ドレスが長すぎる…もっとヒールの高い靴はないのか!」
「イェ…ヒョンニム…」
「…どう?イケテル?」
「イ、イェ……ヒョ、ヒョン…ニム…イ・イップダ…(か・可愛いです…)」
「タエヤジ!(当たり前だ!)」
「んふっ…君は全体に華奢だけど…王の具合はいいねぇ…」
「あなたは、王がなまっ白い…それでは蒸し鳥のようです」
「んふ…しょうがないよ…僕、御曹司で都会育ちでしょ…君みたいに江原道の田舎育ちじゃないから」
「し・自然に、逞しく育ったと言ってください!それに…色黒はオイルのテカリ具合が映えるんんです!」
「それって…オイルでごまかせるってことだよね。んふっ」
「オイルでごまかすってのは侵害だな。ソンジュ君」
「あ、人造人間ミニョガァー!」
「…肉体改造と言ってほしい。ここまで身体を作るのに死に物狂いで頑張ったんだ」
「でも、あんたの王は僕らのとはちょっと違うなぁ〜」
「どこが違う!王の部分の膨らみは一番だ!負けてない。ウエストのくびれは秀逸だ!」
「んふっ…あのね、王だけじゃないの。全体の肌の張り。君もそう思わない?」
「はい。それは…やはり若さ!だと思います」
「んふっ…そういうこと」
「うっ…そ・それだけは…勝てない…」
「それにあなたの王がふくらみ過ぎてバランスが悪いです。腕もボンレスハムのようだ…」
「そうだよね〜ちょっと作りすぎて、嘘っぽい…」
「あの写真集だってCG加工したって…僕読みました」
「自分の身体に嘘はいけないなぁ〜ミニョガァー!」
「うっ…」
「どうした、ヨソル」
「…!」
「何?お前も脱ぐというのか。あれほど嫌がっていたではないか」
「……!!」
「何?負けたくない?菜種油を塗れだと?」
「……!」
「お前のような華奢な身体は駄目だ」
「……!……!!」
「俺も腹王になってる?う〜む…駄目だ!」
「…??」
「確かに王は確認できるが…」
「……??」
「じゃ、何故だと?…お前は胴が長すぎる…」
「…;;o;;」
ビューティフル・ナイト オリーさん
ホテルの長い廊下の先に黒い影がふたつ。時に絡み合い時に離れ、部屋の前まで来るとひとつの影になったままドアの向こうに消えた
暗い部屋の中、ふたつの影はひとつになったままドアにもたれかかっていた。影のひとつが動く
もう一つの影の頬に優しく触れ、耳元で何か囁く。囁かれた影は一瞬震えるが、小さく頷く
それを合図に影のひとつはもう一つの影の腕を取り、寝室へ向かう。そのままベッドになだれ込む影ふたつ
ひとつの影はまるで狐。夜にその美しさを最大限に発揮する成熟した銀狐
そのガラス玉のような瞳に今妖しい光がともり、獲物に向かい合っている
もうひとつの影は子犬。限られた世界しか知らない無垢な子犬。だが少し注意して見ればすぐにわかる
子犬はとても敏捷で、しばらくしたら動線の美しい猟犬に成長すると
狐は壊れ物を扱うように優しく子犬の髪、顔、顎を順番に触っていく
その度に子犬は遠慮がちに切ないため息を漏らす。「くぅん」
狐の手は子犬の首にかかると素早く子犬のネクタイをほどき床に投げ落とす
子犬には次に起こる事がわかっていた。片手でワイシャツのボタンをはずされるのだ
狐は決して焦った様子を見せない、なのに動きは俊敏ですぐに子犬のボタンはすべてはずされた
恐ろしいまでの静寂の中、狐と子犬はお互いを確認するように静かに動いていた
子犬がためらいがちに狐の髪に触れると、狐はその手を優しく握り自分の口元へ持っていった
下から見上げる子犬と上から覗く狐の視線が暗闇の中で交錯した瞬間、2匹の間にあったためらいが消えた
大きなダブルベッドの上で2匹は激しく絡み合った
突然の侵入者。狐の上着のポケットから携帯の着信音。美しい空間に不釣合いな現実的な音
狐は無視したまま子犬の肩に顔をうずめた。鳴り続く現実。子犬の頬にそっと手を触れて立ち上がる狐
「ミンチョルだ。今はだめだ」狐の名前がわかった。「明日ではダメなのか。わかった」
耳元で携帯を切る狐。おあずけを食らった犬の気持ちがよくわかる、と狐は思った
狐はワイシャツを羽織ると子犬のそばに寄り囁く、仕事だ
子犬は一緒に行くと言い、狐は優しくそれをなだめる。10分で戻る、待ってて
子犬の唇に優しくキスをした後、狐は素早く支度を整えドアへ向かう
敏腕な仕事人間の狐がそこにいた。が狐は一度子犬を振り返るともう一度優しくつぶやいた
すぐに戻るから。子犬は狐の唇の動きを読み取り静かに頷いた
廊下に出た狐は思考が前に向いていたため気づかなかった
廊下の角から一つの邪悪な視線が狐を見送っていた事を
暴露夜 妄想省家政婦mayoさん
「何してんの?コソコソって…」
「あ、お、うっ…な・なんでもない…」
「また男組に行くつもりじゃないよね!」
「違うって…」
「そっ。ならいいけ…ど…って、何を…見て…(テソン覗く)る?…オ・オ・オモ@@」
「あはっ^^;;…1人で観るのもなんだから…一緒に観る?」
「お、おぉ〜もちろん!」
夜にその美しさを最大限に発揮する成熟した銀狐
子犬は遠慮がちに切ないため息を漏らす。「くぅん」
子犬の頬にそっと手を触れて立ち上がる狐
「こ、これ…いつ?」
「…昨晩…」
「おいおいおいおい〜とうとうお手がついたか…」
「これは、かなり…狐の目が違うでしょ?いつもと…」
「あぁ…まいったな…いつ仕掛けた?」
「オ?…部屋を替えたとき」
「カメラの音は?聞こえるんじゃないか?気づいたら壊されるだろう…」
「…最新鋭の消音カメラだもん」
「何処から仕入れた…って聞くだけ無駄か…」
「それに…」
「それに?」
「カメラ…1つだけじゃない…」
「って…?」
「今回は四方につけてあるの…v^_^v」
「はっ…はっ…まいった。今回は準備万端だな…」
「もちろん!」
「でも少し安心した…」
「何がですか?」
「ん?本来の覗きのmayoが戻ってきた」
「声ボケ&腹王ボケはしてもこれだけは抜かりないですから…」
「でも、これ…見つかったらどうする?」
「ん?ん〜まぁ…覗いてなんぼ、覗かれてなんぼの世界ですから…」
「そう言われればそうだけど…」
「あ、ここ…ちょっと見て…」
「ん?どこ?」
「廊下の端っこ…チラッと人影見えるでしょ…この人…」
「うっ…こいつは…」
「しばらくは2人の秘密です」
「あ、あぁ…もちろんだ…う〜わくわくする!」
「さてっ…と」
「どこに行くの…あ、駄目だよ!腹王見物!」
「>o<テソンシ〜ご褒美ぃ〜」
「アンドゥエ!」
ビューティフル・ナイトパート2 オリーさん
エレベーターホールから狐の姿が消えると、邪悪な影はそろりと動き出して音もなく狐が出てきたばかりの部屋の前に立った
残された子犬は大きなベッドの上で今しがた自分の身に起こった事を反芻していた
大きな戸惑いの嵐が子犬を押し潰しそうになっていたが、子犬にはわかっていた
狐がいた時には輝いていた暗闇が、今はただの暗闇だということを
子犬は狐が出て行った瞬間から狐を待っている自分に気がついた
のろのろとベッドの脇のサイドランプに手を伸ばし小さな灯りをつけた。ひとりではこの暗闇に耐えられない
だからたった今狐が出て行ったドアにノックの音を聞いた時、狐が戻ってきたと思い込んでしまった
いつもの子犬なら用心したはずだった
いなくなってからほんの数分しかたってなかったが、狐の余韻がどんどん消えていく部屋の空気に耐え切れなかった子犬は迷わずドアを開けた
無防備だった
邪悪な影は大きく息を吸い込むとドアを軽くノックした、と同時に頭を下げて身構えた
相手は子犬だがプロなのでドアが開いたほんの一瞬が勝負の分かれ目だと知っていた
思いのほか簡単にドアが開いたので少し面食らったが、低い体勢から子犬の首のあたりをねらって頭突きを見舞った
子犬は顎の下に強い衝撃を受けて後ろへ倒れこんだ
飛んでゆく意識の中で狐の名前を呼んでみた。「ミンチョル…」
最後に狐が呟いた口元を思い出していた。すぐに戻るから…その後腹部にもう一度強い衝撃を受けて子犬の世界は暗くなった
狐の名前を呼んだ子犬に一瞬逆上した影はとどめを指すようにもう一度倒れこんだ子犬に蹴りを入れた。子犬は動かなくなった
急いでドアを閉めるとすばやく子犬の口と手足にガムテープを巻きつけた
さらにシーツで子犬をぐるぐる巻きにするとクローゼットまで引きずっていって中に押し込めた
邪悪な影はクローゼットを閉めると大きく深呼吸をして、第一段階がうまくいったことに満足して微笑んだ
残された時間は少ない。影はすぐに寝室へ入っていった。その目に最初に飛び込んだのはベッドの脇に脱ぎ捨てられた子犬の衣類だった
さっきは子犬を片付ける事に必死で考えられなかったが、たしかに子犬は服を着ていなかった
遅かったのか…影はベッド脇のライトのそばまで来るとその衣類を呆然と見下ろした
暗闇の中からライトに照らされて影の顔が浮かび上がった。鷹。それは若く猛々しい鷹だった
打ちのめされた鷹は思い立つと急いで計算を始めた
ふたりを見失ったのはいつか、見失ってから狐に電話するまでの時間はどれくらいだったか
長くて一時間。鷹は「大丈夫だ」、と言い聞かせた。鷹は知っていた。確かに狐は仕事は速い。だが仕事自体はとても丁寧だと
自分を落ち着かせるために「間に合った」と声に出してみた。微笑が自然と口元から落ちた
狐は苛立っていた。呼び出されたロビーで受け取った物はメモだった。「やはり明日にしてください。テジュン」
仕事にも支障をきたしているこの頃の総支配人の事が心配になった
今夜話を聞いてやった方がいいのだろうとも思った。だが呼び出しておいてすっぽかしたのは向こうだ
子犬のいたいけな瞳を思い浮かべ、総支配人の心配は明日でいいと即断した
早く子犬のところへ帰りたい。狐はいつになく焦っていた
鷹は子犬がさきほどまでいたベッドにもぐりこみ、ひたすら待った
子犬の残り香が鼻についたが、これから狐との間に起こる事を想像すると気にならなくなった
サイドランプを消して待とうかどうしようかと思案した末につけたままにしておいた。薄明かりの中で狐の視線を思い切り浴びてみたい
そんな事を考えると鷹は悪魔のように美しく妖しい微笑みを浮かべた
ほぐれぬ糸 ぴかろん
「階段落ちか…痛いだろうな」
「…ちょっと!」
「はい、何ですか?」
「お前、テジ」
「はあ、僕はテジュンですが」
「テジじゃないか!おっきくなったなぁっていうか、オッサンになったなあ…姉さんちで育てて貰ってたのに…なんでこんなとこにいるんだ?」
「あの…BHCの方ですね?」
「何言ってんだ!パパだよパパ」
「は?パパ?誰の?」
「お前のパパだよ」
「あの…テプンさんですよね?」
「うん」
「私をお忘れですか?ホテリアー総支配人のハン・テジュンです」『別名バンビちゃん…なんちゅわってぇ(*^^*〉』
「え?テジじゃないの?てっきりテジだと…アハ…目元がそっくりなんで…あ…まさかアンタ、テジの実の父親じゃ…」
「僕は子供を生ませた覚えはありません!失礼します!」
「あ〜怒っちゃった〜テジそっくりなんだけどなぁ…」
「全く!失礼な!それより早く部屋へ戻ろう。りす君が待ってる」
「シャワー…浴びたけど…このバスローブ使っていいのかなぁ」
トントン
「はい、バンビちゃん?」
「そうです」カチャリ「うっ…」ダラダラ
「バンビちゃん、鼻血が…まさか悪い病気じゃ…」
「いえ、大丈夫です。バスローブが似合いすぎてて…」
「言われた通りシャワーを浴びた…それで?」
「ワインでも飲みます?」
「あ…ああ」
シュポン、コプコプコプコプ
「さあ、乾杯しましょう」『僕達の新しい一歩に』
「ああ、乾杯」『秘密の全貌に』
「テジュンさん、話して」
「階段落ち…しませんか?」
「はあっ?」『新たな暗号か?』
「一緒に、抱き合って落ちるそうです…」
「誰と?」
「僕と貴方」
「…それには何か意味があるの?」
「…確かめるという意味が」『愛をね』
『組織の一員かどうか確かめるって事か?』
「怖いですか?」
「怖くはないけど…痛そうだな。それをやらないと先には進めないのかな?」
「そうですね、その程度の痛みに耐えられなければきっと、とても耐えられる物ではないのではないかと…僕も未経験なので…(*^^*)」
「未経験?初めて?」
「…(頷く)」
「いいのかな、そんな事に染まっても」
「貴方と一緒なら…」
「少しだけでも教えてくれないかな。その、どういう構造なのか」
「こ、構造?!そんな、貴方もお持ちのはず…」
「俺が?持ってる?」『花札か?と言う事は、博打組織…』「そうか、祭に乗じて大勝負に出るってことか」
「僕にとっては人生最大の勝負。覚悟してます」
『なんて事だ。初めてのくせに大勝負に出るだなんて。危険な人だ』「テジュンさん、貴方はその世界の事をまるで知らないんでしょう?」
「え…ええ…イナさんは知ってる?」
「俺はその世界で生きてきたから…辞めた方がいい。痛い目に合う」
「そ、その世界で生きて…じゃあ経験豊富…」
「ああ、裏技も知ってる」
「きえええっ」
『なんだよ!大声で』
「う…裏技…」
「必ずモノにする…」
「きええええっ」ドキドキドキ
「テジュンさんは…攻める方?」
「え?」『考えてなかった』
「俺は相手の出方を見てどちらか決める」
「…僕は、その、初心者なので攻める事はその…どこをどう攻めればいいか…その」もじもじドキドキ
「わかった。任せてよ」
『ずぎゅーん』
「で、いつだい?」
「階段落ちした後でも…」
「怪我してなければね。じゃあ、階段に行こう」
「は…はい」
暴露夜 妄想省家政婦mayoさん
「ちょっと!来て」
「ん…何…テソンさん…」
「これ…全部見た?」
「ううん…全部は…狐が部屋出てからはまだ…」
「仔犬…クローゼットに放り込まれてる…やっぱ鷹のやりそうなことだ…」
「あう…そこまでしちゃいましたか…やっぱり…」
「やっぱりって…予想してたの?」
「ん〜でも…どうせバレル…」
「何故わかるの…」
「仔犬と鷹の見分け方…狐に教えたから…それに、ほんのり明かりつけてない?」
「うん…すこ〜し明るい…」
「じゃぁ…見分けられる」
「でもなぁ…狐は、冷静に判断できるか?」
「それは…大丈夫だと思うけど…」
「おい!もう〜どうなってんのさ…ミンチョルさん!」
「もう少し…続き観てみようよ…」
「…腹王見物は?いいの?」
「うん…」
硬い決意 (ロムとか言ってた)足バンさん
テス :スヒョンさん、どうしたんです?こんなとこで。もう練習終わったの?
スヒョン:あ?あぁ、ちょっと考え事
テス :どうしました?金の卵のことでも考えてたんですか?
スヒョ:えっ?なに?なんでそれを?
テス :最近スヒョンさん、心が読めなくなっちゃったの?
スヒョ:うん…そう…わかる?
テス :わかりますよ
スヒョ:なんでだろう
テス :束縛と嫉妬。心に闇を招いたから
スヒョ:テ、テス…?
テス :僕も…闇を持ってた…そしたらなんだかいろいろうまく行かなかった
相手に見てもらおうとばかりで相手を見ていなかったんだ
スヒョ:なんだよ、どうしたんだ?
テス :認めてもらおうとあがけばあがくほど相手は遠のく
スヒョ:チ、チーフのことか?
テス :僕がばかだった。ずっと僕の側にいてくれてたのに
僕はあの人の寂しさに気づいてあげられなかったんだ
スヒョ:な、なんだか〈リレー〉のムード変わってない?
テス :ねぇ、スヒョンさん、いろんな人の話し聞いてたら、わかっちゃったんだ。人は変われるって
変われないのは変わろうとしてないからだって
スヒョ:テス、どうしたんだよ
テス :相手を変えようとしたってだめだ。自分がまず変わらなくちゃ
スヒョ:男組に行った時電気ショックでもかけられたのか?ん?
テス :スヒョンさん、僕、ミンチョルさんの記憶を取り戻してみせる!
スヒョ:えぇっ?
テス :たとえ今ミンチョルさんの心が…他にあるとし…ても…ぐすん
スヒョ:おい、泣くなよ…でもチーフが望んでないんじゃないか?
テス :今のミンチョルさんは記憶を失う前のいろんな心の問題を放棄してるんだ…
スヒョ:思い出しても、お前のことを大事に思うとは限らないんだよ
テス :そんなこといいんだ。奥さんのこともハニ…弟さんのことも、寂しかった心も、このままじゃ何も
解決できない…このまま幸せになったっていつか同じ過ちを繰り返すよ!…そんなのかわいそうだ…
スヒョ:おまえ、本気なんだな…
テス :うぅ…うえぇん…
スヒョ:よしよし。協力するから、な?泣くな
テス :うぇ、うぇ、ぐすん…
テプン:あれ?あそこにいるのスヒョンとテスか?
ジュンホ:そうです。てすさん、すひょんさんのかたにもたれて、なかよしですね
テプン:ありゃぁ?そうなのかな
ジュン:なかよしはとってもいいことです
テプン:ま、いいや、スヒョン立ち直ったってことか!撮っちゃおう!
ジュン:けいたいできねんさつえいですね?
カシャ!
ジュン:すひょんさん、げんきになってよかったです。ちーふにもみせてあげなくちゃ
テプン:チーフ?さぁ…今見せてもなんの反応もないだろうなぁ
ビューティフル・ナイトパート3 オリーさん
チャンスは一度で十分だ。若くて過剰とも言える自信を身につけた鷹は確信していた。すべてが終わった後なら正体がばれても仕方がない
むしろその方がいい。その時には狐は深みにはまって身動きできないはずだ。未熟な子犬の事など思い出しさえしない
痛いほど冷たい視線とやけどするほど熱い視線を身に付けた狐。そんな狐がすがりつくような切ない目で自分を見るしかなくなったら
そこまで考えると鷹は歓喜に身を震わせた。一瞬昔自分を導いた親鳥の顔を思い浮かべたがすぐに消した
今は大事な時。絶対にしくじってはいけない。勝利は目の前
部屋に一歩入った途端、狐はかすかな異変に気づいた。部屋の空気が乱れている。自分と子犬の他に何かいる。そんな気がした
不安に駆られて狐は寝室へ急いだ
開け放たれた寝室のドアから灯りがぼんやりと漏れている。一歩中に踏み込みノブに手をかけた。子犬はそこにいた
狐は安堵のため息をついた。ベッドの背に上半身をもたせかけていた子犬がゆっくり顔を上げ狐に眩しい笑顔を投げかけた
ドアが静かに開き狐が寝室に向かってくるのがわかった。緊張と期待で鷹は身を震わせた。狐は寝室のドアの所からこちらを見ていた
痛いほどの視線。鷹は純心さを装いとびきりの笑顔で迎えた
背広姿の美しい狐はかすかに首をかしげ鷹を見つめ返した。そして静かに微笑んだ。今までに見たことのない優しい微笑
子犬に軽い嫉妬を覚えた。構うものか、すぐすべてが自分の物になる
ルームライトを背にしていたせいで子犬の顔ははっきりしなかった。だが確かに子犬だ。狐は子犬に向かって歩き出した
上着をするりと脱ぎ捨てネクタイに手をかけ素早く引っ張る。ネクタイは音を立てて狐の首から離れ床に落ちた
ベッドの脇に辿り着くと子犬を見下ろしながらワイシャツのボタンを2個はずしカフスも取った。準備完了
鷹は思わず息をのんだ。こんな狐を見るのは初めてだ
歩きながら器用に背広を脱ぎ捨てネクタイを外し、ベッドのそばに立ってワイシャツのボタンをすばやくはずし
カフスが留まっていた手首を自由にした
飲み込まれるのは自分かもしれない。鷹は一瞬気後れした。がすぐに体勢を立て直し先制攻撃。「もう仕事は済んだの?」極上の甘い声で囁いた
鷹は気づかなかった。自分が大きな間違いをしでかした事に
子犬の言葉に狐は驚いた。再び鳴る警鐘。子犬はただの子犬ではない。厳しく訓練された子犬
狐はそんな子犬の礼儀正しさを好ましく思っていた。生来の生真面目さと相まって子犬は礼を持っていた
全てを許し合ったとしても子犬は決してその礼を欠く事はない。狐は本能的に確信していた
子犬は決して言わない、「済んだの?」とは。「仕事は済みましたか」、子犬はそう言うはずだ
ある人の言葉が狐の頭の中ででチカチカと光り出した。右側の口角に傷ふたつ。あれば子犬、なければ偽物…
暴露夜 妄想省家政婦mayoさん
「戻ってこないね…呼び出しも嘘なんだろうな…」
「たぶん…」
「なぁ…ここでテスが絡んだら、またややこしくなるんじゃないか?」
「テスさんね…ちょっと大人になったみたい…」
「うそ…」
「会場で人生相談やってるんですよ…」
「人生相談って…ブースは見かけたけど…あのキム次長と一緒に?」
「そう…変装してるから、テスさんだと分からないみたい…」
「ふ〜ん…」
「黒蜘蛛なんか…2回くらい行ってるの…扮装して…」
「ぷっ…そうなの?『カリスマでも悩みはある』んだぁ…」
「カリスマだから誰にも相談できないのかもしれない…スヒョンさんも…」
「う・うそ…スヒョンさんも行ったの?で、テスは何て?」
「『心が読めなくなったのは心に嫉妬と束縛という闇を招いたから…なんちゃらかんちゃら…』」
「ひょえぇ〜あのメソメソのテスが…んなことをスヒョンさんに…」
「そういえば…テソンさんって…悩みとかないの?」
「僕?ん〜特にないなぁ…」
「全然?」
「うん…だって僕『家族愛』とか…『男女愛』とかさぁ…」
「そういうの、無縁だよね…」
「…僕、ほら…地味じゃん…」
「うん…かなり…」
「ちっ…いいんだ。料理してる方が楽しいから」
「BHCのメンバーが家族みたいなもん?」
「うん…だから僕個人としての悩みはない…」
「じゃぁ…テスさんの人生相談も必要ない…か…」
「そういうこと」
「あっ、戻ったみたい…」
「うわ…早っ…よっほどあせってる…狐…ベットに行った…」
「そろそろかな…5番カメラの…拡大して…」
「ご、5番って…4つじゃなかったの?」
「いいから…早く!…冷静さを失わなければいいけど…」
『もう仕事は済んだの?』
「来たよきたよ〜両手お顔挟みぃ〜」
「違う!顔挟みながら…首傾げてるでしょ…狐…」
「うん…目つきが…少し変わった…でも鷹は『くぅん』だよ…あわわ…ち○うしそう…」
「よっく見て。…匂いかいでるのよ…」
「ぷっ…ほんとだ…」
「それに…ほら…聞こえない?」
「『左耳…ひとつ…左口元…みっつ…』ってぶつぶつ言ってる…あ、ホクロだね?」
「そう…顔の向き変えた」
「また何か言ってる…『右側の口角に傷ふたつ』…って…狐の目が…目が…」
「あぁ…バレた…」
『◎$▼%△$〜!%*+\□??』『#########!!』
『+#◎$$▼%△*+!%*\??』『+++++++++!!』
「やっぱり…甘いな…鷹は…」
「ね…どうして…一瞬ですぐわかったの?」
「仔犬は『仕事は済んだの?』とは聞かないでしょう?」
「そうか。な、どうなるんだ?これから…」
「ん?..どうだろ..」
ビューティフル・ナイトパート4 オリーさん
狐の動きが一瞬止まったように感じた。たぶん気のせい。鷹は今では自分が魅力的に見える方法を知り尽くしていた
親鳥でさえ弄んだ僕の笑顔、狐に使わない手はない
全神経を集中して用心深く顔を作った。妖しく、可愛く、切なげに。誰も抗えるはずがない。狐は誘われるようにそろそろとベッドの上にのった
鷹は心の中で勝利の雄たけびを上げた
鷹の目に妖しい光が灯ったのを狐は気づいた。口角ははっきりと見えない。少し考えた末に狐はベッドの上にのり、鷹に近づいた
片手で頬に触れるとさらに近づき額に唇をあてた。確かな証拠が欲しかった。間違えていたら子犬を永久に失う事になる
狐に頬を触られ鷹は緊張した。次の瞬間狐の柔らかい唇が額にあてられ優しく吸い付いた
唇は額からゆっくりと鼻骨に下がり、さらに鷹の唇に近づいた。鷹は驚嘆していた
この狐は絶対に自分の物にしなければならない。狐の唇が鷹の唇に触れそうになった瞬間、突然それは口角へと方向を変えた
唇同士が触れそうで触れない微妙な位置
狐は最初は唇で次に舌で口角をまさぐり愛撫を続けた。鷹は焦らされている事に気づいたがどうする事もできずにいた
狐は慎重に事を進めた。見えない以上触るしかない。どっちに転んでもいいように対処した。唇と舌で確かめた子犬の口角はスベスベしていた
ゲーム終了。残る問題はひとつ。本物の子犬はどこにいるのか。狐が逡巡し始めた瞬間、再び現実の音。狐の携帯がけたたましく鳴った
今度はためらうことなく子犬から離れた狐は床に落ちた上着のポケットから鳴り続ける携帯を取り出した「ミンチョルです」
鷹は我慢の限界がきていた。自ら攻撃を開始しようと狐の唇を捕らえにいった瞬間ざわついた音がすべてを台無しにした
狐は唐突に鷹から離れ携帯の方へ歩いていった。狐は立場上忙しい。それは鷹も知っていた。しかしなぜ今
心の中で舌打ちしながら狐の声を聞いていた。「ミンチョルです。今はだめだ」そう、大切な時。「どうしても?」まさか緊急事態
「仕方ない、わかった」ああ、絶望。鷹は最後の抵抗を試みた。「仕事なの?今じゃなきゃだめ?」狐はそっけなく答えた「急用だ」
問題がひとつ増えた。共犯者か。いやたぶん別口だろう。いずれにせよ確かめなくては
不自然にならないよう狐は子犬を振り返り、すぐすませるからと声をかけた
子犬は拗ねたように「早くね」と答えた。やはり偽物。本物ならば一緒に行くというはず。狐はシャツのボタンを器用に留めながら出口に向かった
今度はドアの所で振り返る事もしなかった
どこかで名前を呼ばれたような気がした。暗くて何もわからない。子犬の意識は朦朧としていた。名前を呼ぶ声は静かに低く何度も続いた
子犬は目を開けたくなかったが、根負けして少しだけ目を開いた。暗闇
暗い世界に戻ろうとするとまた名前を呼ばれた。突然光が頭の中を走り狐の顔が浮かんだ
覚醒したと同時に顎と腹部に鈍痛が走った。やられた
狐は無事だろうか。狐の名前を呼ぼうとして気づいた。口が塞がれている。そして手と足も。子犬は慄然とした
暴露夜 妄想省家政婦mayoさん
「…また出て行った…どうなっての?」
「…仔犬狙いが###、+++で…狐狙いが○○、$$$…で、親鳥は++…か」
「何…暗号書いてんの?」
「で..イナさんはバンビちゃんで忙しい…っと」
「テソンさん、最初の呼び出しは…鷹ですよね…」
「うん、そうだろうな…」
「となると…2回目の呼び出しは誰だと思う?」
「え?ホントの呼び出しじゃなくて?」
「ん〜何かありそうなんだよねぇ…」
「それ見せて…相関図…ここに…また絡んでくるわけか…」
「そう…寝床を追われた蜘蛛が来たらおもしろいけど…」
「っていうか…寝床のために仔犬を助ける事をするか?」
「うん…『お前の正義と俺の正義は違う』なんちゃらかんちゃら…が黒蜘蛛だし…」
「○○は?」
「…○○は『今は待つべきなんだ』…って思ってる…でも…怪しい…」
「+++は?」
「も、怪しい…」
「そうか…いずれにせよ仔犬が一番気の毒だ…クローゼットから早く出してやりたい」
「それに…」
「何…」
「シャツ着たり脱いだり…狐…風邪引かないですかね」
「ははは…夢中で…んな余裕ないよ。それに今は熱くなってる」
「そうですね」
「や〜これ…ほんとに保存版だ」
「これね…同時にコピーも撮ってるの…すごいでしょ…」
「うへっ@@」
勝負の行方 ぴかろん
「誰もいない?」
「いません」
「こんな格好で来ちゃったけど…いいのかな」
「ええ…どうせ後で脱ぐんです」
「脱ぐ?!」『背中の彫り物でも確かめる?ヤバイ、俺背中ツルッツルなのに…』「テジュ…バンビちゃんも脱ぐの?」
「…貴方の方が詳しいはずじゃ…」
『ああ、片肌脱ぐってヤツ?ニホンの賭博映画でよくやってるやつか』「そうだね、一部だけ露出する手もある」
「いちぶをろしゅつ?!は…はずかしい!」
「そう?まあいいや、階段の上に行こう」
「はい」
「気をつけて、急勾配だ」
手を差し出すイナ
『どっきん』「りす君…」
トントントントン…
「うわっ高いな。こっから転げ落ちるのか…」
「はい、抱き合って」
「一人で落ちるより怪我は少ないかな?」
「…二人なら…」
「そうだね。じゃあ僕に抱きついて」
『どきどきどき』
「頭を庇いあおう、こうやって」
「あうっ」『こんな近くにりす君の唇がっ!』
「大丈夫?息が荒いよ」
「だっ大丈夫です!」
「行くよ」
『イク?!』
「セイッ」
ゴロゴロゴロドスウウウン…
「…いってぇ…」
「…」
「バンビちゃん、大丈夫か?!」
「…だいじょぶれす」
「どした?どこか打った?」
「りす君の胸に抱かれてたから大丈夫です」
「…?目が潤んでるよ」
「…部屋へ戻りましょう」
「部屋?部屋で勝負するの?!」
「ええ」
「ここじゃないの?!」
「ここ?!こんなところで?!人に見られたらマズイ」
「…でも部屋って狭くない?何人か来るんだろ?」
「そ、そんな、複数プレイは僕は…」
「え?じゃ何人で?」
「僕と貴方」
「二人?サシで?」
「…りす君…」『りす君は一体どんな世界を渡り歩いてきたの?!』
「バンビちゃん、涙目になってる。どっか痛いの?」
「貴方は…何人もを同時に相手してきたのですか?!」
「何怒ってるんだよ、当然だろ?サシなんて深みに嵌まっちまう!」
「りす…」
「アンタ、俺とサシで勝負する気だったの?素人なのに?ダメだ!許さない!」
「同時に何人も相手にするりす君の方が僕は許せない!」
「そうやって俺は生きてきたんだ!素人なのに口出しするな!今なら引き返せる、足を洗え、バンビちゃんには向いていない!」
「嫌だ!貴方と一緒ならどこまでだって堕ちてやる!」
「…バンビちゃん、俺はアンタにまっとうな人生を送ってほしいんだ!道を踏み外すな」
「りす君」
「アンタの事は俺が守る!アンタを狙う奴は俺が許さない。だから、俺との勝負は…諦めてくれ」
「そんなっ!」
「アンタが負けると解ってるのに…。素人相手にそんな事できるか!アンタをあんな世界に染めたくない!」
「りすく…」
「解ってくれよ、危険すぎる。アンタを失いたくない」
「りす…」
「このまま、何も無かった事にしよう…」
「そんな…」
「アンタにとって一番大切な事は何だ?仕事だろう?」
「…」
「こんな事してたら仕事に支障がでる。俺はアンタの仕事してる姿が好きなんだ」
『仕事姿が?』
「俺のせいでアンタが落ちぶれるのを見たくない」
「…」
「足を洗え」
「りす…」
「りすもバンビもない。もうその名前は捨てるんだ」
「…別れると?」
「その名前とはお別れだ」
「うっううっ」
「泣かないで」
「こんな…思わせぶりに親指で涙を拭かないで!」
「バンビちゃん!」
「…りす君の気持ちはわかったよ。僕を大切に思ってくれてる事も。僕だって仕事は失いたくない。でも君の事も失いたくはない!」
「なら、友達で居続ける方がいいと思うだろ?交差すれば後は離れていくだけ。友達ならずっと平行線で永遠に沿っていける…」
「…わかった…」
「よかった…」
ハグっ
その先 足バンさん
誰もいない暗い舞台。天国へと続くかと思われる階段の最上段にふたりはいた
白いバスローブと白いワイシャツが闇の中に陽炎のように浮かぶ
ふたつの影は一瞬強く絡み合うと、なにかを振り切るかのように転がり落ちた
暗く静まり返った冷たい空間に乾いた音がこだまする。背中をたたきつける痛みに影たちの顔は歪んだ
ー静寂。ワイシャツはバスローブに顔をうずめたまま動かなかった。その瞳は潤んでいた。新しい自分への最初の一歩を実感したのだ
今、痛みはなかった。なにも感じなかった
感じているのはバスローブの鍛えられた肉体への賞賛と、こんなにも相手を信じ身を任せている自分への小さな驚きだった
邪悪な目はその光景の一部始終を会場の隅から見ていた。階段の下でもつれ合ったままのふたつの白い影は何事か小さな声で話している
邪悪な意識の手には小さなビデオカメラ。そしてそのレンズは舞台の上の秘められた光景に向けて冷たい光を放っていた
何か言い争っているような話し合いの後、ふたつの影は強く抱き合った。ワイシャツは小さくうなだれた後
辛そうな、しかし決然とした足どりで舞台を駆け下りていった
その後姿を見つめるバスローブの瞳には強い優しさが読み取れた。その瞳はかすかに足下を見たあと、まっすぐ前を凝視した
その視線の先には…ん?さ、先?
イナ:おいっ!そこのアホ!
チョンウォン:えっ!?
イナ:なに見てんだっ!
チョ:あ、やぁ!イナ!
イナ:やぁじゃねぇ!こっち来い!
チョ:は、はは…な、なにやってたんだ?総支配人と…
イナ:そっちこそ、なに〈オリーさん調〉で盛り上げて見てんだよ!
チョ:い、いや、舞台の感じを撮っておこうと思って来たら…
イナ:出せ
チョ:へ?
イナ:テープ出せ!
チョ:ば、ばれた?
イナ:どうせチニさんにでも見せてまたかき回そうと思ったんだろう!
チョ:そ、そんなこと!
イナ:してきたんだ、今までも限りなく!
チョ:ふん、ほら
イナ:今日のことは誰にも言うなよ。総支配人の名誉のためだ
チョ:なんの名誉だ?
イナ:なんでもいい!祭りを成功させたいだろう?
チョ:え、ああ
イナ:小白雪でスポット浴びたいんだろう?
チョ:も、もちろん
イナ:ミンチョルのステージを凌駕したいんだろう?
チョ:あ、ああ
イナ:じゃぁ、今日のことは忘れろ。いいな
チョ:わかった
従業員:あの…イナ様?
イナ:あ、はい?
従業員:総支配人よりこちらをお届けするようにと。では
イナ:ありがとう
チョ:なんだ?袋の中
イナ:…(俺の服…ほんとにいい人だ…やっぱりあんな世界はふさわしくない人だ…)
チョ:ここで着替えるのか?
イナ:バスローブでロビー歩けるか!
チョ:ここへはどうやって来たんだ?
イナ:テジュンさんの部屋から裏の…ええぃ!どうでもいいだろ!
うるさいチョンウォンに気を取られている間に「テープ」がするりと落ちたことに、イナは気づかなかった
その先の先 妄想省家政婦mayoさん
「テソンさん、ちょっと出てくる…」
「オディ カ!(何処行くの!)」
「すぐ…戻る」
「腹王駄目だよ!」
「アラッソ!」
「ええぃ!どうでもいいだろ!」(帰るイナ)
「相変わらず失礼な奴だ…」
イナが落としていったテープを拾い、ほくそ笑むチョンウォン…
『ふん…イナめ…馬鹿な奴だ…テープを落としていったのにも気が付かないなんて…チニさんに見せてやるんだ…そうすれば…』
(テープをジャケットのポケットに入れる…)
「あの…チョンウォンさん?」
「ん?君は…BHCの厨房の…来てたの…僕に何か用?」
「オールインの…小白雪姫…」
「ふっ…もう知ってるの…当然か…で?」
「はい…あの小白雪姫のばあさんをお捜しとか…心当たりがありますので手配いたしましょうか?」
「そうなの?それは助かるな…って、もしかして君がやるの?」
「あ、いえ…当日お連れ致しますので」
「そう…そうしてくれる?」
「それと…これを…」
「何?」
「小白雪姫にこれを…これと…これも…」(チョンウォンの両手に箱・箱・箱…)
「な…何これ…」
「はい…カツラと…靴と…扇子と…化粧品と…」
「ん…って…手配は済んでるよ」
「これはパリから取り寄せた最高級品です。すべてオートクチュールでは一番の職人が手作業で作ってます」
「そうなの?」
「かつらもカールがとても綺麗です…小白雪姫にはぴったりかと…」
「い・一番?…」
「はい…い・ち・ば・ん!です」
「あは、うれしいな…でも何故君が?」
「オールインもBHCの姉妹店ですから…すばらしいショーを見せて頂きたいですし…」
「そう?じゃ…使わせてもらおう…っと…あ…」
扇子の小箱がチョンウォンの両手から落ちる…
「あ、ジャケットのポケットに入れてもらえるかな…」
「あ、はい…」(ポケットに入れる…@@…あった…^_^…)
「ん…ありがとう」
「いえ…頑張って下さい…」
すられた事に気づかないチョンウォン…『馬鹿はあ・な・た!請求書はトファン会長〜ふふ…』
「お?早かったね…トイレ?」「アニ…」「じゃ…何…」「ん?これ…」
「今度は何…」「見る?」「あ・あぁ…もちろん!」
「うわっ…バンビちゃん?リス君?も〜イナさんもなにやってんのさ…」
「もつれて大変なのよ…下手にチョンウォンさんに渡ると…」
「またもつれて…取り返しつかなくなる…か…」「うん…余計なことしたかなぁ…」
「あはは…よく取ってきたよ…いずれイナさんに返そう…ん?」「うん…」
『ぼ…僕のテ、テープが…ど・どこだ…た・確かにポケットに入れたのに…』
『く・くそ…俺は…何処で落とした??まさかチョンウォンに??』
ビューティフル・ナイトパート5 オリーさん
狐は突然消えた。もう少しだったのに。鷹はひどく落胆した。がすぐに頭を切り替えることにした。楽しみが先に延びたと思えばいい
見ると狐の上着は床の上にそのままだった。着て行かなかった。すぐに戻るつもりだ。鷹はほくそえんだ。待つ価値は十分すぎるほどある
狐に愛撫された口角に手をあて鷹はしばし余韻にふけった
部屋を出た狐は足早にエレベーターホールに向かいスイッチを押した。深夜なので呼び出されたエレベーターはすぐ狐の前にきて扉を開けた
乗り込むとスイッチを押し扉が閉まるのを待った。30分ほど前と同じ行動。違うのは降りる階
狐は一階下がっただけでエレベーターを降り階段を慎重に駆け上がった
ホールの壁から廊下の先をうかがうと今自分が出てきた部屋の前に黒い影を認めた。ビンゴ
うつぶせに横たえられたまま子犬は考えた。あの電話だ。気づくべきだった。一緒に行くべきだった
おびき出された狐。扉から出て行く狐の後姿を思い浮かべると子犬はパニックに陥った
恐怖と絶望で息が止まりそうになった。しばらく忘れていた子供の頃からの忌まわしいトラウマ
自分に近づく者は皆死んでしまう…どんなに望まれても望むべきではなかった。自分にはそんな資格はない
塞がれた口から嗚咽がもれ、不自由な体は大きく震えた
ノックの音が聞こえた。誰だろう。鷹はいぶかった。狐が戻ったのか。そうか、そうに違いない。やはり僕の魅力には勝てない
あの仕事人間の狐が仕事をやめて戻ってきた。鷹は有頂天になった
急いでドアのところに駆け寄るとちょっと前の子犬と同じように無防備にドアを開けた
影はとうとう目的の部屋の前に立った。ドアが開いたら速やかに動かなくては。初心者を相手にする時は考える時間を与えない事が重要
長年の経験で得たテクニックをおさらいしてから影はドアをノックした
思ったより早くそして勢いよく扉が開いたので驚いた。が、出てきた相手が上半身裸だったのでさらに驚いた
先を越されたとすぐに悟ったが、目の前の獲物は十分に魅力的だったのでそのまま進む事にした。影が獲物を選ぶ基準は簡単だった
魅力的な獲物。それが最優先
なぜ親鳥。鷹は狼狽した。わかった、子犬が目当てだ。姑息な手段を使う奴。狐のいない間に襲うつもりだ
鷹は自分のしたことをすっかり忘れていた
親鳥は黙って中に入ると後ろ手で静かにドアを閉め、すばやく鷹を抱き寄せた。不覚にも鷹はその時初めて自分の立場を理解した
自分が子犬だ。どうすればいい。突き放して逃げるか、子犬のふりをして親鳥と既成事実を作るか。どっちがいいのだろう
鷹が迷っている間に親鳥は鷹をすっかり胸の抱きこんで入口と反対側の壁際に押しつけ退路を断った
鷹は、親鳥が初めて会った時のように妖しい光を発散させているのに気づいた
「静かにしろ」突然背後の闇から低い声が響いた。この暗闇に誰かいる。自分の名前を何度も呼んでいたあの声だ。幻聴ではなかったのだ
背後に人の気配が近づき今度は子犬の耳元でその声は囁いた
「声をたてるな。すぐ楽にしてやる」子犬はその意味をすぐに理解した。覚悟を決めて固く目を閉じた
狐の事だけが心残りだった。神様どうか彼だけは。固く閉じた子犬の目から涙がこぼれ落ちた
心残り ぴかろん
誰もいない部屋…さっきまでそこに愛しい人がいた…
あの急勾配の坂を、一つになって転がり落ちた
確かな愛を感じた…なのに…彼は拒絶した…
いや、彼は僕を「染めたくない」と…その世界に足を踏み入れたら抜け出せなくなると心配してそして…友情を選んだのだ…
友情…
僕は、いつも、そこから先に行けない
でも、それが僕等の望みであると…永遠に続いていく事が僕等の求める関係であるのだと…彼は…
「ふっ」
トントン
「あのぉ」
「…テスさん」
「お姿見かけたんで、大丈夫ですか?」
「いや、スッキリした気分ですよハハ…はぁ〜」
「階段から落ちた?」
「…ええ…」
「それで?」
「…ふぅっ…ねぇテスさん」
「はい」
「お互いに想いあっていても…一つにならない方がいい時も…あるんですね」
「…」
「僕等は、友達でいる事にしたんです」
「テジュンさん…」
「僕には、仕事がある。だから」
「仕事はそんなに大事ですか?」
「…愛は一時の感情でしかない」
「…そうですか…」
「でも、友情なら…永遠に続く…そう、思う事にしたんです…」
「テジュンさん…」
「もう遅いので寝ます」
パタン
『ウプッ愛だって…。完全にメロドラマの主人公になってるし〜ウププ…笑っちゃいけないけど…ウクククヒーヒー
でも勘違い、もう終っちゃうのかな〜ちっ』
ふぅっ…イナさん…友達か…
「そうは言ってもそんなにすぐに、気持ちを切り替えられないよ…イナさん…そ、そうだ」
トントン
「ん?ピコリンだったりしてぇ〜はぁ〜い♪」
カチャ
「…テジュンさ…」
「ああは言っても、すぐには諦められなくて」
「!いい加減にしないと怒るぞ!」
「…解ってます。ただ、僕、貴方と友達であるという証を持ちたくて」
「…証?」
「そう、恋人同士ならお揃いの指輪・・友達ならば…これを」
「…万年筆…」
「持っていてください、これを見る度に僕は、貴方との友情を、結果的に…僕をその世界から救ってくれた事を思い出すでしょう」
「テジュンさん、解ったよ。離れていても俺達の心は一つだ!」
「イナさ…」
「また泣くぅ」
ハグッ
『あっ気持ちが揺れる…』
「ありがとう…大切に使うよ…」
「イナ…さん…」
「おやすみ」バタン☆
「あっ!つれないっ」
『なんだよこれ、万年筆なんて俺使わねぇのになぁ…やっぱ感覚が「演歌?」なんちって。へへ、チニさんに報告し〜よぉっとぉ♪』
「ピコリィン
さびしいよぉ〜。トコリンはピコリンが相手してくんないと泣いちゃうぞ(;_;)
ピコリンが忙しいから今日は演歌さんと階段落ちしてみたんだ
痛かったよぉ〜えーんえーん
その後演歌さんを脅す組織と勝負する予定だったんだけど、演歌さんドシロートのくせに危なすぎてさ
必死で止めたらようやく解ってくれたんだ
エヘン、誉めてね(^o^)
なんか知らないけどお礼にって万年筆くれた
使わないのになぁ
よかったらピコリン、あげようか?
あっでも演歌さんとお揃いになっちゃうからなぁ…
はやく会いたいなっ(^o^)明日は顔見せてねっ♪
寂しくて眠れないトコリンより」
暴露夜7 妄想省家政婦mayoさん
「やっぱり…ガセか…電話は…」
「来た!テソンさん、親鳥+++?」
「お?そうだ…」
「やっぱり…磨けば光る原石が欲しいか…」
「…狐のいない間に…って…鷹### も親鳥+++もやってることは一緒じゃないかぁ?」
「うん…そういうの、『目クソ、鼻クソ』って言いません?」
「ぷっ…それ、いいね…今度顔見たら、僕、言いそうだ… メモメモ…」
「ここだけの話にしてくださいよぉ〜^^;」
「ね…親鳥+++は今ハグしている仔犬を本物&&&だと思ってる?」
「私は親鳥には判別法を教えてない」
「狐が親鳥に漏らすとは思えないよな…仔犬&&&だと思ってハグしてる親鳥+++ か…」
「今の親鳥は妖しい光max。でしょう?目の前にいる新鮮な獲物が一番の好物と見える…」
「が、既成事実で親鳥を身動きできなくしようとしてるのが、鷹###…」
「鷹は仔犬をも、親鳥をも…そして狐をも手中に収めようとしているか?エ〜ィとんでもない奴だ…」
「狐は偽者と見破ってる。とにかく罪が重いのは…鷹だねぇ〜やっぱり…」
「…あそこで見ている…狐は…」
「さすがですね…2度は騙されない」
「踏込む機会を狙ってる…よね…」
「うん…一番の気がかりは…仔犬の無事だもの…でも、見て2番カメラ…もうひとつの影…」
「これって…」「うん…▲▽△…」
「いつのまに…何故、奴が?」「やっと来たみたいですね…仔犬…風邪ひいてないといいけどな」
「大丈夫か?奴で…」
「抵抗できない仔犬に何かしたって…得は何もない」
「そう?…」
「うん…意外と弱いものには優しいとこもあるんだよ…あの人…ぬいぐるみ買ったり…」
「以外だな…こましてるわりには、誉めてる??」
「エ〜ィ…仔犬が心配ですから…」「そっ…」
「さっき考えたんだけどさ…」「何…」
「これさ…」「うん?」
「後で…mayoさんとこに…来る。絶対…来るよ…」
「ぅん…わかってる」
「怒って来るかな…ニィ〜笑いで来るかな」
「どうだろう」
「前髪ふわふわさせながら、ツカツカツカ…歩いてくる…」
=『君が有能なのは知っている』
「ポッケに手突っ込んでさ…」「うんうん…」
=『カメラを仕掛けたよね?…君の仕事だ。ひとつ、ふたつじゃないはずだ…違うかい?君が持っていても何の得にもならないと思うが…』
「…って言いそうだし…」
「でもさ、でもさ…意外と…」
=『僕はあの時冷静さを失っていた…ぼくはおぼえてないんだぁ〜なんちゃらかんちゃら…』
「って…ガラス目で言うかも…」
==『わかってるんだ!!出して!!さぁ!』
「…って、いきなりかもよ?」
「はは…強引だからな…」
「あ〜…ちょっと怖いな…」
「じゃ…消す?」
「まさかぁ…こんなオイシイ映像あります?」
「だよね…」
「ねぇ僕らもテスみたいに変装して、探偵ブース開こうか…うひひ…」
「依頼人なんかこないよ!」「そうかなぁ…」
ビューティフル・ナイトパート6 オリーさん
親鳥は少し拍子抜けした。子犬は抗うことなくすっぽりと自分の懐に入った。その受身はむしろ慣れていた
以前相手にしたヒナよりも無垢だと思っていたが見当違い。それとも狐が変えたのか
だが親鳥は獲物が使用前・使用後とかにあまり関心がなかった。相手が何であれ自由自在に攻め方を変えるのが最高の武器だったから
今までも狙った獲物は必ず落としてきた。あのヒナ以外は。拒絶されないと確信した親鳥は一気に片をつけようと決めた
親鳥の攻撃は巧みだった。狐の攻撃がピンポイント爆撃だとすれば親鳥のそれは機銃掃射
時をおかずに2人の攻撃を体験した鷹は心底迷っていた
どっちがいいだろう。親鳥はすっかり復活していてすぐに鷹を夢中にさせた。首筋に親鳥の唇を感じながら鷹は貪欲になっていた
どっちも手に入れたい。どうすればいいだろう。そう考え始めた矢先突然天国から引きずり降ろされるような衝撃が走った
「随分仲がいいみたいだな」いつの間にか扉にもたれかかった狐が2人を見つめていた
弾かれたように振り返った親鳥は狐の視線がしっかりと自分と獲物を捕らえているのを確認した。絶対にこの獲物は手放さない
親鳥がそう決意し獲物をと抱きとめようとした時には獲物は手をすり抜け狐の方に踏み出そうとしていた
鷹に目をやった狐は片手を上げその動きを止めた。そしてゆっくりと親鳥に視線を向けると抑揚のない声で言った
「まだ気づかないのか」
電流のように狐の言葉が頭を走り親鳥はすべて納得した。子犬にしては練れすぎている
鷹は狐の言葉に凍りついた。足元の地面が揺れるような錯覚を覚えた。いつから知っていたのか。絶対うまくいく筈だった
実際さっきまではうまくいっていた。親鳥の邪魔さえなければ
鷹はふてくされたように親鳥を見あげた
親鳥は感慨深そうに鷹を見ていたが、狐の方に向き直ると早かったな、と笑いかけた
話題転換。こんな真夜中に男組の隊長とサシで会うほどの度胸はない、と狐は無表情で答えた
その表情のまま狐は鷹に聞いた。「ミンはどこだ」親鳥はやっとすべてに合点がいった。このヒナは成長しすぎた
鷹は視線を床に落としたまま無言だった
ドン!突然狐が片手を壁に叩きつけ大声を上げた。「ミンはどこだと聞いているんだ!」
部屋の空気がピリピリとはりつめ狐の怒りがすみずみにまで広がっていった。鷹は追いつめられていった
親鳥が顔を近づけ「彼をどうした?」と鷹に尋ねた。鷹は言いたかったが言えなかった
自分が子犬にしたことは狐にもそして親鳥にも言いたくなかった
知られたら終わりだ。どちらにしても終わり
怒りが頂点に達した狐は鷹の方へ向きを変え動き出した。その時部屋の奥から低い声が響いた
「こっちだ」その声に聞き覚えがあった狐は声の方へ急いだ
黒い影が顎でしゃくった先にクローゼットがあった
狐はクローゼットへと突き進んだ。中で子犬が膝をかかえて座り込んでいた。狐は大きな安堵のため息をつくと子犬を頭から抱きしめた
子犬は声を殺して泣いていた
暴露夜 妄想省家政婦mayoさん
「…親鳥は…どっちでもいいように見えないか?」
「うん…鷹も仔犬も…モノにしたいからね…待って…そろそろだわ…」
=「随分仲がいいみたいだな」
♪ドデドデン…ドデデン…ドドデデン…(狐のテーマ…)
「まだ気づかないのか」
♪ドデデン…ドドデデン……♪
「ミンはどこだと聞いているんだ!」
テソン&mayo「♪狐の…狐の怒・り・が♪部屋にぃ〜♪澱んでっるぅ〜♪怖いよぉ〜♪」
=「こっちだ」
狐は大きな安堵のため息をつくと子犬を頭から抱きしめた。子犬は声を殺して泣いていた
♪Good bye ♪サラハナルクデ♪ナヨソヘチョ〜(BGM:Good bye)
「ひょえ〜し・渋ぃ〜▲▽△…」
「首15度右になってる?」
「お?おぉ…癖なの?」
「うん…両腕も常に身体から離れてるでしょ?…」
「うん…7時25分と8時20分の間くらいかな?」
「…さすが、こましてるだけあって、詳しいね」
「ぐるぐる巻きされたシーツも、口のテープも…きちんと取ってる」
「ねっ?意外と…優しい…放り込まれたままの姿じゃ…狐は何をするかわからない」
「mayoさん…親鳥の顔が…なんかちょっと切なくないか?」
「うん…自分の育てたヒナがね…あんなになっちゃったから…」
「あ〜○○の出る幕…ないね〜」
「うん…気の毒だけど…待っても駄目みたい…かな」
「さっきの怒声、マイク壊れるかと思ったよ」
「うん…壁、ぶっ叩いたとき、カメラ大丈夫かと思った」
「あっ、カメラの場所さ…▲▽△に知られちゃうんじゃ…??」
「4つまでは見つかるかも…後は…どうかな…お手並み拝見」
「エ〜ィ▲▽△相手に…もう〜」
ビューティフル・ナイト最終章 オリーさん
親鳥は経験豊富なだけに引き際を心得ていた。服を取って来いと鷹に命じた。親鳥に言われて鷹はのろのろと寝室へ入っていった
鷹にはわからなかった。どうして…ベッドの下に押し込んだ自分の服を取り出しやはりのろのろと身につけた
子犬の服はそのまま床の上に落ちていた。それを見た途端なぜだか涙が溢れ出し床に座り込んで泣いた
気がつくと親鳥が隣にいて肩を抱いてくれた。親鳥の匂いに懐かしさがこみ上げまた泣いた
ふたりが寝室を出ると部屋の隅で黒い影がうつむき加減で煙草に火をつけるところだった
ライターの灯りが黒い影の横顔を鮮明に映し出した
親鳥と鷹はほぼ同時に黒い影の魅力に気づいた。誰だろう。鷹は親鳥の手を振り払うと黒い影に近づき名前を聞いた
黒蜘蛛。男は短く答えた
僕はドンジュン、よろしく、鷹は無邪気そうな笑顔を作り黒蜘蛛を覗き込んだ。黒蜘蛛はちらと鷹を見たが興味なさそうに煙草の煙をはいた
「ミンチョル、すまなかった。こいつは連れて帰る」親鳥は奥の部屋に声をかけると鷹の背中を強引に押して出口へ向かった
がすぐ戻ってくると黒蜘蛛にすばやく近づき、今度ふたりだけで会いましょう、スヒョンです、と囁いた。黒蜘蛛はまた興味なさそうに煙をはいた
がドアを閉まるのを目の端で確認してから渋い顔をくずした
狐は黒蜘蛛に毛布を投げた。ソファで寝てください、それと黙って部屋に入らないで下さい
黒蜘蛛は俺のおかげであいつは窒息しなくてすんだと言い訳した
それには感謝しています、でも入るならちゃんとドアから来て下さい。狐はそう言うと寝室のドアを閉めた
黒蜘蛛はやっと寝られるとソファに横になり毛布をかぶった
あいつら、親鳥と鷹は俺に会いに来るだろうか。期待
子犬はベッドの上で狐に背をむけて横になっていた。声は出さなかったが体中から悲鳴をあげていた
狐が後ろからそっと寄り添い子犬の肩に腕を回して抱きしめると、子犬は初めて声をあげてしゃくり上げた
狐は子供をなだめるように抱きしめた腕に力を入れた
子犬が自らを責めていることは痛いほどわかった。狐は強引に子犬をこちらに向けると子犬の涙を全部唇で吸いとってやった
その後子犬の頭を自分の胸に押し付け強く抱きしめた
子犬はまだしゃくり上げていたが、少しづつ静かになった。ふたりは一分の隙もないほどぴったりと寄り添った
狐の胸に顔をうずめた子犬はやがて小さな寝息をたてた
それを聞いた狐も眠りに落ちていった。途中何度か子犬がうなされ泣いた。その度に狐は頭を撫でてやり涙を拭いてやった
子犬は狐の腕の中でなら抱えてきた傷を忘れられるかもしれないと思った
狐は子犬のぬくもりを感じながら子犬がいれば失った物を取り戻さなくてもいいと思った
そしてふたりともこの美しい夜がずっと続けばいいのにと思いながら幸せな眠りについた
業務連絡・極秘会議 ぴかろん
「ここと、ここ」
「OK」
「じゃ、呼ぶよ」
「イェ、テソンシ」
「業務連絡。至急○▲◇&%$室へ来てくれ。他言厳禁。特にチーフには絶対秘密。極秘事項」
&%$室に集まるテプン、イナ、ウシク、チョンマン
迎えるテソンと『闇夜』
「何だよ、極秘事項って」
「えと…今からお見せする『映画』なんだけどぉ」
「mayoッシ、もっと凛として!」
「だって…内容が内容だし…」
「もう、僕が言うよ!この『映画』を祭で上映したいんだ。で、君達に許可を取りたくて」
「何で俺達4人?チーフは?」
「チーフが出てるんだ」
「…また盗撮?」
「いや!映画なんだ!」
『テソンシ、嘘つくと後が苦しいよ』
『いいから!』
「映画撮影なら何で最初に僕に声かけてくれなかったんですか?」
「い…や…みんなそれぞれ忙しそうだったから、ねっmayoッシ」
「アニャ…イェ…ウウン」
「歯切れ悪いなぁ怪しい…まあいいや、見せてみて」
「いいか、内容は当日まで絶対秘密だ!いいな」
「わかったから早く」
『ビューティフル・ナイト』全編上映
皆、爛々と目を輝かせている。静寂の中に時折ゴクリと唾を飲む音がする
上映終り
「…という訳なんだけど、上映してもいいかなぁ。それと感想を聞かせて欲しいんだ」
「ぼ…僕、感動したよ…狐が子犬を、子犬が狐を思う気持ち、きゅううんと来たよ…」
「ウシクは優しいな。俺はあの鷹が許せない!どこまで狡猾なんだ!」
「けどイナさん、鷹も最後の方で泣いてましたよ」
「バカチョンマン、そのすぐ後に黒蜘蛛に媚び売ってたじゃないか!」
「でも…それが鷹の良さなんじゃないんですか?」
「お前はシュミレーション装置ん時にアイツの毒気にヤられたからな!」
「けど、映像的にはとても美しくて…僕は全編に流れる緊張感、このソフトフォーカスされた画面、妖しく光る狐、鷹、子犬
そして親鳥の目にゾクゾクしました」
「確かにな、それぞれが『違う妖しさ』持ってたな…おい、テプン、何黙ってるんだよ」
「…上映するんだろ?ちょっとなぁ…」
「お前ドンジュンとスヒョンのあんなのとかも張り切って上映してたじゃねぇか」
「あれはBHCの中でだろ?今回は祭だもん、テジが見ると思うと」
「テジ?お前の息子、来てるってぇのか?」
「いや…総支配人がさ」
「総支配人」
思わず胸の万年筆を触るイナ
「彼が『どきっ』どうした?『あれ?何でどき?』」
「テジそっくりなんだ。可愛らしくってさぁ」
「…確かに彼は可愛い」『ずきっ…あれ?何でずき?』
「俺にとっちゃ総支配人=テジなんだ。そう見えるんだ!だからこんな汚い物見せられない!」
「ちょっと、テプンさん、汚いってなんですか!こんな美しい愛の物語を!失礼です!」
「だってよぉチョンマン!そりゃ、出演者はみんなケモノだけどよぉ、だからってあんな、顔をベロベロ舐めるシーンなんてよぉ…唾臭くなんねぇか?!
最後の見ただろ?狐、子犬の顔舐めまくって唾だらけにしてたぜ!きったねぇ!」
「テソン、なんでテプンを極秘会議に呼んだ!コイツの感覚は俺達と違うんだ!恋愛体験が無いに等しいんだから」
「でもテジ君ができたんでしょ?」
「…きっと何かの間違いだ!テプン、お前、『愛撫』という言葉を知らないのか?」
「知ってるよ!テジの頭を撫でてやる事だ!」
「…ほらな、チョンマン」
「…テプンさんは『人間愛』の人ですからねぇ…」
「とにかくテプン、あれは唾だらけにしているんじゃない。『愛情表現』だ」
「ええっ俺あんな事されたらぶん殴るけどなぁ」
「…もういい。とにかく、汚くないから…お前の食べこぼしの方がよっぽど汚い…」
「ん?なんか言った?」
「テソン、僕は上映してもいいと思う。素晴らしい愛の物語だもん。ただ、鷹が…悪役で可哀相だけど…
親鳥も復活してて、いい宣伝になるんじゃない?」
「鷹が悪役なのは『鷹』だからですよ!次につながる終り方で僕は好きだなぁ。僕なんか…ユーレイだから…
それに親鳥復活は、ほんとに喜ばしいっす
これから親鳥が鷹にどう反撃するか、それとも鷹はやっぱり親鳥を手玉にとるのか、あと黒蜘蛛との絡みも楽しみですね」
「じゃあ、いいかな、上映しても。イナはどう?」
「いいんじゃない?」
「じゃ、総支配人に許可もらっといてよ、イナ」
「えっ!俺が?!」『どきっ』
「俺が許可貰ってきてやるよ、テジに」
「だめだ!テプン。俺がいく」
「何でさ、俺だって息子の顔がみたいよ」
「俺達は親友なんだ!俺が…行く」『なんだろう。他の奴に合わせたくない…ドキドキ』
「?」
「とにかく、内容は当日まで秘密でお願いしますよ」
「わかったよ、チーフに知れたら即刻上映中止だろうしね」
「子犬は鮮烈なデビューを飾るってわけか…。鷹の動向が気になるな」
「それと、テスね…」
「うーん、テス。半狂乱になるかも…」
皆が帰った後の○▲◇室
「後、ここにmayoッシの盗んできたあのテープをくっつけてぇ〜」
「テソンシ…イナさんが怒るよ」
「たまにはいいじゃん?チニさんとイチャイチャしてるし…」
「けどさっきなんか変だったね」
「うん、テジュンさんのこと今ごろ意識しだしたかな」
「『ビューティフル・ナイト』の影響じゃない?」
「…絶対くっつけよう!」
「…テソンシ…(^^;;)」
極秘の極秘 妄想省家政婦mayoさん
「テソンシ…イナさんの…くっつけるんなら…コピ、録って」
「んなの…mayoさんが持ってきたときに、もうコピってるよ!」
「あは…最近仕事…早っ!」
「まぁね…誰かさんの影響でね…」
あ、親鳥復活、鷹の反省、狐と仔犬愛その後…は?」
「ん〜〜これで終わるわけにはいかないでしょ」
「あはっ…仕掛けた?」
「ん〜もちろん…」
「それと…」「ん?」
「今度は黒蜘蛛が2人の餌食になるか否か…っておいしい展開もある…」
「mayoさんの次は…ドンジュンとスヒョンさんにちゃみこまされるのか?」
「2人の頭ん中にはもう♪ちぇみこまし早口言葉♪、ごぉ〜んごぉ〜ん鳴り響いてますよ」
「でも肝心の黒蜘蛛は、関心なさそうだけど?」
「…期待してますよ。黒蜘蛛は…」
「ぐはは…うっそぉ〜ん…」
「だって…ほら…ラストのさ…毛布からちらっと見える…」
「ぷっ…ちょっとほくそ笑んでる?って…可愛い顔もするんだぁ…」
「だって…あの渋〜い顔だけ見てると…疲れちゃうもの…」
「たぶん黒蜘蛛の情報…mayoさんに聞きにくるな…あの2人…」
「ん…まぁ…もう知ってるんじゃない?」
「そうかな…ん?どうしたの?」
「あの2人…祭りの間に…必ずエサ仕掛けるね…黒蜘蛛に…」
「うん…どうする…僕らは?何する?」
「ん〜とりあえず!#%=して…」「うんうん…」「&+*で…〜k…は?」
「オッケー!!覗き甲斐があるな…」
「うん…で、ビューティフルナイトの続編…」
テソン&mayo「ホワイト・ナイト…!!ぐははは…「韓国アカデミー狙えるよ!」
*悪魔の笑い声の響く…ホ○ト祭り臨時設置<覗きっこ倶楽部>
ここには他店…そしてBHCメンバーでさえも喉から手が出るほど欲しがる恐ろしい情報がある。決して近づいてはならない…*
残酷な朝 オリーさん
「ソンジェ君、コーヒーどう?」
「も、もう…」
「じゃフルーツは?お口開けて、あーん」
「い、いいです」
「可愛い。照れちゃって」
「あ、あの僕には好きな人が…」
「ヨンスさんでしょ」
「え?」
「昨日全部教えてくれたじゃない」
「全部?」
『ワイン3本開けてから…』
「お兄さんに盗られたっていうお話」
「僕が話した?」『…覚えてない!』
「そうよ、でも絶対盗り返すって」
「…」
「でもね、彼女はだめよ」
「え、な、何で?」
「あのタイプを好きな女は、あなたのことは好きにならないわ」
「そんな、僕が幸せに…」
「全然違うもの、あなたとお兄さん。血が繋がってないわけだし」
「そんな話まで…」
「お兄さんが一杯ひどい事してるのにあきらめないのは自虐的なのよ、彼女」
「自虐的…」
「そういう女はソンジェ君には向かない。あたしは献身的」
「い、いえ僕はそういう…そうだ!サンヒョク君起こさなきゃ」
「何言ってるの、彼昨日のうちに帰ったじゃない」
「え!!」
「あなたがお兄さんの悪口言ってヨンスさんって怒鳴るもんだからあきれて帰っちゃったわよ」
「…」
「おかげであなたとふたりっきり、一緒に寝られた」
「い、いっしょに…寝たあ?」『ひぃ…ど、ど、どうしよう…』
「ね、今夜も来るわね」
「い、いえ。そ、それは」
「ドレスの裾直しておくから、来て。来ないと衣裳ないわよ」
「あ、ぼ、僕もう行きます。歌の練習しないと」
「あまり食べてないけど大丈夫?」
「は、じゃあ」
「今夜何食べたい?」
「い、いえ。ベ、別に。い、行きます」
「ソンジェ君、ちょっと」
「は、はい?」
「昨日は素敵だったわ」
「ひっ!」
バタン!!!
「脅かしすぎたかな。でも一緒のベッドで寝たのは事実。うれし!」
「ど、どうしよう…ああ…」
「よお、あんたBHCの弟じゃん!おはよう!」
「ひっ!」
「何驚いてんの?あんたもこのフロアだっけ?」
「ヘヴンのソンジュ君…」
「この部屋…あんたここの人と知り合い?すんげー綺麗だけど男なんだってね」
「あ、い、う…」
「もしかして、今こっから出てきた?」
「か、き、く…」
「なーるほど。そういうことか、へぇー」
「ち、違うって!」
「いんだよ。僕は自由で新しい考えの持ち主だから全然平気。ふぅーん」
「何、にやにやしてるんだ。違うったら」
「いいって。気にするなょ。テヘッ。誰にも言わないからさ」
「だから…」
「あ、でも兄さん知ってるの?あんたの趣味」
「違うったら」
「一応身内には言っといた方がいいよ。テヘッ。んじゃ!」
「違うったら!」
「言いにくかったら、僕言っといてあげるよ。バーイ」
「やめろ〜!!!」