目に青葉が眩しく、風の香りがバスフィシングのシーズン到来を伝えて来る・・・
今年もナショナルチャンピオンシップに一人のメンバーが夢を叶える為に、そして日本では素直に感じられないバスフィシングを堪能しに旅立った。
本来なら昨年秋に完結してた筈の「ナショナルチャンピオンシップ参戦記〜トゥルーストーリーinタスカルーサ」
突然の父の他界で、「喪に服し」バスオブ引退と一線から身を引く思いからもう書くことは無いのか・・・とさえ思っていたのが正直な気持ちであった。
しかし、今身を引いたらいけない・代表として多くのメンバーに日本人もやれる!そんな自信を受け取ってもらい、あわやクラッシック・・・のチケットさえ手に届きそうだった「あの舞台」のストーリーを完結せねば何も残らないし、前人たちが付けた踏み跡に私も一つの歴史を刻んだのだ!と回顧したとき「書こう・・・」そう思った。
今年出場する「井上弘道」と言うチームメイトにして最強最大のライバルに心からエールを送る意味でも・・・
だからもう一回!第一話から読み起こして欲しい、これを読んでいるあなたが主役にもなりうる「ナショナルチャンピオンシップ」で昨年繰り広げられたタスカルーサでの私の戦いを・・・
それでは Here we go !
本戦初日・・・
・・・「午前1時半」目覚めは悪くなかった、前夜今回友人になった「ジェリーシャウバーU」のファミリーそして通訳の押田氏と日本人が経営している「鉄板焼屋」での夕食も日本のビールも心地良く、睡眠不足とトーナメントハイになりかけている私にはゆったりとした試合前夜だったからか・・・
ベットを抜け出し、カーテンの隙間からホテルの玄関そして駐車場を眺めると未だ町は眠っているようだ・・・
戦闘モードに切り替える為体の柔軟をこなし、シャワーを浴び日課のルームメイトと私二人分のコーヒーを入れる。フライトの始まる時間にはベストの体調と思考回路を保つ為これから三日間はこのプランで行くのだ。
普通なら寝不足と体力が持つの・・・?そんな声が聞こえてきそうだがワクワク・ドキドキの緊張感で事実最終日までこなす事が出来たから不思議だ(笑)
朝食は午前3時15分から。
いつもジェリーとルームメイトのロバートおじさん、と三人でテーブルを囲んだ・・・何を話すわけでもなく淡々と。
4時前には2台のリムジンバス(観光バスの安いヤツだね)に分乗し、各フェデレーションのメンバーの確認の後(何故か私だけは名前で呼ばれず「ジャパーン?」と(郷ひろみの歌かよ)言われる・・・ナメとんのか?と思いつつも「アイムヒアー!」とデカイ声で主張してやる(笑)内心はドキドキ)ボートが置いてあるウェイイン会場まで夜明け前の闇の中をまんじりともせずにバスは進んで行く・・・入り口には地元の警察がガードマンとして24時間体制で常駐し、ゲートをくぐると草競馬が出来そうな大きな広場に仮設の特大テント(ウェイインショーと展示会用ね)とバスボート50艇以上が駐艇され、約30台の新車のシェビーK1500がファーストフライトの船に繋がれ出発を待っている。なんとスケールの大きな事か・・・
バスを降り、自分にあてがわれたスキータSX200&YAMAHA
V-MAX200(ZXでは無い・・・念の為)でバッテリーが充電されてるか?オイルは?エレキや魚探・GPSが作動するか?ランチとドリンクそしてアイスはあるか?タックルセッティングは万全か?を確認しチェックを受ける
そして一人でこなして来たプラとは変わり、この日からプレスパートナーとして地元のフェデレーションや釣りクラブの有志が同乗するのである。
初日の私のプレスパートナーはバス釣りを余りしない「ウェインさん」と言う穏やかな小父さん。レイクタスカルーサに家を持ちなんとプライベートの桟橋と船も有るらしい(驚き!)整体(カイロプラティックみたいなのと言っていた)と外科のお医者さんだと言う。ろくに英語も喋れないジャパニーズと同乗で私は同情(プッ)!?したのだが彼はなんか楽しそう・・・「釣りはソルトのゲームだけだが、今日はなんかエキサイティング・・・」とハイテンション。
彼の朗らかさに私の気負った気持ちも少しリラックスさせられた・・・
チャンピオンシップはシステムがしっかり組まれそれはスタートも同様で、プラ初日2ndフライト・二日目1stフライトの私の本戦初日のフライトは、なんと!3rdフライト(大泣き・・・)特にバッティングしそうなエリアは無いので「しゃー無いな」と思い1st/2ndのフライトを見送る・・・じつはその間に「通称三重漁連」の鈴木・甲佐・中出・瀬川の4名からプレゼントされた国旗「日の丸」を航行灯にくくり付け気合を入れた(驚きィ!)
残り10数艇になりスタート地点の[Rock
Quarry]いわばダムサイド近くのワンド状のランチングエリアも閑散としてきた
40号艇のオハイオ代表のカールがコールされ、いよいよ自分の番「ナンバー41・スィゲルゥ トゥキヤマー」あれっ・・・と思いつつもショアからは「トゥッキー!トゥッキー!」とジェリーの奥さんと娘のケイラが自分に声援を送ってくれている感激と緊張・・・(こんな事はWBSでもオールスタークラッシックでも味わえなかった)と朝霧の中トリムを降ろし、アクセルを踏み込み船体をプレーンさせた。日の丸をはためかせて
「やれるかも」
プラの時点で、最上流の八郎潟西部類似エリア・中流域の相模湖水色エリア・下流域のクリア〜ジンクリアなダムサイドのエリアと日本のリザーバーの印象はリセットしていた・・・可能な限り違うエリア、異なったスポット、風の有無、日照量やベイトの有無を意識しプラは行なったのであるが不安は解消出来ず・・・まずは季節のリセット・水色の確認・魚は居るのか?・プリスポーン?ミッドそれともポスト?等々チエック項目多すぎて最低限の確認しか出来無かった。
それでも魚を釣りたい気持ちを抑え、現実はポストスポーンでネストは僅か、シャローのラージは痩せ気味、しかしスポッツのパターンが全く判らないそんな状況・・・
しかし、釣れる釣り(押さえの釣り)は「困った時のマンメイド」と言う持論からマンメイドでのライトリグとサスペンダー(ズボンのじゃないよ)を狙えばノーマークなのもチェック済みなのでキーパー揃えの方法は押さえておけたのである。
またトーナメントの戦略から初日は少し飛ばしておく必要性と出遅れない為にもキーパー(タスカルーサの場合は1ポンドクラスのバスがキーパー)以上が出る可能性が強い方法をスタートからチョイスした!
実はそうなった理由の一つに余りにも情報が少ない事、そして狭いエリアでの釣りに長けている日本人にはアメリカのレイクの広大さは非常に釣りをする上で飲まれ自らの釣りにスライド出来ない・・・そんな恐れがあったからに他ならなかったのだ。
・・・で、肝心の私の戦略だがレイクの情報の少ない我々にはポストの魚狙いで沖に浮くのは危険なのと、自信を持ったインビジブルスポットをわずか二日で見つける事は至難の技なので、リスクは大きいがビッグフィッシュが出る可能性の大きいショアライン沿いのディープニアザシャローで水色が良くベイトが絡むコンテンダーとのバッティングの少ない下流域がメインスポットとなったのである。
そう!ポストスポーンつまり産卵後のバスが私のターゲットで、残念ながらラージとスポッツの釣り分けや生息域の違いを押さえられなかった自分には大きい魚を選んで釣れる上、魚影の確認にはうってつけのルアーを3個だけ持参していた・・・それは・・・
ファーストキャストはスタート地点から程近いワンドの出口の岬でのトップウォーターチェックから始まった。
しかし50艇以上のスタート直後のポイントは引き波によって濁りを誘発し無風状態の中ではこの方法はプロダクティブでは無かった・・・
ゲーターマウントを引き上げイグニッションを回しアイドリングのまま対面の岩盤側にポジションを移す・・・
「ここからがスタートだ」そう心に秘め、腕同然のEPGC665にコンクエスト200、ロックハイパー20LBに結んだ「アレ」でアプローチ開始。
30メーター以上のロングキャストを岸際に決めながらバンク沿い数10メーターをチェック・・・「だめか・・・」そんな思いが心をよぎった直後、水面下を泳ぐ「アレ」が偏光グラスの視界から消えた!
バイトだっ!見事フックアップを決めファイトに入る・・・プレスパートナーが「マジかよ」って顔をし、数秒後に抜き上げられた3LBクラスのバスに大興奮。
そう、プラクティスの原稿にも書いたが3LBのバスはこのレイクでは十分すぎるキッカーなのだ3日間トータル25ポンドが優勝ラインと言えばそのクォリティがご理解頂けるであろうか・・・。
兎に角、この一本は自分のモチベーションと自分の釣りを展開させる起爆剤となった。
もしかして行けるかも・・・。俺って天才?と単純な自分を瞬時に勘違いさせる位に(大笑)
その後は、ボートドックインサイドをグラビングバズでナイスキーパーを掛けたは良いものの桟橋に阻まれロスト・・・(涙)
反対側でレイのモノで1LBキーパーをキャッチ(ヤリィ)。
表の岬状に伸びるフラットに風が当っているのを見逃さず2LBの初スポッツをレイの物でゲッツ!よしあと二本・・・この時点で推定6LB
時間があるのでキーパー揃えのパターンを試しに中流から上流域にボートを走らせこの日一番のロングドライブを試みる。
ドライビングしながら他のアングラーの動向を探ると、数あるボートドック狙い・沖のアイランド狙い・ランガン・マンメイド粘り・・・と狙いは様々に見受けられた。
しかし、それでも約半数。って事は残りは視認出来ないコーブに入っているか、最上流と最下流にいるようだ・・・
でも俺は俺の釣りで勝負する。人真似は絶対にしない!と心に決めてTALEXのレンズを組んだZealのグラスを深く押し込んだ。
レイクタスカルーサに五つ掛かる橋はとってもプロダクティブで周囲の環境もピーグラベルやロックパイルなど地形的にカレントが発生しやすくベイトも豊富でバスを呼び寄せる状況には事欠かない環境であった。そしてポストのバスにっとっても居心地の良いスポットで残りの2本はこれらのスポットで数本キャッチした中で入れ替えた魚であった。しかし「長くても痩せている」もしくは「小さいのに太っている」そんな奴らが金太郎飴状態・・・なので、如何せん勝つ為のスポットでは無い様に思えていたのである。
そして1時前にはリミットを揃えた私に落とし穴が・・・シャローウインディーサイドのバンクを何気なくスピナーベイトで流したところノンキー二本キャッチした後に2LBクラスがバイト☆!雑に抜き上げた魚はドライビングシートの上に落ちそのまま跳ねて湖面へ・・・と1LBの重さを後々思い知る事になるとは知る由も無かった。
その後は明日のプラも兼ね戻りながら新パターンの発見と明日以降の為のチェックをしつつボートランプへ・・・
ライトリグより好反応なモノが有るのに気付き明日への糧に・・・(さぁ、どうなるか?)
やれるだけの事をやり明日のファーストスポットを最後の最後に見つけ(上手く行けばスーパーキッカーが・・・)帰着とする。
ボートを上げ、シボレーに牽かれウェイインバッグをオフィシャルから受け取り会場までの道のり魚が弱らないようにエアレーションを回しアイスキューブを入れてウェイインを待つ。40号艇のカールは5本・42号艇のビルは2本。・・・と周囲の結果しか分からずに居たら通訳の押田氏が来て「余り釣れてない」と言う・・・5本持ってる事を彼とオフィシャルに伝えると「グッドジョブ」だと言う、何故なのであろうか?
魚をウェイインバッグに移しウエィイン用のトライトンに乗り移り、でっかいテント内の歓声に恐れおののきながらウェイインロードで順番を待つ。
多くの人に結果を聞かれリミット有るというと驚き称えてくれる・・・そんなに日本人がリッミトをゲットするのは珍しいのであろうか?
前のボートがいよいよウェイイン、そして私の番。
「ナンバー41 しっげるぅーツキィヤマァ〜 じゃぱーん」とあの名物司会「フィッシュバーン」がてぐすね引いて待ち受けている。
ライブウェルから事前にバッグに入れたリミットのバスを抱え彼の元へ・・・
まさか・・って面持ちのフィッシュバーンの顔を横に計量器へ。
「7LB 8oz」ウェスタンリージョンのトップになってしまった・・・
無名のジャパニーズ。
ノーマークの英語もろくに出来ない奴が初日のWRのリーダーとなる・・・これはこれでハプニングだったようだ・・・
「ほんとに? いいのこれで?」・・・と自らが狐につままれたままWRのクラッシック狙う奴らからマークを受ける事となってしまった。
こうなったら、やるだけやってやるぅ〜
そこにディレクターの「アル・スミス」が現れ各リージョンの初日トップは明日ESPNのカメラを同船とし、もう一艇常にカメラ船を付けると言われて
「なにそれ」もう勝手にして・・・明日はどうなることやら。
・・・と、そんなこんなで試合初日は幕を下ろした。
そして、ゴメンナサイ今回完結の予定でしたが・・・続きます。