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銭湯黒鱒
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Tuscaloosaで助かるーさ?その9

ツッキーのナショナルチャンピョンシップ参戦記
第4弾

お待ちかね〜

Tsukky presents

TRUE STORY Vol. 4

THE CITGO/B.A.S.S. Federation Championship

あ〜楽しい釣りだった・・・
心地良い疲れと、緊張感から解き放たれた一人の日本人アングラーがようやく「築山 滋」に戻れた。
 
初日のウェイインは大きな番狂わせが起こった。
出る筈の無い10ポンド以上のウェイトが出たことと、期待された地元タスカルーサのアングラー「ハロルド」のウェイトが伸び悩んだ事。
昨年のレッドリバーで高谷さんと同エリアを釣り優勝したディフェンディングチャンプの「ケン・クリスト」がノーフィッシュだった事・・・
そして、日本人が6位に入りWRのトップに立ってしまったこと
これだけ予想外の結果が周囲の状況を変化させた。
 
トップ二人はどうやらシャローのネストのサイト。
友人になった3位の「カール・グーゴールド」はバズベイト。
情報をシェアしている「ジェリー」はスプーク(サミーのフェイクベイト)で拾いセンコーでフォロー・・・と私を含め他の5人はシャローウォーターを釣っている。
放映されたESPNのビデオを見た方はご存知だろうが、私の後7位の「コールギャレット」のテキサスリグにクローワームをセットしたジャーキングテクには恐れ入った。
 
そして当の築山本人もメインはシャロー・・・どうやらこのままディープのスポッツパターンが炸裂しなければ「イケルカモシレナイ」甘い思いが頭をよぎったが、
ダメダメ!っとリセット。
されど狙いはシャロー・岩盤・ロングポイント・困った時のマンメイド・・・と今日も狙いは変わらずに。
 
2日目の朝は昨夜降ったスコールの影響でボートの駐艇場の地面は「ドロドロ・ぐちゃぐちゃ」
何故か私のボートの周囲が騒がしい・・・
そう、ボートナンバー41の私がWR1位・40の「カール」がNR1位なので今日は同様にESPNのカメラマンを同船させるのだ!
なので事前の準備でバタバタ、私はカールと二人お前は何を使ってるんだ?
俺はこの「バズベイト」バスグラブのパールをトレーラーにするのがキーポイントと何故かヒットルアーを教えあう始末(笑)・・・お互いリージョンがかち合わなければライバルではなく、戦略として情報をシェア出来る仲間になり得る・・・それが「チャンピオンシップ」そう思えた。高谷さんの言った意味がようやく判った。
 
「素早い対応」
 
ランチングを済ませ、沖で待機していると折からの霧が濃くなり魚探やGPS画面のバックライトと航行燈の明かりが無ければ周囲が見渡せない・・・
スタートが遅れそうだな、ゆっくりタックルのセットをしまたもや日本国旗を航行灯に縛ってるとESPNのクルーが興味深げにカメラを回すからそれの説明をしろと言う。カタコト英語と知ってる単語口からでまかせを交え日の丸前にファーストカットの撮影!思ったよりも緊張しないね(おいおい)
船を移動させようとエレキを降ろすとワイヤーが切れている(うう、不吉な予感)されど日本ならここで戦線離脱の可能性でモチベーションも下がるが、さすが「BASS」フェデレーションのチャンピオンシップと言えどモーターガイドのスタッフが速攻対応で修理交換を済ませた(さすがモーターガイドや!これだから好きなンや〜)心配事も無事クリアされた頃ようやく1stフライトのコールが始まった・・・今日は2ndフライトだ。
 
「大きなミス」
 
1日目の最後にチエックした場所にキッカーの存在を見つけた私は、日本人らしい?「奇襲攻撃」を試みた。
その名も「灯台下暗し作戦」(なんじゃそりゃ?)
ボートナンバーをコールされプレーンさせた船を禁止エリアすれすれのブイを掠め走らせ、ダムサイドギリギリのバンク沖でスローダウン・・・走行距離凡そ数百メーター(またかよ)エンジンを切り、直したばかりのエレキを水中に入れ水面下に見え隠れするレイダウンに向かう。
案の定ボートの引き波が起こした濁りが岸辺に入り、シャローのプレッシャーを半減させている・・・ボートをステイさせていると微妙に引っ張られる流れがカレントの発生を教えてくれた、まさにこのタイミングだ・・・
ファーストキャストは緊張しているのかポイントを少し外してしまった。
そしてセカンドキャスト。レイダウンの先に「バッシャーン」と着水したルアーは絡む事無く泳いで障害物の上を「スルー」・・・
ふっ・・・と黒い影が現れたと同時にバイト・・・乗った・・・エッ・・・リールが巻けないESPNクルーが「ビッグバス!」と叫ぶ
そんなことは判っている、しかしリールが巻けないのだ。
親指でスプールを押さえスラックラインを取ってもう一度追いアワセを入れようとしたその時「フッ・・・」と生命感が無くなり嘲笑うかのように湖底へ消えていった。
「メイビー5LB・・・」クルーの落胆した声がデッキに倒れこんだ私に追い討ちを掛ける。
レギュラーサイズ5匹分。奴はこのレイクではスーパーキッカーであった
この失敗の理由は初歩的なミスドラグの閉め忘れ・・・そりゃ巻けない訳だわ。
巻き取ったルアーに付いたバスの噛み跡に悔しさを募らせ1級ポイントでしでかした失敗はその後一時間尾を引き続けた・・・
 
いつの間にか濃い霧も消えドッグデイの風景に辺りは変わっていた、晴れ上がった空を見上げベタ凪の湖面に目を移し深呼吸。
「なにやってんの俺?」と我に返り、昨日気になったヒントを回想しながらパターンを切り替える。
実は初日後半の時間に残り二日の為気になっていた岬周りのシャローのリーズやベジテーションそしてアイランドをランガンし新たなパターンを模索しておいた・・・ポストバスの好む場所は・・・自分が今まで培ってきた現場からのノウハウをフル稼働・・・釣りが楽しいとあれこれ試せるしバスボートも手足のように使えれば移動やロングドライブも苦にならない。
何かがプラスに働き始めた・・・そう感じられた。
昨日得られた感覚は水の良いエリアに限りベイトの姿が多く時折バスのボイルが起こる・・・
しかし普通にルアーを引いても何の反応も無い・・・
ミスキャストしたダイナモを回収しようと急いで巻き取った時、それまで無反応だったバスが果敢にアタックを・・・そうか!判った
 
世界一のグラスロッドエッジプライドEPVC664にメタニウムmg,バスクエスト14lbの先には泉さんからのダイナモ1/2ozの銀箔SP・Wウィローをチョイス。
狙いはバンク沿いに生えるグラスやベジテーションの表層・・・実はその中にいる奴らはナーバスかつライトリグには無反応なのだ。
岸ギリギリ位に落とす精度でキャストし水面下をガーグリング&バジングESPNのカメラが回る中答えは一瞬で返ってきた!
「フィッシュ!」ブレードが水面に躍り出た直後バスがバイトいい感じだ訳の分からない英語を喋りエキサイティングしている自分が居た。2本のキーパーを手にし少し落ち着いた頃、カメラクルーが番組様に分かりやすい英語で質問をして来る・・・歌手は誰が好きだ?「ノラジョーンズ!?」お前もか・俺も好きだ・・・とドンノーホワイを口ずさみ始める・・・リラックスさせてくれるな〜でも「ウタダヒカル」は知らなかった(笑)
 
お前にとってこのチャンピオンシップはどんな意味があるのか?また、日本のバスアングラーはどうなんだ?と聞かれ
「自分にとってはドリームスカムトゥルー、ようやく夢が叶えられた!そしてバスマスタークラッシックに行けたらどんなに嬉しいことか」そんなような事を話したつもりだ。
そして今この場をとってもエンジョイしている・・・と。
このリラックスタイムのおかげですっかり朝のミスから立ち直り頭が切り替わった。サンクスESPNクルー!
 
「ジャスト・ジャスト・ジャスト」
 
↑のフレーズはESPNで放映された時ジャストキーパーのヒットが続き洒落で口ずさんだら放映用カットとしてつかわれてしまった言葉だ。
昼近くなりそろそろリミットを・・・と狙いに行ったキーパー場がサイズダウンしノンキーしか来ない・・・
風が吹き出しウインディーサイドのリーズエリアにグッドタイミングで入った直後に上記のキーパーラッシュが起こったのだハイライトコンディション下なのにHMKLのダイナモはバスを誘い出してくれた、本当に感謝である。
1/2と3/8ozのローテーションでリーズの濃さやディスタンスを考慮し掛けてからバラス事はVグラスのお陰で皆無だったのだ。
何度かの入れ替えを繰り返し、ポイント移動を繰り返すが2lb以上が釣れない・・・
冗談抜きで3日間15lbを釣ればリージョンによってはクラシックへのチケットを手に入れられる・・・それ位1匹のキッカーが「値千金」・三日間のリミットが「最低のベース」だったのだと今更ながら回想される。
もしも私に戦略ミスがあったとしたら、手堅く行かなかった・・・ただそれだけだ。
 
2日続けてリミットを揃えられたのは私を含め12名・・・後で思い起こせば、なんとミラクルな事か。
でも本人にしてみれば一生懸命最後まで諦めずに釣っていただけの事であった(知らぬが仏やね)
 
試合後半、今日も大気の状態が不安定となりトルネードの予報とけたたましいサイレンが鳴り響く。
初日同様、最終日のプラを兼ねてのラン&ガン・・・しかし真っ黒な雲がもの凄いスピードでタスカルーサ上空を覆い始め、生暖かい風と冷たい風を同時に感じる不思議な状況になった・・・危険を感じ30分前にランチングエリア付近に戻りチェックインをする。
 
ボートをトレーラーに上げ、ウエィインサイトに着く頃には大粒の雹が頭上に降り、時にはアイスキューブ位の特大のモノが降り始め、恐ろしい位の雷と強風が近寄り始め私はレインギアのままボート上で座ってられなくなり、ロッドストレージに隠れた。
 
よくぞ生きていられた・・・今はそう思う。
足元は昨日以上にマッディ、トラクターが欲しい地面コンディションとなったのは言うまでも無い・・・
 
この「トルネード&サンダーストーム」が最終日にどんな影響をもたらすのだろうか?
今日は恐らく一番疲れた日であったと思う。

 

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STAY TUNE !

築山 滋

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