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貞子の休日 1


ある日曜日の夕刻せまりし頃、川村貞子は着替えの最中だった。従姉妹の加也子からの急な電話でこれから夕食かね合コンがあるから、あんたも来てよ、頭数足りないんだから、ってあのつっけんどんな口調が携帯からもれた時には、ちょっと腹が立ったが、腹もへった。
合コンも久々だよ〜!。何事にも前向きでどちらかと几帳面な性格の貞子は、頼まれごとにも弱い方で今はいないが以前、交際していた彼氏にもけっこうつくした。だが、裏切られたと判明するや徹底的に呪った。そのせいがどうかは定かでないが、彼氏とやらは数ヶ月後事故死した。
下着はどれにしようか、けっこう迷う。迷いはじめると切りがない。吐いてたパンティを脱いで下半身、裸のまま引き出しをかきまわしている。あれこれ決めかねていたが、うん、これにしよう。その下着は大胆な柄だった、柄というよりワンポイントと形容するべきか。目ん玉が一つアップリケのように前にへばりついていた。装いも整い、お化粧を念入りにとその前に簡単パックでお肌の角質を、とスキンケアーにも几帳面。昨日は午前様だったからねえ〜。そう昨晩は行き着けのバーで高校時代の友達と遅くまでけっこう飲んでいた。
さあダメージ回復、お肌再生というわけで、その頃になると貞子はもうイケイケモード全開で、昨日の深酒もどことやら、後は精神統一と一人ほくそ笑む。で、いつものようにパソコンの電源を入れ、メールチェック。しばし後。あ、そうだ昨日のバーのマスター言ってたっけ。頸椎ヘルニアとやらで頭痛いって、数日休んでたみたいだけど、私は週末しか飲みには出ないから知らなかった。確かお店のホームページの掲示板を見るべしとか言てった。最近、そのサイトも見てなかったもんな、どれどれ。

「あっ、いらっしゃいませ、貞子さん、あっお友達の木下さんもどうも」「もうマスターいい加減、富江さんって呼んであげてよー。」お飲みものは?ハイ!シャカシャカ、シャカシャカ。どうぞ。「皆さんシャカシャカしてと言いますが、わたくしはお釈迦様ではありません。どちらかと言いますと鬼です」煙草を灰皿にもみ消しながら「はっはっはっ〜、さ〜だ子ちゃんやっと二人きりになれたねえ〜、どれ早速、品さだ目をしようか」二人きりじゃないけど、富江さんもいるがしっかり無視。
「ちょっと私はそういうさだめじゃありませ〜ん」「いいじゃないか、さだめしいい感触だろう」「だめさ!」「さだめ!」
ヘッドラ〜イ、テールラ〜イ、旅はおわら〜ない〜。
「キャー!それ鳥居みゆきですよね、受けるー、素敵ー!」「よくご存知で、さて冗談はこれくらいにいたしまして、おつまみに塩ラーメンはいかがでしょうか」「いただきます」

ってな感じで昨日の夜も楽しかったなあ。来週もいくぞー。あ、あったこれ、BBSね、はいクリック。何々、、、、

「全国の頚椎椎間板ヘルニアならびに腰椎椎間板ヘルニアの症状にお悩みの皆さん。わたくし、ショッカー尾鷲支部長こと最高幹部ミューラー大佐でございます。変身すると怪人ヘルニアンと化します。怪人といっても恐くありません、廃人、変人の次に位置します。人畜無害、羊の皮をかぶったヤギ、モイスチャー効果成分配合、妄道7段(発病で階級オチ)、ヘルニアと闘う会特攻隊長。是非ともわたくしのもとにご参加あれ!語ろうではないか!泣こうではないか!笑おうではないか!云々、、、、」

う〜ん、頭が痛い〜。さて川村貞子は、果たして何かに呪われたのであろうか。手に汗握るJーホラー劇場!