2004年8月25日

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  ザ・サークルのギター弾き「ムラさん」から、 日頃お世話になっている「みなさん」へのお便りです。 ホーム・ページでは十分に伝えられないザ・サークルの近況や、 文化情報、私の雑感などを、随時お知らせします。
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 アテネ五輪での日本選手の活躍はすごいですね。 数日を残している段階で、 メダル総数32は、過去最高に並んだとか、 金メダル15は、過去最高の東京五輪に迫るとか、 大変な好成績なのです。

ところが、私が見ていると、 残念ながら負けてしまうのですね。 昨日も、画面の右上に「LIVE」と出ているので 悪い予感がしていたんですが、 野球はオーストラリアに負けてしまいました。 ソフトもオーストラリアが鬼門でしたね。

というわけで、女子マラソンも「VTR」で見たのですが、 ゴールした瞬間の野口みずきの表情が良いですね。 過酷なレースを闘い抜いた万感がすべて顕れているような、 そんな表情を、 特に毎日の夕刊トップの写真がよくとらえていました。

野口みずき選手も、レスリングの吉田沙保里選手も、 三重県の出身です。

 今回は、お知らせと、 前回の壬生訪問記に続いて、 「新選組!」についてです。

 ◇「新選組!」は面白い◇ 

 7月14日付けの朝日新聞(夕刊) 「三谷幸喜のありふれた生活215」で、 ドラマの「本当のヤマ場は池田屋の後にやってくる」と、 三谷幸喜が語っていますが、 第28回の「そして池田屋」(7月28日放送)以後、 新選組にかけるそれぞれの思いがすれ違って、 隊内での不協和音が高鳴っていき、 ドラマは大きく盛上っています。

特に最新の第33回「友の死」(8月22日放送)では、 山南敬助の切腹に至るまでが、 ずいぶんドラマチックに描かれました。 「冬ソナで泣けなかった私が、泣きました」 と言った女性がいたとか、分かるような気がします。 ストーリーは、 NHKの公式サイト で確認してください。 ご覧にならなかった方、是非再放送を…。

6月16日付け「…生活211」では、 「そういえばどこかの新聞が『脚本家を代えろ』って書いてた」 と三谷幸喜が語っているところをみると、 「新選組!」には批判もあるようです。 が、私は久しぶりに面白い大河ドラマに出会って、 ほとんど欠かさずに見ています。

一体誰が「批判」しているのか知りませんし、 「批判」がどんなものか確認していないのですが、 どうも、冒頭で近藤勇が、 坂本龍馬や桂小五郎と出会って友だちになってしまったり、 黒船を見に行ったりするあたりが、 歴史を無視していると言われているらしいのです。

その後の展開を見てみると、 同じ時代のなかで、真剣に生きようとする若者たちが、 それぞれの道を選んでいったことが、 よく描かれています。 坂本、桂との出会いも、そのためのドラマ的な設定なのですね。 当たり前のことに気が付いていませんでしたが、 近藤も、坂本、桂も同じ時代の若者だったのです。

山南敬助も、時代のなかで、 自分のやっていることの価値に対する疑問が生じたことから、 新選組を愛してやまないにもかかわらず、脱走、 ついに切腹に至ります。 坂本たちと同じ時代に生きる若者だということで、 その行動が理解できるのです。

最近の大河ドラマが面白くなかったのは、 「歴史的事実」に忠実であっても、 「時代の真実」をドラマとして描き出すことに失敗していたからだと思います。 「時代の真実」を描くことによって、 その時代人の生き方が、現代にも通じるものとして、共感を呼びます。

武蔵も、戦国末期の時代を生きた者らしくない言動をするようになっていって、 私はほとんど見なくなりました。 「信長」(1997年)の織田信長とか、北条時宗(2001年)の描き方は、 ほとんどあの時代のリーダーとしてあり得ない人物像で、 私は激怒しました。 子どもなどが見たら歴史観を曇らされてしまいます。

それから行きますと、「新選組!」は、 幕末という激動の時代に生きなければならなかった若者たちが、 何に悩み、何に生き甲斐を感じ、自分の人生をどのようにして見い出していったか、 よく描けています。

これだけの山南敬助像を描き出したのはほとんど初めてらしいのですが、 山南だけでなく一人ひとりの登場人物がよく描かれています。 近藤勇が黒船を見たのに、「武士」にこだわりますが、 それがどこから出てくるのか、 単なる時代錯誤ではないということが、よく描かれています。 暴れん坊の芹沢鴨でさえ、 その屈折した生き方に、どこか理解できるものを感じます。 新選組の中の「内ゲバ」も、 単なる権力争いとしては描かれていません。

前述の「…生活215」では、 池田屋事件の描き方について、 「新選組マニアはどう受け取るのだろうか。 また怒られるのか。」 と書いていることから、 「批判」には、「新選組マニア」からのものも多いようにうかがえます。 今までの新選組のイメージとは相当違いますから、 一部マニアのこだわりには納得できないものがあったりするのでしょうか。 私には、新鮮な新選組が、魅力なのですが。

なお、NHKのホームページに載っている、 宮尾登美子へのインタビュー が、「新選組!」の魅力をうまく語っていてお薦めです。 「近藤勇は良い子すぎる」などの感想も語っています。

堺屋太一へのインタビュー も載っていますが、三谷・新選組!に対して、 あまり好意的でないように感じました。

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