2003年4月12日

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  ザ・サークルのギター弾き「ムラさん」から、 日頃お世話になっている「みなさん」へのお便りです。 ホーム・ページでは十分に伝えられないザ・サークルの近況や、 文化情報、私の雑感などを、随時お知らせします。
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 今月は、アトムの生まれた月ですから、 手持ちのアトムねたを大放出します。

 ◇鉄腕アトムの生まれた日◇ 

 鉄腕アトムの誕生日は、2003年4月7日ですが、 誕生日がなぜ分かるのかというと、 「ミーバの巻」というお話に出てくるのです。

 ミーバの巻(元は四次元の少年の巻といったらしい)は、 「少年」という雑誌の1966年9月号から12月号に連載されました。

天馬博士とアトムは、砂漠でミーバという少年に出会います。 ミーバは、何と四次元の世界からきたのでした。 ミーバは、絶体絶命の危険が迫ると過去を呼び出す性質をもっています。 天馬博士は、その力を使って、 生まれたばかりのアトムを「現在」に運んで、 愛息トビオとしてもう一度やり直そうとするのです。
そのためには、 アトムの生まれた日を呼びださなければなりません。 天馬博士は、
「ここが精密機械局だ
 アトムはここで生まれたのだ
 2003年4月7日…
 思い出してもなつかしい日だった」
と語るのです。

 アトムは、 科学省長官であり、天才科学者だった天馬博士が、 愛息、飛雄くんを交通事故で失った悲しみから、 飛雄くんそっくりに作った人型ロボットでした。 最初は可愛がられたのですが、
成長しないことに腹を立てた天馬博士は、 ロボット商人に二束三文で売り飛ばしてしまいます。 ロボット・サーカスで働いているところが お茶の水研究所長のお茶の水博士の目にとまり、 鉄腕アトムとして活躍するようになりました。

この悲しい生い立ちや、 ロボットゆえに級友に差別されたりするあたりは、 スピルバーグの映画「A.I.」に影響を与えているのではないでしょうか。 (というより、私には、パクリの類に思えますが、…)
 ◇鉄腕アトムの生まれた場所◇ 

 一方、アトムが東京都新宿区高田馬場の「科学省」で誕生した ということで、誕生日の4月7日、 新宿区は、アトムを「新宿未来特使」に任命しました。

 新宿区のホーム・ページ 
 産経新聞のホーム・ページ 

 「科学省精密機械局」で生まれたことは、定説になっていますが、 全集と愛蔵版をひととおり調べてみても、 その所在地について、確かな記述は見あたりません。

強いてあげるならば、 愛蔵版第1巻「アトム大使の巻」では、 コマの外の天馬博士の経歴の中に、
「うまく高田馬場にある科学省任官試験に
 ダークホースとしてパスした     」
と出てくることです。
これは、天馬博士の「馬」にひっかけた駄洒落で、 あまり信用できません。

 「科学省」が描かれたいくつかのコマを総合すると、 建物がいくつかありそうで、 精密機械局は、科学省の本省とは別の建物のようです。

沖光正「鉄腕アトム大事典」(晶文社)によっても、
「科学省の所在は一連の『鉄腕アトム』には正確に記されていない。」
「霞ヶ関の一角、国会議事堂に近い位置にあると考えられる。」
とし、さらに、
「(科学省精密機械局の)建物は科学省本庁舎と異なり、一見科学工場のような外見をしている」 とされています。

とすると、仮に科学本省が高田馬場にあったとしても、 アトムの生まれた精密機械局は別の場所にある可能性が高いと思うのです。

 実は、全集版の「アトム大使の巻」では、 「天馬博士の研究所だ  アトムはここで生まれたんだ」 というセリフが出てきます。
こちらがオリジナルに近いと思われますので、 科学省の精密機械局でうまれたことにも、異説がありうる、ということになりましょうか。

 アトムの誕生の地については、相当不確かといわざるを得ませんね。 アトムファンの一人としては、 「未来特使」に任命することはともかく、 勝手に新宿区出身としてしまうことは、どうもいただけません。

 有名人になりますと、出身地が取り合いになります。 例えば、俳聖・芭蕉の生誕地は伊賀なのですが、 上野市か伊賀町で争いがあるようです。
アトムもこの点では芭蕉並みでしょうか?

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