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☆当直のエピソード第3弾。深夜の訪問者は常軌を逸してる。ともすると、アタマに3つくらいのハテナマークが付くことがある。

☆そもそもワタシはマクラが変わると寝られへんタチ。家では床に入ると3分もせんうちに夢の中で、不眠症の嫁はんからは、あくる朝ねたみとも嫌味とも取れる挨拶を聞かされるコトも度々。ところが当直のベッドではなかなか寝付かれへんの。布団にはいってからも30分1時間もゴソゴソとしている。

☆その晩も結構救急外来が繁盛してベッドに潜ったのは3時過ぎ。「早う寝な翌日は新患外来や。しんどい1日が待っている。」と自分に言い聞かせては見るが、焦れば焦る程目が冴えてくる。専門書読みながら横になって、ぼちぼちウトウトしかけた頃に電話。外来に患者さんが来てはるとのこと。アカン!寝そびれたワ。時計を見たら4時過ぎや。オイオイ今日もオールナイトかぇ!? 眠たい目を擦りながら救急外来へ。入ると神経質そうなお兄さんがこっちを見てはる。

☆とりあえず型どおり「どうされました?」と訊ねてみる。「あの〜、寝られないんです」「・・・・・、はい?」一瞬リアクションに戸惑った。「寝られないんです」繰り返すお兄さん。ああ、つまり不眠症っちゅうやっちゃな。

☆まあ気持ちはわかるけど、自分が寝られへんからっちゅうて他人まで起こして回るコトはあれへんがな。アンタのお陰で今何人起きたと思う?守衛のおっちゃん事務当直当直看護婦2人、医者(つまりワタシ)、5人も起こしてからに。ほんで自分だけ帰って薬飲んで寝ようっちゅうハラかいな!

☆これはまあ半分冗談やけど、病院の夜は一杯飲み屋スナックのように夜だけ開いて昼は締めるのとはちゃうねや。昼は昼でまたいつものルーチンの仕事があるねや。看護婦・守衛は帰ってしまうけど、我々医者は引き続き働かされるネンで。どうせ来るなら起こされ甲斐のある、治し甲斐のある病気で来て欲しいもんや。。。ボヤイても仕方ない。本人はいたって真剣(マジ)やから・・・分かってるて!

☆「わかりました。睡眠薬をお出ししておきましょう!」・・・こういうときは早まくで終わらせて、まだ眠気が残っている間にベッドに潜り込むのが1番や。診察もそこそこに処方箋を切っていると横からその神経質そうなお兄さん、「あの〜、実は明日(正確には今日)仕事があるんですよね〜」「はあ、そうですか。で?」「7時半には家を出なけりゃならないんです。7時に目が覚める様に調合して貰えませんか?」

☆ヒトをMr.マリックかなんかに思てへんか、このヒト。そんな砂時計みたいな薬の出し方出来るワケないやろ。アンタ『明日の朝ウン○を480gだけ出るように飯を食え』って云われたら出来る?人間の体はそんな計算通りには行かへんもんや。

☆「あのですね、睡眠薬と言うモノは一番効きが短いものでも、血中半減期3時間効果5〜6時間続くんです。いま4時半ですから7時と云うと2時間半後ですよね。目覚まし合わせてても多分起きられませんよ」と、ねっとクリニックにも書いたような事を説明した。「そうですか。・・・それなら・・・もういいですわ。飲まずに寝ます」

☆診察室を出ていく後ろ姿に向かって言葉を投げかけた。「一晩くらい寝られなくても死ぬことはありませんよ。開き直る気持ちが大切です。そうしたら寝られるもんですよ」・・・なかなかカッコええムンテラや。自画自賛しながらも『・・・ああ、今日も寝られへんかった。もう死にそうや・・・』と今云うた言葉とは矛盾だらけのボヤキ

☆どうやら患者さんと自分の身体とは事情が別らしい。ここらが・・・(はい、皆さんもご一緒に)・・・『医者も人間っちゅうコトやね〜』
◇お医者さんの当直はきびし〜い!(その3)◇

(お待たせしました!長らくお休みしていましたが、復活です!
前から6番目のコラムですが実際は13番目の書き下ろしです。
文のつながり具合はそこら当たり前後していますのでご了承下さいナ。)