40■天空城
探検しよう!


206■天空城へ (マァル視点)
戻ってきたお父さんは、暫くの間わたしたちを抱きしめたままで、静かに泣いていた。

お父さんが小さい頃住んでいた村は、今はもうないって聞いたことがある。
帰るお家がなくなるって言うのがどういう気持ちか、わたしはよくわからないけど、きっととっても淋しいことだと思う。

お父さんは、さっきまで、なくなっちゃう前の村に行っていたっていった。
そこでおじい様や、小さい頃の自分に逢ってきたって言っていた。おじい様にはお会いしたことがないから、ちょっとどんな感じかわからないけど、でも、久しぶりにお父さんに会う気持ちは分かる。

わたしも、ずっとお父さんに逢いたくて探してたから。
お父さんは、おじい様にあって、きっと物凄く嬉しかったんだろうと思う。
お父さんは、ずっとずっと逢いたかったに違いないもの。

でも、凄く淋しくて辛かったと思う。
お父さんは、この後何が起こるか知っていた。
でも、言えなくって、何も出来なかったって。

お父さん、本当はあの絵の中に、ずっと居たかったんじゃないかしら。
だって、あそこにはなくなっちゃったものが、大事にしてたものが、全部残ってる。

  

お父さんが、ここに帰ってきてくれてよかった。

 
お父さんは泣き止んで、それから大きくため息をついた。
「さ、行こうか。プサンさんが待ってる。……女王様に挨拶してから帰ろう」
お父さんはわたしたちの手を引いてゆっくりと歩き出す。

女王様は、お父さんを見て微笑んだ。
「私たち妖精には時の流れを変えるチカラはありません。でもあの絵に受け入れられたテスならば、きっとそれができるでしょう。さあお行きなさい。ゴールドオーブをあるべき場所へ戻す時が来たのです……」
「色々とありがとうございました」
お父さんが深々と頭を下げたから、わたしやソルも慌ててお辞儀をする。
「空に城が戻り、マスタードラゴン様がお戻りになるのは、私達にとっても願いです。どうかテス、よろしくおねがいしますね」
「はい」


わたしたちは、お城の外に出た。
相変わらず、湖の水面は波が無くて空を映す鏡みたいになっている。その湖を、船で岸まで戻った。
「妖精にオーブはもらえたのか?」
岸で待ってくれていたスラリンが、わたしたちを見上げる。
「うん、勿論。色々あったけど、ちゃんと頂いてきたよ」
お父さんはそういって、皆にゴールドオーブを見せた。
「きれーい!」
ホイミンが目を輝かせる。
「美しいものですね。なんだか物凄い力がありそうです」
ピエールもビックリしたみたいに、オーブを見つめた。
ゲレゲレはオーブを見て、少し鼻を鳴らしただけだった。
「……まあ、ゲレゲレは見慣れてるよね」
お父さんは苦笑して、しっかりとオーブをしまいこんだ。
「さ、プサンさんがまってる水中城に戻ろう」
お父さんは皆を集めて、ルーラを唱えた。

 
天空城は相変わらず水の中にあった。
天井近くを魚がゆっくりと泳いでいく。光は水の中を通って、ゆらゆらと揺れながら床を照らしてる。
「相変わらずだね」
お父さんはあちこち見て苦笑した。
「プサンさん、一人で淋しくないのかな?」
ソルは心配そうにプサンさんが待ってる地下のほうを見る。
「まあ、二十年も洞窟で回ってたような人だから、大丈夫じゃないかな?」
お父さんは肩をすくめた。
「初めてきますけど、キレイなところですねえ。よく見ればなかなか歴史を感じる建物ですし」
サンチョはいろんな所を見て感心してる。
「コレで空に城が浮かんだら、神様も戻ってくるのかしら?」
わたしはお父さんに聞いてみる。
「うーん、戻ってきてくれなきゃ困るんだけどねえ」
お父さんは困ったように笑う。
「きっと戻ってくるよ。神様は帰るお家がなくなってびっくりしちゃってるんだよ」
ソルはそんな風に言って笑った。

 
わたしたちは、プサンさんが待ってくれてる地下の祭壇のところまでやってきた。
「おお! オーブを持って来てくれたのですね!」
ぼんやりと床に座っていたプサンさんは、わたしたちの足音に気づいて顔を上げて、それから嬉しそうに駆け寄ってきてくれた。
「お待たせしました」
お父さんは袋からオーブを出してプサンさんに渡した。
「……」
プサンさんがお父さんの顔を見る。
「……違ってませんよね? これですよね?」
プサンさんが無言だったから、お父さんが恐る恐る聞く。
プサンさんはにこりと笑って頷いた。
「ええ、勿論。……コレを手に入れるのに、テスさんはご苦労なさったようですね。何だかこの前お会いしたときとまた感じが変わりました」
プサンさんはそういうと、手の中のオーブをゆっくりと撫でた。お父さんは苦笑してから頷く。
「ええ、まあ、色々と。辛い事もありましたけど、これでよかったんだろうって思います」
お父さんは何があった、とは言わなかった。
プサンさんもそれに対して頷いただけだった。

「このオーブを台の上にもどして……」
プサンさんはつぶやきながら、ゆっくりと慎重にからっぽの台の上にオーブを置いた。
「さあ、これでいいはずです! 私について来てください」
プサンさんはそういうと、ゆっくりと歩き出す。
わたしたちはお父さんを先頭にプサンさんの後に続いた。
ちょうど、シルバーオーブが置かれてる台との間の辺りまでやってくると、プサンさんは立ち止まってわたしたちを振り返った。
にっこりと笑って、両腕を大きく広げる。
「いよいよこの城がふたたび天空にのぼる時がやってきました! すべてはテスたち皆さんのおかげですね! さあ見ていてください!」

声と共に、お城が一回大きく揺れた。
その振動は暫く続く。
廊下の先にある台の上で、さっき置いたばかりのゴールドオーブと、シルバーオーブがキラキラとキレイな光を放っているのが見えた。
「さあ、浮かびますよ!」
振動が続く。
結構長い間、揺れていたような気がする。

揺れているのが収まった。

窓の外から、キレイな光が入ってきているのが分かった。
「ふむ……。思ったほど高くあがらなかったみたいですね……。まだ全部元通りってわけにも行かないみたいです」
プサンさんは外を見て、お城が浮かんだ高さに少し不満そうな顔をした。
けど、すぐににっこりと笑う。
「まあいいでしょう! いつかもうちょっと浮かぶ事もあるでしょう。あとはあなたたちにおまかせします。水も引いたみたいだし、私は城の様子を見てくることにしましょう。ではまたあとで」
プサンさんは手を振ると、さっさとはしごを上って行ってしまった。

「じゃあ、お言葉に甘えてお城の中を探検しようか」
お父さんはそういって、いたずらっ子みたいな顔をして笑った。
207■天空城 (ソル視点)
ぼくらはお城の中を探検する事にした。いつもみたいに、ぼくはお父さんの右、マァルは左でしっかり手を握って貰う。お父さんはいつもより随分ゆっくりとお城の中を歩いてくれた。
窓から外を見てみたら、天空城は思ってたより随分低い位置に浮かんでるみたいだった。絵とかで見る天空城は空の高い場所にあったんだけど、どう考えても、ちょっと高い山の上、くらい。
「なんか、低くない?」
ぼくは窓の外を見ながらつぶやく。
「うーん、基本の位置がわからないけど、たぶんちょっと低い」
お父さんは困ったような声でそんな事を言った。
「このお城昔はもっともっと高いところにあったのよね? よかった高くあがらなくて」
マァルはほっとした顔でつぶやく。
もっと高いほうが面白いとおもうけど、マァルは高いところ嫌いだから、言わないで黙っておいた。
「確かに天空城という名は似合いませんな。いいところ上空城とか空中城くらいですよ」
サンチョは真面目な声でそういった。
お父さんが笑ってた。

 
歩いていると、そのうちプサンさんに会った。
「城の中には水に閉じこめられてた人々が何人か生きていたようですね。時間を止めて眠っていたとはいえとてつもない生命力! 私もなつかしい人に会えてうれしいかぎりです」
プサンさんはすこし目を細めて嬉しそうにあたりを見回した。
「そんな事できるんだ?」
ぼくが聞くとプサンさんは頷いた。
「もう少しお城を見せていただいていいですか?」
お父さんはプサンさんに尋ねる。
「ええ、勿論。色々見て回ってきてください」

 
ぼくらはまたプサンさんと別れて、お城の中を探検する。
「プサンさんもぼくたちが来る前時間を止めて回っていたのかもね。じゃないとお腹がすいて死んじゃうよ!」
「たぶんね」
お父さんは笑って頷く。
「ちょっと便利だなあ」
お父さんは何だか羨ましそうな感じでそんな事を言った。
「いやはや天空人の生命力の強さは、神に近いものを感じますよ」
「多分、物凄く近いんだよ」
お父さんはサンチョに答える。

 
いくつか部屋を回ってみた。
本棚がずらーっと並んでいる部屋や、世界樹の苗を管理してる部屋や、いろんな部屋があった。
お父さんは本棚の部屋が凄く気に入って暫く居たそうな感じだったけど、ぼくは一刻も早く出たいって思った。
どうやらお父さんは本が物凄く好きみたいで、ぼくは勉強きらいだから本は出来れば読みたくない。
……似てないなあ、とちょっと淋しい気分になった。
「それにしても、やっぱり人が居るっていいね」
ちょっと広い廊下の隅っこのほうで休憩してるときにお父さんがぽつりと言った。
天空城は物凄く複雑なつくりになっていて、しかも広くて歩くのは結構大変だった。
一回だけ、マァルが「迷子じゃないよね?」って心配そうにお父さんに聞いたら、お父さんは「帰り道分かってるうちは迷子じゃない」ってずっと前とおんなじことを言った。
「このお城いつか落ちる前のきれいなお城にもどるかなあ……? ぼく、きれいな天空城見てみたいよ」
「うん、そうだね」
お父さんが頷いた。
天空城はぼくらが分からなくなるくらい、ずっと長い間湖の中に落ちていたんだとおもう。とてもキレイな建物だったけど、それでもよく見たらあちこちにヒビが入っていたり、細かい装飾の角が折れていたりする。
「いつか、余裕が出来たら直し始めるんじゃないかな。今はまだ目が覚めたばっかりで大変だろうし」
お父さんはそういって、手すりのしたに落ちていた白いタイルを拾った。
「キレイだねえ、凄く古いのにキラキラしてる」
お父さんは少し目を細めてそのタイルを暫く見ていた。それからもとあったとおり、手すりの下に落とす。
「拾っておかないの?」
「直すときにいるかもしれないじゃない。持ってくわけにはいかないし、誰かに手渡すとしても、誰に渡せばいいのか分からない」
お父さんはそういって肩をすくめる。
「さあ、あと回ってないところを見たらプサンさんのところに戻ろう」

 

ぼくらが最後に行ったのは、暖炉のある部屋だった。
暖炉の中に部屋が作られていて、中に居るお爺さんはぼくらをみて驚いた。
「どうやって入ってきたんじゃ!?」
「湖から浮かんだんだよ」
ぼくが答えると、お爺さんは目を大きく見開いた。
とっても嬉しそう。
「なんと! この城が浮上したとっ!? それはめでたい! あとは竜の神さまマスタードラゴンの復活を待つばかりじゃわい!」
「やっぱり神様はいま居ないの?」
マァルが尋ねると、お爺さんは頷いた。
「マスタードラゴンはテルパドールの西の島にある、ボブルの塔にその能力を封印したそうじゃ。今はどこでどうなさっているのか……」
お爺さんはちょっと遠い目をした。
「そこのタンスの中身を持ってゆきなされ。役に立つかもしれんぞ」
「ありがとうございます」
お父さんが頭を下げて、それからタンスに入ってたカギが付いたロープをひっぱりだした。
「……ロープ? どっかに引っ掛けるようになってるね?」
ぼくがロープを見て首を傾げると、お父さんも同じように首をかしげた。
「塔ではロープがあると便利だろう?」
お爺さんはそういって笑って見せた。
 
 
ぼくらはプサンさんが居る部屋に戻りながら、いろんな話をした。
やっぱり話題にあがるのは、さっきお爺さんが言っていた「どこかに行っちゃったマスタードラゴン」の話。

「どこに行っちゃったのかな?」
「うーん、ドラゴンで居ても目立たないところ? 山の奥とか?」
「何のために?」
そんな感じで話していたら、廊下ですれ違うところだった一人の天空人さんが足を止めた。
「マスタードラゴンのお話ですか?」
「ええ、どちらにいかれたのでしょうね」
そういうと、天空人さんは少しため息をついた。
「世界がまだ平和だった時代、下界を見てマスタードラゴンはこうおっしゃいました。『人間もなかなかよいものだな……』そしてお姿をおかくしになってしまったのでございます。ああ! その後数百年の間にこの城が落ちてしまうなど、誰が思ったでしょうか! 天空にこの城があるかぎり 平和は続いたはずでしたのに…」
「もう数百年も居ないの!?」
ぼくは驚いて聞き返す。
「ええ、そうです。早くお戻りにならないでしょうかね」
なんとなーく、天空人さんたちの「早く」っていうのは、ぼくらの言う「早く」っていうのとは時間が違ってそうな気がしたけど、聞かないことにした。
お父さんはその話を聞いてる間、ずっと考え事をしてたらしくて、全然何も言わなかった。
208■ボブルの塔を目指して(マァル視点)
「それにしても」
天空人さんはわたしたちを見てにっこり笑う。
「改めまして、天空城を復活させて頂き、ありがとうございました」
「いえ、ボクらはほんのちょっとお手伝いしただけです。方法を教えてくれたのはプサンさんですよ」
お父さんが言うと、天空人さんはくびを傾げる。
「プサン?」
「天空人さんだよ!」
ソルが答えると、天空人さんはますます不思議そうな顔をする。
「……天空人にプサンなんていたかなぁ?」
「えー?」
今度はわたしとソルがくびを傾げる。
お父さんは眉を寄せてまた黙ってしまった。
「どういう事でしょうね?」
サンチョが小さな声でお父さんに尋ねる。
「うーん」
お父さんはちょっとうなって、やっぱり黙ったままだった。

わたしたちは、またプサンさんが居る部屋に戻ってきた。
「探険はおわりましたか?」
わたしたちに気付いたプサンさんが声をかけてきてくれた。
やっぱり、なんだか変な感じ。プサンさんと話すとなんだか落ち着かない。プサンさんはにこにこ笑っているのに。
「ええ、十分見せて頂きました」
お父さんが軽く頭を下げる。
「これから、テスさんたちはどうなさるんです?」
「えーと、まぁ、そうですねー」
めずらしくお父さんはことばを濁す。
「とりあえず、マスタードラゴン様が力を隠されたと言う、ボブルの塔に行ってみようかと思うんですけど……」
「へぇ」
プサンさんはあまり興味がないみたいな声をだす。
「テルパドールの西にある小島って、昔近くを航海したことあるんですけど、たしか高い岩山が島のまわりを取り囲んでて入れそうになかったんですよ」
「行ったことあったの?」
ビックリして聞くと、お父さんはうなずいた。
「あの山は魔法の絨毯では越えられないよ」
「え!? それって困るよね!?」
ソルはお父さんを見上げて焦った声をあげた。
「うん、どうしようね」
お父さんは言いながら、じっとプサンさんを見ている。
プサンさんはにやっと笑った。
「大丈夫ですよ」
そう言ってプサンさんは床を指差した。
「下のオーブの間の、ちょうど中央に銀色のパネルが埋まっていたでしょう?」
わたしは思い出そうとしたけど、あったかどうかわからなかった。
お父さんはうなずいた。
「あんまり大きくないパネルですよね、ありました」
「その上に乗って、静かに集中してください。しばらくすると天空城は望む方角へ動きだします」
「中にいるヒトびっくりしちゃわないの?」
ソルが聞くとプサンさんは笑った。
「大丈夫です。天空城はこれまでもそうして動いていました。まあ、もっとも、中にいる者に影響の無いように動きはゆっくりですけど」
プサンさんは続ける。
「現在天空城はそんなに高い位置にあるわけではないですけど、まあ、岩山くらいなら飛び越えられるでしょう」
「でもあの部屋、あの位置に立つと外が見えないんじゃないですか?」
お父さんが尋ねると、プサンさんはうなずいた。
「直接には見えませんが、外の様子はわかりますよ。頭の中で」
「ああ、この前のみたいな感じですね」
お父さんが顔をしかめる。
「その節は失礼しました」
プサンさんはそう言って軽く頭を下げた。


わたしたちは、プサンさんが言ったように、銀色のパネルが埋まっているところに行ってみた。確かにパネルは床に埋まっていて、不思議な光を放っている。
お父さんはわたしたちから手を離して、サンチョと手をつないでいてもらうように言った。動くときどうなるかわからないから。だからわたしとソルはサンチョと手をつないで、ちょっと離れたところからお父さんを見守った。
「うまく行くかなぁ、そもそも動かしてたの、神に近い天空人でしょ? ボクの力で大丈夫かなぁ?」
言いながらお父さんはパネルに乗る。目を閉じて、息を大きく吐く。
しばらくすると、窓の外の景色がゆっくり動きだした。
「すごい! お父さん、動いてるよ!」
ソルが叫ぶと、お父さんは軽く手を挙げた。あんまり余裕は無いみたい。

天空城はゆっくり進む。
沈んでた湖の上から、ゆっくりと東に進んでる。そのうち大陸を通り越して海に出た。
しばらく代わり映えのしない景色がつづく。
「お父さん、大丈夫?」
わたしが聞くと、お父さんは目をあけた。そして銀色のパネルからおりると、床に座り込む。景色がとまった。
「そんなに大変ってわけでは無いけど、ちょっと疲れるね。……休憩」
「ぼく、代わろうか? お城動かしてみたい!」
ソルが言うと、お父さんは首を横に振った。
「いいよ、しばらく休めば大丈夫だから。動かすのはたいしたことないんだけど、集中してるのが大変だよ。ソル、じっとしてるの嫌いでしょ」
「うー」
ソルは言い返せなくて口を尖らせる。
その間にお父さんは地図を取り出して現在位置を確かめた。
「最初の湖がココだったから」
指で地図の湖を指して、そのまま地図の上で指を滑らす。
「東に進んで……今この辺かな? 目標物がないからわかりにくいなぁ……。このまま東に進んでサラボナのある大陸にぶつかったら、南下かな」
指がすーっと南に動くと、小さな島にぶつかった。
「マスタードラゴン様が戻ってきたら、ちょっとは平和になるのかな?」
わたしが呟いたら、お父さんは少しほほえんだ。
「まぁ、元凶がいるかぎり本当には平和にならないかもしれないけど、でもちょっとは変わるよ」
「たとえば?」
「天空にお城が戻ってきただけでも、神様を信じてる人たちには心強いことだと思うよ。結局さ、人が強くいるためには、何か支えがいるんだよ。天空城はきっとみんなの支えになる」
お父さんはそう言うと立ち上がった。
「さて、もうちょっと頑張ろうかな。早く神様に帰ってきて貰わないと困るしね」
お父さんは銀色のパネルに乗ってまた目を閉じる。
天空城はまたゆっくりと動き出した。

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