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   修正会と除夜の鐘

            お寺と鐘について

 鐘はお寺でお勤めが始まる合図の役割を持っています。
もう一つは時を知らせる役割がありました。さらに非常事態を伝える手段でもあったようです。
後者の方は現在サイレンとか、時計の普及で必要が無くなりました。
 今ではお寺の鐘は法事の案内だけになっています。

 高田本山のお七夜に参詣すると、最初に太鼓が打ち鳴らされます。
その後梵鐘が鳴ります。音木で止める合図があると鐘は打ち止めとなります。
一般僧侶が出勤し終わると半鐘が鳴り、御法主様が雅楽に合わせ出仕されます。
このように楽器によって式進行が進んでいくのです。

 平素は梵鐘と半鐘によって進められているのですが、お正月の元旦だけお勤めの時間が変わるのです。
余宗の大きなお寺では元旦のお勤めが午前2時頃より勤められます。そして百八個の鐘が突かれるのです。
ですから12時前から鐘を突かないと間に合いません。
百八個とは人間がもつ煩悩の数で一個づつ突き崩す意味があったと思われます。
ですから元旦のお勤めの前には新しく生まれ変わると言う意味もあったのでしょう。
これが除夜の鐘の始まりでした。

 一般のお寺で除夜の鐘を突く習慣は、歴史も浅いと思われます。
きっとNHKのゆく年くる年の影響ではないでしょうか?

 自坊も紅白歌合戦が済むと除夜の鐘を突きます。
事前にマメを百八個準備し一人二個づつ突いてもらっています。
突き終わった人には新年の挨拶をして甘酒を飲んでもらっています。
鐘を突いてからお宮さんに行く人、お宮さんの帰りに鐘を突く人様々ですが楽しい行事になっています。

 12時半過ぎから修正会のお勤めをします。
この時だけ「繙御書(ひもときの ごしょ)」を拝読します。
「あら玉の年を迎えてひとびと 春の空をよろこべども・・・・・・」と続く長い御書です。

 お勤めが済めば、時間の許す人とオセチ料理で新春を喜びます。
私がこの寺の住職になってから、この行事は絶えることなく続いています。

 高田本山では一昨年前まで除夜の鐘は在りませんでした。なぜなら元旦のお勤めは午前6時より
勤まっていたからです。でも昨年から一身田商工会の皆さんが中心となって除夜の鐘を突いています。
今年も続けて除夜の鐘を突くようになっています。お近くの人は参加されたら?数は108個と決まって
いますから1個ぐらいしか突けないかもしれませんネ。