2001年25時れいめい塾

れいめい塾のホームページ 三重県津市久居 学習塾 れいめい塾発 「25時」

2000年1月25日


 センター試験2日目は何事もなく終わった。今井と古西が塾に姿を見せ国語の速報が出るのを今か今かと待つ。「ところで今井、日本史はどやったんや?」 古西が吹き出す。「いや、あの・・・61点です」 「うわ! デンちゃん(日本史の講師、月に一度の割合で大阪から教えに来てくれている)にメール送らなアカンねんで」 「じゃあ100点です」 そこへ寺田から連絡、河合塾が国語の速報を出したという。昨日の速報は代々木が一番、今日は河合塾が雪辱ってか? 今井と古西がプリントアウトしてさっそく答合わせを始める。「なんでなん!」 「おかしいんちゃうの」の連呼・・・最後の方には沈黙だけが支配する。「どやった?」 憮然とした表情で「110点」と古西。「うわ、ちょっとだけ古西君に勝利や。115点・・・」と今井。河合塾の講評を見ると軒並み「昨年より難」が並んでいる。「難しなったちゅうてもなあ・・・」と俺も泣きが入る? 「こりゃ首絞められたな」 明治大学センターボーダーは英語200点・国語200点・社会&数学100点の計500点で85%、つまり425点である。二人のセンターの成績は以下の通り。 

 古西  英語 172  国語 110  数学 98  計 380点

 今井  英語 159  国語 115 日本史 62  計 336点

 予想では今年はボーダーが下がるとのことだが、この成績では勝負にならない。「まあいいじゃねえか、本命は他にあるんだしな」と、取りなすように言えば二人声を揃えて叫ぶ。「俺達、明治なんて行きたくなかったんだ!」 負け惜しみだけは威勢がいい今年のウチの文系。

 今年の国語、ギャンブル性の高い問題だったんだろうか? その日の夜、寺田と弘の点数が高2の中井から伝えられる。なんと寺田が116点、弘は115点だと言う。となると今年度の国語のドベは古西ということに・・・。そこへ福井のアキラの親父(BBSではダーティ珍)からメールが届く。アキラの苦手は英語、ゆえに夏休みのウチの塾への密航。徹底的に英語はさせたつもりだ。その後も月に一度くらいのペースで福井にデンちゃんの日本史プリントともども英語の問題集などを送ってはいた。アキラ、その苦手な英語で144点を叩きだす! 寺田が137点であることを考慮すればよくやった! しかし驚愕したのはアキラの必殺技のはずの国語がなんと92点! どう考えても合点がいかない。となると同じく国語を得意とする古市舞の点数が気になるところだ。

 佐藤に電話をする。「どやった?」 「やられた・・・英語、6番でボロボロ」 「何を言うてるねん! オマエ、6番は読めたって古西に言ってたろうが」 「読めたと思ったんやけど・・・」 「今、国語の解答プリントアウトしてここにあるんやけど電話で言おか?」 「・・・ええわ、明日の新聞で見る」 佐藤の自信のなさと不安がひしひし伝わってきた。

 深夜、中学生と高校生を送って塾にもどると高3が広告の作文を持ってやってきた。この段階でやっと全員の点数を聞く。弘と寺田の成績は以下のごとし。

     英語 数1  数2  国語  化学 物理 地理

 弘  172  61  87  115   19   92  59

 寺田 137  87 100  110   86   88  69

 結局、今年のセンター試験は弘の一人舞台。周囲を一番心配させた弘がボーダーをクリアするから勝負事は分からない。志望大学の名古屋工業大学の去年ボーダーをわずかだが越した。今年はボーダーが下がる予想なので下がった分だけ貯金となる。これからは弘のことを年金生活者と呼ぼうか。そして寺田はセンター240点に対して二次試験700点という日本でも希有なギャンブル性の高い大学を受ける。寺田の場合、センターは到底成功とは言えないがそのことが逆にセンター比率の高い他の大学、名古屋大学や神戸大学に変更できない状況に自分自身を追いつめたとも言える。寺田!これがオマエの作戦ってか?

 センター2日目の夜、恒例の高1&2年によるセンター英語が始まる。結果は以下の通り。なお、英語の平均点は中間報告ながら110点と発表された。

 高1;  佳子  75点    あすか 70点    橋本  68点

      健太 112点    佑輔  144点    卓    69点

      恵    53点

 高2;  中井 114点    山本 126点    世古 116点

      村瀬 181点    前川  72点    砂山 154点

      隆哉  58点

 惨敗である。特に今年の高1はこの1年、学校に流されるようにやってきたツケが出ている。全員センター全国平均以上!を標榜してきたが、こんな成績では俺はうそつきやで。去年は俺の授業を受けていない隆哉を除いては全員が全国平均を上回った。それが今年はたった二人だけ、高校に流されると瞬く間に錆びてしまう。そして高2、最近塾にカムバックした前川功樹(津東2年)は無理にしても、やはり隆哉がネックとなる。

 23日夕刻、俺は佐藤の携帯に電話を入れる。「どやった?」 「あかんだ・・・628点」 「国語か?」 「いや、国語はなんとか」 「どうせ133点くらいやろ」 「うん、136点・・・なんで分かるの?」 「馬鹿野郎! 変なことに感心するなよ。俺はオマエの先生だからな。で、去年のボーダーは?」 「685点」 「となると57点のビハインドか」 「うん、ボーダーがどこまで下がるかが・・・」 「センター速報シビレるよな・・・下がるとは思うけど660点あたりやろな」 「・・・それでも32点か」 「暗いな・・・センター速報は名古屋の下宿で見るんか?」 「うん、そのつもり」 「暗いオマエを塾に呼ぶ手もあるけどな、まあやめとこ。センター速報終わったら電話しろ。なにしろ鹿児島大学、一番最後や。時刻は午前3時頃やろ。田丸君も高橋君もいるはずや。一人でメソメソ考えてもあかんで」 「うん」 

 この日の夜、田丸・塚崎(ともに三重大医学部)が中心となって今年度センター数学1Aを高1に実施することになっていた。田丸君が俺にささやく。「古市に電話したんですが・・・」 「どやった、国語?」 「71点・・・」 「え・・・」 「今まで模試で取ってきた点数の半分以下だったって・・・」 「やられたな」 「ええ・・・僕にも”今までお世話になりました”って。もう全て終わったって感じでした」 「やっぱり届かんかな・・・」 「それはセンター速報が出てみないと」 「・・・こんな時は女の子は辛いな」 「ええ、ところで佐藤は?」 「合計628点」 田丸君の顔がゆがんだ。「これもまたセンター速報を見てみやんとな・・・」 「・・・そうですね」

 この夜に行われた数学の成績は以下の通り。

 佳子 41点   大輔 46点   健太 59点   あすか 60点

 卓   61点   橋本 66点   佑輔 87点

 今年度センター1Aは代々木ゼミの講評の言葉を借りるならば「急激に難化」。代々木は平均点58点、河合塾は60点と予想。

 深夜2時、中3を送って塾に戻ると1階の教室に村瀬が一人。「聞いたか、佑輔?」 「数学1Aが87点だったんでしょ」 「ああ、2年生負けやんといてな」

 24日、今日の深夜1時25分からセンター速報がテレビでオンエア。塾内的にはそうそうのトラブルもなし。一発当てた弘は年金生活者、後はボーダーが下がれば下がるだけ貯金ができる。悠々自適で2次試験が迎えることに。ここで言うとくけどな、弘! センターの点数に浮かれて前祝いなんぞやったら承知せんぞ! 寺田はセンターに転けた?とも言えるが、逆に東工大以外はセンター比重が高くなることからむしろ方針変更は裏目?あとひと月を二次試験に向けて勉強するのが正解か。そして古西と今井は「明治なんかに行きたくない」との共同コミュニケを発表、単なる負け惜しみだが・・・。つまりこの4人は状況に変化なし。問題は塾外の浪人、佐藤の動向が注目された。昨日の電話で聞いた628点。昨年度の鹿児島大学獣医学科ボーダー得点は685点。ビハインド57点。今年度は平均点が下がるのは確実、当然ボーダーも下がる。でも、どこまで下がるか・・・これが最大の注目となる。

 午後7時、大森(皇学館大学1年)が姿を見せた。「先生、日比ちゃん(関西大学1年)と宮口(近畿大学1年)が帰ってくるそうですよ。さっき連絡がありました」 「何かあるんか」 「センター速報ですよ! 佐藤も来るそうです」 「えっ!」「昨日の電話じゃ名古屋の下宿で速報を見るって言ってたで」 「日比ちゃんが説得したらしいですよ。それで、宮口も・・・宮口は試験中でさっきの携帯じゃ図書館で勉強してたようです。日比ちゃんから召集かかってしもた、て嘆いてました。明日も朝の9時から試験らしいです」 「トンボ帰りやな。でも、今イチ盛り上がりに欠けた今年度センター速報やったけど、これで役者が揃ったな」

 大森の古典の授業が終了。次は俺の担当、今年度センター国語T・Uを高1&2で一斉に解く。国語が今年度センターの台風の目だった。俺はその先入観もありいつになく慎重に解いた。1番の論説文はキーワードが咲き乱れている。ありすぎて悩んだやろな・・・と受験生に同情する。次の小説は昔好きだった津島祐子から。これが難しい・・・今度は逆にキーワードがない。この小説のなかで「水」はどういう働きをしているかだって? 何とでも取れるだろ!と塾の先生らしからぬ暴言吐きながら終了。勘で解いた問題が2つ。そのうち3番の問題を間違えてミス1。この答、ホンマに合ってんの? 結局1&2番の現代文でミス1で終わる。

 高校生による国語センターと同時に中3の菊山がセンター試験数学に臨む! ウチの塾のホームページ上に「今年度の数学1Aの4番の平面幾何は、予備校の講評などでは”やや難”となっているが中3でも解ける問題。ギャグで菊山にでもさせてみる」と書いた。そのギャグが始まる。国語は1&2番だけ、時間は小1時間。菊山は4番の平面幾何だけ、30分弱で終了。生粋の理系・橋本、国語を勘だけでチャチャチャと解いたのだろう、ヒマそうにしている。「橋本、ヒマそやな。菊山の採点!」 後輩の中3が解いた問題、それも自分が昨夜解いたばかりのセンター問題を採点する・・・冬眠から覚めた風情の橋本、身体をふるわせ菊山の答案をジッと見入る。視線は下まで降りそして再び上へ。溜め息をつきながら赤ペンで大きなマルを一つ・・・全問正解。

 佐藤が姿を現した。「へへっ、真打ち登場ってか! 名古屋でセンター速報見るって言ってたのにえらい方針変更やな」 「うん、剛(日比)から”帰ってこいよ! 俺達も帰るからさ”って言われて」 「まあ、暗いオマエが一人部屋のなかでセンター速報見てるってのも暗さの2乗やもんな。パアッといこや、今夜だけはビールでも飲んで!」 「いや・・・お茶でええわ」 「センターの4番、中3が全問正解や」 「平面幾何?」 「ああ」 「あれって、難しいって河合塾の先生言ってたよ」 「講評でも”誘導が飛躍すぎる”だってさ。笑わせるよ。高校数学馬鹿になってんだよ、みんな。もっとシンプルに解けばいいんだ。中3なんてシンプルもなにも三平方しか知らねえんだからな、それが勝因や」 高橋君が近づいてくる。「どう?調子は」 「鹿児島の去年のボーダーに57点足らない・・・」 「他の大学は?」 二人で河合塾の「栄冠を目指して」(進路ガイドブック)をめくりながら獣医学科を一つ一つチェックしていく。

 ラッパー・日比とカラーギャング・宮口がコンビニでお菓子やジュース・ビールやらを大量に買い込んで登場。そして杉本理恵も登場。久しぶりの同窓会?同期の大森も交えて盛り上がっている。

 国語の試験が終了、答合わせとなる。時刻は午後11時を過ぎている。高2では中井と前川が欠席。これは津東がすでにセンター試験国語を授業でやったからだ。中井はまだ点数が出ていないが、前川は現代文100点中58点とのこと。国語の解法をしつつ、センター速報の意義を話す。センター試験の自己採点の点数をもとに全国の大学のボーダー得点を見ながら志望校を決定する。志望校のボーダー得点が自分の取った点数より遙かに上なら断念せざるをえない。しかし二次試験が残されている以上、二次の記述試験(センターはマーク)に自信があればボーダーに足りなくても勝負できる。かつて9期の村瀬(神戸大学工学部3年)は30点のビハインド(差)を二次試験で逆転した。逆にボーダーがあっても二次試験の結果が悪いと落ちる。ウチの塾では過去そのような生徒はいないが・・・。佐藤の自己採点は800点中628点、そして志望校の鹿児島大学獣医学科は去年ボーダーが685点。今年は軒並み平均点が下がったこともあり当然、志望校のボーダーも下がる。どれだけ下がるか? 興味はこの一点にかかっている。俺は佐藤を例に出し、また現役の古西・今井・寺田・弘を例にしてセンター速報について話した。

 「今夜のセンター速報が受験生にとってどれほど興味津々かと言うと、あすかちゃんの兄貴が試験の最中にも関わらず、佐藤の鹿児島大学獣医・後輩達のそれぞれの進路を心配して帰って来たってことや。宮口は明日の朝9時からまた試験や。明日の朝、始発で大阪へもどる。これは日比も同じや。佐藤も大変、受験生も大変、しかしそれを見守る連中もまた大変なんや。北海道の齋藤(北海道大学3回目の1年生)が頻繁に電話してくる。”どうせアカンやろけど”なんて減らず口を叩いているけどな。つまり全国で胸が沸き立つように感じている連中がたくさんいるんや。なにしろ番組は午前1時25分開始、3時終了や。明日は学校もあるやろ、身体もしんどいし、最後までセンター速報を見ろとは強制できへん。自由参加にしよや。見たい奴は残ればいい。帰りは大学生に送ってもらうように段取り組んでるから」

 俺がセンター速報にまつわるウチの塾の歴史めいたものを感情込めて話しているとドアをたたき壊す勢いで隆哉登場。「ゴメン! 寝過ごした」 興ざめである。とりあえず、国語・現代文(100点満点)の結果を以下に。

 高1; 佳子  66点    健太  54点     卓   40点

     大輔  23点     恵    38点    橋本  38点

     佑輔  22点      

 高2; 山本  53点    世古  64点    隆哉  37点

     村瀬  54点

 この成績を見る限り、中学の頃の国語の得手不得手なんて全く関係ないようだ。2学期となり文系志望を決めた佳子、学校の授業とは別に国語の読解用の問題集を解いている。その佳子が高2の文系、アキちゃん(山本)と村瀬・世古を僅差でしのいでトップ。その効果が垣間見えるか? 一方、数学と英語で偏差値70前後をキープする佑輔、国語では悲惨な結果。「オマエの国語、ひでえよな」 「ハハ、でも東京工業大学の数学はさすがに難しいですね」 「え! どこで見たんや?」 「1階の教室で・・・」 「そういうとこって、オマエ達者やな」  

 ウチのホームページのアクセス数もここ数日一挙に増えた。全国各地津々浦々で先輩の大学生・社会人など、いろんな連中が気にしている、胸を躍らせている、沸き立っている、沸騰している・・・こんな衆人環視のなかで勝負できるなんて、ウチの生徒は幸せ者やで!

 午前1時25分、自由参加の高1&高2、そして主役たる高3。さらにゲストの佐藤、佐藤フリークの急遽帰省の大学生たち、そして彼らを今まで教えてきた講師たちが見守るなか、センター速報が始まった。

 定番取り、河合塾の大久保彦左衛門?丹羽先生の聞きたくない今年度の概略の説明。隣のアシスタントのお嬢ちゃんは例年のごとく「受験生のみなさん、まだまだ逆転は可能です」と繰り返す。大きなお世話だ! そして北海道地区から始まり東北へと。長いCMの後、寺田の東京工業大学の関東地区へ。ざわめいていた塾内に静寂が走る。画像が千葉大から東京工業大学へと・・・しかし寺田の志望する5類の手前、4類までを映し出す。小さな溜め息、そして画面が変わる。「来た!」 誰かが叫ぶ。一番上に東京工業大学5類・・・240点中、196点。どよめき、すかさず大学生たちが寺田のもとに集まる。「ビハインドは!」 「19点です」と顔色も変えずに言う。「どないする?」 「受けますよ」 寺田、すげなく答える。速報はセンター利用の私大に移っている。古西と今井がテレビの前に席を移す。今年からセンター利用を始めた早稲田大学商学部が85%・・・俺は振り向いてアキちゃんの姿を探す。アキちゃん、じっとテレビの画像を注視している。注目の明治大学、最後まで出てこない。あげく中部地区へと移っていく。激高した古西と今井はさっそく河合塾のテレフォンサービスの番号を・・・。中部地区に移るや、さっそくアナウンサーのきつい一発。「名古屋大学はボーダーが下がったことから受験生の間では他の大学へ志望変更する動きが目立っています」 「ウワ!! 最悪や」と弘が頭を抱える。つまり名古屋大学から志望を変更するとなると手頃なところが名古屋工業大学、当然倍率が上がることになる。中部地区教員養成がスタート・・・三重大学教育学部。俺は田丸君の顔色を伺う。俺は舞の正確な点数を聞いていない、恐いからだ。視線が合う・・・思案気な顔つき。そして一言、「ボーダーには足りませんが、これなら受けれるかも・・・」 画面は工学系へと移る。名古屋大学、そしてその後に名古屋工業大学・・・予想通り弘の点数はボーダーを上回っている。喜色満面の弘、講師の面々が一斉に拍手をしながら取り囲む。教室の後ろで眺めている高1は何が起こったのか?当惑している。分からなくていい・・・この雰囲気を体感しておいてくれれば。そして後は・・・長い長いブランクの後にやって来る本日のメーンイベント、鹿児島大学獣医学科を待つだけとなった。

 混雑しているのだろう、やっとテレホンサービスと繋がったのか、古西が解き放たれたように叫ぶ。「明治、ボーダー80%!」 今井が横でつぶやく、「俺、早稲田の勉強しよおっと」

 山陰山陽地方の大学のボーダーが出ているが塾内は小休止の様相、そのなかで佐藤が山口大学に目を細めて見入っている。「先生!電話です。耕治先輩から!」と古西が小機を渡す。「先生、37点やな!」 「何が?」「え?佐藤のビハインド」 「なんでオマエ分かるねん」 「だって今センター速報の九州地区終わったよ」 「・・・そうか! 関西地区は番組開始時間がここより早いんや! 番組は1時スタートか?」 「そう」 「じゃあ25分のタイムラグ、こっちはまだ終わってへん、山陰山陽地区や」 「鹿児島大学獣医のボ−ダーは665点や」 「あのな、こっちまだやのに俺は佐藤によう言わんよ」チラリと佐藤を見る。「佐藤、関西ではセンター速報終わったぞ! 耕治から未来を聞くか?」 躊躇する佐藤に代わって田丸君、「先生、こちらで見ましょう」 

 耕治以外からもひっきりなしに電話が入る。ホームページに「テンパッてる佐藤への愛のテレホンコールは3時30分まで受け付けています」と書いた効果が出た?

 そして午前3時2分、九州地区に突入・・・鹿児島大学獣医学科、ボーダー665点。うねりにも似た戸惑い・溜め息・落胆が塾内に広がっていく。講師と佐藤フリークがドッと佐藤のところに集まってくる。日比が叫ぶ、「佐藤、何点のビハインドや!」 「37点」 全員が沈黙・・・一人日比が叫ぶ。「勝負や、勝負! 37点やったら楽勝やろ」 俺は佐藤に尋ねる、「耕治は何て言うてた?」 「勝負しろって」 田丸・高橋・黒田がいろんな状況を想定してビハインド37をひっくり返すシチュエーションを考える。「数学の大問を人より半分解けばイーブン勝負やな」 佐藤、しかし数学が苦手ゆえに今一歩決断が鈍っている。黒田が言う、「だって他に変更するって獣医あるの?」 「ないです」 「じゃあ佐藤、獣医になりたいっていうオマエの夢はどうなるの」 佐藤、沈黙・・・。

 深夜3時30分、大学生達が分担して高校生を送ることに。花衣とあすか(津西国際1年)と佳子(津西1年)、それと大阪から帰省、すかさずトンボ帰りの宮口と日比を、最近新車を買ってすかさずぶつけた杉本理恵が送ることに。「宮口、大変だな。始発までなら2時間ほど寝れるか」 「何を言ってるんすか! 明日は英語、徹夜で勝負しますよ」 「ハハハ、頑張れよ。じゃあ、また大阪で会おう」 そして明和町の佐藤は黒田君が。ガソリンがやばいと叫んでいる高橋君が南郊地区の卓と允(ともに高田U類T年)を。橋本など西郊地区を田丸君が。そして俺は嬉野の仁志(津西2年)・村瀬(津高2年)・直嗣(中3)から白山のアキちゃんとこまでのドライブ。今日はセンター速報ということで夕方から祭りのノリで飲んでいた、道を真っ直ぐに走れない。酔いをまぎらわすためにアキちゃんと早稲田のネタでしのぐ。「センターで早稲田を狙う手もあるよな」 「そうですね、85%でしたから」 「85%・・・合計425点か。英語190点、日本史90点・・・」 「国語が145点ですね」 「国語といや、今日の現代文何点やった?」 「ハハハ、すいません・・・53点でした」 「そりゃアカン、勝負にならんわ」

 同時刻、おせっかいの杉本理恵、あすかちゃんと試験を5時間前に控えた宮口兄貴と日比を車に乗せ、一路大阪を目指して西名阪を駆け抜けていた。

 高1にとっては初めてでもあり、何が何だか分からないうちに過ぎていったセンター速報だったと思う。しかし塾内の異常な熱気、日本中からひっきりなしにかかる電話・・・この空気さえ覚えておいてくれたらと願う。思えば古西は中3の時、教室の片隅でセンター速報と初の遭遇・・・塾内を支配する喧噪・静寂、その繰り返しの波のうねりを中3の時から自分の本番となる今年までの4年間、ずっと眺めてきた。受験とは何か・・・それを古西は皮膚感覚で感じていたはずなのだ。

 いつしか合格発表会場やセンター試験会場に密航する生徒は減ってしまった。無断で学校を休むことは当然アカンやろ、でもな「勉強しろ!」というお題目よりも受験生に見せてやりたい光景が厳然としてあるんや。社会福祉に憧れだけを抱き進学する生徒の何%が実務につくんや? 現実を知らずして社会福祉なんかの聖職に入ってくるなよ。受験の修羅場を見せずにお題目ばかり唱えるなよ、エセ教師達! しかしこのセンター速報だけは深夜であるがゆえに世間の常識とやらから遮断された空間。ウチの高校生には今日、この日の臨場感を忘れないでほしいと切に願う。そして同時に、明日遅刻しないことも切に願う次第・・・臆病なんだ、俺は。

 杉本理恵が運転する運命共同体は午前6時に大阪に入り東大阪に宮口を降ろし、それから吹田へ。日比を関大前で降ろして再び三重にトンボ帰り。「どこから高速に乗ったらいいの!」と絶叫しながら大阪の町並みを駆け抜ける。午前10時、津西に到着。あすかちゃん1限目は当然遅刻、2限目からの出席となった次第。

 佐藤は一月後の2月25日、錦江湾から桜島を睨みながら再び鹿児島大学の正門をくぐることになった。奇しくも、その日に今年度のウチの広告が街を賑わすことになる。

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