英会話、あるいは外国語を身につけるために「どのような方法がいいか？」ということは、学ぶ人にとっても、それをお手伝いする私たちにとっても実に悩ましいことです。
●魔法のように外国語ができるようになる？●
巷には「魔法のように。」「数週間・数ヶ月でペラペラに。」「赤ちゃんが言葉を覚えるように。」など、体験談に基づいて「即効性や明らかな効果」を謳った、伝説や噂あるいは教材が数多くあります。
一方、「人が言葉を学ぶ仕組みを解き明かそう」、「良い方法を見つけよう」と、単なる体験談的な内容ではなく、多くの人の経験を調べたり、科学的な見方も加えて、情熱的に研究に取り組んでいる人たちがいます。
英会話に取り組もうとする人たちをお手伝いする私たちの本心告白すると「魔法のように英語で話すことが身につけることができればどんなにか素晴らしいだろう」と思います。
また、わずか数ヶ月や数週間で日本語を話すように、英語が話せるようになるサービスが皆さんに提供できるのなら。
そして「英会話は簡単にできるようになります！」といいたいのですが、現実には「魔法のように数ヶ月で英語がペラペラに！！」というような方法は夢のようなお話です。
●科学的に取り組む研究者も、実は無駄なく外国語を身につけたいと考えている●
「魔法のような方法」と「よく調べ、考えて」の研究成果。両者の関係は、例えるならば「夢のような方法」は地震・災害の「予言」のようであるのに対し、科学的な研究は「地震情報・気象情報」のようなものです。
しかし、多くの人たちはその「夢のような方法」は多分「予言」のような不確かなものだとは思いつつも、「もしや」と「夢のような方法」を信じてみたいと思っているのでしょう。つまり多くの人々は「自分の母語以外の言葉を身につけてみたい。けれどもできるだけ簡単に」そういう思いを持っているのだと思います。
科学的に取り組む研究者の人たちも、実はその思いは同じです。「できるだけ無駄なく外国の言葉を身につけたい」そのためによい方法を見つけたい」そう考えています。
●最新の電子技術を使うと驚くようなことがわかってきた●
その弟一歩として「、人が言葉を身につける仕組み」の解明が昔に比べずいぶんと進み、確かなものとなりました。
例えば
・「映像技術」を使い、赤ちゃんの「瞬間的（コンマ何秒）な驚き」を捉えて、彼らが自分の使う言葉（母語）の音の分析を生後１０ヶ月ごろにはすべて終えていることを探りあてたり。
・「コンピューター」による分析から、
辞書に収録されている基本単語の数は約５４０００語で
大学生の理解できる語彙数は約１７０００語。
しかし人が実際に発話に使う語彙数は限られていて、会話の８３%をたった約５００単語程度でまかなっている
ことを突き止めたり。
・「脳の働きを体外から観察できる技術」により、英語を外国語として学んでいる人が、英語を使っているとき、初級者と上級者では、脳の異なる部位が働いていることが確かめられたり。また面白いことに、かなりの上級者であっても、背景知識のない事柄を話す場合には初心者と同じ脳の部位しか働かなくなることが解かったり。
しています。
●無駄なく学べる●
これらの研究成果は「一夜にして外国語がペラペラになる」夢のような方法の発見はしていませんが、
先人の体験だけを頼りにしていた「学ぶため」・「教えるため」の方法が、実はとても遠回りだった、などということに気づかせてくれることがあります。
これらの研究成果は、私たちがその時々でどの方法を選ぶかの拠り所になります。「一気にジャンプする方法」はないけれど、その段階で一番効果のある方法を選べるようになります。つまり無駄なく外国語を身につける事はできるのです。
このコーナーでは「よく調べ、考えて」外国語学習の謎を解き明かそうとする多様な取り組みと、研究者をご紹介します。
リンク先の内容を見られると「硬い」と感じられる内容もあることと思いますが、みなさんが行き詰まりを感じるときには強力な「栄養補給剤」に、あるいは眠れない夜には強力な「睡眠薬」？（笑）となるかもしれません。
このような「研究」はさておき、みなさんが英会話に取り組まれる場面では「気軽に」「気楽に」「楽しく」取り組むことが一番大切です。
大津 由紀雄 （慶應義塾大学）
津田 幸男 （筑波大学）
山田 雄一郎 （広島修道大学）
江利川 春雄 （和歌山大学）
三浦 孝 （静岡大学）
古石 篤子 （慶應義塾大学）
斉藤 兆史 （東京大学）
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