良い石材店の見分け方

石材店の種類について

石材店とひとくちに言っても、いくつかの種類がありますのでここで説明しておきます。

昔ながらの石屋さん

 まず、展示場がなくて工場だけのお店、これが「昔ながら」の石屋さんです。昔あったドラマ「寺内勘太郎一家」を思い浮かべて下さい。比較的小規模なお店が多く、職人さんであるご主人と奥さんや息子さんでやっています。
 このタイプのお店を選ぶメリットは、製品は手作りで心のこもった製品を作ってくれる点。地元の墓地の知識に長けている点です。手作りですから細かい希望にも応じてくれますし、なによりアットホームな雰囲気です。
 デメリットとしては、悪い意味で「職人気質」で「素人が口を挟むな」といった考えのご主人が多い点や工場の機械の性能が低く堅い石材を使用出来ないことが多い点、そして取扱い石材の種類が少ない点が挙げられます。また、材料を効率的に使う目的で傷や模様のある材料も使わざるを得ないという事情や、石碑製作の技術には長けていても据え付け技術に難があることが多いなども、このタイプの石材店を積極的にお勧めできない理由です。ただ最近では外観はこのタイプでも、実際は商品を完成品で仕入れているお店が多くなっています。

安売り量販店

「9寸角一基20万円!」などと安さを全面に押し出しているお店です。このタイプのメリットは「安い」ということ。一般のお店の半額以下ということも珍しくありません。ただお墓は電化製品やクルマなどと違って規格商品ではないので「全く同じ商品」というものがなく、単純に価格だけで比べられるものではありません。安いにはそれなりの理由があるわけです。その理由については後で「石の種類と選び方」で述べますので参考にして下さい。また、このタイプのお店は大量販売が前提ですから多くの支店を持っています。支店は工事担当のスタッフが常駐していないことが多く、文字の追加彫りや修理などに対応しきれないことが多いです。また、なかには地元の慣習や墓地の知識に乏しい場合がありますのでこういったタイプのお店を選ぶ時は地元に本店があるお店を選ぶことが大切です。

地元密着型石材店

小規模で商圏のあまり広くないお店です。昔ながらの石屋さんとの違いは展示場を持っている点、そして製品を専属工場で一貫して作っている点です。最近ではこのタイプのお店が主流になってきました。
このタイプは工場を持っていないか、もしくは持っていても小規模なものだけで製品は自社規格を満たしたものを仕入れて、据え付けを自社スタッフが行います。
 メリットは、取扱い石材の種類が多くどんな形式にも対応できること、昔ながらの石屋さんと同様に地元の墓地の知識に長けていること、お客様の細かい希望に応じられること、販売スタッフが職人ではないので「素人」であるお客様の立場をよく理解できることなどでしょう。専属工場は大規模で最新の設備を備えていて、堅い石材にも対応していますし、製品の質は昔ながらの職人の作るものに優るとも劣らぬものです。また、万が一の不良品も仕入れの際にチェックできるのでお客様に届くまでに解決することができます。
 デメリットは納期の遅さや職人でないスタッフの知識不足などですが、近年の流通、通信手段の発達でこれらの問題も解決されています。また、同タイプの他店との製品の差が出しにくいので、据え付け工事やアフターサービスを充実する傾向にあるのもこのタイプを選ぶメリットといえるでしょう。

良い石材店の条件

1.地元のお店であること
なにより地元の墓地の地質や気候、慣習やしきたりなどをよく知っている店であることが大切です。そのためには支店ではなく、本店での商談をお勧めします。

2.多くの実績がある店であること
建立予定の墓地にほとんど入っていない石材店は、避けたほうが無難です。きっと何らかの原因があるはずですから。お寺のご住職や友人、知人の意見を聞いて評判の良い石材店を選びましょう。

3.価格や石材の種類、産地などを明示していること
もちろん定価からの割り引きについては交渉しだいですが、残念ながら、いまだにお客様によって定価を変えるお店があるのも事実です。また、お客様が分らないのをいいことに契約したものと異なる商品を設置する、銘石とよく似た石に紛らわしい名前をつけて売りさばくといったことも行われていると聞きます。価格、石材名、産地の3点は明示されているお店を選びましょう。

4.契約書、保証書をきちんと発行する店であること
お墓はとても高額で、かけがえのないお買い物です。「こんなはずじゃなかった。」「約束と違う。」といったトラブルを避けるためにも、口約束はさけ契約書にすべての内容を記入してもらいましょう。ましてや契約書がなかったりや契約書の発行を渋る石材店は避けたほうが無難です。契約書はサインする前にしっかり読み返して、疑問や質問があれば遠慮なく尋ねましょう。文字彫刻後の契約内容の変更は無理なことが多いのでこの段階での再確認はとても重要です。
また、完成後引き渡しの際には契約書の内容がきちんと守られているかをチェックして、保証書を受け取りましょう。石碑の保証期間は1年〜3年が一般的ですが、私の経験では、品質不良や手抜き工事が表面化するのは5年目以降が多いので、できれば永代保証を謳う石材店をお勧めします。永代保証とはその石材店が続く限り、文字どおりいつまでも保証するという意味ですが、いくつかの条件があることも多いので、保証書も契約書同様、内容をよく確かめて下さい。

5.どんな質問や希望にも正確かつ分かり易くこたえられること
お墓はただの実用品ではありません。「こころ」をかたちにする商品なのです。だからこそ、石材店にはお客様の立場に立った姿勢が求められます。故人に対する尊敬の念、こころのよりどころとしてのお墓に対するお客様の思い入れを理解できることが大切なのです。そのためにはお墓に関する知識はもちろん、お客様の言葉に耳を傾ける心構えが必要です。質問や希望をこころよく聞いてくれる石材店を選びましょう。

6.価格が適正であること
お墓に限らず「高すぎず安すぎず」が基本です。「高すぎる」と感じた場合は、どうして高いのか尋ねてみて下さい。もし納得できる返答があれば、その商品は決して高すぎるわけではありません。また「安すぎる」と感じた場合はその商品は避けたほうが無難です。安いにはそれなりの理由があるからです。
専門家から見ると10万円でも割高な商品もありますし1000万円でも割安な商品もあります。肝心なのは商品の価値に対して価格設定が高いか安いかであって、単純に10万円が安くて1000万円が高いというわけではありませんので注意して下さい。

7.自社スタッフが据え付け工事を行うこと
中〜大規模な石材店や共同組合の石材販売部門では、工事担当者を自社内に置かずに全てを外注やアルバイトなどでこなしているところが多くあります。このような場合一般に、据え付け時間短縮のために基礎工事を省いたり手抜き工事をしたりといいかげんな据え付けがなされます。また、それが原因で傾きなどの不具合が生じても責任の所在が明らかではなく、工事スタッフがいないために修理さえ断わられたり、断わらないまでも何年たっても直しに来ないといった苦情を耳にします。据え付け工事は自社スタッフが行うかどうか、そして責任者が工事中に顔を見せるかどうかということも良い石材店選びの重要なポイントです。

 

 つぎのページは「石屋さんに行く前に」です。

 

 

 

 


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