剣道部へ入部は その後の私の人生観を がらっと変えた。大げさでもなんでもない。 こんな世界があるのかと ビックリすることばかりだった。 剣道をしていればそれでいいとか そんな問題ではなかった。上下関係 友人関係 これまで ”みんな仲良く”で 通してきた人間関係はそこには無かった。もちろん 剣道の技術そのものも 全く問題にならなかった。常に 食うか食われるかの世界 でも勝負への道は きっとこんなものなんだろう。これまで いかに自分が 甘い世界で のほほんと すごしてきたか どんなに自分が 甘く、適当に、暮らしてきたかを思い知らされた。自分が なんとかしなくては やっていけない。誰も自分を 助けてはくれない。自分のしたことは 確実に自分に返ってくる。
自分が頑張るしかないんだ。多くのことを 学んだ。高校時代 受験への道がお膳立てされていて、目の前に与えられた課題をこなしてさえいけば とりあえず受験できる。テクニックさえ身につければ後はなんとかなる。でも ここでは そんなごまかしは通用しなかった。
一言で言い表せるはずもないが つらかった。初めて 剣道がつらかった。好きな気持ちに変わりはなかった。でも とにかくつらかった。あのときの自分を思い出すだけで あれに比べたら・・・となんでも 耐えられる気がする。それくらいつらかった。
そんなつらい時代だったけど、二つだけ 今でも 私の支えになってくれていることがある。
それは、少しでも みんなに近づきたくて 私は寮の点呼が終わってから 道場へ出かけ 打ち込み台を一人で打つ日々が続いた。自分なりに 素振りをしたり 打ち込みをしたり 1講目の講義が始まるまで続けた。そんなある日 打ち込み台の近くに 一枚の レポート用紙が置いてあった。何気なく それを見るとそこには私に対する アドバイスが 事細かに書かれてあった。ビックリした。見てた人がいたんだ。
今でもそれは 誰が書いてくれたのか わからずにいる。でも 大事な試合の前には 垂ネームの中に忍ばせて持っていくことにしている。家で打ち込み台を打っているとその時の 必死な気持ちが思い出される。
そしてもう一つ これは 絶対に 忘れられない 大学4年の時の 全日本女子学生剣道優勝大会で全国優勝を果たしたこと!!! もちろん 私は選手ではなかったが繰上げで主務という大役を任せてもらった。でも要領の悪い私は 選手のみんなに 迷惑をかけてばかりだった。一生懸命しようと思えば思うほど空回りし 同じ学年の子にさえ きつい言葉を もらったりもした。でも前日に 選手の一人から「suzuちゃん いつもきついこと言ってゴメンな。明日は頑張るから」と声をかけてもらった。
そして 次の日 決勝で 大将が勝てば勝ち、負ければ負け。引き分けなら代表戦というところになった。そこで、大将が1本先取!私の方を 振り向いた。私は思わず「1本取った!大事にいこう!!」と叫んでしまった。大将は しっかりうなずきそのまま 時間切れに 私達は 日本一になった。最後に 試合会場で みんなで学歌と部歌を 歌った。その時 大将の子がいってくれた。「suzuちゃんこれまで ありがとう!今日のsuzuちゃんの 涙は忘れへん!suzuちゃんの日本一やで!!」といってくれた。私の 目が涙で めちゃくちゃになったのは いうまでもない。
よかった!!本当によかった!! 剣道はこんなに素晴らしいものを私に与えてくれた!!
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