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ひとりごと 2 2000ねん6がつ
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私が登山にはまっていった理由
〜実現されなかった熊野古道〜
〜初登山!こんな無知でいいの?〜
ウォーキングで一緒に歩いてくれる友達がいる。
近所の公園を歩いていても楽しいけれど、
「どこか、違うところを歩かない?」
どちらともなくそんな話が持ち上がり、少し遠出をして、電車で3つ目
の駅にある「四季さと」という野鳥公園に出かけてみた。
それはすばらしい自然が目と体で体験できた。
今まで、自然はすてきだと思ってはいたが、こんなに近くにも楽しめ
るところがある。
道ばたに咲いている名も知らない小さな花も、桜並木のトンネルも、
すべてが新鮮で、美しく感じられ、こんなにも、歩くことが楽しくなる自分は
、今まで出会ったことがなかったのだ。
そんなやりとりをしながら話をしていると、友達も同じ事を考えていたのだ。
もっと、楽しいことないかと探していたところへ、
熊野古道を歩くという三重交通の2000年企画のバス旅行に
参加することにした。
1ヶ月半ほど前に予約を入れて、当日は何を着ていったらよいかまた、
持ち物は何が必要かとあれこれと自分たちで探しながら、
前日には準備だけでへとへとになった。
駅のロータリーで、参加する人たちがぞろぞろと集まりだして、
ハイキングに行く格好をしている人たちに紛れ込んで、
どんなバスが向かえに来るのかと、待っている間、話に花が咲いた。
あいにく、天気予報は悪くなると聞いて、家を出てきたのだが、
前夜に中止の連絡もないし、まだ曇り空で、これなら行けそうだろうと
バスに乗り込んだ。
バスに乗っている間中、ずっと話をしてはおやつを食べ、
まるで小学生が遠足に出かけるようにはしゃいで、楽しかった。
熊野に近づくにつれ、雲行きがおかしくなってきた。
全国的にも年間雨量の多い熊野である。
やっぱり、天気予報通り小雨が降り出した。
「熊野古道」の登山口付近のドライブインで小雨決行の判断が下され、
みんな思い思いのレインウエアーに着替えて、登山口まで歩き始めた。
1キロぐらい歩いたところで、先頭の集団が折り返してきた。
「中止になったらしい、バスを降りたところまでもどってください。」
と言われ、
ここまで来て、中止?
雨に濡れる覚悟も出来ているのに、このまま帰るなんて。
ほとんどの参加者が、納得のいかないまま、
今おりたドライブインで、ツアーを企画をした三重交通の係の人から
説明を受けた。
この雨で、石畳が苔(こけ)で濡れていて危険との判断でした。
参加者が、係の人に詰め寄る場面もあり、
納得できないのか、ビールを飲んで、
怒りは頂点に達しているようだった。
中途半端なまま、このエネルギーはどうしたおさまるのか。
友達と2人で、そんなことを話しながら、
なんか、スッキリしないまま、帰り道のバスにゆられた。
それから2、3日は「どこかへ行きたい。」
そんなことばっかり考えていた。
ちょうどその頃、アウトドア雑誌のトレッキングツアーの募集を見つけ、
「これだっ!」
と思い、すぐに3名のワクを予約した。さあ、それからが大変だ。
この企画はたんなる歩くだけではすまされない、
1000mちょっとある「藤原岳」トレッキングツアー」だった。
登山となると簡単に友達を誘っても一つ返事で「うん、行こう」
とはいかないし、それなりの準備も装備も必要となってくる。
まずは、登山の出来る人を捜すことから始めた。
幸いにも登山当日までは2ヶ月の猶予があり、
山の好きな人に声をかけまくった。
一緒に行ってくれる人を捜すのに、とりあえず、片っ端から声をかけて、
断られることを予想して3名のワクにしたのた。
また、3人予約していたら、ひとり急に参加出来なくなった時でも
残りの2人で参加が可能になる。
最悪、誰もいなかったら、主人を連れて行くことに決めていた。
何としてでも、この登山に参加したいのだ。
昔っから、思い立ったらまっしぐらというところがあって、
家族もあきれるほど熱心に、本を読みあさっては
必要な装備と、「藤原岳」登山の計画をした。
何かを探しているときほど幸せなことはない。
趣味もいろいろと首を突っ込んできたが、
こんなに自分が一生懸命になることはバイク以来である。
だれもがそうであろう、趣味を突き詰めているときが一番楽しいのだ。
登山というと、何を持っていくのか、どのような服装がよいのか、
何も分からないまま、登山雑誌を読みあさって、
自分なりの構想が固まってきた。
都会では、アウトドアの店がたくさんあるのに対して、
田舎ではどこで集めたらよいのかまるで分からず、
インターネットのホームページで探し、メールでいろんな人に聞きまくった。
山のことをひもといているうちにすっかり山が好きになり、
いったいどんな楽しいことが待ち受けているのかと、
「藤原岳」に行く日を待ちに待った。
ところが、藤原岳へ行くよりも先に、登山デビューとなった。
初めての登山は、ファミリー登山だった。
ひとりではどこへも行けない私を、見るに見かねて夫が、
近くの山へ同行してくれた。
後で知ったのだが「三重県の山」と言う本に載っているくらい、
地元ではちょっと有名な山で、それは「矢頭山」だった。
結婚して以来、インドア派で、まちがっても登山をするという一家ではなかった。
小5の娘に、登山に誘ったら、
「山なんか行きたくない」
と拒否をされてしまい、私は、マンガ本2冊で買収し、
なかば強引に、「登山」を決行した。
以前からキャンプに行くために、ガスコンロとかコッヘルとかを持っていたので、
それらをザックに詰め込んで、出かけたのだ。
途中何度か休憩を入れ、登った。
頂上を目指しているにもかかわらず、頂上はもう通り過ぎたのだと思い、
この辺で昼食にしようと変なところで食事をしていた。
後で知ったのだが、「矢頭山」は、頂上の少し前は、上り下りが交互にあるらしい。
そんなこととも知らず、てっきり登山というのは、ずっと登っていって、
頂上があるんだと思っていた。(ホント初心者)
私は、少し下りがあったので、下山していると勘違いしていたのだ。
のんきに、登山道のど真ん中で、昼食のラーメンを作って食べている時に、
中年夫婦が「頂上はまだですか?」
と私達に声をかけ、登ってきたのである。(えらいこっちゃ)
「私たちも初めてで、これって、もう頂上を行き過ぎているのだと思い、お昼にしてい
たんです。」
と間抜けな返事をした家族です。
頂上なら、なんらかの印があるのに、そんなことも知らず、登山道のど真ん中で、
迷惑顧みず(こんな田舎の山は誰も登ってこないと思い)店開きしていたのだ。
昼食をすませ、もう下山しているのだと思っていたら、そこから少し行った先に頂上
があったのだ。
ちゃんと三角点もあり、祠(ほこら)まであり、そこには、さっき追い抜いていった
中年夫婦が靴を脱ぎ、お弁当を食べて休んでいた。
写真を撮ってらい、おまけに子供に双眼鏡も貸してもらった。
360度のパノラマで見る初めての山頂からの景色。
あんなに嫌がっていた子供も嬉しそうで、来て良かった。と、3人で記念撮影をした。
途中、山桜の臼桃色が間近でみられ、紫ツツジが濃い色に咲き始め、
初めての登山は、すっかり良い印象になった。
これで、「藤原岳」の登山も心配することなく参加が出来るとの夫の配慮だと
勝手に思っている。
下山して家に戻り、そのあとすぐに『本屋』に行かされたのは言うまでもない。
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