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音楽人さん宅訪問


レポーター:田舎のGRF(2004.12.5更新)

2004年11月6日、再び静岡県富士市の音楽人さん宅を訪問しました。

東京に出かけた帰りにお伺いしましたが、新富士の駅に迎えに来て頂いた音楽人さんは、 相変わらずのにこやかな笑顔で安心しました。
その時の写真です。

最初がメインのルームの写真です。
センターがモニターシルバーGRFオリジナル、両サイドがモニターレッドGRFオリジナルです。
中央シルバーはモノラル専用です。
GRFらしく、曖昧な部分が微塵も感じられない繊細さと豪快さを兼ね備え、 音楽がストレートに心に突き刺さってくる感じがします。
一般に言う豊かなふんわり感ではなく、良く制御され、オーディオ的にではなく、 音楽最優先の再生音です。
知らず知らずのうちに、オーディオ的解析を忘れ、音楽を聴くことにのめり込んでしまう魅力があります。
高域はきつく伸びません。
中低域は正にタンノイサウンドです。
奥行き広がり、重量感そして軽快さ豊かさ、そしてその説得力は抜群です。
きつい高域をタンノイ独特の豊かな音楽性に変えて、魅力的な音色を実現しています。
これぞ、タンノイの原点と思える納得の音です。
弦の響きやソプラノの美しさは麻薬的魅力があります。
とても、音離れが良く、音楽が自然に定位しています。
常にスピーカーの存在が感じられません。

三本のスピーカーがチーク材で作られた頑丈なステージに乗っています。
ステージは下から背面、側面まで一体になっています。
このステージが部屋の音の重要なポイントになっています。
写真、右端に見えるのが、ステージの端で、これだけの厚さがあります。

奥の部屋のモニターレッド15インチ、コーナーヨークです。
部屋の内装は総チークです。
豊かではありませんが、しっかりとして、心地よく心にしみ入るような音楽が鳴っています。
同様に高域はきついのですが、同じくそれが魅力になっています。
ご本人はこちらのシステムで聴くことが多いとおっしゃっていました。
こちらも、自然な鳴り方でスピーカーの存在を意識しませんでした。

次は機器全景です。
アンプは、マランツMODEL7&MODEL9オリジナルの組み合わせです。
PAWERはMODEL5もお使いでした。
それぞれ、各製造年代によって、オリジナルな最高の条件を整えて整備してあります。
鳴らすスピーカーによって、使う機器の製造年代が決まるようです。
このアンプ達とスピーカーの組み合わせは、何よりオリジナルに拘る事で、 良い音楽を得ようとする音楽人さんの再生哲学の成し得る技です。
実際、その再生音は、一聴すると、古臭い再生音に他ならないのですが、 それは一瞬ですぐに音楽に引き込まれてしまう魅力に溢れています。
高域云々、低域云々、解像度など、そんな能書きを超越した世界があります。
かと言って、すべていい加減かと言えば、これもどこを取っても、文句の付けようのない高性能な音です。
前述どおり、ゴールド以前のタンノイには高域が、きついとゆう宿命的な欠陥があります。
何故、きついのか、このスピーカー達を現代の機械と組み合わせて、 スッキリと音を出すのが何故いけないのか。
その答えが、今回の訪問で解けた気がしました。
この、音楽表現の強烈さがタンノイの魅力であり
このきつい高域なしでは実現されない世界であることを確信しました。

上下にテレフンケンM15オープンリールデッキ、放送局用の機械でしょうか。
如何にも無骨でプロユースな造りです。
このテープで再生する音楽の新鮮さは、他のメディアでは味わえない凄さです。
音楽人さん宅の再生音の基本になっているのではないかと思います。
音楽が直球勝負でガツンと来て、後は魔法にかかったように音楽の虜になってしまいます。

アナログプレーヤー、トーレンス124Mk1、カートリッジはすべてオルトフォンです。
この再生音を聴いて、アナログが古い、PLが古い、カートリッジが古い、そう言える人はいないでしょう。
よくメンテナンスされて、最高の音楽を奏でています。

今回の最大のお目当てだった、CDP、フィリップスLHH2000です。
フィリップスが最初に放送局用に開発したCDPです。
既に20年の時を経た名機です。
左は、スイングアームメカが0番、右が少し新しい1番が使われたMODELです。
0番のメカはほぼ手作りで、当時の最新の技術で部品を工作してありました。
軽く確実な動きに感心しました。
音は、予想を全く裏切る、表現しようがない音です。
一口に言えば、FMラジオから流れる、しっかりして音楽の聴き所がきちんと表現された、 不思議な魅力の再生音です。
電気音楽再生の初期から音楽事業、機器開発、販売にまで長く総合的に携わって来た オランダフィリップス社の真骨頂を思わずにいられない音です。
日本の電気メーカーが如何に優秀でも、成し得ない世界がありました。
左側0番メカ仕様は、音楽の中心をズバリ表現した揺るぎのない世界。
右側1番メカ仕様は、ワイドレンジに豊かに音楽全体を響かせて
しかも音楽の芯を確実に捕らえた表現力です。
いずれも古臭さ、ナローレンジ感などは微塵も感じられない良い音で
CD再生音楽の世界の広さに初めて接する喜びを禁じ得ない魅力です。
メンテナンスさえ、簡単に出来るのなら大枚をはたいても惜しい機械ではありません。

すべての機器が音楽表現を主とした考えでまとまっています。
今回は、音楽人さんの、とゆうよりはヴィンテージタンノイの正しい姿、 本来の音の魅力に十分接する事が出来た気がしました。
ひとつだけ謎なのは、何度も書いた高域の音詰まり感についてです。
詰まっているからきついのだと理解してはいるのですが、それにしては低域が 良く抜けてストレスがありませんし。
低域の音色、存在感が最新のやり方並に良かった事です。
普通、高域低域は相関関係にあり、高域が伸びれば低域も良くなると理解していました。
その逆も然りです。
高域のきつさに良質の中低域が影響しているのは間違いないと思いますが。
高域があれだけ伸びていないような感じがするのに、低域が上手く鳴っている、不思議な音です。
伸びてないのではなく、音質がもともと太めの高域なのかもしれません。
これからの自分の課題だと思いました。
そして、何より自分が生まれた頃に音楽再生を真剣にやっていた人達が
その頃既に現代私達が四苦八苦している音楽再生の条件をきちんとクリヤした上で、 更 に深い音楽を再生していたのだとゆう事を感じ、恥ずかしく想い
昔の技術者達に頭が下がる想いでした。

次は、翌日、日曜に連れて回って頂いた五軒のお宅のインプレをします。