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☆「バルーン挿入」・・・つまり、尿量を正確に把握するために、先端に風船のついた留置カテーテルを尿道から挿入して、膀胱内で生食(生理食塩水)を注入して風船を膨らますコトを云う。膀胱の中で風船が膨らんでいるから引っこ抜くコトが出来へん。これなら逃げ出すコトは出来へんやろ・・・あ、いや、患者さんの状態がしっかり把握出来るやろ。

☆救急外来診察の合間に時々病棟へ上がっていって、状態を聞く。「先生〜!あの患者さん、気持ち悪い。寝返りをうつんです。」とICU担当の看護婦さん。レベル300の状態なら勿論寝返りなんかうたへん。背中が痺れるとかいう感覚もないネンから。て云うか、ジョクソウ(床ずれ)予防に普通こっちが定期的に体位交換してあげるくらいや。

☆中には他のベッドの患者さんの血圧計っている時に目が合うた、という看護婦さんの報告も。みんな気持ち悪がっている。「エエんや。気にせんとしっかり1時間毎に痛覚刺激バイタルを頼むで。」二度とこんなマネせんように一晩中いじめ・・・コホン、いや、しっかり観察・治療してあげなアカン。

☆さて翌日、事務長が出勤してくる前にもう一度回診や。痛覚反応・・・やっぱりなし。痛覚反応と云うても別に針でチクチク刺すワケやない。看護婦の中には前胸部をつねるヒトもいてるけど、皮下出血する場合もあって、なんか後からみたら体罰を受けた小児みたいでカッコ悪い。ボールペン爪床部にあてがって強く押しつけるの。結構痛いよ〜。そのワリにアトが残らへんの。あ、これ折檻に利用せんといてな。

☆ケド患者さんはかなり我慢強い。ピクリとも反応を示さへん。生活のため彼も必死なんやなぁ。痛覚反応を見ながら話しかけて見た。

☆「○×さん、もう判ってるで。アンタ、一昨日は奈良の□△という病院に入院して、昨日の朝、医療費払わんとこっちへ来たやろ?私達もプロや。アンタが今意識があるかないか、ちゃぁんとわかってるネンで!」患者さんは観念したのか、一瞬ため息を吐いてそれからゆっくり目を開けた。

☆うまいコト行く時もあったんやろけど、ウチの病院ではそうはさせへんで。「あのな、CTちゅうたら一枚のレントゲン写真の何十枚分の放射線量や。それをこないして毎日浴びてたら、アンタの体どうなっても知らんで!」説明してるのに「頭が痛い」・・・と惚けたコトを。。。まだ云うてるか!

同情の余地なしや。あとは事務長に引き渡して、警察に引き取って貰おう。勿論、点滴とバルーンは抜いてあげたけど、朝飯は与えへんかった・・・いや、あの・・・覚醒したばかりは誤嚥の可能性があって危ないから・・・ネ。ま、一晩中点滴してたから大丈夫やろ。

☆今度こんなヤツが来よったら、次からはスペシャルバージョンや。バルーン挿入痛覚反応だけやなくて、「吸痰」のオマケ付きやで。

吸痰:ネラトンカテーテルを、鼻の穴や口から喉仏の奥まで突っ込んで、痰を吸引する処置。意識のない状態では、窒息誤嚥性肺炎を予防するために必要な処置や。これをされたら苦しいだけやなくって、意識失ったフリすることも不可能とちゃうか?意識あったら、咳き込んで寝てられへんから。これ1時間毎にやったるワ。

☆さあ、前編まで読んできて「これはエエ手ぇやな。俺もやったろ」と思っていたアナタ、スペシャルバージョンをしてあげるから、ウチの病院へおいで〜♪
◇病院の宿泊料は高くて痛いゾ!(退院編)◇

(長ぁ〜いコトお待たせしました。さて、いよいよ解決編!Dr. Eikaの”懲らしめ診療”の結末は如何に!?)