その2


三重県津市 奥野 秀和



17歳の犯罪について

ここのところ17歳の犯罪が目白押しである。
毎日のように,今までに無かった様な新しい事件が起きている。ここでいちいち挙げるまでもなく、ご承知の事と思う。

それはなぜか?前回それに関する理論を述べたが、今回は現実の犯罪との関連を分析して見たい。

さまよえる17歳

確かにこの年齢は不安定である。大人でもなく子供でもなく中人である。
現代は発育がよくなって、体は大人だが世の中の事はまだよくわからず、情報過多の変なところだけが部分的に頭に入って、アンバランスになっている。



こう言った犯罪の原因は大きく分けて二つある。それは・・・。

第一原因  躾されていない子供たち(大人、親も)

「その1」で述べたが、人間としてもっとも大切な事は、子供が生まれて物心がつく2・3歳から保育園・幼稚園、小学校4年生、およそ10歳までの間に、「物事」(ものごと・・・世の中のさまざまな事柄)の善悪・・・善い事、悪い事、してはいけない事、しなければならない事等を1つづつ具体的かつ明確に、繰り返し教え込まなければならない。その上でこれらを正確に判断する秤(はかり)を心の中に備えさせる事である。
これがなされていないと大きくなってから出会うあらゆる社会現象にまともに(正確に)対応する(立ち向かっていく)事が出来ないのである。

最近よく学級崩壊が問題になっている。
これは小学校低学年からすでに始まるが、幼児期の親の放任、保育園・幼稚園の自由教育が影響しているもので、それまでに、小学校に入ってからまじめに授業を受けるべく、きっちり教育されていないからである。

よく「タガ」箍(桶や樽の回りにはめる竹や金属で作った輪)をはめると言うが、小さい時からこう言ったルール、秩序による規正(悪いところを正しく直す事)や規制(規則によって、活動などを制限する事)は絶対に必要である。

 これらに対応するのは、子供が生まれて保育園に入るまでの両親、その後は保母さん、各先生がまじめに教え込まなければならない。
 これがなされていないと、人間の形をしながら、中身は単なる動物そのもののままで、本能に任せて行動し、他人の言う事を聞かず身勝手な人間が出来てくるのである。
衝動的に暴力を振るう「キレる」もこの例である。

 小学校も高学年になると自我も芽生え、だんだん他人の言う事を聞かなくなっていく。このようにして育ってきた子供を、中学生になってから直そうとしても無理なのである。中学生になってからでは、小さいときに教える場合の何倍、何十倍のエネルギーを要する。いわゆるハードな対応をしなければ直らないのだ!
いわゆる体罰、愛の鞭がこれに相当するものだが、これを実行した場合、すぐに親(父兄)やPTAが騒ぎ立てるので、教師は手が出せないのである。

 又、現在問題を起こしている17歳前後、その者の親自体が戦後の自由主義の元で、あまり躾その物を受けずに育っているのである。その為、子供達にどう対処して良いのかわからず迷ったままなのである。

自由と不自由。権利と義務

 戦後、自由主義が叫ばれて何でも自由・自由と勝手気ままが横行しているが、これはなんでも自由ではないのである。
 例えば自由(権利)が50あればそれに対応する不自由(義務)も50あるわけで、何か物を買った(得た)場合、その分代金を払わなばならず、これは表裏一体のものである。
 だからこの世に生を受けて生きて行く以上、世の中のルール、決まり(規則)を守って行くのは当然の義務である。

第二の原因 (悪の教科書、教材の氾濫)

 そのうえ、悪の教科書、教材は巷(ちまた・・・世間)に満ち溢れている。
いわゆるマスコミ・マスメディア等と言われる新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、映画等の媒体を通じて行われる大衆への大量的な情報伝達、大衆伝達であるが、今の若者(子供)達はこの膨大な情報にどっぷりつかっているのである。これらがまた「売らんかな。」の目的の為にセックスや殺人等の興味本意の記事が満載されている。
 具体的に少し述べて見よう。

テレビ・・・一般的なニュース教養番組の他に眼を引くのはドラマ等、不倫やレイプ、○○殺人事件、事件場面の集録物等・・・こらは視聴率稼ぎの為かもしれないが、・・・。
 新聞のテレビ番組欄を見ていただきたい。
○○殺人事件等という題名のついたドラマが毎日複数流れているのである。

テレビゲーム、インベーダーゲームを始めとする各種のゲームは敵をやっつける物である。小さい頃からゲームとしてどっぷりと浸かってている。子供たちは殺人を何とも思わなくなっているのである。しかし、他人の命も,自分の命も大切にする事を教えねばならない。

インターネットによる情報も重大である。これを検索すれば良い事も悪い事もあらゆる知識が得られるのである。

雑誌、週刊誌、写真週刊誌等に掲載されている漫画、劇画等は殺人場面、セックス場面が満載されている。

 この様な物を毎日、毎日眺めていたら、殺人を犯した17歳が言ったように「殺す体験をしてみたかった。」等と言う事になるのである。まるで殺した人が生き返ってくるような感じで、ゲーム感覚である。

 こう言った場面は学校の教科よりも興味を引くものであり、それぞれが自習、独習して脳細胞にインプットしたものである。彼らの頭の中に無い物は絶対に出てこないのである。

まなぶ(学ぶ)は=まねぶ(真似る)に通じる
 これまでに挙げたのは極一部である。これらの悪の教科書を子供たちは学校での勉強と別に毎日学んでいるのである。見て聞いて読んで頭の中に入れるのも勉強である。
 まなぶ(学ぶ)と言う事は、まねぶ(真似る)に通じる。これはどちらが先とは言い難い同義語である。
 よく新手(あらて)の犯罪がおきると必ず類似の事件が続発するのがこれである。
 各種の芸術作品など、例えば絵画の場合、先人の画を模写するのが勉強の第一歩である。それを模写して模写し尽くして、そのままではだめで、その上、自分の個性(クセ)を出してきて完成するのである。
 今までの事件を学んで真似るのか?真似て学ぶのか?同じ事である。

寝とる子起こす!

 このような諺があるが、人間にはそれぞれの年齢に応じたレベルの教育をする必要があり、これまで言ったような悪い事ばかりを責任能力の無い小さい子供の内に教えたり、自分で覚えたりすると犯罪に結びつくのである。



その対策

 では、どう対処するのか?

第一原因については、今すぐに行動を起こしても結果が即(すぐ)出るものではないが、今からでも行動しないといつまでも社会はよくならないのである。これは全国民規模で各自が肝に銘じて執り行わないといけない。
 それが革命である。

第二原因については、とにもかくにも今すぐに行わなければならない事である。先ほどあげた現代のマスコミ、マスメディア総てが猛反省して自粛すべきである。この自粛が出来ない部分は規制あるのみである。これは厳正に行われねばならない。これには取締りが必要である。



警察力の不足・怠慢


 これらの悪を取り締まる役目の警察の力が近頃落ちている。長年平和が続いて?平和ボケでこうなったのか?
 警察の内部犯罪が多くなっている。一般の犯罪を取り締まらねばならない警察官の犯罪は一般の犯罪の倍以上の罪である。・・・・にもかかわらず、内部で隠してうやむやに済ましている。これは全く言語道断である。
 ヘアヌードはいつ解禁になったのだ!
 しかも子供が簡単に手の届くところにいくらでもある。先ほど言った「寝とる子起こす」ということである。これはとにかく、即、取り締まらなければならない。

 社会が悪い、大人が悪い。と言っていても、言うだけでは少しもよくならないのだ。
 第二原因の対策はすぐにでも実行できるので、取りかかってもらいたい!


終わりに


 この原稿を書いている時、岡山のバット殺人事件の犯人17歳の判決が報道された。
少年院に送って2・3年更生の教育をすると言う。他の同類犯罪もこのような判決になるらしい。

ああ・・・この教えを事件を起こす前にしておけば人も殺されず、本人も無駄を踏まずにすんだのに。と感無量であった。
 犯罪を犯した当の17歳少年も事件後冷静になったら猛反省しているだろうが遅すぎたのである。

結論を言えば
 小さい時にきっちりみっちり躾して、大きくなって(成長して)からは本人に任せて自由にさせるのが秘訣である。



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 その2   完