れいめい塾
森下直紀

暑苦しい７期生と狂信的な９期生に挟まれた可哀相な８期生やったね。
高校受験生らしくない受験生、それが最初のイメージ。好奇心は旺盛すぎるほど、しかしそれが受験というレール、ことに高校受験や大学受験という短期決戦には整合性を持たない。
ひたむきさがなかったと言えば嘘になる、しかしどこかで勝負であるはずの自分の受験を傍観していた・・・といったら怒られるかな。
高田高校�U類卒業後に渡米。シアトル周辺で暮らしながら、ワシントン州立大学に通う。
２年後の夏休みに帰国。挨拶ていどに訪れた久しぶりの塾だったはずが、なぜか中１に英作文を教えてひと夏を過ごす。
ちなみにこの時の中１が15期生、今の大学２年（順当ならばだ）の面々。大森の弟（皇學館大学教育学部２年）やら菊山（早稲田大学理工学部２年）や直嗣（鈴鹿医療２年）がおったね。
その夏から森下は帰省するといつも英会話や英作文を担当してくれた。

2001年の夏、森下はウチの塾で立命館大学院在学中の大西君と出会う。
デザイナー・全国最年少の根付技師という特異なプロフィールに加え、学会における論戦では誰にも負けず将来の日本美学会を背負う逸材・・・そんな颯爽とした大西君と過ごしたとある鳥羽のホテルでの夏。
あの夏が森下の人生を急旋回させることなる。そして世界中を震撼せしめたニューヨークでのテロ・・・あの９月、森下は見事なほどの受験生に変貌していた。
そして立命館大学国際関係学部の３年次に編入。

あの夏から４年、院に進学し現在に至る。
院に進学するかどうかで悩むアキラに言い放つ。「1000万ほど借金する覚悟さえあれば、学者にでもなんでもなれるはず・・・」

森下は塾のパソコンのシステム改造に取り組み、塾のクーラーの掃除をし、征希や古西とマージャンを打ち、高校生に英語を教える。いつだって淡々と、飄々と、・・・そして颯爽と。

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