れいめい塾
内憂外患

２００４年１２月

右手の薬指と小指の付け根あたりを骨折したのは１１月１２日の深夜。
さぞやウチの塾らしい、阿鼻叫喚の喧騒の果ての顛末とでも期待している向きには申し訳ない。そんな劇的なプロセスなんぞなく、感情の垂れ流しの産物・・・。その意味では認めたくはないものの、俺らしくはあるやもしれぬ。薄ら寒いほどの馬鹿ばかしさ、自己満足、あげく自己憐憫。引いては返す自己嫌悪・・・。

ドンくさい娘のめいともども懇意にしている西村整形外科、できれば懇意にしたくないのだが、年に一度はやっかい事をしでかしては神頼み。その西村センセ、レントゲン写真を見ながら「これは見事なボクサー骨折ですね。いったい何を殴ったんですか」　自己嫌悪に打ちのめされつつ無言を貫く俺を歯牙にもかけず、俺のドス暗く変色した右手に適切な処置を施していく。

利き腕の右手をもがれフットワークにガタがきた自分自身に鬱積が溜まっちまったのか、膿ならぬタール便のお出ましである。潰瘍の再発！・・・　凍える思いの１１月２０日の深夜。翌日、またもや縋る思いで駆けつける中浜胃腸外科。ここの大将、若い時分から腕はやたらにいいとの評判、しかし高校時代の同級生ということもあり俺には言いたい放題。
「当病院で使用する胃カメラは近辺では最も細く・・・」とのドアに張ってある謳い文句に、はかない望みを託すものの、やはり胃カメラは胃カメラ。別嬪の奥さんに背中をさすってもらう体たらく。
悪性腫瘍の可能性もあっただろうが「１週間後に電話してくれ、別にオマエじゃなくてもええよ。奥さんでもかまへん」とのコメントを残し次の患者さんへと姿を消す。「だって癌やったら・・・」というつぶやく俺に「大丈夫よ、電話してくれって言うんだから大したことないんじゃないかしら」と奥さん、効フォロー。
そして１週間後の電話越しの宣告・・・「予想通りやぞ、ピロリ菌がよおけおるわ。院外処方を書くから取りに来るんやぞ」　俺の気迫で病期を治すという妄想癖も先刻承知、「あのな、ちょっと痛みが治まったからって薬を飲まへんだら何度も再発するぞ。ピロリ菌を絶滅させりゃ、もう痛い目に会わんでええねん。ちゃんと指示通りに薬を飲むんやぞ。わかった？」と子供を諭すように言いよる。「はいはい、入院せんでいいんやったら何でも言うこと聞きます」

まさしく内憂外患、でもな俺の身体だけでなく今年のウチの受験生もまた内憂外患。
さすがにここんとこ、パソコンのキーを叩くのだけは勘弁してほしかった。
塾の下を走る165号が生気を帯び始める今、１２月３日午前６時。新しい一日が始まろうとしている。さっきまで高２の荒井（津高）が勉強してたっけ。中学の期末試験はは今日で終了だが、高校の２学期期末＆後期の中間試験はまだまだ続く。
そういえば眠気覚ましにひやかしに行ったファミマに置いてあった今週号の少年マガジン、ついに１号・・・。いつの間にか冷ややかに受験が迫ってきている。こちらの仕上がりが悪いのも委細関係なく・・・、今年の受験が幕を開けようとしている。

俺もそろそろ腰を上げるべきなんだろう・・・。