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DEAD END 

2002年11月第三週


11月18日

マージャンが終わったのが午前7時前。街は一日の活動を始めている。疲れきった男が4人、長い夢からさめたような間の抜けた顔でこれから始まる一日を模索し始める。。「あ〜あ、今日はセッチャンと神護寺を歩く約束を果たさなくっちゃ」「紅葉きれいだろうな」「京都の見所は今週いっぱいでしょ。でも神護寺はもう少しいけますよ、なにしろ山ですからね」「山を歩くって、しんどくないの?」と俺。奥さんの顔がよぎる。「だいたいの人がナップにスニーカーのいでたちですからね。そんなとこを徹マンでくたびれ果ててる俺が・・・」「そりゃ大変や。まあセッチャンにすりゃ、今まで週末のデートはおあずけやったやん、神様の与えた試練や。甘んじて受けるこっちゃな。で、森下は?」「昼から授業が詰まってるよ」「高橋君は?」「午前9時からいつものように勉強会ですね」「みんな大変やな。なんでこんなしんどい目をしてマージャンやるんやろ。愛が日記で男ってバカやなって書いてたけど、また根拠となるネタを提供するようなもんやで」「先生も今日は病院でしょ?」「ああ・・・そうだっけな」 ホテルと見まがうような威容を誇る建物を思い出した。

久しぶりに会う叔母、痩せていた。スリムだったスタイルに一層拍車をかけ、痛ましかった。叔母は俺の母親の一番下の妹だった。といっても俺とは7歳しか違わない。叔母が結婚する時、小学生だった俺は泣いたという。大好きだった叔母を取られたのが悔しかったんだろう。先先週、4時間の予定で行われた手術は2時間半で終わった。卵巣は癌細胞でいっぱいだったという。

3年ほど前に卵巣癌によく効く薬品が開発され、いち早く名大病院がこの薬を使用して治療を始めた。現状では手術が無理な場合、この薬で卵巣内の癌細胞を弱らせ、しかる後に再び手術するという。叔母は今、その薬を用いての抗癌剤治療の段階に入っていた。治療は2段階に分かれ、最初の1週間は病院で抗癌剤治療を行い、それからの2週間は体力回復に努める。本人さえ望めば自宅で療養してもかまわない。そして再び病院で抗癌剤治療が始まる・・・。

若い頃は美人の誉れ高かった叔母が静かに言った、「今週から2回目の抗癌剤治療に入るのよ」「しんどい?」「そうね、気分が悪くなって吐き気がするの。でも私はまだ軽いみたい、ずっと寝たきりの人もいるみたいだし」 見舞う覚悟もできていなかった俺はついつい無口になっちまう。逆に気遣ってくれたのか、叔母が話す。「いくつか病院まわったんだけど結局はここに落ち着いたの。診察結果はいっしょだったけど、ここのお医者さんだけは無理して摘出しようとせずに薬で癌細胞を弱らせてから手術しようって・・・。それにね、ここの患者さん達みんな明るいの。癌なのに明るい、前向きなのよ」

エレベーターの前で別れた。ドアが締まった途端、視界が曇った。

「センター対策の授業をしたいんですけどね」と高橋君が言った。当然今年の高3が相手である。「一応、みんなに声をかけて来週から2週間で10回、最初の1週目がT・Aで5回、2週目がU・Bで5回と決めたんですけどね」「実はさ、塚崎君から12月になったらセンター対策の授業をすると報告を受けてるんやけどさ」「そりゃ遅いですよ。12月初頭にプレセンターがありますから、なんとかその時に自信をつけさせてやりたいんです」 こんなネタが日曜日から月曜日にかけての徹マンで高橋君から出た。そして今日、塚崎と高橋君との間で調整。晴れて来週からセンター対策10本勝負が決定した。それに伴い12月からスタートする予定だった高2の菊山とナオツグの数Vの授業は高橋君に代わって塚崎が担当することになった。

11月19日

高1に対して怒った。今いち英語に対して真剣に取り組む姿勢に欠けている。悪くはない、しかし発展途上人がいない。3年前に俺が教えたメンバーではアキちゃんがいた。必死になって俺の英語についてきた。中学までは取るに足らない存在だった。なにしろ全県模試の英語の偏差値は40そこそこ、津高や津西に進学した連中からすれば顔じゃないって存在。それが全員を最後尾からまくり始めた。一挙に全員の尻に火がついた。全員が疾走し始めた。壮観な眺めだった。そんな下克上、今年の高1にはまだ予震すらない。

今年の高3は最も教えやすい学年だった。ゆえに高校合格直後の春休みの数学特講を担当した後は講師に全権を委任した。しかし、こと英語においてはこれが裏目に出た? 黒田君手作りの丁寧なプリントで週に一度の授業。今から考えると、唯一のネックは暴力的な授業をしなかったこと。ミス0になるまで徹底的に英単語の試験をするなんて下品な授業をだ。俺にとっては日常の風景であっても、修行僧のように授業をする黒田君には似合わない。重要事項は「覚えておくようにね」と黒田君は一同にのたまい、一同おごそかに頷く。そして一同、一度は覚えようと、やっつけ仕事。テストが過ぎれば忘れる。そんな繰り返しでここまで来た。結局は全国統一模試塾生平均54、ウチの塾の過去に例を見ない壊滅的な惨状でセンター試験に臨むことになった。

高2は独立愚連隊もいることだし、講師の手をわずらわせたくないと俺が担当した。手抜きの授業といえば人聞きが悪いが、やれ中学の中間やら期末やらで授業を中止にすることがしばしば。それでも英単語や基本文型の暗記などは機嫌が悪いふりをして試験させた。そんなメンツが平均偏差値60を越えちまう。不思議なもんだと思う。

そして今年の高1、夏休み前からセンター試験の6番あたりで平均以上を叩いている。しかし中学の序列に変動がない。コンスタントに塾に来ては俺の授業を聞いているだけの話。今のままでは活性化しない。おもしろくない。下克上の牙をむけ!

11月21日

全県模試の成績が返却された。一部の生徒の答案を後から出した分があり、それを加味すると偏差値58.4あたり。さっそく挑戦状を出していた塾の先生からメールあり。クソッ!また負けちまった。相手は59以上あるとのこと。再び挑戦状の文面を考えなくっちゃな。

愛が悔しい悔しいと嘆いている。全県順位は3番、しかし津高志望者のなかで2番だったのがお気に召さないらしい。「そりゃ開明さんの津新町校のよおできる子やで! すごいね」 ノーテンキに俺が言うと怒り満面、表面積まで急増する。「また甚野先輩がやって来て、わたしバカにされるじゃないですか!」「いいじゃないの、次に勝てば」「だって・・・」「いいんだって。まいった!と言わないかぎり、所詮勝負は途中経過。最後に勝ちゃいいんだよ」「そんないいかげんでいいんですか?」

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