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DEAD END 

2002年11月第二週


11月10日

朝から愛・沙耶加、そして千尋が勉強している。

皇學館大学体育館では津西剣道部が初戦の亀山撃破、続く第二戦でも桔梗が丘高校に順当勝ちを収める。午前11時20分、鳥羽高戦が始まる。大森は中堅、鳥羽高の先鋒が津西の先鋒、次鋒を叩き潰す。審判を務めている大森兄、視線をちらちらさせながら自分の試合を裁く。大森が鳥羽の先鋒に勝ち、続きざまに次鋒にも勝つ。これで中堅と中堅にもつれ込む。この試合、引き分けで大森終了。副将同士の戦いも引き分け、大将戦もまた引き分け。延長戦で津西の大将が勝ち、去年の優勝校の鳥羽に土をつけてベスト16へ進出決定。

長島病院に勤務する田丸ドクターがやって来た。「先生、これを・・・」と差し出す上質の封筒。「やっと決まったんかいな!」「ええ、なんとか」「おめでとう!」 付き合って7年・・・永すぎた春に終止符を打つ。「で、日取りは?」「1月12日です、急なことですいませんが」「祝い事や、いつだってOKさ!・・・ちょっとちょっとセンターの1週間前やん!」

津西は津工業に順当勝ち、桑名工業との準決勝戦に臨む。大森は先鋒で出場、桑名の先鋒・次鋒に勝ち中堅との試合。しかしこの中堅、上段である。上段は意識してつくるという。背が高く、左手の力が強い生とが選ばれる。面を打って決まらない場合、すかさずニ打目を打つ。これを可能にするため上段は毎日千回ほど左手だけで打つ練習を繰り返す。上段とはやりにくい、これは大森だけではない。結局、大森は桑名中堅の上段に引き分ける。しかし後を津西の大将が片付けて津西、創立以来の快挙である決勝戦に進出。

午後3時30分、決勝戦開始。相手は大方の予想通り”サイボーグ剣道”とありがたくない異名を頂戴する三重高校・・・。先鋒同士の戦いは引き分ける。そして次鋒に大森が登場する。審判のお役御免となった大森兄の見守るなか試合開始。しかし三重高の次鋒が前に出ず打ち合う意志が感じられない。大森兄は思う、「三重高の戦略としては弟と引き分け、あわよくば勝ちを拾う気やな」 硬直化した試合が続く。前に出る大森、後ろに引く三重高。残り17秒、引き際の面が大森に炸裂。大森一本負け。これで調子に乗った三重高次鋒が津西の中堅・副将・大将を立て続けに破る。優勝は順当通り?三重高となったわけだが、大森兄の記憶では大将が1試合もせずに優勝したのは5年ぶりの快挙だとか。津西としては初の準優勝なれど「最低な決勝戦だった」と監督が吐き捨てたというからには複雑なところ。

中塚がやって来て高2のナオツグ・菊山と綾奈と初顔合わせ。曜日を木曜日と決める。やっかいなのは津と津西は波動、高田6年制はコンデンサという範囲のずれ。一応、力学からスタートすることに落ち着く。

今日は甚ちゃんのお父さんの一周忌。夜になって塾に顔を出したが手持ち無沙汰の様子。塾のパソコンで暇つぶしに山本愛を検索したところ絶叫! 「なんやこれ!」 なんと山本愛は愛鳥週間のポスターで入選、全国大会に出展されるとか。

愛を送っていく車の中で一度尋ねたことがある。確か中1の頃、通知表で体育が10段階表かで10がついていたのを見た夜だ。「オマエって体育いいんやね」「ええ、運動神経はいいほうです」「じゃあなんで体育系のクラブに入らんかったん」「兄たちを見てると、塾を続けるなら体育系のクラブに入るとしんどいなと思ったから」 体育系の塾を標榜する俺としては複雑な心境になっちまった。 

大西君が深夜京都へ戻る。「先生、明日から恵(高田T類3年)を塾に来させますから何でもいい。とにかく書かせてやってください」 恵は今度の土日が京都女子の試験。つまりはラスト1週間。「何をさせればいい」「要約と小論文、今まで教えてきたことを繰り返し繰り返しですわ」

明け方のスカイラークで一人、ついに周瑜が死ぬ。

11月11日

「愛ちゃん、今日は何だったんですか?」と香奈子(津西国際2年)が尋ねる。「何が?」と俺。「今日の朝、久居駅のプラットホームで愛ちゃんに会ったんですよ。朝から塾に来たんですよね?」「そうみたいやな。俺は風邪で死んでた。なんやおったな」「塾に電車で来たんですよね」「榊原温泉口から乗って中川で乗り換えて久居か・・・。そして津西に行くアンタとプラットホームで会ったってわけか。俺が送ってったのは深夜3時を過ぎてる。愛は一体何時間寝てるねん!」「すごいですよね」「アホ! アンタが感心しててどうするねん!」「ハハッ、頑張ります」

沙耶加の風邪がうつったか?身体がだるいし熱もあるようだ。ついに劉備が益州に突入するというのに本に集中できねえ。しんどい・・・。

高橋君の化学終了後、高1は大森兄の古典文法助動詞の諮問試験。できれば全員の出来を見ていたかったが立ちくらみが激しい。

深夜2時30分、いつものようにあすかチャンと愛を送っていく。ただ違うことは俺がこの二人に起こされたってこと。いつの間にかに眠っていた、クソッ。身体のだるさに白旗掲げ、久しぶりに自宅へ帰る。いつしかコタツの用意がしてある。そこへもぐり込み頭だけを外に出し三国志8巻を読む。熱が引いてきたようだ。 

11月12日

奥さんを車に乗せ銀行と郵便局を駆け巡る。なにしろウチの奥さん、車の免許はないどころか、自転車にも乗れない。唖然とする人には「だって大阪では必要ないもん」との田舎を侮蔑した発言で立ち向かう。

久しぶりの奥さんとの語らいのなか、上野征希ネタが出る。こ奴は週に一度奥さんの身体を診てくれている。そんななかで出た征希のセリフらしい。「体重を早く62kgにしなくっちゃ、ですって」「大晦日のイベントだろ」「イベントって?」「マージャンで負けてさ、腹筋を400回せなアカンねん。今の体重じゃ到底無理やから徐々に身体をしぼっていくって言ってたな」「私に言ったのと違うわね」「何やって」「62kgになったら何でも好きなもの買ってあげるって言ってくれる女性がいるんだって」「何を買ってもらうんだって?」「ビリヤード台・・・」「ビリヤード台! 健ボーの影響やな」「え!健ちゃん、ビリヤード台持ってるの!」「ああ、新居が3階建てで1階に置いてあるらしいな」「贅沢ね!」「だけど誰がそんな約束するんやろな」「いい女の子でもできたんでしょ」「いやあ、嬉野の60歳過ぎた畑持ちのばあちゃんやろ」

最後に寄った辻ストアーであすかチャンのお母さんに会う。そのネタを夕方塾に姿を見せたあすかチャンにふる。「あすかチャンのお母さん、別嬪さんやですぐ分かったよ」「先生、ちょっと前にね、家族でパソコンの精神年齢鑑定をやったん。じゃあね、私は12歳で働いているお姉ちゃんが27歳で、お母さんが29歳なん・・・」 精神年齢と美貌って比例するんかいな。でもあすかチャンが12歳ってのには納得できたが・・・。

卓(高田U類3年)の親父さんは高田高校近くでコンビニのサンクスを経営している。幸運なことに賞味期限の当日までに売れなかったパンや弁当を頂くことがしばしば。今日も卓はコンビニの袋一杯のパンを塾に持参。「こんだけあっても橋本が5つ、祐輔が5つ食ったらあんまり残らへんな」 卓がニヤッと笑う。「一番たくさん持ってくんはあすかチャンですよ」 ウチの塾ではよく食べよく勉強し、あつかましい女がかわいがられる。さっそく愛がほおばっている。

中2が受験生として徐々に仕上がりつつある。少しきつめの課題を与えても時間内にこなせるようになってきた。まあ、足を引っ張っているんはウチの娘さん達やけどな。      

高1と高2合同の英文法、先週で準動詞を終えて今日から比較に入る。松阪高校の高1、すでに比較に突入している。松阪侮りがたし。そしてこの授業に中3の希望者も参加する。愛と由子だ。由子は英検準2に落ちている。今度こその一念で期末試験の勉強を中断しての参加。

「塾に電子レンジ持ってきてもいいですか」と愛。「なんで」「カレーが食べたい」「家にあんの」「一つ余ってて」「ありがたい」「そして・・・卓先輩のパン食べてもいいですか」「1階の教室にあったな、残ってたら食べりゃいい」 さっそく階段を降りていくものの何も持たずに戻ってくる。「残ってへんだか?」「ううん・・・恥ずかしくてドアを開けれなかったんです」「なんやそれ」「私って臆病なんです」

高橋君、かなり酔っ払っていた。「サッカーを始めた頃は技術だと思ってましたよ。でも今は違いますね。精神力です、あるいは気迫」「その気迫で菊山とナオツグの数Vの授業を受けたってか」と俺。「心意気ですね。あいつらは気迫ありますよ。今が叩き所です」「でも国家試験のほうはいいんかいな」「なんとかなるでしょう、精神力でしのぎますよ」「確かにここに来て今までふわふわしていた高2の面々、俄然テンションが上がってきたな」「ええ、勢いがありますね。高3にはその勢いがない」 黒田君が頷く。「なんででしょうね、あんなに塾で勉強してるのに・・・いつまでたっても覚えられない。高1の頃からずっと言ってきたのに、この時期になっても覚えられない」 この3年間、今の高3に英語を教えてきた黒田君にとって忸怩たる思いがあるはず。そうでなければ、高3の仕上がりに安心できていたら、とっくの昔に講師のバイトを辞めて国家試験の勉強に没頭していたはずなのだ。安心できない、責任を感じる、そんな気持ちが今もなお黒田君を最前線に留まらせている。高橋君は橋本君、田丸君(兄)、長谷川君の系譜をなぞるウチのイズムにどっぷり漬かったこちら側の人間だった。しかし黒田君は極めつけの慎重居士、その彼が塾から離脱できない。申し訳なかった。後のフォローは俺と森下でやると言ってはいたが、「この学年を見届けてから」との一点張りだった。高橋君の独演は続いていた。「タカヤもね、本当に去年の今頃は真剣だったんですよ。センター過去問解いて40点にも持たない時は悔しそうに問題丸めてゴミ箱に叩きつけてましたから。それから毎日解いて徐々に点数が上がっていく。コンスタントに70点を叩くようになって実感してたはずなんですよ、受験生の熱さを。勢いがあった、今年の高3に一番欲しい勢いがあの時のタカヤにはあったんです」 夜は長くなりそうだった。   

11月13日

午前8時に奥さんの電話で起きる。頭グシャグシャ、完全な二日酔いだ。朝方まで高橋君と黒田君と飲んでいた。用件は免許の書き換えに行けとのお達し、到底不可能。なんとか覚醒したのが昼過ぎ、スカイラークのいつもの席で三国志を開く。

祐輔(津高3年)が学校帰りに新しい塾に来て勉強している。珍しいことだと思いきや、卓と二人で東北大学の数学の問題を解いている最中。解き終わった卓に聞く。「どやった?」「やばいっすね」「祐輔は?」「まあまあ」 卓の本命は東北大学、祐輔が東工大。「卓、オマエがやばくてどうすんねん!」

愛がレトルトのカレー持参で登場、そして電子レンジの導入。今日から酒のアテのバリエーションが多彩になるわけだ。さぞや高橋君、喜ぶことだろう。

高2の香奈子が塾の階段で歴史の試験の勉強をしている。眠ってしまうからだろう。この試験は中3との対決、ジャンルは昭和時代。プリントは高校受験用に俺がつくったものだが、将来高校で日本史を取る生徒を想定したためか、やたら難しい。「どない?仕上がりは」「まあまあですね、愛ちゃんに負けれませんからね」「その勢いで頑張ってや。大森なんて、やっぱり愛ちゃんはスゴイ!なんてコメント出しそうだからな。年上は絶対に年下には負けない!」 この歴史のテストは明後日の金曜日である。

佐藤(三重大学教育学部2年)の数学の授業。高1の出席率は俺の英文法の授業を上回っている。まいるよな。

急遽変更、中塚の物理が水曜日になった。綾奈がそのことを俺の携帯に連絡したらしいがいつものように誰も出ず。その物理、菊山欠席でナオツグと綾奈の2人で開始。教室の隅っこで歴史の試験勉強しているのは大森と拓也(高田U類2年)と寺沢(三重B)の文系組。昼に響平にさせてみた全国統一模試の2番A問題、すなわち4択の文法問題だけを綾奈・拓也・大森・寺沢にさせてみた。14問中で綾奈9問、拓也8問、大森6問、寺沢8問が正解だった。

物理の授業を終えた中塚がセンター対策の問題集が欲しいとのこと。通称河合塾の黒本、代ゼミの白本、駿台の青本、Z会の緑本である。明日にでも別所書店に行かなければ。高橋君が3階で勉強している。いっしょに酒でも飲もうかと誘う前に中塚君、「先生、明日試験なんです」と機先を制された。

水曜日に横田君の化学を受けている塾の先生が今月の月謝を持ってこられた。

三国志9巻、関羽が刑州の地で死んだ。中学生の頃、吉川英治の三国志を読んでいた。そして関羽が死んだ時、泣いた覚えがある。横山光輝のマンガではそれほどの感慨はなく過ぎた。しかし今夜、臆病者の俺が姿を見せて三国志は頓挫した。しばらくは高橋君から借りたマンゴー・レインで身をやつすことになる。

11月14日

可燃物のゴミの日。朝8時に奥さんの電話で起こされ、塾内の50は下らない数のゴミ箱を冬眠から覚めた熊のように渡り歩く。その足で免許更新センターへ。受け付け締め切り間際に到着。手続きをしていると邦博のお母さんに出会う。お母さん、ここの事務員。それが幸いしたのか、1時間もせず新しい免許を交付され終了。別所書店で中塚君に頼まれた物理のセンター対策問題集を買い込む。

「11月は酒を一滴も飲みませんから」と勇ましい口調は高橋君。「先日10時間勉強したからご褒美にと飲んじゃったでしょ。翌日整形の課題が全然進んでないことを知って愕然としましたからね。勉強は時間じゃない、内容ですよ。とにかくやってもやっても終わらない。めげちゃいますよ・・・だから絶対に酒は飲みませんから・・・。先生にはすいませんがそういうことで」 俺は苦笑いを禁じえなかった。

古い塾では塚崎が高3理系相手に数Vを教えている。

高2相手に全国統一模試を実施。響平がやった奴である。制限時間内に終わったのが香奈子、ギリギリが菊山、25分ほどオーバーしたのが拓也。点数は香奈子が164点、菊山が171点、拓也が147点。後から来た寺沢は113点、つまりは全国平均ぴったし。結果を聞いた俺と高橋君はうなった。初めて菊山が香奈子に勝った記念すべき一戦となったからだ。香奈子はウチの塾で王道を歩いてきた。俺の英語に加え黒田君の高3二次試験対策の英語の授業にも出ていた。国語では大西君の薫陶を受け、高3との合同授業では先輩連中を蹴散らし、大西君に「香奈子の国語やったら東大でも勝負できますと」とうならせていた。それに対し菊山は津高進学後、幾度となく塾を辞めようと考えていたはずなのだ。塾に来るのも月に数えるほどだった。大学なんてどうでもよかったはず。ただウチの塾を辞めてから崩れた兄貴がいたため、母親は決して塾を辞めさせようとはしなかった。塾に来ないことが自己主張だったと思う。塾に来ても常に1階の教室の片隅で勉強していた。背中はすすけていた。俺の英語には一切出なかった。そんな菊山をかろうじて塾とつなぎとめていたのは高橋君の数学だったと思う。高橋君と深夜飲みながら話すネタは菊山とタカヤのことに終始した。独立愚連隊、俺はそう菊山を揶揄していた。実力はあった、それも理系のセンスは抜きん出ていた。しかし品行方正ではなかった。そんな奴のやる気をどう引き出すか・・・。古西(名古屋大学経済学部1年)に菊山の志望大学の相談に乗ってやれと頼んだ。「まあ名古屋大学でええんとちがう?」 気楽な先輩、真摯な対応から程遠い扱いで決めたそうな。かつて斉藤太郎に北海道大学を指示した超知に匹敵する軽さだった。高2になり高橋君の後を継ぐかたちでスーパーサイヤ人こと山岸(三重大学医学部2年)が化学を担当し始めた。しかし依然として俺の英語の授業に菊山の姿はなかった。ところが夏の桐原2章の試験、高1の時はやる気のなさも手伝ってミス500に近い見事な出来だったのが、今年はミス3に持ち込んだ。風が変わった・・・すかさず国公立大学への布石として古典単語を覚えるよう指示した。理系のナオツグと二人三脚、おもしろくもない古典単語をカリキュラム通り進めていった。それと連動するかたちで11月から大森兄による本格的な古典の授業が始動。さらに同時期、ナオツグと二人雁首揃えてやって来て「物理の授業をお願いします」 こ奴らと最も対照的なタイプである中塚をぶつけた。今までお上品に育ってきたと思われる綾奈も脇に置いた。極めつけは国家試験の勉強に明け暮れている高橋君に直訴!結局12月からの数Vの授業をせしめた。疾風が吹き始めていた。それでも英語だけは一人旅を続けていた。そんな菊山、俺の授業初登場ながら171点・・・全国偏差74。

菊山に一敗地にまみれた香奈子はというと、心中穏やかならず・・・とは見えない。菊山に負けたことよりも悠かに重苦しいことを抱えているかのように上の空。逡巡したあげく「先生、これ・・・」と言って差し出す一枚の紙。駿台模試の成績表だ。「えっ!」と絶句。俺の声に反応したのか、高橋君が尋ねる。「悪かったんですか」 「いや・・・トップやん!」 香奈子がついに津西で学年トップに立った。一橋・早稲田など軒並みA判定。香奈子はというと・・・おろおろしている。「どういうことなんでしょう?」「どういうことってアンタ」 謙虚なのだ、それだけの努力をしてきたはず。率直に結果を受け入れたらいい。おめでとう。さあ、明日は高2文系と中3との歴史・昭和時代の対抗戦だ。「明日は頑張ってや」「はい、なんとか中3に負けないよう頑張ります」 正真正銘、いつもの香奈子がそこにいた。

愛と奥さんから電子レンジの簡単なレクチャーは受けていた。アルミホイールは使っちゃダメ!なんてレベルだ。愛とあすかチャンを送っていった帰り、サークルKで”大盛330g”と銘打ったカレーのレトルトを買った。198円だった。塾に戻り紙皿にカレーをあけラップで包んで電子レンジに入れた。賞味期限の切れた食パンをカレーにつけて食った。冷蔵庫からビールを取り出した。高橋君と飲もうと思ってどっさり買っておいたビールだ。「ついてないことってあるよな・・・」 俺のつぶやきなんぞ誰も聞いていなかった。マンゴー・レインを開いた。

11月15日

小学生の英語は比較級、といっても大したことをやるのではなく「僕は〜より〜が好きです」の like 〜 better than 〜 の文。小学生を連れて100円ショップへ行って好きなものを買わせる。そして自分が買ったものを他の生徒が買ったものよりも好きだという文をつくらせる。自分達が買った品物を並べてアトランダムに中3の愛と俺が取って瞬間的に文が作れたら自分の欲しい品物を持っていってよい。いやはや、小学生燃えてた。

恵と晶子が挨拶にやって来る。明日と明後日の二日間、推薦入試を受ける。インターネットというのも罪作りだ。受験生は大学のホームページを検索、倍率の推移を眺めることができる。恵の京都女子大学は12倍、晶子野関西外語大学は9倍。「もう笑うしかなかったっすよ」と恵。恵の京都女子の試験会場は名古屋の笠寺、晶子の関西外語は本学(大阪府枚方市)。二人とも二日間三重から通う。とくに晶子はかなりの強行軍になる。頑張ってほしい。

午後9時から歴史・昭和時代の試験。一問一答なれど記述問題も多い212問。2時間はかかる試験である。大森の顔色が悪い。風邪のせいなのか、はたまた負けるのが怖いのか。

試験が終わった拓也がやって来る。「どやった?」「ミス3」 後ろには大森、「ミ、ミ、ミス・・・サ、サ、サンジュウ・・・ニ」 そして寺沢が「ミス10」 最後まで粘った香奈子、ミス1。対する中3は沙耶加がミス5、愛がミス2、有加里が3、このあたりは津高を望むだけのことはある。そして由子が31、千紗が28、この二人は大森も名勝負数え歌を展開。有加がミス80あたり。香奈子攻略に万全を期していた愛はふてくされていた。試験終了後、高2はすかさず推古天皇から聖武天皇までの13人の天皇の名前と大まかな業績を覚える試験に入る。中3のように全面戦争ごっこをやっている暇はないのだ。なにしろ23日にはデンちゃんがやって来る。今回の授業は古代、急がねばならない。

田丸ドクターから深夜1時を過ぎての電話。用件は見当がつく。「先生、今日はマージャンできますか?」 しかし今日は誰もいない、大西君や森下などウチのマージャンのメンツの中核がまだ帰って来ていない。この時間に姿を見せないようでは多分戻るのは明日だろう。また征希や臼井など、地元の遊軍も姿を見せていない。唯一、高橋君が古い塾で祐輔や卓の数学記述答案の添削をしている。「田丸君、明日の夜やったらメンバー揃うで」「いやあ明日の夜はちょっと、結婚式も近いのでいろいろとすること多くて・・・」「困ったな」「先生、いいですよ。また都合のいい日にでも」 近くで愛が話の内容に耳をそばだてながら、二転三転のたうちまわっている。結局マージャンが中止になってガッツポーズ!

ところが受話器を置いてほんの数分して大西君登場。一挙に事態が動く。愛の不安げな顔に委細構わず古い塾の高橋君に連絡。「田丸の兄ちゃんから緊急連絡、今夜マージンしたいそうです。高橋君マージャンできそうか?」「他ならぬ田丸先生のリクエストとあっちゃ僕なんかの若輩者が断るなんて・・・すぐに行きます」 駐車場に一台の車が止まる。出てきたのは森下。こ奴も京都からのご帰還、これで瞬く間にメンバーが揃っちまう。横を見ると愛が意気消沈の様。「先生、今日もマージャンが始まるんですか」「すいませんね。送ってあげられなくて・・・」 あやまりながらも顔が笑っているのが分かる。

田丸ドクターの携帯番号が分からないので広島の橋本ドクターに連絡。「夜分すまん、田丸君の携帯番号教えてや」「マージャンですか?」と眠そうな声、しかし察しはいい。さすがだ。「田丸君の結婚式は新幹線で来るんか?」「ええ、そのつもりですけど」「良かったらウチの実家に泊まればいいから」「ありがとうございます。でも三重だと泊まらなければならない所がありまして・・・」 橋本君は田丸君から結婚の知らせを聞いた時、「これで独身は俺だけやんね」と広島弁で言ったそうな。でも、このコメントからすると近々事態は急転直下かいな?

深夜2時30分、満面笑みの田丸ドクター登場、弟(三重大学医学部4年)が酒やツマミを満載したコンビニの袋を置く。挨拶も結婚のネタもなく直ちに開局。メンツは田丸兄弟に大西君、森下、高橋君と俺。さっそく抜け番を決めるものの俺と大西君の抜け。俺は愛に声をかける。「ひとっ走り白山まで送っていくぞ!」 愛、起死回生のガッツポーズ! マージャン卓では夢見心地の表情で愛おしそうに牌をかき混ぜる田丸ドクター、一人ごちる。「楽しいなあ・・・結婚してもこんな風にマージャンできるかな?」 

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