当社展示場で、そして施工中の墓地でお客様からよくお尋ねを受ける質問を5年前より全て書き留めてきました。全部で2500以上にもおよぶこれら全てをここに載せることは不可能ですが、その中から特にお尋ねの多かった200項目をFAQ(よくある質問と答え)にまとめてみました。(しきたりや各宗教、宗派に及ぶ質問はお答えが一通りではないので割愛いたしました。)

<お詫び>ホームページの開設までに全て入力できるかわかりませんが、順次増やしていきますのでご容赦ください。

 

石材について

 

石なんてみんな同じでは?
基本的に自然のモノですので良い石悪い石という区別はありません。あるのはお墓に適した石か、適さない石かの区別だけです。お墓に適した石とはまず第一に風化が少ないこと、第二に外見が美しいことです。決して価格の高い石が良くて、安い石が悪いわけではありません。ただお墓に適した石は需要があるので、一般的に価格が高いのは事実です。ただ、展示してあるものはどれも同じに見えますね?一般のかたにはそれを見分けることは難しいので信頼のおける石材店(「良い石材店の選び方」をご参照ください。)でのご購入をお勧めします。

 

黒い石は縁起が悪い?
三重県内ではよくお尋ねのある質問ですが、石の色といわゆる「縁起」には全く相関関係はありません。他の地方へ旅行に行かれた方はご存知のことと思いますが、関東地方以北のお墓では黒い石が多いのです。関東の方は縁起が悪いのでしょうか?そのような話は聞きませんね。石材の色というのは流通が今ほど進んでいなかった時代にその地方産出の石を使用したことに由来します。(「当店取扱い石材の種類」をご参照ください。)流通がある程度進んだ明治以降も三重県を含む東海地方は岡崎の石を使うことが多く淡灰色の石碑が多いわけです。外国材の比率が高くなった現代では、石の色にあまりこだわる必要もないでしょう。
ただ、お墓はとても保守的な選択をされる方が多いので淡灰色系をお選びいただくほうが「無難」なのは事実。開眼供養の際に親戚のおひとりが「縁起が悪い」などとおっしゃっても気にしない方ならどんな色をお選びいただいても問題ありません。

 

外国材は品質が悪い?
当店においても外国材使用の石碑が30%程度になってきました。我が国全体の統計では76%が外国材ともいわれています。外国材は品質に問題があるのでしょうか?答えはノーです。外国材が輸入され始めたころは確かに日本の高温多湿の夏と零度以下にもなる冬の苛酷な気象条件に耐えられない粗悪品も出回りました。しかしながら輸入開始から数十年を経た現在では調査、研究も進み、高級国産材をも凌ぐ外国材も数多くあります。しかしながら「風化のサンプル」ともいうべき数百年前の石碑の残っている国産材に比べ外国材には数十年の歴史しかないため、実績と云う点ではいまだ未知数の部分があります。当店では国産材、外国材にかかわらず全て国内の専属工場にて製造しておりますが、同じ外国材でも外国製品(海外の工場で製作され、完成品の形で輸入されたもの)の中には残念ながら未だ粗悪品が多いのも事実です。国産材か外国材かにこだわるよりも、外国材を使用した国産品なのか外国産なのかを見極めることが大切です。

 

みかげ石ってなに?
厳密には神戸市の六甲山系で採れる淡桃色の花崗岩を指しますが、現在では花崗岩全体を指す言葉になっています。(神戸産のみかげ石は他の花崗岩と区別する意味で「本御影石」と呼ばれています。)お墓には風化しにくく美しい艶の出る花崗岩を使うことが多いですが、まれに安山岩を使うこともあり、お墓に使う石材の総称として「みかげ石」という名前を使うようです。

 

お墓ってツヤがあるけどどんなコーティングが施してあるの?
一切コーティングしてありません(笑)原石を寸法に切り出してから丹念に磨くことで、あの美しいツヤを出しています。コーティングは雨が降った後白っぽくホコリが浮きますが(黒いクルマなどは真っ白になりますね。)天然のツヤである石材は、たとえ黒みかげ石であってもそのようなことはありません。

 

石のお手入れはどうするの?
「先祖が草葉の陰から見守る」という言葉があるから除草もしてはいけない、なんていう方もいらっしゃいますが、あまりに雑草が生い茂ると石碑に湿気をよぶことになり、風化を早めます。また、太い樹木は根が石碑を押し上げて傾きを生じることもありますのでこまめに除草してください。石碑本体は基本的に特別なお手入れは必要ありませんが、時々濡れタオルなどで水垢を拭き取ってください。硬質で風化にも強いみかげ石ですが、化学薬品(洗剤を含む)、油脂、鉄分を含んだ水(主に井戸水)、塩分などには非常に弱い性質をもっています。洗剤やお酒をかけるのは厳禁ですし、一旦油や錆がしみ込むとシミや色ムラの原因となりますので避けてください。また、ツヤのあるうちは金タワシなどの使用は止めてください。

 

良い石の見分け方を教えて下さい。
石碑に適した石の基準とは、何十年何百年という長期間に亘って初期の品質を持続することが最も大切と言えるでしょう。風化によって割れたり、文字が消えたりした時点で石碑としての役目を果たすことが出来なくなるからです。それではどうやって石碑に適した石を見分けるのでしょうか。
まずは信頼のおける石材店で尋ねることが確実です。とはいえ実際は他の商品と違って馴染みの石材店がある方は少ないはずですから、「信頼のおける石材店選び」自体が難しいものです。そこで建碑直後でも簡単にわかる良い石の見分け方をお教えします。
墓地で少し注意して石碑を見て頂くと、竿石と下台の色が揃っていない石碑を目にされることがあると思います。雨上がりから2〜3日を経過しても下台が湿気を含んで黒っぽい石は艶落ちなど風化が早い石ですので石碑に適しません。このような石は早いものでは2〜3年で表面の艶が落ち、ザラザラになってしまいます。

(左)雨上がりから10日後の実例です。竿石から下台まで変色の無い手前の石碑に比べ右上の石碑は竿石の中ほどから下が真っ黒に変色しているのがご覧いただけると思います。共に建碑2年目の石碑ですがこれだけの差がでます。
(右)変色した石碑は数年後にこのように表面の艶が落ちザラザラした状態になります。このようになると水あかや苔が生えやすくなり、ヒビや割れの原因になります。

お墓の重さってどのくらい?
私達が重そうに運んでるのをご覧になって、よく聞かれる質問です。石種によって様々ですが、おおよその平均値として8寸角神戸型で650〜700kg。具体的には30cm立方が80kgとかなり重いことがお分かり頂けることと思います。

 

 

石碑について

 

神戸型や京都型って、お墓にも形式があるの?
以前は神戸型、大阪型、名古屋型などといったその地方独特の形式がありました。三重県は伊勢型や名古屋型が一般的でしたが最近では主流が大阪型や神戸型に移りつつあります。お墓でご覧いただくとご理解いただけると存じますが、名古屋型や京都型は後ろへ傾いているものが多いと思います。そのほとんどが基礎工事の不備や省略が原因ですが、確かにこれらの型は台に水入れを掘ったり、台を大きく見せるために台の中心より後ろに竿石を据える構造になっていて、重心のバランスが悪いのも事実。当店では最もバランスが良く花立、水入れ、供物台、線香立てが全て付属している神戸型をお勧めしています。

 

デザイン墓ってどんなもの?
伝統的な二重台(四角い石を3段に積み上げるもの)や洋風横型がまだまだ主流ですが、最近では自由な発想のお墓も増えてきました。ピアノや本をかたどったもの、抽象的な記念碑やオブジェのようなものなど、生前のお人柄を偲ばせる微笑ましいものが多くなっています。もしこれがご本人だけのお墓なら全く問題ありませんが、今後先祖代々のお墓として祀るのでしたら、何かをかたどった具象的なものは避け抽象的なデザインにされることをお勧めします。というのも例えばご本人がピアニストでも息子さんもそうとは限らないからです。実際当店でも徳利型や碁盤型、船型や将棋の駒型などの石碑を二重台の伝統的なものに建て替えるためにお引き取りしたことがあります。お墓は数十年、数百年先まで残るということを念頭において慎重に選んでください。

 

新しいお墓が先祖や本家のより大きいのはいけない?
ご質問のとおり、お墓の大きさについて悩まれるかたが多いようです。では石碑の大きさとはどこを基準にしているのでしょうか?そもそもお墓とは二重台の上に載せられた竿石(拝石)のことを指します。下の2つ(あるいは3つ)の台はあくまで石碑の部品であってお墓ではありません。そういうわけでお墓の大きさを表す「8寸角」とか「8型」という呼び名は竿石の横幅が8寸(約24cm)のことをいうわけです。つまりお墓の大きさとは「高さ」が基準ではないわけです。以前多かった追加納骨の必要のない個人墓(前面に戒名、法名がおひとり分彫刻されているもの)は下台に納骨入り口の穴が必要ないために全体の高さが低めなのに比べ、現代の石碑は穴の分だけ下台の高さが高くなっています。そんな理由で本家や先祖のお墓より小さい(低い)お墓を作ることは難しくなりますので、先祖、本家が9寸角なら9寸以下を選べば問題ないといえるでしょう。また地方によってはお家の発展を願うという観点から「先祖より小さいお墓を建ててはいけない。」といういわれのあることも付け加えておきます。ただこれらお墓に関するしきたりや慣習は「他家と違ったことをして目立つな。」という意味であり、我が国独特の「控えめが美徳」という考え方に根ざしていると言えるでしょう。

 

生きている人の名前を彫刻した場合、朱色に塗らなくていいの?
一般に生前に戒名、法名を戴いて、お墓に彫刻した場合は戒名、法名の2文字に朱を入れます。ただ建之者の俗名にまで朱を入れてあるのをよく見かけますが、あれは間違いです。施主様だけならまだしも、専門家であるはずの石屋が間違えている場合が多いのは残念なことです。よく考えてみると建之者は生きていらっしゃるに違いないのですから、全て朱を入れなければならないですね?宗派にもよりますが、本来戒名、法名というのは亡くなって初めて戴くものではなく、存命中に仏教を信仰する証として戴くべきものですから戒名、法名でさえも朱を入れる必要もないほどです。

 

お墓を建てるのは、大安?仏滅?
仏教では縁起の良い日悪い日という区別はありません。大安は旧暦の月と日を足して6で割り切れる日(例えば平成10年9月19日なら旧暦7月29日ですから7+29=36。6で割り切れるから大安)、あまりが5になれば仏滅といった単純な決め方になっています。ですから、ことお墓に関してはあまりこだわりを持つ必要はないでしょう。ただ、どうしても気になる方はお墓がただの石から墓石になる日、つまり開眼供養の日を合わせられると良いでしょう。

 

つづく

 

 
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