昔話などでおなじみの

「ツルの恩返し」

とか言うのを実際に俺は経験した


今回はその心温まる話を紹介したいと思う





あれは今からちょうど3ヶ月ほど前の事

傷ついたツルを見つけた

ツルはどうやら肩を傷つけているらしく

弱々しくしゃがみこんでいた

俺は

「このままではこのツルは死んでしまう」

「もしくは誰かにいじめられてしまう」

と思い


やさしくツルを抱きかかえ

俺の店につれてきて

傷ついている体を癒してやり

また、腹が減っていそうだったので

エサと水を与えてやった



ツルは日ごと日ごとに体を回復させていった



俺は嬉しかった

「実際いい事をすれば気持ちも落ち着くものだ」

と自分自身も満足していることに幸福感を覚えていた





月日が経ち


ようやくツルも自分の力で歩くことができるまでに回復してきた

俺は

「このままずっと一緒にいたいけども、ツルにはツルの生きる道がある」

と思い

ツルに

「もうそろそろ仲間のツルたちの所に戻ったら?」

ツルは

「ク〜ッ ク〜ッ」

とうれしそうというか

まるで俺との別れを惜しむかのように

鳴き始めた


俺も辛かった

俺も動物が好きで、長年一緒に過ごしてきた犬の平八郎のことが頭をよぎった

平八郎は4年前に死んでしまった

約14年間俺と生活してきた犬である

とても犬とは思えないぐらい

多分自分では

「俺も人間」

っていうぐらい限りなく人間に近い奴だった


俺の言葉を理解し、

人見知りもせず

とにかく俺には最高の犬だった



とにかくそんな思いでが頭の中を走馬灯のように駆けていった




別れの日


俺はツルに

「また何かあったらいつでも帰って来い」

「自分の家と思って帰っておいで」

ツルは

「ク〜ク〜」

と鳴きながら

俺の方に寄ってきて

何度も何度も体を摺り寄せていた



翌日、


とうとう別れの日がやって来た

俺は涙をこらえながら

一生懸命明るく振舞い

「元気でね!さようなら!」

と手を振って別れを惜しんだ

ツルは

何度も俺の方を振り向きながら

まるで

「ありがとう!ありがとう!」

と何度もいっているかのように

「ク〜ック〜ッ!」

と鳴いて去っていった














しばらくしてから、

ツルが帰ってきた

俺は

「おぉ〜っ!憶えていえくれたのかぁ〜っ!」

ツルは

何も言わずに

じっと俺を見つめながら

何かを言いたそうにしていた





そこへお袋がやってきて




「あ〜ら、はやチャンいらっしゃ〜い!」

「もう体治ったの?」

何それ?おみやげ?」

「いつもありがとうねぇ!」





てっきりツルと思いこんでいたのは

勇人だった

俺は、はやとの頭しか見てなかったのだろうか?






とにかくツルッパゲが

大きなスイカを持って帰ってきたことには違いない




てか?



裏話に戻る

back to home