としやんくんの思い入れ

 「悲しむ程まだ人生は知らない」が収録されている『ターニング・ポイント』・・・・、1983年の夏に聖子さんに出逢い、初めてリアルタイムで買ったアルバムです。
 初めて聴いた時、衝撃が全身を走り抜けたような感じになりました。特にA面の出来はすばらしいというよりも、鬼気迫るものを感じました。 聖子さんに一体何があったのだろう・・・・
 失恋? 別れ?
 何か聖子さんが大切なものを失ったかのような、でもその悲しみを必死に乗り越えようとあえいでいる・・・・そんな「気迫」のようなものを感じたものでした。
 それから1年後、秋が深まり冬の訪れが感じられる11月、僕は僕自身の弱さが原因で、大切なものを失ってしまいました。
 それ以降の僕は、自分自身の弱さがいやになり、大切な彼女を傷つけてしまったことを後悔し、荒れて荒れまくった生活を送りました。 自らの生命をたつことも頭をよぎりました。 でも、そんな勇気もなく、酒をあおることで全てを忘れようとしましたが、無駄な努力でした。
 そんな自堕落な日々を続けていたある日、いきつけの飲み屋で浴びるほど酒を飲んでいますと、心配したおかみさんが酒を取り上げてしまいました。 勝手に怒りながら店を後にして、冷え込んだ下宿に戻り、たまたまかけたテープから流れてきたのが『ターニング・ポイント』でした。
 ごろっと横になって、ただひたすら天井を見つめていると、何だか情けなくなってきました。
 俺は一体何をしてるんだろう・・・・、俺は一体何をしてるんだろう・・・・、
 何度も何度も同じ言葉が、頭の中で繰り返されました。 その言葉を繰り返している内に、意識が遠くなりいつの間にか静かに眠っていました。
 そんな夜を過ごしてから、僕の中で少しずつ変化が起こり始めました。 何だか肩の荷が降りたような、楽になったような・・・・。
 あれからもう14年になるけど、今では僕の人生の大切な1ページだと思えるようになりました。
 僕の「History」の1コマです。 そんな1コマを作ってくれた『自問』が、「History」に収録されてたら、よかったんですけどね。

【追記】
  あの時酒を取り上げてくれた飲み屋とは、今でもつきあいがあり、店のおかみさんも大将もいつも僕を暖かく迎えてくれます。

「としやんくん、ありがとう。
な、なんだか、すーは涙が出てきました。(ズズッ。) ええ話やなぁ〜。
たいていの聖子さんフリークは、その人生の節目で聖子さんの曲に影響を受けているモノだよね。 思い入れが深ければ深いほど、それは現実になってくるものさ。 ほら、としやんくんの持っている『History』33曲目から、『自問』が流れてきただろ?
すーには聞こえるよ。」  すーより

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